歴史・時代小説作品一覧

  • 無根の樹
    4.5
    京都西町奉行所同心、榊玄一郎の元に、手下の小吉が現れた。堀川に相対死(心中)の水死体が上がったのだという。骸が発見された橋のたもとに向かった玄一郎だが、現場には西町奉行の侍医、久我島冬吾の姿があった。この医者は頼みもしないのに勝手に検分をして、同心たちとは全く違う見解を述べるので、評判はかなり悪い。しかも『相対死は三日間、四条河原に晒される』という法度があるにもかかわらず、久我島は玄一郎に、人助けと思って、心中である事実をもみ消せと言い出した。一体何が目的なのか!? しかしこの心中事件が市中を震撼させる事態へと発展していく──。
  • 十日えびす〈新装版〉
    4.5
    感涙必至―― ひとりは辛いけど私には分かり合える家族がいる。 泣いて笑ってささやかな明日の希望を願う 母と義娘の人情時代小説。 ――紆余曲折の末、幼馴染みの錺職人の後添えになった八重。やっとつかんだ幸せも束の間、夫が急逝し義理の子たちに家を追い出されてしまう。唯一、仲の良い義娘のおみちと小間物屋を始めるが、一難去ってまた一難、引っ越し先には岡っ引きも手を焼く猛女お熊がいたからたまらない。しかも、継子が無心に現れ……。ささやかな幸福を求めて泣き笑う人情時代小説の決定版。
  • 伊達の企て
    4.5
    独眼龍の野望。東北魂を見ろ! 陸奥・出羽(東北)連合軍を仕立て、日本全国を切り取ってやる! 一度目〈天正十八年(一五九〇)〉の夏は時間が足りなかった。二度目〈天正十八年(一五九〇)〉の冬に行った謀は失敗した。三度目〈慶長五年(一六〇〇)〉の正直。四度目〈慶長二十年(一六一五)〉の再挑戦は……。秀吉死後、関ヶ原前夜、政宗は家康に呼応し、山形の最上義光とともに会津の上杉謙信を攻め、上杉領の白石城を攻め落とした。しかし中央での東軍と西軍の争いは長期化するとみて、上杉と講和し、南の相馬、北の南部を攻める機会をうかがっていた。しかし、政宗の予想ははずれ、関ヶ原の戦いは一日で決してしまう。石田・徳川の思惑、上杉・最上との複雑な外交戦。秀吉、家康、時の政権を翻弄しながら、戦国の世をしたたかに生き抜いた伊達政宗の新たな人物像を巧緻な筆致で描く。書き下ろし歴史小説。 ※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
  • 決戦!忠臣蔵
    値引きあり
    4.5
    三百有余年、日本人が愛し涙を流し続けた続けた歴史物語『忠臣蔵』。多くの文学賞を受賞している歴史小説界の至宝とも言うべき作家たちが、日本最大の歴史サーガに挑む。傑作アンソロジーが待望の文庫化。
  • 東京彰義伝
    値引きあり
    4.5
    江戸城無血開城から上野戦争へ、江戸の庶民にとっていつから東京になったのか。明治維新の歴史からこぼれ落ちた秘められた恋の行方。
  • 江戸っ子出世侍 お目見得
    4.5
    花の吉原に派手な宴を愉しむ若造がいる。峰近香四郎を名乗るこの男、朝帰りでいかにも気楽な身分のようだが、その身は五百石の旗本家の侍であった。が、四男坊で部屋住の冷飯食い。剣術の腕は優れていながらも、将来への望みは途方もなく薄かった……。そんな香四郎に運が向いてくる。御家人ながら当主として入婿する話が舞い降りたのだ。しかも目付心得を拝命、武州葛飾郡への巡検という御役まで頂戴する。意気軒昂に旅立つ香四郎。ところが任地で大事件に巻き込まれる。果ては、生か死か──!?宿命を呪う香四郎であったが、江戸へ戻され、想像を絶する人物と対面することに!出世への道は続くのか。型破りの江戸っ子侍が剣を握り、自らの命運を斬り開いてゆく!!
  • とむらい屋颯太
    4.5
    弔いは、亡くなった者のためにするんじゃない。 遺された者のためにするんだ! 死を蔑ろにするということは、 生を蔑ろにするということだ。 (本書解説より) 文芸評論家 北上次郎 「人の死で飯を食う。それがあっしの生業」 新鳥越町二丁目に「とむらい屋」はある。 葬儀の段取りをする颯太、死化粧を施すおちえ、渡りの坊主の道俊。 時に水死体が苦手な医者巧先生や奉行所の韮崎宗十郎の力を借りながらも、 色恋心中、幼なじみの死、赤ん坊の死と様々な別れに向き合う。 十一歳の時、弔いを生業にすると心に決めた颯太。 そのきっかけとなった出来事とは――。 江戸時代のおくりびとたちを鮮烈に描いた心打つ物語。 【とむらい屋で働く人々と仲間たち】 颯太:新鳥越町二丁目の葬儀屋の店主。十一歳で葬儀屋になると決める おちえ:母を颯太に弔ってもらって以降居座るおせっかい 勝蔵:早桶職人。初めての棺桶は妻のものだった 道俊:寺に属さない渡りの坊主 巧重三郎:水死体を見るのが苦手な医者 韮崎宗十郎:南町奉行所の定町廻り同心 【目次】 第一章 赤茶のしごき 第二章 幼なじみ 第三章 へその緒 第四章 儒者ふたり 第五章 三つの殻 第六章 火屋の華 解 説 北上次郎
  • 若鷹武芸帖
    4.5
    小姓組番衆を務める若き旗本、新宮鷹之介に、将軍家斉から「滅びゆく武芸流派を調べよ」と、武芸帖編纂所の頭取につくよう命が下る。鷹之介には助っ人がつけられたが、飲んだくれの柳生新陰流の遣い手に、不器用すぎる円明流の達人と、癖のある剣客ばかり。武芸帖編纂手始めの流派は幻の手裏剣術。その遣い手に辿り着けるのか。笑いあり涙ありの傑作シリーズ開幕!
  • 芽吹長屋仕合せ帖 日照雨(新潮文庫)
    4.5
    三十代のおえんは独り長屋で暮ら しながら〈縁結び〉の仕事をして いる。評判はよいがいささか難し い話も舞い込んで……。息子を一 人で育てる女の縁をとりもつ「結 び観音」。腕のいい魚売りがなぜ か縁談に尻ごみする訳とは(「鯛 の祝い」)。他、「神かけて」「夕 明かり」「余寒」表題作の全六編。 人の営みの陰影を〈ご縁の糸〉が 浮かび上がらせ、照る日曇る日の 心の機微をしみじみ描く時代小説。 (解説・大矢博子)
  • くらがり同心裁許帳(一)精選版
    4.5
    「くらがりに落ちた」。解決できなかった事件を奉行所ではそう言う。それらの事件を書き留めておくのが、南町奉行所永尋書留役である角野忠兵衛の役目。奉行所の角に忘れ去られた事件を、地道な探索でくらがりから引きずりだす忠兵衛を、仲間の同心はいつしか“くらがり同心”と呼ぶ――。窓際同心の人情味溢れる活躍を描いた人気シリーズから、著者自ら厳選した「精選版」!
  • 賤ヶ岳の鬼
    4.5
    柴田勝家の甥にして、鬼玄蕃の異名を持つ猛将・佐久間盛政。戦に幾度敗れても折れぬこの男を、信長は「諦めの悪い奴」と称した。柴田側として参戦した賤ヶ岳の緒戦では羽柴軍に大勝するも、やがて秀吉の調略により形勢は逆転。誰もが敗北を覚悟する中、盛政の眼だけはまだ死んでいなかった――。「戦国一諦めの悪い男」の鮮烈なる生き様!
