無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
絹子さんと俺がこっそり仕掛けた<小さな親切>の波紋の行方。ちょっとミステリアスで、心がほっこりする長編小説ーー三つ揃いを着て、雇主を「貴人」と思うこと……。借金まみれで自己破産寸前に追い込まれた「俺」は、住み込みの執事として雇われることに。賄いとガードマンと秘書にかしずかれて、銀杏(いちょう)屋敷に住まう謎の若き女主人・絹子さんの、無理難題に応えようとして、思いついた「波紋のチンギスハンのシマウマ作戦」の反響は?
◎(沢村さんの作品の)登場人物の多くは本作の「奥山史嗣」のように品行方正なほうなのに、「罪(黒)」に分類されるような行動もとってしまう。人間は、善悪の両方をあわせ持つものだから。共感できる心象風景と、人物の背景に広がるリアルな世界を、沢村さんは、興趣に富んだミステリー仕立てで書いている。本作ではなんと、「波」を小説にした。――<青木千恵「解説」より>
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
この現代において「執事」をやる羽目になった借金まみれの男。
何かを渡す事に苦心するも、それが叶わず苦しむサラリーマン。
それぞれの幕間に差し込まれる、ちょっとした人々の話。
「水の中に小石を落とすと、その周りに輪になって広がっていくでしょ。たとえていうと、そんなふうなものが見てみたくなった」という女主人の無理難題をクリアするため、にわか執事が考え出したアイディアとは。
そして、広がっていく波紋の反響はどこへ返っていくのか。
断片的に語られる話が徐々にまとまっていく、恩田陸『ドミノ』や伊坂幸太郎『ラッシュライフ』に似た構成。
こちらは「話が一つにまとまっていく」というより、「根っこが繋がってくる」、という感じ。
全体の構成が巧く、内容もテーマやタイトルとよくマッチしている。
Posted by ブクログ
「シマウマは白地に黒なのかしら、黒地に白なのかしら」
思わずこの質問の答えを真剣に考えてしまった。
絹子さんの思いつきから発生した白(善意)とも(悪意)とも判別しきれないグレーゾーンの波紋。
ほんとうに、水面に広がっていく波紋のように目を凝らさないと見えないけれども、見えるところでははっきり判別できる。
「ペイ・フォワード」のようでもあるが、そこまで脳天気に善意だけでもない。
まさしくこの小説の雰囲気そのものがグレーな感じだった。
心がほっこりしかけて、ふと小さな氷の塊に気づいて瞬間冷える。そんな感じ。
沢村さんの4文字シリーズはこれで全部読んだことになるが、これがいちばんグレー度が高い気がする。
「いい話だった!」と言い切ることもできないし、「悪を堪能したぜ」とも言えない。
ものすごく面白いというわけでもないが、決して退屈でもつまらなくもない。
3つの視点のうち「奥山史嗣」という人物の話がいちばん胸に迫ったかも。
世の中のことはそう簡単に白黒つけられないんだよということか。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