作品一覧

  • がいなもん 松浦武四郎一代
    -
    1巻858円 (税込)
    「北海道の名付け親」の生涯を描く傑作小説。  明治十六年、絵師の河鍋暁斎を訪ねた松浦武四郎は、その娘・豊の問いに応じて自らを語り始める…。  武四郎は文化十五年、伊勢国に生まれた。竹川竹齋から〈神足歩行術〉を学び、地図や道中記を見て各地を旅したいという夢を抱く。十六歳で家出して江戸に行ったことを手始めに、全国を旅するようになった。その後、蝦夷地で頻繁にロシア船が出没していることを知り、都合六回に亘る蝦夷地の探検を行った。アイヌの人々と親しく交わり、大自然に寄り添った生き方に敬意を感じていた。なかでも、ソンという子どものアイヌを可愛がり、別れた後もその消息を確かめ合うことになる。江戸に戻った武四郎は様々な記録や報告書を作成し、和人によるアイヌへの搾取の実態と救済を訴え、九千八百ものアイヌの地名を記した地図を作成した。蝦夷地通としても、吉田松陰や坂本龍馬にも助言をした。そして、北海道の名前の制定に関わる。  幼い頃から好きだった古物蒐集家としても知られるようになった。晩年には、率先してユニークな墓や棺を用意するという終活の達人でもあった。  並外れた行動力と収集癖、膨大な執筆物で多くの人を魅了した人物を描いた伝記小説。 ※この作品は単行本版『がいなもん 松浦武四郎一代』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 国芳一門浮世絵草紙1 侠風むすめ
    4.0
    1~6巻583~1,683円 (税込)
    浮世絵師歌川国芳と娘登鯉をめぐる人間模様 『笹色の紅』で評論家の絶賛を浴びた新鋭作家の、ほのぼのおかしくて、ちょっとせつない書き下ろしシリーズ第1作。  天保の改革で、贅沢なものが次々と禁止になるさなか、見事な戯画で大人気を博した歌川国芳。ついには国芳も奉行所に呼び出され、顔見知りらしかった遠山の金さんと全面対決へ。さて、その顛末はいかなることに!? 国芳と妙ちきりんな弟子たちとが織りなす浮世模様を、国芳の娘の絵師・登鯉の目から格調高く描く。
  • 遊戯神通 伊藤若冲
    3.5
    1巻770円 (税込)
    天才絵師の素顔と技法に迫った長編小説。 若冲没後百年を経た明治37年、セントルイス万博に〈若冲の間〉というパビリオンが出現する。この時〈Jakuchu〉の名を世界に広めたのは誰だったのか? 京都の図案家・神坂雪佳は、若冲の末裔という芸者から〈若冲の妹〉と呼ばれた美しい女性の話を聞く。  宝暦13(1763)年、京都錦の青物問屋〈枡源〉に、一人の少女がやってきた。主の若冲が飼う鶏や、珍しい鳥、美しい毒草などの世話をするために。美以という名の少女の体からは不思議な芳香が漂っていた。その匂いに、若冲はかつての異国の女の面影を重ね合わせながらも、美以を自分の弟に嫁として与えてしまう。若冲を慕う美以は、以後〈若冲の妹〉として思いを秘めたまま生きていくことになる。  『動植綵絵』の完成間際に、錦市場を揺るがす事件が起こり、弟が謎の死を遂げる。彼は本当は若冲の何だったのだろうか。さらに天明の大火による被災……だが、若冲が本来の絵師として蘇生するのはそれからだ。そして、いつも傍らには〈妹〉の姿があった。  心の中の〈奇〉を描かずにはいられなかった絵師、若冲。時空を超え魅了し続けるその素顔と秘密に、江戸と明治の二つの時代軸で迫った長編小説。 ※この作品は過去に単行本版として配信した『遊戯神通 伊藤若冲』の文庫版です。
  • どぜう屋助七
    4.5
    1巻678円 (税込)
    下町の味、江戸っ子の意地! 江戸っ子に愛される味を生んだ笑いと涙の物語! 江戸は浅草・駒形にある〈どぜう屋〉の主人元七(三代目越後屋助七)は剣術と遊びにかまけて仕事はほったらかしの日々。しかし、黒船来航、大地震、ご一新へと、店も人も激動の世になると、江戸っ子の意地と持ち前の明るさで店を盛り立てようと奮起する――実在の老舗〈駒形どぜう〉を舞台にした、笑いと涙のグルメ時代小説。読めば必ず食べたくなる! 料理評論家・山本益博さんも舌鼓! 【目次】一、君は今 駒形あたり どぜう汁/二、アメリカが来ても日本はつつがなし/三、恋は思案の外 欲は分別の内/四、鯰もおごる神の留守事/五、鯨汁 椀を重ねて叱られる/六、冥土の旅へコロリ欠け落ち/七、きゅうりごしん しんごしん/八、風雷紙 身は灰となり風来人/九、江戸の豚 都の狆に追い出され/十、きんのと変わらぬけふの味/あとがきにかえて――<駒形どぜう>余話
  • 鍼師おしゃあ 幕末海軍史逸聞
    3.8
    1巻781円 (税込)
    一途な恋の行方を描く江戸っ子鍼師の一代記 ボコボコにされておしゃあのもとに駆け込まれた男は、瀬戸内育ちの漁師で古川庄八といい、幕府の命により水夫となり、江戸にやってきていた。女郎上がりで鍼師となったおしゃあは男嫌いだったが、庄八と恋に落ちる。庄八は、次第に重用され、オランダにまで留学するようになる。戊辰戦争では、幕府方として函館で明治政府軍と戦って捕らえられる。解放された庄八に会いたさに、函館まで出かけていったおしゃあだったが、そこには奈津という許嫁がいた……。  将軍の侍講にしてジャーナリストの成島柳北、安田銀行・安田生命の創業者である安田善次郎などの傑物もおしゃあと親しい患者として登場。  治療の腕と気っぷの良さは天下一品! 逞しいけど恋には純粋な江戸っ子おしゃあの、一途な恋の行方を描いた幕末明治一代記。  単行本刊行時には、『笹色の紅 幕末おんな鍼師恋がたり』という題名でしたが、文庫化に際し改題しました。

