小説 - 講談社文庫作品一覧

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  • ことわざの風景
    -
    庶民が育てた「ことばの知恵」、その深くて重い笑いの魅力と成立の背景を解く文化論――笑いで磨かれた庶民のことばには、深い「人生の知恵」が隠されている。つるの一声、にそくのわらじ、ぬすっとにも三分の理……凝縮された世相・処世訓・人間の機微をすくいあげ、生活のなかで育てられたことわざの魅力をさぐる。著者の軽妙洒脱な語り口は、成立の背景から、広い「文化の風景」へ誘う。
  • 孤道
    4.5
    1~2巻792~814円 (税込)
    盗まれた牛馬童子の首が、不可解な殺人を招く。「熊野古道」が結ぶ大いなるミステリーに浅見光彦が挑む! 最後の浅見シリーズ。
  • 孤独なアスファルト
    3.5
    玉川上水で、日東グラスウールの常務・郷司が殺害された。転職のことが原因で郷司と対立していた、東北出身の田代少年が疑われる。田代は内気で言葉の訛をからかわれるのがいやで、職場でも孤立している青年だった。後日発見された凶器の紙バンドも田代の工場の物とわかり、彼への容疑は深まる。寄る辺ない青年の孤独を描く傑作推理。第9回江戸川乱歩賞受賞作。
  • 孤独な噴水
    -
    新人王をめざす若きプロ・ボクサーの孤独な戦い! 暗い家庭を逃れてボクシング・ジムに通う〈私〉は、連戦連勝、やがて新人王の有力候補にのし上がり、小さなジムの期待の星となった。だがある日、心の支えだった恋人が、何者かに暴行された。ボクシング界の内幕をえぐり、若者の愛と孤独を鮮烈に描く長編小説。
  • 孤独の吠え声
    -
    日本狼の烈しい闘争心と、犬の賢さをあわせもつ、ハイブリッド狼・虎毛。陸奥の大自然を舞台に、虎毛は生きるため恋のために戦いつづけ、山の覇者となる。だが、狼たちの王国は人間の手で無残に侵され、虎毛もついに罠におちる。異国の空に響く虎毛の老残の吠え声、その悽愴な旋律に滅びゆく種への哀惜をこめた、動物小説の名篇。動物文学の第一人者が絶滅した種にささげる野生のロマン!
  • 孤独の罠
    -
    推理小説史上、特異な位置を占める、幻想の詩人・日影丈吉の代表的長編。舞台は、榛名山に近い寒村。縁の薄かったわが子の火葬に立ち会った仰木は、そこで奇怪な事件に巻き込まれた。1体のはずの乳児の骨が、2体も出てきたのだ。忌わしい事件を仕組んだ犯人の意図は? 閉鎖的因習や錯綜した人間関係を追いながら、謎を探る。
  • 子ども狼ゼミナール 本格短編ベスト・セレクション
    3.0
    小説◎水底の鬼 岩下悠子ボールが転がる夏 山田彩人狼少女の帰還 相沢沙呼フラッシュモブ 遠藤武文あれは子どものための歌 明神しじまディテクティブ・ゼミナール 第三問 ウェアダニット・マリオネット 円居挽 黄泉路より 歌野晶午紙一重 深山亮犯人は私だ! 深木章子評論◎本邦ミステリドラマ界の紳士淑女録 千街晶之
  • 子どもの王様
    3.3
    団地に住むショウタと親友トモヤ。部屋に籠もって本ばかり読んでいるトモヤの奇妙なつくり話が、ショウタの目の前で現実のものとなる。残酷な"子どもの王様"が現れたのだ。怯える親友を守るため、ショウタがとった行動とは? つくり話の真相とは? 『ハサミ男』の殊能将之が遺した傑作をついに文庫化!
  • こどものころにみた夢
    3.2
    文章と絵で綴る「こどものころにみた夢」のアンソロジー。怖い夢、切ない夢、それとも、おもらしの夢……? 角田光代、島本理生、西加奈子、阿川弘之、堀江敏幸、穂村弘、高橋源一郎他、豪華作家陣が美しい絵とと共に綴る「夢」の物語。
  • 子どものための哲学対話
    3.9
    人間は遊ぶために生きている! 学校なんか行かなくたっていい。うそをついてもいい。クジラは魚だ。地球は丸くない。……ぼくの家の猫のペネトレは、そんな普通じゃないことばかり言う。でも考えてみると、ペネトレの言うことの方が正しいんじゃないかって気がしてくる……。子どもも大人も考え方が変わる、ペネトレとぼくの40の対話。 ※本書は1997年7月、小社より単行本として刊行されました。
  • この愛は石より重いか
    5.0
    僕と彼女が接近すると、空から石が降ってくる!? ――啓太は、野球観戦していたスタジアムで、高校時代の同級生だった美菜子と、偶然、再会する。美しく変貌をとげた彼女にドギマギしていると、突然、空から何かが降ってきた。小石だ。しかしなぜ、二人の頭上から? という表題作ほか、3編を収録。愛とファンタジーと笑いと恐怖が融合する、傑作短編集。<『コールドスリープ』改題作品>
  • この悲しみの世に
    4.0
    異父姉弟とも知らず不倫の愛におちた人妻。聖地への旅に始まる至高の愛を描く問題作。極限の愛と悲しみを描く恋愛大作! ――私たちが「この悲しみの世に」あると思うこと以外の認識は、すべて幻想です……。不倫の愛におちた人妻・節子と年下の青年・善彦は、ある日、自分たちがこれまで別れ別れに生きてきた異父姉弟であると気づく。断ちきれぬ愛の流れのままに、節子は男子を出産した。聖地への旅に始まる、至高の愛を描く、長編小説。
  • この季節が嘘だとしても
    値引きあり
    3.5
    芝居でいい筈なのに。 想いよ、現れないで。 京都の路地の奥。 古びた町家の店で。 「嘘」の名を借りて、その男に近づく。 この手で、殺すために。 文庫書下ろしミステリー 大丈夫、絵里ちゃん、仇は必ず取るから。 私刑を誓い、その男に近づく大学生の紗夜。 京都をめぐる季節の流れのなかで、やがて 彼女の胸の底から、何かが噴き上がり、こぼれ落ちていく。 笑わなくては。懐に入り込まなければ。 大学生の紗夜は、京都の三十三間堂に程近い路地奥の店『中国茶 龍王』に嘘の名を借りて通う。 同じ日に生まれ、同じ日に死んだ母達を持ち、姉妹同然に育った絵里ちゃんを、あの男が奪った。 だから、紗夜は復讐を遂げるのだ。 芳しい香り漂う新感覚ミステリー。 〈文庫書下ろし〉
