角川春樹事務所作品一覧

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  • 魯山人の食卓 新装版
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「食器が楽しいものになれば、必然、料理が楽しいものになるのです」――書・絵画・陶芸の大家・北大路魯山人は、食にも一切の妥協を許さぬ通人であり、それは店で出す食事、家庭の食卓を問わなかった。旨い寿司、自分で作る贅沢茶漬けに雑炊、そして食に携わるすべての人に沁みる簡にして要を得た名言……稀代の美食家の想いを余すところなく伝える食エッセイ集の新装版。
  • 戦神
    完結
    5.0
    全1巻1,188円 (税込)
    戦国の世に、宿命を背負い生まれてきた戸次八幡丸。彼は、父・戸次親家が主君・大友親治の愛息を死なせた罰として、死に追い込まれた母の腹から取り出された子であるがゆえに、「鬼の子」と呼ばれていた。幼い頃から北九州にて戦の才を発揮した八幡丸は、戸次鑑連と名を改め、やがて大友最強の将と称えられるようになる。多くの家臣に囲まれながら、最愛の女性・お道を妻に迎え、幸せに包まれた日々を過ごす鑑連だったが、過酷な運命が襲いかかり……。後の立花道雪を主人公にした、歴史小説の傑作が待望の文庫化!(解説・内田剛)
  • 奥州狼狩奉行始末
    5.0
    江戸時代、馬産が盛んな地域にとって、狼害は由々しき問題だった。そのため、奥州には狼を狩る役・狼狩奉行が存在した。その狼狩奉行に就くよう藩から命じられた、岩泉亮介。父が三年前に非業の死を遂げ、家督を継いだ兄も病で臥せっている。家のため、命を受けた亮介だったが、狼の群れは「黒絞り」という頭目に率いられ、かつてないほど凶悪になっていた。だがその「黒絞り」を追う内に、父の死の真相、藩の不正にまで繋がり……。北方謙三・今野敏・今村翔吾・角川春樹、選考委員満場一致の第15回角川春樹小説賞受賞作。(解説・青木千恵)
  • 旅するカラス屋
    5.0
    ここに行けば、どんなカラスに会えるだろう──カラスの生態を専門とする動物行動学者・松原始先生は世界地図を見ながら日々考える。そんな松原先生がカラスを追いかけ、日本を、そして世界を旅した距離はゆうに五万㎞超。調査で奥秩父や屋久島を駆け回り、冬の知床では雪の原野に身を隠すため頭から白いテーブルクロスを被る。音楽の街ウィーンでもマレーシアのジャングルでも、とにかくここのカラスが見たい! と探し歩く。カラスとカラス屋、どちらの生態も興味深い「カラス旅」エッセイ!
  • 写楽女
    5.0
    寛政六年の春。地本問屋「耕書堂」に住み込みで奉公している女中のお駒は、店主・蔦屋重三郎のもと、日々忙しく働くある日、店の中に入っていく長身の男を見かけた。その男は、写楽という蔦屋が抱える新しい絵師だった。写楽の役者絵が店に並ぶと、今まで誰も見たことのない絵に、江戸中が沸いた。讃辞と酷評入り混じる中、突然重三郎に呼ばれたお駒は、次に写楽が描く絵を手伝ってほしいと言われ……。選考委員満場一致で受賞した、第十四回角川春樹小説賞受賞作、書き下ろしの外伝を加え、待望の文庫化。
  • 天に挑む 大谷刑部伝
    5.0
    「百万の軍勢を率いさせたい」 天下人豊臣秀吉にそう言わしめた男、大谷刑部。 敦賀五万石の小領主は、なぜ天下分け目の大戦を起こせたのか。どんな思いで関ケ原の戦場に立ったのか。生い立ち、病との闘い、父なる主君、友との出会いと訣別、家臣・家族との絆、そして、最強の敵への挑戦。謎につつまれた名将の渾身の生き様を、新視点で描く。 これは運命から逃げず、命を燃やし尽くし伝説となった男の物語。
  • 少年時代
    5.0
    町を歩くチンドン屋のシゲさんが吹くサキソフォンの音色に惹かれ、彼についていった僕。シゲさんは僕に、“あきらめないこと”の大切さを教えてくれた。ある日、町で殺人事件が起きて……(「天の川の預かりもの」より)。その他、アクの強い両親のもと犬を飼い始めた少年、柔道部での上下関係に揉まれる少年……大人の世界の理不尽にさらされながらもひたむきに生きる、ピュアな彼らの成長を描く。昭和の香り漂う懐かしい時代の風景から予想外の展開が待ち受ける、書き下ろしの連作小説(解説・池上冬樹)
  • 新宿歌舞伎町駆けこみ寺 解決できへんもんはない
    5.0
    ”俺は命をかけとんのや”――在日韓国人の玄の幼少時代は不幸のどん底だった。中学時代からグレ始め、成人後は、不動産、サラ金……など自ら次々と事業を起こし、鉦の猛者となる。ヤクザとの抗争も絶えなかったが、平成12年白血病ウィルスの一種の感染者であることがわかる……。壮絶な人生の果てに巡り会ったのが、生まれて初めて人を信じられる場所、「新宿救護センター」であった。テレビ、新聞、雑誌などで大反響を呼んだノンフィクション。
  • 汚れた聖女
    5.0
    暴力団組員だった斉藤雅人は、今は足を洗い、神田でホットドッグ屋を開いていた。突然、雅人の店に山口詩音と名乗る女が、男に追われていると逃げ込んできた。事情もわからぬまま匿った雅人だったが、詩音のバッグには多額の現金が入っていた……。一方、それぞれの事情で、ネットカフェ住まいから抜け出せずにいる河合美和と井上真衣。ある日、詩音の荷物を預かった事がきっかけで、美和や真衣までもがヤクザや警察に追われる事になる――。女と男のリアルを描き切る書き下ろし長篇小説。
  • 総合商社 特命班
    5.0
    1~2巻770~836円 (税込)
    「もうお終いだ。俺もお前も。今から二人でここから飛び降りる?」 ──二〇一九年十二月三十一日十六時十六分──大手町にそびえる高層ビルNFタワー、総合商社・永福商事の本社ビル三十六階。入社十年の池畑大樹は、鬼気迫る表情で同期の青山仁に強く迫っていた。アメリカ、アジアなど海外赴任も多く、最前線で活躍していた二人に、一体何が起きたのか? 日本の未来は? 働くということは? 幸福とは? を問うノンストップエンターテインメント。令和の新企業小説。
  • 怪の職安 実録怪談
    5.0
    仕事はあなたを幸せにしてくれていますか? 永年の不況と終身雇用の崩壊が、日本の職場に常ならぬ怨嗟の声を呼び寄せる。古物商に看護師、整体師に不動産業者、漫画家アシスタントにツアーコンダクター……。あらゆる仕事にこびり付く、この世ならざる霊の恐怖は、無防備なあなたの日常生活を後戻りできない闇の世界へと引きずり込む。ホラー界を牽引する気鋭の若手の元に集まってきた、「真夏の職場で鳥肌を立たせる」恐怖の実録短篇集。
  • 綺良のさくら
    5.0
    江戸初期、南部盛岡藩の草創期に、初代藩主・南部利直の御側用人を務める桜木兵庫の元に生まれた綺良は、周囲の愛情を一身に受けて、幸せな子ども時代を送っていた。利直の五男・彦六郎とは幼馴染みでお互い想いを寄せていた。しかし、そんなある日、二代目藩主に意見をした父・兵庫がその怒りに触れてしまう。そして綺良は、大奥に出仕することに……。幾多の苦難に出会いながらも自らの道を探し求める綺良の“愛”と“夢”を描き切る、感動の時代長篇。(解説・川本三郎)
  • 社長人事 不屈の達磨と社長の椅子
    4.8
    従業員五三〇〇人を擁する一部上場企業ジャパンテックパワー。日本の将来を背負い、再生可能エネルギーの発電施設を開発・運営する期待の企業が大きく揺れていた。株主総会を間近に控えたある日、社長が失踪。それに端を発した後継者争いが激化していく。混乱を極める会社に追い打ちをかけるように中国系ファンドの介入も噂され……。ベストセラー作家でありながら一部上場企業の執行役員の経歴を持つ著者が描く、圧倒的リアリティの経済エンターテインメント!
