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千利休
信長・秀吉との交流、草庵茶湯の大成、そして悲劇的な賜死――。本書は、劇的にして謎に満ちたその生涯に対峙し、史料の精緻な読解にもとづく論証によって、茶聖の人物と思想、さらに日本文化史における位相を究明する。人間・千利休を鮮明に描き出し、研究者のみならず茶道界にも衝撃を与え、その後の利休像を決定づけた不朽の名著。(講談社学術文庫) -
人類史のなかの定住革命
霊長類が長い進化史を通じて採用してきた遊動生活。不快なものには近寄らない、危険であれば逃げてゆくという基本戦略を、人類は約1万年前に放棄する。ヨーロッパ・西アジアや日本列島で、定住化・社会化はなぜ起きたのか。栽培の結果として定住生活を捉える通説はむしろ逆ではないのか。生態人類学の立場から人類史の「革命」の動機とプロセスを緻密に分析する。(講談社学術文庫) -
忠臣蔵 もう一つの歴史感覚
日本人の心の中に「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。しかし、このイメージは、実は歴史上の実像とは隔たりがある。それでは、「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、本当はだれなのか。そして、この壮大なフィクションは、なぜこれほど日本人に愛され続け、『仮名手本忠臣蔵』はどのようにして歌舞伎最大の古典となったのか。明晰な構成と文体で鮮やかに描き出す、第一人者による意欲作。(講談社学術文庫) -
幕末遣欧使節団
攘夷の嵐が吹き荒れる幕末。先に欧米に約した開市開港の実施延期を要請するため、幕府はヨーロッパに使節団を派遣した。文久二年、総勢三十八名のサムライたちは、西洋事情調査の命をも受けて、仏・英・蘭・露など六ヵ国を歴訪。一年にも及ぶ苦難と感動に満ちたこの旅を、彼らの日記や覚書、現地の新聞・雑誌の記事等をもとに、立体的に復元する。(講談社学術文庫) -
生命の意味論
伝染病も老化も死も、官僚制も企業も大学も、「免疫」からはこう見える! 『免疫の意味論』(大佛次郎賞)を凌駕する圧倒的スケールで描かれる、稀代の免疫学者による「超」生命論。(解説:養老孟司) 「私はこの本で、生命の持つあいまいさや多重性、しかしそれ故に成り立つ「超(スーパー)システム」の可能性について考えた。そこには「不気味さ」と「美しさ」が紙一重で同居している」――「まえがき」より [目次] まえがき 第一章 あいまいな私の成り立ち 第二章 思想としてのDNA 第三章 伝染病という生態学(エコロジー) 第四章 死の生物学 第五章 性とはなにか 第六章 言語の遺伝子または遺伝子の言語 第七章 見られる自己と見る自己 第八章 老化――超(スーパー)システムの崩壊 第九章 あいまいさの原理 第十章 超(スーパー)システムとしての人間 参考文献 あとがき 解説 多田富雄さんと私 養老孟司 -
論語のこころ
『論語』は、どうして時代を超えて読み継がれてきたのでしょうか。それは『論語』が封建的、教条的な道徳の教科書などではなく、人間をありのままに見とおし、人間にとっての幸福とは何かという視点にもとづいて道徳を論じることで、読む者の人生の指針となってきたことにあります。そしてその叡智は継承され、また未来へと伝えられてゆくべきものといえるでしょう。 中国哲学史研究の泰斗として知られる著者が、『論語』の精髄を紹介する一冊が本書です。『論語』から125の章段を選んで11の柱で体系化し、各章の冒頭に付した解説によってポイントを押さえ、学術文庫版『論語 全訳注』に準拠する各章段では「原文」「現代語訳」、解釈を助ける「参考」と読み進めることで理解を深めるような構成になっています。そして最終章では孔子の略伝と時代背景に言及し、『論語』を綜合的に把握できるように配慮されています。これは、『論語』に興味をもつ独習者にとっての格好な水先案内であると同時に、『論語』の魅力を誰か(とくに年少者)に伝えようとする際の理想的な手引きとなることを意図したものです。 儒教の本質は「生命の連続」と説く著者の思索が全面的に反映した本書は、現代を生きる多くの日本人にとって実践的な示唆に富んだ「『論語』入門」となるでしょう。 〔原本:『すらすら読める論語』(2005年、小社刊)をもとに増補再編集〕 ●主な内容 第一章 『論語』の名句 第二章 『論語』を読む楽しさ 第三章 自分の幸せだけでいいのか 第四章 他者の幸福を求めて 第五章 「学ぶ」とは何か 第六章 教養人と知識人 第七章 人間を磨く 第八章 若者との対話 第九章 人生用心ノート 第十章 孔子像 第十一章 愛と死と孝と 第十二章 孔子の生涯とその時代と -
藤原道長「御堂関白記」を読む
