筑摩書房の検索結果
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文章工房 ――表現の基本と実践
腕のいい職人が暮らしに役立つ民芸品を作り出すように、日常生活で生き生きとすっきりした文章を生み出すには?文章を書く現場で具体的に役立つよう、句読点・記号や用字用語など、文章の七つ道具の使い方から、語順や視点の違いによるニュアンス、描写やレトリックの切れ味に至るまで、技術面を掘り下げて表現のテクニックを披露する実践的な文章講座。書きたいことが的確に届く表現、気持ちが伝わり読み手の心に響く文章を制作するための、楽しいアトリエに、ようこそ。 -
文天祥
南宋末、フビライ率いるモンゴル軍が南下し、王朝は危殆に瀕していた。政治の中枢は腐敗と混乱のなかにあったが、ひとりの秀才が敢然と挙兵し、防禦にあたる。文天祥その人である。だが大勢に利はなく、あえなく囚われの身となり、その間に宋は三百年の歴史に幕を下ろすこととなる。天祥は、フビライから宰相就任要請があるもこれを固辞。五言古詩「正気の歌」を遺してついに刑場に果てる――。反時代的なまでに儒教道徳に忠実で、純なる人間性を貫いた生涯。それは、人間のひとつの極限をわれわれに突きつける。宋代史研究の泰斗が厚い考証を基に天祥の実像を描いた名著。 -
プロパガンダ入門
人をどう動かすか 出来事の創出、集団への一体化、単純化、感情の喚起…… そのメカニズムに迫り、批判的に活用する術を提示する プロパガンダは悪ではなく現代社会に必須のツールである。そのメカニズムを知り、批判的に活用する術を学ぶ現代の必読書。本邦初訳。解説:横路佳幸 「プロパガンダのメカニズムに対するネイサン・クリックのアプローチは、この議論に新風を吹き込んだ。私たちが日々さらされている、途方に暮れるようなプロパガンダの訴えかけを批判的に分析する術を学ぶうえで、本書は間違いなく有用だろう。」 ――ジェームズ・J・キンブル(シートン・ホール大学) 「〈プロパガンダ〉という言葉は、1世紀以上にわたり、好ましくない不当な情報を攻撃する弾劾の言葉として使われてきた。だが、本書が示すように、プロパガンダには明確な意味、歴史、そして大衆説得に関わる実践が存在する。止むことのない大衆説得の時代において、本書はこれまで以上に必要とされている。」 ――ライアン・スキネル(サンノゼ州立大学) 「本書はその名の通り、マスメディアの現在形であるプロパガンダの基礎を掘り下げ、より批判的な受容者、そして公共メッセージのより生産的な発信者たらんとする市民のために、この用語を再評価する。クリックは、今日の民主主義社会に蔓延する危険性を深く自覚しつつもなお、倫理的かつ効果的な政治的言論のためのツールキットと論拠を提供している。」 ――ロバート・ハリマン(ノースウェスタン大学) プロパガンダといえば、扇情的な演説や集会、制服、ポスターなどを通じて大衆を操作するメディア戦術を想起しがちだ。だが、それはごく一面的な見方に過ぎない。本書では、プロパガンダがいかにして様々な出来事をつくり出し、人々のアイデンティティを刺激し、アイデアを単純化して欲望・恐怖・罪悪感・怒りといった感情を喚起していくかを具体的に解説していく。そこから見えてくるのは、プロパガンダそれ自体は悪ではなく、人々に何かを伝え、社会を動かしていくうえで不可欠のツールだということだ。そのメカニズムを知り、批判的に活用する術を学ぶ現代の必読書。本邦初訳。 【目次】 第1章 プロパガンダとは何か 第2章 動機の形成 第3章 出来事をつくり出す 第4章 アイデンティティをつくり上げる 第5章 アイデアを単純化する 第6章 激情をかき立てる 第7章 プロパガンダは私たちを救うのか、破滅させるのか 読書案内/用語集/解説(横路佳幸)/原注/参考文献/索引 -
プロ野球新世紀末ブルース ――平成プロ野球死亡遊戯
平成を彩った名選手から伝説の試合、球界の大事件、忘れられないバイプレイヤーや珍エピソードまで、“平成プロ野球”を総括したコラム集。文庫化に際して、とんねるず、ファミスタ、TVドラマ、女子アナなどの平成カルチャーと新世紀末プロ野球の危険な蜜月関係に迫る書下ろしコラム4編も新加入。平成の名場面を圧倒的偏愛でまとめた「球界年表」も収録する。 -