  • 家康謀殺
    4.5
    天下の簒奪を企む徳川家康は、豊臣家を滅ぼすべく大坂城攻略に乗り出した。出陣の前日、伊賀者の吉蔵は警固隊長から、輿かきの中に刺客が紛れ込んでいると知らされる。大御所様の命は、そなたに懸かっている。吉蔵は紛れ込んだ刺客を見破り、家康を守り抜くことができるのか。桶狭間から大坂の陣まで、手に汗握る情報戦を網羅した、鬼気迫る合戦連作集。悪魔の石を巡る攻防を描いた短編「ルシファー・ストーン」特別収録!
  • 隠居すごろく
    4.5
    ※本書は、角川書店単行本『隠居すごろく』を文庫化した作品となります。重複購入にご注意ください。 巣鴨で六代続く糸問屋の主人を務めた徳兵衛。還暦を機に引退し、悠々自適な隠居生活を楽しもうとしていたが、孫の千代太が訪れたことで人生第二のすごろくが動き始めた……。心温まる人情時代小説!
  • 戦神の裔
    4.5
    何者でもない己を変えるため、越えねばならぬ壁ならば越えてみせる! 幼き頃に平氏に家族を殺され、自由を奪われた源九郎義経。「平氏以外は人ではない」という世の中に強い怒りを覚えるも、兵の一人も持たない無力さを痛感していた。弁慶、佐藤兄弟、伊勢三郎――九郎の元に集う郎党たちも、己の境遇を恨む者ばかり。やがて訪れた挙兵の時。獣すら降りられぬ鵯越の崖の上で、男たちの叛逆心が燃え上がる。
  • 冲方丁歴史小説4作品試し読み合本(『天地明察』『光圀伝』『はなとゆめ』『麒麟児』)
    無料あり
    4.5
    『天地明察』から『麒麟児』までの冲方歴史長編4作品、合計400ページ超(紙本換算)を収めた試し読み合本! 【収録作品】 『天地明察』 徳川四代将軍家綱の治世、あるプロジェクトが立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く。日本文化を変えた大計画を瑞々しくも重厚に描く傑作歴史小説。 『光圀伝』 なぜ「あの男」を殺めることになったのか。老齢の水戸光圀はその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に壮絶な「試練」を与えられた幼少期。「傾奇者」として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き「虎」は「大日本史」編纂という大事業に乗り出す。誰も見たこともない「水戸黄門」伝、開幕。 『はなとゆめ』 28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言は宮中での存在感を強める。しかし、権力を掌握せんとする藤原道長と定子の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説! 『麒麟児』 慶応四年三月。鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は、徳川追討令を受け、江戸に迫りつつあった。軍事取扱の勝海舟は徳川家を守るべく、決死の策を練る。五万の大軍を率いる西郷隆盛との和議交渉に全てを賭けて――。 幕末最大の転換点「江戸無血開城」。命を賭して成し遂げた二人の“麒麟児”の覚悟と決断を描く、著者渾身の歴史長編。
  • 家康の子
    4.5
    偉大な父をいつか超えてみせる――。徳川家康の子の生まれ、11歳で人質として豊臣秀吉の養子となった於義丸は、天下人と父との狭間で、自らの使命を見いだしていく。新田次郎文学賞・中山義秀文学賞受賞作家による、福井藩祖・結城秀康の波瀾万丈の生涯を描く歴史巨編。
  • 色仏
    4.5
    江戸末期の京都。僧になるため上京した烏(からす)は、ある女に出会い仏の道を捨て、観音像を彫り始める……著者初の時代小説。 解説・雨宮由希夫 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 影ぞ恋しき 上
    4.5
    夫婦の絆、親子の情愛。 葉室麟渾身の長編小説。 吉良上野介の孫娘・香也を養女に した雨宮蔵人と咲弥夫婦のもとに信州諏訪から密使の冬木清四郎が。 かの地に配流された上野介の息子・ 義周が香也に一目会いたいというのだ。 諏訪に出向いた一家は、死期迫る義周に清四郎と香也の婚儀を迫られ、承諾してしまう。 時は綱吉治世の末期。一家は再び天下の政争に巻き込まれることに。 ※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 幕末 暗殺!
    4.5
    定説は覆されるのか? 真犯人の驚きの動機とは? 幕末の江戸で、京で、多くの命が刺客によって闇に葬られた。暗殺――。彼らはなぜ殺されなければならなかったのか。血塗られた歴史の暗がりに、7人の作家が、想像力と推理と筆で光を当てる。実力派たちが江戸末期の政局の暗部に斬り込んだ、大好評オリジナル競作アンソロジー。   谷津矢車×桜田門外の変◆「竹とんぼの群青」 早見俊×塙忠宝暗殺◆「刺客 伊藤博文」 新美健×清河八郎暗殺◆「欺きの士道」 鈴木英治×佐久間象山暗殺◆「血腥き風」 誉田龍一×坂本龍馬暗殺◆「天が遣わせし男」 秋山香乃×油小路の変◆「裏切り者」 神家正成×孝明天皇毒殺◆「明治の石」
  • 100%ムックシリーズ 完全ガイドシリーズ310 渋沢栄一完全ガイド
    4.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 2021年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公 日本の資本主義の基礎を作った渋沢栄一のすべてがわかる! 本ムックでは、時代背景・出来事・関係人物・功績など 全方位から渋沢栄一を徹底解説します。 総力特集は「渋沢栄一の真実100」と題して、500もの企業の設立や経営に関与し、 日本の資本主義の礎を作った渋沢栄一の功績だけでなく、 「坂本龍馬が生きていたら最大のライバル!?」「西郷隆盛が渋沢に怒られた」 などの人となりや知られざるエピソードまでを網羅。 幕末の志士だった20代、実業家に転身した30代など、さまざまな顔がわかります。 また、特別企画として、渋沢栄一の考えや珠玉の名言をまとめた著書であり いまなおビジネスマンに読み継がれる『論語と算盤』を漫画で超訳解説。 幕末・明治・大正・昭和を生きた91年の生涯の偉業が一目でわかる 特製ピンナップ付きです。
  • 殉教者
    4.5
    1614年、2代将軍徳川秀忠がキリシタン禁教令を発布した。キリシタンへの迫害、拷問、殺戮が頻発し、岐部は殉教者の記録を集める。翌年、28歳の岐部はエスパニア人修道士と共に長崎から船出、40日の航海の後にマニラ港に着く。そこで入手した地図には、双六のように、マニラを振り出しに、マカオ、マラッカ、コーチン、ゴア、ポルトガルの要塞のあるホルムズ島、さらにペルシャ砂漠、シリア砂漠、遂にはエルサレムに到達する道筋がこまかく描かれていた。岐部は自らの信仰を強くすることと、イエスの苦難を追体験することを思い、胸を躍らせた。 ペトロ岐部は1587年に豊後の国東半島で生まれ、熱心なキリシタンの父母の元で育つ。13歳の時に一家は長崎に移り、岐部はセミナリオに入学を許される。ここでラテン語を習得し、聖地エルサレムと大都ローマを訪れることを強く決意する。 次に訪れたマカオでは差別に耐えながら志を貫き、何とか旅費を工面して、ミゲルと小西という二人の日本人とともに海路、インドのゴアに向かう。ゴアからローマに向かう船に乗る二人と別れた岐部は、水夫として働きながらホルムズ島に向い、そこからは駱駝の隊商で働き砂漠を通ってエルサレムを目指す。 1619年、岐部はついに聖地エルサレムの地を踏む。そこから徒歩で、イスタンブール、ベオグラード、ザグレブを経て、ヴェネツィアに。祖国を出て5年、岐部はついにローマにたどり着いた。海路で1万4500キロ、徒歩で3万8000キロ。乞食のような身なりの岐部に施しをしようとした神父が、流暢なラテン語で話す岐部に驚き、イエズス会の宿泊所に案内される。そこで岐部は、4日間にわたる試験を受け合格、イエズス会への入会を許された。 ローマとリスボンで2年間の修練を経て、帰国の許可を得た岐部は、キリシタン弾圧の荒れ狂う日本に向けて殉教の旅路についた。 信仰に生きた男の苛酷な生涯が荒廃した現代を照らす、著者渾身の書下ろし長篇小説。
  • 三国志名臣列伝 後漢篇
    4.5