  • この骨董が、アナタです。
    -
    骨董と病気は人間を変える。伊万里、李朝、唐津、仏像と、骨董に狂った男の笑えて悲しいエッセイ集――李朝白磁に始まった骨董狂い。他人のモノは、よく見える。他人のモノは、欲しくなる。東に珍品あれば、目を三角にして駆けつけ、西に迷品あれば、骨折した足をひきずってでも手に入れる。二転三転、贋作に泣き、掘り出し物に笑う。骨董に翻弄される快楽の日々を、当代一流のコピーライターがつづる、傑作エッセイ。
  • この父にして 素顔の斎藤茂吉
    -
    「赤光」をはじめとする多くの歌集や評論集「柿本人麿」などの名著で、大正・昭和の歌壇に不滅の足跡を遺す斎藤茂吉。この不世出の大歌人を父に持つ、ふたりの兄弟、精神科医・斎藤茂太と作家・北杜夫が談論風発、肉親にして初めて知り得た興味ある事実を明らかにしながら、隠された茂吉の生涯を語る、異色の対談集。
  • この場所であなたの名前を呼んだ
    4.0
    NICU(新生児集中治療室)を舞台にした、 小さな命をめぐる感涙の物語。 著者の経験を元にした新たな代表作誕生! 新生児仮死で生まれてきた赤子の母、 胎児に染色体異常があると告げられた女性、看護師、臨床心理士、清掃員、医師ーー さまざまな視点から描かれる、NICU(新生児集中治療室)という「この場所」。 小さな命のきらめきに、こんなにも心を動かされる。 医療現場を舞台に著者が新境地を拓いた連作長編小説。  ずっと、18トリソミーではなかったのなら、どんなにいいだろうと思っていた。けれどもし、その願いが叶うことで、生まれてきた赤ちゃんが心(ここ)ではなくなってしまうのならば、意味がなかった。心でよかった。心がよかった。  重なっている手の指。カーブした足。何もかもが特別で、愛おしかった。心だけの形。あらゆる部分が、可愛らしい。(本文より)
  • この人を見よ ブッダ・ゴータマの生涯
    -
    真実の人生を生きるために出家し、思索し、ついに悟りを得たブッダ。孤独や弟子の反逆にも耐え、本来の生き方を説き続けたブッダ。仏教学の泰斗が、豊かな学殖のすべてと暖い心をこめて、この「偉大なる人」の生のドラマを描く。パーリ原典に依拠し、後世の虚構を排して把えた人間ブッダの真実を描く画期的な評伝!
  • この道
    値引きあり
    3.5
    祖先、肉親、自らの死の翳を見つめながら、綴られる日々の思索と想念。死を生の内に、いにしえを現在に呼び戻す、幻視と想像力の結晶。晩年まで勁健な筆を奮い、文学の可能性を極限まで拡げつづけた古井文学の極点。
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上
    3.7
    1~2巻748~770円 (税込)
    数々のスクープを物してきた敏腕編集長、カワバタ。大物政治家Nのスキャンダルを追う彼の前に現れた奇妙なグラビアの女。彼女を抱いた日から、人生は本来の軌道を外れて転がり出す。不敵なまでの強引さと唐突さで物語に差し挟まれる数々の引用。小説が真理に近づく限界を極めた、第22回山本周五郎賞受賞作。(講談社文庫)
  • 琥珀のまたたき
    4.0
    魔犬の呪いから逃れるため、パパが遺した別荘で暮らし始めたオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだい。沢山の図鑑やお話、音楽に彩られた日々は、琥珀の瞳の奥に現れる死んだ末妹も交え、幸福に過ぎていく。ところが、ママの禁止事項がこっそり破られるたび、家族だけの隔絶された暮らしは綻びをみせはじめる。
  • 湖畔の殺人
    -
    晩秋の河口湖畔、朝霧の中に艶めいた和服の女性の絞殺死体が発見された。下半身剥き出しのその凄惨な姿は行きずりの凶行を匂わせた。しかし狙いは意外なところにあった――。歪んだ欲望と金への妄執、社会のひずみが生み出す小悪漢たちの犯罪。本格推理の名手がミステリータッチで描く、傑作事件小説8編。
  • こぼれ落ちて季節は
    3.9
    田舎から上京した愛は、大学のフリーペーパーサークルの先輩・新野に恋をしている。キスもしたしセックスもした。でも彼は愛を好きなのだろうか。一方、那美香も同級生の新野のことが気になっている。二人の思いがたどり着く先は……。アルバイト先の後輩・あさひに思いを寄せる長谷岡と彼に片思いをしている小埜。ろくでもない男との運命を占うあさひと彼女のことを疎んでいる妹のゆき。繊細に揺れ動く感情を描いた連作短編集。
  • コマのおかあさん
    3.3
    みすぼらしい雑種の捨て犬を自宅に引き取った日、私は「おかあさん」になった。だが、コマと名づけた愛犬が大人しかったのはその日だけ。盗み食いはする、抜け毛による大気汚染は深刻、いろんな言いつけが守れない。恩知らずな我が子とのバトルな日々は、けれどこんなにも素晴らしい喜怒哀楽に満ちている。
  • 小村二等兵の憂鬱(『歩兵の本領』講談社文庫所収)
    -
    物を大切にする軍隊では、たとえ軍手一枚でも亡失は許されない。員数合わせは帝国陸軍以来の伝統なのだ。だが、小村二等兵は補給点検の前夜、大いに青ざめた。新隊員教育隊で支給された半長靴が一足なくなっている。このままでは、怒鳴られて始末書、幹部室で正座。外出と休暇は取り消し、全員の靴磨きと洗濯が待っている……。浅田次郎が自らの自衛隊体験を活写した、涙と笑いの青春グラフィティ! 『歩兵の本領』所収。