  • ウィメンズマラソン
    4.8
    岸峰子、30歳。シングルマザー。幸田生命女子陸上競技部所属。自己ベストは、2012年の名古屋で出した2時間24分12秒。ロンドン五輪女子マラソン代表選手という栄誉を手に入れた彼女は、人生のピークに立っていた。だが、あるアクシデントによって辞退を余儀なくさされてしまい……。そして今、2年以上のブランクを経て、復活へのラストチャンスを掴むため、リオ五輪を目指し闘い続ける。このままじゃ、次に進めないから――。一人の女性の強く切なく美しい人生を描く、感動の人間ドラマ。(解説・北上次郎)
  • 雨あがる
    4.7
    貧しいながらも心優しい人々のお互いを信じ合う姿が深い感動をよぶ表題作「雨あがる」、その続編「雪の上の霜」、侍という生き方よりも人間らしい生き方を選ぶ主人公を描き、著者の曲軒ぶりがいかんなく発揮されている「よじょう」など、武家ものを中心とした名作全五篇を収載。生きにくい時代だからこそ浮かび上がってくる、“人間の人間らしさ”を描き続けた昭和の文豪・山本周五郎の魅力が光る、オリジナル名作短篇集。(編/解説・竹添敦子)
  • 無根の樹
    4.7
    京都西町奉行所同心、榊玄一郎の元に、手下の小吉が現れた。堀川に相対死(心中)の水死体が上がったのだという。骸が発見された橋のたもとに向かった玄一郎だが、現場には西町奉行の侍医、久我島冬吾の姿があった。この医者は頼みもしないのに勝手に検分をして、同心たちとは全く違う見解を述べるので、評判はかなり悪い。しかも『相対死は三日間、四条河原に晒される』という法度があるにもかかわらず、久我島は玄一郎に、人助けと思って、心中である事実をもみ消せと言い出した。一体何が目的なのか!? しかしこの心中事件が市中を震撼させる事態へと発展していく──。
  • グッバイ マイヒーロー
    4.7
    ぼくの心の中に忘れられない人がいる。何事にも几帳面で真面目な父ではなく、定職に就かず、何事にもいい加減、不まじめで、やりたいことしかしない叔父。ぼくの人生の岐路に突然に現れては混乱を巻き起こした男。いじめに遭っていた子供時代、悶々としていた学生時代、そして……。でもそんな叔父にぼくは救われてきたんだ。『嫌われ松子の一生』『百年法』の著者が、生き辛さに悩むすべての方にエールを贈る感動作! 単行本『いよう!』改題。
  • 風に吹かれて
    4.6
    米軍基地と古い城下町が共存する地方都市、岩国。フェンスの向こうをファントムが飛び立ち、でっかい入道雲が青空にわき上がっていたあの夏。中学二年のモリケンこと森木健一は、幼なじみのノッポ、ムラマサ、転校生のミッキーとともに、ある小さな冒険をしようとしていた。それは彼らが大人になるための通過儀礼だった──。
  • 黄昏ラジオ
    4.5
    わずか数分の街角リポートを懸命にこなす女性タレントと駆け出し放送作家の、中継を通じての淡い交流(「4分50秒の恋人」)。現在は裏方に徹しているかつての名局アナと今をときめく人気お笑いコンビのパーソナリティー対決(「空気に飛ばして」)。放送作家・作詞家・ミステリー作家、転々と肩書を変えながらいつしか元へ戻っている剛腕の男(「どこかではないここ」)。人気アニメのヒロイン役で人気絶頂の声優の、どこか満たされない複雑な想い(「麗しのヴェリーク」)。巡回する警備員が目にする深夜の放送局の光景(「夜を往く船」)。急病で出演を休んだ放送作家が自分不在の番組の展開に気をもむ一夜(「二酸化マンガンの夜」)。手がける番組がどれもヒットする敏腕ディレクターに隠された秘密(「ヒットメーカー(ハック・ラックの誤算)」)。担務変更による番組卒業時、裏方に徹するミキサーの心のうちに湧いた意外な感情(「リバーブ」)。海岸通りにほど近い喫茶店の女主人が語る、店と番組との不思議な因縁(「黄昏ラジオ」)。――ラジオ界のレジェンド作家が、放送局を舞台に繰り広げられるさまざまな人間模様を、甘く切なくコミカルに描く、しゃれっ気いっぱいの作品集。
  • 卯の花月夜 江戸菓子茶店うさぎ屋
    完結
    4.5
    菓子職人・なつめが、寺を建立する母代わりの了然尼に付き添うため、駒込の菓子舗・照月堂を辞して四年。なつめは、内藤宿で菓子茶店うさぎ屋を開き、女将として切り盛りしている。店で出す菓子は、照月堂の主・久兵衛から品書きに加えることを許された「望月のうさぎ」とたれが旨いと評判のみたらし団子。ゆくゆくは体によい養生菓子も作っていきたい。照月堂の家族や、江戸店を出すことになった果林堂の職人・安吉とも交流しながら、ますます精進する菓子茶店女将・なつめの物語。大好評「江戸菓子舗照月堂」に続く物語。
  • 間取りと妄想
    4.5
    同棲中であるミワの家は、玄関のドアを開けると二つのドアが現れる。彼は帰宅すると、ミワのいるリビングに通じるドアではなく、先にもう一方のドアを開くという……(「どちらのドアが先?」)。三橋葉子は、母の死を機に、叔父が暮らしていた家に移り住んだ。葉子はその家に住むにあたり、窓がなくドアも見つけにくい小部屋をつくった……(「仕込み部屋」)。単行本時、話題沸騰した唯一無二の間取り小説、待望の文庫化。(解説・春日武彦)
  • 友よ、静かに瞑れ
    4.5
    海辺の温泉街で旅館を営む旧友の坂口が逮捕された。街一帯を牛耳っている下山観光の事務所で刃物を振り回したのだという。坂口は決して人に刃物をむけるようなやつじゃない。真相を探るために坂口の親友である新藤剛はこの街にやってきた。下山観光と坂口の間に何があったのか。坂口を留置場から出そうと、新藤は体を張って動き出す……。痛み、傷つき、彼らは命がけで己を生きる。血よりも濃い男の友情、生き様に熱く震える、語り継がれる北方文学の傑作が、装いも新たに登場。
  • 大友の聖将
    完結
    4.5
    全1巻968円 (税込)
    大友宗麟に仕える柴田治右衛門は、目的のためなら殺しをも厭わない、悪鬼のような残虐な男であった。主君の側室であるマリアと密通していた治右衛門は、二人の愛のために次々と罪を重ね、遂には宿将・戸次鑑連によって捕らえられてしまう。しかし約二十年後、治右衛門は天徳寺リイノと名を改め、再び大友を守るべく戦場を駆けていた……。悪鬼はなぜ、生まれ変わることができたのか?愛と信仰という二本の光に貫かれた男が、最後に起こした奇跡とは?「豊後の聖将」と呼ばれた謎多き男の生涯を描いた傑作感動長編、待望の文庫化!(解説・三田主水)
  • 真田の兵ども
    4.5
    日本を真っ二つに分けた関ヶ原の戦いの直前、真田昌幸の愛した上田の地に、徳川秀忠が攻め入って来る。味方の二十倍の大軍勢を前に、一族、家臣、城、領地、民、忍び、すべてをつぎ込んだ真田の戦略が動き出す。密命を帯びた真田忍びの源吾は、真田信幸付きの小姓に姿を変え、敵味方の間を駆け抜ける。だがこの若き忍び武者には意外な役割と正体があった――民ともに、一族の存亡と男の夢を賭けた上田城攻防戦に刮目せよ!