    後漢という時代は、ひとの美質のなかで、「孝心(親孝行)」を至上とした。 能力よりも徳を重視し、頭脳よりも心を尊重する国家がつくられた。 184年に始まった「黄巾の乱」により、王朝の礎が揺らぐ中、 後漢の理想を体現する名臣たちが輩出する。 大将軍の何進、 劉備の師である盧植、 曹操を支えた荀彧など7人を描く、宮城谷昌光の「三国志」シリーズ。 解説・湯川豊 目次 何進(かしん) 朱儁(しゅしゅん) 王允(おういん) 慮植(ろしょく) 孔融(こうゆう) 皇甫嵩(こうほすう) 荀彧(じゅんいく) ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 火喰鳥――羽州ぼろ鳶組
    4.5
    かつて、江戸随一と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾。別名、「火喰鳥」――。しかし、五年前の火事が原因で、今は妻の深雪と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶」と揶揄される火消たちを率い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。
  • 悪左府の女
    4.5
    悪左府・藤原頼長から女官に下された密命とは? 平安ピカレスク小説誕生! 平安時代の末、藤原の氏の長者・藤原頼長は冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」というという異名で呼ばれていた。 己の権力争いの道具として頼長が目を付けたのは、下級貴族の娘だった。 琵琶の名手である娘は下された密命のため帝の傍に送り込まれる。 時代の変わり目に彼女が見たものとは。 謎とスリルに満ちた長篇宮廷小説。 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年6月9日に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 童の神
    4.5
    「世を、人の心を変えるのだ」「人をあきらめない。それが我々の戦いだ」――平安時代「童」と呼ばれる者たちがいた。彼らは鬼、土蜘蛛……などの恐ろしげな名で呼ばれ、京人(みやこびと)から蔑まれていた。一方、安倍晴明が空前絶後の凶事と断じた日食の最中に、越後で生まれた桜暁丸は、父と故郷を奪った京人に復讐を誓っていた。そして遂に桜暁丸は、童たちと共に朝廷軍に決死の戦いを挑むが――。差別なき世を熱望し、散っていった者たちへの、祈りの詩。 第10回角川春樹小説賞(選考委員 北方謙三、今野敏、角川春樹 大激賞)受賞作にして、第160回直木賞候補作。
  • 燃えよ剣
    4.5
    司馬遼太郎による国民的ベストセラー、映像化に合わせて待望の新装版刊行。 俺は今日から武士になる――。 佐幕派と倒幕派が対立する幕末の激動期。 武州多摩のバラガキだった土方歳三は、近藤勇、沖田総司らとともに、 幕府徴募の浪士組にまじって、京へ向かう。 京都守護職御預の名のもと、「新選組」を結成。 副長・土方は厳しい局中法度を定め、類のない苛烈な軍事集団を創り上げ、 池田屋事件などで、世にその名を轟かせていく――。 しかし、薩長同盟成立で、時流は一気に倒幕へ。 土方は最後まで激しく抵抗、夢と信念を貫き、江戸、会津、箱館へ向かう。 稀代の男の生涯を巧みな物語展開で描いた、傑作長編。 〈名著が一冊で読める、大変お得な決定版!〉 司馬さんによる「あとがき」、原田眞人監督による特別寄稿「そびえ立つ歴史的遺産『燃えよ剣』を映画化して」を収録。 ※本書は、一九九八年九月に刊行されたノベルス判の新装版です。
  • 江戸城の宮廷政治 熊本藩細川忠興・忠利父子の往復書状
    4.5
    幕藩体制が整う寛永時代までは、江戸城大広間は、大名みずからが命運をかけてたたかう戦場でもあった。現代日本の政治風土をつくった江戸時代初期の権力抗争を、熊本藩の細川忠興・忠利父子の残した膨大な往復書簡から解読する、歴史ノンフィクション。『江戸お留守居役の日記』の気鋭の歴史学者が放つ傑作。室町時代から現代まで、細川家繁栄の謎にせまる!
  • 駒姫―三条河原異聞―(新潮文庫)
    4.5
    山形十九万石を治める最上義光の愛娘で東国一の美少女と称される駒姫は、弱冠十五歳にして関白秀次のもとへ嫁ぐこととなった。が、秀次は太閤秀吉に謀反を疑われて自死。遺された妻子には非情極まる「三十九人全員斬殺」が宣告された。危機迫る中でも己を律し義を失わない駒姫と、幼き姫に寄り添う侍女おこちゃ。最上の男衆は狂気の天下人から愛する者を奪還できるか。手に汗握る歴史小説!(解説・縄田一男)
  • 左近 浪華の事件帳 : 1 遠き祈り〈新装版〉
    4.5
    千年の時を超え、古の帝からの密命を守り続けてきた〈在天別流〉。その闇の組織に属し、大坂の町と人を守るその使命に命を賭ける、若き美剣士・東儀左近の活躍を描く、書き下ろし長編時代小説の新シリーズ。舞台は、NHKの土曜連続ドラマで放送され好評を博した「浪花の華 緒方洪庵事件帳」の二年前となる。
  • 戦国を斬る
    4.5
    多々良一学は、慶長・元和の戦国豪傑の気風を残す、武辺者だった。しかし、戦国の気風が色あせた寛永の今、この男は、周囲に、はなはだ迷惑な男であった。強姦同然で妻とされたおくにの苦労も、人一倍。そんな一学が、今度は主君のあとを追って、切腹! 「武士道友情」の悲哀と奇妙さを描き出す、絶品の表題作ほか、7編の秀作を収録。
  • うろこ雲 決定版~研ぎ師人情始末(三)~
    4.5
    研ぎ師・荒金菊之助の裏店に越してきた伊佐次が襲われた。伊佐次は騙されて詐欺の片棒を担いだのだが、大金を持ち逃げした一味に狙われたのだった。同情した菊之助は伊佐次を匿うが、伊佐次の身請け人・喜兵衛が斬殺された。菊之助は、従兄弟の南町奉行所臨時廻り同心・横山秀蔵と一味の捕縛に乗り出すが……。人気時代作家・稲葉稔の原点シリーズ決定版第三弾。
  • 大沼ワルツ
    4.5
    奇跡の三夫婦が奏でた大恋愛と大家族の物語。 明治時代に、北海道・大沼を開拓した者たちの係留として、大沼の地で自分たちらしく根を張ろうとした小さな母と長身の三兄弟。また、この地を新天地と考えて、第二次大戦後、山梨より順に嫁いでいくことになる、個性溢れる三姉妹。この大家族は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。そして、母の死に際に、三夫婦に明かされた謎とは? 北海道を舞台に、数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話をもとにした感動長篇。 ※本書は過去に単行本版として配信された『大沼ワルツ』の文庫版です。
  • 京都見廻組
    4.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 坂本龍馬暗殺の実行犯、謎多き見廻組の正体を鬼才が解剖する! 京都見廻組の史料はほとんど残されていない。四百名近くの組士を擁する組織であったにも関わらず、佐々木只三郎や今井信郎、桂早之助など、龍馬暗殺に関わった人物たちの履歴が僅かに伝えられるだけで、大部の研究書はなく、活動の詳細も分っていない。本書は、今に遺される写真や肖像画を手がかりに、「歴画」という独自の手法で幕末の景色を描き続けてきた黒鉄氏が、限られた史料の点と点を結び、見廻組という集団の実態に迫るもの。貴賎老少に関わらず召し抱えられた新選組。一方、旗本・御家人で組織された京都見廻組。同じ京の治安部隊として作られた二つの組織を比較しながら、幕末という特異な時代に若いエネルギーを費やした者たちの運命を、ときにコミカルに、ときにシュールに描き出していく。見廻組をはじめて俯瞰的に捉える意欲作であり、黒鉄歴画の新たな挑戦である。
  • 奇跡の駆逐艦「雪風」 太平洋戦争を戦い抜いた不沈の航跡
    4.5
    太平洋戦争中、どんなに激しい海戦でも必ず生き残って帰投し、“奇跡の駆逐艦”と謳われた「雪風」。緒戦のスラバヤ沖海戦から第三次ソロモン海戦、ガダルカナル撤収作戦、レイテ沖海戦と数々の修羅場を潜り抜け、戦艦「大和」の沖縄特攻作戦からも生還した“不沈の航跡”は名高い。その強運から“神宿る”と呼ばれた「雪風」を舞台に、二百余名の乗員たちの激闘のドラマを描く!
