河治和香のレビュー一覧

  • 旅行屋さん

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    日本旅行の始まりが、こうだったとは。世界最古の旅行会社。海外の人は、個人旅行が多い。団体旅行をしがちなのは、旅行慣れしていない為か。

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    2025年11月29日
  • どぜう屋助七

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    ネタバレ

    あのひと鍋にこんなにも多くのドラマが背負い込まれていたとは…
    ヘラヘラ食べっちまってすまない事をしたなぁ。先に読んでいれば、振り袖だって味わって呑んだのに…

    今も浅草で営業中の「駒形どぜう」
    三代目助七の生涯を通してみる幕末から明治。
    河治さんの描く江戸時代にはいつもしっかり体がある。現代から夢見る古き良き時代ファンタジーではなくて、現代へ続く人生の積み重ねが感じられる。当時の思考回路はそうだっただろうなと納得出来る。
    時代は人の感情が作り出すもので、歴史は時代の積み重ね。字面で学ぶ流れでは「未開だったんだな」で他人事だった出来事も、抗いがたい波に飲まれるやるせなさとして我がごとに出来る。

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    2024年04月10日
  • 国芳一門浮世絵草紙5 命毛

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    このシリーズの最終巻。
    安政の大地震、大雨と洪水。
    次々と命の危機を感じるような江戸。
    そんな中であっても、江戸市民は、ご利益があるとか、ナマズのせいだとか、次々と瓦版が大いに出て、出版印刷業界は、建築関係の職人とともに、懐が一気に豊かになる。
    大商人だけでなく、職人たちが潤うと、新しい文化が生まれる。

    そんな江戸の、機運を余すことなく物語に注入することができたのは、偶然が重なり、江戸文化、江戸美術をよく知る人物と出会ったため。
    国芳研究家としても有名な「いさお敏彦」さん、を紹介してくれたのは偶然喫茶店の隣の席にいた大学教授「山田俊幸」さん。小学館から紹介されたのは「内藤正人」さん、火消しや

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    2021年04月19日
  • 国芳一門浮世絵草紙4 浮世袋

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    登鯉(とり)が労咳の症状に気づいてから時間が経つ。
    年若い弟子が三人入門。
    その一人がのちの芳年。

    鯨が江戸の海に現れ、黒船がやってくる。
    江戸町民たちはこぞって見に行く。

    子安の親分は、魚河岸の代表格となり、役所と談判に乗り込むほどに。

    それぞれ時がたって、遊び人ではいられなくなった。
    遠山は、国芳の家で卒中で倒れる。
    背中に鯉の刺青を持った女が見つかる。
    その秘密が暴かれる。
    二人の父。

    ますます病気が進行する登鯉。
    親子愛と叶わぬ恋。
    悲しいシリーズ第4巻。

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    2021年04月18日
  • 国芳一門浮世絵草紙3 鬼振袖

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    国芳の長女登鯉(とり)が主人公。
    シリーズ第3巻目。

    北斎の娘、お栄と登鯉(とり)は火事の見物でたびたび出くわす。密かにお栄に憧れを抱いている。
    お栄はあまりに名前の大きな存在である父を持つ絵師としての自分と同じ境遇の主人公を好ましく思っている。
    そんななか、北斎がついに亡くなる。
    嫌われている国芳は葬式に娘を代わりにおくる。

    鳥居耀蔵がお役御免となった後、江戸市中も楽しみが復活。虎の親戚、豹の見物をすると疫病にかからないという噂が出て国芳たちは繰り出す。そこで、迷子に出会う。
    尾張藩の藩主の跡目争いの最中にまだわずか10歳で田安家から尾張藩の藩主となった少年だった。
    当時の尾張藩は幕府に

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    2021年04月18日
  • 国芳一門浮世絵草紙2 あだ惚れ

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    シリーズ第2巻もたっぷりとした余韻に。

    副題のように、今回は恋がテーマ。
    国芳のむすめ、とりの恋もそうだが、国芳が愛してやまない心の師匠葛飾北斎との縁も。
    北斎が愛したが、その愛ゆえに道をはずす孫、仁三郎。
    その仁三郎の背中に紋紋の刺青の下絵を書いたのが国芳。
    それがゆえに、北斎は国芳を遠ざける。

    遠山の金さんと幼馴染という国芳の縁も。

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    2021年04月16日
  • 国芳一門浮世絵草紙1 侠風むすめ

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    作者、河治和香さんは江戸風俗画家三谷一馬氏に師事。江戸の風俗を学んだ、日本大学芸術学部卒の作家。
    江戸の浮世絵画家といえば、葛飾北斎、そして次は歌川国芳だろう。
    歌川国芳も多作な画家だ。家族の他にも弟子達食い扶持を稼がねばならなかったからだし、また愛情深い人物なのだ。
    そんな国芳に弟子入りした面々も癖が強いものばかり。明治時代にまたがるこの時期に活躍しているし、エピソードが多い。

    江戸の風俗も詳しく描かれているが、何にもましてこの親子の関係が面白く愉快。
    他の時代小説にも参考になるほどの江戸文化の詰まった濃厚なシリーズ!