  • さぶ
    4.5
    才走った性格と高すぎるプライドが災いして人足寄場に送られてしまう栄二。鈍いところはあるがどこまでもまっすぐなさぶ、ふたりの友情を軸に、人の抱えもつ強さと弱さ、見返りを求めない人と人との結びつきを描き、人間の究極のすがたを求め続けた作家・山本周五郎の集大成。「どうにもやるせなく哀しい、けれども同時に切ないまでに愛おしい」(巻末エッセイより)、心震える物語。(エッセイ/高田郁、編・解説/竹添敦子)
  • 楽園の犬
    4.5
    1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。日本と各国が水面下でぶつかり合う地に、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が降り立つ。表向きは、南洋庁サイパン支庁庶務係として。だが彼は日本海軍のスパイという密命を帯びていた。日本による南洋群島の支配は1914年にさかのぼるが、海軍の唱える南進論が「国策の基準」として日本の外交方針となったのは1936年だった。その後、一般国民の間でも南進論が浸透していった。この地にはあらゆる種類のスパイが跋扈し、日本と他国との開戦に備え、海軍の前線基地となるサイパンで情報収集に励んでいた。麻田は、沖縄から移住してきた漁師が自殺した真相を探ることをきっかけに、南洋群島の闇に踏み込んでいく……。時代が大きなうねりを見せる中、個人はどこまで自分の考えを持つことができるのか? そして、どこまで自らの意思を通すことができるのか? 南洋の地を舞台にした壮大な物語がここに――。
  • 宵待草夜情
    4.5
    大正九年の東京。祭りの夜に、カフェ「入船亭」の女給・照代が殺された。着物を血に染めて店を出てきたのは、同じ店で働く鈴子。鈴子の恋人・古宮は、彼女が殺したのかと考えるが──。はかない男女の哀歓を描き、驚きの結末を迎える表題作ほか五篇。人の心の底知れぬ謎、深く秘められた情念から、予想をはるかに超える真実が立ち上がる。不朽の傑作ミステリー、待望の新装版。(解説・泡坂妻夫)
  • 鯨オーケストラ
    4.4
    僕は、町のローカルラジオ局で、深夜の番組を担当している。ある日ラジオで、十七歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、とある美術館で、僕によく似た肖像画を見た、と葉書が届く。そこから導かれるようにして、僕の時間は動き出した──。土曜日のハンバーガー、流星新聞、キッチンあおい、行方不明の少年、もぎり嬢の多々さん、鯨オーケストラ……時間も空間も記憶も越えて、すべてがつながっていく、小さな奇跡の物語。
  • さらば荒野 ブラディ・ドール⑴
    完結
    4.4
    全18巻616~858円 (税込)
    港町N市にある酒場「ブラディ・ドール」。店のオーナー・川中良一の元に、市長の稲村からある提案が持ちかけられた。その直後、弟の新司が行方不明になっていることを知った川中は、手掛かりを掴むために動き出す。新司は勤務先から機密事項を持ち出し、女と失踪している事が判明した。いったい弟は何を持ち出したのか!?そして黒幕は――。ハードボイルド小説の最高峰が、ここに甦る。シリーズ第一弾!!
  • 罪人に手向ける花
    4.4
    癒し系女性検事・黒木二千花、登場! ゆったりめのワンピースに、ふわふわと波打つ長い髪。笑顔を絶やさず被疑者に向かい合う彼女には、元検事だった父の影響からか絶対に悪を赦さないという強い信念があった。その彼女が担当する殺人事件の被疑者は、かつて二千花の父が起訴を見送った男だった。その男は今度も無罪なのか、それとも……。法廷ミステリーの旗手として注目を集める著者による新たなる検事小説。
  • 衝天の剣 島津義弘伝(上)
    完結
    4.4
    規格外の戦略と勇猛果敢な薩摩魂で戦国最強と謳われた島津四兄弟。その中でも次男・義弘は、ひときわ光彩を放つ武力をもっていた。しかし九州制覇を目前に控えた四兄弟の前に立ちはだかった天下人・豊臣秀吉の大軍に抗しきれず、島津家は豊臣の軍門に降った。その後、明国征服を目論んだ秀吉の命により朝鮮、明国侵攻が目前に迫る。生きて薩摩の地へ帰れるかさえわからない。しかしそれでも行かねばならない、島津家存続のために。そして朝鮮へと出兵した義弘は、明軍との壮絶な死闘を繰り広げることになる──。(全二巻)
  • 童の神
    4.4
    「世を、人の心を変えるのだ」「人をあきらめない。それが我々の戦いだ」――平安時代「童」と呼ばれる者たちがいた。彼らは鬼、土蜘蛛……などの恐ろしげな名で呼ばれ、京人(みやこびと)から蔑まれていた。一方、安倍晴明が空前絶後の凶事と断じた日食の最中に、越後で生まれた桜暁丸は、父と故郷を奪った京人に復讐を誓っていた。そして遂に桜暁丸は、童たちと共に朝廷軍に決死の戦いを挑むが――。差別なき世を熱望し、散っていった者たちへの、祈りの詩。 第10回角川春樹小説賞(選考委員 北方謙三、今野敏、角川春樹 大激賞)受賞作にして、第160回直木賞候補作。
  • 楽園の犬
    4.3
    一九四○年、太平洋戦争勃発直前のサイパン。日本と各国が水面下でぶつかり合う地に、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が、南洋庁サイパン支庁庶務係として降り立つ。ここにはあらゆるスパイが跋扈し、日本と他国との開戦に備え、情報収集をしていた。そして麻田もまた日本海軍のスパイという密命を帯びていた……。時代が大きなうねりを見せる中、個人はどこまで自分の考えを持つことができるのか? そして、どこまで意志を通すことができるのか? 南洋の地を舞台にした壮大な物語、待望の文庫化!
  • 沈黙の終わり(上)
    4.3
    二十年掛けて築き上げてきたことが、ここで一つの形となった。――著者 20周年を飾る、記念碑的作品、誕生。 千葉県野田市の江戸川沿いで、七歳の女児の遺体が発見された。そのニュースを知った東日新聞埼玉支局の古山は、埼玉でも四年前に八歳の女児の行方不明事件があったことを思い出す。調べてみると、その現場は今回の事件と江戸川を挟んですぐ近くだった……。三十年以上隠されてきた連続幼女誘拐殺人。縄張りに拘る無駄な県警のプライド。利権を死守したい政権による圧力。すべてを乗り越え、真相を追え! 記者の魂を描いた傑作ミステリー。
  • 赤ひげ診療譚
    4.3
    長崎で最新の医学を学び、江戸に戻った保本登は、突然小石川養生所に呼び出され、見習い勤務を命ぜられた。エリートとしての矜持を抱く登は、「赤鬚」と呼ばれる医長・新出去定の強引さに不満を抱き、激しい反発を覚える。だが、養生所を訪れる貧しい患者たちや、徒労とみえることに日々を費やす「赤鬚」とふれ合ううち――。病や死を通して“生”の重みを描き出した、山本周五郎渾身の傑作。(エッセイ/細谷正充、編・解説/竹添敦子)
  • ひゃっか!
    4.3
    即興で花をいける、5分の勝負。2人1組でエントリー。花をいける所作も審査対象。――高校二年生の大塚春乃はこの大会に惹かれ、出場を目指していた。だが生け花は高校生にとって敷居が高く、パートナーが見つからない。そんな春乃の前に現れた転校生・山城貴音。大衆演劇の役者だという彼は、生け花の素養もあると聞き……。高校生たちの花にかける純粋な思いが煌めく、極上の青春小説。
  • 古本食堂
    4.3
    鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚が、そのお店とビルを相続することになり、単身上京した。一方、珊瑚の親戚で国文科の学生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに……。カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語、早くも文庫化。
  • 男たちの十字架
    4.3
    南アルプスの山中に現金20億円を積んだヘリコプターが墜落。その金は台湾マフィアが裏金を国外へ運び出す為のものだった。同僚をマフィアに殺された刑事・尾方、元台湾マフィアの功刀、組織の面子の為に、また己の野望の為に、二人を追いかける台湾マフィアの殺し屋・揚烈輝。それぞれの野望とプライドを賭けての現金争奪戦が始まった――。極寒の苛烈な雪山の中での壮絶なるサバイバル戦。20億の現金を手にするのは果たして誰なのか・・・・・・?
