ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
すべての酒飲みに捧げるアル中小説 「この調子で飲み続けたら、死にますよ、あなた」 それでも酒を断てず、緊急入院するはめになる小島容。 ユニークな患者たちとの会話や担当医師との対話、 ときおり訪れる、シラフで現実と対峙する憂鬱、 親友の妹が繰り出す激励の往復パンチ―― 実体験をベースに、生と死のはざまで揺らぐ人々を描き、 吉川英治文学新人賞に輝いた著者の代表作が新装版になって再登場!
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
なぜ人は酒を飲むのか。 35歳でアルコール中毒による症状で入院した男性が自身の人生を見つめ直す物語。 アルコールは合法にして、飲めば気分を高揚させ、記憶を飛ばすことができ、依存性が高い。しかし、全員が全員アルコール中毒になるわけでもない。では、その線引きはどこにあるのか。この小説の一節を紹介したい。 「酒をやめるためには、飲んで得られる報酬よりも、もっと大きな何かを、「飲まないこと」によって与えられなければならない。 それはたぶん、生存への希望、他者への愛、幸福などだろうと思う。」
Posted by ブクログ
生まれてきたこと生きていくことの痛み、愚かさ、悲しみとそれらが強いほど苦しいほど生が強く美しい瞬間もあると知る。
私はアルコール分解できない体で一滴もお酒を飲めない。だから「今夜、すべてのバーで」を読んでも、体感としての飲酒は一つも分からない。でも、この小説に書かれているアルコール中毒の描写がつぶさに書かれたものであることは良く分かった。 飲酒が人生の彩りの一つじゃなくて、生きるための術になったとき、経済的に...続きを読むも健康的にも人生の清算を早めてしまうのかも……と、飲めないながら感じてはいたけれど、それって本当に「感じてただけ」で、「飲酒」についても「アルコール中毒」についても、私は本質の尻尾すら掴めてなかったんだなぁと痛感した。 アルコール、確かな「効用」があるからこそ、「効用」目当てで手を伸ばすと危ないのやも……と、朧げな輪郭を撫でるような気持ちで読んでた。サスサスサスサス…… 私の知らない生き方ながら、何か人の生き様への確かな讃歌を感じた一冊。
■はじめに この小説は、酒をやめたいのに、やめられない。回復はあっても、治癒はない。「依存の深淵」を、「その不安定さ」を、軽妙かつブラックユーモアを絶妙にまぶして描いた、僕的には中島らも文学の最高峰と思ってる大好きな小説。 コラムニストの故小田島隆は39歳の時になったアルコホーリック(アルコール依...続きを読む存性)の経験をもとに綴った『上を向いてアルコール』で、「アルコール依存症は治るのではなく、ただ転がる玉を止めているだけ」と…結論付けた。 初版は1994年なんで、31年ぶりに再読。あまりに時間が経ちすぎて、ほとんど初読気分で読み了えた。 登場人物との関わりの描写では、「あゝ、当時こんなインテリヤクザなおっさんがいたよなぁ…」と想起するやり取りに、当時はまだまだ鷹揚な時代でありました。 30年の時を超えて再読し終えた直後の感想は、「依存」と「人間」の本質に迫る、怖く優しい小説でありました。 ■4つの視点から見た読みどころ ①ドキュメンタリー的リアルさに満ちた小説 中島らもが描いたのは「飲まずにはいられない」という衝動の本質。物語は、主人公は中島らもを彷彿とする小島容の入院生活を軸に展開。断酒の辛さ・自己嫌悪・病院での人間模様・回復モード等…を淡々と綴りながら、いかにも中島らもと感じるブラックユーモアや皮肉が散りばめられている。 フィクションでありながら、アルコール依存症患者の心理や回復に向かう身体の変化が生々しく克明に描かれ、経験者でしか書けないノンフィクションのようで、その臨場感が生々しい。 ② 「治らない病」としてのアルコール依存症 印象的なのは、身体は治っても「心の依存」は決して消えないという描写。病院のベッドで酒を断つ日々。身体は回復しても、心の中の“酒の声”は消えない。「依存症は治るのではなく、ただ転がる玉を止めているだけ」 中島らもは、依存症を克服した“成功譚”として描くのではなく、酒を求める欲望の執念深さ・厄介さをむき出しにする。この「克服不可能性」の描写が依存の根深さを饒舌に語る。 ③中島らも自身の影とユーモア この小説を書かせたのは、何よりも中島らも自身が強度のアルコール依存に加え薬物依存に苦しんだ経験があるからこそ。自伝的小説ゆえ、そこには過剰な悲壮感はなく、担当医とのディベートに似た会話、院内の人間観察等が読者を重苦しさで押し潰さず、「軽やかさ」が作品全体を包む。それが依存症の根深さを際立たせている効果にもつながっているんではありますが。 ④30年後の現代にも響くテーマ 現代はアルコールだけでなく、SNSやギャンブル・ゲーム等、様々な「依存」が社会課題となっている。それだけに、この作品は、「依存の恐さ」「人はなぜやめられないのか」「かくも人間はもろいのか」という普遍的な問いを突きつけてくる。 僕自身も、毎日晩酌するだけに何度もドキッとするシーンに出会した。と書いときながら、この小説を居酒屋で読んでました。我ながら悪趣味ぶりに苦笑い…。 ■最後に 断酒の日々の向こうに潜むのは、「終わりなき欲求と脆い心の均衡」。アルコール依存症という「抜け出せない迷宮」を文学の光で照らし出した傑作。まさしく、文学は落語同様、業の肯定であります。 30年経ってもなお、肝臓と心臓を同時に締め付けられた一冊でありました。
