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銀座のはずれにある、ちょっと変わった「ちぐさ百貨店」。千種綺羅の祖母美寿々が営むこの店は、雑貨を売る傍ら、尻尾に魅力が隠された焼き立てのたい焼きも販売している。そんな店を訪れた人々の心を、美味しいたい焼きと所狭しと並べられたこだわりの品々が癒していく。ハンドメイドの一点物アクセサリー、親子を繋ぐつげ櫛、季節外れのスノードーム、店頭に飾られた鯛の木型……。雑貨が人と人を、そして思い出をも、つなぎ癒やしていく、心温まる再生の物語!
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Posted by ブクログ
表紙が気になり購入。 突然祖母の雑貨、たい焼き屋を任せたいと話をされる所からの話なのですが、 ゆったりとした古き良き雑貨店の自分のペースで気になるものを探す楽しみ。人それぞれの物への思い… 時間がまったり過ごしていくような奥ではたい焼きの焼く匂いや音が聞こえてきそうでした。 思わぬ秘密もあった...続きを読むり、任されたての店主と少しずつ心を通わせて行く、たい焼きを焼く葵くん。これからどうなるのかって見守りたくなるそんなお話でした。 あと、たい焼きが食べたくなります!!
なぜ、そんなに連絡を取らないほどおばあちゃんを許せなかったのか?ちょっと疑問だったのだけど、最後の章で納得。 銀座、たい焼きどっちも好き♥️しっぽに○○が入ったたい焼き食べてみたい。
銀座名物「ちぐさ百貨店のたい焼き」が食べたくなる。 竹籠にのせた、あつあつ焼き立てのたい焼き。 秘密が隠れたとっておき。 私は、アンティークのカップで、コーヒーセットのたい焼きをいただきたい。 じんわり温かい気持ちになる、大人の再生物語。
何か心が温まる本が読みたいなと思ったら長月天音さんの本ですね。 今回も心温まるいいお話でした。 たい焼きがずっと美味しそうで久しぶりにたい焼きが食べたくなりました。
『キッチン常夜灯』の作家さんなので気になって購入した。 銀座はずれにある、雑貨店を舞台にしたお話。家族のつながりは血縁関係だけではないことを教えられた。 たい焼きの尻尾に塩昆布が入っているのが、「ちぐさ百貨店」オリジナルらしく、いつか私も塩昆布入りたい焼きを作って食べてみたい。
銀座のはずれにある雑貨とたいやきのお店。祖母が考えた秘密のあるたいやきは食べてみたくなる。そんなたいやきには祖母のがたいやき作りを始めるきっかけとなった孝治くんとの大切な思いが込められている。祖母から娘である綺羅の母に贈った手紙が泣ける。 つげの櫛の話も素敵だった。
素敵な話だったー! 続きが出たらいいな。 銀座にあるちぐさ百貨店。 人気のたい焼きにも、理由があり、たい焼きを焼く葵くんにもいろいろある。 おばあちゃんも色々考える。 お客さんもみんなすてき。
良かった。銀座の雑貨店の日々で終わるのかなと思っていたら、家族の話になった。子供の悲しい話は本当に涙が出てしまう。
たい焼きに雑貨店 私の大好きが揃ったお店に すてきな、おばあちゃんや 孫の綺羅さん葵くん 表紙も好みで 素敵なお話でした。 雑貨店の雰囲気も目に浮かぶようでしたし、たい焼きの香ばしい香りが漂うようなお話 あーつかれたなぁ。元気でないなぁ。一休みしたいなぁ 誰でもそういう時あると思います。そんなとき...続きを読む ふと こんなお店を見つけたら たい焼きの香ばしい香りにつられて入っちゃって、素敵な雑貨を 思う存分見まわしてお気に入りの一つを見つけて たい焼きを頬張りながら 少しお店の温かい雰囲気に癒される 最高ですね〜 私もこういうお店に出会いたいと思いました。