  • 奇蹟の馬 サイレンススズカ
    4.3
    それはもはやレースではなく、サイレンススズカという馬ただ一頭のパフォーマンスのためにショーアップされた舞台のようなものだった――(「奇蹟の馬 サイレンススズカ」より)。常に美と速く走ることだけを追求し、進化を強制された芸術、サラブレッド。人間が作り出した競馬という舞台で輝いた名馬たちの物語を鮮烈に描いた感動ドキュメント!
  • 今日のハチミツ、あしたの私
    4.3
    蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる──。「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、碧は見知らぬ女の人から小さな蜂蜜の瓶をもらった。それから十六年、三十歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、スナックのママをしているあざみさん……さまざまな人と出会う、かけがえのない日々。心ふるえる長篇小説。
  • 大名火消し ケンカ十番勝負!
    4.3
    享保五年(一七二〇)。十九歳の拓蔵は、亡き母に苦労をかけた父を殴るため、信州からはるばる江戸に出てきた。だが火消し“加賀鳶”の徹次に拾われて、父が江戸で“水神の辰”と慕われた伝説の火消しであったこと、そして昨年の火事で死んだことを知る。拓蔵は加賀鳶に入り、周囲とぶつかりながらも火消しの仕事にやりがいを見出していく。その頃、江戸の町ではつけ火が続いて──。まっすぐな若者の奮闘と成長を描く、痛快時代小説!文庫オリジナル。
  • 紅茶とマドレーヌ
    続巻入荷
    4.2
    1~2巻836円 (税込)
    及川姫乃・四十一歳は、ある日いきなり没落した。会社を経営していた夫が、借金を残して失踪したのだ。女子校時代は学院のプリンセス、タワマン住まいで、ずっと専業主婦だったのに、高校入学を控える娘・笑里とどう生活していけば!? だが姫乃は途方に暮れている場合ではないと、得意の焼き菓子作りを活かし英国式ティールームを開こうと決意。娘や友人たちと支え合って泣いたり笑ったり……。香り高い紅茶ととびきりの焼き菓子が疲れた心をやさしく包み込む、温かく愛おしい物語。
  • 苫米地英人、宇宙を語る
    4.2
    現代科学に残されたフロンティアである宇宙と脳。本書では「脳が分かれば宇宙も分かる」を合言葉に、脳研究の最先端の話題を皮切りにして、宇宙創成の話へと踏み込んでいく。「なぜビッグバンが起きたのか」など、今まで解かれなかった謎も解明され、誰も読んだことのない宇宙論が展開される。本当の宇宙の姿を知ったとき、我々が普段見ている世界の姿も変わって見えてくる。話題の脳機能学者が、この本でしか読めない、全く新しい宇宙と脳の話をやさしい言葉で語り尽くす! 科学の知識のない、一般読者の知的好奇心をも大いに刺激する一冊。
  • 天使と歌う
    完結
    4.2
    才能のカムバック―― 自分の才能にすら気づいていなかった高校生の大夢(ひろむ)が、真のチェリストになるために、世界に挑戦する! 『あの日の風を描く』で、第16回角川春樹小説賞を選考委員満場一致で受賞。 忽ち重版し、多くのメディアで取り上げられた期待の大型新人、受賞後第一作 心の琴線にふれる感動&スリリングな音楽小説、ここに誕生 高校三年生の雨宮大夢は、介護福祉士になる進路を考えていた。近所に住むクロアチア出身の元世界的なチェリスト、ルカ・デリッチ先生を支えるためだ。身体が不自由なデリッチは、妻の故国日本に隠棲しており、大夢は小学生の頃から、先生の『無伴奏チェロ組曲』に憧れてチェロを習っていた。そんなある日、クロアチアから「ルカ・デリッチ国際コンクール」を新設したいという話が届く―― 異例の音楽コンクールに訳ありの“敗北者”たちが集い、それぞれの想いを懸けて熾烈な戦いを繰り広げる
  • 妖国の剣士(新装版)
    完結
    4.2
    全8巻858~880円 (税込)
    人間と妖魔とが争いを続けている安良国。幼い時に攫われた弟を探すため、女剣士・黒川夏野は旅に出た。東都・晃瑠への道中、人の姿に化けた妖魔の伊紗に、盗まれた竹筒を取り戻す手伝いをしてほしいと頼まれて社に向かう。その時夏野は、竹筒に封印されていた妖かしの目を己の左目に取り込んでしまった。その後、晃瑠に到着した夏野は安良国最強の剣士と謳われる鷺沢恭一郎と、片目の少年・蒼太に出会うが──。傑作時代ファンタジー新装版第一弾!!(解説・細谷正充)
  • 三国志 一の巻 天狼の星(新装版)
    完結
    4.2
    四百年続いた漢帝国は衰退し、崩壊への道を辿っていた。政は乱れ、賊が蔓延る後漢末期の乱世に、ひとりの英傑が立ち上がる。漢の名前は劉備玄徳。義に厚く、漢帝国の復権を目指す劉備の志に賛同し、義兄弟の契りを交わした関羽と張飛とともに、叛乱を起こす黄巾賊との闘いに挑む。新時代を切り開く曹操、呉の礎を築いた孫堅など、群雄割拠の時代を駆け抜けた漢たちを壮大なスケジュールで描く――。 北方謙三の名著「三国志」が装いも新たに「新装版」として登場!! 文字も大きくなって読みやすくなり、往年の三国志ファンも三国志初心者も大満足の一冊。「新装版」第一巻には著者のあとがきを収録。
  • 駆ける 少年騎馬遊撃隊
    4.2
    盗賊に村を襲われ、家族も友人も殺され、天涯孤独となった少年・小六。だがその馬術を見出され、彼は吉川元春の軍の中で騎馬隊員として頭角を現していく。一方、毛利に滅ぼされた尼子再興を誓う猛将・山中幸盛(鹿之助)。彼もまた、戦火で友人と愛する人を失い、毛利への復讐に燃えていた。共に戦という理不尽から立ち上がった二人。その譲れぬ思いが、戦場でぶつかる――! 第13回角川春樹小説賞受賞作、選考委員満場一致の感動歴史エンターテインメント!
  • おいしくて泣くとき
    4.2
    無料で「こども飯」を提供する『大衆食堂かざま』。店のオーナーの息子・心也は、怪我で大好きなサッカーができなくなり、中学最後の夏休みを前に晴れない気持ちを持て余している。また心也は、時々こども飯を食べにくる同級生のことを気にしていた。一人は夕花。クラスから疎外され、義父との折り合いも悪い。もう一人は金髪パーマの不良、石村。友情と恋心、夏の逃避行。大人たちの深い想い。〈子ども食堂〉から始まる思いやりの連鎖が、温かな奇跡を呼ぶ。傑作長篇、待望の文庫化!
