国内小説作品一覧

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  • タイガー理髪店心中
    3.4
    1巻1,699円 (税込)
    老いた妻の発作的な豹変に戸惑う夫の緊張感をユーモアと共に描き、選考委員諸氏に絶賛された第4回林芙美子文学賞受賞作「タイガー理髪店心中」。幼少時に亡くした母親の記憶を繰り返し反芻する老女の感慨を描く表題作。独特な土着性で伸びやかな資質を感じさせる大型新人のデビュー作。
  • 風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)
    4.3
    1~2巻1,699円 (税込)
    美術(アート)という名のタイムカプセルが、いま、開かれる――。日本が誇る名画『風神雷神図屏風』を軸に、海を越え、時代を超えて紡がれる奇跡の物語! 20××年秋、京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、マカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンと名乗る男が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてその中に記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。織田信長への謁見、狩野永徳との出会い、宣教師ヴァリニャーノとの旅路……天才少年絵師・俵屋宗達が、イタリア・ルネサンスを体験する!? アートに満ちた壮大な冒険物語!
  • 帝国ホテル建築物語
    4.3
    1巻1,699円 (税込)
    「かたちあるものは必ず滅す。しかし、かたちを成すために命をかけた人々の志は、本書によって神々しく蘇る」阿川佐和子氏推薦! 帝国ホテルライト館建築をめぐる熱き男たちの物語 世界的建築家、フランク・ロイド・ライトの飽くなきこだわり、経営陣の追及……それでも彼らは諦めなかった! そして関東大震災が――1923年(大正12年)に完成した帝国ホテル2代目本館、通称「ライト館」。「東洋の宝石」と称えられたこの建物を手掛けたのは、20世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトだった。明治末期、世界へと開かれた日本において相応しい迎賓館が必要だと気づいた大倉喜八郎と渋沢栄一が、ニューヨークで古美術商として働いていた林愛作を帝国ホテル支配人として招聘したことから、このプロジェクトは始まった。しかし、ライト館完成までの道のりは、想像を絶する困難なものだった――。ライト館の建築に懸けた男たちの熱い闘いを描いた、著者渾身の長編小説。
  • 病巣 巨大電機産業が消滅する日
    3.8
    1巻1,699円 (税込)
    日本を代表する総合電機メーカー芝河電機は社内で粉飾決算が横行していた。買収した米国子会社の原発企業ECCの巨額損失も発覚。証券取引等監視委員会も動きだし、ついには債務超過に陥り、存亡の危機に──。現実よりもリアルで予言的な長篇企業小説!
  • 坂の途中の家
    4.1
    1巻1,699円 (税込)
    最愛の娘を殺した母親は、私かもしれない。虐待事件の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇に自らを重ねていく。社会を震撼させた虐待事件と〈家族〉であることの光と闇に迫る心理サスペンス。
  • 紅い三日月
    4.0
    1巻1,699円 (税込)
    殺すことで、私は変わるのか? 幸せな将来を捨て、彼女がなろうとしたのは“殺し屋”。傷ついた者たちに安息の時は訪れるのか――。大藪春彦賞作家が満を持して放つ衝撃作。父・清隆(きよたか)を銃殺した杉山(すぎやま)と帰宅後、不運にも鉢合わせした塔子(とうこ)は、重傷を負わされてしまう。かろうじて一命を取りとめたものの、半年間の昏睡状態に陥ったのち、奇跡的に目覚めた。犯人・杉山への判決に納得がいかない塔子に、担当刑事の犬伏(いぬぶし)は、「捜査に強い圧力がかかり、十分な捜査ができなかった」と告げる。さらに犬伏は、警察も捜査できない事件を扱う文目屋(あやめや)なる“殺しの集団”の存在を塔子に明かすのだった……。

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  • 濡れた太陽 高校演劇の話 上
    3.7
    1~2巻1,699~1,799円 (税込)
    高校に入学したての相原太陽は、オリエンテーションで独自の「桃太郎」を演出、上演し、絶賛されたことによって脚本を書きたいと思い始める。そのため演劇部に入るのだが、すでに3年生のチームが独占している。そこで太陽は演劇部の「のっとり」を企てて……。演劇部を軸に、絡み合う恋愛、自意識との葛藤、モテない男子のリアルな会話。誰もが自分の高校時代を思い出さずにはいられない、がんじがらめの青春小説!

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  • 影恋
    3.0
    達樹が想いをよせた涼子には、死んでもなお妻に心を残す夫の幽霊が憑いていた。何とか霊と切り離し、涼子を平穏な日常生活に戻らせたいと願う達樹の想いを知りながら、涼子は夫の霊に見守られながら送る静かな生活にも心を断つことができない。達樹が霊の攻撃を受け、涼子が世間と隔絶した生活を選んだとき、この奇妙な三角関係は思わぬ展開に晒されることになった。名手が描く異形の恋、平成版雨月物語。

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  • 樹液そして果実
    4.0
    『若い藝術家の肖像』と『ユリシーズ』を素材にした刺戟的で創見に満ちたジョイス論を幕開けに、『源氏物語』を世界的視野で分析し、後鳥羽院と折口信夫の驚くべき関係を語る。そして、鴎外、紅葉、谷崎から大岡昇平、吉行淳之介までを論じ、さらには金屏風とは何かを探求する。王朝和歌から20世紀のモダニズム文学までを一望する文藝評論集。
  • M資金 欲望の地下資産
    3.7
    1巻1,694円 (税込)
    「私達のM資金は本物です」 「やっぱりあれはあったんですね…」 昭和から次々と大企業経営者たちが飲み込まれてきた「M資金詐欺」。 令和にもなお黒く輝き続ける“幻”の正体を追う。 [目次] 第1章 M資金の誕生 第2章 令和のM資金詐欺 第3章 M資金を操る詐欺師たち 第4章 M資金に群がる経済人たち 最終章 M資金は増殖する
  • 誰にも奪われたくない/凸撃
    3.6
    1巻1,694円 (税込)
    どうして私たちは、ひとりきりで存在できないの。業界関係者の新年会で知り合った作曲家のレイカとアイドルの真子。二人は倦んだ日々からこぼれる本当の言葉を分け合う。気鋭の作詞家初小説。
  • 鳥と港
    NEW
    4.7
    1巻1,683円 (税込)
    “これから”の働きかたの物語。  大学院を卒業後、新卒で入社した会社を春指みなとは九ヶ月で辞めた。所属していた総務二課は、社員の意識向上と企業風土の改善を標榜していたが、朝礼で発表された社員の「気づき」を文字に起こし、社員の意識調査のアンケートを「正の字」で集計するという日々の仕事は、不要で無意味に感じられた。部署の飲み会、上司への気遣い、上辺だけの人間関係──あらゆることに限界が来たとき、職場のトイレから出られなくなったのだ。  退職からひと月経っても次の仕事を探せないでいる中、みなとは立ち寄った公園の草むらに埋もれた郵便箱を見つける。中には、手紙が一通入っていた。 「この手紙を手に取った人へ」──その手紙に返事を書いたことがきっかけで、みなとと高校2年生の森本飛鳥の「郵便箱」を介した文通が始まった。  無職のみなとと不登校の飛鳥。それぞれの事情を話しながら「文通」を「仕事」にすることを考えついたふたりは、クラウドファンディングに挑戦する。 『ブラザーズ・ブラジャー』『人間みたいに生きている』の新鋭が描く“これから”の働きかたの物語!