    試し読み

    フォロー
  • 紋ちらしのお玉
    4.0
    1巻638円 (税込)
    花魁と違い、芸は売っても体は売らない。それが芸者。が、江戸・柳橋の売れっ子芸者、お玉には秘密がある。お座敷に出る裏で、ひそかに男に抱かれている。身分ある武家や、時には大名の相手もする。そして相手の家紋を、気心の知れた女刺青師の多緒に、体のいちばん奥に彫ってもらうのだ。紋を千個集める「千人信心」のため…。男たちの思いがすれ違う世相騒がしい幕末を、「紋ちらしのお玉」が行く。携帯小説の人気連載が文庫デビュー!
  • 時雨ごこち 紋ちらしのお玉
    4.0
    1巻682円 (税込)
    柳橋の売れっ子芸者・玉勇は、千人の男に抱かれる〈千人信心〉の願をかけている。男たちの家紋を刺青にして体に入れるのが、その証だ。いつか、惚れた男の「桔梗紋」を刻み込みたいと願いながら、今は「四つ目紋」の男を情人にしている。その体を、幕末を彩る男たちが通り過ぎてゆく。最愛の男が命を落とし、別れと再会が錯綜する中、お玉は芸者の意地にかけ、江戸の粋と共に生きようとするが。シリーズ完結。第3弾、書き下ろし。
  • ひとり夜風 紋ちらしのお玉
    4.0
    1巻682円 (税込)
    柳橋芸者のお玉は、山内容堂や松平春嶽など、名だたる大名たちから贔屓にされる売れっ子だが、裏の稼業があった。男に抱かれては、その相手の家紋を刺青にして体に彫る。忘れられない男たちの思い出を体に刻み、それを千個集める〈千人信心〉の願をかけて。だから、二つ名は「紋ちらしのお玉」。幕末を騒がす事件とともに、変わりゆく時代の波が、お玉と男たちを呑み込んでゆく。好評シリーズ第2弾は、書き下ろしで登場!
  • どぜう屋助七