【平安最大の権力者は何を“後世に残すべきだ”と考えたか】 大河ドラマ『光る君へ』時代考証者が徹底的に読み解く! 原本写真多数掲載。 豪放磊落な筆致、破格の文体、そして抹消された箇所……平安時代最大の権力者は、自らの手で何を書き残したのか。 「披露すべきに非ず。早く破却すべき者なり」と道長が記したのはなぜか。 「望月の欠けたる事も無しと思へば」はいかなる場で詠まれたものだったか。 摂関期の政治、外交、儀礼の生々しい現場から家庭生活と精神世界までを描く世界最古の自筆本日記を、第一人者が徹底的に読み解き、宮廷社会の実像をさぐる。 原文写真・翻刻・現代語訳・解説がそろった、決定版! 【本書より】 『御堂関白記』独特の面白さがある。また、『御堂関白記』を記した藤原道長自体、日本史上でめったにいないほど、面白い人物である。それらの楽しみを、原本の写真とともにたどることは、他の史料ではちょっと味わえない面白さがある。 この本では、その日の記事に何が記されているかに加えて、その日の記事がどのように記されたのか、また、どのように書写されたのかに視座を据えて、記述のてんまつ、また書写のてんまつを明らかにしたい。本来、歴史学というのは、史料を読み込んでいき、それを読み解くというのが基本的な姿勢である。世間では古代史というと、好き勝手な推論を積み重ねている ものと思われているかもしれないが(実際、『御堂関白記』や道長についてもトンデモ本が流布しているらしいのは嘆かわしいかぎりである)、史料にどう向き合うかという姿勢を伝えることこそ、歴史学者の本来の使命であると考える。 結果的には、自分が楽しんだだけではなかったかと恐れているが、自分が楽しいことはきっと楽しんでくれる人もいるはずであるという思い込みに支えられて、この本を世に出す。 【本書の内容】 序 章 『御堂関白記』とは何か 第一章 権力への道 ――政権獲得、彰子入内・立后など―― 第二章 栄華の初花 ――敦成親王誕生、一条天皇崩御など―― 第三章 望月と浄土 ――摂政就任、威子立后、出家など―― 番 外 『御堂関白記』自筆本の紙背に写された『後深心院関白記』 終 章 再び『御堂関白記』とは何か 年譜/略系図/主な登場人物紹介/関係地図を掲載 *本書の原本は、2013年に講談社選書メチエより刊行されました。 -
ゴルギアス
プラトン初期対話篇の代表作、練達の訳者による決定版新訳が完成! 本書では、当時を代表するソフィストであるゴルギアス、その弟子ポロス、気鋭の政治家カリクレス、ソクラテスの崇拝者カイレポンの四人を相手にしてソクラテスが対話を展開します。その中心的な主題は「弁論術とは何か」です。 ただ雄弁に語り、聞く人を説得するのが理想的な弁論術ではありません。大した内容もなく、正しい知識を与えることもないのに、相手を論破したり、耳障りのよいことを訴えたりするだけの言葉が今もよく聞かれます。言うまでもなく、そのような言葉を語る人が政治的な意図を隠しているなら、聞く者は気づかぬうちに意図された方向に導かれ、特定の政治的な主張を支持するようにもなるでしょう。古くは「プロパガンダ」と呼ばれ、今日では「フェイクニュース」や「ポルトトゥルース」、「オルタナティブファクト」などと呼ばれる現象には、そのようなからくりが含まれています。 では、正しい弁論術とはどのようなものなのか? ソクラテスは、ゴルギアス、ポロス、カリクレスの順に濃密な対話を交わし、その答えを明らかにしていきます。それは最終的に「正しさ」とは何かを知ることに行き着くでしょう。何が正しいのかを知っている人にしか正しい弁論術は使えない――当たり前に思えますが、その当たり前のことを残念ながら人類はプラトンの時代よりよく理解し、実践していると言えるでしょうか? 価値の基準が崩壊したと言うしかない現代世界の中で、道徳的であること、正しくあることとは何か、という問いは、ますます重要性を増しています。練達の訳者によって蘇ったプラトン渾身の対話篇を手に、今と未来を考えていただけるなら幸いです。 [本書の内容] [プロローグ ゴルギアスとは何者か] [第一幕 ゴルギアス対ソクラテス] [第二幕 ポロス対ソクラテス] [第三幕 カリクレス対ソクラテス] [エピローグ 死後の裁きについて] -
齟齬の誘惑
「社会とは、いくつもの齟齬感や、違和感や、隔たりの意識が複雑に交錯しあう苛酷な空間にほかなりません」――。 東大生の心を慄(ふる)わせた伝説の入学式式辞のほか、大学は知と人が行き交い別れる「寄港地」たれと説く「第三世代の大学」論、運動論、映画論など、仏文学・映画評論の大家が、学問と教育に関わるすべての人に真摯に呼びかける、知の革新のための書! [目次] いま、この書物の読者となろうとしているあなたに 一 齟齬の誘惑 二 真実の位置 三 第三世代の大学 四 東京大学をめざす若い男女に 五 視線の論理・視線の倫理 総長日誌 学術文庫版へのあとがき 「社会に生きているわたくしたちは、何かを理解することで変化するのだし、当然、その変化は社会をも変容させる契機をはらんでいるはずです。ところが、「何かを理解したかのような気分」の蔓延は、そうした変化や変容の芽を、いたるところでつみとってしまいます。」 ――「いま、この書物の読者となろうとしているあなたに」より -