  • ビー玉
    -
    1巻1,683円 (税込)
    主人公は、東京で生活するようになって十七年の正和。夏休みを過ごすため故郷に戻ってきた。そこは福島県いわき市の小さな漁村、薄磯。子どものころは「何もない退屈な村」と正和自身も思っていたが、過去を思い返すうち、そうではなかったことに気づいていく。この物語には、東日本大震災を乗り越え、故郷のために力を尽くすことを決意する人々の想いが詰まっている。
  • 昭和の青春物語
    -
    1巻1,683円 (税込)
    「今後の数百年を経て、大きな時代の転換点として私の生きてきた昭和は回顧されるものと思います。何が変わったのか?」(「おわりに」より)。“昭和”と聞いて、あなたは何を感じますか? 将来への確かな切符を手に入れるため、二郎が向かった先には──。今の世に迷いを持っている人たちに贈る、〈生き抜く〉術がわかる、米寿を直前にした男の自伝的小説。
  • 荒野は群青に染まりて 暁闇編
    4.5
    1~2巻1,683~1,980円 (税込)
    太平洋戦争に敗れ、大陸からの引揚船で、中学生の阪上群青は母とはぐれ、直後に何かが海に落下する音を聞いた。その場に居合わせたのは、赤城壮一郎という男。さらに謎の男が現れ、「赤城が君の母親を突き落とした」と告げられる。母の失踪に赤城が関係しているのか。疑惑がぬぐえないまま、行く当てのない群青は、赤城と共に焼野原を生きることに。戦後の混乱期、上野の闇市で商売をするうちに、人々が衣食の次に必要なのは「清潔」だと気づき、二人は仲間たちと石鹸会社を立ち上げた。ともに困難に立ち向かう日々の中、群青にとって赤城がかけがえのない存在となっていく。だがそんな時、引揚船の男が再び現れ、衝撃の事実を群青に伝えた。果たして二人の行きつく未来は……。敗戦の焦土から立ち上がれ。混沌の時代を生き抜いた男たちの、反骨と絆の物語。
  • 罪の境界
    4.0
    無差別通り魔事件の加害者と被害者。 決して交わるはずのなかった人生が交錯した時、慟哭の真実が明らかになる感動長編ミステリー。 「約束は守った……伝えてほしい……」 それが、無差別通り魔事件の被害者となった飯山晃弘の最期の言葉だった。 自らも重症を負った明香里だったが、身代わりとなって死んでしまった飯山の言葉を伝えるために、彼の人生を辿り始める。この言葉は誰に向けたものだったのか、約束とは何なのか。
  • 闘え! ミス・パーフェクト
    3.7
    元エリート官僚、総理の娘。――真波莉子に敵現る。 完璧女VS敏腕女! 人気のないキャバ嬢どうする? 給食異物混入の犯人は? 正々堂々と産休をとりたい! ど田舎にロックフェスを誘致? パワハラ男をどうにかせよ! かつての上司が自殺? 「わかりました。その問題、私が解決します」 女の人生難問だらけ。男と戦う暇はなし。 頑張る女性応援世直しエンタメ、好評第二弾!
  • 潜熱
    4.1
    1巻1,683円 (税込)
    直木賞、山本周五郎賞はじめ、大佛次郎賞、中山義秀文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、島清恋愛文学賞を受賞など、あまたの文学賞を受賞した実力波作家が、書くことをテーマに、真正面から向きあった力作長編小説。昭和から、平成、令和へと生涯を通して、書くことへの飢えを希求した一人の男の魂の変遷を描く。
  • 見つけたいのは、光。
    4.2
    私たち、何を、 どこに向かって、 頑張ればいいの──? 亜希と茗子の唯一の共通点は育児ブログを覗くこと。 一人は、親しみを持って。一人は、憎しみを抱えて。 ある日、ブログ執筆者が失踪したことをきっかけに、 二人の人生は交わり、思いがけない地平へと向かう。 自分だけの光が見つかる、心震える物語。 「気づいたら、子供の話しかできない人間になっていた」 亜希(35) 妊娠を告げた派遣先で雇い止めにあい、現在育休中で求職中。 一歳の息子の保育園を探しているが、無職のためハードルは高い。 「何かを得たのに、何も失わずにいられると思っているなんて図々しいにも程がある」 茗子(37) 過去、後輩にマタハラで訴えられてから「若い女子」が苦手。 妊娠した同僚の仕事のフォローが辛い。
  • CF
    3.9
    1巻1,683円 (税込)
    卑俗にして至聖、極微にして極大、さらには極北。 この小説家はほんとうに恐ろしい。 花村萬月 せっかく読んでいた物語が、CFのせいでグチャグチャになる。 それは全部CFのせいなんだけど、そもそも何の為にこれを読んでいるのかとCFは思わせてくる。 そこからはもう、CFにまるごと委ねれば楽になる。 CFが全部やってくれる。CFが知っている。CFに行きたい。 尾崎世界観 クリープハイプ 罪の責任を取る必要がない”無化”を行ってくれる超巨大企業・Central Factory。 加害者のみならず被害者の苦しみも取り除いてくれる夢のような技術を持ち、世を平穏へと導いている。 が、それに疑問を持つ男がひとり。男はCFへのテロを計画していた。 人生に上手く馴染めないキャバクラ嬢、能面のような夫の表情に悩む主婦、少女へ恋する中学生、自由を持て余すホームレス、CFの布教に勤しむ老婆、CFでの労働によって犯罪の清算をする中年、社長の著作代筆作業に行き詰まるCF広報室長。 そして、CFの欺瞞を暴こうとテロを計画する男。 CFCFCF。 CFをめぐり、人々は交錯する。 罪とは何か。責任のとり方を問う群像劇。
  • 脱北航路
    4.0
    「彼女は無理やりこの国に連れてこられただけなのだ」 この女性(拉致被害者)を連れて、日本に亡命するーー。 祖国に絶望した北朝鮮海軍の精鋭達。 45年前、島根の海岸で拉致された日本人女性。 彼らを乗せた潜水艦が辿る壮絶な運命とは? 「お父さん、お母さん……日本に帰りたいよっ」 北朝鮮の陸海空軍による大規模軍事演習。国の威信をかけたこの行事で、桂東月(ケ・ドンウォル)大佐は潜水艦による日本への亡命を決行した。しかも、拉致被害者の女性を連れて--。だが、そんな彼らを朝鮮人民軍が逃すはずがない。特殊部隊、爆撃機、魚雷艇、対潜ヘリ、コルベット艦、そして……。息つく間もなく送り込まれる殲滅隊の攻撃をくぐり抜け、東月達は日本に辿り着けるか? 極限状況ゆえに生まれる感涙の人間ドラマ。超弩級エンターテインメント!
  • 階段ランナー
    3.8
    1巻1,683円 (税込)
    挑んだ階段総数 3500段超え ゴールは京都駅大階段! 一段上がるたびに、 違う景色が見えてくる! 青春真っただ中にいる人 そして青春を懐かしむ人にも まだ先に進めると思わせてくれる。 (あおい書店富士店 鈴木裕里) 若きふたりの姿には、 まぶしいほどの希望とともに 未来は切り開けると 信じさせてくれる力がある。 (本の森セルバ ブランチ岡山店 横田かおり) 家族のトラブルで水泳部を退部した奥貫広夢。 卓球全日本選手権で突然、 体の異変に見舞われた三上瑠衣。 高校二年生の二人は それぞれに悩みを抱えていた。 前向きになるきっかけを作ってくれたのは 階段との出会いだ。 「決意の階段」「勝負の階段」 「あきらめない階段」――。 社会科教師、高桑がブログで紹介する記事を 読むうちに、二人は階段に魅了されていく。 ある日、高桑から 「京都駅大階段駈け上り大会」 の存在を教えられる。 171段をチームでダッシュする タイムアタック戦だ!
  • 【合本版】漂砂の塔(上下巻)
    5.0
    雪と氷に閉ざされた北方領土の離島・春勇留(はるゆり)島、ロシア名はオロボ島。日中露合弁のレアアース生産会社の日本人技術者が、両目を抉り取られた死体となって発見された。国際問題に発展しかねない重要事件として、捜査権が及ばないこの島に送られたのは、ロシア系クォーターで語学が堪能な警視庁の石上だった。極限状態で信じられるのは誰なのか。三ヵ国の思惑が交錯し、果てしなき欲望が渦巻く! 一気読み必至の超弩級冒険小説。上下巻を1冊にまとめた合本版。
  • トツ!