『熱いうちにどうぞ』、『いただきます』 そんな会話にあなたはどんな食べ物を思い浮かべるでしょうか? ・『餡がたっぷり入っているからずしりと重い』 ・『表面は焦げ目もなく綺麗な色をしていた』 ・『頭からガブリといく。パリッと香ばしい。まるで最中みたい』 はい、なんだか書いているだけでも...続きを読むたまらなく食欲が湧いてきます。これは、『薄皮でぼってりしていない』という『たい焼き』を手にした人の心の中を描写したものです。 ・『ひと口目から餡に到達する。この餡がまた熱い』 ・『涙目になりながら、ハフハフと熱い息を吐いて頰張る』 ・『ちょっと粒の残った餡はしっかりと甘い。甘いけれど、甘ったるくない』 ひたすらに美味しそうな『たい焼き』を食べる光景が記されていくと、読書を中断して実際に『たい焼き』を食べたくなってしまいますね(笑)。 さてここに、そんな美味しそうな『たい焼き』が繰り返し登場し、お店を訪れる人たちの心を和ませていく作品があります。『銀座の外れにある』『雑貨店』を舞台にしたこの作品。そんなお店で販売される『たい焼き』が食べたくて仕方がなくなるこの作品。そしてそれは、『ちぐさ百貨店』という『銀座の老舗雑貨店』を舞台にした祖母と孫、それぞれの想いを感じる物語です。 『久しぶりに店に行ってみないか』と、父親から連絡を受けたのは主人公の千種綺羅(ちぐさ きら)。『美寿々(みすず)さん、綺羅に来いってさ』と続ける父親に『おばあちゃんに話したんでしょ。私が会社を辞めたこと』と訊き返す綺羅ですが、『どうだろうね…』と父親はとぼけます。『大学を卒業して以来、ずっと勤めてきた表参道の雑貨店をとうとう辞めてしまった』という綺羅は『人間関係に疲れ切』り、退職後、『北千住のアパートに籠り、悶々と日々を送ってい』ました。『生活雑貨から』『洋の東西を問わず、店主が気の向くままに集めた様々な商品が所狭しと並』ぶ『ちぐさ百貨店』という『ちょっと変わった雑貨屋』を『銀座の外れ』で営む祖母。個性あふれる品が並ぶお店ですが、『ちょっと変わっている』『理由はたい焼き』にありました。『雑貨店を営む傍ら、たい焼きも販売している。もちろん焼きたて』というお店で、『客は雑貨を眺め、ちょっと休憩、という感じで、たい焼きを注文』します。そして、そんな客が『頭から尻尾の先まで食べきるまで、とにかくじっと見つめ』る『割烹着姿の祖母』。そんな『たい焼き』の『尻尾の先』、ここに『大きな秘密が隠されてい』ました。『「ちぐさ」のたい焼きを食べて笑顔にならないお客さんはいない』、そして『その笑顔こそ、祖母にとっては、熱心に収集した雑貨と同じくらい愛すべきもの』です。『いつしか祖母のたい焼きは評判となり、たい焼きだけを目当てに訪れるお客さんも増え』ます。『いつかは自分も祖母のように、好きな雑貨に囲まれ、やりたいことを伸び伸びと楽しむ人生を送りたいと思』うようになった綺羅。しかし、『十八年前、祖母の一人娘であり、私の母親の珠子が亡くなると、状況は一変し』ます。『母の死の直後、祖母はまだ深い悲しみにある私と父の元から、母の遺品をすべて奪』いました。『処分した』と言う祖母。『そんなに急ぐ必要がどこにあったのだろう。処分したというのも信じがたい』、『まさか、「ちぐさ百貨店」で売るつもりなのではないか』と疑念を膨らませた綺羅は、『それ以降』『一度も「ちぐさ百貨店」に足を踏み入れることは』ありませんでした。そんな中に受けた父親からの電話に逡巡する綺羅ですが、『あの場所でなら、また外の世界と繋がれるかもしれない』と心を決めます。『四十歳。キリもいい。ここで何もかも清算しよう』、『そう決意した』綺羅。 場面は変わり、『久しぶりの銀座』へとやってきた綺羅は、『古い三階建てビルの一階』、『アンティーク風のベンチ』の上に『すっかり古びた「たい焼き・雑貨 銀座ちぐさ百貨店」の看板』を目にします。『うわぁ、ほとんど昔のままだ』と、声にした綺羅は、『レトロブームの今は、古臭い店構えがかえって味わい深い』と思います。そして、『勇気を振り絞ってドアノブに手を伸ばした』綺羅は、『まさにその時、ドアが内側から勢いよく開い』て『尻もちをつ』きます。『若くて綺麗な女性』が『たい焼き』であろう白い箱を持って出てくる中、『いつもありがとうございます』と、『若い男』も出てきました。やがて綺羅に気づいた『若い男』は、『たい焼きでも食べて温まりませんか。焼きたて、熱々で美味しいですよ』と『手を差し出し』ます。『たい焼き、焼いているんですか』、『はい、僕が焼いています』、『あなたがたい焼き職人ですか…』と会話する中に『祖母が今も一人でここにいると思っていた』綺羅は『ショックを受け』ます。『店主の千種美寿々さんはご健在でしょうか』と訊く綺羅に『貼り付けていた笑みを消した』『若い男』に『どちら様ですか』と訊かれ『…孫です、美寿々の』と返す綺羅。『ああ、孫か』と言う『若い男』は、『店の奥に向かって「おばあちゃん」と呼びかけ』ます。