  • 戦国はるかなれど(上)~堀尾吉晴の生涯~
    4.5
    戦国の世、尾張の国に生まれた堀尾吉晴は、秀吉と出会い、頭角を現し、幾多の戦いに参加。信長からも「わが者ぞ」と呼ばれる存在となる。秀吉の軍師・竹中半兵衛、尼子家再興を目指す山中鹿之介らとの出会いを通して「治国平天下」を志す武人となった吉晴は、鳥取城、備中高松城などの戦いで、優れた交渉人としての活躍も見せる。歴史に埋もれた名将を描いた超大作!
  • 天空の城 竹田城最後の城主 赤松広英
    4.5
    雲海に浮かぶ姿から「天空の城」と呼ばれる竹田城。現在は石垣とわずかな遺構を残すのみだが、この城を完成させたのは赤松広英という武将だった。名門の家に生まれ、少年時代に家督を継いで以来、信長、秀吉、家康と続く戦乱の世を全力で生きた。その真摯な人柄ゆえ領民に愛されるも、三十九歳の若さでこの世を去った。あまり知られていない赤松広英の生涯を丹念に描きだした長編歴史小説。
  • 天文方・伊能忠敬 出奔
    4.5
    幼い頃から謎解きを得意とする三治郎(後の伊能忠敬)は、酒造家の伊能家に婿養子に入った。着実に家業を伸ばし続ける一方で、伊能家に伝わる測量術を元に、全国の測量に旅立った。しかし、その最中、さまざまな事件に巻き込まれ……。書き下ろし新シリーズ。
  • 総司の夢
    4.5
    俺はね、夢を見たことがないんです。新選組一番隊組長・沖田総司。江戸の一道場の塾頭だった若者は、時代の急流の中で京に上り、幕末随一の剣士となっていく。仲間と語らい、笑い、涙し、人を斬る。なぜ俺は人斬りなのか。自らに問いながら、沖田は最強の男――鬼の正体を探す。著者渾身の、沖田一代記。
  • 疾れ、新蔵
    4.5
    越後岩船藩の江戸中屋敷に新蔵は疾(はし)る。十歳の志保姫を国許に連れ戻すために。街道筋には見張りがいる。巡礼の親子に扮し、旅が始まった。逃走劇の根底には江戸表と国許の確執があった。間道を選んで進む道中に追っ手は翻弄される。ところが新たな追っ手が行手を阻み、山火事が迫る中、強敵との死闘が待つ。姫を連れて戻れるのか? 冒険小説の旗手シミタツならではの痛快時代エンタメ長篇!
  • のっぺら~あやかし同心捕物控~
    4.5
    南町奉行所定町廻り同心の柏木千太郎は、腕が立ち情に篤く正義感にあふれた江戸の人気者。――ところが、一つだけ変わったところが。彼には、顔がない。つまり、のっぺらぼうなのだ! 不器用だが心優しい同僚の片桐正悟や、千太郎を慕う下っ引きの伊助らとともに、数々の不思議な事件の解決に奔走する。笑えて泣けて癒やされる、傑作あやかし時代劇の第一幕、開幕です!
  • 裏関ヶ原
    4.5
    あの日、それぞれの「関ヶ原」があった。黒田如水佐竹義宣細川幽斎真田昌幸最上義光織田秀信東軍と西軍、徳川と豊臣などではない。ただ、己の「家」の意地と志をもって、全国で戦った武将たちの関ヶ原を描いた物語。
  • 見届け人秋月伊織事件帖 全8冊合本版
    4.5
    江戸・旅籠町の古本屋「だるま屋」に集まる、様々な風聞。噂の出所や行く末を追って、旗本の次男坊・秋月伊織が見届ける、涙を誘う人間模様。"書下ろし時代小説の女王"がおくる人情溢れる人気シリーズが、合本版で登場!
  • 江戸を造った男<文庫版>
    4.5
    伊勢の貧農に生まれた七兵衛(後の河村瑞賢)は江戸に出て、 苦労の末に材木屋を営むようになり、明暦3(1657)年、 明暦の大火の折に材木を買い占めて莫大な利益を得る。 やがて幕府老中の知遇をえて幕府の公共事業に関わっていく。 日本列島の東廻航路・西廻航路の整備や 全国各地で治水・灌漑・鉱山採掘などの事業を手がけ、 その知恵と胆力で次々と難題を解決していく。 新井白石をして、「天下に並ぶ者がない富商」と賞賛された男の波瀾万丈の一代記。 2018年は河村瑞賢生誕400年。 ビジネスパーソン必読の長編時代小説。
  • 雑賀六字の城
    4.5
    負ければ皆殺し。生きのこりをかけた戦いがはじまった! 元亀元(1570)年9月。大坂石山本願寺から反信長の檄文が各地に発せられ、紀州雑賀の荘も立ち上がった。得意の海上船や銃撃戦で抵抗する雑賀衆に、信長は圧倒的な軍兵をもってひねりつぶしにかかる。雑賀衆頭領の息子・七郎丸は、将来を約した幼馴染おみつを想いながら銃弾と血風のなかで成長していく。
  • 盡忠報国 岳飛伝・大水滸読本
    4.5
    執筆開始より17年の時を経て完結した北方大水滸伝、全51巻。『替天行道』、『吹毛剣』に続く、本シリーズの読本としては3冊目。今回はWeb限定で公開されていた登場人物たちと北方謙三が邂逅する掌編「やつら」や、小説すばる連載時に毎回書き連ねられたオリジナルの漢詩、著名人たちとの熱い対談や、恒例の編集者からの手紙、いのうえさきこによる漫画「圧縮大水滸伝」も収録。内容充実のオリジナル文庫。
  • お登勢
    4.5
    淡路島の貧農の娘・お登勢は、徳島藩の家臣・加納家に奉公に出た。そこで陪臣・本田貢に惹かれるが、加納家嫡男に恋慕される。分藩運動に起因する稲田騒動や北海道・静内への移住を背景に、幕末から明治にかけての波乱の時代、愛を貫き、修羅場をくぐり、大地に生きる"永遠の女性像"を描いた、長編歴史ロマンの傑作。沢口靖子主演で、NHK連続ドラマ化された感動作。
  • 無双の拝領剣 巡見使新九郎
    4.5
    「新九郎、余の名代になってくれ」──八代将軍吉宗に突如呼び出され、こう告げられたのは、日本橋は浮世小路の風来坊であった。だがこの新九郎、実は旗本寄合席で、北町奉行稲生正武の次男坊という身。家を飛び出し、側用人加納久通の屋敷へ出入りする内、将軍家と昵懇になっていた。吉宗は、人を見る目が長けていると評する新九郎に、「巡見使として諸国を巡り、改革の成果を見て来てくれ」と、懇願したのである。一命を懸けて上様の力となる、と決意した新九郎は江戸を出立。川村源右衛門、篝、三浦左平次の三人の供と中山道の旅人となる。腰に差すは、吉宗から拝領した小龍景光……。天下御免の若き巡見使は、魂が怒りに震えたならばこの名刀を翳そうと奮い立ち、颯爽と悪に立ち向かう!