  • 鯨オーケストラ
    4.2
    僕は地元のラジオ局で深夜の番組を担当している。ある日、17歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、僕によく似た肖像画を見た、と葉書が届く――。土曜日のハンバーガー、流星新聞、キッチンあおい、行方不明の少年、多々さん、鯨オーケストラ――すべてが響きあって、つながってゆく。小さな奇跡の物語がここに終わり、ここから、また始まる。『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』そして――。静かに心が共振する、希望の物語。
  • 茜唄(上)
    4.2
    これは、生命(いのち)の唄。 これは、家族の唄。 これは、愛の唄。 直木賞作家・今村翔吾が魂をこめて描く、熱き血潮の流れる真「平家物語」! 生きるとは何か、今、平気物語に問う――著者 人は飯を食い、糞をして、眠るだけではない。人は元来、唄う生き物なのだ。 それは生きていることを誰かと共に喜び、この世に生きたことを留めんがためではないか。――(本文より)
  • ZONE 豊洲署生活安全課 岩倉梓
    4.2
    日本全体が少子化で人口減に悩まされる中、東京都江東区豊洲は、空前の人口増と再開発に沸き立っている。新たに設置された豊洲署生活安全課の女性刑事・岩倉梓のもとに持ち込まれる事件の数々。《児童ネグレクト》《貧困老人の孤独死》《震災詐欺》――。生まれつつある街の中で、梓は自分に出来る仕事を悩みながらも一歩一歩模索していく……。本格派・福田和代が描く、新世代警察小説。(解説・宇田川拓哉)
  • 群青の闇 薄明の絵師
    4.2
    町絵師の子として育った諒は、京狩野家の絵師・五代目狩野永博の許へ弟子入りをする。諒の才能に惚れこんだ永博は自分の娘・音衣と結婚させ婿養子として迎えた。京狩野家の六代目絵師として邁進していたが、妻との関係が冷めていくうちに、諒を兄と慕う幼馴染みの夜湖といつしか男女の関係になっていた──。一方で、「豊臣家の宝」とも呼ばれ、岩絵具にすると深い群青色を出すといわれた幻の輝石「らぴす瑠璃」が京狩野家に密かに伝えられているという噂を耳にする。「絵師とは何ぞや」。その答えを求め続ける男たちと、様々な思惑の中で苦悩する女たちを描いた、書き下ろし時代小説。
  • 光の山脈
    4.2
    犬たちとともに山を駆けめぐり、イノシシを狩るロッタこと六田賢司。無欲で純粋なこの若き猟師の前に立ちはだかったのは、暴力団と手を握った企業による悪辣な自然破壊だった。その魔手が、身重の妻と新聞記者である兄に及んだとき、ロッタは狼犬・シオと、豪雪と蒼氷の南アルプスにたてこもる。マイナス20度の極寒の世界で、容赦なく顔を叩く地吹雪。壮絶なサバイバル戦の火蓋が切って落とされた……。山岳冒険小説の金字塔と大絶賛された感動の物語。
  • 母子燕 出入師夢之丞覚書
    完結
    4.2
    半井夢之丞は、深川の裏店で、ひたすらお家再興を願う母親とふたり暮らしをしている。亡き父が賄を受けた咎で藩を追われたのだ。鴨下道場で師範代を務める夢之丞には”出入師“という裏稼業があった。喧嘩や争い事を仲裁し、報酬を得ているのだ。そんなある日、呉服商の内儀から、昔の恋文をとり戻して欲しいという依頼を受けるが・・・・・・。男と女のすれ違う切ない恋情を描く「昔の男」他全五篇を収録した連作時代小説の傑作。待望の新シリーズ、第一弾。
  • 未来へ……上
    4.2
    1~2巻748円 (税込)
    「かなちゃんのお仏壇を、だして」。多賀内若葉は、成人式を迎えた“ひとり娘”の菜苗から、思わぬ願い事をされた。二十年前に双子を授かったときには、愛らしい娘たちと優しい夫の家族四人、いつまでも幸せに暮らすのだと思っていた。けれど、それから五年後の夏、双子の姉・香苗は遠足のバス事故で亡くなってしまった。菜苗の願いを聞き入れ、しまい込んでいた仏壇を出してから、若葉は封印していた悲しい記憶を呼び起こされ、不思議な夢を見るようになる――(全2巻)。
  • チェンジ!
    完結
    4.2
    御坂晃はドラフト三位でプロ入りして八年目の三十歳。自己ワースト記録を更新し二軍落ちを言い渡された。代わりにセカンドを守ることになった上杉は、打撃はいいが守備は下手らしい――。そんな中、二軍コーチの西内から外野をやってみないかと打診され……(「コンバート」より)。コンバート、怪我、フォームの改造、引退勧告など、野球選手には常に様々な問題が降りかかる。それぞれのポジションの選手が直面する苦悩、決断、友情など、心の機微が胸に響く、ヒューマン野球短編集。
  • 紙の月
    4.2
    ただ好きで、ただ会いたいだけだった――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花41歳。25歳で結婚し専業主婦となったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった……。あまりにもスリリングで、狂おしいまでに切実な、傑作長篇小説。各紙誌でも大絶賛された、第25回柴田錬三郎賞受賞作、待望の文庫化。
  • 三国志 一の巻 天狼の星
    4.2
    時は、後漢末の中国。政が乱れ賊の蔓延る世に、信義を貫く者があった。姓は劉、名は備、字は玄徳。その男と出会い、共に覇道を歩む決意をする関羽と張飛。黄巾賊が全土で蜂起するなか、劉備らはその闘いへ身を投じて行く。官軍として、黄巾軍討伐にあたる曹操。義勇兵に身を置き野望を馳せる孫堅。覇業を志す者たちが起ち、出会い、乱世に風を興す。激しくも哀切な興亡ドラマを雄渾華麗に謳いあげる、北方〈三国志〉第一巻。

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  • 茜唄(上)
    4.1
    祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。朗々とした唄、琵琶の音が闇夜に響く。何者かが男に伝える、二十余年の歳月を要して編み上げた物語。その名は――。平氏棟梁・平清盛が四男・知盛。清盛最愛の息子とまで呼ばれた彼だが、幼い頃から病弱で出世は遅かった。だがそんな彼にも源氏という時代の荒波は容赦なく襲い掛かる。弟分で「王城一の強弓精兵」と呼ばれた教経と共に否応なく前線に立つ知盛。没落に向かう平氏を盛り返すことはできるのか。直木賞作家による、熱き血潮が巡る「真」平家物語!(全二巻)
  • 食堂メッシタ
    4.1
    ミートソース、トリッパ、赤牛のロースト、鶏バター、アンチョビトースト……美味しい料理で人気の目黒の小さなイタリアン「食堂メッシタ」。満希がひとりで営む、財布にも優しいお店だ。ライターの笙子は母親を突然亡くし、落ち込んでいた時に、満希の料理に出会い、生きる力を取り戻した。そんなある日、満希が、お店を閉めると宣言し……。続々重版の大人気シリーズ「食堂のおばちゃん」の著者が放つ、料理と愛の物語。
  • チグリジアの雨
    4.1
    私を助けて――。生と死の選択は誰が決めるのか!?蔑まれた者だけが知る深淵。声なき声は届くのか!?――。命の重さの重要性を問いかけ、連鎖する“いじめ問題〟に一石を投じる、青春ミステリ小説。東京の進学校に通っていた、高校一年の成瀬航基は、母の再婚をきっかけに、ある田舎町に引っ越すことになった。転入して間もない学校生活は順調に進んでいたが、そんな状況が一変し、突然いじめのターゲットになってしまう。いじめは次第にエスカレートしていき、航基は身も心も耐えられなくなっていく。不条理な目に遭うたびに心は削られ、誰にも相談できずに、我慢の限界を迎えた航基が出した結論は「死」。地元で『ゴーストリバー』と呼ばれる河を自殺の場所に選ぶが、その河でほとんど学校にも登校せず、真面目に授業も受けない、クラスメイトの月島咲真と出会う。そんな咲真が航基に対し、「報復ゲームに参加しないか」という衝撃的な一言を放つ――。
  • マティーニに懺悔を(新装版)
    4.1
    教会のベンソン神父が若い女性を伴って、街のバーへ私を訪ねてきた。連れの女性・長原美沙子の婚約で、神父は上機嫌に祝杯をあげた。だが、一週間後、自殺未遂の新聞記事に彼女の名前が……。暴力団に乱暴され、婚約を破棄されたのだという。それを知った神父は一人で乗り込み、逆に返り討ちに遭ってしまった。どうやら茶道の師匠である私の、封印したもう一つの顔の出番のようだ――。傑作ハードボイルド、待望の新装版。(解説・西上心太)
  • ふるさとは本日も晴天なり
    4.1
    深夜のラジオ放送に熱中し、将来は映画監督になることを夢見る、どこにでもいる普通の少年、横山雄二。そんな彼が苦労の末、見事放送局にアナウンサーとして合格。持ち前のバイタリティーで人気アナウンサーへの階段を上っていたが、ある事件をきっかけに会社で孤立してしまう。自暴自棄になりかけた雄二を救ったのは「家族の愛」と、少年時代夢中になって聴いていた「ラジオ」だった。広島県の人気アナウンサー「天才!横山雄二」が描く感涙の物語。
  • 不屈の達磨 社長の椅子は誰のもの
    4.1
    従業員5300人を擁する一部上場企業ジャパンテックパワー。日本の将来を背負って、再生可能エネルギーの送電施設を開発・運営する期待の企業は大きく揺れていた。株主総会を間近に控えたある日、社長が失踪。それに端を発した後継者争いが激化していく。混乱を極める会社に追い討ちをかけるように、中国系ファンドの介入も噂されはじめ……。社内派閥、恫喝、誘惑、陰謀、権謀術数、手練手管。保身と欲にかられた者たちが暗躍する権力闘争。一部上場企業の現役役員として現実を知り尽くす著者が圧倒的リアリティで描く経済エンターテインメント。文芸評論家・関口苑生氏絶賛、組織に働くすべての人の胸を打つ、人間ドラマの誕生!
