【感想・ネタバレ】国芳一門浮世絵草紙5 命毛のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

このシリーズの最終巻。
安政の大地震、大雨と洪水。
次々と命の危機を感じるような江戸。
そんな中であっても、江戸市民は、ご利益があるとか、ナマズのせいだとか、次々と瓦版が大いに出て、出版印刷業界は、建築関係の職人とともに、懐が一気に豊かになる。
大商人だけでなく、職人たちが潤うと、新しい文化が生まれる。

そんな江戸の、機運を余すことなく物語に注入することができたのは、偶然が重なり、江戸文化、江戸美術をよく知る人物と出会ったため。
国芳研究家としても有名な「いさお敏彦」さん、を紹介してくれたのは偶然喫茶店の隣の席にいた大学教授「山田俊幸」さん。小学館から紹介されたのは「内藤正人」さん、火消しや千社札、袋物、日本橋に詳しい「其角堂」さん。

作者のご主人が執筆しようとする矢先発癌し、見送り、大変な時を経て出来上がった。

とてもいい作品シリーズだった。
少なくとも、何度か読み返したい。

0
2021年04月19日

Posted by ブクログ

主人公の女浮世絵師を中心に描かれる、このシリーズも最終巻。
 
チャンバラのない時代物ですが、
人は流行病、事故、自殺(!)などで
さらっと理不尽に死んでいきます。
 
「死」の気配が非常に濃厚なのにもかかわらず、
どこかカラッとしている、不思議な雰囲気のお話です。
 
当たり前のように死がすぐそばにある中で、
前を向いて歩く人々の描写が本当に素晴らしい。
芯の強いお話を書くなぁ、としみじみと思います。
  
この物語を書いている間に、
作者の方は旦那さんをガンで亡くされていることが、
もしかしたら影響しているのかも知れませんね。
 
また、江戸末期の風俗が非常に詳しく描かれていて、
そういうトリビア的な意味でもたいへん楽しめます。

第一巻からどんどん尻上がりに面白くなっていくので、
3巻目くらいまでは一気読みするのがオススメです。

0
2012年09月23日

Posted by ブクログ

 タヌキの殿様こと、元南町奉行遠山が死んだ。
 登鯉の病状も悪化していく中、周りにいた人たちが突然にしてこの世からいなくなってしまう。

 あたいもいつ死ぬんだろう。

 そんな中、江戸に災禍が襲う。
 安政の大地震、一夜にして江戸が灰燼と帰する。
 
 命からがら逃げだした国芳と登鯉だったが、国芳は卒中を起こし右半身が動かなくなってしまう。
 その間に、義理の母せゐが突然に世を去る。

 何の奇縁か、国芳一門に入った注文は、大万燈。
 題目は”一ツ家”。
 一ツ家に関わると呪いがかかる。
 この最後の大仕事に、国芳娘 一燕斎芳鳥が挑む。


 シリーズが終わってしまった。
 最初は江戸っ子気質の侠風娘だった登鯉が、女絵師として経験を重ねるつれての成長譚。
 その成長だが同時に労咳にかかり、自らの死を意識して世のはかなさを憂うことにもつながっていく。

 シリーズを通して、国芳一門に興味を持った。
 生きていくときの決断に迷ったときには、粋なほう、という生き方をしていきたい。

 シリーズはこれにておしまい。
 国芳、登鯉亡き後に残された次女、13年後のお吉視点のその後の国芳一門「ニッポンチ」に続く。

0
2021年01月11日

Posted by ブクログ

終わってしまった‥。
登鯉ちゃん、色々あったね、と肩を叩きたい気分。
最終巻らしく、これまでの男が勢揃い。
新場の小安のこと、私はそんなに好きじゃないけど、登鯉ちゃんを泣かせるなよ!

人はあっけなく死ぬものだなあ。
死ななくとも、何かのきっかけで人生はがらりと変わる。
後書きで著者の経歴を読んで驚いた。
若さと勢いで書いた荒削りな作品だと思ったら、ベテランの方だったのね。
小説家としてのベテランではないので、そういう意味では勢いで書いたのかもしれないけど。
兎に角楽しませていただきました、有難う。

0
2019年09月02日

「歴史・時代」ランキング