小説 - 集英社文庫作品一覧

  • コールドケース
    3.4
    元刑事の春日は、自称「透視捜査官」千石健志郎がテレビの番組でコールドケース(=未解決事件)を超能力で解明する様子を見て愕然とした。彼こそ30年前に女性焼死事件の容疑者として春日が逮捕を目指していた男だったからだ。一方、ノンフィクション作家の長谷川美枝子も千石の透視捜査に疑念を抱く。元刑事の執念は時効成立となった迷宮入り事件の真実にたどり着くか? 本格心理ミステリー。
  • ひぐらし荘の女主人 短篇セレクション 官能篇
    3.4
    ひぐらし鳴き乱れる北鎌倉の屋敷にひっそり暮らす若き女主人。彼女に魅了された男は請われるがまま、悪に手を染めることになる。魔性の女に翻弄される男を待受ける思いがけない結末。表題作「ひぐらし荘の女主人」。ほかに、禁断の恋を描く「花ざかりの家」、飼育願望の極致「彼なりの美学」匂い立つ美と官能の饗宴、鮮やかなラストの反転。極上を味わう自選短篇集。
  • コンビニ・ララバイ
    3.4
    小さな町の小さなコンビニ、ミユキマート。オーナーの幹郎は妻子を事故で亡くし、幸せにできなかったことを悔やんでいた。店には、同じように悩みや悲しみを抱えた人が集まってくる。堅気の女性に惚れてしまったヤクザ、声を失った女優の卵、恋人に命じられ売春をする女子高生……。彼らは、そこで泣き、迷い、やがて、それぞれの答えを見つけていく――。温かさが心にしみる連作短編集。
  • 年下の女友だち
    3.4
    有名イラストレーターの「私」のもとには、それぞれの秘密を抱えて今日も女たちが訪ねてくる……。容姿も性格も悪くないのに縁遠い、七美。美しい男しか愛せない、地方の大富豪の娘、かおり。三十過ぎても不倫から足を洗えない、こずえ。「私」のかつての夫とつきあっている葉子。幸せになりたい――。このシンプルな欲望に、“運命”という言葉を巧みに操ってつき進む女たちを描く、連作短編集。
  • 3センチヒールの靴
    3.4
    ひとり分の夕食を作ってドラマを見ながら食べ、12時前に寝る、規則正しいが華やぎのない29歳の毎日。ふと人恋しくなり、合コンで出会った男に電話してしまう『3センチヒールの靴』。彼が持ってきたワインと同じ瓶を親友の部屋で見つける『赤と白のワインの空き瓶』。気がねなく誘えて恋の悩みも話せる男友達との関係を描く『冬休みを前に』など、大人になっても恋上手になれない女たちを描く17編。
  • 震災キャラバン
    3.4
    2011年3月11日、東日本大震災が発生! かつて阪神・淡路大震災で被災して、再建を果たした神戸の中華料理店。そのアルバイト店員・清美は気仙沼近くの出身で、実家とまったく連絡がとれない。店主の長男・勇太は、トランペットのオーディションを諦め、彼女を実家に送るため、支援物資を載せたバンを走らせる。なんとか彼女の故郷にたどり着くが…。復興の思いを込めて綴る長編ロードノベル。
  • 死ぬほど好き
    3.4
    生まれ育った小さな町での結婚を前に、言いようのない憂鬱をおぼえはじめた由希。そんな折、高校の後輩と再会し、心が大きく揺れだして――(「果実」)。熱烈に口説かれ、引きずられるようにして克己とつきあいだした妙子。だが、いつしか恋の主導権は逆転し、不安に駆られた妙子は執拗なまでに恋人を追いかけるが…(「死ぬほど好き」)。女たちが抱える愛の闇を鮮やかにうつしだす八つの物語。
  • エンジェル
    3.4
    投資会社のオーナー掛井純一は、何者かに殺され、幽霊となって甦った。死の直前の二年分の記憶を失っていた彼は、真相を探るため、ある新作映画への不可解な金の流れを追い始める。映画界の巨匠と敏腕プロデューサー、彼らを裏で操る男たち。そして、ひと目で魅せられた女優との意外な過去。複雑に交錯する線が一本につながった時、死者の「生」を賭けた、究極の選択が待っていた――。
  • 孤独で優しい夜
    3.4
    ずっと好きだった会社の先輩・入江と親友・美帆の結婚披露パーティの後、痛飲する粧子。苦しい思いに区切りをつけ、素知らぬふりで仕事を続けてはいたが、ふとしたことから入江も実は粧子を好きだったと知る。そして間を取り持ったはずの美帆が二人を騙していたことを……。許せない! 粧子にとって、これは「不倫」ではなかった。本来は自分のものであった「愛」を取り返すだけのこと。略奪愛の行方は…。
  • バスジャック
    3.4
    今、「バスジャック」がブームである――。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。この短編集の中に、きっとあなたの人生を変える一編があります。
  • 硝子のドレス
    3.4
    菅見は、同級生だった千夏からの親しげな留守番メッセージを交際中の実咲に聞かれた。それから実咲の様子が変わり、忽然と姿を消してしまう。残されたアルバムから、ダイエットコンテストを主催する社の女との関わりを突き止めるが……。ダイエット美女選考裏側で、痩せることが全てと思いつめた女たちの果てなき欲望、葛藤、孤独な闘い。華やかなコンテストに隠された謎と狂気の本格心理サスペンス。
  • 蜂蜜色の瞳 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season I
    3.4
    何の保証もないとわかっていても、彼女から強い約束を引き出したい。僕だけだ、と。一生、僕以外は愛さない、と。遠距離恋愛で、思うように会えない勝利とかれん。久々に週末を一緒に過ごすが、ちょっとした誤解から、なんとなくギクシャクしてしまう。愛おしすぎて、相手を思いやる気持ちが空回りする。それでも少しずつふたりの歩みはすすんでいく……。人気シリーズ待望のSecond Seasonへ。
  • るん(笑)
    3.3
    結婚式場に勤める土屋は、38度の熱が続いていた。解熱剤を飲もうとすると妻の真弓に「免疫力の気持ち、なぜ考えてあげない」と責められる(「三十八度通り」)。真弓の母は、全身が末期の「蟠り」で病院のベッドに横になっていた。すぐに退院させられ、今後はその病気を「るん(笑)」と呼ぶ治療法を始めることになる(「千羽びらき」)。真弓の甥の真は、近くの山が昔の地図にはないと知り、登りはじめた。山頂付近で、かわいい新生物を発見する。それは、いまは存在しないネコかもしれなかった(「猫の舌と宇宙耳」)――スピリチュアルと科学が逆転した、架空の日本で繰り広げられる不条理劇。日本SF大賞を二度受賞した奇才が放つ、あなたの常識が崩壊する連作小説。
  • 流警 傘見警部交番事件ファイル
    3.3
    元捜査一課の南優月は被疑者の護送中に起こした事故が理由で「流刑」に。警察署が不要となり格下げされた、過疎地の警部交番で、禊の日々を過ごしていた。そんな辺境の地に突然、東大出身のキャリア警視正、榎木孔泉が赴任してきた。時を同じくして、地元の名士の妻が殺害され、優月はともに犯人を追うことに。謎が謎を呼ぶ捜査の行方、そして矜持を見失った警察官の行く末は? 元白バイ隊員の著者が警察の本分を問い直す迫真の警察小説!