  • 小屋
    -
    自殺した知人の遺品を遺族に届けた19歳の青年は、その村に居ついて、村人や遺族の異様な光景に出会う。戦争にいって廃人同様になった父親。そして、その妻のモノローグを通じて、戦後25年経ったいまも、戦争の傷を癒せぬ、夫婦の戦慄的生活が現われる。暗い時代の深暗部を照し出した力作。他に「小泊海岸の犯罪」と「雪」を収録。
  • 孤立無援の名誉
    -
    「退場!」ーー最後の試合でルールどおり毅然とした態度で、プロ野球審判の名誉をかけ信念をつらぬく「仏の昇さん」。野球、F1レース、サッカー、テニスなど、スポーツの世界を舞台に、いずれもプロであることに誇りを持ち、それゆえに孤独な男たちの、男だけの世界を描いて、快い余韻をひびかせる短編小説集。
  • これは懺悔ではなく
    -
    傍目には誰もが羨む、大学助教授同士の夫婦。知的で経済的にも恵まれて。愛情のたぎる季節が過ぎた時、妻は偶然幼なじみの女性と再会した。少女時代、彼女によって植え付けられた不思議な心のしこりが疼き始めて──。女性の心と性の変容を大胆、そして緻密に描き切った表題作を含め、5作品を収録した秀作集
  • 殺しのヒットパレード
    -
    マリン・ブルーに輝くハワイを舞台に、ハイスクール・ギャルたちを次々に襲う殺人鬼の手。謎のカギは、海賊FM放送局・ハワイ99の人気ディスクジョッキー・タミーに送られるリクエスト曲。その第1番めは、〈ダイアナ〉。だがその名のロコガールが殺された! さあ、ヤング・ギャル&ボーイたちの出動だ! 快調、軽妙、新・青春推理小説の登場。
  • 殺し屋
    -
    一匹狼の殺し屋・谷一生は、太腿に牡丹の刺青を持つ女・由起を、裏の世界から操る黒幕・石井小三郎の手から匿(かくま)うことになった。しかし、立野組に裏切られ石井のもとに監禁された谷の目の前で、誘い出された由起が凌辱された。怒りが爆発した谷と暴力団との間で、凄惨な闘いの火蓋は切られた。長編ハードアクション! 恐怖の絶叫に血塗られたハード・バイオレンス。
  • 今昔物語ふぁんたじあ
    5.0
    1~3巻550円 (税込)
    わが国最古の説話集「今昔物語」。その千二百余編に著者独自の観点から立ちむかい、揺れ動く人間の真の姿を今の世に問いなおす。
  • コンテクスト・オブ・ザ・デッド
    3.5
    編集者須賀は作家と渋谷で打ち合わせ中、スクランブル交差点で女の子を襲うゾンビを目撃。各地で変質暴動者=ゾンビの出現が相次ぐ中、火葬されたはずの文豪たちまで甦り始め…。デビュー10年目の極貧作家K、久しぶりに小説を発表した美人作家桃咲カヲル、家族で北へ逃げる小説家志望の南雲晶、区の福祉事務所でゾンビ対策に追われるケースワーカー新垣、ゾンビに噛まれてしまった女子高生青崎希。この世界で生き残るのは誰か?
  • コンビニなしでは生きられない
    3.0
    ミステリ作家・西澤保彦氏、べた褒め! 「ご近所(コンビニ)に“本格魂”続々入荷中! コスパ最高の謎解き劇場がここに」 謎解き鮮やか、仕掛け重厚の第56回メフィスト賞受賞の青春ミステリ! 大学を中退した白秋。彼の居場所はバイト先のコンビニだけだった。その平穏な日常を引っかき回す研修生が入店。店内で連続する事件にやたらと首を突っ込む女子高生の深咲だ。教育係の白秋は彼女の暴走する謎への好奇心に巻き込まれ、店の誰もが口を噤む過去の連続盗難事件の真相を推理することになり……。 コンビニの「謎」と「あるある」にとことんこだわり、他の追随を許さない秋保水菓のデビュー作、ついに文庫化!
  • コンピュータの熱い罠
    3.5
    相性診断によって男女を引き合わせるコンピュータ結婚相談所。オペレータの夏村絵里子は、恋人の名前を登録者リストに見つけて愕然とする。「何かがおかしい」彼のデータを見直し、不審を抱いた絵里子を、正体不明の悪意が捕らえる。まずは兄嫁のデータを見たいと相談所を訪れた女性が謎の死を遂げ、それは連続殺人事件に発展。恐怖に引きずり込まれた絵里子は……。まだPCもあまり普及していなかった1986年に書かれたとは思えない。コンピュータや情報に関わる事件の先見性にも驚愕。(講談社文庫)
  • コンピューター殺人事件
    -
    電算機導入にからむ労使の対立が激化しているさなか、コンピューター室にボヤが発生し、監理課長が怪死、つづいて女性秘書が北陸の海岸で水死体となって発見された。運輸業界の苛烈な企業競争を背景に、突発した連続殺人の真相は? コンピューターの論理と微妙な人間心理の盲点をトリックに使った、傑作推理長編。
  • 婚約
    -
    「弱っちゃった。焦っちゃうの。最後の最後に来てこうですから」とっくに相手と同棲してしまっている息子の結婚を控えて、微妙に揺れ動く父親の心理を、哀歓をこめてユーモラスに描く表題作。筆者の青春に色濃く影響を与えたおでん屋について書かれた「たにし亭ありき」、他にイタリアの画家ボッカッチの絵にまつわる「一枚の絵」など、人生の味わい深い、哀歓と滋味にあふれた傑作短編集。全12編収録。
  • 今夜、すベてのバーで 〈新装版〉
    4.0
    すべての酒飲みに捧げるアル中小説 「この調子で飲み続けたら、死にますよ、あなた」 それでも酒を断てず、緊急入院するはめになる小島容。 ユニークな患者たちとの会話や担当医師との対話、 ときおり訪れる、シラフで現実と対峙する憂鬱、 親友の妹が繰り出す激励の往復パンチ―― 実体験をベースに、生と死のはざまで揺らぐ人々を描き、 吉川英治文学新人賞に輝いた著者の代表作が新装版になって再登場!
