小説作品一覧
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-昭和9年の大晦日、東京に滞在していた安南国の皇帝が失踪した。ほぼ同時刻、松谷鶴子というその愛人らしき妙齢の女性が赤坂山王台の高級アパート「有明荘」のベランダから墜死した。そこにはいったいどんな関係があったのか。当時の銀座には、マダム村雲笑子(えみこ)の「巴里」というバーがあった。そこでは、巴里帰りでタキシードを着込んだ高利貸しのせがれ、朝鮮捕鯨会社という国策会社の重役で羽振りのいい子爵家の当主、名うての遊蕩児で酔えばマラルメを口にするディレッタント、銀色の靴を穿いて人造ダイヤを指に光らせる米国帰りのダンサーなど、奇態な連中が乱痴気騒ぎの真っ最中。ところが、あとでわかったのだが、その連中の何人かが「有明荘」の住人でもあった。いったいこの暗合は何なのか。鬼才十蘭ならではの絢爛たるミステリー。
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-銀婚式の日、妻と連れ立って車でムア(荒野)にむかったアシャーストは、見晴らしのよい丘の上で昼食をとろうとする。スケッチをやめてもどる妻を待つあいだ、アシャーストは、そこの景色に見覚えのあることに気づく。そして痛みのともなうある過去の出来事がよみがえる〔林檎の木〕。田舎の屋敷で孫と静かな暮らしを送る老ジョリオンのまえに、美しい女があらわれる。それは今はない恋人の思い出を求めてやってきたアイリーンだった。ジョリオンは彼女にあうことに唯一の慰安と幸福を感じるようになる〔小春日和〕…イギリス的な田園詩二編。
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-紀元四世紀ごろ、エジプトの砂漠で禁欲と瞑想の生活をおくるパフニュスは聖者として評判が高かったが、かつて淫靡な都市アレクサンドリアで知りあったことのある舞姫タイスを思い出し、出向いて淫蕩の暮らしから足をあらわせようと決意する。饗宴の一夜ののち、タイスは改宗して修道院にはいり、パフニュスは砂漠にもどる。だが、彼はタイスをあきらめることはできなかった…
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ―奇跡は起こらない。無表情な現実。だけど、自分が変われば 世界は変わる― 言葉には力がある。傷をつけることも、支えになることもある。言葉と出会うと、人は動く。 忘れられない一行。勇気をくれる一言。目の覚めるような、言葉との出会い。 本を読むすべての人に、かけがえのない出会いがありますように。 著者が書いた、2007年から2014年までの詩を収録。 <著者紹介> 1981年、京都で図案家の家に生まれる。京都造形芸術大学で、テキスタイルデザイン、文芸を学び2000年よりフリーで活動。 多数のデザインイラストが製品化されるほか、小説『02』『水深5センチメートル』絵本『そらくま』などの執筆にあたる。そのほか作詞提供など、国内外で幅広い展開をしている。 http://ae-sha.com
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-古代ローマの建国神話叙事詩。「アエネイス」は「アエネアスの歌」の意で、ラテン文学の最高傑作。トロイアの王子で女神ウェヌスの息子であるアエネアスは、トロイア陥落後、海上へと逃れカルタゴに着く。アエネアスは女王ディドに歓迎され、二人は相愛の仲となるが、天命には逆らえず、アエネアスはイタリアめざして出発する。ディドは別離に耐え切れず火炎に身を投じて自死する。ラティウムに上陸したアエネアスは、現地の王とルトゥリ族長トゥルヌスとの連合軍による執拗な抵抗に直面するが、長い戦いののち、ついにトゥルヌスを倒してローマの礎を築く。この作品の執筆に作者は11年を費やしたが、未完に終わった。彼は死の前に草稿の焼却を望んだが、アウグストゥスが刊行を命じたため世に出ることになった。この作品は単に神話的英雄を謳うにとどまらず、当時内乱を終結させたローマの実力者アウグストゥスの治世をアエネアスに仮託し、賛美する構造をもっている。原文は韻文であるが、この翻訳は親しみやすい散文訳である。
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-ギリシア・ローマ神話について少しでも詳しく、面白く書かれた物語を求めるとすれば、この「転身物語」以上の作品はない。作品のテーマは「不思議な転身を物語る」ということになっている。しかし、そうした物語は一部にすぎず、全体はギリシア・ローマの神話・伝説の一大収集であり、宝庫であって、まさにその百科全書。この作品ほど後世に多く読まれ、数多く翻訳されたラテン文学作品はなく、ヨーロッパ人の神話的教養のほとんどは、この作品(ないしこれを再話した作品)に負っている。この改訂版では、さまざまな時代のエッチング、リトグラフ、絵画の名作40点以上を解説つきで収録した。
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3.0それは夏休み前のちょっとしたイベントのはずだった。 地域交流を兼ねた学園祭の開催準備日。校庭中央に設置された“鳥カゴ”を模したステージの中から、少女は集まった学校関係者達に向かって《人質ゲーム》の開催を呼びかける。人質は自分、提示する条件が満たされれば人質は解放、受け入れられなければ、人質は死ぬ――。 提示された条件は《百人の共感者》、《罪を犯した教師の贖罪》、そして……《十人の自殺志願者》!? 目の前の人質を助けるために、貴方は何かを犠牲にできますか? 戦慄の《ジレンマゲーム》第2弾!