    4.0
    生き抜くことを諦めるな!生死を賭けて任務に挑むSAT隊員たちの 熱い闘いと絆を描いた、衝撃的クライムサスペンス。 原宿駅周辺で銃乱射事案が発生。 多くの死傷者が出たが、 警視庁特殊部隊SAT制圧班(通称トツ)が緊急出動し、 犯人を制圧。 しかし、ある被害者女性が遺した「謎の言葉」が頭から離れない 班長・南條は許されない独自調査をスタートする。 手がかりを追ううちに、四日後の中国首脳来日に 危機が迫っていることが分かり――
  • 月の客
    3.0
    書かれたとおりに読まなくていい。どこから読んでもかまわない。一気読みできる本のように、一望して見渡せる生など、ない。「小説の自由」を求める山下澄人による、「通読」の呪いを解く書。父はおらず、口のきけない母に育てられたトシは、5歳で親戚にもらい子にやられた。だがその養親に放置され、実家に戻ってきたのちトシは、10歳で犬と共にほら穴住まいを始める。そこにやってきたのは、足が少し不自由な同じ歳の少女サナ。サナも、親の元を飛び出した子どもだった――。親からも社会からも助けの手を差し伸べられず、暴力と死に取り囲まれ、しかし犬にはつねに寄り添われ、未曽有の災害を生き抜いたすえに、老い、やがていのちの外に出た<犬少年>が体験した、生の時間とは。
  • 嫁ぐ日 狸穴あいあい坂
    3.3
    元火盗改方与力の祖父と麻布狸穴町で暮らす結寿が、八丁堀同心の妻木道三郎とともに、界隈で巻き起こる事件の謎を解き明かす大人気シリーズ。妻木への初恋を胸の奥にしまい、御先手組の小山田家へ嫁いだ結寿。やがて夫の万之助と心を通わせあい、娘の香苗が誕生。ところが、予期せぬ出来事が婚家を襲う。辛い別れを経て狸穴町へ帰った結寿。懐かしい人々との穏やかな毎日が始まるかと思いきや、かつてのように、妻木とともに様々な事件の解決に走り出すことに。押し込み騒動、花魁殺し、子攫い……。罪に苦しむ人々の心を解きほぐすうちに、結寿自身の心にも変化の時が訪れて――。
  • トリニティ、トリニティ、トリニティ
    -
    オリンピックに沸く2020年夏の東京。「目に見えざるもの」の怒りを背負った者たちが立ち上がる――ノンストップ近未来長編! ○「20世紀最大の呪いは、原子力の発見とその実用化だった。小林エリカは核に取り憑かれた作家だ、いや、核に取り憑いた巫女だ。その予言は私たちを震え上がらせる」――上野千鶴子氏(社会学者)
  • トッピング 愛とウズラの卵とで~れえピザ
    3.0
    「今日は、で~れえ暑いねぇ」。岡山弁が飛び交う奉還町商店街で、雑貨カフェ「セワーネ(岡山弁で大丈夫という意味)」を営んでいるあゆみ。夫の雅彦は毎日大忙しだ。福男になりたくて西大寺裸祭りに参加するものの失神。早く帰宅したいから部長を辞めさせてくれと社長に直訴。妻のためだ。一昨年に発見された乳がん。手術も治療も順調だが心配でならない。雅彦の行動はすべてあゆみを元気づけたい一心からだ。雅彦の愛の“暴走”は日々加速する。そしてある日、雅彦はあゆみのために“で~れえ(すごい)”ことを思いついた!! ユーモラスな筆致ながら、夫婦や家族のあり方を問う、川上ワールド全開のハートウォーミングな家族小説。あなたはここまで妻を愛せますか!?
  • 失踪.com 東京ロンダリング
    3.7
    「またロンダリングをやってくれないか」。事故物件をロンダリングする人達、それに関わる者が次々と相場不動産を去っていく背景に、妨害工作の動きを察知した調査役の仙道は、ある事実を突き止める。市井の不動産屋のために巨大勢力と戦おうと立ち上がった仙道だが――。前作『東京ロンダリング』で注目を浴びた作者が、5年の時を経て新たに大都市・東京の鬼門を突く! 「事故物件を単なる恐ろしいものとしてではなく、現実的な事情も含めて丁寧に描いている」(大島てる・事故物件公示サイト運営)【目次】うちの部屋で人が死んだら/君に栄光を捧げよう/幽霊なんているわけない/女が生活保護を受ける時/地方出身単身女子の人生/失踪、どっと混む/昔の仕事/大東京ロンダリング/あとがき
  • 緑と赤
    3.8
    1巻1,683円 (税込)
    どうして伝わらないのだろう。こんなに近くにいるのに。2013年夏、大学三年生の金田知英は、友人と夏休みに海外旅行へ行くため、パスポートを取得した。自身が在日韓国人であることは知っていたが、「韓国人であること」を意識しないように育てられた知英は、パスポートの色を見て、改めて自分の国籍を意識した。知英の友人でK-POPが大好きな梓、新大久保のカフェで働く韓国人留学生のジュンミン、ヘイトスピーチに憤り抗議活動に目覚める地方在住の良美、日本に帰化をしたのち韓国で学ぶことを選んだ龍平、そして知英。自分は「なにじん」なのか、自分の居場所はどこにあるのか、隣にいる人とわかり合えないのはなぜなのか。ふたつの国で揺れる知英の葛藤と再生を中心に、五人の男女が悩みながらも立ち上がる姿を描く傑作長編。 「馴染まない。生まれて初めて手にするパスポート。赤や紺ではない、濃い緑色。表には、まったく読めないハングル文字。英語で、REPUBLIC OF KOREAとも書かれている。ページを開くと、まぎれもない自分の顔がそこにあった」――(本文より)
  • 海辺のモザイク
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 とつぜんの転勤で、北の海辺にやってきた松崎一家。なまり色の海に黒い砂。それまで住んでいた明るい瀬戸の海辺と比べては、気を滅入らせる。小六の卓は不登校に。中三の明日香はあやしげなグループに。父さんはつまずきかけ、母さんはヤキモキして…。そんな中でも、新しいたくさんの出会いがあり、また別れもあった。いま、親と子は、それぞれに言葉をさがしはじめる。語り合いたい!わかり合いたい!と。ヤング・アダルトに贈る文芸シリーズ第一作。 ※本書は2001/2/13にてらいんくより刊行された書籍を電子化したものです。
  • 昔の音 今の音
    -
    明治37年、新橋の宗十郎町に生まれた著者は、95歳のいまなお、句を読み、絵を描き、三味線を弾く。そして往日の新橋・銀座情緒を語りつぐ。 (※本書は1999/3/1に株式会社 展望社より発売された書籍を電子化したものです)
  • トオル 事故と臓器
    NEW
    -
    1巻1,672円 (税込)
    息子の臓器が狙われる! 平成が始まった頃、浪人生のトオルは犬の散歩中に、バイク事故に巻き込まれ、頭部に重傷を負い病院に救急搬送された。母まさ子は夫とともに病院にかけつける。一命をとりとめたトオルだったが、動くことはおろか、喉にカテーテルがつながれ話すこともできない。相部屋の青年がなくなり、半狂乱になった彼の母親は「臓器をうばうために息子は殺された」とまさ子に訴える。「トオル君もきっと」と。不衛生な病室、不自然な医師や看護師の態度。トオルも殺されるのではないか!? まさ子の不安は募る……。

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  • まいまいつぶろ
    続巻入荷
    4.1
    1~2巻1,672~1,881円 (税込)
    ●週刊ダイヤモンド(2023年6月10・17合併特大号)書評掲載(評者:昼間匠[リブロプラス商品部]) ●読売新聞(2023年6月13日付)書評掲載(評者:川村律文[読売新聞文化部]) ●日経新聞(2023年6月15日付)書評掲載(評者:縄田一男[書評家]) ●週刊現代(2023年7月1日・8日号)書評掲載(評者:東えりか[書評家]) 口が回らず誰にも言葉が届かない、歩いた後には尿を引きずった跡が残り、 その姿から「まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ馬鹿にされた君主。 第九代将軍・徳川家重。 しかし、幕府の財政状況改善のため宝暦治水工事を命じ、田沼意次を抜擢した男は、本当に暗愚だったのか――? 廃嫡を噂される若君と後ろ盾のない小姓、二人の孤独な戦いが始まった。
  • あやふやで、不確かな
    5.0
    考えていることなんて伝わらないし、言葉はあいまいだ。 だから私たちは、伝える努力をしなくちゃいけない。 瑞々しい感性が光る、恋愛連作短編。 どこにでもいる普通の女の子、冴。冴からの愛を信じられなくなった伸。友人が恋人と別れたことをきっかけに、自分が恋人のことを愛しているかわからなくなった成輝。逆に、恋人との絆を強くした智世。冴のことが嫌いだけど好きで忘れられない真澄――。4組それぞれが抱える恋心を丁寧に描く。 〈宮田愛萌さんコメント〉 宮田愛萌です。この度『あやふやで、不確かな』を出版させていただくことになりました。私はいつも、他者とのコミュニケーションとは難しいものだと思っています。自分以外の人間と完全にわかりあうことなんて不可能であるのに、わかり合えたらと願ってしまう。そういう矛盾がなんかいいな、と思ってこのお話を書きました。 書き終えた今でも、私は登場人物たちとはわかり合えそうにありませんし、書いている時も喧嘩ばかりでしたが、それでも良い関係が作れたのではないかと思っています。 冴たちの物語を、たくさんの方に受け取っていただけたら嬉しいです。 よろしくお願いします。