  • 大ぼら吹きの城
    4.5
    出世のために、信長の無理難題を乗り越えろ! 今川義元率いる軍勢が、三河から尾張へと侵攻せんとする頃。小者頭の藤吉郎は、清洲城で見かけた美しい娘に、身分も顧みず求婚していた。 浅野又右衛門の養女・於禰に、「儂は天下人になる男じゃ!」と吠えてみたものの、にべもなく振られる始末。 今川との戦いに際し、織田信長に同道するが、出世はなかなか見込めない。 だが、西美濃侵攻に際し、信長から木曽川の川筋衆の主・蜂須賀小六の調略を命じられる。 川筋衆を味方につければ、犬山城攻略は圧倒的有利に運ぶ。 千載一遇の機会を得た藤吉郎は、小六の許へ乗り込むが、信長を嫌う小六は一筋縄ではいかなかった──。
  • 服装で楽しむ源氏物語
    4.5
    光源氏と女人たちが織り成す恋の絵巻、『源氏物語』。この名作の魅力は千年を経ても色褪せず、大学の講義やカルチャーセンターの講座は、いつも満員だという。本書は、多くの人々を魅了する、その華麗で雅な世界を「服装」という視点で味わう異色作である。性格、身分から美的感覚、深層心理まで、個性豊かな登場人物たちの素顔と魅力が、身にまとった衣装から明らかになる。紫の上が六条院の衣配りで明石の上に嫉妬したのはなぜか? 空蝉の「小袿」に隠された秘密とは? 女三の宮の運命を変えた「桜の細長」が意味するもの。夕顔が人違いした理由とは……など、衣装の謎解きをしながら、王朝人の美意識とエロティシズムに迫る! また、十二単といわれる女装束や、直衣・束帯など男君の装束の構成をイラストとともに詳しく解説するなど、興味深い話題を満載。当時の装束のイメージを再現した艶やかなカラー口絵つき。『服装から見た源氏物語』を改題。
  • 維新と戦った男 大鳥圭介(新潮文庫)
    4.5
    われ、薩長の明治に恭順せず――。幕府歩兵奉行・大鳥圭介は異色の幕臣だった。全身にみなぎる反骨の気概、若き日に適塾で身に着けた合理的知性、そしてフランス式軍学の圧倒的知識。大政奉還後、右往左往する朋輩を横目に、江戸から五稜郭まで戦っていく。勝海舟や土方歳三に信頼された大鳥は、なぜ戦い続け、何を信じていたのか。武士の最後の戦を描ききる傑作長編。『死んでたまるか』改題。
  • 縄文土器・土偶
    値引きあり
    4.5
    縄文人はどんな人たちだったのか? その謎を解く鍵は、彼らが使った道具にあった! 日本各地でつくられた土器・土偶。その造形は摩訶不思議で奇天烈だが、意表を突く原始的な力強さを持つ。火焔土器、ミミズクやハート形の土偶などから、自然と共存した生活や交流・精神世界までもが見えてくる。縄文の主要な作品をカラー写真と最新の科学的知見を盛り込んだ解説で紹介。縄文時代の国宝全6点を含む図版 100 点超えの入門書の決定版。
  • ひとり白虎 会津から長州へ
    4.5
    戊辰戦争に参戦した会津藩白虎隊士・飯沼貞吉。仲間達と自刃したが、唯ひとり蘇生する。江戸の謹慎所で、生き残りと謗りを受ける貞吉に、捕虜受け取り責任者楢崎頼三が、自分の故郷長州へ行こうと誘う。会津を失った貞吉は、敵だった長州へ楢崎と旅立つが……。異郷でもがき苦しみながらも、恩愛を知り、明治の日本人として誇り高く生きた実在の男の波乱の生涯。幕末維新に新しい光を当てる傑作歴史小説。
  • 弾正星
    4.5
    心蕩かす悪の爽快感! 花村時代小説の至宝。 時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くある三好家の屋敷に、その男松永久秀はいた。得体の知れぬ出自でありながら、茶の湯に通じ、右筆として仕える野心家である。気に食わぬ者は容赦なく首を刎ね、殺害した女を姦通し、権謀術数を駆使して戦国大名へと成り上がっていく。さらには将軍足利義輝を斃し、東大寺大仏殿を焼き討ちにしてしまう。信長ですら畏れた稀代の怪人・松永弾正を突き動かすものは、野望かそれとも……!?  戦国時代を彗星のように駆け抜けた武将の生きざま・死にざまを、「弟」として仕えた丹野蘭十郎の眼を通して活写する。 芥川賞作家・花村萬月氏が戦国時代を舞台に「悪とは何か」を問う新感覚時代小説。皮膚感覚を狂わせる暴力に戦慄を覚え、匂い立つようなエロスに耽溺する物語世界はますます磨かれ、かつまた、悪業の限りを尽くす主人公を愛嬌たっぷりに描き、読了後に寂寥感すら抱かせる筆運びは圧巻です。「突き抜ける悪の爽快感」はまさに花村時代小説の至宝といえます。 単行本が発売された2014年には、「この時代小説がすごい! 2015年版」で4位に、また、週刊朝日の「決定! 歴史・時代小説ベスト10」で3位にランクインしました。 カバーイラストは人気イラストレーター・寺田克也氏です。
  • 王家の風日
    4.5
    商の紂王に仕える箕子は、王朝存続に心を砕くが、周の太公望が遂に商討伐の軍をおこした。古代中国商王朝の滅亡を描く一大叙事詩。 歴史小説家・宮城谷昌光の実質的デビュー作! 六百年に及ぶ栄華を誇る古代中国商(殷)王朝の宰相箕子は、新興国周の勢力に押されて危殆に瀕した王朝を救うため死力を尽す。 希代の名政治家箕子の思想を縦糸に、殷の紂王、周の文王、妲己、太公望など史上名高い暴君、名君、妖婦、名臣の実像を横糸にして、古代中国王朝の興亡を鮮かに甦らせた長篇歴史ロマン。 それまで活動してきた純文学系同人雑誌が終刊することになり、作家としての岐路に立った宮城谷氏が、以前から興味のあった中国の歴史に材を取り、限定500部の私家版で刊行。 そのうちの1部が司馬遼太郎氏の目にとまり、励ましの葉書を受け取る。 その後、名古屋の海越出版社から刊行され、94年3月に文春文庫化。 解説・平尾隆弘
  • 武揚伝 決定版(上)
    4.5
    本書は21世紀に入って刊行された最も優れた歴史小説であり、一人の作家が生涯に一度書けるかどうかというほどの名作である。 ――縄田一男(日本経済新聞書評より) 黒船来航に揺れる幕末。榎本釜次郎(武揚)は、幕府要人の蝦夷地視察に随行した後、新設の海軍伝習所に入所。操船、蒸気機関等の技術や語学を研鑽し、オランダ留学を果たす。欧州の地で近代国家間の戦争を目の当たりにした釜次郎は、日の本と隔絶する列強諸国の有り様に驚愕する――。 新田次郎文学賞受賞作を全面改稿した決定版!
  • 新版 落語の名作 あらすじ100
    4.5
    今、空前の落語ブームを受けて緊急新版! 人気の超定番噺から大ネタまで、ジャンル別にコンパクトに網羅しました。市井の人々の生活や人情の機微、さまざまな笑いなど、古典落語の面白さ、奥深さがよくわかる一冊です。時代を超えて愛され続けてきた古典落語の魅力がたっぷり。寄席や落語会に行く前の予習本としてもご活用ください。 今、江戸時代以来の落語ブームだといわれています。本書に収録されている古典落語の100席は、落語界の重鎮、十一代目 金原亭馬生師匠と神保町「落語カフェ」主宰の青木伸広氏が厳選しました。また、色気を感じる素敵なカバーの装画は、落語を素材とした漫画も描かれている人気漫画家、西炯子先生の作品です。もっと落語を楽しむために最適の一冊。そのまま覚えれば、あなたも落語家デビュー!?
  • 正妻 慶喜と美賀子(上)
    4.5
    幕府と朝廷の関係にも動乱の機運が高まる十五代家慶の治世。一条家の美しき姫美賀子は、英邁の噂轟く一橋慶喜に嫁いだ。「わしはどんなことがあっても将軍になどならぬ」信念を曲げない夫の奇矯な振る舞いに翻弄される美賀子は、ある哀しい決意を抱く。幕末の新たな一面を描ききる、傑作大河小説を文庫化!