  • キッチン風見鶏
    4.1
    港町で三代続く老舗洋食屋「キッチン風見鶏」。おすすめは、じっくりと手をかけた熟成肉料理だ。漫画家デビューを夢見るウエイター・坂田翔平は、幽霊が見えてしまうのが悩みのタネ。お客さん一人ひとりに合わせた料理が好評なオーナーシェフ・鳥居絵里は、家族の健康を案じつつ空元気を出して奮闘中! 誰しも未来は不安だし、人生は寂しいものだ。でも、だからこそ、自分の心に?をつかずに生きていく──。美味しさとやさしさが溢れる傑作長編。
  • 店長がバカすぎて
    4.1
    谷原京子、二十八歳。吉祥寺の書店の契約社員。超多忙なのに薄給。お客様からのクレームは日常茶飯事。店長は山本猛という名前ばかり勇ましい「非」敏腕。人を苛立たせる天才だ。ああ、店長がバカすぎる! 毎日「マジで辞めてやる」と思いながら、しかし仕事を、本を、小説を愛する京子は――。全国の読者、書店員から感動、共感、応援をいただいた、二〇二〇年本屋大賞ノミネート作にして大ヒット作。巻末にボーナストラック&早見和真×角川春樹のオリジナル対談を収録。
  • 沈黙の終わり(上)
    4.1
    二十年掛けて築き上げてきたことが、ここで一つの形となった。――著者 20周年を飾る、記念碑的作品、誕生。 30年間隠されてきた連続幼女誘拐殺人。県を跨いだ、幼女を狙った卑劣な事件。縄張りに拘る無駄な県警のプライド。利権を死守したい政権による圧力。若手とベテラン、二人の記者が、すべてを乗り越え、隠された真相を追う!
  • 機械式時計王子の休日 千駄木お忍びライフ
    4.1
    1~2巻704~726円 (税込)
    千駄木すずらん通りの一番端にある、四代続くトトキ時計店。十刻藤子は、妹・桜子の三つ子の出産で手が離せなくなった母親に代わり店番をすることに──。時計に全く無関心で知識もない藤子の前に、スイスから来たという不思議な兄弟が現れた。町のシンボルであった時計塔を二十年ぶりに動かすというが……(「塔の上の大時計」より)。日常のさまざまな謎を、ラグジュアリーな時計とともに解決していく、書き下ろし下町ミステリー。
  • 百年後の日本人
    NEW
    4.0
    国境という概念が無くなるグローバル社会、拡大してゆく貧富の格差、圧倒的な人口を背景に発言力を増す中国、民主主義・寛容社会の限界に当たりつつあるヨーロッパ……。その一方で限界を超えて進みつつある科学。生命倫理を脅かすバイオテクノロジー、宇宙へと探索の手を伸ばす宇宙科学。日本はどのように形を変わっていくかを、脳機能科学者・苫米地英人が語り尽くす。
  • くら姫 出直し神社たね銭貸し
    続巻入荷
    4.0
    下谷にある〈出直し神社〉には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。縁起の良い〈たね銭〉を授かりに来るのだ。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。その手伝いをすることになった十六歳の娘おけいは、器量はよくないが気の利く働き者だ。ある日、神社にお妙と名乗る美女が現れる。蔵茶屋の商売繁盛を望む彼女が授かったのは大枚金八両。さらにうしろ戸の婆は、お妙に相談役としておけいを連れていくように言い、おけいには「蔵に閉じ込められたものをすべて解き放ってくるように」と耳打ちして──。読み応え抜群の時代小説。(解説・吉田伸子)
  • 佐伯警部の推理
    4.0
    大ベストセラー「道警」シリーズ待望の第2シーズン開幕!!! 佐伯宏一が戻ってきた。札幌大通署ではなく、函館方面本部捜査課に、警部として――。 厚真で強盗殺人事件を起こした犯人の一人が札幌ジャズバー「ブラックバード」に立てこもり、機動捜査隊の津久井に発砲した事件から約一年。重大事案の検挙実績で道警一だった大通署の佐伯宏一は、それまで受験すらしなかった警部昇任試験を受け合格、警察大学の研修を経て、函館方面本部捜査課に警部として着任した。佐伯が着任した二週間後、青函フェリーターミナルの北側、工業団地の岸壁から変死体が上がった。佐伯は早速、検視解剖が行われている病院に向かう……。
  • ゼロ打ち
    4.0
    大和新聞の記者・片山は、選挙の取材中に「ある都議会議員の不審死」を知り、懇意にしている刑事に探りを入れた。一方、国会議員のベテラン秘書の中村は、新人候補の大学教授の選挙応援に駆り出された。苦しい選挙戦のなか、本人の女性スキャンダルが拡散され──。「政治」と「カネ」と「犯罪」の深い闇。政界のタブーに昂然と斬り込んだ問題作、待望の文庫化。巻末に、著者と動画メディア「文藝春秋PLUS」編集長とのスリリングな特別対談を収録。(「ゼロ打ち」とは、選挙の開票開始直後、開票率0パーセントに近い時点で特定候補者の当選確実を報じること)
  • おくり絵師
    4.0
    故郷の仙台で母親を亡くし天涯孤独となったおふゆは、母の最期の言葉を頼りに江戸に行き、縁あって、絵師歌川国藤のもと、住み込みで修行中の身である。思うような絵が描けず、悩んでいたある日、亡くなった役者の姿を描いた「死絵」に出会う。一方、幼少時に仙台で知り合った昔馴染みで役者の三代目富沢市之進が、浅草の芝居小屋の夏興行でついに主役を張るという。おふゆは市之進の母親お京に誘われ、初日の舞台を見に行くことになるが……。憂き世を照らす、一途な愛と親子の絆に涙する、書き下ろし時代小説。
  • 食堂のおばちゃん
    4.0
    1~18巻748~759円 (税込)
    焼き魚、チキン南蛮、トンカツ、コロッケ、おでん、オムライス、ポテトサラダ、中華風冷や奴……。佃にある「はじめ食堂」は、昼は定食屋、夜は居酒屋を兼ねており、姑の一子と嫁の二三が、仲良く店を切り盛りしている。心と身体と財布に優しい「はじめ食堂」でお腹一杯になれば、明日の元気がわいてくる。テレビ・雑誌などの各メディアで話題となり、続々重版した、元・食堂のおばちゃんが描く、人情食堂小説。(著者によるレシピ付き)。
  • なりすまし
    4.0
    ある朝、夫婦でブックカフェを経営している和泉浩次郎が娘の杏奈を連れて出勤すると、妻エリカが店内で惨殺されていた。その捜査の過程で、エリカが戸籍を偽っていたことを告げられる。妻はいったい何者で、誰が殺したのか? 激しく動揺する和泉だったが、実は彼も戸籍を偽る「なりすまし」だった。焦燥する和泉を嘲笑うかのように、娘の杏奈も殺されてしまう。いったい彼の周囲で何が起きているのか……? 戸籍売買、無戸籍児、そして「なりすまし」──暗部を描き切った社会派小説の傑作!