日本の西洋史学 先駆者たちの肖像
明治維新以来、「西洋化」は日本の国策であり、西洋は日本人のモデルであり続けた。では、西洋人が自らの政治・経済・文化・社会の来歴を探求した歴史学を、日本人が学ぶことにはどんな意味があったのだろうか。明治から昭和まで、先駆者たちの生き方と著作から、「西洋史家の誕生と苦悩」のドラマを描く。 明治20年、帝国大学に着任したお雇い外国人教師、ルートヴィヒ・リースが、ドイツでランケが確立した近代歴史学を講義したのが、日本の歴史学の始まりだった。リースの弟子で日欧交通史を開拓した村上直次郎、慶應義塾に学び経済史学の草分けとなった野村兼太郎、ルネサンス論の大類伸、イタリア史の羽仁五郎。マルクスとウェーバーへの深い理解から大きな業績を残した大塚久雄。そして、戦時下の西洋史家たちは「大東亜戦争の世界史的意義」をどのように論じたのか。 また、1920年代にウィーンに留学し、西洋の「受け売り」でも「追随」でもなく、みずから「原史料を直接考究する」主体的学問を確立した上原専禄は、戦後、13世紀のモンゴルの世界征服の時代を「世界史の起点」とする新たな世界史の構想を得るに至る。 [原本:『西洋史学の先駆者たち』中央公論新社2012年刊を増補] 目次 序に代えて 第一章 ドイツ史学の移植――ルートヴィヒ・リースとその弟子たち 第二章 歴史の経済的説明――欧州経済史学の先駆者たち 第三章 文化史的観照を超えて――大類伸のルネサンス論とその周辺 第四章 「原史料の直接考究を第一義とすること」――上原専禄とドイツ中世史研究 第五章 近代資本主義の担い手を求めて――大塚久雄の近代欧州経済史研究 第六章 「大東亜戦争の世界史的意義」――戦時下の西洋史家たち 補章 世界史とは何か――上原専禄の世界史像と地域概念 学術文庫版あとがき 参考文献 人名索引 -
日本の近代仏教 思想と歴史
「近代仏教」とはなにか? 「伝統(あるいは古典)仏教」とはなにか? 十九世紀以来の欧米やアジア各地の仏教をみると、共通する同時代的な特徴がある。仏教は近代になって、グローバル化したのである。その中で、日本の仏教も大きな変化を被った。 浄土系の思想を、清沢満之の思想を見直し、その弟子である曽我量深の初期思想の持つ可能性を検討した。また、近代日本の親鸞理解に大きな影響を与えた倉田百三の親鸞理解の特性を検証し、後年の倉田のファシズムへの傾倒の必然性を示した。 日蓮系の思想にもっとも影響力の強かった田中智学を検討し、一見国家主義的と見られるその国体論が、じつは仏教と国家の間の矛盾に揺れていたことを解明する。 また、戦後の創価学会の価値観を思想的に明確にしようとした松戸行雄の凡夫本仏論について検討し、世俗化の進む現代社会の中での仏教思想のあり方を考察した。 近代における禅思想を代表する鈴木大拙は、その評価が全面賛美か全面批判かの両極に分かれている。一批判すべきところと評価すべき点に検討を加えた。キーワードは、「日本的」と「中国的」との対比である。 そして、近代の仏教研究の問題点を、二点に絞って検討する。日本史学者として著名な家永三郎の日本仏教の扱い方を、批判的に検討してみた。また、日本では大乗仏教が優れているということが常識のように考えられているが、そこに問題がないかということを、宮本正尊という一学者の説の展開を中心に追ってみた。 私たちの仏教のイメージが、明治以降にどのようなプロセスを経てきたのかを解明し、昨今の仏教研究の基礎を知るための一冊でもある。 *本書は、『思想としての近代仏教』(中公選書)を底本にし、「仏教方法論と研究史」「近代における仏教辞典の編纂」「大乗仏教の実践--研究状況をめぐって」を割愛し、改題をした。 【目次より】 序章 伝統と近代 I 浄土思想の近代 第一章 清沢満之研究の今――「近代仏教」を超えられるか? 第二章 宗派の壁は超えられるか 第三章 迷走する親鸞 第四章 愛の求道者――倉田百三 II 日蓮思想の展開 第五章 国家・国体・天皇と日蓮思想――田中智学を中心に 第六章 世俗化と日蓮仏教――松戸行雄の「凡夫本仏論」をめぐって III 鈴木大拙と霊性論 第七章 大拙批判再考 第八章 鈴木大拙における「日本的」と「中国的」――『日本的霊性』を中心に IV 日本仏教と大乗仏教 第九章 家永三郎と戦後仏教史学 第十章 大乗非仏説論から大乗仏教成立論へ――近代日本の大乗仏教言説 終章 今、近代仏教を問う -
ベルクソンの哲学 生成する実在の肯定
