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絵師歌川国芳の弟子たちと二人の娘の物語。
明治六(一八七三)年、歌川国芳の十三回忌の施主はただ一人の遺族で〈一勇斎芳女〉と名乗る国芳の次女。だが直前に行方知れずになったりして、どこかつかみ所のない女だ。
追善書画会に顔を揃えた落合芳幾、月岡芳年、河鍋暁斎、歌川芳藤、そして三遊亭圓朝などの弟子たちは、それぞれ新しい時代の生き方を懸命に模索していた。
そして、彼らの心の中には、いつも師匠の国芳がいる。中でも暁斎は、仮名垣魯文と絵新聞を始めると意気盛んだ。のちに日本の漫画雑誌の嚆矢となるこの雑誌は、その名も『日本地(ニッポンチ)』。
結局、弟子たちの生きざまを見届けたのは昭和まで生きたという芳女(お芳)だった。彼女も絵を描いているが、名を残した作品は今のところ三枚続きの錦絵があるだけだ。主に春画や刺青の下絵、皮絵などを描いていたらしい。彼女が最後まで守っていた国芳の遺品とは? そして国芳に終生愛されながら早世した長女の登鯉が、最後に選んだ人生の選択とは?
自身も日露戦争時に『日ポン地』なる雑誌を出していた新聞記者の鶯亭金升は、お芳から話を聞き出していくうちに、思いもかけない〈国芳の孫〉の存在を知る。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ 2020年11月27日
幕末から明治の時代。
体制も変わるなら、暦も変わる、価値観まで政府主導で変えてしまうといった天と地がひっくり返るような出来事が庶民を襲ったのはこの時代。
そんな時代の最後の巨匠が、歌川国芳である。
新聞記者の永井総太郎ことペンネーム鶯亭金升が国芳の娘お芳に聞き語りをしたように書かれているのがこの...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年12月26日
俺が好きな江戸時代の絵師は北斎、若冲、そんで国芳です。
北斎は画狂の名の通り、様々な描き方のアプローチから、人や自然、風景の本質を描き出す天才肌の変人という見方をしている。
若冲は、鳥や動物の情景が音まで聞こえてきそうな一瞬の切り取りに長けていると思う。
そして国芳。
この人の絵が好き...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年12月23日
初出 2019〜20年「きらら」
幕末に没した浮世絵師歌川国芳の弟子たちの、浮世絵が廃れていく明治になってからの歩みを、萬朝報の記者鶯亭金升が国芳の娘のお芳などから聞く。
1)一勇齊芳女(お芳) 国芳の次女。姉が登鯉の画号を与えられたのに、父の代筆ができるようになっても認められなかった鬱屈を抱え...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年01月29日
新聞記者の鶯亭金升が歌川国芳の末娘・お芳に、国芳の十三回忌が行われた明治六年頃を中心に、国芳一門のそれぞれの半生を語るエピソード集。
同作家さんの「国芳一門浮世絵草紙」シリーズの後日談らしい。シリーズはお芳の姉・登鯉を主人公に据えた騒動記らしいが、そちらを読んでいなくても楽しめた。お侠な登鯉とは対...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年02月22日
「 侠風むすめ」で始まる「国芳一門浮世絵草紙」の愛読者としては,登鯉が小安ではなくその兄に嫁いだことが1章でわかって,すごくショックだったのだけど,最終章でその経緯が明かされて,泣けた.しかも息子が残されたなんて.
「源助町の親方」が「乃げん」だとわかったときも,はっとしたけど.
それにしても,時...続きを読む
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