  • 永田町のシンデレラ
    3.0
    日本初の女性総理が、腐った政界をぶっ壊す! 日本の政界に巣食う諸悪の根源を徹底的に炙り出す、痛快政治小説! キャスター出身の女性政治家・松嶋玲子。少子化対策担当大臣として奮闘するが、夫の敏腕トレーダー・圭とは不仲でほとんど会話がない。そんなある日、総理が倒れ、予期せず総裁選に出馬する羽目に——。玲子は魑魅魍魎蠢く永田町を浄化し、未来への礎を築くことができるのか。間違いだらけの日本政界に一石を投じる、傑作政治小説。
  • 捨てたい人 捨てたくない人
    3.4
    これは、捨てる! あれも、捨てる……? 溢れかえる洋服、本、フィギュア、溜め込んだカップ麺、レトルトカレー、非常食、密かに隠した写真に手紙……。他人事ではありません! 身内の身の回りを“断捨離”しようとする人たちの、右往左往に大共感の連作小説。 「捨てられない姉 捨てさせたい妹」 43歳・独身のトモコは引っ越しのため洋服を処分しようとするが、あれこれ思い出してなかなか進まない。14歳下の妹・マイ(元セレブ妻)は手伝わないくせに口は出し、どんどん捨てさせようとし、捨てる代わりに新しい洋服をプレゼントすると言う。 「息子の嫁の後始末」 息子の妻が突然、姿を消してしまった。彼女が残した荷物を整理するハメになったタダシは、ため息をつきながら、心でツッコミを入れながら、大小雑多な“ゴミ”と格闘するのであった。 「本好きとフィギュア好きの新居問題」 フィギュア好きの同僚・ヨシノリと結婚することになった、本好きのサエコ。2LDKの新居を決めたけれど、それぞれの本とフィギュアはある程度処分しないと、到底収まりそうにない。週末ごとに本を整理するサエコだったが、ヨシノリは作業している様子がまるでない。 「溜め込みすぎる母」 母に呼び出されて実家に帰ったトモミ。用件は大量に溜め込んだ食料品の整理だった。ミネラルウォーター、各種缶詰、レトルトカレー……極めつきは396個のカップ麺。トモミは母を説教したり機嫌を取ったりしながら、片っ端から片付ける。 「夫の部屋」 娘のナオミが中学受験の頃、アイコの夫の不倫疑惑が持ち上がった、それからもずっと疑惑が払拭されないまま60歳で退職した夫が検査入院することになった。ナオミはこの機会に父親の部屋に入って不倫の証拠を暴いてやろうと、アイコをけしかける。夫の部屋から出てきたのは……。
  • そしてレコードはまわる
    3.0
    恋も、涙も、事件の答えも――。ぜんぶ”音楽”が教えてくれた。 東大卒、現役アイドルプロデューサー兼作詞作曲家。 異色の経歴を持つ著者がおくる、衝撃のデビュー作。 二人の別の人間が、偶然全く同じ音楽を作ることがあるのだろうか? 音楽プロデューサーの渋谷かえでが、ある仕事の相談のために大学の恩師を尋ねると、逆に奇妙な相談をされてしまった。今、日本で屈指の実力を誇る音楽家「蜂谷輪廻」。彼の新曲『恋の作法』が、教授が子供の頃に作った曲と瓜二つだというのだ。教授の知人として紹介された天才作詞家・猫宮と共に、盗作疑惑の真偽を調べることに。教授の勘違いだろうと思っていたかえでだったが、次第に蜂谷の盗作である根拠が明らかになっていく――。アイドルの失踪騒動 、デビューの意思を持たない天才ストリートシンガー……。音楽を愛する全ての人におくる、音楽業界連作ミステリ―。
  • 猿の戴冠式
    3.9
    1巻1,672円 (税込)
    ある事件以降、引きこもっていたしふみはテレビのなかに「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ向かう。言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ”シネノ”と邂逅し、魂をシンクロさせ交歓していく――”わたしたちには、わたしたちだけに通じる最強のおまじないがある”。 幻想と現実が互いに侵蝕していく圧倒的筆致。 人間存在の根源的な闇に光をあてる”唯一無二の才能”。
  • 書きしごと。
    4.0
    今をときめく人気芸人の皆さんへ。 「Q.面白い小説を書いてみてください。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 吉住さんへ。 「Q.ゾッとするようなサスペンス小説を書いてください」 ぴろ(キュウ)さんへ。 「Q.心があったまるような日常系小説を書いてください」 ニシダ(ラランド)さんへ。 「Q.内面がえぐられるような小説を書いてください」 石橋遼大(四千頭身)さんへ。 「Q.甘酸っぱい青春小説を書いてください」 上田航平さんへ。 「Q.シュールなSF小説を書いてください」 布川ひろき(トム・ブラウン)さんへ。 「Q.とにかくぶっ飛んだ小説を書いてください!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー →答えは本書にて!
  • 星を編む
    4.6
    1巻1,672円 (税込)
    ☆2023年本屋大賞受賞作 シリーズ最新作☆ 第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編 花火のように煌めいて、 届かぬ星を見上げて、 海のように見守って、 いつでもそこには愛があった。 ああ、そうか。 わたしたちは幸せだった のかもしれないね。 『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語 「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは? 「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。 「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
  • トゥデイズ
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    どこにでもある日常が、どうしてこんなに愛おしいんだろう。かけがえのない「今日」を描く、芥川賞・大江賞作家の最新作。 夫婦と5歳の息子が暮らす築50年の大型マンションに、今日もささやかな事件が降りかかる――。日本に「住む」すべての人へ、エールを送るマンション小説! 「しゅっ」「ぱーつ!」――5歳の息子コースケと僕たち夫婦は、今日も小さな冒険の旅に出る。子育てのため、郊外にある大規模マンション「Rグランハイツ」に引っ越してきた美春と恵示。管理組合の理事になった妻とリモートワークの夫は、築50年のマンションに集まり住む住人たちとともに、どこにでもあるけれど、かけがえのない日々を重ねていく。
  • 肌馬の系譜
    3.4
    元始、男性は種馬であった。 そして、女性は、 その相手をする肌馬であった。 声高に叫ばれるモラルや常識の陰で、 ひっそりと漂う“現代の吐息”を描き出す、至芸の作品集。 「あたしは、肌馬そのものだったねえ」。自らを繁殖牝馬になぞらえた呟きをきっかけにこぼれ出す、母娘三代の密やかな本音を綴った表題作「肌馬の系譜」。 数々の言葉を禁句にし、男女のベッドの中にまで持ちこまれるPC(ポリティカル・コレクトネス)に女流作家・山川英々が憤慨する「F××K PC」。 歌舞伎町に流れ着いたホストと立ちんぼ、身元不明の匿名カップルの破滅的な青春を描いた「ジョン&ジェーン」。 ……など、バラエティに富んだ珠玉の13篇を収録!! 現代最高峰の短篇小説の名手が贈る、超贅沢傑作作品集!!
  • 同じ星の下に
    4.3
    この誘拐犯が、わたしの本当のお父さんだったらいいのに——。 号泣、必至! 最後に待ち受ける驚愕の真相と、最後の最後にもたらされる大きな感動。 同級生はみな幸せそうだ。なのになぜ、わたしだけが、これほど不幸な目に遭い続けるのだろう。 12月の北海道。中学2年の少女・沙耶(さや)は、自分を日常的に虐待をしてきた両親が、今夜、海で自分の殺害を計画していることを知っていた。ところが下校途中「児童相談所の職員」を名乗る男の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。監禁下の交流から、ふと彼女は、男が、じつは「本当の父親」ではないかと疑い始める。一方、男は身代金2000万円が目的の営利誘拐であると犯行声明を北海道警察に送りつけ、粛々と計画を進める。男は一体、誰で、目的は何なのか?