「生の哲学」を提唱しノーベル文学賞を受賞した、フランスを代表する哲学者、アンリ・ベルクソン(1859-1941年)。彼は、伝統的な哲学を根本的に批判し、転覆させた特異な存在です。 その影響は、20世紀の名だたる哲学者たち、ハイデガー、ウィリアム・ジェームズ、サルトル、レヴィナス、メルロ=ポンティ、デリダ、西田幾多郎など、多方面に及びます。そして何より、生成のリアリティーを巡る思考の原理を徹底させ、ベルクソンを蘇らせたのが、ジル・ドゥルーズでした。 本書は、ドゥルーズのすぐれた読解に身を寄せながら、ベルクソンの主著を丹念にたどり、その核心を浮かび上がらせます。同時に、ドゥルーズ自身の哲学の出発点ともなった、斬新で独創的なベルクソン解釈を提示してもいます。 ベルクソンにとって実在とは、持続とは何か。どのようにして、直観によって本質的な差異を見出すのか。他者のない、否定性のない、そして外との弁証法的な統合もない哲学とは、どのようなアイデアなのか。 著者によるベルクソンの現代思想における位置づけ、主要著作を通した整理、これ以上なくクリアで精密な解読は、ベルクソンに取り組もうとする読者にとって、最良のガイドとなるでしょう。解説には、『物質と記憶』の訳者である杉山直樹氏の書き下ろし原稿を収録しました。 [本書の内容] 学術文庫版まえがき 序 論 ベルクソンの哲学とその位置 第一章 連続的で異質的な特徴――『試論』について 第二章 知覚の機構と実在する過去――『物質と記憶』について 1 純粋知覚について 2 記憶と認識の機制 3 記憶の即自存在とその心理的な働き 4 持続の存在論 第三章 分散する一者としての生命――『創造的進化』について 第四章 持続の一元論/結晶と層――ベルクソンの存在論について あとがき 解説 杉山直樹 ベルクソン関連略年表 -
「知の商人」たちのヨーロッパ近代史
古来、思想は<出版>という形で普及し、後世へ残った。ならば、知の媒介者たる「印刷・出版業」から16世紀から20世紀の近代を眺めてみよう。そこには、名著を支えた蒐書家や出版人などの人間模様、「知」の商品化による印税騒動など、歴史に埋もれた事件が浮かび上がってくる! 思想史でも書物史でもない、碩学によるユニークな書。 本書は1985年4月、筑摩書房から刊行された『知の商人―近代ヨーロッパ思想史の周辺』を改題、加筆修正したものです。 目次 1 商品としての思想 エルセフィエル書店 リヴァイアサンの顔 ハーリーとソマーズ 知の商人―ストラーンのばあい 知の商人―エディンバラの出版業者 バーゼルのトゥルナイゼン 固有名詞の読み方 『ケール版ヴォルテール全集』始末記 イギリスのワイン アメリカ革命の導火線 『エディンバラ評論』の運命 紅茶の話 ジン横丁 2 知識人層の成立 音楽の商品化 うたは世につれ 『共産党宣言』の英訳者 パリ・コミューンと芸術家たち 芸術至上主義と無政府主義・ 黒猫のスタンラン 大学と女性 ディーツ出版社 ユニウスとジュニアス ブラウンス・アルヒーフ マスク・ヴェーバーをめぐる女性 3 ファシズムのもとで グーテンベルク図書組合 マリク書店とハートフィールド 亡命知識人とスイス 左翼読書クラブ 一九三〇年代の墓標 ウォーバーグ家の人びと 空襲下のコンサート 内容抜粋) 「私は昨夜、ヴォルテールが死んだということを聞きました。これで人びとは、安心して彼の著作を買うことができるでしょう。彼はもう、あとからあとから書き直すということができないからです」(一七七八年一月十七日)。この知らせは誤報で、ウォルポールの安心は四ヵ月余り早すぎたのだが、ヴォルテールの止まるところを知らない改訂癖に蔵書家が悩んでいたことは、誤報ではない。 1「『ケール版ヴォルテール全集』始末記」より ルイジ・エイナウディ研究所 本を愛した外科医 あとがき 学術文庫あとがき 人名索引 -
言霊の民俗誌
火除け、虫除け、雨乞い、失せ物探し、道中安全、子守歌、祝いと祭り…… 日本各地の古老たちが伝え続けてきた〈ことばの力〉の探究! 病や禍いを遠ざけ、暮らしのささやかな稔りを願うため、この国の先人たちは、土地魂を動かす呪言を生み、ことばに内在する霊力・呪力を発現させてきた。全国の山峡や海辺の村々を訪ね歩き、古老が唱える呪歌(まじないうた)に耳を傾け、失われゆく多彩で不思議な口踊・口承の文化に光をあてる。「言霊の幸わう国」日本を描く、貴重なフィールドワークの集大成。 ※本書の原本は、『言霊の民族 口踊と歌唱のあいだ』として1993年に人文書院から刊行されました。 ■本書の内容 序章 誦唱民俗論に寄せて ! 口誦民俗 一 呪歌の民俗 二 口誦と伝承 三 年中行事の口誦要素 四 暮らしの中の口誦 五 ことばと禁忌 !! 民謡再考 一 子守唄と子守の民俗 二 民謡における復唱と継唱 三 民謡と囃し口 四 囃しの諸相 五 民謡をめぐる時と場の習俗 六 唄の中のアイドル 七 口説節の魅力―兄妹心中絵模様 -
僧侶と海商たちの東シナ海