  • はぐれ十左御用帳 卍の証
    4.5
    老中・松平定信は、御台所・篤姫から呼び出しを受け、最近、将軍・家斉の様子がおかしいと相談をされた。彼は腹心の部下である北町奉行所の隠密廻り同心・鏑木十左に探索を命じる。早速、大奥に潜入した十左は、家斉を誑かそうとする女中を見つけ、追い詰めた。しかし自害されてしまい、手がかりが消えたかに見えたが、その女の身体には…。シリーズ第八弾。
  • 夜叉萬同心 冥途の別れ橋
    4.5
    北町奉行所の隠密廻り方同心・萬七蔵は、「夜叉萬」と恐れられる存在だ。永代橋崩落の大惨事に揺れる江戸で、押しこみ強盗の末に一家を惨殺する卑劣な窃盗団「赤蜥蜴」の探索をすることに。直近の襲撃のみ、一味のやり口が変化していることに七蔵は戸惑うが、そこから導き出されるのは意外な真実だった。人間の業や情愛、運命を鮮やかに描き出す、シリーズ第二弾。
  • 眠狂四郎虚無日誌(上)(新潮文庫)
    4.5
    旗本の妻女を次々に犯し、無辜の民をも容赦なく斬る――。質実英邁と目されていた将軍家世継・徳川家慶が突如豹変し、乱行を重ねていた。家慶は何故豹変したのか、本物なのか。その鍵は、四年前に没したはずの近藤重蔵にあった。蝦夷地に秘められた謎を探る狂四郎。襲いかかる公儀隠密、最強の刺客明日心剣。謎と謎が交錯し、淫靡なエロティシズムが匂い立つ出色のシリーズ第五弾。
  • かまさん――榎本武揚と箱館共和国
    4.5
    榎本釜次郎武揚。日本最大最強の軍艦「開陽」を擁して箱館戦争を起こした男。旗本出身ではあるが、海軍伝習所に学び、三年半ものオランダ留学を経験した男。科学者であり、技術者であり、万国公法に通じた法学者―幕末から維新を駆け抜けた、「武士の鑑」か「武士の風上にも置けぬ」裏切り者か。真にあるべき「新しい日本」を唯一捕りに行った、不屈の挑戦の物語!
  • 無用庵隠居修行
    4.5
    直参旗本・日向半兵衛は、出世のことしか考えない同僚に嫌気がさし、「あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって死にたい」という願いを込めた「無用庵」で隠居暮らしを始める。のんびりと過ごすはずだったが舞い込んでくる事件の数々。「口は悪いが情けにゃ弱い」日向半兵衛が難事件を解決する痛快時代小説。
  • どぜう屋助七
    4.5
    下町の味、江戸っ子の意地! 江戸っ子に愛される味を生んだ笑いと涙の物語! 江戸は浅草・駒形にある〈どぜう屋〉の主人元七(三代目越後屋助七)は剣術と遊びにかまけて仕事はほったらかしの日々。しかし、黒船来航、大地震、ご一新へと、店も人も激動の世になると、江戸っ子の意地と持ち前の明るさで店を盛り立てようと奮起する――実在の老舗〈駒形どぜう〉を舞台にした、笑いと涙のグルメ時代小説。読めば必ず食べたくなる! 料理評論家・山本益博さんも舌鼓! 【目次】一、君は今 駒形あたり どぜう汁/二、アメリカが来ても日本はつつがなし/三、恋は思案の外 欲は分別の内/四、鯰もおごる神の留守事/五、鯨汁 椀を重ねて叱られる/六、冥土の旅へコロリ欠け落ち/七、きゅうりごしん しんごしん/八、風雷紙 身は灰となり風来人/九、江戸の豚 都の狆に追い出され/十、きんのと変わらぬけふの味/あとがきにかえて――<駒形どぜう>余話
  • 花天の力士 天下分け目の相撲合戦
    4.5
    藤原道長が栄華を極めた平安時代──。妖刀鬼切を自在に操る豪傑・渡辺綱、役小角の体術を駆使する美少女・鹿毛葉、野見宿禰の生まれ変わりといわれる天童・出雲、そして最強の陰陽師・安倍晴明らが、超常的な相撲合戦を舞台に大活躍する時代活劇ファンタジー!
  • 史伝 西郷隆盛
    4.5
    2018年、NHK大河ドラマの最高の教科書 維新の英雄、西郷隆盛の生き様は薩摩の風土・人情、 そして主家島津家の家風を抜きにしては語れない。 名君斉彬から多くの影響を受けた西郷は、維新の志士藤田東湖、 橋本佐内、月照らとの交流から次第に天下に目を向けるようになった――。 疾風怒濤時代の若き西郷の軌跡を辿り、その実像に迫る傑作歴史読物。 (解説・葉室麟)
  • 嶽神伝 鬼哭(上)
    4.5
    家臣同士の領地争いに怒った越後の長尾景虎は、出奔し、山の者の許へ身を寄せる。景虎の命を狙い、武田最凶の忍びたち、さらに北条の風魔が動き出す。無坂らは景虎の命を守るべく、死闘に身を投ずる。驚天動地の争いの中、南稜七ツ家が現れる。ファン待望のシリーズ第3弾、開幕!
  • 紅い月 髪ゆい猫字屋繁盛記
    4.5
    武家の身分を捨て、自身番の書役となった喜三次が、いよいよ魚竹に入ることになり……人生の岐路に立った喜三次の心中は? 江戸市井の悲喜こもごもを描き出す、シリーズ最高潮の一冊!
  • 貧乏同心御用帳
    4.5
    独身なのに、14歳から6歳までの孤児9人を同居させているかわり者、江戸町奉行所の町方同心、大和川喜八郎・32歳。めっぽう腕は立つが、情には弱い。同僚の妻をはじめ美女が次々失踪する謎を追う「南蛮船」。巾着切が浪人者からすりとった小判には秘密があり……「埋蔵金十万両」。ほか2編の連作短編を収録。喜八郎を居候の子どもたちが助け、事件解決に大活躍する痛快大江戸人情捕物帳!
  • 月に捧ぐは清き酒 鴻池流事始
    4.5
    清酒を造ったのはあの山中鹿之助の息子だった! 尼子一族を支えた猛将の息子は、仕官の誘いを断って商人の道を歩む。 日本を代表する鴻池財閥の始祖が清酒の醸造に成功するまで。 山陰尼子家の忠臣山中鹿介の息子でありながら、叔父に育てられた新六は、父を知らず尼崎で成長する。 父の死後、武士を捨て、幼馴染のはなとともに商人として生きる道を選ぶ。 とある出来事から新六改め新右衛門は新たに酒造りを始めるが……。 豪商鴻池の祖となる男の波乱万丈の生涯を描く傑作歴史長篇小説。 解説・島内景二(国文学者)
  • 酔いどれて候【5冊 合本版】
    4.5
    浅草の蛇骨長屋に住む浪人・曾路里新兵衛は、酒がなくては生きてはゆけぬ、というほど無類の酒好き。仲間の不祥事により改易になって以来、何ものにも縛られない気ままな暮らしを楽しんでいた。だがある日、ついに生計が立たなくなり、やむなく岡っ引きの伝七に依頼された辻斬り事件の探索を引き受ける。実はこの新兵衛、酔うと剣技が冴え渡る「酔眼の剣」の使い手だった! 人情あり、謎あり、剣戟あり。時代小説の醍醐味の詰まった、書き下ろしシリーズ! ※本電子書籍は『酔眼の剣 酔いどれて候』『凄腕の男 酔いどれて候2』『秘剣の辻 酔いどれて候3』『武士の一言 酔いどれて候4』『侍の大義 酔いどれて候5』を1冊にまとめた合本版です。
  • 寺社役同心事件帖 竹寶寺の闇からくり
    4.5
    寺社奉行の藩主とともに、江戸に出てきた田舎藩士の雲野八十助。さっそく受け持ち区域の寺社をまわる途中、ある寺の庭で血糊の付いた包丁を見つける。駆け出し寺社役同心と切れ者宮司、異色の二人が、神仏を利用する悪党を討つ!