  • おあとがよろしいようで
    4.3
    人は皆、出会ったものでできている。 金も夢も友もない上京したての大学生・暖平。 ひょんなことから落語研究会に入ることになり、 “背負亭(しょいてい)こたつ”として高座に立つ羽目に!? 累計100万部突破の名手がおくる、 新しい自分に出会える人生応援小説。 あらすじ 大学進学を機に群馬から上京したばかりの門田暖平は一人、新品のこたつを亀の甲羅のように背負い佇んでいた。配送料が払えず自力で下宿に持ち帰ろうと思ったが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことができない……。 途方にくれる暖平の前に、一台のワゴンが停まる。乗っていたのは、入学式当日、構内で落語を演っていた落語研究会の部長・忽那碧だった。落研に誘われるが、金もなく、コミュニケーションにも自信がなく、四年間バイト生活をして過ごすつもりだと語る暖平。 「必要なのは扇子一本。あとは座布団さえあればどこでもできる」という碧の言葉に背中を押され、暖平の人生が大きく動き出すーー。 ・「面白さ」「上手さ」は一つじゃない ・明日が来るのが楽しみになるくらい準備する ・徹底的に同じ型を踏襲し、初めて個性は爆発する ・追い詰められてはじめて、人は真価を発揮する ・どんな時も楽しむ。自分がやりたいことをやる
  • ハジケテマザレ
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    バイト仲間のYouTuber彼氏を襲撃、先輩に誘われて初めてのクラブで爆踊り、激辛フェスで後輩のプロポーズをプロデュース…… 「普通は尊いし、普通は貴重だし、普通はむしろ普通じゃありません」 コロナで派遣切りにあった「私」は食い繋ぐためにイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」に辿りつく。ベテランのマナルイコンビ、超コミュニカティブでパーリーピーポーのヤクモ、大概の欠点ならチャラになるくらいかわいいメイちゃん、カレーとDJに目覚めたフランス人のブリュノ、ちょっとうさんくさい岡本くん……バイト仲間との愉快で切実な日々を描いた作品集。 「ウルトラノーマル」なわたしが「ハジケテマザル」、最高のバイト小説!
  • 隣人を疑うなかれ
    3.7
    鮮烈デビューから作家生活10周年。 『記憶屋』『花束は毒』の著者、最新本格ミステリー! 連続殺人、 かもしれない。 羊の群れに狼が潜んでいるなら、 気づいた誰かがどうにかしなければ、狩りは終わらない。 死体はない、証拠もない。だけど不安が拭えない――。 ご近所さんのこと、どれだけ知っていますか? 「殺人犯が同じ建物内にいるってのはぞっとするけどな」今立晶(パート主婦) 「模倣犯じゃなくて、本人って可能性もゼロじゃない」小崎涼太(事件ライター) 「近くで起きた事件ですもんね。私も気になってました」土屋萌亜(マンガ家) 「素人探偵の思い込みの推理を聞いている暇はないの」加納彩(主婦) 「近所に怪しい奴がいるみたいな情報提供はときどきあるよ」加納行広(刑事) 「ここは住人同士のトラブルはなく、かなり平和なほうだ」寺内嵩(マンション管理人) 「プライベートには踏み込まないくらいがちょうどいい」幸田佐知子(シングルマザー)
  • 猫弁と狼少女
    4.5
    1巻1,672円 (税込)
    累計40万部突破、大人気「猫弁」シリーズ最新作! 冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。 婚約者である大福亜子と同居中で、幸せをかみしめている。 猫がらみの脅迫事件の依頼を受けて調査中、未成年者略取の疑いをかけられて留置場に! 当番弁護士の、「透明人間」こと沢村透明以外との面会を断り、事件については黙秘を貫く百瀬。 警察から連絡ももらえず蚊帳の外に置かれた亜子は、百瀬を信じ切れるのか。 振り切った亜子がとった行動とは。 沢村透明のもとに武者修行に出ていた縁から一緒に百瀬のために奔走する直は、そのなかで自らの進む道を見つける。 七重と野呂は相変わらずの賑やかさで百瀬を信じ、支え、事務所を守っている。 百瀬は留置場でも法律相談会を開いている。 そして自らの過去を振り返る。 【百瀬太郎】という人間は、どうやって形成されたのかーー「猫弁エピソード0」とも言える作品です。 今まで「猫弁」を読んだことがない人でも大丈夫! 今作からでもお楽しみいただける、そんな優しくあたたかい作品です。
  • どうしようもなく辛かったよ
    3.3
    1巻1,672円 (税込)
    第17回小説現代長編新人賞受賞作 受賞時高校三年生。現在大学一回生。 選考委員絶賛! 一つずつの感情を丁寧に掬い上げて、かつ容赦なく紡いである。 ――朝井まかて 最後の場面に、時を超えて自分の中学生時代を思い出しました。 ――中島京子 若さの身勝手さ、残酷さ、幼さゆえの気取りまでをストレートに描ききっている。 ――凪良ゆう 思想があると感じさせられる。 ――宮内悠介 この物語には、心に突き刺さる得難いセンスがある。 ――薬丸岳 青春の輝きとそこにのびる影、苦み 「特別になりたい」「ルールを破りたい」少女たちの卒業までの日々が、始まった。 あらすじ 「特別になりたい」と願う中学生の若菜は、日々、バレー部での練習に明け暮れていた。しかし三年生になると、顧問の異動によってチームは大きく動揺してしまう。若菜の「ある提案」によって落ち着きを取り戻したチームは、最後の大会へ向かうのだが――。 夏から、少女たちは「それぞれの最終学年」に直面することになった。学業優秀な真希、学校を休み続ける愛美、裏と表をうまく使い分ける桜、ルールから逸脱することができないくるみ。部活というつながりを失った少女たちが隠してきた本心、我慢してきた関係性。少女たちの卒業までの日々が、始まった。
  • 戦時文通恋物語
    -
    1巻1,672円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 太平洋戦争はアメリカ等の連合国が絶対正義で日本が絶対悪なのか? 平和主義者で家族と幸せに生きる事を誰よりも願っていた好青年がなぜ特攻隊に志願し、海の藻屑と消えたのか? どうしても生きたい、生きて結婚し、幸せになりたいと心の底から願っていた男女の悲しき愛の文通物語。
  • 奈良監獄から脱獄せよ
    3.4
    時は大正。舞台は日本で最も美しい監獄――。 繊細な数学教師×天真爛漫な印刷工 無実の罪で収監された凸凹バディの武器は、頭脳と胆力。 監獄は人が作ったものに過ぎない。僕が、この問題を解いてみせる。 数学教師の弓削は冤罪で捕まり、日本初の西洋式監獄である奈良監獄に収監されていた。ある日、殺人と放火の罪で無期懲役刑となった印刷工の羽嶋が収監される。羽嶋も自分と同じく冤罪だったことを知った弓削は、彼とともに脱獄をたくらむ。典獄からの嫌がらせ。看守の暴力で亡くなった友人。奈良監獄を作った先輩からの期待。嵐の夜、ついに脱獄を実行する――。 人気BL作家が描く、究極の友情。
  • 不実在探偵の推理
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    いつだって僕は彼女の助手だ。目には見えない、“名探偵”の彼女の。 マンション内で女性が毒死した。その手に藍の花を強く握りしめて。 殺人か、それとも自殺か。 立て続けに、彼女の恋人も自殺を図る。 途方に暮れた刑事の百鬼は、烏丸とともにある“名探偵”を頼りにいくーー。 Q.藍の花を握って恋人が死んだのを聞かされた男が自殺したのはなぜか 謎はすべて解けている。あとはその名探偵の推理を知るだけだ。 目に見えない彼女と会話をするには、サイコロをふる。出た目が1なら「はい」、2なら「いいえ」、3なら「わからない」。 質問を重ねて、真実に辿り着け。 新感覚の水平思考×ミステリー!