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    2021年04月16日
  • ニッポンチ! 国芳一門明治浮世絵草紙

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    幕末から明治の時代。
    体制も変わるなら、暦も変わる、価値観まで政府主導で変えてしまうといった天と地がひっくり返るような出来事が庶民を襲ったのはこの時代。

    そんな時代の最後の巨匠が、歌川国芳である。

    新聞記者の永井総太郎ことペンネーム鶯亭金升が国芳の娘お芳に聞き語りをしたように書かれているのがこの本。

    その時代の気風も描ききっており、ノンフィクション風小説は記録小説といってもいいほどの仕上がり。

    あまりに膨大な情報が詰め込まれて物語を形成し、読み手にも圧倒的な臨場感を与える。

    幕末〜明治のとんでもない時代、浮世絵師の娘として、才能があるにもかかわらず、あまりに大きな名前の父親を持ったお

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    2020年11月27日
  • 国芳一門浮世絵草紙2 あだ惚れ

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    あまりに面白いので
    わざと、時間をかけて
    読み進めています

    ある素敵な「本読み友だち」から
    これ いいよ
    ただし
    読みだしたら止まらないよ
    と 言われていたのですが

    本当に その通り
    だから
    わざと
    一章ずつ
    ゆっくり たっぷり
    ページを繰ろうとするのだけれど


    杉浦日向子さんの「百日紅」が
    また違った視点で見られたり
    三谷一馬さんの「画集」を
    もう一度、繰ってみたり
    江戸の下町の暮らしに
    心地よく誘ってくれています

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    2018年04月05日
  • 鍼師おしゃあ 幕末海軍史逸聞

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    苦労人の鍼師おしゃあの健気さと,素朴な漁師庄八の恋愛模様がどこか噛み合ってないところも含めていじらしい.江戸っ子のきっぷの良さも生き生きと描かれて,成島柳北や安田善次郎の脇役も主人公と言っていい程精彩を放ち,幕末の混乱期を鮮やかに切り取っている,そして,江戸っ子達のたくましさにほれぼれした.

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    2016年10月16日
  • 国芳一門浮世絵草紙5 命毛

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    主人公の女浮世絵師を中心に描かれる、このシリーズも最終巻。
     
    チャンバラのない時代物ですが、
    人は流行病、事故、自殺(!)などで
    さらっと理不尽に死んでいきます。
     
    「死」の気配が非常に濃厚なのにもかかわらず、
    どこかカラッとしている、不思議な雰囲気のお話です。
     
    当たり前のように死がすぐそばにある中で、
    前を向いて歩く人々の描写が本当に素晴らしい。
    芯の強いお話を書くなぁ、としみじみと思います。
      
    この物語を書いている間に、
    作者の方は旦那さんをガンで亡くされていることが、
    もしかしたら影響しているのかも知れませんね。
     
    また、江戸末期の風俗が非常に詳しく描かれていて、
    そういう

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    2012年09月23日
  • 国芳一門浮世絵草紙3 鬼振袖

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    国芳一門浮世絵草子シリーズの第3作。
     
    今までの伏線や、キャラ立てがあるからこそだとは思いますが、
    一気に今巻から厚い話になったな!という印象です。
     
    1作目あたりはちょっと辛かったのですが、
    キャラも覚え、話も一気に回り始める今巻は睡眠時間を削って一気読みしてしまいました。
     
    僕は収録されている中では
    「市芳」が切ないやらいじらしいやらで大変好きです。

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    2012年09月19日
  • ひとり夜風 紋ちらしのお玉

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     ジャンルを歴史物としたが、単に江戸時代を背景にしているだけで、市井の人物達のしみじみとした物語である。犬飼 六岐の「囲碁小町 嫁入り七番勝負」もとても楽しく読んだし、どうも、この時代にだんだんと惹きつけられてしまったようだ。

     どちらも幕末の騒然とした時代だが、登場人物はみなしっかりと地に足をつけて、そしてしたたかに暮らしている。

     最初は、お玉という柳橋の芸者を中心とした男女の性愛を描いた小説か、と思いながらも読んでいくと、芸者遊びをする殿様や豪商などの登場人物が、だんだんと時代のうずに巻き込まれていく。

     その登場人物がまた活き活きとして描かれているのがすばらしい。

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    2011年04月27日
  • 国芳一門浮世絵草紙1 侠風むすめ

