河治和香のレビュー一覧
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このシリーズの最終巻。
安政の大地震、大雨と洪水。
次々と命の危機を感じるような江戸。
そんな中であっても、江戸市民は、ご利益があるとか、ナマズのせいだとか、次々と瓦版が大いに出て、出版印刷業界は、建築関係の職人とともに、懐が一気に豊かになる。
大商人だけでなく、職人たちが潤うと、新しい文化が生まれ...続きを読むPosted by ブクログ -
国芳の長女登鯉(とり)が主人公。
シリーズ第3巻目。
北斎の娘、お栄と登鯉(とり)は火事の見物でたびたび出くわす。密かにお栄に憧れを抱いている。
お栄はあまりに名前の大きな存在である父を持つ絵師としての自分と同じ境遇の主人公を好ましく思っている。
そんななか、北斎がついに亡くなる。
嫌われている国...続きを読むPosted by ブクログ -
登鯉(とり)が労咳の症状に気づいてから時間が経つ。
年若い弟子が三人入門。
その一人がのちの芳年。
鯨が江戸の海に現れ、黒船がやってくる。
江戸町民たちはこぞって見に行く。
子安の親分は、魚河岸の代表格となり、役所と談判に乗り込むほどに。
それぞれ時がたって、遊び人ではいられなくなった。
遠山...続きを読むPosted by ブクログ -
作者、河治和香さんは江戸風俗画家三谷一馬氏に師事。江戸の風俗を学んだ、日本大学芸術学部卒の作家。
江戸の浮世絵画家といえば、葛飾北斎、そして次は歌川国芳だろう。
歌川国芳も多作な画家だ。家族の他にも弟子達食い扶持を稼がねばならなかったからだし、また愛情深い人物なのだ。
そんな国芳に弟子入りした面々も...続きを読むPosted by ブクログ -
シリーズ第2巻もたっぷりとした余韻に。
副題のように、今回は恋がテーマ。
国芳のむすめ、とりの恋もそうだが、国芳が愛してやまない心の師匠葛飾北斎との縁も。
北斎が愛したが、その愛ゆえに道をはずす孫、仁三郎。
その仁三郎の背中に紋紋の刺青の下絵を書いたのが国芳。
それがゆえに、北斎は国芳を遠ざける。...続きを読むPosted by ブクログ -
幕末から明治の時代。
体制も変わるなら、暦も変わる、価値観まで政府主導で変えてしまうといった天と地がひっくり返るような出来事が庶民を襲ったのはこの時代。
そんな時代の最後の巨匠が、歌川国芳である。
新聞記者の永井総太郎ことペンネーム鶯亭金升が国芳の娘お芳に聞き語りをしたように書かれているのがこの...続きを読むPosted by ブクログ -
あまりに面白いので
わざと、時間をかけて
読み進めています
ある素敵な「本読み友だち」から
これ いいよ
ただし
読みだしたら止まらないよ
と 言われていたのですが
本当に その通り
だから
わざと
一章ずつ
ゆっくり たっぷり
ページを繰ろうとするのだけれど
…
杉浦日向子さんの「百日紅...続きを読むPosted by ブクログ -
苦労人の鍼師おしゃあの健気さと,素朴な漁師庄八の恋愛模様がどこか噛み合ってないところも含めていじらしい.江戸っ子のきっぷの良さも生き生きと描かれて,成島柳北や安田善次郎の脇役も主人公と言っていい程精彩を放ち,幕末の混乱期を鮮やかに切り取っている,そして,江戸っ子達のたくましさにほれぼれした.Posted by ブクログ
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主人公の女浮世絵師を中心に描かれる、このシリーズも最終巻。
チャンバラのない時代物ですが、
人は流行病、事故、自殺(!)などで
さらっと理不尽に死んでいきます。
「死」の気配が非常に濃厚なのにもかかわらず、
どこかカラッとしている、不思議な雰囲気のお話です。
当たり前のように死がすぐそば...続きを読むPosted by ブクログ -
国芳一門浮世絵草子シリーズの第3作。
今までの伏線や、キャラ立てがあるからこそだとは思いますが、
一気に今巻から厚い話になったな!という印象です。
1作目あたりはちょっと辛かったのですが、
キャラも覚え、話も一気に回り始める今巻は睡眠時間を削って一気読みしてしまいました。
僕は収録されて...続きを読むPosted by ブクログ -
ジャンルを歴史物としたが、単に江戸時代を背景にしているだけで、市井の人物達のしみじみとした物語である。犬飼 六岐の「囲碁小町 嫁入り七番勝負」もとても楽しく読んだし、どうも、この時代にだんだんと惹きつけられてしまったようだ。
どちらも幕末の騒然とした時代だが、登場人物はみなしっかりと地に足をつ...続きを読むPosted by ブクログ -
浮世絵は大好きで、葛飾北斎、歌川国芳、河鍋暁斎が特に好き。その、国芳の娘が主人公の短編集。中身は、本当に江戸情緒が満載で、言葉も風俗もすごーく江戸らしい。入れ墨って、江戸の人にとってすごく意味のあるものだったんだねぇ。
国芳を最初に好きになったのは「源頼光公館土蜘蛛作妖怪図」という風刺絵で、最期の...続きを読むPosted by ブクログ -
「 侠風むすめ」で始まる「国芳一門浮世絵草紙」の愛読者としては,登鯉が小安ではなくその兄に嫁いだことが1章でわかって,すごくショックだったのだけど,最終章でその経緯が明かされて,泣けた.しかも息子が残されたなんて.
「源助町の親方」が「乃げん」だとわかったときも,はっとしたけど.
それにしても,時...続きを読むPosted by ブクログ -
タヌキの殿様こと、元南町奉行遠山が死んだ。
登鯉の病状も悪化していく中、周りにいた人たちが突然にしてこの世からいなくなってしまう。
あたいもいつ死ぬんだろう。
そんな中、江戸に災禍が襲う。
安政の大地震、一夜にして江戸が灰燼と帰する。
命からがら逃げだした国芳と登鯉だったが、国芳...続きを読むPosted by ブクログ -
シリーズ4巻目。
登鯉は自分の病状を意識し始めていた。
熱っぽく、咳と一緒に血がにじむ。
労咳と道庵に診断されて以来、自分の死を意識するようになった。
わたしは行けず後家になるのかぁ。
いつ死ぬかもわからないのに、男を本気で愛することに踏み切れない。
そんななか、鯉の刺青を背...続きを読むPosted by ブクログ -
国芳一門のシリーズ二巻。
男には惚れても、一緒になりたい男には手が届かなくてもどかしい、女っ気というよりは男勝りの江戸っ子気質は親父譲りの国芳の娘、登鯉。
うちの娘を武家にやれるかと息巻いていた国芳だったが、最近はやけに登鯉の縁談を気にするようになってきた。
というのも、北斎の家に訪問し、...続きを読むPosted by ブクログ -
「まったくどいつもこいつも、どうしてこの頃の奴らは嫁に行こうともせず、もらおうともしねぇんだ?」
鬼振袖とは、生き遅れの女が着る振袖のこと。
三宅島に島流しになっていた彫師、乃げんが江戸に帰ってきていたが、登鯉の顔を見るなり顔を伏せて逃げてしまった。
未だ乃げんのことを好いている登鯉は...続きを読むPosted by ブクログ