歴史・時代小説作品一覧
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3.8謙信を語るとき、好敵手信玄を無視することはできない。精悍孤高の謙信と千軍万馬の手だれの信玄。川中島の決戦で、戦国最強の甲軍と龍攘虎搏の激闘を演じ得る越軍も、いささかもこれに劣るものではない。その統率者謙信と彼の行動半径は? 英雄の心事は英雄のみが知る。作者が得意とする小説体の武将列伝の一つであり、その清冽な響きは、千曲・犀川の川音にも似ている。
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4.2日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う。――以来百年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである。
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4.0『新書太閤記』の一大分脈を成すのが、本書である。秀吉といえども、独力では天下を取れなかった。前半は竹中半兵衛の智力をたより、後半は黒田如水を懐刀とした。如水は時勢を見ぬく確かな眼を持ち、毛利の勢力下にありながら、織田の天下を主張。また、荒木村重の奸計に陥り、伊丹城地下牢での幽囚生活を余儀なくされながら、見事に耐えぬく。――若き日の如水を格調高く描く。
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3.0新聞連載「宮本武蔵」の圧倒的な好評を受けて、著者は次作の題材を吟味した。そして朝日新聞紙上を飾ったのが「源頼朝」である。これには“小説日本外史”の副題がついていた。歴史を闊歩した代表的日本人を次々に登場させる構想で、その第一に、源頼朝が選ばれた。まさに頼朝こそ、源平抗争の英雄であり、七百年の武家社会を築いた巨擘である。第1巻は、保元の乱に破れてから、挙兵の直前までを、義経の生い立ちとともに描く。
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4.0将門は著者の最も食指を動かした人物の一人である。反逆者としての歴史の刻印を除きたい気持ちもあったが、純粋で虚飾のない原始人の血を将門にみたからだ。都にあっては貴族に愚弄され、故郷では大叔父国香に父の遺領を掠められ、将門はやり場のない怒りを周囲に爆発させる。それは天慶の乱に発展し、都人を震撼させる。富士はまだ火を噴き、武蔵野は原野そのままの時代だった。
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3.0戦国武将は歴史を動かす碁石に過ぎぬのか? 囲碁名人・本因坊算砂の息が止まりかけた。 「信長公の首級は何処にある」 大御所・徳川家康のたった一言で、「炎の記憶」を呼び覚まされた算砂は沈黙せざるを得なくなった。 大坂の陣が勃発する七年ほど前、慶長十二年師走、駿府城で対局中の出来事だった。 日海と名乗っていた若かりし頃の算砂は、戦国の時流に弄ばれ、本能寺の変の渦中に放り込まれていたのだ。 行方知れずの織田信長の亡骸、底知れぬ明智光秀の本意、茶会や連歌の会、安土築城などの不気味な闇。 武将の松永久秀・荒木村重・佐久間信盛・斎藤利三ら、五摂家筆頭・近衛前久、連歌師・里村紹巴、堺商人・小西隆佐、雑賀衆・鈴木孫一と善住房、薬師・曲直瀬道三、神主・吉田兼和、宣教師・オルガンティーノたちは、天下布武という棋譜の碁石に過ぎないのか? 若き法華僧の名棋士が、戦国人の傍らで見た歴史を描く、刮目の長編歴史小説。 本能寺の変の真相を読み解く! ※この作品は単行本版『絶局 本能寺異聞』として配信されていた作品を改題した文庫本版です。
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3.0山中で棒を振り回していた少年は、十三歳にして試合相手の頭蓋をかち割った! 自身も剣の達人である著者が描く凄絶なる歴史長編 宮本武蔵は幼少より武術に頭角をあらわし、生まれ持っての膂力と父の激しい指南にこたえ、13歳にして真剣の立会に打ち勝った。 血なまぐさい試合にあけくれた青春時代、京都郊外、一乗寺下り松での吉岡一門との死闘、関門・船島での佐々木小次郎との血闘など、いくたの修羅場でつねに勝利をおさめた孤高の剣聖の凄絶なる生涯を描破する。 吉川英治版『宮本武蔵』とそれを原作とした人気コミックの影響もあり、内省的な宮本武蔵像が一般化した現代。 だからこそ津本陽描く、本能で動き、野獣味のある武蔵像は読者にいまも新鮮な驚きを与える。 解説・桶谷秀昭
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3.8日本橋の村田屋は創業百二十周年の老舗眼鏡屋。そのあるじの長兵衛は、すぐれた知恵と家宝の天眼鏡で謎を見通すと評判だった。 ある日、目明かしの新蔵が長兵衛に助けを求めてくる。住吉町の裏店で起こった人殺しの本当の下手人を挙げるのに長兵衛の力を借りたいという。 浜町の目明かし・巳之吉が、殺人が起こった長屋の者たちの手を検分して、手が汚れていたというだけでそこに住まう十七の娘おさちに縄を掛けたという。 ろくな調べもせずに罪なき娘を引き立てたことに怒りを覚えた長兵衛は、広い人脈と持ち前の人柄を発揮して事件を解決に導く。 長兵衛の評判がますます高まる中、今度は木場の檜問屋・福島屋矢三郎の遺言状の真贋鑑定を依頼される。 息子の豊太郎に遺されたものの他に、矢三郎の弟・新次郎の許にも遺言状があるのだという。 長兵衛は天眼鏡で真贋を明かすが、福島屋を自分のものにしたい新次郎の企みによって、事態は思わぬ方向へ動き……!?
