河治和香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【本の内容】
前作「笹色の紅」が評論家に絶賛された新鋭が、鉄火肌の浮世絵師国芳と、脳天気な弟子たちの浮世模様を娘の女絵師登鯉の目から描いた、ほのぼのおかしくて、ちょっとせつない書き下ろしシリーズ第一作。
国芳の娘登鯉は、刺青が大好きで博奕場にも平気で出入りするような“侠風”な美少女。
一方で、天保の改革を鋭く諷刺した国芳は、とうとう北町奉行所に召喚されてしまう。
[ 目次 ]
[ POP ]
柴又生まれの江戸っ子作家、河冶和香さんの書き下ろしシリーズ第1作である。
今回のは江戸末期を代表する浮世絵師の一人、歌川国芳一門の活躍を娘登鯉(とり)の眼から描いた作品である。
登鯉は入墨が好きで吉原や博打場にも平気で出入りする”侠風(きゃんふう)むすめ”。この早熟な娘を通じ、当時の江戸の風俗がとても生き生きと描かれており、その映像が目に浮かんでくるようである。
遠山の金さんも脇役の一人に名を連ね、物語に華を添えているあたり、時代小説ファンにとってはたまらない展開である。
まだ書き尽くしていないところがあちこちに見られ、今後のシリーズ作品で明らかにされていくのが楽しみでならない1冊。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
小説なんだけども
事実を上手に使って書いてあるので
とってもワクワクしました。
こういう「創業」話、大好き。
滋賀県草津駅の駅弁売りからはじめて
ご近所さんや、ご贔屓さんを連れて
お伊勢参りをすることになる。
その取りまとめが自然と団体旅行に。
評判が良かったため、次は善光寺だ〜となり
参詣旅行のはしりとなったそうです。
それまで善光寺がわりと寂れていたなんて
知らなかったわ。
登場人物もみんないいけど
特に旅芸人の娘・茶良とのエピソードは
なかなかドラマチック!
途中に昭和7年3月の本物の
「旅の栞」を写したページもあります。
なかなかのハードスケジュールだよ。 -
Posted by ブクログ
今ではみんなが知るツアーも
はじめがあり、こんなにいろいろな思いがある。
バリバリのノンフィクションのようなフィクションだと読み終えて知りました。 びっくり
けれど、全部がノンフィクションでもないということで、こういう
ストーリーも夢があって素敵だと思います。
私も知らない世界が見れる旅行は
いつでもわくわくして大好きですし、
この明治の激動の時代は
本当に新しいことや今まで考えもしなかったことをはじめて歴史に残る人々もたくさんいました。
なので、きっと遠からず近からず
こういう 南新助さんのような
人もいて語り継がれているように
感じました。 -
Posted by ブクログ
以前 若冲の小説を読みましたので
なんとなく ターゲットにした 時代とかが
被っていたので 頭の中が 少し混乱してしまいました。
今度からは同じ人をモデルにした 小説を読む時は
前の内容が消えてからの方が 新鮮に読めると思いました。
今回のは 現代とまではいきませんが
近代から お話が始まっていました。
そして 若冲の生きている時代。
この時代は もうかなり 文献も残ってはいるものの火事とか 色々あってなくなっちゃっているので
作家さんの想像力をかりたてるものが 多いのでしょうね。
今回の面白いなぁと思った所は
屏風祭りの章で 升目描きをするのですが その升目が煩悩の数
8万4千(無限を表す数)にしてあって
(*ブライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」は8万6千個の升目となっています)
一つ一つ塗るのですが それを 普通の人が 塗る手伝いをさせてもらってありがたや~~っていう 部分が いつも緻密に描いてる 若冲が そんな事はさせないでしょう~~って思いました。
