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老いた妻の発作的な豹変に戸惑う夫の緊張感をユーモアと共に描き、選考委員諸氏に絶賛された第4回林芙美子文学賞受賞作「タイガー理髪店心中」。幼少時に亡くした母親の記憶を繰り返し反芻する老女の感慨を描く表題作。独特な土着性で伸びやかな資質を感じさせる大型新人のデビュー作。
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Posted by ブクログ
奇妙な読後感が残る中編が2つ.村田寅雄がやっているタイガー理髪店を寧子がサポートしている.数少ない登場人物は、友人の長谷川伸也、結衣子など.特に大きな事件もなく、のんびりした空気が流れる物語.何とも落ち着く.後半は、日の出食堂を切りまわす日出代と須賀夫の物語.満州からの引揚者の日出代の思い出がいろい...続きを読むろことに展開していく.両編ともなにげない植物、フジウツギ、ヒイラギ、サルスベリなどが話の中で重要な位置を占めているのが面白かった.
ねぇ、これがデビュー作なんてうそでしょ!?? 鳥肌がすごいよ… できれば少しくらい酔ってから読んだほうがいいのかもしれない。 全体的に薄く漂うユーモアすら背筋を凍らせる。 悲しい過去を背負った老いた主人公たちの小さな狂気が、こう、ゆっくりゆっくり迫ってくるような。 個人的には残暑の行方のほうが...続きを読む好きですが、表題作もめちゃくちゃすごいです。(語彙力 この先この方がどんな作品を生み出すのかとてもとても楽しみです。
老い…時間の流れからは誰も逃げられない。 静かに流れていく時間のなかで確実に変化していくものもある。忘れていく記憶、逆に呼び戻される記憶、思い出したくないこと。 派手な話ではないものの、心にチクチク刺さる内容だった。 見てはいけないものを見てしまったという、後悔の気持ちすら残る。 あとからじわりと...続きを読む思い出すような、印象深い1冊。
八十歳を超えた理髪店を営む夫と、認知症になりかかっている妻との暮らしを描いた、林芙美子文学賞受賞の『タイガー理髪店心中』と、もうじき七十七歳を迎える飲食店女将が、店をやりながら一回り以上年上の夫の世話をしている『残暑のゆくえ』の二篇。『タイガー』のほうは六歳の子供を亡くした過去が、今も二人の中にわだ...続きを読むかまっていて、『残暑』のほうは、満州引き揚げの記憶にとらわれ続けている。 どちらの話も、これまで取り繕って、見ないふりをしてやり過ごしてきたことが、老年になり、剥き出しになったようで、これが人間の姿かと思うと、怖く、またかなしい気持ちになった。『タイガー』のほうは、子供が亡くなった穴は、夫がかつて深く掘り広げた穴であり、そのことに夫は罪悪感を抱いていて、それで認知症気味になった妻がその穴に固執するのが、なによりつらい。妻が穴に落ちたのを陰から見、見殺しにしようとしたときは、ぞっとした。一方、『残暑』のほうは、店子である大学生に「高齢者DV」とアドバイスされた夫の行動の底にあるものは、戦時下の子殺しからくる悪夢のようなものであり、妻はそれを引き受けて添い遂げようとしている。おっとりした、かわいらしいおばあさんの中にある悲しみ。つくづく、生きるのってつらいなあ。
第4回 林芙美子文学賞受賞作「タイガー理髪店心中」に「残暑のゆくえ」を加えた2篇収録。 表題作はのどかな田舎町で暮らす、どこにでもいそうな老夫婦の話。 亡き父が残してくれた理髪店「タイガー」83歳の寅雄だが、未だ現役で店主として店を続け、妻の寧子と共に一見平和な暮らしを送る。 平々凡々な日常生...続きを読む活を送る中、少しづつ壊れて行く妻、それをどこか俯瞰的に見つめる夫、文中からは未必の殺意が感じられ静かな恐怖を感じる。 「残暑のゆくえ」は食堂を営む日出代とその夫の過去の秘密が、ほの暗さを纏いながら徐々に明かされ陰鬱な読後感。