  • 背高泡立草
    3.3
    「別に良いやん、草が生えてたって。誰も使わんっちゃけん」大村奈美は、不機嫌だった。何故空き家である母の実家の納屋の草刈りをするために、これから長崎の島に行かなければならないのか。吉川家には〈古か家〉と〈新しい方の家〉があるものの、祖母が亡くなり、いずれも今は空き家に。奈美はふと気になって、伯父や祖母の姉にその経緯を聞くと、そこには〈家〉と〈島〉にまつわる時代を超えた壮大な物語があった――。第162回芥川龍之介賞受賞作。書き下ろし短編「即日帰郷」も収録。
  • コンジュジ
    3.3
    1993年9月2日未明、11歳のせれなは恋に落ちた。テレビ番組で偶然見かけた伝説のロックスター・リアンに。母に捨てられ、父から性虐待を受けるせれなにとって、その愛しい人は唯一の生きる理由となった。彼女は苦しみのたび、リアンとの妄想世界にトランスする。甘美な夢と凄惨な現実。その境界線は次第に曖昧になっていき――。過酷な現実を生きる一人の少女による自らの救済の物語。圧巻のデビュー作にして、第44回すばる文学賞受賞作。川上未映子氏絶賛!!
  • 湖は知っている
    3.3
    20年前に起きた窃盗事件。その晩、4人の実行犯の計画は頓挫し、ひとりが殺されひとりが失踪。金は行方不明となり、残るふたりは沈黙を貫き牽制しあってきた。だが、失踪した男の娘アーデンが故郷に舞い戻ったことで均衡が崩れだす。父が消えた謎を探るため奮闘するアーデン。彼女を見守る男と、見張る男。過去を知る者たちがそろった時、明らかになった美しい湖を抱く町に隠された衝撃の真実、そして予測できない衝撃のラスト! ベストセラー作家サンドラ・ブラウンの最新作!!
  • 芙蓉の干城
    3.3
    江戸歌舞伎の大作者、三代目桜木治助の孫で現在は大学に奉職する桜木治郎は、その知識と審美眼で役者や裏方から厚い信頼を集めていた。昭和八年四月。女優となった姪・澪子と陸軍軍人・磯田との見合いの席が木挽座で設けられた。舞台では歌舞伎界の「女帝」荻野沢之丞が舞う中、澪子は真向いの席の男女に違和感を抱く。その翌日、木挽座そばで右翼結社「征西会」大幹部・小宮山正憲と芸妓・照世美の惨殺死体が発見された。治郎は警察から協力を要請され、澪子も自身が目撃した二人の奇妙な様子を治郎と磯田に打ち明け、それぞれの立場から事件の真相に迫っていく。歴史の歯車が戦争へと大きく動いた昭和八年を鮮烈に描く圧巻の歌舞伎ミステリー!
  • 七月七日のペトリコール
    3.3
    親友・柊の13回忌が終わった夜、29歳の和泉は不思議な電話を受ける。それは、高校生の和泉自身からのものだった。いたずらかと思って眠りについた和泉だが、目覚めると前日と同じ7月7日の朝だった。高校生の自分と通話するたび、時間がリセットされる。不思議なループを繰り返しながら、和泉は過去の自分と協力して柊の死を食い止めようとするが……。過去と現在から謎を追う、青春ループミステリー。
  • 放課後ひとり同盟
    3.3
    「なにか護身術習えば?」痴漢に遭った女子高生の林は、友人にそう提案されるがまま、パルコの屋上にいる「蹴り男」に会いに行く。その男は、降ってくる不幸を阻止するために、空に向かって蹴りを続けていると言うが……(「空に飛び蹴り」)。離婚寸前の両親、体と心の性別の不一致、永遠に叶わぬ恋。一人きりで悩んで今にも心が爆発しそうな時、この本はきっとあなたの味方になる! 青春連作短編集。
  • バクテリア・ハザード
    3.3
    天才科学者・山之内明が発明した「ペトロバグ」。それは、石油を生成するとてつもない細菌であった。世界の石油市場を根本から覆し、戦争にまで発展しかねない脅威を感じた石油メジャーは、山之内殺害およびペトロバグ略奪の指令を発した。目に見えない細菌が、時に驚くべき能力を発揮し、その強力さゆえに人類の危機をも引き起こす……。来るべき脅威に警鐘を鳴らす、著者の新たな予言の書。
  • 働く女
    3.3
    客を思う誠実さゆえに売り上げの伸びない百貨店外商部のチハル。無神経で時代錯誤のオヤジたちに悩まされるベテランOLのトモミ。手抜きのできない損な性分でボロボロになって働くエステティシャン、タマエ…。その他、ワガママ大女優から、ポリシーあるラブホテル店長まで、十人十色の働く女を活写! 共感し、思わず吹き出し、時には少々ホロ苦い。等身大の女たちの奮闘努力に、勇気の出る短篇集。
  • 炎より熱く
    3.3
    真志歩は、大学を卒業し医療事務の仕事に就いたばかり。知り合いの刑事から、入退院を繰り返す患者を探るよう頼まれる。保険金詐欺を疑っているようだ。実態をつかめぬうち、患者と同じ雑貨店に勤める女性が転落死する。事故か殺人か? 今度は店のオーナーに接触を試みるが……。DV、詐欺、セクハラ、殺人など複雑な問題の渦中で真志歩は──。情念が生み出す世界を描くヒューマンミステリー。
  • 社長室の冬(メディア三部作)
    3.3
    日本新報の記者・南康祐は、会社にとって不利益な情報を握る危険人物であるとみなされ、編集局から社長室へと異動させられる。その頃、新聞社に未来はないと判断し、外資系企業・AMCへの「身売り」工作を始めていた社長の小寺が急死する。九州に飛ばされていた新里が急遽東京に呼び戻され社長に就任するが、方々から徹底的な反発を受ける。外資との買収劇。不毛な社内抗争。紙かネットか。マスコミの存在意義――。新聞社の身売りを巡り、南が辿り着いた答えとは。
  • 沖縄コンフィデンシャル 交錯捜査
    3.3
    1~4巻693~781円 (税込)
    那覇市内の高級ホテルで男女の遺体が発見された。沖縄県警捜査一課の若手刑事・反町は、叩き上げのベテラン・具志堅とともに事件捜査に当たる。当初、ただの無理心中と思われたが、準キャリアで同期の赤堀が追う米軍用地をめぐる土地取引事件との関連性が急浮上。二つの事件の背後には、日本の表と裏の“権力”による壮大な陰謀の影が……。著者会心にして渾身の長編警察小説。
  • 海より深く
    3.3
    大学4年生の真志歩は、母親との関係をこじらせて、冬休みに帰省しなかった。元日からカレー屋のアルバイトに行き、店の前で迷子の少年を見つける。耳が聞こえないらしい少年が心配で、カレー屋の店長たちと保護者探しに乗り出すが……。身体に虐待を疑う痕跡を持つ少年を巡る事件が、それぞれの家族の深い闇を抉り出していく。家族のあり方と命の希望を描く心温まるミステリー。
  • [会社を休みましょう]殺人事件
    3.3
    森川晶は、営業部の若きエリート社員。仕事を他人に任せず、何でも一人で抱え込み、残業と休日出勤をしながら、いつもパニック状態。ある日、彼を高く評価している猛烈部長が会社で殺される。死に至る断末魔の表情がコピーされ、社内にばらまかれていた。この全社騒然の異常犯罪で、森川が疑われるが……。会社人間たちの心理をリアルに描きながら、最後に号泣のどんでん返し! 感動のミステリー。
  • 英語屋さん
    3.3
    入社10年の風間京太は、気難しい社長の出張に随行を命じられた。お眼鏡に適えば、大出世。機嫌を損ねたら、お先真っ暗。社長は現地にいる元愛人との逢瀬を企んでいるが、夫人からは二人の密会を阻止せよ、と厳命されており…。風間の選択は!?(「随行さん」)ほか、サラリーマンの哀歓を描く全10編。不条理な職場や理不尽な上司に喘ぐ、若い読者こそ必読。働き方のヒントは、昭和の名作にあった!
