子どもたちに効率のいい勉強法を教えるのに参考にしたいと考えて買った一冊。一緒に買った菊池洋匡『小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』と内容はほぼ同じ。「ビジュアルガイドブック」とあるが、個人的には、「ビジュアル」はほとんど理解の助けにならなかったように思う。
科学的な方法を通して、その効果が実証
...続きを読むされているとされる学習方法を紹介する本。その方法というのは、
①「分散学習」
②「検索練習」
③「インターリーブ(交互配置)」
④「精緻化」
⑤「具体化」
⑥「二重符号化(デュアルコーディング)」
の6つ。特に重要とされているのは、①「分散学習」と②「検索練習」の二つで、③は①のさらに細かい分散の考え方、④〜⑥は、より具体的な学習方法である。
ざっくり言ってしまえば、「間隔を空けて、思い出す練習を繰り返そう」ということになる。そして、繰り返し復習をする際には、問いを立てながら学んだ情報の関係をより深く考え(精緻化)、その具体例を自分の経験と結びつけ(具体化)、言葉とイメージで覚える(二重符号化)とよい、という話。後半は、この6つの学習方法について、教師、生徒、保護者の3つの立場から、同じ主張が繰り返されている。
正直、上述の本と同様、目新しい情報はなかったが、p144〜あたりから、すっきりとまとまっているので、手元に置いておくと、この手の話をするときに便利である。
学習科学に関する本を続けて読んでいて思うのだが、(たぶん怒られるが)恐ろしいまでに単純化してしまえば、効果的な学習とは、要するに「反復」であるということになる。確かに、①〜⑥をやれば、学習内容は定着するのであろうが、そうなってくると、もっとも重要なのは、動機づけ。つまり、学習者にとっての学習内容の意義や価値なのではないか、という気がしてくる。
教育に携わる大人としては、効果的な学習法を念頭に置きつつも、その学習法の意義ではないところで、学習を反復したくなるような、そういった仕掛けや教育内容の意義を考えたい。そう思い直した本だった。