平安朝の生活と文学
豊かな国風文化を育んだ平安時代、その担い手だった宮廷の人びとはいったいどんな生活をしていたのか。本書は、『源氏物語』や『枕草子』などの文学作品をはじめ、さまざまな古記録を博捜し、当時の行事や日常を復元する。後宮の制度や宮仕えの動機から、住宅事情、食事と食べ物の種類、結婚と風習、懐妊と出産、美意識やその表現、美人の条件や教養、はては誤楽、疾病、医療、葬送、信仰などにいたるまで明らかにした、平安時代の女性生活百科の名著。国文学専攻の教師や学生はもとより、広く古典文学愛好家必携の書。通読するだけでも、当時の生活が澎湃として眼前に立ち現れる。 -
平安文学の謎を解く
平安文学についての常識は、調べてみると謎だらけ。小野小町は絶世の美女だったかどうかも、在原業平が東国の放浪の旅をしたのかどうかも謎。紀貫之による『土左日記』は日記でも紀行でもない謎の文章だし、『枕草子』のようなスタイルの随筆は後にも先にも存在しない。『源氏物語』の作者も謎に包まれているし、その作者とされる紫式部の『紫式部日記』の清少納言に向けた悪口も謎に満ちている。こうした謎を解き、平安文学を深く知ることができる、楽しい古典再入門。 【目次】序章 現像を探る/第一章 小野小町とは誰だったか/第二章 在原業平の「東下り」――伊勢物語/第三章 和歌という謎との格闘――土左日記/第四章 「随筆」性の温床――『枕草子』/第五章 紫式部は清少納言の悪口を書いた?――『紫式部日記』/第六章 源氏物語プロジェクト/第七章 「光源氏」という呼称/あとがき/参考文献/人名索引 -
兵隊になった沢村栄治 ──戦時下職業野球連盟の偽装工作
ベーブ・ルースをきりきり舞いさせるなど活躍し、将来を嘱望されるも、三度も出征し落命した悲運の投手・沢村。彼は何を考え、戦地に赴いたのか。本書は人間・沢村を描くとともに、当時の野球関係者の興味深い動きを描き出していく。表向きは時局に迎合し戦争に協力するかのように「偽装」しつつ、職業野球連盟は沢村の悲劇を繰り返さぬよう、野球界や選手らを守ったのだ。その工夫とはいかなるものだったか。知られざる戦時下の野球界を、資料の綿密な分析から再構成する。 -
平和憲法の深層
改憲・護憲の谷間で、憲法第九条の基本的な文献である議事録は、驚くべきことにこの七〇年間ほとんど紹介されてこなかった。「戦争の放棄」と「平和憲法」は、直接には関係がないし、それをつくったのは、マッカーサーでも幣原首相でもなかった。その単純でない経過を初めて解き明かす。また「憲法はGHQの押し付け」と言われるが実際はどうだったか。「日本は平和国家」といつから言われてきたのか。「敗戦」を「終戦」に、「占領軍」を「進駐軍」と言い換えたのは誰が何のためだったか…などについて、日本国憲法誕生の経過を再現し、今日に至る根本的重大問題を再検討する。 -
平和をつくるを仕事にする
ウガンダやコンゴでの子ども兵への社会復帰支援などを資金ゼロ、人脈ゼロから始めたNGO代表が語る、今世界で起きていること。そして私たちにもできること。 -
ヘルシンキ 生活の練習
フィンランドの子育てに、目からうろこ。「母親は人間でいられるし、人間であるべきです」二人の子どもと海を渡った社会学者による現地レポート。「考え方が変わる」と大反響。待望の文庫化! -
ヘルシンキ 生活の練習はつづく
ガチ多様性。ふたりの子どもと北欧へ渡った社会学者による、現地レポート。「考え方が変わる」と大反響の『ヘルシンキ 生活の練習』の待望の続編! 【目次】はじめに/1 大人と働く/2 戦争と平和(前編)/3 戦争と平和(後編)/4 特殊なのは誰か/5 見えないルール/6 エリライシアが普通/7 みんなのための善いこと/おわりに -
ヘレン・ケラー ――行動する障害者、その波乱の人生
生後19ヶ月で視力と聴力を失いながら不屈の心で障害を克服し、平和と福祉のために闘った〈世界一有名な障害者〉、その壮絶な生涯。(巻末エッセイ・高橋源一郎) -
変態さん!