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あのひと鍋にこんなにも多くのドラマが背負い込まれていたとは…
    ヘラヘラ食べっちまってすまない事をしたなぁ。先に読んでいれば、振り袖だって味わって呑んだのに…

    今も浅草で営業中の「駒形どぜう」
    三代目助七の生涯を通してみる幕末から明治。
    河治さんの描く江戸時代にはいつもしっかり体がある。現代から夢見る古き良き時代ファンタジーではなくて、現代へ続く人生の積み重ねが感じられる。当時の思考回路はそうだっただろうなと納得出来る。
    時代は人の感情が作り出すもので、歴史は時代の積み重ね。字面で学ぶ流れでは「未開だったんだな」で他人事だった出来事も、抗いがたい波に飲まれるやるせなさとして我がごとに出来る。

    0
    2024年04月10日
  • 国芳一門浮世絵草紙5 命毛

    Posted by ブクログ

    このシリーズの最終巻。
    安政の大地震、大雨と洪水。
    次々と命の危機を感じるような江戸。
    そんな中であっても、江戸市民は、ご利益があるとか、ナマズのせいだとか、次々と瓦版が大いに出て、出版印刷業界は、建築関係の職人とともに、懐が一気に豊かになる。
    大商人だけでなく、職人たちが潤うと、新しい文化が生まれる。

    そんな江戸の、機運を余すことなく物語に注入することができたのは、偶然が重なり、江戸文化、江戸美術をよく知る人物と出会ったため。
    国芳研究家としても有名な「いさお敏彦」さん、を紹介してくれたのは偶然喫茶店の隣の席にいた大学教授「山田俊幸」さん。小学館から紹介されたのは「内藤正人」さん、火消しや

    0
    2021年04月19日
  • 国芳一門浮世絵草紙4 浮世袋

    Posted by ブクログ

    登鯉(とり)が労咳の症状に気づいてから時間が経つ。
    年若い弟子が三人入門。
    その一人がのちの芳年。

    鯨が江戸の海に現れ、黒船がやってくる。
    江戸町民たちはこぞって見に行く。

    子安の親分は、魚河岸の代表格となり、役所と談判に乗り込むほどに。

    それぞれ時がたって、遊び人ではいられなくなった。
    遠山は、国芳の家で卒中で倒れる。
    背中に鯉の刺青を持った女が見つかる。
    その秘密が暴かれる。
    二人の父。

    ますます病気が進行する登鯉。
    親子愛と叶わぬ恋。
    悲しいシリーズ第4巻。

    0
    2021年04月18日
  • 国芳一門浮世絵草紙3 鬼振袖

    Posted by ブクログ

    国芳の長女登鯉(とり)が主人公。
    シリーズ第3巻目。

    北斎の娘、お栄と登鯉(とり)は火事の見物でたびたび出くわす。密かにお栄に憧れを抱いている。
    お栄はあまりに名前の大きな存在である父を持つ絵師としての自分と同じ境遇の主人公を好ましく思っている。
    そんななか、北斎がついに亡くなる。
    嫌われている国芳は葬式に娘を代わりにおくる。

    鳥居耀蔵がお役御免となった後、江戸市中も楽しみが復活。虎の親戚、豹の見物をすると疫病にかからないという噂が出て国芳たちは繰り出す。そこで、迷子に出会う。
    尾張藩の藩主の跡目争いの最中にまだわずか10歳で田安家から尾張藩の藩主となった少年だった。
    当時の尾張藩は幕府に

    0
    2021年04月18日
  • 国芳一門浮世絵草紙2 あだ惚れ

    Posted by ブクログ

    シリーズ第2巻もたっぷりとした余韻に。

    副題のように、今回は恋がテーマ。
    国芳のむすめ、とりの恋もそうだが、国芳が愛してやまない心の師匠葛飾北斎との縁も。
    北斎が愛したが、その愛ゆえに道をはずす孫、仁三郎。
    その仁三郎の背中に紋紋の刺青の下絵を書いたのが国芳。
    それがゆえに、北斎は国芳を遠ざける。

    遠山の金さんと幼馴染という国芳の縁も。

    0
    2021年04月16日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!