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Posted by ブクログ
ひとつの国の支配権を巡って、互いを仇敵と憎みあい、百数十年にわたって戦を続けてきたふたつの氏族。
戦によって疲弊した国を、より良い国へとみちびくため、現在の支配者である氏族の頭領は、もう一方の氏族の頭領と語らいあい、ただお互いだけを真の理解者として、もっとも困難な道を選んだ。
沢村凛さん、初読。
たった一冊で語られたとは思えない、深く濃い物語だった。
読んで良かった。
互いの正統性を主張しあい、果てのない争いを続ける愚かさ。敵を想定し、すぐそこに戦がある前提で保つ平和の脆さ。そこからの脱却の、いかに難しいことか。
廸学を正しく教えられる師が薫衣を育んだ事が、間違いなく重要な分かれ道だったろう。
生まれた時から、『先祖の恨みを忘れない事が子孫の正しいあり方だ』『敵を出来るだけ多く殺す事が神の望みだ』と教えられていては、ここには辿り着けない。
本当に多くのことを考えさせられた。
今のこの世界は、あと何百世代ののちに、この道を知るだろう。
以下、書き留めておくことにする。
「人はみな、どんな相手に対しても、〈殺したくない〉をもっているのではないだろうか。ただそれが、いろいろな理由から生まれてくる、〈殺せ〉や〈殺したい〉に押しやられてしまうだけで」
彼のまわりには、たくさんの〈殺せ〉があった。〈殺したい〉があった。何より〈殺さなければならない〉があった。
そんなものが人の心に押し寄せてこない世にしていくことが、彼らの闘いだったのかもしれない。
Posted by ブクログ
国を育む為に、争いに終止符を打つ決断から始まる長い物語。様々な犠牲を踏み越えて進む、果てしない道のり。
その道を歩む2人の王の心情がとても細やかに描かれている。
苦しみや葛藤の中で、敵同士だった2人は信頼し合う関係になってゆくが、お互いに国の頭領として、その関係の根本は“益になる故”であり、友情なんていうものじゃない。
けれど、国を背負っているからこそ、その繋がりには特別な重さ、強さがある。
そして、同じ志を持つ存在がいることは、互いにとって救いになっていく。
読んでいる間中、ひづちと薫衣の想いがどうか報われてほしいと祈らずにはいられない。
気高い2人の王の生き様に、ひたすら胸を打たれた1冊。
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小説・文芸
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