憂さ晴らしで酒を飲むことがある人は必読。 連続飲酒で肝臓が大変なことになり入院した作者の体験を元にしたアル中小説。 酒の影響で肝臓にどうなり命を削ることになるのかが医学的な用語も出てきながら書かれている(ドラッグの名前もたくさん出てくる)。 しかし、啓蒙的な小説という訳ではなく、主人公と同病院に...続きを読む入院する患者の人間模様や命の不条理さが多く書かれている。人それぞれの人生のストーリーや向き合い方に主人公が触れていくことを通して読者である私がそれを追体験している感覚になった。 欠けた何かをアルコールで補うのか、別のピースを探すのか、自分自身にしかその選択はできないのだ。
どれだけ順風満帆の人生を歩もう、もしくはそれを期待されても、誰も将来を保証しない。本作の主人公が良い証左である。作品内において主人公が丁々発止の会話を主治医と繰り広げられているが、主人公に本人に嫌気があってもこの懐の深い主治医がいなければ本作品は成立しないだろう。 他にも本作品の人物はみな饒舌である...続きを読む。他人と雑談することが苦手が私のような孤独の中での精神病は本当に辛いものがある。
タイトルと表紙からは、とってもロマンチックなバーで出会う人々との交差が描かれているのかと勝手に想像。 実態は、全くと言って異なる中年男性のアルコール依存を巡るストーリー。 酔っ払うために飲んでいる自分と類似性を感じる。 依存のプロセスとして、これがなければ死んでしまうみたいなことではなく、極度の不安...続きを読むや緊張を覚えた時に「これがあれば何か変わるのではないか」と思考のプロセスに入り込んでくるというのが依存の始まりのようにおもえた。お酒やタバコを知る前は、何か悩みや苦悩に直面したところで、それを使用して逃避しようなどと思うことがなかったからである。 単調で短絡的に快楽を得ているようだが、それが人生を豊かにしているようにも思える。 主人公は中盤で、依存とは何かということについて、自問自答を繰り返す。暇な時間を有用に過ごせる教養があるものは、アル中やその他の依存症にならないのである、といっているのに対して冷や水をかけられたような気持ちになった。 私は、今仕事もなく、暇で昼から酒をのみ読書に耽っているからである。 人生はそんなものでいいのではないかとおもった。 アルコールを通じて当時の親友に出会い、妹に出会い、彼の人生は彩られたのである。 あと、心理学や精神分析学は科学であるのかという疑問に対して先生との対談が面白かった。地動説と天動説のように明確な真理がユングとフロイトの間には存在しない。 「いや、なるほど確かに!」という感じである。 数学的に自明なプロセスを人間社会に持ち込んだり、意味を追求しすぎるということは、生にとって不必要なことではないかと思う。 正直なところ、食って寝てセックスしてれば人間が途絶えることがないわけで、その中で何かを知りたいという知的好奇心が生物としての第四の欲求であり、それが人間が人間たる所以だと思うので、それを疑い始めたら何も信じられなくなってしまう。 何かに依存することや、その気持ちを解明したいと思う、プロセスは複雑でありながら人間としての本質なのではないかと思ってしまった。 中島らもの文章の、自虐的で刹那的な魅力の虜になってしまい、たくさん本買っちゃった!
面白かった!! お洒落なバーの話かと思ったら、アル中で死にそうになった男とそれを取り巻く病院関係者、友人、友人の家族の話。酒とは何か、なぜ人は酒を飲むのかについて考えたくなる。なので酒を全く飲まない人にはよくわからないかも? ウイスキー飲みながら読みたい小説。
著者の文章の上手さと教養の深さがひしひしと感じられる本。「なぜ酒を飲むのか」という話をここまで面白く深く書けるんだ…。
アルコール中毒という「問題」を考える時、酒を飲む、飲まないという自由意志と理性、ということに意識が行きがちであるが、どうしても飲んでしまう、自分自身の意思ではどうしようもない部分があるということを、当事者として深掘りしつつ、物語として結んでいるところが良い。
愛している人が好きだ言ったから
自分の好きな人が好きな小説家ということで、読んでみました。 ただひたすらにエモかったです。 刹那的な生き方、退廃的な生き方に対する葛藤と悦び、生と死の狭間で揺れる心の在り方などの描写がひたすらにリアルでした。
#エモい
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
今夜、すベてのバーで 〈新装版〉
新刊情報をお知らせします。
中島らも
フォロー機能について
「講談社文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
ガダラの豚 1
せんべろ探偵が行く
頭の中がカユいんだ
試し読み
アマニタ・パンセリナ
エキゾティカ
お父さんのバックドロップ
【合本版】ガダラの豚
「中島らも」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲今夜、すベてのバーで 〈新装版〉 ページトップヘ