  • 今夜はパラシュート博物館へ THE LAST DIVE TO PARACHUTE MUSEUM
    3.8
    犀川、練無も集う 煌めきの傑作短編集! N大学医学部に在籍する小鳥遊練無は、構内で出会った風変わりなお嬢様に誘われて「ぶるぶる人形を追跡する会」に参加した。大学に出没する踊る紙人形を観察し、謎を解こうというのだが……。不可思議な謎と魅力的な謎解きに満ちた「ぶるぶる人形にうってつけの夜」ほか、魅惑の7編を収録した珠玉の第3短編集。
  • コーチ! はげまし屋・立花ことりのクライアントファイル
    3.8
    恋も仕事もそこそこ、流されるままに25年生きてきたことりの転職先は「はげまし屋」。求職情報で偶然見つけた、おんぼろマンションの一室にあるオンライン専門の人生相談所だ。身近には打ち明けられないひそかな悩みが、ことりの元に次々と舞い込む。新米コーチのことりにクライアントの悩みを解決できるのか?「これは経費で落ちません!」著者によるユニークオフィス小説! 《ことりが担当する悩めるクライアントたち》 いいね探しのポリアンナちゃん  ―24歳・女性・派遣社員・クリエイティブな職種に転職希望 白雪姫に恋したカサノバさん ―45歳・男性・貿易会社経営・妻子あり・初めての失恋を経験 小説家になりたいジェインさん ―33歳・女性・小説家志望・家庭は裕福で結婚願望なし 終わらないエイジさん ―36歳・男性・ネットビジネススターター・行動力はあるが非常識
  • コーリング
    -
    「死にたくなんかない。生きたいから切る」。生を確かめるためリストカットせずにいられない彩乃が“メディカル売体クラブ”で自傷癖のある介護士の青年と出会い、お互いを強く求め合う表題作、現実の列車爆破事件に触発された「起爆者」他、デビュー作を含む6篇を収録。過激で危険で美しい、傑作短篇集。
  • 劫火(1) ビンゴR
    3.7
    1~4巻785~1,100円 (税込)
    携帯型の核兵器を所持するロシア人テロリストが日本潜入――。新宿ゴールデン街のバーのマスター小田健(オダケン)は、敵が上陸した小樽に居合わせ、炎上する犯行現場で対峙する。東京では、“日本再生”を企てる謎の組織が暗躍していた。(講談社文庫)
  • 劫火 全4冊合本版
    -
    1巻2,530円 (税込)
    携帯型の核兵器を所持するロシア人テロリストが日本潜入―。新宿ゴールデン街のバーのマスター小田健は、敵が上陸した小樽に居合わせ、炎上する犯行現場で対峙する。東京では、"日本再生"を企てる謎の組織が暗躍していた…。空前のスケールで描く痛快アクション巨編。日本冒険小説協会大賞受賞作を全面改編。「劫火1 ビンゴR」「劫火2 大脱出」「劫火3 突破再び」「劫火4 激突」。
  • ごきげん消費税 補助金つかみどり
    -
    怒れ、都会のサラリーマンたち! 当時5パーセントに値上げした消費税は、どこに流れていったのだろうか? 実は、ぜ~んぶ田舎に行ってしまったのである。都会の人々がキュークツな思いをして働いて奪われた血税で、ますます楽しい生活ができると大喜びの過疎地の人々。カラ出張から地方自治の仕組みまで、笑って、のち大激怒する、必読の一冊!
  • 極辛版 キムチ大探検
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 キムチを通して知る韓国の生活と文化! ソウルのキムチは辛くない! 本場でさまざまなキムチを食べて回り、その作り方を詳しく習ってきた取材チームのキムチなんでも百科。ソウルの最新ガイドも満載! 極辛の「秘密」を求めて本場を食べ歩き! ソウル観光にも絶好の一冊。キムチを知れば韓国が見えてくる! ペチュキムチ、ポッサムキムチ、ムウトンチミ……。真っ赤な辛いものから、あっさりした汁ものまで、韓国のキムチはともかく多種多様。韓国パワーの源といわれるこの過激な漬物の正体は? 本場キムチの秘密を求めて現地取材した、初めての詳図鑑。ソウル市内のホテル、ショッピング、食べ歩きなどの最新情報も満載したカラー文庫。
  • 極楽谷に死す
    4.0
    1970年代、あの時代の熱はどこにいってしまったのか。南米バルパライソ、極楽谷と称される海辺の町から"わたし"のもとに一通の手紙が届く。学園紛争に引き込んでしまった友人が死んだという。さいはての地で娼婦の稼ぎで生きてきた男の軌跡を辿(たど)る"旅"にわたしは出た――。あの時代があざやかによみがえる短編集。(講談社文庫)
  • 午後の行商人
    4.0
    カメラマンを目指し、メキシコを旅する香月哲夫は、ある夜、暴漢に襲われたが、タランチュラと名乗る老いた行商人に助けられる。彼は、民族解放運動に揺れる南東部へ、行商の途中だった。香月は強引に頼んで旅に同行するが、タランチュラの真の目的は、冷徹・非情の復讐行だった! 直木賞作家による、灼熱の長編冒険ロードノベル。
  • 午後の砲声
    -
    1巻660円 (税込)
    パレスチナ解放勢力とイスラエル軍がきびしく対峙するレバノン南部――日本人ジャーナリスト峯元彦は、PFLPのコマンド隊の軍事行動に参加。銃弾の飛び交うベカー高原、火を吹くカラシンコフ自動小銃、轟く対空砲火……。戦争の悲惨さと人間解放の困難さを目の当りにした峯は、それでも戦火の中で真の自由と解放を獲得する道を探し求めた。戦火のレバノンで戦う男たちの革命と愛の讃歌!
  • 五色温泉殺人事件
    -
    ぼくは消える。決して探さないでくれ。たったそれだけの書き置きを残し、夫が失踪した。そして謎の女から電話。夫に会いたければ、純白・藍白(あいじろ)・白緑(びゃくろく)・青磁(せいじ)・鉄紺(てっこん)の5つの色を持つ場所を探せという。そして最後に放たれた呪文が、≪怨み・雷・人が死ぬ≫。哀れな若妻・森下紫乃が南志賀の秘湯に見た地獄とは。(講談社文庫)
  • 五十一番めのザボン
    -
    校舎を建てるために、片がわの枝を切られた「むくやん屋敷」のザボンの木――ザボンは51個の実を結び、実には生徒の発案で「手紙」がつけられて市場から北へ南へと送られ、いくつかの返事がきた……。詩人らしい感性と斬新な手法とで、大人と子供たちとの暖かい心の交流を描いた、戦後児童文学の代表作。
  • 五十万年の死角
    -
    太平洋戦争開戦の日、日本軍は、北京の医大研究施設を急襲した。貴重な文化財である、北京原人の化石骨を接収するためだった。ところが、めざすものはすでに、金庫から消えていた。何者が持ち出したのか? 化石骨を追い、日本軍、中国共産党、国民党などの激しい暗闘が始まる。壮大なサスペンス横溢の、第22回江戸川乱歩賞作受賞作品。
  • 50回目のファーストキス
    3.0
    天文学を志す弓削大輔は、ある朝カフェで美しい瑠依に心を奪われる。毎日カフェに通い気を引こうとするが、どうも瑠依の様子がおかしい。なぜなら瑠依は事故で脳に障害を抱え、眠ると前日の記憶をすべて忘れてしまうのだった――明日あなたを覚えていない相手を、愛せますか? 運命の恋を描いた大人のラブストーリー。
  • 瞽女物語
    -