「894年遣唐使廃止」は日本を変える出来事ではなかった。 列島を取り巻く大海原をたくましく乗り越え、「外」と日本を繋ぎ続ける人たちがいた― 利を求め海を闊歩する海商たちと、 彼らの助けを得て、最新の知識を求めて大陸へ渡ろうとする僧侶たち。 多くの記録を史料に残した僧たちの足跡を辿ることで、海域交流の実相に迫り、歴史世界としての東シナ海を描き出す! [本書の内容] 序章 中世日本と東シナ海 第1章 「遣唐使以後」へ 最後の遣唐使、出発 海商の登場 「遣唐使以後」の入唐僧たち 第2章 古代から中世へ 平安王朝の対外政策 帰国しなかった僧たち 密航僧の出現 第3章 大陸へ殺到する僧たち 「中世」の始まり 日宋仏教界をつないだ人脈―入宋僧円爾 日元関係の波紋と仏教交流―入元僧龍山徳見 第4章 「遣明使の時代」へ 混乱の海、統制の海 仏教交流の変質 補章 遣明使の後に続いたもの ※本書は2010年に講談社選書メチエより刊行された『 選書日本中世史4 僧侶と海商たちの東シナ海』を原本とし、改訂を加え補章を付して文庫化したものです。 -
江戸・東京水道史
徳川氏入国以降中心都市となった江戸では、拡大する市街に上水を供するため、すでに独創的な工夫を絶えず続けていた。東京と改まってのち、明治20年の横浜に始まる近代水道は同31年に東京でも通水を開始する。以来日本の首都として急速に発展した東京は、震災、戦災、水害、渇水、地盤沈下、断水と度重なる危機をどう乗り越え、発展してきたのか。家康が家臣に命じ小石川の上水を引いてから淀橋浄水場が「跡地」となるまで、供給側と市民生活の変貌を描く。戦前より長年、東京都水道局で実務に携わった著者渾身の「水道の文化史」。(原本:『水道の文化史』鹿島出版会、1981年刊) -
日本料理文化史 懐石を中心に
茶道の美と精進の思想―和の食、かくして極まれり。 「懐石」と「会席」は何が違うのか。 利休の「一汁二菜」「一汁三菜」はなぜ正統となったのか。 「乾杯」の日本的起源とは。 茶道から生まれた様式がいかにして日本料理の伝統を形づくったのかを、資料から丹念に考察する。 和の食、その精髄たる懐石料理の誕生から完成、そして後世への継承という歴史の中に、 日本文化のエッセンスを見いだす類稀なる論考。 【本書より】 何故、懐石という新しい料理の様式が生まれたのか。その歴史的前提を明らかにしなければならない。料理に限らず、文化は一つの様式に固定してしまうと、それを内部から突き破る革新が起こって、また新しい創造的な歩みがはじまる。いわば本膳料理の行き詰まりを打破する革新であったと、さきに懐石を位置づけたのだが、では、本膳料理とは何か― 【本書の内容】 唐菓子と柏餅―序にかえて 第一部 懐石誕生 懐石の誕生 近世公家の懐石 千家茶会記にみる懐石 茶書にみる懐石の心得 第二部 懐石以前 大饗料理 本膳料理 精進料理 第三部 料理文化の背景 中世の食文化点描―大工・荘園・都市 日本の食事文化における外来の食 -
英国流 旅の作法 グランド・ツアーから庭園文化まで
18世紀、古典教養を学ぶため、貴族の子弟や家庭教師がこぞってイタリアへと旅した、「グランド・ツアー」。 フランス革命が始まって海外渡航が難しくなると、今度は湖水地方への国内旅行へとシフトチェンジ、 ガイドブック片手に風景観賞(ピクチャレスク美)で美意識を磨く。 はたまた馬車が流行りだせば、「自らの歩き、詩想を深めるべし」と徒歩旅行が大ブームに。結果、ワ-ズワスはじめ、世界的ロマン派詩人を次々生み出した――。 どんな時代もどんな状況でも、「旅で学ぶ」「旅で成長する」という信念を守り続けた英国人。 彼らは、なぜこれほどまでに旅に焦がれ続けたのか。 旅の効用とは、一体何なのか。 その飽くなき情熱と、彼らが愛してやまない理想郷「田園」の精神的意味を 様々な史料、図版とともに考察する。 学術文庫版解説・桑木野幸司「イタリアが造った英国の風景」 本書は『イギリス的風景 教養の旅から感性の旅へ』(NTT出版 2007年刊)を加筆修正、改題したものです。 -
満鉄全史 「国策会社」の全貌
明治40年(1907)、「10万の生霊と20億の戦費」といわれる犠牲を払って獲得した南満洲の地に誕生した一鉄道会社は、「陽に鉄道経営の仮面を装い、陰に百般の施設を実行する」実質的な国家機関として大陸政策を牽引した。しかし必然的に政官軍の縄張り争いと対中・対ソ事情の変化、そして場当たり的な政策の影響が直撃する位置に置かれた組織は、図らずも近代日本を体現する存在として日本の支配政策のお粗末さを象徴する存在として現代に伝えられている。日露戦争から敗戦まで「日本の生命線」の表舞台に立ち続けた組織の足取りを正確にたどり、「国策」という言葉が包含する曖昧さと無責任さを炙り出す。年表、首脳陣人事一覧、会社組織一覧付き。(原本:講談社選書メチエ、2006年刊)プロローグ――「国策会社」満鉄とは何だったのか第一章 国策会社満鉄の誕生第二章 「国策」をめぐる相克第三章 使命の終わりと新たな「国策」終 章 国策会社満鉄と戦後日本エピローグ――現代日本にとっての満鉄関連年表歴代満鉄首脳陣人事一覧南満洲鉄道株式会社組織一覧 -