が こういう事をする 若冲がいても 面白いんだろうね~って 思いながら
作者の 想像力の 豊かさを 感じて 読みました。 -
Posted by ブクログ
新聞記者の鶯亭金升が歌川国芳の末娘・お芳に、国芳の十三回忌が行われた明治六年頃を中心に、国芳一門のそれぞれの半生を語るエピソード集。
同作家さんの「国芳一門浮世絵草紙」シリーズの後日談らしい。シリーズはお芳の姉・登鯉を主人公に据えた騒動記らしいが、そちらを読んでいなくても楽しめた。お侠な登鯉とは対照的に地味なお芳が中年を過ぎて語るスタイルなので落ち着きがあるし、一門の弟子たちの浮き沈みを語りながらもどこか物悲しさもある。
お芳同様に有名絵師の娘と言えば、お芳に『女絵師なんていうのになったところで、哀れな末路が多い』という例にあげられた北斎の娘・応為。彼女とは対照的に、河鍋暁斎の娘・お豊は『立派な女流画家』になっただけでなく『女で初めての教授』として女子美術大学の教授にも抜擢されるほど出世した。
お芳の回想の中の登鯉は美人薄命の言葉通り、華やかな人生をあっという間に駆け抜けた女性として描かれている。
いまだに彼女を想い続ける男たちは多くいて、お芳が惚れて振られた男も後に姉を想い続けていると知る。
お芳は男性運という点では恵まれていなかったかも知れないが、そんな男たちのせいで困ったときには誰かが助けてくれている。芸術作品としての絵を描く『絵師』ではないが、千代紙など数々の小さな仕事をこなす『絵描き』として身を立てている。
国芳はじめ一門の人々の思い出と共に絵を描きながら昭和の初めまで生きた彼女と、登鯉の短くも華やかな人生と、どちらが良いかなんて決められない。
だが有名絵師を父に持つ辛さは応為もお豊も登鯉もお芳も、皆同じだったかも知れない。
河鍋暁斎と言えば最近読んだ柴田よしきさんの「お勝手のあん」シリーズに登場したのを思い出したが、この作品での暁斎は柴田作品と違って随分やらかしている。
この時代ならではなのか、国芳一門ならではなのか、暁斎に限らずとかく皆泥酔するまで飲んで大騒ぎして、皆揃って刺青まで入れて遊郭に入り浸って、喧嘩もして、新築の家に絵を描きまくって、めちゃくちゃだ。
国芳一門の人々は一緒にいたくない人ばかりだが、傍から見る分には楽しい。
暁斎同様、一門にいたのは僅かな期間だけだったのは落語家の圓朝で、彼の話も別の作家さんで読んだことがあるのだが、こちらでも真面目であちこちに気を使う彼が描かれている。
絵師も落語家も何がきっかけて売れっ子になるかは分からない。だが売れっ子になったからと言ってずっと上り調子でいられるわけではなく、何がきっかけで落ちぶれるかも分からない。
圓朝も芳年も思わぬことで足を掬われた。しかし芳年の画の真似ばかりしていた芳幾は仕方ないと言えるかも知れない。
逆に芳春のようにスパッと絵の道を諦めて別の道に行ったものの、息子が役者として成功して楽隠居出来たり、芳宗のように師匠である国芳の手伝いばかりして自分の絵はパッとしなかったものの、人気芸者となった娘のおかげで一門で一番立派な葬儀まで出してもらった者もいる。
しかし絵師として成功出来なかったことを本人たちはどう思っているのか。
結局のところその人の幸福や人生の良し悪しなんて誰にも分からない。本人はパッとしない人生だったと思っていても傍からは十分すぎるほど幸せに見えることもあるし、その逆もあるだろう。
肝心のタイトルだが「ニッポンチ」とは『日本のポンチ絵(風刺の入った漫画)』を略した造語で、河鍋暁斎と仮名垣魯文が創刊した雑誌らしい。残念ながら三号までしか発刊されなかったそうだ。
その雑誌のこと自体はエピソードとしてチラッと語られるだけだったが、『ポンチ絵』のように面白おかしく、でもちょっと哀しい皮肉のような一門の人々の人生をパラパラと見せられる作品ということだろうか。