  • 深重の海
    3.3
    【第79回直木賞受賞作】紀伊半島は南東部、太地湾辺りは古くから鯨取りで栄えた土地柄である。明治11年12月24日、熊野灘の沖に現われた一頭の巨大鯨。小舟に乗った数百人の男たちが立ち向かう。これが大遭難、世にいう“背美流れ”の発端となり、慶長年間からの伝統的な捕鯨組織が崩壊しはじめる。明治の激流に呑まれ、滅びゆく運命をたどる海人たち。愛と闘いをドラマチックに描いた感動の長編。
  • 約束の地で
    3.3
    捨てたはずの故郷に戻り、父が大金を持っているとの噂に踊らされた男。呆けて我がまま放題の母と猫の世話に煮詰まっていく女。売りつけられたスクーターに乗り、愛犬と骨を掘り出してばらまく少年。好きな女の先輩を安物の車に乗せて旅立ったプー太郎。夫のDVに苦しめられ、死んだチワワの骨を抱え岬に立つ女。北海道の風土に閉ざされた人間の闇をえぐる全5話。新境地を拓いた傑作揃いの短篇集。
  • 巨食症の明けない夜明け
    3.3
    【第11回すばる文学賞受賞作】食べるということは、どういうことなのでしょうか。真剣な食欲とは、どのようなものなのでしょうか。わからないのです。いくら食べても、胃袋も心も満たされない食行動……。母親との関係に悩み、恋人ともうまくゆかず、過食に溺れる21歳の女子大生時子。都会で一人暮らしをする若い女性の不安と孤独を描く。
  • 幸せ嫌い
    3.3
    杉浦麻美は結婚欲満々である。なのに、未婚のまま、ついに30歳になってしまった。焦る彼女は親戚が営む結婚相談所『真婚』で働くことに――。ワケありの従業員。客引きまがいのテストデート。オタク男や高慢女の登録会員。茫然自失の麻美だが、相談所に出入りする電器店員・緑川を射止めるためにグッと堪えるうちに、結婚の現実が見えてきて……。幸せになりたい全ての人に贈る笑福ストーリー!
  • ジムグリ
    3.3
    日本には古来、国家に所属しない民がいた。“モグラ”と呼ばれる彼らは、現代文明を拒否し、自ら掘った地下洞窟で独自の発展を遂げていた。北関東の小仲代郡獅伝町にある彼らの棲家“トンネル”には、約一万人の粗暴なモグラがいる。行ったら必ず殺される。その危険な秘境に美人妻が消えてしまった。博人は妻を捜しに身命を賭してトンネルへ向かうが……。闇が織りなす迷宮世界に誘う怪奇幻想長編。
  • 内通と破滅と僕の恋人 珈琲店ブラックスノウのサイバー事件簿
    3.3
    大学生の凪は、同級生の不思議な美少女・霧香と付き合い始めたばかり。ある日ふたりは路地裏の珈琲店ブラックスノウを訪れる。店のマスターは、実はサイバーセキュリティに精通した人物だった。店を手伝うことになった凪は霧香とともに様々なサイバー犯罪に触れてゆく。一方、マスターを恨む美青年・凌が大規模な犯罪を企てていて……。過去の小さな因縁が世界を揺るがすサイバーサスペンス。
  • 瑠璃の海
    3.3
    晩秋の夜、高速バスが炎上。この事故で夫を失った園田萌と、娘を亡くした作家・石渡遊作が出会ったのは、二か月後の遺族会がはじめてだった。喪失の同じ痛みが、ふたりを分かちがたく結びつけてゆく。だが孤独と絶望の淵からはじまった愛は、スキャンダラスに取りざたされることに。互いに溺れ、社会に背をむけたふたりに残されているのは、この恋に殉じること。究極の道行を描く渾身の恋愛長編。
  • 倒錯の庭
    3.3
    電灯を消した仄暗い部屋の中で、私は今、竹彦と一緒にキノコを食べている。ヌメリイグチという名の、黄色い湿ったキノコだ。(「倒錯の庭」) 恋という病に憑かれた男と、溺れゆく女の、頽廃と官能に満ちた恐怖世界を描く表題作の他、人の心に巣くう危うく妖しい欲望に取材した3つの中編を収録。精密な筆致で描きだす人間心理の襞。サイコ・サスペンス集。
  • 化身 上巻
    3.3
    1~2巻825~880円 (税込)
    人気の文芸評論家である秋葉大三郎は、妻子と別れ、史子という女性とつき合っていた。ある日、銀座のクラブで働く、遥かに若い霧子と運命の出逢いをする。鯖の味噌煮が好きだという初心な霧子が秘めた女としての蕾に心惹かれ、和の食や風物を教え、ともに旅をし、理想の女性として変貌させようとひたすら愛を注ぐ。そして彼女は大いに成熟していくのであった。華麗なる絵巻物のような男女小説の傑作。
  • 相棒はドM刑事1 女刑事・海月の受難
    3.3
    1~3巻572~880円 (税込)
    神奈川県警港みらい署の若手女性刑事・菱川海月。署内で「女の子」扱いされ捜査の蚊帳の外に置かれることを不満に思っていたところ、後輩とコンビを組むことに。その後輩・亘善は頭脳明晰なイケメンだが、気の短い海月に叱り飛ばされたり殴られるたびに悦ぶ、とんでもないドM。海月は、嫌々ながら彼と捜査をすることになり……。横浜で起きるいっぷう変わった事件にSMコンビが挑む!