蕎麦の事典
故・司馬遼太郎が「よき江戸時代人の末裔」と称賛した市井の研究者によって体系化された、「蕎麦」に関する膨大な知見。江戸時代の文芸や大衆文化に登場する蕎麦、全国各地に根付いたさまざまな食し方、植物としてのソバと製粉の過程、蕎麦打ちの用語、そば店の隠語、蕎麦をめぐる史跡・習俗・諺など、あらゆる資料を博捜し、探究した1155項目。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
パスカル対モンテーニュ 死をめぐる思想対決
『エセー』の著者ミシェル・ド・モンテーニュ(1533-92年)と『パンセ』の著者ブレーズ・パスカル(1623-62年)――フランスが生んだ二人の巨人は、一見すると正反対の思想を説いたように見える。 短い生が過ぎ去るのを惜しみ、自然からの恩恵である感覚的な歓びを、今この瞬間に十全に味わい、反芻する、と宣言したモンテーニュ。それに反発して、はかない現世の享楽を斥け、信仰に生涯を捧げることで、来世への「希望」というこの世の最大の幸福が得られる、と力説したパスカル。 この二人は生きる時代をともにすることがなかったため、もちろん直接の交流はない。だが、パスカルは先人モンテーニュを最大の論敵と見定め、その思想を深く理解した上で、それに挑むようにして『パンセ』を執筆していった。事実、パスカルはこんな一文を残している――「モンテーニュのなかに私が見ることのすべてを、私はモンテーニュのなかにではなく、私のなかに見つける」。 このような深い共感を示しつつ、しかしパスカルはモンテーニュの「死についてのまったく異教的な考え」を問題視した。パスカルはそれを徹底的に攻撃し、それとは対極にあるキリスト教が説く死への向き合い方を伝えようと尽力した。パスカルにとって、死をめぐる思想の本質は、1) メメント・モリ(死を想え)、2)「気晴らし」、3) 来世への希望の三点に関連している。本書は、パスカルが作中でモンテーニュに直接言及している箇所を紹介したあと(第一章)、これら三点のそれぞれについて、二人の具体的な文章を通じてわかりやすく説明していく(第二章から第四章)。時代としてはあとになるパスカルの考えを先に見て、次にモンテーニュの思想を見ていく。 「死」という誰にとっても無縁ではいられない重要な主題について考え抜いた二人の知の巨人パスカルとモンテーニュ。あなたはどちらに共感し、どちらに軍配を上げるだろうか? [本書の内容] ブレーズ・パスカルの生涯(1623-62年) ミシェル・ド・モンテーニュの生涯(1533-92年) 第一章 パスカルのモンテーニュへの批判と称賛 1 『エピクテートスとモンテーニュに関するサシ氏との対話』におけるモンテーニュ像 2 『パンセ』におけるモンテーニュ批判 3 パスカルによるモンテーニュへの賛辞 第二章 メメント・モリ 1 パスカル 2 モンテーニュ 第三章 気晴らし 1 パスカル 2 モンテーニュ 第四章 来世への希望 1 パスカル 2 モンテーニュ 第五章 モンテーニュの「無頓着」について 1 自然への随順 2 精神の自律性 3 宗教的熱意の拒絶 結 論 -
慈悲
稀代の仏教学者が追究した仏道の根本概念 その出発点にして到達点 他者へのあたたかな共感がここにある 友愛の念「慈」、哀憐の情「悲」。生きとし生けるものの苦しみを自らのものとする仏の心、そして呻きや苦しみを知る者のみが持つあらゆる人々への共感、慈悲。仏教の根本、あるいは仏そのものとされる最重要概念を精緻に分析、釈迦の思惟を探究し、仏教精神の社会的実践の出発点を提示する。仏教の真髄と現代的意義を鮮やかに描いた、仏教学不朽の書。 慈悲の実践はひとが自他不二の方向に向って行為的に動くことのうちに存する。それは個々の場合に自己をすてて他人を生かすことであるといってもよいであろう。(中略)それは個別的な場合に即して実現さるべきものであるが、しかも時間的・空間的限定を超えた永遠の意義をもって来る。それは宗教に基礎づけられた倫理的実践であるということができるであろう。かかる実践は、けだし容易ならぬものであり、凡夫の望み得べくもないことであるかもしれない。しかしいかにたどたどしくとも、光りを求めて微々たる歩みを進めることは、人生に真のよろこびをもたらすものとなるであろう。――<「結語」より> ※本書の原本は、1956年に平楽寺書店より刊行されました。 -
シャルコー 力動精神医学と神経病学の歴史を遡る