女斗見(みとみ)といわれる女相撲マニア、美女切腹(?)ファン、秘画秘本・ワイ本・ビニ本・大人のオモチャなどの各収集家、さらにはフンドシフェチ、犬なしでは生きられない男など、昭和を代表するスケベ人生を送った“変態”たちの姿を追う。性にまつわるコレクションに取り憑かれた彼らの集大成。 -
米朝らくごの舞台裏
桂米朝の落語は、速記、本人執筆による論文、エッセイが数多く刊行されている。それらは落語という芸能全体について後世に遺される貴重な資料となっている。筆者は中学生のころラジオ番組のリスナーとして米朝と出会い、その後、門人の桂枝雀に台本を提供したことから、米朝からも親しく教えを受ける機会を得た。「桂米朝落語研究会」の反省会、米朝が一門の落語を聞いた後、丁寧にダメ出しをしていた場などにも同席、教えの一部を垣間見、ノート10冊に書き留めた。上方落語中興の祖・桂米朝の芸談、ネタや本人にまつわるエピソード、古い芸人たちの思い出話などを、演題解説とともにつづる。また米朝の、活字、音源、映像についての莫大な資料情報も掲載。 -
ベクトル解析
ベクトル解析は、電磁気学・流体力学などを学ぶ学生に必須の課程で、しばしば工学・物理系の応用数学とみなされがちである。しかし見方をかえて、基礎的な「1次元の線形代数学」から多次元への発展、「1変数の微積分」から多変数関数の微積分への発展、の段階の解析学と考えれば、大学教養課程の結節点ともみなしうる。それはより抽象度の高い、多様体へのゆるやかな第一歩である。本書では、そのような展開性のある位置づけのもとに、森一刀斎が「ベクトル解析のココロ」を開陳する。最終章に新たに、教育的側面を明らかにした「なぜベクトル解析なのか」を加えた。 -
勉強ができる子は何が違うのか
成績の良い子は、認知能力の他に、自分をやる気にさせる力や忍耐強く物事に取り組む力や感情をコントロールする力などの、非認知能力を身につけている。さらに、自分をモニターするメタ認知能力にも長けている。実は、学力向上のコツは自分自身を客観的に認識する能力「メタ認知」にある。では、「メタ認知」はどのようにして鍛えられるのか? 勉強ができるようになるためのヒントがここに! 【目次】第一章 成績の良い子と悪い子、何が違うのか?/第二章 やる気も粘りも非認知能力しだい/第三章 自分の学習スタイルをモニターしているか?──メタ認知について/第四章 読書と学力は密接に結びついている── 読解力と認知能力について -
ベースボールの詩学
19世紀後半、エジプトのピラミッドをバックネット代わりにベースボールの試合をした男たちがいた。アメリカの国技を世界に紹介するために選ばれたワールド・ツアーの一行だった。――この奇妙な世界一周野球旅行をめぐって球戯の起源を探る巡歴は始まる。「投げられた白球をバットの真芯でとらえ、野の涯へと打ち返すときのあのいい知れぬ快感……」。野球をこよなく愛する詩人がベースボールの歴史と冒険、詩的なるものを探求した、まったく新しい野球論の誕生。 -
北京の歴史 ――「中華世界」に選ばれた都城の歩み
黄河文明の辺境に位置し、江南文化とも遠く離れた長城地帯に近接する政治都市・北京。古代国家の首府でもあったこの地は、「中華世界」の拡大とともに、いかにして辺境の地から中心地へと飛躍してきたのか。古代から現代まで長きにわたるその歴史をダイナミックに描き出す。漢族と非漢族、農耕と遊牧という対立する要素が交流・融合する、坩堝としての都城が果たした役割にも注目。多民族国家中国の首都に選ばれ続けてきた波瀾万丈の歴史から、伝統中国の政治文化の本質に迫る。 