河治和香のレビュー一覧
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国芳一門のシリーズ二巻。
男には惚れても、一緒になりたい男には手が届かなくてもどかしい、女っ気というよりは男勝りの江戸っ子気質は親父譲りの国芳の娘、登鯉。
うちの娘を武家にやれるかと息巻いていた国芳だったが、最近はやけに登鯉の縁談を気にするようになってきた。
というのも、北斎の家に訪問し、北斎の娘お栄を見て以来この調子だ。
お栄は親と同様に絵で生きていたが、すでに生き遅れの女になり、国芳はお栄に登鯉の行末を見たのだろう。
登鯉を誰かに嫁がせようとする国芳一門に対して、登鯉は苛立ちを隠せない。
北斎の娘、お栄と国芳の娘、登鯉が揃って屋根上からの火事場見物してるところが面白い -
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江戸末期、天保年間の町絵師最大一派、歌川国芳の一門を描くシリーズ第一巻。
本作は国芳の長女、登鯉の視点で描かれる。
隅田川に流される、磔にされた女、それと男の生首が江戸っ子たちの話題に上がる。
旗本に嫁いだ女が男と駆け落ちしただの、男が女を寝取っただのと、いろんな噂が飛び交う江戸の町。
ちょうどそのころ、国芳に入門したいいところの坊主、周三郎が写生に使うと川から拾ってきたモノは、女の生首だった。
腰を抜かす国芳の弟子たち、そこへ乗り込んでくる岡っ引き。
この事件が元で南町奉行が入れ替わるのだが、そのころから江戸には禁制の嵐が吹き荒れる。
世にいう、天保の改革。
錦絵への -
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俺が好きな江戸時代の絵師は北斎、若冲、そんで国芳です。
北斎は画狂の名の通り、様々な描き方のアプローチから、人や自然、風景の本質を描き出す天才肌の変人という見方をしている。
若冲は、鳥や動物の情景が音まで聞こえてきそうな一瞬の切り取りに長けていると思う。
そして国芳。
この人の絵が好きなのは、江戸っ子の粋をビンビンに感じる。
武者絵のほとばしる躍動感、様々なモチーフに描く猫もかわいい。
江戸から明治へ、御一新のちの江戸改め東京。
浮世絵師として名をはせた国芳一門も、時代に乗って活躍する者、時代に取り残される者に分かれていた。
国芳の弟子たち、月岡芳年、河鍋暁斎、落合 -
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初出 2019〜20年「きらら」
幕末に没した浮世絵師歌川国芳の弟子たちの、浮世絵が廃れていく明治になってからの歩みを、萬朝報の記者鶯亭金升が国芳の娘のお芳などから聞く。
1)一勇齊芳女(お芳) 国芳の次女。姉が登鯉の画号を与えられたのに、父の代筆ができるようになっても認められなかった鬱屈を抱える。父の死後は外国人相手の千代紙、春画を書いたり小物の絵付けをし、昭和まで生きた。
2)芳虎 師匠の作風に似たが破門され横浜絵などを描く。芳藤 おもちゃ絵(工作用)を得意とし、尾張公の若君がお気に入りだった。
3)河鍋暁斎 幼くして入門したが、狩野派へ行き。維新後は仮名垣魯文と組んで戯作(小説)の挿 -
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ネタバレ【本の内容】
前作「笹色の紅」が評論家に絶賛された新鋭が、鉄火肌の浮世絵師国芳と、脳天気な弟子たちの浮世模様を娘の女絵師登鯉の目から描いた、ほのぼのおかしくて、ちょっとせつない書き下ろしシリーズ第一作。
国芳の娘登鯉は、刺青が大好きで博奕場にも平気で出入りするような“侠風”な美少女。
一方で、天保の改革を鋭く諷刺した国芳は、とうとう北町奉行所に召喚されてしまう。
[ 目次 ]
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柴又生まれの江戸っ子作家、河冶和香さんの書き下ろしシリーズ第1作である。
今回のは江戸末期を代表する浮世絵師の一人、歌川国芳一門の活躍を娘登鯉(とり)の眼から描いた作品である。
登鯉は入墨が