    三味線を手に越後路を流浪する盲目の旅芸人―瞽女―その秘められた美学とは? 休むことを知らず曠野を流れる三味の音に似て、人間の原点とも言える孤独を背負いながら、地獄と浄土の世界を内にさまよい、苦悩、陶酔する女たち。その鮮烈なる赤と、暗く重たい青の絵具に重ねて、鬼才・斎藤真一が描く、瞽女―愛と死の物語。
  • 午前三時の訪問者
    -
    小学校4年生が、遠足の昼食時に誘拐された。女の声で、身代金5000万円を要求する脅迫電話がかかる。翌日、速達便で、受渡し日時と場所が指定され、母親が一人で来るように命じられた。犯人は金を奪い逃走するが、30分後に逮捕された。ところが、意外にも犯人は……。ご存知、赤かぶ検事・柊茂の活躍が始まる。
  • 5と3/4時間目の授業
    4.0
    あたりまえを疑ってみると、知らない世界が見えてくる。 「ぼくは、先生の役割って、一つの狭い常識のなかで生きている人に、そうじゃないよと教えてくれて、でも、その答えは自分で見つけなさいよ、といってくれることだと思います。」(本書より) 〈目次より〉 1日目・たぶん、読んじゃいなよ! カリキュラムにはのらない授業/ソクラテスはなぜ自分で書かなかったのか/想像力を生む場所/「絶対にありえないこと」を疑ってみる/自分で探さなければ、先生には出会えない/「自殺をしてもいいのか?」―鶴見俊輔さんの答え/正解が見つからない問いに、どう答えるか/「外側」から考える/常識ってなんですか? 2日目・なんとなく、書いちゃいなよ! 小学校と工場の共通点は?/自由な論理は「危険」かもしれない/考えるときの基準は自分しかない/「浮かない感じ」―吉本隆明さんの戦争体験/説明できないモヤモヤを大事にする/「渋谷109方式」で文章が書ける!/自分以外の「私」を想像して書く/ほかの誰にも書けない文章ー木村センさんの遺書/「自分」という不思議なものを、ことばにする 本書は17歳の特別教室『答えより問いを探して』を文庫化の際、改題したものです。
  • 五能線誘拐ルート
    3.7
    北の無人駅で起きた誘拐! 苦悩する十津川警部――青森県の十二湖駅で、女性タレントが誘拐された。日本海沿いを走る五能線の、無人駅での犯行だった。捜査に乗りだした十津川警部らに、家族は誘拐の事実を認めない。続けて起きた会社社長夫妻誘拐事件でも、被害者は事件を否定した。誘拐事件を立証できず苦悩する十津川をあざ笑うように、第3の犯行が行われた……。
  • 誤判 私は殺していない!
    4.0
    20数年にわたって、養父殺しの尊属殺人罪で獄窓につながれた美女が、再審を請求する。司法界の名物老弁護士・猪狩文助は、不幸な女・香奈子を救うため、弁護に乗り出す。そして彼女が殺したとされる養父の遺体を、土葬された棺の中から取り出し、再鑑定するように請求した。猪狩文助シリーズの長編傑作ミステリー。再審請求の厚い壁に泣く美女を救え!
  • 五分後にホロリと江戸人情
    5.0
    江戸の長屋を舞台に、当代を代表する作家たちが描いた、笑って泣ける人情絵巻。 新しいショートショートの世界をご堪能くださいませ。 江戸時代――。それは日本の歴史のなかでも稀有なほどに、 人と人が肩を寄せ合い、互いに助け合った時代。 そこには日本人の原風景ともいえる情緒が溢れていた。 長屋に集う住人たちの日常あれこれを、7人の名手が描く掌編競作。
  • ゴミの定理
    3.0
    数学者があみだした画期的ゴミ対策とは!? ――人口2074人の村を、あてどもなく旅するためのガイドブックとは、「鄙根(ひなね)村の歩き方」。学園ドラマの常識をはるかに超える、衝撃的な「ドラマチック・ハイスクール」。深刻なゴミ問題に対して、数学者があみだした、驚くべき公式の数々を明かす表題作などなど、独走するセンスがきらめく、1ダースのユーモア小説集。
  • ご立派すぎて
    -
    ヨメを探して、お見合い一直線! ――結婚する気になった男、丹波十四朗、29歳、ゴリラ似。世話焼きの伯母が、次から次へとお見合い話を持ってくるが、悪戦苦闘、連戦連敗の地獄に迷いこむ。厳しい「お見合い戦線」で勝ち抜く秘訣は何か? お見合い歴30回以上の著者だからこそ書ける、本格お見合い小説。お見合いの実態を暴いて、大爆笑まちがいなしの傑作長編!
  • 五郎丸の生涯
    4.0
    動物は、常に優しく人間に寄り添う。ただ、彼らの一生は本当に幸せだったのだろうか──。 秋田犬・五郎丸は、いく人かの飼い主を得ることになった。その生涯は幸せだったのか。 乱歩賞作家が動物を通して人間を描いた連作短篇集。 第一話 納屋の犬 第二話 フォックスファイア 第三話 救世主 第四話 捨てられし者 第五話 相談者 第六話 むくの犬 最終話 朝焼けの光
  • 権現の踊り子
    4.0
    権現市へ買い物に出かけたところ、うら寂しい祭りの主催者に見込まれ、「権現躑躅(つつじ)踊り」のリハーサルに立ち会う。踊りは拙劣。もはや恥辱。辟易する男の顛末を描いて川端康成文学賞を受賞した表題作や、理不尽な御老公が市中を混乱に陥れる、"水戸黄門"の町田バージョン「逆水戸」など、著者初の短編集。
  • ゴースト・ポリス・ストーリー
    値引きあり
    4.0
    妹への叶わぬ恋心を抱いたまま、俺はどうやら死んでしまったらしい。 「お兄の仇、私、絶対とるから!」 妹は刑事になり、死んだ俺は内通者の疑いをかけられ、そして「幽霊のセブンルール」に戸惑っていた。 渋谷署の刑事・長島日樹は、同じく警察官の妹・聖奈と二人暮らし。 実は血の繋がらない妹に切ない感情を抱く日樹だったが、その思いを断ち切るべく捜査に明け暮れていた。 ある日、帰宅中の夜道で何者かに襲われた直後、ある人物と出会う。 「あのね、幽霊にもルールがあるの。だいたい7つくらい。『幽霊のセブンルール』ね」 その1、無念が晴れたら成仏する その2、昼間はけっこう疲れる その3、幽霊に生理現象はない その4、好きな場所に移動できる その5、寺と鏡には近づくな(焼肉店も追加予定)。 その6、人間界にも影響を与えることができる(ティッシュペーパーを揺らす程度)。 その7、…………
  • 最悪
    3.8
    不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化! (講談社文庫)
  • 再会
    3.0
    優しい保護者だった夫に先立たれた芙樹子(ふきこ)に、初恋の男がまた近づいて来る。一途な恋だったと信じて駈けつける女と、その時々の現実に生きる男との再会は? 恋がなくては生きていけない、一瞬の昂揚に賭ける女と、女の命の単純な暖かさを求める男を描く表題作のほか、男と女の、愛といたわりを語る傑作集。
  • 再会
    3.6
    小学校卒業の直前、悲しい記憶とともに拳銃をタイムカプセルに封じ込めた幼なじみ四人組。23年後、各々の道を歩んでいた彼らはある殺人事件をきっかけに再会する。わかっていることは一つだけ。四人の中に、拳銃を掘り出した人間がいる。繋がった過去と現在の事件の真相とは。<第56回江戸川乱歩賞受賞作>
  • 再起
    3.5
    時代遅れと言われても。俺は俺のやり方で株主総会を仕切ってやるーー。帝都食品への強要罪で逮捕されてから2年。戻った木下勇次を待っていたのは娘の死だった。彼女はなぜ死んだのか。真相を探る勇次の前に投資ファンド経営者、北野が現れる。帝都食品にTOBを仕掛ける彼の目的は?