『「なんだい、葵」と耳になじんだ声』がして、『するすると力が抜け』た綺羅。『葵と呼ばれた青年』に導かれ店内へと入った先には、『綺羅、さっそく来たね』と迎える祖母の姿がありました。『孫の綺羅だよ。こっちは皆月葵。店のことはほとんど葵に任せている』と説明を始めた祖母。十八年ぶりに訪れた『ちぐさ百貨店』で、祖母の後継者として店の切り盛りをスタートする綺羅の日常が描かれていきます。 “銀座のはずれにある、ちょっと変わった「ちぐさ百貨店」。千種綺羅の祖母美寿々が営むこの店は、雑貨を売る傍ら、尻尾に魅力が隠された焼き立てのたい焼きも販売している。そんな店を訪れた人々の心を、美味しいたい焼きと所狭しと並べられたこだわりの品々が癒していく。ハンドメイドの一点物アクセサリー、親子を繋ぐつげ櫛、季節外れのスノードーム、店頭に飾られた鯛の木型…。雑貨が人と人を、そして思い出をも、つなぎ癒やしていく、心温まる再生の物語!”と内容紹介にうたわれるこの作品。どこか印象深い表紙がいい味を醸し出しています。 そんなこの作品の舞台は泣く子も黙る?『銀座の老舗雑貨店』が舞台となります。まずは、そんなお店がどんなお店かを見てみましょう。 ● 『ちぐさ百貨店』ってどんなお店? ・『華やかな銀座の中心から少しはずれた』場所にある、『古い三階建てビルの一階』 ・『百貨店、というほど何でも揃っているわけではないけれど、生活雑貨からアンティークのティーセット、ヴィンテージ風の置物など、洋の東西を問わず、店主が気の向くままに集めた様々な商品が所狭しと並んでいる』。 ・『銀座百店会』に名を連ねている ・『定休日は月曜、それ以外は十二時から二十二時まで』 いかがでしょうか?『百貨店』という名前は、『三越や和光、近隣の老舗デパートを意識した』祖母が名付けたものであって、イメージとしては『雑貨店』なのだと思います。とは言え、場所が場所、銀座という場所がイメージを持ち上げてくれるところもあるようには思います。そして、そんな場所以上に大きな特徴を「ちぐさ百貨店」は持っています。それこそが『雑貨店を営む傍ら、たい焼きも販売している』という点です。昨今の世の中さまざまな組み合わせがあります。お金が下ろせ、住民票が入手でき、チケット予約までできてしまうコンビニを考えればもうどんな組み合わせでもありだとは思いますが、それでも”雑貨屋 × たい焼き”の組み合わせは新鮮です。では、そんな『たい焼き』の特徴を見てみましょう。 ● 『「ちぐさ」のたい焼き』って? ・『金型で一匹ずつ焼く』 ・『型は大きなペンチみたいな形をしていて、長い柄の先にたい焼きの金型が付いている。柄が長い理由はそのまま直火に突っ込むからだ』 ・『一匹ずつでは効率が悪いから、五個の金型を使って同時進行する』 ・『一匹二百円のたい焼きは、美味しいだけでなく銀座なのに手ごろなお値段』 ・『餡を載せる時、尻尾の部分に○○○を一片載せる。それが焼かれた時に熱々の餡と一緒になって、炊きたての○○○○に復活する』 → 『「ちぐさ」のたい焼きの秘密』! (注)ネタバレを避けるために○○○と伏字にしています はい、『金型で一匹ずつ焼く』という、なんだかとってもこだわりの一品であることがわかります。屋台を思い出した時にそんなやり方してたっけ?と思い出してみましたが、その違いはこういうことのようです。 ・『縁日などで見かける屋台のたい焼き屋は、一度に何匹もまとめて焼ける型を使』う → 『養殖もの』と呼ぶ ・『一匹ずつ丁寧に焼く「ちぐさ」のたい焼き』 → 『天然もの』と呼ぶ なるほど、面白いですね。『たい焼き』に『養殖』と『天然』の違いがあるという考え方の登場です。いずれにしても『雑貨屋』というよりは『たい焼き』の印象が圧倒的に強いのがこの作品の特徴です。いずれにしても書名そのまんまな「たい焼き・雑貨 銀座ちぐさ百貨店」を舞台に展開するこの作品は4つの短編が連作短編を構成しています。4つの短編タイトルは以下の通りです。 ・〈第一話 和菓子の木型とハンドメイド一点物〉 ・〈第二話 銀座のたい焼きとヴィンテージ看板〉 ・〈第三話 つげの櫛とアンティークのティーセット〉 ・〈第四話 季節外れのスノードームと錆びたピッケル〉 いずれの短編にも何かしら『雑貨』と思われるものが記されており、それぞれに光が当たってもいきます。 