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Posted by ブクログ
江戸の表具店に弟子入りしたさぶと栄二を見舞う不幸と、それに抗ううちに成長する栄二。周五郎最高傑作、集大成と煽られ読む。なるほど味わい深き一遍です。
冒頭のシーンから引き込まれる。表題から主人公はさぶだと思いきや、栄二であることが髄分読み進めて見て気づく。最初こそ逃げ出す素振りを見せたさぶだが、終始ぶれない姿勢、自分を、呼び戻してくれたことに対する栄二への恩義を貫き通すし、主人公の栄二はプライドの高さから自分を貶めてくすぶり続ける。石川島でのエピソードも計算され尽くした構成で読み手を引き込む。栄二世間への批判から殻に閉じこもる内情の変化が徐々に現れるところが秀逸。
綺麗事だけではない、おすえの終盤の告白など人の悲し性も悲しくも表現され、人の生き方において大事なことを教えてくれる。
周五郎作品をもっと読みたくなる傑作。
Posted by ブクログ
地球温暖化の影響かどうかわからないが、今年2012年の秋は11月になってモクセイの香りをかいだ。モクセイの香る季節になると、この本を思い出す。
「お前はどうだ?」ふた呼吸ほどして岡安は静かにきいた「風の肌触りに秋を感じたり、送られてる花のにおいを楽しんだりしたことがあるか…」…。栄二を慰めるように話をした後、岡安はこう締めくくった。「お前は気がつかなくとも、このさわやかな風にはモクセイの香が匂って居る、心を沈めて息を吸ってみると、お前にもその花の香りが匂うだろう、心を沈めて自分の運不運をよく考えるんだな。…さぶやおすえという娘のいることを忘れるんじゃないぞ。」
この本を手にしてから30年以上の年が経つが、今でもこの季節になり、秋風に金モクセイの香りをかぐと、また1年が経ったことに思い至る。そして、私の見過ごしてきた多くの優しさに取り囲まれている自分にふと立ち戻るものである。ああ、みんな元気にしてるだろうか。。・°°・(>_<)・°°・。
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