  • アリアドネの声
    4.1
    巨大地震発生。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。 光も音も届かない絶対的迷宮。 生還不能まで6時間。 想像の限界を超えるどんでん返し。 救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。 崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。
  • ニケを殺す
    3.0
    1巻1,672円 (税込)
    妻が事件に巻き込まれたあの日から、俺の時間は止まった。意識を取り戻さない彼女がひた隠していた暗い運命とは。焼失していたはずの古代彫刻「ニケ」――勝利の女神の魅力に翻弄される人間たちを描く物語。
  • 夜のだれかの岸辺
    3.1
    1巻1,672円 (税込)
    「毎晩、添い寝してほしい、ついでに朝ごはんもいっしょに食べてほしい」 19歳の春、茜は89歳のソヨミに雇われ、風変わりなアルバイトを始めた。 Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞の『あなたに安全な人』に続く最新作。 「当時の私は大学にはゆかず浪人しているわけでもなく、漠然と、映画に係る仕事をしてみたい、と望んではいたものの、 憧れる都心のミニシアターのバイトに応募しては履歴書で落とされていた。 ひと月でおよそ九万円。家の食費も浮く。妥当な金額に思えた添い寝を、試してみることにした。」(本書より)
  • 青木きららのちょっとした冒険
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    そっちはどうですか? あいかわらず最悪ですか? こっちはこっちでまぁまぁ最悪かな! 無責任な暴力、すれ違う意識、のしかかる思い込み―― 8人のきららの8つの人生が照射する 残酷でかすかにあたたかい世界の物語   人気モデル兼女優の偽物、痴漢された女子高生、特別な日を撮影するカメラマン、推しの若き死を願う会社員…… あちこちに現れて 誰かであり 誰でもない 名前のない私たちみんなが 「きらら」として生き抜いている
  • 思い出リバイバル
    3.4
    1巻1,672円 (税込)
    ひとつだけ、過去を「再上映」できるとしたら。今だから気付けることがあるーー思い出とは、未来へ一歩踏み出す自分を支えてくれるもの。 思い出をひとつだけ「再上映」してくれる不思議な存在、映人。 過去を変えることはできないが、今の自分の視点でもう一度過去を見直すことができる。 幸せだった頃を取り戻したい人、後悔にけりをつけたい人……映人に再上映を依頼する理由は様々だが、受けるか受けないかは映人なりの基準があったーー。 幸せなものでも、苦しいものでも、自分にとって価値があって大切なものだと心から思えたら、きっと「これから」が変わっていく。 思い出を再体験した依頼人たちは、何を得るのか。 そして、映人の正体と目的とは。
  • 老害の人
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』に続く「高齢者小説」第4弾! 定年、終活、人生のあとしまつ……。 自分のこと、親のこと、いずれは誰もが直面する「老後」。 「最近の若い人は……」というぼやきが今や「これだから『老害』は」となってしまった時代。 内館節でさらなる深部に切り込む!
  • 遠い指先が触れて
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    「一緒に、失くした記憶を探しに行こう」。彼女の言葉で、僕らの旅は始まった。 過去を奪うものたちに抗い、ままならない現在を越えていく、〈愛と記憶〉をめぐる冒険。 デビュー作『鳥がぼくらは祈り、』、芥川賞候補作『オン・ザ・プラネット』を超える、鮮烈な飛躍作! 「ねえ、覚えてる?」--両親を知らずに育ち、就職した僕〈一志〉のもとに、見知らぬ女性が訪れる。 〈杏〉と名乗る彼女は忘れていた過去を呼び起こし、僕の凡庸で退屈な日常が変化していく。 〈不可視のシステム〉に抵抗し、時間の境界を越える恋人たちの行方は――?
  • オリーブの実るころ
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    「恋のライバルは、白鳥だった!?」ある夫婦とコハクチョウの三〇年以上にわたる不思議な生活を描く「ガリップ」、斜向かいに越してきた老人の壮絶な愛の遍歴を綴った「オリーブ」など、結婚をめぐる不思議でちょっぴり幻想的な六つの短編集。吉川英治文学賞 受賞後第一作。
  • 奇跡
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    男は世界的な写真家、女は梨園の妻ーー 「真実を語ることは、これまでずっと封印してきました」 生前、桂一は博子に何度も言ったという。 「僕たちは出会ってしまったんだ」 出会ってしまったが、博子は梨園の妻で、母親だった。 「不倫」という言葉を寄せつけないほど正しく高潔な二人ーー。 これはまさしく「奇跡」なのである。 私は、博子から託された”奇跡の物語”をこれから綴っていこうと思う。 数々の恋愛小説を手掛けた林真理子が、一生に一度、描かずにはいられなかった特別な愛の物語。 38年ぶりの書き下ろし!
  • パラサイツ 地方病院の闇
    2.0
    1巻1,672円 (税込)
    13年前、鈴原病院に事務部副部長として入職した竜崎が配属されたのは医事課だった。 入って早々、迷惑な患者による恐喝行為や暴力行為、病院内の私利私欲を貪りまったく仕事をしない副院長、 節操のない男女関係や不当な人事を行う理事長など、病院内部の人間に潜む「異様さ」に直面する。 竜崎はそのような連中に毅然と立ち向かい院内環境の改善に努めるなかで、 老朽化した病院の建て替え計画を進める担当となる。資金調達のため内部事情を知るうちに、 理事長を筆頭とした既得権益をもつ人間たち(=パラサイツ)によって病院が私物化され、 経営が圧迫されていることが明らかになる。 この頃にはすでにこの病院の諸悪の根源が理事長にあることに気づいていた竜崎は、 強大な権力を前に一刀両断にできる機会を虎視眈々と狙っていた。 鈴原家をはじめとした病院に巣食うパラサイツの悪事や、 病院改修工事に向けた資金調達の道のり、鈴原病院の体質改善を装い竜崎に仕掛けられた罠……。 「いつか必ず経営を改善し理想の病院を目指す」と懸命に食らいつく竜崎が、次々に降りかかる災難に挑む。

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  • パラソルでパラシュート
    3.9
    1巻1,672円 (税込)
    企業の受付に勤める29歳の美雨は、人生に惑い、未来にも漠然とした不安を抱えていた。そんな中で出会った、売れないお笑い芸人、亨。彼が気になり始める美雨だったが、ままならない恋愛事情は、亨の相方との「奇妙」な三角関係に発展し……。
  • スーパーエンジェル
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    全知全能のアルゴリズム=マザーに支配され、 生まれながらに階級で選別されて生きる人類。 異端の少年と中古アンドロイドが世界を変えるSF冒険物語 総合プロデュース・指揮:大野和士 台本:島田雅彦 作曲:渋谷慶一郎 子どもたちとアンドロイドが創造する、まったく新しいオペラを小説化! 何も知らない人はいう。パンドラの箱を開けるなと。でも蓋は開けるためにあるんだよ。 希望はここにしかないんだよ。 ある学園の卒業式。卒業生たちは15歳になると適性検査で選別され、全知全能AI「マザー」の管理下に置かれる。 アキラは判定により開拓地に送られることになり、教育係のヒューマノイド型AI「ゴーレム3」と出会う。 ゴーレム3はアキラとの深い心の交流を通じ、恋の切なさや夢見る力を感じとりながら、 世界の秩序を覆す、とてつもないものを創り出そうとしていた――。
  • 大豆田とわ子と三人の元夫 1
    4.7
    1~2巻1,672円 (税込)
    カンテレ・フジテレビ系にて放送された、火曜よる9時連続ドラマの公式シナリオブック。第1話~第5話までを収録。
  • 溶ける街 透ける路
    4.7
    ――わたしの旅は言葉の旅でもある。多言語の中を通過しながら、日本語の中をも旅する―― 「エッセイの元祖」モンテーニュ縁のサンテミリオン、神田神保町を彷彿させる「本の町」ヴュンスドルフ、腕利きのすりが集まるバーゼル、ヘルダーリンがこもったチュービンゲン、エミリー・ディキンソンが生涯過ごしたアマスト、重い記憶を残すアウシュヴィッツ。ブダペストからリガ、アンマンまで、自作の朗読と読者との対話をしながら世界四十八の町を巡り、「旅する作家」が見て、食べて、出逢って、話して、考えた。心と身体を静かに揺さぶる、五十一の断章。
  • 最後の挨拶 His Last Bow
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    いつか、ここに、遠くに、存在した誰か。 言葉によって、わたしたちは出会える。 ――柴崎友香さん推薦 シャーロック・ホームズの翻訳者だった父が倒れ、四姉妹の末っ子リブロは家族の歴史をたどりなおす。 時空を超えて紡がれる、風変りでいとしいファミリー・ストーリー。 「そこでは、もうとっくのむかしに死んでしまった人たちが、みんな生きていた。リブロの目の前、ここに、生きていた。」 百年前のロンドンから、戦争と震災をへて現在まで、家族の記憶とホームズの物語が鮮やかに交錯する――。 無数の喪失を超えて生き続ける言葉の奇跡を描く、注目作家・小林エリカの最新傑作小説。
  • ブラザーズ・ブラジャー
    4.2
    1巻1,672円 (税込)
    義理の弟・晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇した、高校生のちぐさ。「おしゃれでやってるんだよ!」と言う晴彦に、ちぐさは……?