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3.0まがい物? 偽金? 値段が高すぎる! その値段には裏がある―!? 人情と算盤で謎を弾く! 名手の傑作時代小説 正しい値で売らないと悪行になっちまう―― 「私には物たちの声が聞こえてくるのですよ。辛く悲しい声です」物の値段を見張り、 店に指導する役回りの諸色調掛(しょしきしらべがかり)同心を務める澤本神人。 今日も子分の庄太と江戸の町を見まわるが、値段の裏にあるさまざまな人情や思惑がからみあい、 神人を悩ませる謎と悪事が次々と待ちうけていた。同役だった父の代から未解決の贋金騒動の真相にも迫るが――。 (本書は2016年刊行『商い同心 千客万来事件帖』の新装版です) 〈目次〉 「雪花菜」 「犬走り」 「宝の山」 「鶴と亀」 「幾世餅」 「富士見餅」 「煙に巻く」 解説/細谷正充
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4.5京都西町奉行所同心、榊玄一郎の元に、手下の小吉が現れた。堀川に相対死(心中)の水死体が上がったのだという。骸が発見された橋のたもとに向かった玄一郎だが、現場には西町奉行の侍医、久我島冬吾の姿があった。この医者は頼みもしないのに勝手に検分をして、同心たちとは全く違う見解を述べるので、評判はかなり悪い。しかも『相対死は三日間、四条河原に晒される』という法度があるにもかかわらず、久我島は玄一郎に、人助けと思って、心中である事実をもみ消せと言い出した。一体何が目的なのか!? しかしこの心中事件が市中を震撼させる事態へと発展していく──。
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3.5江戸の暮らしを支える貸し物屋の情に厚くて美形の娘店主が大活躍! 痛快ホロリの謎捌きが癖になる大人気書き下ろし時代小説! 「ちょいと手を貸してやったら人がもっと幸せになるんなら、進んでやるのがいいと思わねぇか?」 江戸のレンタルショップ湊屋両国出店の主・お庸は口の悪さで知られる美形の江戸娘。 真っ直ぐな気性で男勝りな娘店主のもとには、今日も胡乱なお客が訪れる── 厄介事も無理難題も持ち前の好奇心と人情で解決する「貸し物屋お庸」の魅力全開! 「凧の骨を貸してくれ」とやって来た童が心に秘めた願いとは? 仲介を頼まれた「縁起がいい」はずの仕舞屋に居たのは? お客が求める貸し物の陰に隠れた悩みや事情を見抜いて収めるお庸の謎捌きが痛快な、 大人気書下ろし時代小説、待望の第二弾!
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4.1今、いちばん勢いのある時代小説作家・朝井まかてが、こよなく愛する江戸の町を舞台に、歌舞伎役者や職人、商売人など様々な生業の人々の姿を、中身の詰まった8編の人情話に仕立てた傑作短編集。 1編目の「ぞっこん」では、「筆」が語り手になる。看板書きだったあるじと「筆」との出会いや情の深まりを、緩急をつけた落語調の文体で読ませる。2編目の「千両役者」は、ぱっとしない歌舞伎役者に千載一遇のチャンスが巡ってくる。もう後がない役者の焦りと、破滅と背中合わせの功名心が生々しく伝わる。3編目の「晴れ湯」は、湯屋(銭湯)を営む家に生まれた少女が主人公。客の戯作者や長屋のおかみさんたちのふるまい、子どもなりの家業への意気込み、江戸で恐れられた火事……。少女は大小のドラマに遭遇しながら、道楽者の父と働きづめの母という夫婦を、一つの男女の形として受け入れていく。続いて、自分のやりたいことを見つけた古着屋の少女が巻き込まれた揉め事に、愉快なオチを付けた4編目「莫連あやめ」。離縁された大喰らいの姉と、彼女を馬鹿にしながら利用する弟の、それぞれの顛末を活写した5編目「福袋」。さらに、女絵師が描いた枕絵が、昔の恋を照らす6編目「暮れ花火」。堅物の家主が、神田祭のお祭掛になってしまった7編目「後の祭」。その日暮らしの遊び人、卯吉と寅次の二人が助けた男からお礼にもらった品で商売を始める8編目「ひってん」。と、まさに福袋のように、何が入っているかわからないワクワク感とお得感。直木賞作家・朝井まかて初の短編集にして、第11回舟橋聖一文学賞を受賞した傑作!
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