  • それは経費で落とそう
    3.3
    年上の部下と年下の上司、単身赴任先での浮気、領収書のごまかし、人事異動の内示、お偉いさんとの気づまりな会話――。サラリーマンにとって決して避けて通れない身近なテーマ。喜劇と悲劇がつねに紙一重という、綱渡り的会社員生活の日常に潜む、思いもかけない恐怖をリアルに描く。身につまされる笑いのあとに、背筋も凍る戦慄、読みだしたら止まらない興奮の5編。ブラックな会社ミステリー。
  • 眠る魚
    3.3
    ガイドや通訳をしながら南太平洋のバヌアツに暮らす彩実は、東日本大震災からしばらくの後、父の訃報を受けて故郷の北関東の町に一時帰国する。放射線被害についての危機感の相違や、保守的な家族たちの思考と言動に噛み合わない思いを抱くうち、「アオイロコ」という奇妙な風土病の噂を耳にする。そんな中、彩実の口中の腫瘍が悪性と診断され、入院することに――。坂東眞砂子、絶筆作品。
  • GO!GO!アリゲーターズ
    3.3
    東京から地元に戻ったシングルマザーの茜の就職先は、独立リーグに所属する球団・アリゲーターズ。元有名プロ野球選手だがなぜか全身ピンクでキメたゼネラルマネージャーをはじめ個性的すぎるスタッフや選手たちとともに、成績も経営も低迷中の球団を立て直すべく、事務局員として、そして球団マスコットの「中の人」として悪戦苦闘の日々だが……。がんばる全ての人に贈る最高のお仕事小説!
  • 壺中の回廊
    3.3
    関東大震災からの復興の兆しを見せる昭和五年、東京。歌舞伎の殿堂木挽座に“掌中の珠を砕く”という脅迫状が届く。皆が疑心暗鬼にかられるなか『忠臣蔵』に出演中の花形役者が毒殺される。江戸の狂言作者の末裔桜木は、築地署の笹岡と真相究明に乗り出す。容疑者は、役者、裏方、観客すべて。だが、嘘をつくのが商売の役者を相手に捜査は難航……。変革の時代を背景に描く歌舞伎バックステージミステリー。
  • 幸せ戦争
    3.3
    念願のマイホームを購入した氷見一家。そこは、元の地主の意向で隣り合う四軒の家が前庭を共有する、少し変わった敷地だった。元地主の仁木家は資産家で、夫は覆面作家だという噂。活動的な妻・美和が四軒のつきあいを主導している能生家。共働きで他三軒とは少し距離を置いている高井戸家。そんな三つの家族とともに、氷見家の幸せな暮らしが始まるが……。誰もが思い当たる「ご近所」の物語。
  • 君はフィクション
    3.3
    中年小説家「おれ」の創作パワーの源は証券会社に勤める若いOL香織との密会だ。今日も、ホテルの瀟洒なバーで待ち合わせ。だが、現れたのはプータローをしているという双子の妹・詩織だった。「おれ」はまったく性格の違う彼女に魅かれ、打ち解ける。すると詩織はルームキーを取り出し……。表題作『君はフィクション』ほか、単行本未収録の幻の3作品を特別収録した中島らも最後の短編集。
  • あたらしい家族
    3.3
    医学部入学を目指し大学浪人中のアキラは、いとこの善男が営む老人グループホーム「八方園」に下宿することになる。三十半ばでバツイチ、元役者、めっぽう口が悪くて老人たちを婆ぁ呼ばわりする善男だが、なぜかホームに暮らすみんなからの信頼は厚い。赤の他人ながら共同生活を送るうち、彼らは互いにかけがえのない存在になっていく。著者の代表作『おれのおばさん』に繋がる連作短編小説。
  • 御不浄バトル
    3.3
    僕が入社したのは、悪徳ブラック企業!? 過酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく中、事務職の僕は無難に仕事をこなし二年目に。唯一の楽しみは、会社や駅のトイレでくつろぐこと。素性不明なトイレ常連メンバーたちと静かな個室争奪戦を毎日繰り広げる。しかし、ある電話がきっかけで、日常が一気に崩れ出す。限界に達した僕は、退職を決意するが……。芥川賞作家の話題作。
  • ノストラダムスと王妃 上
    3.3
    フィレンツェの富豪メディチ家のカトリーヌは、フランス王太子アンリ二世に輿入れしたものの、夫は寵妾ディアヌの虜。商家の娘と蔑まれ、子供にも恵まれず、宮廷で影の薄い存在だった。自分を守り、権力を握ろうとするカトリーヌは、預言者として評判になったノストラダムスに手をのばす。権謀術数の宮廷大河ロマン。
  • 美晴さんランナウェイ
    3.3
    中学生・世宇子の家には、おばさんの美晴が居候している。27歳でけっこう美人なのに独身、時々バイトするだけのお気楽暮し。気ままな彼女は、男を家に連れ込んだり、やりたい放題。家族はその度に大混乱するが、その明るく、にくめない性格から彼女を許してしまう。そして、またある事件が……。携帯電話がなかった時代を舞台に贈るホーム・コメディの決定版。
  • 葦と百合
    3.3
    現代文明を捨て、自然との共生をめざしたコミューン運動「葦の会」。学生時代に参加し、十五年ぶりに再訪した医師・式根を待っていたのは、ブナの森深く、荒廃した無人の入植地跡だった――。理想社会を夢見て残ったはずの恋人と友人はどこへ消えたのか? そこで起こった怪死事件は果たして事故か。それとも森に潜む「誰か」が殺したのか? ミステリーとメタフィクションの完全なる融合。
  • ウエンカムイの爪
    3.3
    【第10回小説すばる新人賞受賞作】――殺られる! 死んだふりをしても無駄だ。食われてしまう……。北海道で撮影旅行中の動物写真家・吉本はある日、巨大なヒグマに襲われ、九死に一生を得る。彼を救ったのは、クマを自在に操る不思議な能力を持つ謎の女だった。その女を捜し求める吉本が見たものとは? 野性と人間の壮絶な闘いを通して、生命の尊厳と自立を描いた傑作。
  • 白ゆき姫殺人事件
    3.3
    化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人々への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方。匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。
  • 行人(漱石コレクション)
    3.3
    気さくな性格で暢気な高等遊民生活をおくる長野家の次男・二郎。対照的に兄で学者の一郎は常に張りつめた神経を持ち、妻・直と二郎の仲を邪推するまでに精神が追い詰められていた。あるとき彼は二郎に、直の貞操を試すため一夜を共にしてくれないかと言い出す。人を信じ、伸びやかに生きたいと願いながら、出口のない迷宮を巡り続けるひとりの知識人の心理状況を克明に描いた、『こころ』へとつながる「後期3部作」第2弾!