  • エラー
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    私は、私の底を知りたい。常人離れした容量の胃袋を持ち、大食い大会番組を四連覇中の一果(いちか)。若く可愛く食べる姿が美しいクイーンとして人気を誇るが、思わぬ相手に敗北し――。
  • 芸者小夏
    -
    故・丸谷才一氏が愛した、花柳小説の金字塔――温泉芸者の子に生まれ、水商売の中で育った夏子。この宿命の絆を断ち切りたいと希いながらも、外に道はなく、夏子は15で芸者小夏となった。純情を捧げた初恋の教師に裏切られ、夏子は日ましに「女」になっていく……。若き日に色町に親しみ男女の機微を知る著者が、戦後の脂の乗りきった時期に書き継ぎ、「夏子もの」として人気を博した連作小説の第1作。
  • 論語知らずの論語読み
    4.5
    論語をダシに奇人変人作家仲間を独特の文章でつづる名随筆――二千数百年前の中国の古典『論語』。余りにも有名であるけれど、きちんと読んだ人は、どのくらいいるだろう。ならば、孔子にならい、我流の読み方をしてみようと、阿川弘之が、悪友・遠藤周作、三浦朱門、吉行淳之介、北杜夫らとの珍談奇行の交友録をまじえて、世相風俗万般をにがりのきいた独特のユーモアでつづった快エッセイ。論語を知らない人も、ちょっと論語を楽しめる1冊。
  • 槐多の歌へる 村山槐多詩文集
    -
    夭折の天才画家の迸(ほとばし)る詩魂 個性主義芸術の時代あるいは生命主義芸術の時代と呼ばれた一九一〇年代に、彗星のごとく画壇にデビューし、二十二歳で早世した天才画家・村山槐多。彼は生得の詩的才能にも恵まれていた。人生と社会の矛盾に打ち拉(ひし)がれながらも、野生の生命力の回復を希求する詩魂は、鮮烈な色彩感覚と結びつき独自の世界を構築した。放浪、デカダンスのうちに肺患により短い生を駆け抜けた槐多の詩、散文詩、短歌、小説、日記を精選収録。 酒井忠康 時代の一隅を、嵐のなかで哮(たけ)り狂ったように、その野性的ともおぼしき詩魂の光を放って、彼は疾走した。そして燃え尽きたのである。――〈「解説」より〉
  • 雲雀の巣を捜した日
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    すさまじき小説家が作り事でない想いを綴り忌憚なく心の内を覗かせる! 私小説を断筆するとした「凡庸な私小説作家廃業宣言」、「私の思想」から「死のやすらぎ」、そして「言葉について」……。作家の覚悟と矜持を示したエッセイ集。 ――私は三十八歳でふたたび東京へ来てから二十一年、ほとんどこの市九郎のごとき懺悔の執念で、私の私(わたくし)小説を書いて来ました。懺悔と言うのは、人間としてこの世に生れて来たことが、すでにそれだけで重い罪であるからです。(「凡庸な私小説作家廃業宣言」より)
  • 谷間/再びルイへ。
    -
    昭和20年、長崎の兵器工場学徒動員で、被爆。多くの死をくぐり抜け、少女は生き残った。結婚、出産、幼い命を育てるのは、恐怖との闘いであった。20数年後の離婚、それは個の崩壊であり、8月9日の闇なのか。80歳を越えて書いた小説「再びルイへ。」は、著者の歩んだ人生への回答、あるいは到達でもある。川端賞受賞作「三界の家」を含む、心うつ短篇小説集。
  • わたしは誰も看たくない
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    埼玉でサラリーマンの夫、大学生の一人息子と暮らしている神崎穂乃果は、群馬の温泉街が故郷であり、実家は両親と妹が切り盛りしている小さな温泉宿だった。ある日、大動脈弁狭窄症で倒れた父はそのまま人工呼吸器をつけて意識不明の寝たきりとなる。パートで働いている穂乃果は父の介護を母と妹に任せるが、入院の期限で父を自宅に引き取るか施設に入れるよう病院から迫られた妹は、経管栄養を止めて父を餓死させる決断をする。妹の暴挙を止めるため実家へ帰った穂乃果だったが、姉妹の間には過去のある出来事に起因する深い確執があった。さらに、穂乃果の夫の母の自宅がゴミだらけの汚部屋になっていることが分かり、それぞれの家族はどのような決断を下すのか。現役ナースが現代の家族の問題に鋭く切り込む、書き下ろし長篇小説。
  • 田園風景
    4.0
    貿易会社に勤める主人公の日常を東南アジアを舞台に描いた表題作「田園風景」、知り合いのアメリカ人夫婦の子供を預かる話「夏野」「向かいて聞く」、ほかに「コネティカットの女」「土手の秋」「寒桜」など9篇。明瞭な日常風景が、抽象世界へと転化し、人間の存在が、描かれる風景に同化し吸収されてゆく独得の世界を展く、傑作短篇小説集。野間文芸賞受賞作。
  • 虹の理論
    3.5
    自己と文化を解放するための〈科学の寓話〉。オーストラリア・レッドロックのアボリジニーに伝わる「虹の蛇」の神話、カトマンズ盆地・「虹の立つ村」のマヤ・クマリの千里眼、そしてラマ僧の語る虹を中心とした世界の成り立ち―意識と物質の発生をイメージさせる虹の体験は、両義性という終わりなき解釈のらせん階段から自己と文化を解き放つ「野性的な科学」へと我々を誘う。メタフィジカルな八つの物語が紡ぎだす新しい世界。
  • 壺中に天あり獣あり
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    無限の迷宮を彷徨い続ける青年・光は、有限のホテルが建っているのを発見する。光は支配人として従業員を雇い、客を呼び込むポスターを貼りに行く。迷宮の中でブリキの動物を磨き、修理しながら玩具屋で働く女性・言海は、ポスターを見て、ひとりホテルを目指すことを決意する――。人は生まれ落ちた迷宮から、外に出ることができるのか。小説の根源を問う、若き才能による大胆で緻密な野間文芸新人賞受賞後第一作。
  • 僕の母がルーズソックスを
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    朝、起きたら母親が17歳になっていたーー。外見はアラフォーの専業主婦なのに、16歳の息子の俺に向かって「ねぇ、君さ、ウチのピッチ知らない?」と言い放った。一人息子の俺が、昨日あんなことをしでかしたからなのか。原因はともかく、女子高生に「逆戻り」してしまった母・芽衣子の不安を除くため、息子・潤平は母の過去を探ると、母には母の心の奥底に埋めた謎が隠されていた。島清恋愛文学賞作家が贈る家族愛小説!
  • 軽率の曖昧な軽さ
    3.0
    1巻1,672円 (税込)
    例の東浦和の会場で殴られた瞬間以来、自分の意識は壁にのめり込んだかのように、前に出てこない。狂気と歓喜とキミが見せてくれた夢――中原昌也最高傑作!