  • 妖説太閤記(上)
    4.5
    信長の妹・お市の方に魅入られた藤吉郎は、「天下もとるが、女もとる」とばかり、出世の野望に燃えた。半兵衛と官兵衛という参謀を得て、巧みな弁舌と憎めない面相で正体を隠しながら、冷徹な権謀術数でライバルを蹴落とす。「本能寺の変」すら、天下をとるために仕組んだ筋書きだった。風太郎版・異色歴史小説!
  • はなとゆめ 電子ビジュアル版
    4.5
    なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのか――。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説! ○本電子書籍は新聞連載時のカラー挿画(遠田志帆/画)全198点を収録しています。 ○本文内容は、通常版の「はなとゆめ」と同一です。
  • 誉れの赤
    4.5
    「真田赤備えのルーツはここにあり!いま1番おすすめしたい時代小説です」(歴ドル・小日向えり)/戦場で最も目立つ朱色の具足。武田信玄配下の戦国最強部隊「赤備え」。赤備え山縣隊の一員であった甲斐地侍の勘五郎と幼馴染みの藤太は、長篠の戦いの大敗により、徳川へ主家替えを余儀なくされる。新しい主は赤鬼と呼ばれる井伊直政。戦国の終焉と最後の「赤の遺伝子」を受け継ぐ二人の武士の生き様とは。
  • あやめ横丁の人々
    4.5
    婿入りの祝言(じゅうげん)の席上、妻に思い人のあることを知った大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。逆上して間夫(まぶ)を斬り捨て、妻女を自害に至らしめた彼は、婚家のつけ狙うところとなり本所「あやめ横丁」に匿(かくま)われる。だが堀に囲まれたこの町ときたら、場所も住人もみな何やら訳ありで……。練達の筆がさえる長編時代小説。(講談社文庫)
  • 織江緋之介見参 一 悲恋の太刀 〈新装版〉
    4.5
    天下の御免色里、江戸は吉原にふらりと現れた若侍。遊女を人質に騒ぎ立てる男を手もなく斬り捨てた。名は名は織江緋之介(おりえひのすけ)。剣の腕は別格。遊女屋いづやの主・総兵衛(そうべえ)の計らいで仮寓するが、何者かの襲撃を再々受ける。緋之介の隠された過去、総兵衛の驚くべき秘密。背後では巨大な陰謀が渦巻いていた。愛する者のため、迫り来る強烈な刺客たちに刀をふるう。吉原の命運が緋之介の双肩にかかる!
  • 大谷吉継
    4.5
    「あの男に一度、百万の軍勢を采配させてみたかった」天下人豊臣秀吉に知略と軍才を高くかわれ、そう言わしめた魅力溢れる戦国一の勇将「大谷刑部吉継」。関東、奥羽、朝鮮など各地で骨身を削りながら見事な活躍を続ける。慶長五年関ヶ原。生涯の盟友・石田三成とともに戦国末期を鮮やかに照らし続けた男が最後の輝きを放とうとしていた…。知勇兼備の名将の魅力を描く傑作小説。
  • 桃太郎侍
    4.5
    親に捨てられて、江戸の片隅で育った自分に、今さら若木家の御家騒動など知ったことか、と一時はそっぽを向いたものの、実の父兄の苦難に、若くて強い桃太郎侍は、もうたまらない。いざ鬼征伐! 家来は泥棒あがりの伊之助と美少女お百合。奸悪な大敵一味との道中大接戦は、恋に狂う踊りの師匠を加えて息もつがせぬ展開。昭和十四―五年、地方新聞に連載され、評判をとった代表作。
  • 流離の姫 用心棒 若杉兵庫
    4.5
    加賀藩腰物奉行で剣の達人でもある若杉兵庫は、藩主・前田斉泰から千絵という女性の捜索を命じられる。調べると千絵は斉泰との子・千鶴を産んだ後息絶えていた。斉泰から千鶴を秘かに守れと命じられた兵庫は……。
  • 剣客春秋 完結十一巻セット【電子版限定】
    4.5
    鳥羽亮の大人気時代小説『剣客春秋』シリーズ11タイトルが電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『剣客春秋』シリーズ一巻~十一巻を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 神田豊島町の道場主・千坂藤兵衛の娘・里美は、一刀流の達人。ある日、道場の用足しの道すがら、ならず者に絡まれていた歳若い浪人・彦四郎を助けた縁で、淡い恋心を抱く。やがて、彦四郎も道場に日参するようになるが、彼の素性には、驚愕の事実が隠されていた。里美の恋、彦四郎の行く末、悪名高き大盗賊の陰謀。江戸の町に大きな嵐が起こる。(『剣客春秋 里美の恋』より)
  • 関羽を斬った男
    4.5
    英雄のそばに物語は落ちている――。曹操、劉備、孫権、諸葛孔明……魏呉蜀三國志の世界に綺羅星の如く存在する英雄たち。だがしかし、スターのまわりを固める脇役たちも、戦い、叫び、喰らい、怒り、泣き、生きていた。夏侯淵、太史慈、于吉、簡雍、曹節、馬忠、潘璋、魏延、楊儀、馬岱――「戯史三國志」でデビューした著者が、掬い上げ紡いだ"読んだ事のない三国志"七話。
  • 陳平 劉邦の命を六度救った「知謀の将」
    4.5
    項羽との覇権争いに勝った劉邦の下には、名軍師張良と並び称されるもう一人の「知謀の士」がいた――その名は陳平。貧しい家の生まれながら、天下に志を立てようと考えた彼は、初め項羽に仕えていた。しかし、ふとしたことで怒りを買い、誅殺されそうになる。そこで項羽を見限る決意をし、故郷から連れてきた若者とともに劉邦の下へ身を寄せる。劉邦との対面で策略を進言した陳平は、実力を高く評価され、やがてめきめきと頭角を表わすようになる。項羽と軍師の范増を離間させたり、項羽軍に包囲された城からの脱出劇を演じたり、まともに戦えば勝ち目のない韓信を、巡幸を装って捕えたりするなど、見事な「奇策」を展開し続けた。そして、結果的に劉邦の命を六度救う、劉邦軍になくてはならない軍師になるのだった。本書は、劉邦亡き後も、右丞相に昇って国家の重鎮となった陳平の波瀾に満ちた生涯を余すところなく活写した評伝小説である。

    試し読み

    フォロー
  • 来春まで―お鳥見女房―
    4.5
    将軍の鷹狩りの下準備を担うお鳥見役の矢島家。あるじの伴之助と妻・珠世の周りには嬉しい知らせが続いていた。次女の初産、嫁の懐妊、幼い頃から親しくしてきた石塚家長女の結婚――。幾多の苦難と辛い別れを乗り越え、やっと訪れた穏やかな日々。だが「来る者は拒まず」が信条の珠世のもとには、またも次々と難題が降りかかり……。新しい命が絆を強める、大好評シリーズ第七弾。
  • 巴(ともえ)御前(一)
    4.5
    源平の昔、今より、八百年以上も前に、本邦随一の美貌の女武者が存在した。この本は、正室の座よりも愛一筋に生きようと共に戦場を駆けめぐった女性の、愛と武勇に生きた絢爛(けんらん)華麗な物語である。〈全三巻〉
  • 女泣川ものがたり(全)
    4.5
    江戸は天保末期、深川を東西に流れる小名木川のほとりには、春をひさぐ女が多くあった。彼女たちにとって、川は哀しみの涙をあつめて流れる“女泣川”だった。旗本の左文字小弥太は、苦界で懸命に生きる売女たちの姿に胸をうたれ、屋敷を飛び出し、用心棒を買って出た。竹光だが、斬れ味鋭い“べらぼう村正”を振るって難事に挑む酔狂な剣客の活躍を描いた連作集!