  • マネー・ロワイヤル
    3.3
    世界最大のウィスキー・メーカー、サンシャインで誘拐事件が発生。ウィスキーの味を決める超重要人物がさらわれた。身代金は5億。大胆かつ巧妙な手口で現金強奪を狙う犯人に、必死の捜査網で挑む警察。だが彼らを翻弄するかのように、第二、第三の犯行が――! 危機管理の盲点を突く斬新なアイデア、止まらないどんでん返し。手に汗握るノンストップミステリー、降臨!(『あぶく銭』改題)
  • 神の手(木部美智子シリーズ)
    3.3
    小説誌の編集長、三村幸造のもとに医師を名乗る男から電話がはいった。高岡真紀という女性を知っているか、と。同時に、過去に彼が封印した来生恭子の小説が真紀の名前で送りつけられた。待ち合わせた真紀は、果たして見たこともない女性だった。それなのに恭子と同じようなしぐさで、10年前に恭子が話したことと全く同じことを話す。彼女はいったい誰なのか? 目的は? 本格ミステリー長編。
  • セカンド・ワイフ
    3.3
    奈緒美は10歳年上の町田雄一と結婚した。自分は初婚だが、彼は4年前に離婚歴がある。その理由はきかなかったが、夫は優しく、新婚生活は幸せだった。が、あるとき雄一の手帳に「セカンド・ワイフ」という謎めいた言葉が書いてあるのを発見。それは奈緒美のことか、別の女の意味か? 急に夫の過去に不安を抱いた奈緒美は、彼の前妻に会おうとする。衝撃的な事実に直面するとも知らないで……。
  • しあわせな結婚
    3.3
    東山俊一と三菜子はまもなく結婚一周年。庭付き一戸建ての新居でアツアツムード、のはずが、暮らしてみて初めてわかった感性の違いに、両者の不満は爆発寸前! そんなとき、隣家にしあわせそうなおしどり夫婦が越してきた。その妻は俊一の理想像。その夫は三菜子の憧れ。たがいに「この人と結婚していたら」と感じたとき、ふたりの脳裏に大胆奇抜なアイデアが浮上した。しかも同時に!
  • この人と結婚するかも
    3.3
    気になる男性と出会うたび、「この人と結婚するかも」って直感する。けど、結果はいつも外れ。このままじゃ私、ただのイタい妄想独身女!? 二度と変な直感は抱かないと反省したのも束の間、英会話教室で出会ったケンのことが早速気になって……(『この人と結婚するかも』)。その他、迷走する男の勘ちがいを描く『ケイタリング・ドライブ』を同時収録。女も男も、恋をしたら妄想がとまらない!
  • 夫の妹
    3.3
    二十五歳のOL知花は両親の猛反対を押し切って、先妻と死別した五十歳の上司・国元公二と結婚した。後妻の立場と大きな年齢差が懸念されたが、それよりも問題は夫の妹にあった。四十五歳の義妹・小恵子は、二十も年下の兄嫁を「お姉さま」と呼んで慕い、洋服の趣味から髪型、さらに口癖・習慣に至るまで、知花のすべてを模倣しはじめる。そこには公二の先妻の死とも絡む大きな秘密があった。
  • やさしく殺して
    3.3
    角丸真理子は父の反対を押し切って、屋敷芳樹と結婚した。小野和人という恋人をふっての決断だった。しかし、新婚生活のスタートとともに地獄ははじまった。言葉の暴力――それも叱責や罵倒ではなく、やさしい皮肉。真理子の神経を柔らかく包み込むように、夫の言葉が鼓膜から脳髄へと侵入していく。精神の限界に到達した真理子は、ついに決断した。「やさしく殺して……」。
  • 卑弥呼の赤い罠
    3.3
    私が死ねばよいと思っている人間が七人いる――その言葉を残し、老古代史学者の新藤英二郎は殺された。復元した甕棺の中で「女王・卑弥呼」の再現衣装をまとい、顔を朱に塗られて! 日本という国の成り立ちに関する過激思想ゆえに生命を狙われていた老教授を殺したのは誰なのか? 教え子の歴女・村野杏美(あみ)は、新藤と巡った北九州古代史の旅をふり返りながら、恩師の死の謎の挑戦する! 歴史ミステリー。
  • 悪魔が囁く教会
    3.3
    二度結婚に失敗したが多額の慰謝料を得た戸山いずみは、再婚を前提に二人の男と交際する。だが男たちはたがいに甘い言葉を囁きながら、競争相手を「結婚詐欺師」などと罵る。三たび教会で愛を誓うべき相手はどちらか。相談を受けた長谷川美枝子と弁護士向井明は人物鑑定に乗り出したが、善人か悪人かの評価に迷っているうちに、想定外の殺人が起きた! 驚愕の結末が襲いかかる心理ミステリー。
  • 弔鐘はるかなり
    3.3
    高崎隆之介が横浜(ハマ)に戻ってきた。4年前の不可解な事件で刑事の職を追われた梶礼二郎。その事件の鍵を握るのが高崎だ。高崎を追う梶……。警察と覚醒剤をめぐっての暴力団同士の抗争が複雑に絡みあう。限りない硝煙と血の匂いの中、梶の復讐が始まった。ハードボイルド小説の担い手、北方謙三のデビュー作。
  • 8年
    3.3
    オリンピックで華々しい活躍をし、当然プロ入りを期待されたが、ある理由から野球を捨ててしまった投手・藤原雄大。8年後、30歳を過ぎた彼は、突然、ニューヨークのメジャー球団に入団する。あの男ともう一度対戦したい! その悲願のためだけに……。一度は諦めた夢を実現するため、チャレンジする男の生き様を描くスポーツ小説の白眉。第13回小説すばる新人賞受賞作。
  • 聖域捜査[捜査シリーズ]
    3.3
    “生活安全特捜隊”――風俗から環境犯罪まで、あらゆる事案を追う警視庁生活安全部の特別捜査隊である。入庁以来、第一線の刑事への夢を抱き続けていた結城公一警部は、40歳を迎えた年にその“生特隊”の班長に任命される。捜査一課をはじめとする花形部署から軽んじられる生特隊だが、結城は個性豊かな部下たちにサポートされて果敢に難事件に挑んでいく。犯罪捜査を新たな視点で描く警察小説。
  • 吸血鬼は泉のごとく
    3.3
    突然、町のなかに泉ができて、男が引き込まれるように沈んだ。人々は〈愛の泉〉と称して新名所に浮かれていたが、エリカはその泉に得体の知れぬ邪悪なものの気配を感じていて!? 泉の周りで次々に起こる怪事件……! エリカとクロロックの吸血鬼父娘コンビが泉に潜む黒い闇を斬る! 表題作のほか、古城の怪奇に迫る『ある吸血鬼の肖像』を収録。吸血鬼ほど楽しい商売はない! 人気シリーズ第8弾!