【目次】はじめに/第一章 文明の辺境──燕国/1 のちに「北京」と呼ばれる地域空間/2 薊城──都市「北京」の起源/3 戦国の七雄としての燕/第二章 東北の重鎮──幽州/1 郡県と封建のゆらぎ/2 諸族融合の坩堝/3 中原諸王朝の前進基地/第三章 諸族争奪の舞台/1 早すぎた大燕皇帝の登場──安史の乱/2 燕雲十六州問題──胡・漢最大の係争地/3 政治的中心地への道──遼の「南京」/第四章 中都から大都へ/1 宋朝に格下げされた「燕山府」の混乱/2 金の海陵王と「中都」遷都──はじめての帝国首都/3 クビライの「大都」建設/第五章 華夷一統のために/1 漢族王朝の再興と北京遷都/2 北京定都と嘉靖帝の都城改造/3 近世東アジアの百万都市/第六章 拡大された中華帝国/1 明清交替/2 非漢人政権にして中国の正統王朝/3 タタール・シティとチャイニーズ・シティ/第七章 皇帝の住まなくなった紫禁城/1 紫禁城──外朝と内廷/2 拡大された中華世界の三つの中心/3 円明園炎上/終章 廃墟からの再生/1 北京最後の日/2 天安門での建国セレモニー/主要参考文献/あとがき/図版出典一覧/人名索引 -
法学の誕生 ――近代日本にとって「法」とは何であったか
日本が、驚くほど短期間に近代化を果たしえたのは、西洋法の継受に成功したからである。だが、「法」を自らのものとして運用するには、それを支える法的思考様式、つまりは「法学」を受容することが不可欠だった。法学とは西洋社会に深く根差した思想であり、文化である。全く異質な文化的土壌をもった日本社会が、それまでにない思考様式を受容するのには幾多の困難があった。いったい日本人は、いかにしてそれを乗り越えたのか? 欧米列強と対等に伍するため、国を代表する俊英たちが競って法学を学び、近代国家としての骨格をつくり上げた明治日本。先人たちの苦闘の歴史をあざやかに描き出す。 -
方丈記
日本古典文学中屈指の名文『方丈記』。著者鴨長明が見聞し体験した、大火、大風、遷都、飢饉、大地震などが迫真の描写で記録され、その天災、人災、有為転変から逃がれられない人間の苦悩、世の無常が語られる。やがて長明は俗界から離れ、方丈の庵での閑居生活に入りその生活を楽しむ。しかし、本当の心の安らぎは得ることができず、深く自己の内面を凝視し、人はいかに生きるべきかを省察する。本書は、この永遠の古典を、混迷する時代に生きる現代人ゆえに共鳴できる作品ととらえ、『方丈記』研究第一人者による新校訂原文とわかりやすい現代語訳、理解を深める評言によって構成した決定版。 -
包帯クラブ ルック・アット・ミー! ──The Bandage Club Look At Me!
関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ。彼らはそれぞれに傷ついた少年少女たちだった。戦わないで自分自身の大切なものを守りたい、そんな思いから彼らは包帯クラブを結成する。その活動を描いた前作『包帯クラブ』から16年。本作は前作の終わりから話が始まる。場所に包帯を巻く活動は、無理解や反発などを受け、自粛を余儀なくされる。しかし、ひっそりと集まりバンド活動を始める彼ら。発表の場を求めながら、さまざまな人と出会い、再び物語は動き出す。本作では、未来の、成人した彼らの姿も交差して描かれる。この世界にあふれた悲しみのひとつひとつを手当てすることは難しいが、だから何をしたってむだ、とは言いたくない。自分たちのやり方で、自分を守り、大切な人たちを守ろうと踏み出す彼らの第2幕が開く。 -
法然入門
この世を生きる意味はどこにあるのか。私たちは、人生の「意味」を求め「物語」を必要とする存在である。とはいえ現実は、不条理と不安に満ちた人生の大海を漂いながら、答えのないままに、そのときどきの欲望に引きずられて生きてゆくしかない私。法然は、そうした自己愛、愚かさ、無知にこそ人間の本質があると認め、まさに「極悪最下」の者こそ救われる物語を用意した。悪人が善人になる必要はない、ただ生まれつきのままに、ありのままに念仏せよ―日本史上最大の衝撃を仏教界にもたらした易にして奥深い思想を、やわらかに解きほぐす入門書。 -
法然の衝撃 ──日本仏教のラディカル
