ネタバレ
Posted by ブクログ
2012年10月12日
発生から1年半以上経っている、東日本大震災。
時間こそ経過しているものの、未だに多くの方が行方不明。
進まぬ、瓦礫処理。
この小説は、震災発生前からスタートします。
主人公は阪神淡路大震災を経験した青年。
この青年の実家は中華料理屋。
中華料理店でアルバイトとして働いている女子大学生は、
気...続きを読む仙沼出身。
発生直後から家族との連絡は絶ったまま。
阪神淡路大震災の時被災した、主人公の住む商店街は
即座に支援物資を東北に輸送することを決め、
女子大生を乗せて気仙沼へ向かおうとしていた。
ドライバーをする筈の主人公の父親は出発直前にぎっくり腰に
なってしまう。
仕方無しに、主人公は気仙沼へ向かう事を決意する。
女子大生との2人旅だと思いきや、一人の男性も加わる事になり
3人で出発していく・・・。
実際に、被害が大きかった東北方面には、震災以降行っては
いませんが、被災した方達の苦労、心労を丹念に取材して、
小説にしたという感じが色濃く出ている作品です。
ヒロイン役にあたる女子大生はもっとも幸運なパターンとして、
描かれていて小説であることを認識させられますが、
不幸の中にも希望はあるという作者のメッセージが感じられます。
地震大国、日本。
次に震災が起こるのことは予測されています。
しかし、それがいつで、どこで起きるのか、
それがどの程度の規模になるのかまでは予測されていません。
また、予測できない状況だそうです。
回避できないのであれば、被災を減らすには、
被災した場合はどう対処すべきなのか・・・。
震災直後には減災への取り組み、防災への取り組みが
意識され強化されました。
しかし、時間の経過と共に、減災意識、防災意識が薄れてきていると感じているのも事実。
もう一度、見直さねばと考えさせられた小説です。