近代神経学の創始者ジャン=マルタン・シャルコー(1825-93年)は、パリ大学で学び、パリ医科大学の病理解剖学の教授を務めたあと、1882年にはサルペトリエール病院の神経病学の教授となった。同病院での膨大な臨床経験を通して神経学を確立したシャルコーの理論は、『火曜講義』と呼ばれる公開講義を通して知られるようになる。ヒステリー患者のパフォーマンスも行われたこの講義の様子は、アンドレ・ブルイエ(1857-1914年)の絵画(1886年)に描かれている。 カタレプシー、嗜眠、夢中遊行という三つの状態をたどる「大ヒステリー=大催眠理論」を打ち出したシャルコーは、精神病理の領域に催眠術を導入したことで知られ、その理論はジークムント・フロイトやピエール・ジャネのほか、ジョセフ・バビンスキー、ピエール・マリーらに影響を与えた。 本書の前半では、金曜日に行われていた『神経病学講義』を基にシャルコーの理論を概観し、さらにその生涯の事績を跡づけていく。その上で、後半では、医学を超えて思想や文学の領域にも見られるシャルコーの残響を見ることで、著者が「シャルコー的問題」と呼ぶものの広がりを示す。 「神経病学のナポレオン」あるいは「科学界の帝王」と呼ばれたこの知の巨人は、『神経病学講義』や『火曜講義』の全訳が存在しないこともあって、日本ではよく知られているとは言いがたい。生誕200年を迎える2025年、すでに定評を得た概説書である本書を、全面的な改訂を施した決定版として、ここに刊行する。 [本書の内容] 第一章 すべてはシャルコーからはじまる 第二章 男性ヒステリーとは?――『神経病学講義』より 第三章 シャルコー神経病学の骨格 第四章 大ヒステリー=大催眠理論の影響――フロイト、ジャネ、トゥーレット 第五章 シャルコーとサルペトリエール学派 第六章 『沙禄可博士 神経病臨床講義』――『火曜講義』日本語版の成立と三浦謹之助 第七章 シャルコーの死とその後 第八章 シャルコーと一九世紀末文化――ゴッホのパリ時代と『ルーゴン・マッカール叢書』 終 章 ヒステリーの身体と図像的記憶 文献一覧 あとがき 学術文庫版あとがき -
日本文学史
文藝作品の内なる表現理念=「雅・俗」の交錯によって時代を区分したところに本書の不滅の独創がある。健康で溌溂とした「俗」を本性とする古代文藝、端正・繊細な「雅」を重んずる中世、また古代とは別種の新奇な「俗」を本質とする近代。加えて著者は、日本文学を「世界」の場に引き出し、比較文学の視点からも全体的理解に努める。長く盛名のみ高く入手困難だった「幻の名著」の待望の復刊。(解説=ドナルド・キーン) -
田沼意次の時代
◇この男は、列島を「ひとつの社会」にしようと企てた◇ 低い家格から前代未聞の大出世を果たした男は、それまで幕藩体制が規定してきた列島の社会のあり方を一新しようと試みた。 税制改革、通貨一元化、蝦夷地の大規模開発……彼が企てた改革は未完に終わったが、その後の歴史展開に確かな足跡を残すものであった。 戦前は「日本史三大悪人」の汚名を着せられた田沼意次の評価を一転させた、記念碑的論考。 【本書より】 田沼意次の時代は、日本の改革と保守とが激闘した、江戸時代では最も面白い時代である。 【本書の内容】 はじめに プロローグ──郡上一揆と田沼意次の登場 第一章 田沼意次の虚像と実像 1 田沼意次の履歴 2 つくられた悪評 第二章 吉宗の退陣と意次の登場 1 吉宗退陣と家重継嗣 2 左近将監の罷免 3 将軍の座を逃した松平定信 4 田沼意次の登場 5 幕府の権力構造と田沼意次の位置 第三章 田沼意次の政策 1 暗殺で阻止しようとした田沼の政策 2 流通税の導入 3 通貨の一元化政策 4 蝦夷地の調査とその開発政策 5 印旛沼の干拓とその挫折 第四章 田沼時代の社会 1 文人たちの時代 2 天災と災害の時代 エピローグ──「遺書」を通してみた意次の人柄 おわりに 解説 -
巣鴨プリズン BC級戦犯者の記録 わがいのち果てる日に【電子特典付き】
1945年にGHQが接収、1958年まで延べ4000人以上の戦犯者が収容された、巣鴨プリズン。東京裁判でA級戦犯とされた25人、絞首刑になった7人よりも圧倒的多数のBC級戦犯たちが、死と隣り合わせに過ごし、死刑宣告を受け、処刑場に向かう場所に一人の教誨師(きょうかいし)が着任した。日本人として唯一処刑に立ち会い、死刑囚との対話し、助命嘆願や戦犯死刑執行停止活動に奔走した「巣鴨の父」が、受刑者の声と生活を克明に綴った、生と死のドキュメント。1953年初版、幻の名著、復刊。 【電子特典有り】 「解説より」 A級戦犯の処刑で一区切りではない。 国家の命令で戦場に立ち、ときに上官の身代わりにまでさせられ、 忘れ去られたBC級戦犯の不条理な人生。 私たちは、どれほど思いやることができたのか。 戦後80年。真の「検証」を実現するために 本書は第一級かつ、最重要史料であると、私は信じている。――山折哲雄(宗教学者・評論家) 目次 序 巣鴨の教誨師となるまで 「死の喜び」よりも「生の喜び」を 処刑の立ち会い 刑場への道 拘引記――28時間の記録 罪業感と戦争観 最後の晩餐 死刑囚の面会 死刑囚と仏教 追補 図表・地図 学術文庫版解説 山折哲雄 【電子書籍版収録】 遺言集――戦犯者18人が綴った日記と、辞世のことば 「死の近きを観念した人生は、一般の人生とは何が違うのか。それは希望が皆無ということです」 死ぬ意義、後悔、死への恐怖,…巣鴨プリズンのほか香港、インドネシア、シンガポールなどで絞殺・銃殺された18人は、死を目前に何を思ったのか。極限の心情を綴った稀少な文書160ページを、電子版には特別収録。 1953年7月31日 大日本雄弁会講談社より初版刊行。2011年7月、講談社エディトリアルより改装刊行。 -