  • 結婚紹介殺人事件
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 榊原千亜記の短大時代からの親友・橋本恵美がアパートの自室で全裸死体となって発見された。恵美は結婚紹介所〈エルピーライフ〉に入会しており、その日も五人目の相手とデートをしていたはずであった。千亜記は「恵美がスキャンダラスな女ではないこと」を証明するために、刑事の忠告を無視して、単独で捜査を始めるのだが。“幸せな結婚”を夢見る男と女の交錯する愛憎を描く長篇ミステリーの傑作。
  • 極道酒場
    4.0
    東京下町にある、赤提灯に「めしとさけ」と黒々と書いた縄のれんの一軒。そこは元組長の大将が営む、採算度外視の旨安居酒屋。噺家に小説家志望、刑事に紅一点の常連が集う中に初めて訪れたサラリーマン・西岡亨は何故か気に入られ通い詰めることに。だが、その居酒屋ではしょちゅう事件が起こり!? 特殊詐欺、ライバル店の嫌がらせ、政治家の裏金問題などなど……どんな問題も大将の逸品と剛腕で見事解決! 人情&グルメエンターテインメント、開幕!
  • 天狼 東京湾臨海署安積班
    4.0
    東京湾臨海署刑事組対課強行犯第一係、通称・安積班のメンバー須田巡査部長が、臨海署管内にあるスナックのマスターから、ミカジメ料を要求されたと相談を受けた。安積と須田は暴力犯係の真島係長に相談し、見回りを強化してもらうことに。一方、管内で立て続けに傷害事件が発生する。湾岸エリアが物騒な空気に包まれる中、交機隊の隊員が、速水小隊長の様子がおかしいと安積に相談にきた。心配に思う安積のもとに、速水が救急搬送されたとの連絡が入って……。次々と起こる傷害事件。その目的は何なのか。市民と、信じる正義を守るため、臨海署のプライドをかけて、安積たちはかつてない戦いに挑んでいく!
  • あなたに電話
    4.0
    大学生・勇との駆け落ちを計画する主婦の史子(ルビ:ふみこ)。当日取りやめる場合のみ、電話をすると約束していた。緊張しながら荷造りを進める史子だが……。(「6:30 PM成田発」)「もう会いたくない、電話もしないで」と自ら告げて別れたにもかかわらず、元恋人からの電話を待ち続けている潮子(ルビ:しおこ)。留守電を気にしながら職場へ向かうと、仕事仲間の織田から食事に誘われ……(「Never Call Me Again」)。あのとき電話に出ていれば、変わったはずの二人の運命。電話をテーマに様々な恋のシーンを描く、珠玉の短編集が復活しました。(解説・唯川恵)
  • 旅と食卓
    4.0
    2022年秋、著者は、パリ・南仏の街々を40日間レンタカーで旅をした。 パリの朝食のスクランブルエッグ、衝撃が走る至高のトリュフのスープ、 ゴルドの成熟した旨さの仔羊のロースト、エクス・アン・プロヴァンスの滋味深いムール貝のワイン蒸し、カシの濃厚なうま味のスープ・ド・ポワソン...... 数多の美食に酔いつつ、ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、マティスなどにちなむ街を訪れ、パリでは『ミッドナイト・イン・パリ』の撮影で使ったホテルの部屋に宿泊する―― 五感で旅を味わい尽くし、記憶を呼び起こし、生と死を思索する名随筆。
  • 新装版 旨いものはうまい
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 “今から思ふと、食べもののことや酒を飲む話を書き始めたのは、かういふものを書いてゐれば誰からも尊敬されたりする心配はないし(中略)誰にも気兼ねしないで本音が吐けると考えてのことだつたやうである” ニューヨークで毎日のように通った酒場、麦の匂いがする英国のトースト、広島の牡蠣、横浜の点心、近畿の松茸……。文士・吉田健一が旨いものへのこだわりと本音を包み隠さず語った幸福な食エッセイ集が、新装版になって帰ってきた!
  • 新装版 酒食生活
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 師匠を追いかけて訪れた浅草「並木の藪」で頼むのは、鴨なんばんのソバ抜き・通称「鴨ヌキ」。女将のたねさんが笑顔で運んでくれた、祇園「山ふく」の雑ぜ御飯。美味しいのになぜか味が嘘くさい空港のハヤシライス。こだわりと人情で彩られた、日本各地の行きつけの店と、食にまつわる礼儀作法、そして今は亡き人々の温かい記憶。昭和の文士によるとっておきのグルメエッセイが、新装版として復活しました!(解説・嵐山光三郎)(新装版解説・白央篤司)
  • 水滸伝(一) 九紋龍の兄妹
    完結
    4.0
    政和二(一一一二)年。華州華陰県史家村に若い双子の兄妹がいた。男の名は史進、女の名は史儷。二人とも眉目秀麗で棍術の達人だった。晩夏のある日、少華山の盗賊との戦いのさなか、王進という男と出会う。王進は東京開封府八十万教頭―近衛兵たちの武芸師範だった。この出会いは、二人を含めた多くの人間の運命を変えていくことになるのだが……。圧倒的なスケールと迫力で描く、平谷美樹版「水滸伝」、堂々の開幕!
  • いつか月夜
    4.0
    「寺地さんの作品の中で、一番好きです」原田ひ香さん ぼくたちは、夜を歩く。眠れない夜に。不安な夜に。静かで、藍色で、心細い。でも歩かずにはいられない。そんな夜に。 「一緒に歩かない?」 会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。いつも月夜、ではないけれど。
  • 山本周五郎 愛妻日記
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 昭和5年、27歳の周五郎は、煩悶の日々を送っていた。世界大恐慌の煽りを受け、日本もまた出口の見えない不況にあった時代。文壇デビューは果たしたものの、思うような作品を生み出せずに苦しみ、焦り、金銭的にも追い詰められて、自暴自棄になる日もあった。しかし、転機は恋と結婚によってもたらされる。周五郎は、最愛の妻に貧しい暮らしをさせていることに心を痛めながらも、真摯に小説と向き合う過程で、「読んで面白い小説」に活路を見出していく。妻への愛情を糧に、自分の為すべき仕事に辿りつくまでの若き周五郎の日常と心情が赤裸々に綴られた、第一級の文学史資料。(監修・竹添敦子)
  • 風の王国(1) 落日の渤海
    完結
    4.0
    全10巻733~859円 (税込)
    延喜十八年(九一八年)夏、東日流国(現在の青森県)。東日流の人間として育てられてきた宇鉄明秀は自分の出生の謎を解き明かすために、海を隔てた渤海国へ向かう。十七年前に赤ん坊だった自分を東日流のに連れてきたのは誰なのか? 命がけの船旅を経て、やがて明秀は渤海の港町・麗津に辿り着くのだが……。幻の王国・渤海を舞台に繰り広げられる、侵略と戦争、恋と陰謀。壮大なスケールで描く、大長篇伝奇ロマン小説の開幕!
  • 古本食堂 新装開店
    4.0
    さみしい時もうれしい時も本はいつだって、寄りそってくれる。大ロングセラー『古本食堂』が満を持して、新装開店。美味しいごはんとあなたの物語がここに!珊瑚(70代)は急逝した兄の跡を継いで、神保町で小さな古書店を営んでいる。親戚の美希喜(20代)が右腕だ。作家志望の悩める青年や、老母のために昭和に発行された婦人雑誌を探している中年女性など、いろいろなお客さんがやって来る。てんぷら、うなぎ、カレー……神保町の美味しい食と思いやり深い人々、人生を楽しく豊かにしてくれる本の魅力が沢山つまった極上の物語。
  • 地獄小僧 三人佐平次捕物帳
    完結
    4.0
    全20巻733~748円 (税込)
    世間での岡っ引きの悪評を憂いていた同心・井原伊十郎は、美人局の罪で捕まえた三兄弟、頭は切れるが悪人面の平助、力だけは人並み以上の次助、女も敵わぬ美貌の佐助を、岡っ引きとして売り出すことを思い付く。罪を問わぬ代わりに、三兄弟に「佐平次親分」を名乗らせ、その評判を上げさせようと考えたのだ。同じ頃、大店に押し込んでは皆殺しにして金品を奪う「地獄小僧」が治安を脅かしていた。三人で一人の佐平次は、この凶行を止めることができるだろうか?