  • 新版 サイキック戦争1 紅蓮の海
    3.0
    1~2巻660~712円 (税込)
    血の中に眠る<力>を解き放て。圧倒的な伝説の伝奇アクションが甦る! ――不吉な夢を見る雪山から東京へ。姉の失踪事件を追い、さらに戦火のヴェトナムへ。だがどこへ行っても、竜王翔(りゆうおうかける)は、自分自身を巡る異様な秘密に直面する。〈力(アンタンシテ)〉とは? 〈炎の竜に君臨する王者〉とは? 金色の眼(レジユー・ドール)の男や、迎えの者だという美女は、何を知っているのか? 熱狂を呼んだ伝説の伝奇アクション、ここに復活! <全2巻>
  • 細香日記
    3.0
    江戸後期の詩人・歴史家である頼山陽の恋人・江馬細香の、75年の生涯を描く、吉川英治文学賞受賞作。大垣藩医・江馬蘭斎の娘・細香は、幼少から詩文に書画に非凡な才を示し、やがてその美貌とともに、名声は四隣に聞えた。が、頼山陽と出会うことから運命は大きく変わる。「愛人」細香の山陽への哀しい献身を綴る傑作。
  • 最後に愛を見たのは
    -
    離婚した男女の、愛と憎しみの果てを描く長編――離婚した青山は、8歳の息子・昇との不安定な生活で、女手に窮していたが、手伝いに来た愛人・加代子は、不審な死を遂げた。父親に去られた昇の同級生・ミドリも、淋しい二つの家庭を結びつけようと、幼い知恵を働かせていたが……。結婚と離婚をめぐる様々な問題を考えて、愛と勇気に溢れた結末に導く、傑作長編。
  • 最後の殉教者
    3.0
    江戸末期の浦上四番崩れと呼ばれる迫害に材を取った、著者が拓いた独自の切支丹文学の先駆をなす名作「最後の殉教者」はじめ、若き日のフランス留学体験から生まれた「コウリッジ館」「ジュルダン病院」「異郷の友」「男と猿と」「従軍司祭」など珠玉作10編を収録。遠藤文学の軌跡を集約する必読の純文学短編集。(講談社文庫)
  • 最後の帝国軍人
    -
    宮崎繁三郎中将と木庭知時少将――昭和20年、インパール作戦で兵たちと生死をともにした、中間管理職の行動の軌跡。危機にあって、指揮の系統は乱れ、現場の兵たちは動揺する。この手に、戦局も兵たちの生命も託されている。決死のシッタン渡河。疲弊し、死んでいく兵士……。危機的状況に、二人の将軍はどう対処したか? 多くの兵士たちの生命を預かり奇跡の生還をとげた決断力と人間性、中間管理職の危機対応を描く!
  • 最後のフライト ジャンボ機JA8162号機の場合
    4.0
    名パイロット、引退の日。37年間空を飛び続けてきた男は最後のフライトで、父に憧れ同じ職に就いた息子を副操縦士に指名。最初で最後の父子同乗フライトに臨む。無事に終わってさえくれればとの願い空しく、NYを離陸後、最悪のトラブルが発生し……。元航空機関士が自らの経験を元に描いた処女小説。
  • サイゴン・ティをもう一杯
    -
    行きずりの恋から同棲し、奇妙な花屋をはじめたイサムとアンナは、演劇で挫折した者同士でもあった。彼らのあやふやで頼りなげな日常と、二人を取り巻く人間関係の濃淡。それはバラのブラック・ティや戦時下のサイゴンの酒場にあったサイゴン・ティの、妖しさや虚飾ぶりにも似ていた。やがてアンナは妊娠して……。時の流れに身をまかせる男女を通して、日常の側面に光をあてた都会小説。ベトナム戦争世代の心情をデリケートに描く野心的作品。
  • 最終ひかり号の女
    4.0
    最終ひかり号個室に男の死体! 傍に香水の残り香が! 性感あふれる旅行推理傑作集。消えた美女の謎に悩み、噂の美女を追う、十津川警部の奮闘――東京駅発の最終ひかり号グリーン個室に、毎晩、美女が乗る。ある夜、そのひかり号個室で、会社社長が殺された。現場には、香水の妖しい残り香が……。謎の美女が、その夜限りで消えたのを知り、彼女こそ事件の関係者と確信した十津川警部は、ある秘策を実行に移した! 絶好調のトラベル・ミステリー傑作集。
  • さい果て
    -
    一言でいい、やさしい言葉を……。切ない思いは、夫に伝わらないのか。冬へ向う季節を、北へ北へと慣れない行商の旅にのぼる二人。小説が捨てられない夫は、眠る間も惜しんで原稿用紙に向かい、傍で若い妻は、心のさい果てへと押し流されていく。芥川賞受賞作「玩具」など5短篇で構成、夫婦とは何かを真剣に問う連作長篇。
  • 最果てアーケード
    4.1
    使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石……。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続ける――。
  • 裁判員に選ばれたら
    -
    あなたが殺人犯を裁くとき! 現代の召集令状か!? ――ある日突然、日時を指定された裁判所への呼び出し状が、あなたのところに届きます。「拒否をすれば過料」とあります。指定された日は、初公判日の午前中。裁判長と話した後、あなたは午後から裁判員となり、法廷に座ることになります。あなたは、犯人をどう裁けばよいのでしょう? <『殺人犯を裁けますか?』改題・加筆作品>
  • 裁判長 大岡淳三
    -
    裁判における公正とはなにか。裁きの規準とはなにか。政治家をめぐる贈収賄事件、経済犯罪、悦楽的な殺人、外国人の不法滞在など、現代日本のゆがみを象徴する事件を、裁判官の側からリアルに描きながら、裁判の実態、裁判官の生活や心理に肉迫した連作集。犯罪者や法廷を描いて定評のある著者の秀作。
  • サイモンの秘訣
    3.0
    男とは何か、女の内に潜む快楽とは? サイモン生活を支える秘密の数々。快楽、漫画、男性論……機智しゅれるマル秘語録! ――男は官能の壺のフタを開くきっかけに過ぎない……女性の内に潜む快楽について発見した〈壺フタ理論〉、「あすなろ白書」の自己分析から、初めて語る「私はなぜ漫画を描くのか」など、サイモンの秘密が満載。ユニークな着眼と機知あふれる柴門版「マーフィーの法則」に至るまで、すべて初収録の文庫オリジナル!
