この季節が嘘だとしても

富良野馨

芝居でいい筈なのに。
想いよ、現れないで。

京都の路地の奥。
古びた町家の店で。
「嘘」の名を借りて、その男に近づく。
この手で、殺すために。

文庫書下ろしミステリー

大丈夫、絵里ちゃん、仇は必ず取るから。
私刑を誓い、その男に近づく大学生の紗夜。
京都をめぐる季節の流れのなかで、やがて
彼女の胸の底から、何かが噴き上がり、こぼれ落ちていく。

笑わなくては。懐に入り込まなければ。
大学生の紗夜は、京都の三十三間堂に程近い路地奥の店『中国茶 龍王』に嘘の名を借りて通う。
同じ日に生まれ、同じ日に死んだ母達を持ち、姉妹同然に育った絵里ちゃんを、あの男が奪った。
だから、紗夜は復讐を遂げるのだ。
芳しい香り漂う新感覚ミステリー。

〈文庫書下ろし〉

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内ミステリー
• 出版社: 講談社
• 掲載誌・レーベル: 講談社文庫
• ページ数: 416ページ
• 電子版発売日: 2022年10月14日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 4MB

[ブクログ · ★★★☆☆]

タイトルや表紙、帯の文言だけで気になり購入。

文体は今風で読みやすく、その中でも京都の情景が鮮やかに描写されているのが印象的。
真相が全てわかったときはすっきりすると共にとてつもなく切なくなりました。

[ブクログ · ★★★★☆]

切なかったー。
紗夜の絵里を思うあまりのまっすぐな気持ちと、仇討ちをしようと思ってる相手への好意に気持ちがちぢれてくのが切なかった。
キシくんの境遇が辛すぎる。
龍王さんのような人に出会えて本当によかった。
実はキシくんは人違いで、龍王さんが絵里の相手だったら最悪だなと思ったけど、そんなことははく一安心だった。
希望の持てるラストで良かった。
早見は本当にクズで、私でも殺してやりたいと思うほどのやつたった。