  • 新! 店長がバカすぎて
    4.0
    三年ぶりに吉祥寺本店に店長として復帰した山本猛は張り切るが、相変わらず人を苛立たせる天才だ。それでも部下の京子は新人作家の才能に打ちのめされ、好きな作家の新作に心躍らせ、時には泣き、笑い、怒り、日々戦っている。スタッフや作家の大西先生や小料理屋を営む父親などの応援を受けながら──。思いっきり楽しんだあとに小説と書店の未来を、仕事の意味を、生きる希望を改めて深く考えさせられる、二〇二〇年本屋大賞ノミネート作品の第二弾。(解説・大九明子)
  • ブリザード・フラワー
    4.0
    老朽化した警察拳銃を新しいものに交換することとなり、廃棄処分のため移送されていた拳銃百四〇挺と実弾千四百発が何者かに強奪された。犯人はその拳銃に弾丸を装塡し無作為にばら撒いた。「お役に立つと思います」というメモとともに。そして都内では重大犯罪や自殺が頻発し始めた。厳重警戒体制下におかれた東京、「警視庁の祟り女神」と呼ばれる組織犯罪対策部の氷見麻里子はバディの越石渉とともに奪われた拳銃を追う……。警察小説シーンに新たなヒロイン登場!
  • 五辯の椿
    4.0
    天保五年の正月、むさし屋喜兵衛の寮から火の手が上がり、焼跡から三人の焼死体が見つかった。三人は、長く結核を患っていた当主喜兵衛と、妻おその、娘おしのと認められる。一方その年の晩秋、江戸の町では殺人事件が相次ぎ、骸の傍らには必ず椿の花弁が残されていた。被害者はいずれも殺されて当然と思われるような悪名高い男たちばかり。この一連の事件に、与力青木千之助が捜査に当たる。聞き込みの末に若い娘の影を掴むが、果たしてその娘とは・・・・・・。法で罰することのできない、けれど到底許しがたい罪をどう裁くべきか――昭和の文豪・山本周五郎渾身の傑作長篇。(エッセイ/澤田瞳子、編・解説/竹添敦子)
  • リアル 日本有事
    4.0
    台湾有事の時、最初に狙われるのは沖縄だ! 徹底した長期取材を経て辿り着いた〝おそるべき日本の危機〟を描く、著者渾身の軍事小説。「日本有事のリアルなストーリーとその意外な展開に読者は引き込まれるであろう」河野克俊氏(元統合幕僚長) 中国人民解放軍が台湾周辺の海域で今までにない規模で演習を開始した。台湾侵攻が急迫していると分析した日本政府は、〝台湾戦争〟の勃発後に日本が巻き込まれた場合を想定し、アメリカ軍の作戦をいかに支援していくべきかの検討を開始した。その事前準備として石垣島と与那国島への陸上自衛隊の事前配置を急ぐ決断をした日本を嘲笑うかのように、中国特殊部隊は宮古島をはじめとする先島諸島に徐々に浸透、破壊工作を始めようとしていた。そして日本は、想定していなかった戦禍に見舞われていく……。
  • 戦渦の神宝
    4.0
    昭和二〇年夏、敗色濃厚な太平洋戦争末期、考古学を研究していた大学生・外園武志は、帝国考古協会へ呼ばれ、三種の神器と並ぶ神宝・十種瑞宝の探索を命じられる。陸軍はその霊力を使い、戦局の挽回を図ろうとしていた。信長に奪われたともいう宝を探す最中、武志は『神事本紀』という古書に巡り合う。それには知られざる宗教の歴史と瑞宝の軌跡が記されていた。彼は巫女見習いの弓月眞理依や謎の男・煙藤四郎と古代の謎を追い求めるのだが……。傑作歴史冒険ミステリーの登場!
  • かあちゃん
    4.0
    私も周五郎作品を読み返す度、失ったものを取り戻すような気持ちになる。それはかつての日本の風景であり、人の情であり、親から伝えられた仕来りであり、恥を感じる心でもある(宇江佐真理・巻末エッセイより)。女手でひとつで五人の子供を育てているお勝と、その家に入った泥棒との心の通い合いを描いた表題作をはじめ、山本周五郎が、人間の“善なる心”をテーマに遺した作品から、全五編を厳選。文庫オリジナル。(編/解説・竹添敦子)
  • 北海道警察 11 警官の酒場
    4.0
    捜査の第一線から外され続けた佐伯宏一。だが能力の高さは重大事案の検挙実績では道警一だった。その佐伯は、度重なる警部昇進試験受験の説得に心が揺れていた。その頃、競走馬の育成牧場に強盗に入った四人は計画とは異なり、家人を撲殺してしまう。強盗殺人犯となった男たちは札幌方面に逃走を図る……。それぞれの願いや思惑がひとつに収束していく時、警官の酒場にある想いが満ちていく――。
  • おたふく物語
    4.0
    町人たちの暮らしの姿、現実を生きてゆく切なさに焦点を絞り、すぐれた「下町もの」を数多く遺した山本周五郎。本書は、自分たちを“おたふく”と決めこんでいる明るく元気のいい姉妹をいきいきと描いた「おたふく物語」三部作(「妹の縁談」「湯治」「おたふく」)をはじめ、身分の垣根を越えた人間の交流を情愛たっぷりに綴った「凍てのあと」、女性の妖しさと哀しさを濃密に綴った「おさん」の全五編を収載。江戸に暮らす女性たちの姿を見事に切り取った名作短編集。文庫オリジナル。 (編/解説・竹添敦子)
  • 号外! 幕末かわら版
    4.0
    嘉永六年(1853)江戸。好奇心たっぷりの銀次と絵師の歌川芳徳は、妖怪伝説やゴシップネタなどを追う、低俗なかわら版を売りさばいて人気を博していたが、浦賀に来た黒船を見に行き、勢いで乗り込んだことがきっかけで人生が変わる。江戸一番の物知りと評判が高い佐久間象山に師事し、勝麟太郎や坂本龍馬、吉田松陰、西郷吉之助など、様々な幕末の英雄と出会い、大地震や大火災、死の疫病をかわら版で報じるうちに、銀次は報道の使命に目覚め、弱き大衆のために立ち上がる。 幕末の動乱の中で、真実(たまに嘘)を追い求めるかわら版屋を描いた、痛快時代小説!!
  • 北斗の邦へ翔べ
    4.0
    松前家中の少年、春山伸輔は、尊皇攘夷に与しなかったことで落ちぶれてしまった家名を復権させるべく、箱館の遊軍隊と合流。 榎本軍への撹乱活動を行っていた。 一方、新選組副長だった土方歳三は、蝦夷地にできた箱館政府において陸軍奉行並となっていた。 市中の混乱を収めつつ、近藤勇らと夢見た国盗りを、再びこの地で実現させようとしていた。 薬売りに変じて市中見廻りに出ていた土方歳三は、撹乱活動中だった伸輔と偶然にも知り合うことになる。 互いの正体を知らないままに、知遇を得た二人。 だが激化する戦いが、やがて二人の運命を切り裂いていく。待望の文庫化。
  • 逢魔ヶ刻
    4.0
    ゆく宛のない旅の中、見知らぬ駅に降り立った笹森。「夜見」というその街で唯一の旅館に泊まることになった彼は、酒場で小夜子という女と出会う。彼女と街の不思議な魅力に捕らわれて、数日間この街に滞在するうちに、この土地に伝わる悲劇の伝説と、二年前に起きた旅行者の失踪事件を知ることになる。時間の流れが止まったようなこの街で何が起ころうとしているのか? 幻想的な古都を舞台に描くサスペンス&ホラー。
  • ワイルドドッグ 路地裏の探偵
    4.0
    浅草の古ぼけた遊園地『花やしき』裏で、調査会社を営んでいる元警察官の松戸。覚えのない不祥事に巻き込まれ、出所不明の口止め料4千万を渡された挙げ句、身辺を張り込まれるという境遇に陥った彼は、人生の負け犬を装って探偵を続けていた。そこに警視庁の同僚だった紅林から警察官に成れなかった少女・依美を共同経営者にしないかという申し出が来る。不穏な匂いを感じつつも、それを受け入れた松戸は、紅林経由で依頼のあった教育機関役員の素行調査を進めるのだが……。新たなる探偵バディ小説の登場!

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