  • マドモアゼル、月光に消ゆ(南条姉妹シリーズ)
    3.3
    “南条家の星”サッちゃんが通う名門小学校の修学旅行先は、なんとドイツ! 母の麗子はもちろん、その双子の妹・美知をはじめ南条家一同も、なぜかうちそろって同行することに――。今回は、旅先ドイツで起こった怪事件とともに、「なぜ美知は14歳で家出をして、ギャング団のボスになるに至ったのか?!」という“衝撃の過去”が明かされます。大好評「南条姉妹シリーズ」の第5弾!
  • 静かにしなさい、でないと
    3.3
    ブスでワキガの内海恵里伊は、幼い頃から華やかな名前と地味な容姿とのギャップに悩み、自信が持てずにいた。ある日、小学校で同級生だった川原谷くんと約十年ぶりに再会した恵里伊は、彼女とうまくいっていないという彼に優しく言い寄られるのだが…。(「内海さんの経験」)。どうして自分はこんな風に生まれてしまったのだろうか。現実に直面してもがきながらも、懸命に生きる人々を描いた短篇集。
  • よるねこ
    3.3
    深夜の寄宿舎を徘徊し、出会った者の魂を奪うという巨大な青い猫の噂。どこにでもある「学校の怪談」のはずだったが、母は女学生時代にその猫を見たことがあるのだという…。平穏な日常に潜み、ふいにその姿をのぞかせる恐怖。その本質を描く、著者初のホラー短編集。一度読んだら一生夢に出てくる、そんな物語が詰まっています。本当の怖さを知りたい人だけ、読んでください。
  • パリ・東京殺人ルート(十津川警部シリーズ)
    3.3
    パリ観光に訪れた男が突然失踪、サン・マルタン運河に死体となって浮かんだ。急遽フランスに渡った十津川警部は、留学生水原とパリ警視庁小メグレ刑事の協力を得て捜査を開始する。モンマルトルの似顔絵描きから、事件に関わる謎のブロンド美女の情報を入手するが、独自に調査を進めた水原は得体の知れぬ相手から脅迫を受ける。事件の裏に隠された恐るべき陰謀とは!?
  • たぶらかし
    3.3
    ドラマ化小説! 元舞台女優のマキ、39歳。あやしげな事務所に所属し、市井の人々の中で誰かの代役を務める「役者」を仕事にしている。多忙なセレブ母の代理として子供の学校に赴いたり、夫の親戚との付き合いを厭う新妻の身代わりや、さらにはワケありな葬儀での死体役まで、様々な役柄をこなしている。そんな中、あやしい青年・モンゾウが、マキに無理やり弟子入りしてきて……。第23回小説すばる新人賞受賞作。
  • A.B.O.AB
    3.3
    血液型にとらわれて「男女交際」なんてダサイ……などと考えてはいけません。血液型を信じましょう。A、B、O、AB、それぞれの血液型の男女が8人いて、恋愛のドラマが始まる。切ない擦れ違いや、ドライな別れがあって、でも詰まるところ収まるように収まる。それって、やっぱり運命だったのかも。新しい物語の世界がある血液型恋愛シミュレーション小説。
  • 愛はひとり
    3.3
    目が醒める。ひとりである……。今日も平穏な日常が虚しく過ぎていく。そして、果てしのない寂しさ――。淡々と、しかし赤裸々に語られる、ある女の「ひとりであること」。孤独な生活のなかで愛を求め続ける切実な心を、フレンチ・ポップスの名曲に託し、詩情豊かに、そして幻想的に描くビジュアル短編集。すべての孤独な女性必読の「処方箋」。この本で、あなたの症状もきっと治ります。
  • 吸血鬼は良き隣人(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.3
    神代エリカは、「正統な」吸血鬼を父に持つ女子大生。クリスマス間近のある日、由子という少女がサンタに殺され、息子の幸男が警察にマークされている、と川添千恵がクロロック家に相談に来た。幸男は半年前まで由子と交際があり、サンタの衣装でバイトをしていたという。エリカとクロロックは早速、事件解決に乗り出すけれど!? 表題作のほか、「吸血鬼と雪男」を収録。大好評シリーズ!!