  • 白き糸の道
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    江戸時代後期、お糸は蚕当計という温度計の開発、普及に悪戦苦闘していた。だが、母、そして、志を共にした男ともうけた幼い娘からさえも理解を得られず、孤軍奮闘の日々。それでも仕事でしか充足を感じられないお糸は一心不乱に働き続ける。しかし、自らの命の危機に直面した時に――。時代小説の新風となる書き下ろし長編。
  • 幸福の王子 エドマンド
    -
    1巻1,672円 (税込)
    彼には、仲間がいた。誰からも愛され可愛がられた。イングランドを護る。それが彼の望みだった。だが、父王は、ノルマンディー公国から嫁いだエマに骨抜きにされ、国政は言うがまま。デンマークからはクヌート軍に攻め込まれ、いまやイングランドは風前の灯だった。だが彼はあきらめなかった。運命に反旗を翻すのだ。誰をも幸福にした王子の戦いの物語。
  • 虚飾の王妃 エンマ
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    彼女は、孤独だった。親にも顧みられず、なにも与えられなかった。彼女を救い出してくれたのは、兄・リシャール。彼は、教えてくれた。人の心を読む術を、人を操る方法を。そして彼女に命じた。自分にとっての駒になれと。エンマは、兄のためイングランドに嫁ぐ。待ち受ける運命も知らず。
  • 文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか 芥川vs.谷崎論争
    4.5
    昭和二年二月号『新潮』合評会での谷崎の小説に対する芥川発言に端を発し、舞台を『改造』に移して文学史上に残る〈筋のない小説〉を巡る論争が始まった。――芸術とはなにか。何が文学を文学たらしめているのか――本書では二人の文学観の披瀝と応酬を雑誌発表順に配列し、「新潮合評会」とその俎上に載った小説二篇、論争掲載中の昭和二年七月に自殺した芥川への谷崎の追悼七篇を収録する。
  • フリーランスぶるーす
    -
    1巻1,672円 (税込)
    1990年。前年秋にベルリンの壁が崩壊し、愛犬のジョンが死んだ。平林健太、フリーター、30歳。逃げとごまかしが連続の人生だった。このままでいいのか? 健太は一念発起し、小さな編集プロダクションを皮切りに、憧れ続けた「ギョーカイ」の門を叩く。デビュー作『居酒屋ふじ』がテレビドラマ化、『国士舘物語』で話題。"熱くて、おもしろくて、ちょっと切ない"90年代の広告・雑誌業界を舞台にした半自伝的小説。
  • 幽 花腐し
    -
    中華街のバーで、二十年以上前に遇った女の幻影に翻弄される男の一夜を描く、事実上の初小説「シャンチーの宵」、芥川賞候補作「幽」、同受賞作「花腐し」ほか全6篇。知的かつ幻想的で、悲哀と官能を湛えた初期秀作群。社会から外れた男が生きる過去と現在を、類稀な魅力を放つ文体で生々しく再現し、小説の醍醐味が横溢する作品集。
  • 凡人伝
    -
    主人公の英語教師はあるときふと思い立つ。世に偉人伝は数多あるが、第二のナポレオンは現れない。ならば失敗に鑑みる『凡人伝』を書くほうがよほど有益だ。神童と謳われ、その後凡人の道を歩む自分の伝記を書こう、と。自然主義、プロレタリア文学隆盛時に全く新たな分野を開拓、「ふつうの人々」の生活に寄りそい、上質で良識ある笑いを文学にもたらした、ユーモア小説の第一人者による傑作長篇。
  • 自伝的女流文壇史
    3.0
    少女小説作家として一世を風靡し、若くして文壇にデビューした吉屋信子が描き上げた、「女流文壇」の草分けともいうべき十人の肖像。男性が中心だった近代日本の文壇史において「女流」と一括りにされながら個性豊かに輝いた女性作家たちの魅力を、折に触れての交流の中から余すところなくすくい上げた自伝的エッセイ。章ごとに一人の作家にフォーカスした構成になっていますので、どこからでも読むことができます。
  • 湯川秀樹歌文集
    4.5
    日本人として初めてのノーベル賞(物理学賞)受賞者であり、反核平和運動にも積極的に関わった理論物理学者は、兄に東洋史家である貝塚茂樹、弟に中国文学者の小川環樹を持ち、自身も漢籍、古典、和歌に親しむ粋人でもあった。本書は、幼少青年期の記憶から、長年暮らした京都への愛惜、耽読した古典への思いを綴る随筆と、歌集「深山木」を収録。偉大な科学者とは別の、愛すべき横顔を伝える。
  • 東京の横丁
    -
    「俺は二、三日うちに死ぬ気がする。晩飯の支度なんか放っておけ。淋しいからお前もここに坐って一緒に話でもしよう」妻にそう語りかけた数日後、永井龍男は不帰の人となった。没後発見された手入れ稿に綴られた、生まれ育った神田、終の住処鎌倉、設立まもなく参加した文藝春秋社の日々。死を見据えた短篇「冬の梢」を併録した、最後の名品集。
  • 「私小説」を読む
    -
    志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎を貫く「私小説」の系譜。だが、著者はここで日本文学の一分野を改めて顕揚したり、再定義を下したりはしない。本書は、我々が無意識・無前提に受け入れている「読みの不自由さ」から離れ、ひたすら、いまここにある言葉を読むこと、「作品」の表層にある言葉の群との戯れを通じ、一瞬ごとの現在を生きようとする試みなのである。「読むこと」の深見と凄みを示す、文芸批評の名著。
  • 白暗淵
    3.0
    「七十の坂にかかる道すがらの作品群になる。あれもなかなか越すに苦しい坂だった」(著者から読者へ)。爆風に曝された大空襲から高度成長を経て現代へ――個の記憶が、見も知らぬ他者たちをおのずと招き寄せ、白き「暗淵」より重層的な物語空間が立ちあがる。現代文学を最先端で牽引しつづける著者が、直面した作家的危機を越えて到達した連作短篇集。
  • のっぴき庵
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    伊豆にある老人ホーム「のっぴき庵」の入居者は、仕事がないベテラン役者のみ。大スターの入居、脇役俳優の失踪、女優の結婚宣言など、一癖も二癖もある面々が起こす騒動はオーナー・今村富夫の悩みの種だ。そんな気苦労の絶えない富夫は考え続ける――「『人生、半ばあきらめて、終着駅を待っている』と口にする"のっぴきならない"彼らに、僕は何ができるのだろうか」と。そして、思わぬトラブルをきっかけに大きな賭けに出た!
  • 喉の奥なら傷ついてもばれない
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    どこにでもいる、ごく普通の人妻たち。共通しているのは、禁忌を犯していること。罪悪感がまったくないのは、母の愛が欲しかった私の、必然だから。恋愛小説の妙手、宮木あや子が描く六つの愛欲小説。
  • 蛇の道行
    4.3
    1巻1,672円 (税込)
    なにがあっても、離れない。家族は失った。けれど、隣にはお前がいる。昭和24年、上野。戦争未亡人ばかりを集めたバー・山猫軒で、二人はひっそりと暮らしていた。バーを切り盛りする青柳きわと、住み込みで働く立平だ。生き抜くため、絡み合う蛇のように彼らは時代を駆け抜けた。戦後復興期を舞台に、親のない少年と若き未亡人の名付け得ぬ関係を描いた加藤元の新たなる傑作!
  • キッチン戦争
    2.9
    1巻1,672円 (税込)
    隠れ家という名のフレンチ・レストラン「Cachette カシェット」。この店のキッチンで働くことになった滝沢葉月は、ある日、オーナーに呼ばれ、料理コンクールへの出場を打診される。戸惑う葉月に、山岸は「女性のシェフが活躍する世界をつくりたい!」という思いを語る。コンクール出場の決意を固めた葉月だが……。自身のルーツ、オリジナルとは何か? 次々に起こる難問に向き合い、葉月の「美味しい闘い」が始まる!
  • 飛魂
    4.6
    虎使いとなるため、師とともに人里離れた森の中の寄宿舎で修行を続ける女性達の深遠なる精神の触れ合いを描いた作品。表題作ほか、「盗み読み」「胞子」「裸足の拝観者」「光とゼラチンのライプチッヒ」を収録。
  • 谷崎潤一郎論
    -
    『細雪』の刊行、文化勲章受章とまさに谷崎評価の絶頂期、それまで雑誌や新聞の注文に応じて執筆していた著者が、初めて「僕の方から頼んで書かせてもらった」挑戦的評論。武田泰淳は「乱れが無さすぎるほどよく整理された論文」として、その手さばきを有能な外科医の手術に喩え、「病根を知る者の緊張が、彼を徹底的にする」と絶賛した。読み物としても面白い独創的年譜に、補遺を加えた決定版。
  • 人形愛 秘儀 甦りの家
    4.3
    美しい少年の人形を夜ごと愛撫する女。夢によって浸透された存在になっていく現実の少年。奇妙な透明感と、夢と現実の交歓。高橋たか子の独特な神秘主義を端正な文体で感覚的に描く幻想美の世界。男女の恋愛の、より深く深くと求めた内部の実在を鮮やかに浮かび上がらせた、華麗なる三部作。
  • 私と、妻と、妻の犬
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    火宅と化したわが家を救ってくれたのは、「彼女」の眼差しだった。妻との間に生じ始めた亀裂、仕事で出会った女性との心ときめく逢瀬、やがて迎えた家庭の崩壊。その中で二匹の犬との言葉を超えた交情が得難い安らぎをもたらす。だが、別離の時が訪れて……初老を迎えた男の心の危機を繊細に、赤裸々に描き切った哀感極まる私小説。

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