【感想・ネタバレ】タイガー理髪店心中のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年02月24日

老い…時間の流れからは誰も逃げられない。
静かに流れていく時間のなかで確実に変化していくものもある。忘れていく記憶、逆に呼び戻される記憶、思い出したくないこと。

派手な話ではないものの、心にチクチク刺さる内容だった。
見てはいけないものを見てしまったという、後悔の気持ちすら残る。
あとからじわりと...続きを読む思い出すような、印象深い1冊。

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Posted by ブクログ 2020年04月28日

文学…
なんだわなぁ

高齢化社会へと突き進む昨今、老人そのものや終活、または看取りを題材にしたものも結構多く読んだが、70〜80代が一人称で語るものは初めてだった。

二作品共に、その背景に人の命を奪った人間の「傷」が横たわる…という特殊なものだった所為なのかあまり心動く事は無かった。


...続きを読むタイガー理髪店心中

父の代からの理髪店・タイガー理髪店の経営者・寅雄84歳は、過去に自分がイジメで同級生・サムイチを突き落としたその穴に、幼かった一人息子・辰雄が転落し亡くなっている。

この所急激に物忘れが酷くなってきた妻・寧子の言動に疑念を抱きながらも振り払う日々だったが、ある秋の日、サムイチを彷彿させる客が散髪に訪れると、寧子がハルゼミを捕りに行くと言い残し謎の外出をする。
そしてある晩、水切りカゴの茶碗の音をきっかけに狂気を孕んだ表情の寧子は「辰雄の所へ行く」と言い残し家を飛び出すのだった。

夜な夜な繰り返される悪夢の道行き…
そしてついに大雨の降る深夜、寧子があの穴に転落するのだった。


◯残暑のゆくえ

ひとまわりも年上で寡黙なの夫・須賀夫の営むアパートの一角で定食屋を経営する日出代は、買い物の通り道のうらぶれた地下道を通る度、遠い日の記憶、そして自分を殺そうとした亡き母の自分への気持ちに想いを馳せるのだった。
深夜、目に見えぬ敵に向かって獣のように殺気立ち暴れる須賀夫。

ある日、亡くなった蝋燭屋・鶴田禄郎の息子が訪れ黄ばんだノートを見せられる。
そこに書かれていたのは、「子殺し」と呼ばれていた禄郎と須賀夫が満洲の同じ部隊に属していた事…そして、引き揚げの際の、目を背けたくなる様な惨劇の様子だった。

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Posted by ブクログ 2020年03月19日

タイガー理髪店、老いた店主は夜な夜な目の色を変えてさまよい出る妻の後を追う。
はるか昔に死なせてしまった息子を探す妻の後を追う。
じんわりと物悲しく恐ろしい。

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Posted by ブクログ 2020年02月27日

「タイガー理髪店心中」という面白いんだかシリアスなんだかわからないタイトルとちょっと不気味な表紙に魅かれて読んでみた。
林芙美子文学賞受賞の標題作と、「残暑のゆくえ」の2つの中編からなる。どちらも80代~90代の夫婦を描いた、いわゆる”玄冬小説”。

あらすじを書いても、感想を書いてもこの作品の魅力...続きを読むが表せないような気がする不思議な作品。どこかすっとぼけてユーモラス、それでいてすごく文学的なところがクセになりそう。なにせ、文章がとってもいい。
そして、どれだけ軽く書いても、青春物にはない説得力とか凄みとかが滲みでてくるのが玄冬小説の魅力かもしれません。

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