  • 龍の哭く街
    3.3
    暴力と金が全てを支配する街、歌舞伎町。氷室の勤めるバー『ハイランド』でも中国人マフィアの抗争話が絶えない。そんなある日、彼の元を一人の男が訪ねてくる。「入国管理局の第二庁舎に勤務されていましたね?」――にわかに慌しくなる周囲。元同僚の死、恋人の襲撃未遂、自宅の火事。氷室の身に一体何が迫っているのか。捨てたはずの過去が明らかになるとき、組織との孤独な戦いが始まる。
  • DOG×POLICE 警視庁警備部警備第二課装備第四係
    3.3
    警備課に所属し、爆発物探知や自然災害での被災者救助など、警備全般を担う犬、警備犬。その訓練を行う装備第四係に配属された新人警察官の勇作は、刑事になる夢とのギャップに不貞腐れるが、個性的な同僚や優秀な犬たちとの出会いが彼の心を変えていく。そんな中、勇作は生まれつき体の弱い警備犬シロとバディを組み、巷を騒がせる爆弾魔事件に出動して……。話題の映画、原案小説書き下ろし。
  • ヘヴンリー・ブルー
    3.3
    8歳年上の姉・春妃が自分のボーイフレンドと恋に落ちた。精神科医として働く、美しく優しい姉と、やっと両思いになった同級生の歩太くんが。「嘘つき! 一生恨んでやるから!」。口をついて出た取り返しのつかないあの言葉。あの日に戻りたい。あの日に戻れたら。お姉ちゃん、お姉ちゃん、私は……。夏姫の視点から描かれる『天使の卵』アナザーストーリー。文庫版特別エッセイ付き。
  • グラビアの夜
    3.3
    編集者・高橋は苛立っていた。一流出版社で文芸書を作るはずだった自分が、今夜もスタジオで水着の女の子を眺めながら青年コミック誌のグラビア撮影を仕切っている。俺はこんな場所にいるはずじゃないんだ……。彼は密かに、挫折した夢を取り戻そうと決意する。夜のスタジオを舞台に、グラビア撮影現場のスタッフたちは自分の居場所を見出そうとしてあがく。彼らの思惑と葛藤を描き出す連作短編集。
  • 東京デザート物語
    3.3
    地方から上京し女子大生になった朱子は、料理研究家の叔母の家に寄宿する。朱子の毎日は刺激の連続で、ひょんなことから女性誌の読者モデルに選ばれ、彼女の生活は一変する。そして秘密の恋も始まる。叔母さんのデザートレシピとアドバイスで、朱子は素敵な恋愛レッスンを積んでゆく。恋愛長編小説。デザートのレシピも一部ついています(文庫版から一部割愛)。
  • マザコン
    3.3
    「あなたはマザコンよ、正真正銘の」と妻に言われ、腹立ちまぎれに会社の女の子と寝てしまったぼく。夫より母親を優先する妻のほうこそ、マザコンではないのか。苛立つぼくの脳裏に、死の床から父が伸ばした手を拒む母の姿がよみがえり…。表題作ほか、大人になった息子たち娘たちの、母親への様々な想いを描く作品集。疎ましくも慕わしい母と子の関係――胸がしめつけられる、切なくビターな8編。
  • みどりの月
    3.3
    恋人のキタザワに誘われ、同居することになった南。ところが、そのマンションには、キタザワの遠い親戚マリコとその恋人サトシが住んでいた……。成り行きまかせで始まった男女四人の奇妙な共同生活を描く表題作ほか、別れの予感を抱えた若い夫婦があてのないアジア放浪に出る「かかとのしたの空」を収録。今を生きる若者たちを包む、明るい孤独とやるせない心をうつしだす作品集。
  • 【新装版】呪い人形(木部美智子シリーズ)
    3.2
    悪名高い宗教家が入院中に死亡した。多額の布施を強要されて家族を失った老婆が「自分が呪い殺した」と名乗り出る。しかし疑いの目は正義感の強い若い研修医の工藤孝明に。濡れ衣を晴らし個人病院の勤務医になった工藤だが、またも彼の目の前で患者が死亡し嘱託殺人を疑われることに……。取材を進めるフリーライターの木部美智子は、「呪われて」死んだ者がほかにもいることを知るが──。人間が秘める暗部に鋭く迫る社会派ミステリー。『蟻の棲み家』でベストセラー作家となった著者の初期の傑作、待望の新装版(重複購入にご注意ください)。
  • ひとよ
    3.2
    ある夜。タクシー運転手のこはるは、家族に暴力を振るう夫を殺害してしまい、15年後に必ず戻ると約束して自首する。そして――15年後。母は約束通り帰ってきた。母が起こした事件によって人生が大きく変わってしまった三人の子どもたちは、再会した母とどう接するか戸惑い……。家族の崩壊と再生を描く、劇作家・演出家・俳優の桑原裕子が主宰する劇団「KAKUTA」の代表作を小説化。
  • ザ・藤川家族カンパニー あなたのご遺言、代行いたします
    3.2
    1~4巻638~737円 (税込)
    男5人女1人、中学生から30歳までの6人きょうだいが暮らす藤川家。ある日、母親を亡くした少女・十遠が連れてこられる。異母妹だという健気で可愛らしい十遠を、唯一の同性である七重だけが受け入れられず……。一方、長兄の四寿雄が営む「遺言代行業」には奇妙な依頼ばかりが舞い込む。なし崩しに仕事を手伝っている弟妹たちだが、難題揃いで……? 人の「絆」を描く、ハートフルコメディ!
  • ダーク・ムーン 上
    3.2
    一九九七年、カナダ西海岸・ヴァンクーヴァー。中国への返還目前の香港から押し寄せる移民たち。そして黒社会。おりしも頻発するヘロイン強奪事件に華人マフィア同士の緊張が高まり、街には不穏な空気が流れていた。そのさなか香港黒社会の大ボスの愛娘・李少芳が行方をくらませた。探索を命じられた男・富永脩は一人、ヴァンクーヴァーに降り立つ。欲望と憎しみの悲劇の幕は上がった――。
  • 寮生 ――一九七一年、函館。――
    3.2
    1971年春、函館にある憧れの私立高校に入った僕は、親元を離れ寮生活を始める。街の景色、同級生、音楽、出会うもの全てが刺激的で、期待に胸を膨らませていたが、入学早々、「寮の恒例行事“入魂会”に関わったものは死ぬ」という噂を耳にした。するとそのわずか二日後、寮の二年生が謎の転落死を遂げる。事件と噂の真相を探るため、僕たち一年生は探偵団を結成して――。青春学園ミステリー。
  • ハローサヨコ、きみの技術に敬服するよ
    3.2
    高校一年生の誠が抱える秘密、それは幼馴染の小夜子と二人でネットにまつわる事件を解決していること。誠が依頼を受け、小夜子が実作業を担当する。当初は厄介ごとが彼女に降りかからないように選んだ手段だったが、誠は次第に罪悪感を覚え始める。自分たちがしているのは人助けか、はたまた犯罪か。思い悩む彼を待ち受けていたのは予想もつかない事件だった――。甘酸っぱく愛らしい学園小説。
  • さまよえる脳髄
    3.2
    精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始める――。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。
  • 曼荼羅道
    3.2
    【第15回柴田錬三郎賞受賞作】家業の薬売りを手伝うために妻の静佳とともに富山に戻った麻史は、祖父が残した書き付けから「曼荼羅道」の存在を知る。祖父の蓮太郎は戦時中マレー半島に渡り、部族の娘サヤを現地妻としたのだった。現代を生きる麻史と静佳、戦後を乗り越えてきた蓮太郎とサヤ。二組の男女の人生が、やがて「曼荼羅道」で交錯する。圧倒的な迫力と濃密な筆致で描く家族、愛憎、そして性。傑作長編。