  • 災厄
    3.4
    妊婦連続殺人犯の少年を担当することになった弁護士の夫・尚彦――。その妻で現在妊娠5ヵ月めの美沙緒は、悪意のドミノが倒されたかのように始まった嫌がらせの連鎖に、恐怖を募らせていく。少年はなぜ妊婦を狙ったのか? 信じていいのは誰なのか? 女と女の果てしない暗闇を描き出す、緊迫の心理サスペンス!
  • サウスポー魂
    -
    「先発したらやね、27人を27球で打ちとる、それが最高のパーフェクトよ」と、度胸いちばんのスーパー左腕・江夏豊。シリーズ奪三振401(世界記録)、11回延長試合ノーヒットノーラン、球宴奇跡の9連続三振 連続セーブ、日本シリーズ最終戦最終回無死満塁での熱投etc.……。その輝ける栄光への道のりと秘められた孤独。これぞプロの破天荒人生を描く、痛快ド根性野球小説!
  • 鬼畜の家
    3.7
    「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」 保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。 巧妙な殺人計画、殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、唯一生き残った末娘の口から明らかに。本格ミステリ大賞候補作 『衣更月家の一族』、『殺意の記憶』と続いていく榊原シリーズ第一作。
  • 衣更月家の一族
    3.3
    別居中の妻の潜伏先を察知した男が、応対に出た姉のほうを撲殺――110番通報の時点では単純な事件と思われた。だが犯人が直接目撃されていないうえ、被害者の夫には別の家庭があった。強欲と憤怒に目がくらんだ人間たちが堕ちていく凄まじい罪の地獄。因業に満ちた世界を描ききった傑作ミステリー!
  • さかさ髑髏は三度唄う
    3.0
    闇からとどく髑髏の声、怪異の果ての悲劇。哀しいさらし首伝説の残る村で続く奇妙な死の真相は? ――憧れの女性教師が余命わずかで、学校も廃校に……。小学校時代の同級生・一尺屋遙(いっしゃくや・はるか)から手紙を受けとった八追純平(やおい。じゅんぺい)は、20年ぶりに母校を訪ね、夜の理科室でか細い声で唄うさかさ髑髏の灯籠を見た。不気味な詩に誘われるように、一人また一人、奇妙な死が訪れる。一尺屋が解き明かす悲劇の真相。新本格推理長編。怪しの声が惨劇の始まり……。
  • 逆島断雄 進駐官養成高校の決闘編1
    4.0
    1~4巻814~990円 (税込)
    日乃元皇国にある軍人・進駐官を養成する超エリート高校に入学した逆島断雄は、皇室を守護する近衛四家から没落した逆島家の次男。「諸君には、これからの三年間で人を殺す100通りの方法と、国を滅ぼす100通りの方法を覚えてもらう」という担任……。入学早々に謎の銃撃事件に巻き込まれた断雄たちは、その後も次々と事件に襲われる。生存をかけた真の闘いがいま、始まった!
  • 走らなあかん、夜明けまで
    3.7
    生まれて初めての大阪出張。二十七歳のサラリーマン坂田勇吉(ゆうきち)は、企業秘密の新製品を詰めたアタッシェケースを、手違いから堀河組というやくざに持って行かれてしまう。取り戻すには、敵対するセンバ会から取引代金の五千万円を奪わなければならない! 日本一不運なサラリーマンが走る! シリーズ第一弾。
  • 涙はふくな、凍るまで
    3.7
    日本一不運なサラリーマン、第二の事件! 出張で北海道を訪れたサラリーマン坂田は小樽港で屈強な男たちがロシア美女を追い掛け回す場面に遭遇。手ひどく殴られ停泊していた船に閉じこめられてしまう。救い出してくれたクラープと名乗るロシア人は、命を助けた礼に稚内まで届け物をしろと言い……。今度の相手はロシアンマフィア。シリーズ第二弾!
  • 語りつづけろ、届くまで
    3.6
    「日本一不幸なサラリーマン」が奮闘する『走らなあかん、夜明けまで』『涙はふくな、凍るまで』人気シリーズ最新作。食品会社のサラリーマン・坂田勇吉は新商品を宣伝するため、東京下町の老人会に通っていた。老人たちやボランティアの咲子の心もつかんでいた彼に、健康枕のセールス指導のバイトが持ちかけられる。打合せ会場に着いた坂田の目の前には、刺殺体が。ヤクザがらみの厄介な事態に巻きこまれた坂田に危険が迫る!