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    浮世絵は大好きで、葛飾北斎、歌川国芳、河鍋暁斎が特に好き。その、国芳の娘が主人公の短編集。中身は、本当に江戸情緒が満載で、言葉も風俗もすごーく江戸らしい。入れ墨って、江戸の人にとってすごく意味のあるものだったんだねぇ。

    国芳を最初に好きになったのは「源頼光公館土蜘蛛作妖怪図」という風刺絵で、最期の一編がこれの話でした。彼が活躍した当時、幕府は贅沢禁止令を出して庶民を苦しめていましたとよく言われている時代、鳥居耀蔵が悪役としてよく登場する時代です。鳥居耀蔵って、林大学頭の子だったのか、知らなかった。当時の改革という名の庶民締め付けの様子がとてもよく分かります。
    浮世絵というと普通は絵師のことし

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    2009年10月04日
  • どぜう屋助七

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    時は幕末から明治、場所は浅草・駒形、泥鰌料理のどぜう屋の話。激動の時代の中に繰り広げられる人情とグルメの物語。お店は現在も営業中だそうで、是非行ってみたい。

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    2021年09月09日
  • 遊戯神通 伊藤若冲

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    神坂雪佳。最近、仲町六絵の本に出てきましたが、よく判っていませんでした。なるほど。こういう人かとスッキリしました。若冲をめぐる人々も、お正月時代劇(七之助さんが若冲でした)で予習wしていたのですんなり読めました。この本に呼ばれていたのでしょうね。いつもの河治さんらしくなくて(いい意味で)新鮮でした。

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    2021年03月02日
  • ニッポンチ! 国芳一門明治浮世絵草紙

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    ネタバレ

    「 侠風むすめ」で始まる「国芳一門浮世絵草紙」の愛読者としては,登鯉が小安ではなくその兄に嫁いだことが1章でわかって,すごくショックだったのだけど,最終章でその経緯が明かされて,泣けた.しかも息子が残されたなんて.
    「源助町の親方」が「乃げん」だとわかったときも,はっとしたけど.

    それにしても,時代に翻弄されてみんな哀しい.取り残されても,うまく乗ったように見えても.哀しいけど,国芳の「血」は時代を超えて残っていくんだなあと思った.

    その中で,お芳が「芳」の字をもらったのも,一勇斎を継いだのも,決して考えるのが面倒だった訳じゃなかったと思うよ.

    明治の国芳一門関連では,谷津 矢車「おもち

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    2021年02月22日
  • 国芳一門浮世絵草紙5 命毛

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     タヌキの殿様こと、元南町奉行遠山が死んだ。
     登鯉の病状も悪化していく中、周りにいた人たちが突然にしてこの世からいなくなってしまう。

     あたいもいつ死ぬんだろう。

     そんな中、江戸に災禍が襲う。
     安政の大地震、一夜にして江戸が灰燼と帰する。
     
     命からがら逃げだした国芳と登鯉だったが、国芳は卒中を起こし右半身が動かなくなってしまう。
     その間に、義理の母せゐが突然に世を去る。

     何の奇縁か、国芳一門に入った注文は、大万燈。
     題目は”一ツ家”。
     一ツ家に関わると呪いがかかる。
     この最後の大仕事に、国芳娘 一燕斎芳鳥が挑む。


     シリーズが終わってしまった。
     最初は江戸っ子気

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    2021年01月11日
  • 国芳一門浮世絵草紙4 浮世袋

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     シリーズ4巻目。

     登鯉は自分の病状を意識し始めていた。
     熱っぽく、咳と一緒に血がにじむ。
     労咳と道庵に診断されて以来、自分の死を意識するようになった。

     わたしは行けず後家になるのかぁ。

     いつ死ぬかもわからないのに、男を本気で愛することに踏み切れない。
     
     そんななか、鯉の刺青を背負った夜鷹が現れるという話を小耳にはさんだ国芳は家を飛び出した。
     その女は、この刺青は昔、国芳が書いたものと言ったらしい。

     国芳が隠している、登鯉の出生も明らかになる。

     次巻、最終巻に続く。

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    2021年01月10日
  • 国芳一門浮世絵草紙3 鬼振袖

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     「まったくどいつもこいつも、どうしてこの頃の奴らは嫁に行こうともせず、もらおうともしねぇんだ?」

     鬼振袖とは、生き遅れの女が着る振袖のこと。
     
     三宅島に島流しになっていた彫師、乃げんが江戸に帰ってきていたが、登鯉の顔を見るなり顔を伏せて逃げてしまった。
     未だ乃げんのことを好いている登鯉は探そうとするも、乃げんが島で女を作って子どももできたという話を耳にする。
     
     ここは天下の江戸の街。
     尾張の殿様が祭見物に来ていたり、奉行の隠密が国芳に弟子入りしたりと何でもござれ。
     今日も紋紋を背中に背負った連中が喧嘩に明け暮れ、街の火事は江戸の華。

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    2021年01月06日