表題になっているタイガー理髪店がよかった。 たまたま、いっとき縁のあった人の実家の床屋がちょうど同じロケーションで。 西側に国道、すぐ前には住民の使う細い生活道路。 道の端っこの土部分になんとか工面して植物を植え育てる。まさにその通りで、あの家のことかと思った。 この時代背景で虎雄だったら、きっち...続きを読むりした七三分けよりクラシカルバックの方が、しっくりくると思う。 勝手にクラシカルバックにされたら、困るだろうけど。 あの夫婦同様の道を、私の知る夫婦もたどるのかも…となんとも言えない気持ちになった。 本の内容より、床屋用語や店内に馴染みがあるので、そこばかり注視していた… なんとも悲しくて切ない気持ちになる話でした。
2篇の短編だが、二組の老夫婦を描いた幻想と現実 の境を見事に表現した文章に、ゾクゾクさせられた。 ホラーでは無いが、老夫婦の老いて行く現実世界 と重苦しい過去との邂逅。 老いて行く日々は目の前の事は忘れて行くが 過去の記憶は逆に鮮明になって行くのかも知れない。
中編2編 どちらも歳をとって来し方を折に触れ振り返る,過去へ誘う物語.過去が記憶と妄想といってもいいような思い出に溶け合って独自の世界を作っていく.少し怖いようなところもある物語.
文学… なんだわなぁ 高齢化社会へと突き進む昨今、老人そのものや終活、または看取りを題材にしたものも結構多く読んだが、70〜80代が一人称で語るものは初めてだった。 二作品共に、その背景に人の命を奪った人間の「傷」が横たわる…という特殊なものだった所為なのかあまり心動く事は無かった。 ◯...続きを読むタイガー理髪店心中 父の代からの理髪店・タイガー理髪店の経営者・寅雄84歳は、過去に自分がイジメで同級生・サムイチを突き落としたその穴に、幼かった一人息子・辰雄が転落し亡くなっている。 この所急激に物忘れが酷くなってきた妻・寧子の言動に疑念を抱きながらも振り払う日々だったが、ある秋の日、サムイチを彷彿させる客が散髪に訪れると、寧子がハルゼミを捕りに行くと言い残し謎の外出をする。 そしてある晩、水切りカゴの茶碗の音をきっかけに狂気を孕んだ表情の寧子は「辰雄の所へ行く」と言い残し家を飛び出すのだった。 夜な夜な繰り返される悪夢の道行き… そしてついに大雨の降る深夜、寧子があの穴に転落するのだった。 ◯残暑のゆくえ ひとまわりも年上で寡黙なの夫・須賀夫の営むアパートの一角で定食屋を経営する日出代は、買い物の通り道のうらぶれた地下道を通る度、遠い日の記憶、そして自分を殺そうとした亡き母の自分への気持ちに想いを馳せるのだった。 深夜、目に見えぬ敵に向かって獣のように殺気立ち暴れる須賀夫。 ある日、亡くなった蝋燭屋・鶴田禄郎の息子が訪れ黄ばんだノートを見せられる。 そこに書かれていたのは、「子殺し」と呼ばれていた禄郎と須賀夫が満洲の同じ部隊に属していた事…そして、引き揚げの際の、目を背けたくなる様な惨劇の様子だった。
「タイガー理髪店心中」という面白いんだかシリアスなんだかわからないタイトルとちょっと不気味な表紙に魅かれて読んでみた。 林芙美子文学賞受賞の標題作と、「残暑のゆくえ」の2つの中編からなる。どちらも80代~90代の夫婦を描いた、いわゆる”玄冬小説”。 あらすじを書いても、感想を書いてもこの作品の魅力...続きを読むが表せないような気がする不思議な作品。どこかすっとぼけてユーモラス、それでいてすごく文学的なところがクセになりそう。なにせ、文章がとってもいい。 そして、どれだけ軽く書いても、青春物にはない説得力とか凄みとかが滲みでてくるのが玄冬小説の魅力かもしれません。
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タイガー理髪店心中
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小暮夕紀子
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