  • 宇宙のウインブルドン
    3.2
    杉本宇宙、17歳。身長188センチ、体重78キロ。彼には大きな野望がある。サーブ1本だけでウインブルドンで優勝すること。そのために毎日毎日サーブの練習だけをしている。確かにサーブはものすごい。ジャパンオープンでも対戦相手がひっくり返るほどの圧倒的なサーブで勝ち上がり、とうとうウインブルドンに出場する。世界の強豪たちを相手に果たしてサーブのみで制覇できるのか!? 抱腹絶倒の超青春小説。
  • いつか白球は海へ
    3.2
    六大学野球で活躍した海藤敏は、プロ野球界入りを諦め、社会人チーム“間島水産”に入団。オーナーの熱心な勧誘と、全国制覇を遂げた名門チームへの憧れが心を動かしたのだ。だが、入団早々、オーナーが急死し、チーム存続の危機が明らかになる。勝利にこだわるルーキーの熱い思いは、他の選手達を…。野球を愛する男達の闘いを描く気鋭のスポーツ小説。ひたむきな昭和のフィールド・オブ・ドリームス。
  • 水無川
    3.2
    担任した児童が親の虐待で死亡するのを防ぐことができず、教師を辞職した真壁。彼の恋人、夏美は、幼い娘への暴力を止められずに苦しんでいる。心の傷をなめあうような、未来の見えない二人の関係。夏美はしだいに、隣りに住む謎めいた男、野口に惹かれて行く。しかし野口にはおそろしい秘密があった――。親と子の愛情の深淵、家族の絆の再生を、渾身の筆で描いた傑作長編ミステリー。
  • 十津川警部「ダブル誘拐」(十津川警部シリーズ)
    3.2
    三月三日、東京で七歳の少女鏑木美加が誘拐された。身代金一億五百万円を支払って解放されたが、犯人は逃走。捜査に行き詰まる十津川警部のもとへ、同じ日小樽でも美加という七歳の少女が誘拐されていたと報告が入る。身代金額まで同じという。やがて、第三、第四の誘拐事件が……。少女連続誘拐犯の真の狙いは何か! 奇怪な事件の謎を追って小樽、東京、京都へと飛ぶ十津川警部の推理行。
  • 百万のマルコ
    3.1
    十三世紀末、イタリア半島・ジェノヴァの牢に新入りがやってきた。“マルコ・ポーロ”を名乗る男が語るのは、遠い東の異国で体験した奇妙なミステリ。それはホラ話か壮大な冒険譚か? 「黄金だらけの場所で、ほぼ道具を使わず、どうやって黄金を得たか」(「百万のマルコ」)。「酒を飲んではいけない砂漠の民に飲み物を求められた。酒しかない。どう切り抜けたか」(「掟」)。牢の囚人たちは真相を当てようと悪戦苦闘! あなたは真実を見破れるか? 謎解き噺十三話に新作一編を加えた連作短編集!
  • 怪物が覗く窓
    3.1
    19歳の良太はドアスコープを付けた部屋で引きこもり生活を送っていた。父親はそんな息子を「怪物」と呼んで嫌悪する。やがて閉塞した良太の人生に転機がきた。向かいに若い女性が越してきたのだ。部屋の窓から眺めるその姿は、良太を久々に表の世界へ誘い出した。しかし、その女性が何者かに殺され、父は「ウチの変態息子」の仕業と決めつけた。だが…。意外な真相に戦慄する新感覚ミステリー。
  • 九代目長兵衛口入稼業
    3.0
    1~5巻649~792円 (税込)
    江戸で人材派遣業を営む口入屋の九代目を継いだばかりの長兵衛。江戸に集まってくる人々に職を斡旋して面倒見がいいと評判だった先代のような店主を目指している。ある日、長兵衛の店で中間の世話をした友蔵が、旗本の中間部屋で賭場を開き、荒稼ぎしていると噂を耳にする。その賭場の博打で負けたと三次が店にやってきて新しい奉公先を見つけたいというが……。中間部屋を渡り歩く友蔵の裏になにかあると睨んだ長兵衛は探索に乗り出す。粋でいなせな口入屋長兵衛の活躍。文庫書き下ろし時代小説の新シリーズ。
  • ホテル・アルカディア
    3.0
    ホテル・アルカディアの支配人のひとり娘・プルデンシアは、コテージに閉じこもっていた。投宿していた7人の芸術家は、彼女を元気づけ、外に誘い出すべく7つのテーマに沿った21の不思議な自作の物語をコテージ前で順番に語りだした。この朗読会は80年たった今も伝説として語り続けられ、廃墟と化したホテル・アルカディアには聖地巡礼のようにして、芸術家たちのファンが何人も訪れる。80年前、あの朗読会の後、芸術家たちはどうしたのか、そしてひとり娘のプルデンシアはどうなったのか? かつて味わったことのない読書体験を保証! 第30回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
  • 帝都妖怪ロマンチカ ~猫又にマタタビ~
    3.0
    1~3巻616~649円 (税込)
    昭和初期の東京。浅草の片隅の見世物小屋でひっそりと暮らす猫又の弐矢は、むかし愛した女に瓜二つの美貌の持ち主を見つける。その青年・嘉寿哉の家に居候することに成功した弐矢だが、心理学を研究しオカルトを糾弾しようとする嘉寿哉の周りには何故か妖怪たちが引き寄せられてくる。愛しい彼を守るべく、弐矢は奮闘するが……。欲望渦巻く帝都で暗躍する、妖しくも美しい妖怪たちの物語。
  • 吸血鬼と呪いの古城(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.0
    温泉旅行に出かけたエリカたち仲良し三人組。安さで選んだバスツアーはTVドラマで人気が出た戦国武将・武藤宗正ゆかりの地を訪れる内容で、「ムネちゃん」ファンでいっぱい。プレハブの「新築の古城」(?)に呆れるエリカだが、お城の裏の古井戸から時空を超えたうめき声が聞こえ……!? 表題作ほか、「吸血鬼も夢をみる」「吸血鬼と揺れる大地」の2編を収録。ロングランシリーズ新装版、第28弾! 正義の吸血鬼父娘が今日も事件を華麗に解決!!
  • ミン・スーが犯した幾千もの罪
    3.0
    大陸横断鉄道完成間近のアメリカ西部。妻エイダを奪われ、不当な罪を着せられた中国系の殺し屋ミン・スーは、予知能力を持つ老人の言葉に導かれ、奇術ショーの一座と共に西を目指して疾駆する。妻を取り戻すため、自分を陥れた連中に復讐を果たすための苛酷な旅路。終着地カリフォルニアで彼を待ち受ける未来は、救いか、それとも――。アンドリュー・カーネギー・メダル受賞、若き天才作家トム・リン25歳の衝撃的デビュー作は、暴力と幻想に彩られた叙事詩的ウエスタ――「境界を越えた者よ、存分にやれ!」
  • みちびきの変奏曲
    3.0
    「つかぬことをうかがいますが、こういう手の動きはなんなのかわかりますか?」――通り魔に襲われて亡くなった女性・清藤真空。その最期を看取った人材派遣会社の社員・棚橋は、死の間際の彼女のメッセージの意味を知るため、真空にゆかりのある人々を訪ねてゆく。建築士、音大生、児童養護施設の園長……。真空が遺したのは「きらきら星」だった。そのメロディに導かれるように、それぞれの人生模様が交錯し、真空のこれまでの人生と想いも次第に見えてきて……。人の優しさに触れる癒しと再生のミステリー。

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