著者は、世界の宗教史でただ一人あげよ、といわれたら法然をあげるという。なぜか。一言でいえば、「凡夫」のための宗教は、法然を持ってはじめて世に出現したからである。「凡夫」とは、「自己中心性」から逃れられない人間のことである。自己のためにはすべての欲望が総動員される。神仏を祈願するといっても、内容は、是が非でも自己の欲望を遂げようという脅迫であることも少なくない。「凡夫」に救いはあるのか。あるとすればいかなる教えなのか。この世の一切の営みを超えた宗教的価値の絶対性をはじめて明確に主張した法然の革命的意義を新たな視角から解き明かす。 -
法然の手紙を読む
浄土宗の開祖・法然は様々な人から教えを乞われていた。本書では、法然が熊谷直実のような武士から式子内親王、北条政子に至る人々に宛てた手紙を平易な訳文とともに紹介する。仏教を専門としない相手に書かれた手紙には、称名念仏による極楽往生こそ救いの道であることが、わかりやすくかつ論理的に説かれている。また文面からは、身分や年齢にかかわらず相手を尊重し、権力とは正面から対峙しない、優しくも強かな法然の人柄が窺える。本書はそうした手紙の読解を通じて、現実から逃げるのではなく往生を見据えて現実を強く生きるという、本願念仏の持つ実践的な力を提示する。文庫オリジナル。 -
法の概念〔第3版〕
法とは何か。それは単なる命令とどう異なり、道徳や慣行といかに関わるのか。なにゆえ法は、私たちを従わせる規範としての力をもつのだろうか。こうした難問をめぐって有力に唱えられてきた主権者命令説や自然法論はいずれも十分でない。法の特質は、人々の行動を方向づける一次ルールと、何がルールかについて定める二次ルールとの組み合わせとして理解されねばならないのだ。1961年に初版が刊行された本書は、このような革新的な視点を打ち出すことで法哲学のあらたな地平を切り拓き、分野を越えて巨大な影響を及ぼした。初版への批判に応えた「後記」をも含む改訂版を、平明な新訳でおくる。 -
法の原理 ──自然法と政治的な法の原理
「人間の本性とはなんであるか、政治体とはなんであるか、また、いわゆる法とはなんであるか」。1640年に発表された最初の政治理論で、ホッブズはこれらの問いに答える。人間本性の分析を通して描き出される、自然状態=戦争状態。そこから脱する政治体として、選ばれるべきものは何か――。大著『リヴァイアサン』へと発展する議論の核心は、本書のうちに用意されているといってよい。イングランドが政治的混乱に見舞われるなか、ホッブズの願いは、自らの学説によって人々に平和への指針を示すことにあった。「ホッブズ哲学の最良の展開の一つ」と評される作品を、達意の訳文と充実した訳注でおくる。 -
保守思想とは何だろうか ――保守的自由主義の系譜
一般的に、保守思想と自由主義(リベラリズム)は水と油のように相容れないとみなされる。しかし本来、正しい「保守」であれば自由主義を擁護するし、本物のリベラルであれば「保守」たらざるをえない。本書では、デヴィッド・ヒューム、福澤諭吉、フランク・ナイトという三つの偉大な知性を召喚し、歴史の転回点に立った彼らが、近現代世界の黎明期に見出した共通の主題「保守的自由主義」を抽出する。彼らが追究した思考を追体験することで、同じく歴史の転回点に立つ私たちが、二元論に惑わされずに保守思想の本質にたどり着くための道筋をさぐる。 -
保守思想のための39章
バブル崩壊と冷戦の終焉から十年すぎた。しかし今なお、経済の立て直しから有事への対処などに至るまで、依然として議論だけが続いている。しかも、その空疎な対立と不毛な論争の蔭で、学級崩壊、官民を問わない不正行為の続出、各種犯罪の増加など、日常の社会そのものは緩慢な自死の過程をたどりつつある。そして、資本主義の挫折と帝国主義の再来、それが世界の大状況となっている。この危機に、私たちはどう臨めばよいのだろうか。単なる郷愁やかたくなな復古ではなく、美徳と良識にもとづいて公共空間を再建するため保守思想の真髄をさぐる。
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