『つげ櫛はちょっと高価ですけど、髪通りも滑らかですし、使うほどに髪にも櫛にも艶が出て、長く大事に使いたい品ですよね』。 これは『つげ櫛』が登場する場面ですが、物語では、そんな『つげ櫛』にこだわる女性が登場し、その背景事情が描かれてもいきます。そうです。そこには、上記した通り、”そんな店を訪れた人々の心を、美味しいたい焼きと所狭しと並べられたこだわりの品々が癒していく”という内容紹介からも、こんな物語の構成が思い浮かびます。 “短編ごとに悩みを抱えた主人公が登場し、何かしらの『雑貨』をきっかけに張り詰めた気持ちが癒やされていく” はい、如何にもありそうな展開です。もちろん、この展開でも私としてはウェルカムなのですが、実はそう単純でもないのがこの作品なのです。確かに、4つの短編それぞれには主に客という形で登場した人物と短編タイトルに含まれる『雑貨』の出会いが描かれるのは事実です。しかし、読み終わって感じるのはそんな人たちの存在が掻き消されるほどに強く印象に残る3人の登場人物の人間ドラマなのです。そんな3人をご紹介しておきましょう。 ・千種綺羅: 40歳、主人公。蓼科高原で生まれ育つ。表参道の雑貨店を退職後、アパートに籠る。母親を事故で亡くし、早々に遺品の全てを持ち去った祖母を憎んでいる。 ・千種美寿々: 89歳、『ちぐさ雑貨店』を『ちぐさ百貨店』に改名。『「ちぐさ」のたい焼き』を考案。娘の珠子(綺羅の母親)を事故で亡くす。 ・皆月葵: 30歳、諸事情の先に『ちぐさ百貨店』でアルバイトとして働き始める。『たい焼き職人』として力を発揮している。 物語は、40歳にして『独身』、『頼るものは自分だけ』という中に『大学を卒業して以来、ずっと勤めてきた表参道の雑貨店を』退職、心を病んでアパートに引き籠もっていた綺羅に父親を通じて祖母の美寿々が『ちぐさ百貨店』に来るよう伝言してきたことをきっかけに動き始めます。『たった一人で店を切り盛りする祖母』をイメージして訪れた綺羅でしたが、そこには『たい焼き』を焼く葵という若い男性の姿がありました。不信感が募る綺羅は、そもそも十八年もの間、祖母と疎遠だった今までを思います。それこそが、母親の不慮の事故死で深い悲しみの中にいる綺羅の知らぬ間に、祖母が母親の遺品一切を持ち去ってしまったことでした。憎しみの中に疎遠になった祖母。物語は、葵という予想外の存在ともどうにか折り合いをつけて『ちぐさ百貨店』を切り盛りすべく新しい生活に馴染んでいこうとする綺羅の姿を描いていきます。謎多き存在である葵と、『気性が激しい』祖母との3人を描いているいく物語は上記した通り、他の人物が登場こそするもそれ以上にこの3人の関係性を色濃く描いていきます。そんな中で綺羅はやがて『ちぐさ百貨店』という場所の意味を感じていきます。 『私は自分の居場所を求めていたけれど、ここは私だけの大切な場所じゃない。祖母も、葵くんも、これまで「ちぐさ」を訪れてくれたたくさんのお客さんにとっての大切な場所になっている。だから、守っていかねばならない』。 そんな物語は、読者にあっと驚く仕掛けを用意しています。それまでのさまざまな前提が大きく覆る、まさかのどんでん返しとも言えるよう結末を見る物語には、『まさに新しいスタートなのだ』とこれからの人生を前向きに見据える綺羅の力強い姿が描かれていました。 『大切なものなんて、人それぞれだからね。「ちぐさ」のたい焼きの尻尾みたいに、外からじゃ何も分からない。みんなそれぞれ大切なものを持って生きている』。 『たい焼き』も販売している銀座の外れにある『雑貨店』、『ちぐさ百貨店』を舞台に描かれるこの作品。そこには、そんなお店を守り続けてきた祖母とアルバイトの葵、そして、店で働きはじめた綺羅の姿が描かれていました。『「ちぐさ」のたい焼き』が無性に食べたくなるこの作品。3人それぞれの個性のぶつかり合いに味を感じるこの作品。 『雑貨』と『たい焼き』という組み合わせの面白さが物語に絶妙なアクセントを加える、そんな作品でした。
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たい焼き・雑貨 銀座ちぐさ百貨店
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