  • 五峰の鷹
    4.5
    海を奔る男たちの壮大なる戦国叙事詩。 16世紀半ば、朝廷から金掘り御免の認可を得ていた山吹城主・三島清佐衛門は、大内氏から石見銀山の採掘権を得た筑前博多の豪商・神谷寿禎とともに開発を進め.、莫大な収益をあげるようになった。しかし、近隣に勢力を張る尼子氏によって家を滅ぼされ、幼かった清十郎は難を逃れて都で修行生活を送ることになる。やがて成長した清十郎は室町幕府の兵法指南所で頭角を現わし、お家の再興を目指し、海商・王直の知遇を得て貿易商人として才覚を見せ始める。なかでも鉄砲の威力には早くから注目、その扱い方や戦術を学ぶと共に、火薬や弾薬の原料となる硝石や鉛の流通を押さえる必要性も痛感し、戦国大名との交流の中で独特の地位を築いてゆく。その中で、父の敵ともいえる相手と対決、とらわれの身となった母とも再会。将軍・義輝にも重用されるようになり、奉行の役職を与えられるが、足利家の威光はすでに意味を持たなくなっていた。絶体絶命の危機を何度も乗り越え、清十郎は夢に近づいていく。
  • 猫鳴小路のおそろし屋 全3冊合本版
    4.5
    江戸は新両替町にひっそりと佇む骨董商<おそろし屋>。光圀公の杖は四両二分……店主・お縁が売る古い品には、歴史の裏の驚愕の事件譚や、ぞっとする話がついてくる。そしてこの店自体にもある秘密があって……? *本書は『猫鳴小路のおそろし屋』、『猫鳴小路のおそろし屋 2 酒呑童子の盃』、『猫鳴小路のおそろし屋 3 江戸城奇譚』の3冊を合わせた合本版です。
  • 五二屋傳蔵
    4.5
    「五」足す「二」で「しち」。「五二屋」とは質屋のこと。黒船来航に揺れる幕末の江戸深川──。質屋「伊勢屋」にはさまざまな人々が訪れる。主の傳蔵と、その蔵を狙う盗賊との攻防をめぐる、謎と興奮と人情に満ちた長編時代小説!
  • レジェンド歴史時代小説 見知らぬ海へ
    4.5
    戦国末期、武田水軍の海将・向井正綱は、留守中に城が徳川軍の攻撃を受け、父と義兄を失う。彼は父の遺志を継ぎ、北条水軍との駿河湾決戦で奮戦、水軍の長として汚名を返上する。そんな正綱の元に父の仇、徳川軍への誘いが来た。家康からも一目置かれた海の侍の活躍を描く隆慶一郎、未完の海洋時代小説!
  • 恋七夜
    4.5
    戦国の余燼さめやらぬ天正期。豊臣秀吉は天下人としての威勢を示さんと北野天満宮にて空前の大茶湯を企図する。その参道の由緒ある花街・上七軒を代表する北野太夫富子は、結師・源四郎と出逢う。女には出生の秘密が、男には背負い続けた過去があった。運命の恋の行方やいかに!? 大茶湯に仕組まれた秀吉暗殺の陰謀やいかに!? 知られざる日本史の真相を、恋物語を糸に紡ぎあげた歴史小説の新機軸。
  • 禿鷹の城
    4.5
    小西行長、魔将と化す! 国の存亡を賭けた大勝負。十六世紀末、太閤・豊臣秀吉が仕掛けた朝鮮出兵。狂信的キリシタン大名の小西行長は、加藤清正らライバル武将に先んずるため、首都漢城の争奪戦に暴虐の限りを尽くし進軍する。対する僧兵・元信(ウォンシン)が主導する朝鮮軍は圧倒的少数だが、驚きの秘策が……日本軍三万と朝鮮軍五千が激突した実在の戦闘「幸州山城の戦い」を材に、傑作『徳川家康』の主人公が活躍する、大興奮の歴史活劇巨編! 「禿鷹の要塞」改題。
  • 新選組血風録 〈改版〉
    4.5
    近藤勇、土方歳三、沖田総司、斎藤一から妖しい前髪の美剣士や薩摩の間者……。混沌たる状況を切り、斃れていった隊士一人一人の哀歓を冴え冴えと浮彫りにする名作。
  • 入り婿侍商い帖 関宿御用達
    4.5
    旗本家次男の角次郎は縁あって舂米屋の大黒屋に入り婿した。関宿藩の御用達となり商いが軌道に乗り始めた矢先、義父善兵衛が人殺しの濡れ衣で捕まり……。妻と心を重ね、家族みんなで米屋を繁盛させていく物語。
  • P+D BOOKS 山中鹿之助
    4.5
    松本清張、幻の作品が初の電子化!  主君・尼子家の再興を願い、大敵・毛利に果敢に挑み暴れた、山陰の戦国猛将・山中鹿之助の、短くもドラマチックな生涯を生き生きと描く。 没落しつつあった尼子家一筋に全てを捧げ、月山富田城を取り囲む毛利元就の大軍を、その抜群の勇力と才智により何度も跳ね返し、武名を高めた鹿之助だったが、最終的に尼子義久が毛利の軍門に下り、富田城を明け渡すことになった。  その後、牢人をしながらも尼子家再興を使命とし、尼子勝久を擁立し、幾度の苦難を乗り越え、石見国入りし新山城を占拠するも、毛利勢との戦に敗れ富田城へ入城することは叶わなかった。  さらに、10年後、織田信長の毛利攻めに乗じ、再び、尼子軍を再興した鹿之助だが……。  100度打ちのめされ、1000回も挫折を味わう壮絶な鹿之助の人生、しかし、進むことはあっても退くことはなかった、その義勇の名は、天下に鳴り響いた。  弊社雑誌「中学生の友」に1年間連載された、松本清張、幻の作品。著者が代表作「点と線」を執筆した頃に同時に描いた、名作が50余年の時を超えて甦る。
  • 真田三代風雲録(上)
    4.5
    幸隆、昌幸、幸村の熱き戦いを見よ!! 川中島、三方ケ原、長篠…戦場を六連銭の旗が駆け巡る! 発祥の地・信濃を追われ流浪の身となった真田幸隆は、軍師・山本勘介との出会いを機に甲斐の武田信玄に仕える。たちまち頭角を現した幸隆は「武田二十四将」のひとりに数えられるが、信玄の死後、武田家は崩壊の道へ――。幸隆、昌幸、幸村の三代が武勇と知略で信長、秀吉、家康ら覇者に挑む。戦国の世に最も輝きを放った一族の興亡を描く巨編! 2016年大河ドラマは「真田丸」!
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝(上)
    4.5
    捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物! 徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」と言われた"鬼っ子"松平忠輝の異形の生涯を描く、傑作伝奇ロマン小説。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。
  • 合本 三国志【文春e-Books】
    4.5
    徳を失い腐敗した後漢王朝の悲劇から、壮大な叙事詩がはじまる――。月刊誌「文藝春秋」に連載され、その緻密さと迫力で大反響を呼んだ宮城谷版「三国志」が、ついに合本となって登場! 正史に基づいた、かつてない「三国志」の第1巻から12巻まで全12冊を収録。
  • 対馬丸
    4.5
    戦局傾いた昭和一九年八月、沖縄から本土に向かった学童疎開船「対馬丸」はアメリカ潜水艦の魚雷攻撃を受け、深夜の海に沈んだ。乗船者一六六一名、うち学童八〇〇余名。生き残った学童は五〇余名に過ぎなかった。戦争完遂のため、次代を背負う若き国民を護るため、という大義名分のもと、国策として実施された疎開事業における最大の悲劇である。その歴史的全貌を伝える名著。(解説・佐藤優/作家・元外務省主任分析官)
  • 殿さま狸
    4.5
    国か、御家か、息子の命か、それらを全て失うのか? 絶体絶命の天下分け目の戦いで東西両軍をあっと化かした、蜂須賀家二代目による「関ケ原一の奇策」とは? 阿波踊りをはじめた男は、大名にして商売人、なによりも川並衆だった! 徳島藩祖の痛快な半生!
  • 新史 太閤記(上)
    4.5
    日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。

最近チェックした本