  • 坂道の向こう
    3.7
    城下町、小田原。介護施設の同僚だった朝子と正人、梓と卓也は恋人同士。けれど以前はお互いの相手と付き合っていた。新しい恋にとまどい、別れの傷跡に心疼かせ、過去の罪に苦しみながらも、少しずつ前を向いて歩き始める二組の恋人たちを季節の移ろいと共にみずみずしく描く。(講談社文庫)
  • 嵯峨野より
    4.0
    嵯峨野の自然と人生を流麗に綴る好エッセイ―― 剃髪して京都の郊外嵯峨野に庵を結んだ著者が、樹木、野の草をはじめ四季の自然を愛し、それに対することで自分の来しかた、人生、世の移ろいを深くとらえ、さわやかな感動を読む者に与える好エッセイ。 吾れ、常に、ここにおいて、切なり、と心につぶやく。すると、心の中に涼しい風がおこり、もやもやした俗情がさっぱり吹き払われる……。剃髪して京都・嵯峨野に庵を結ぶ著者が、草花、樹木をはじめ四季の自然を愛し、それに対することで自分の人生、世の移ろいを深くとらえ、さわやかな感動を与える好エッセイ。
  • 作者の家 黙阿弥以後の人びと 〈第一部〉
    -
    河竹黙阿弥の死後、長男をさしおき、娘・糸女が歌舞伎作者の家を継ぐ。相続や著作権をめぐるトラブルに巻きこまれながらも家を守る、生涯独身で謎的な女丈夫だった糸女。そして坪内逍遙の仲だちで、養嗣子・繁俊をむかえることになる。曽祖父・黙阿弥への想いと綿密な考証を重ねつつ、孫として演劇史家として渾身の力をこめ、糸女の「女の一生」と河竹家の歴史を描いた、実感的近代史。読売文学賞受賞の名作。
  • 桜の花が散る前に
    3.5
    カメラマンの乾耕太郎は、幼馴染の美人占い師・深沢桜子に淡い恋心を抱いている。しかし、その父・七ノ瀬天山を死に追いやったという自責の念から、本心を明かせずにいるのだった。「占いと事件」を縦軸に、「幼馴染の恋の行方」を横軸に描いたミステリー連作集。(『桜の咲かない季節』を大幅に加筆し、改題)
  • さくらんぼ同盟
    3.0
    死んだはずの男から摘出された、香しいさくらんぼ状の腋窩腫瘤。それが、魅惑の美味と判明したから、さあ大変! 世界中から次なる患者出現を待って富豪もマフィアも大集結。謎の病の秘密を握る外科医・惇史を護るため、引退刑事+ヘンテコ病患者のドリームチームが結成された。新種の文庫書き下ろし登場!
  • 裂けた背景
    -
    「同窓会に出席する」と言い残し家を出て名古屋から上京し、行方を断っていた元教師・野坂は、遺体となって埼玉県吉見百穴で発見される。遺体は新宿の連続放火を報じる新聞を握りしめ、傍らには、野坂の教え子で人気放送作家・泉慎也の黒焦げの名刺が落ちていた。野坂と放火犯をつなぐ鍵は何なのか? また泉の役割は? 謎を孕む本格推理の傑作。アリバイ崩しが冴え渡る!
  • もっと美味しくビールが飲みたい! 酒と酒場の耳学問
    4.0
    1~2巻660円 (税込)
    さあ読んだら呑みに行こう! ぐわっと呑んだらまた読もう! ビールのプロがお伝えする「うっまー!」の教室――ビールの肴に、水がいいってホント? ビヤホールで一番美味しく飲める席は? プロ並みに注ぐ秘訣って? 無礼講の由来は? 地名にまでなったビール名とは? などなど、酒場で盛り上がること間違いナシの話がてんこ盛り。専門家が伝授する、ビールを1120%美味しく飲む方法&薀蓄。飲む前に読め、読んだら飲め!
  • 鎖国してはならない
    3.0
    ノーベル賞作家の心を打つ魂の講演集。宗教、文学、丸山眞男、ヒロシマ、「新しい人」の思想…様々なテーマへの熟慮を通し、ノーベル賞作家の語る主題は、“日本人は鎖国してはならない”という一文へと収斂(しゅうれん)する。希望を失わず、未来へつなぐため、プリンストン、北京、ベルリン他、「この惑星(プラネット)のすべての住人」に向けて国内外で行われた、魂の講演録。
  • 笹まくら
    -
    戦時下においては、極刑にも値した徴兵忌避。だが、それ以上に陰湿で残酷な現実とは……。自由を求め、たった一人で起こした反乱に、今また責められ、追われ、反乱を続けねばならぬ。そう、不安な旅、危険な旅、笹まくら……。ユーモアを交えた軽妙な文体と執拗な内面凝視の裏に、作者の錯綜した想いをこめて、平安と繁栄の現代に問いかける問題作。
  • さざなみ
    3.4
    絹子さんと俺がこっそり仕掛けた<小さな親切>の波紋の行方。ちょっとミステリアスで、心がほっこりする長編小説ーー三つ揃いを着て、雇主を「貴人」と思うこと……。借金まみれで自己破産寸前に追い込まれた「俺」は、住み込みの執事として雇われることに。賄いとガードマンと秘書にかしずかれて、銀杏(いちょう)屋敷に住まう謎の若き女主人・絹子さんの、無理難題に応えようとして、思いついた「波紋のチンギスハンのシマウマ作戦」の反響は? ◎(沢村さんの作品の)登場人物の多くは本作の「奥山史嗣」のように品行方正なほうなのに、「罪(黒)」に分類されるような行動もとってしまう。人間は、善悪の両方をあわせ持つものだから。共感できる心象風景と、人物の背景に広がるリアルな世界を、沢村さんは、興趣に富んだミステリー仕立てで書いている。本作ではなんと、「波」を小説にした。――<青木千恵「解説」より>
  • 指し手の顔 脳男2 上下合本版
    -
    「わたしの顔を見た罰よ」 闇の中で囁く女の声がじわじわと心を破壊する 元関取が愛宕(おたぎ)市内で突然暴れて多くの死傷者を出し、精神科の入院歴が問題にされた。他にも事件を起こした元患者たちが揃って直前に行方不明になっており、精神科医の鷲谷真梨子は患者の話から監禁に使われた小屋を探しあてた。が、事件の鍵を握る医療ブローカーと小屋を監視していた刑事2人が殺される。
  • 流浪期
    -
    陣野兵馬、15歳。学校でイジメにあい、父親の浮気で家庭は崩壊寸前に陥り、女の子にも相手にされない。一念発起した兵馬は、家出を敢行し、寝台車に飛び乗る。列車内で年上の女と初体験を済ませた兵馬は、上京後、故郷のマドンナを胸に秘めつつ、ストリッパーから女子大生へ、と女難の道を歩み始めた。闘志烈々、意気軒昂の新青春小説誕生! 著者のデビュー作。
  • さすらい波太郎 再会遠州灘
    -
    下田、西伊豆、浜名湖から北海道へ! 釣り対決に美女が加わり、壮絶な冒険行! 魚に対する敬意と海への愛情ロマン! ――鯛釣り名人・波太郎は、アメリカから戻ると、下田から西伊豆、浜名湖へと、修行の旅を続ける。沖泊り源平とのカツオ釣り勝負は、写真家と地元漁師が加わって、大波乱。負けた方が陸(オカ)に上がる条件で、再び対決を迎えるが、事態は一変。美女・暁子と波太郎は、北海道へ飛ぶ。魚に対する敬意と海の愛し方を説く、真の男の冒険行!

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