明治キワモノ歌舞伎 五代目尾上菊五郎の時代
明治時代を代表する歌舞伎俳優にして、九代目市川團十郎とともに「團菊」と称された五代目菊五郎。『弁天小僧』『髪結新三』『忠臣蔵』『千本桜』『茨木』『土蜘』『戻橋』――数々の名演を残すも、実は彼の本当の魅力は、実際の事件や流行の風俗をいち早く仕組んでつくり、明治の観客を熱狂させた、キワモノ歌舞伎にあった――! 正統派歌舞伎から離れたがゆえに、論評の少ない、明治キワモノ歌舞伎と名優・五代目菊五郎の、濃厚な評伝を圧倒的な資料と共に記述。「読んで楽しい研究書という離れ業を演じて見事と言える」と、演劇評論家の大笹吉雄が絶賛した、2009年サントリー学芸賞受賞作の文庫化。 本書は『明治キワモノ歌舞伎 空飛ぶ五代目菊五郎』(2009年刊 白水社)を改題したものですひと言ひと言 目次 はじめに―― 人悦ばせの菊五郎 第一章 散切り頭と神経病 どれが女か男やら『富士額男女繁山(ふじびたいつくばのしげやま)』 幽霊より人が怖い『木間星箱根鹿笛(このまのほしはこねのしかぶえ)』 第二章 明治の闇には悪女がいる 高橋お伝は妖怪か『綴合於伝仮名書(とじあわせおでんのかなぶみ)』 居場所のない女『月梅薫朧夜(つきとうめかおるおぼろよ)』 第三章 見世物は世界をひらく サーカスがやってきた! 『鳴響茶利音曲馬(なりひびくちゃりねのきょくば)』 見上げる人たち『風船乗評判高閣(ふうせんのりうわさのたかどの)』 第四章 軍服を着た菊五郎 風呂屋の亭主と上野の宮様『皐月晴上野朝風(さつきばれうえののあさかぜ)』 日清戦争で負けたのは誰だったか『海陸連勝日章旗(かいりくれんしょうあさひのみはた)』 結び――たんすのひきだし 参考文献 あとがき 学術文庫版あとがき -
神々の構造 印欧語族三区分イデオロギー
人類はいかにして「神」を創り、「世界」を描いたのか? 比較神話学・言語学の巨星、時に構造主義やレヴィ=ストロースの先駆ともされるジョルジュ・デュメジルが、自身の「三区分イデオロギー」――印欧語族(インド・イラン人、古代イタリア人、ゲルマン人……)は世界を「聖性/戦闘性/豊饒性」の三要素からなるものとしてとらえ、かつそれぞれの機能に対応する神々を奉じていた――のエッセンスをまとめた、コンパクトかつダイナミックな神話学入門! 神話に現れる「秘密の「3」」とは? [目次] 序文 第一章 社会的・宇宙的な三機能 第二章 三区分神学 第三章 神学、神話、叙事詩における種々の機能 研究史と文献案内 注 訳者解説 ジョルジュ・デュメジルと印欧語族研究 訳者文献案内 (*本書の原本は1987年に国文社より刊行されたものです。) -
魏武注孫子
■英雄たちが読み継いできた『孫子』は、曹操が定めたものだった!■ □1800年受け継がれた”スタンダード”□ 「三国志」の激戦を戦い抜いた「魏武」曹操が、自らの軍事思想を込めて全篇にわたって付した注とともに校勘したその全文が、いまここに明らかに! 読みやすい現代語訳に、懇切な語釈を付した全訳注。 曹操が実践の応用に足るように定本をつくったからこそ『孫子』は現代まで兵法の根本として重んじられてきたことが、よくわかる! さらに、曹操や諸葛亮ら英傑たちが、戦場において孫子の説く兵法をいかに具体化させたかを分析する「実戦事例」も掲載。 『孫子』の真髄がより具体的にわかるようになり、さらには「三国志」の世界もより深く理解することができる画期的全訳。 *本書は講談社学術文庫のための訳し下ろしです。 【本書より】 曹操は、『孫子』の本文が持つ意味を深め、自身の解釈に合うような校勘をしながら、そこに自己の軍事思想を込めたのである。『孫子』は、これ以降、曹操が定めた本文を基本とした。……曹操の存在無くして、現行の『孫子』を考えることはできない(本書「解題」) 【本書の内容】 始計篇 第一 【実戦事例一 白馬の戦い1】 【実戦事例二 烏桓遠征】 作戦篇 第二 【実戦事例三 官渡の戦い1】 謀攻篇 第三 【実戦事例四 赤壁の戦い1】 【実戦事例五 下ヒの戦い】 軍形篇 第四 【実戦事例六 官渡の戦い2】 兵勢篇 第五 【実戦事例七 白馬の戦い2】 【実戦事例八 合肥の戦い】 【実戦事例九 呉の平定】 虚実篇 第六 【実戦事例十 蜀漢滅亡】 軍争篇 第七 【実戦事例十一 諸葛亮の外交】 【実戦事例十二 夷陵の戦い】 【実戦事例十三 博望坡の戦い】 【実戦事例十四 穣城の戦い・ギョウ城の戦い】 九変篇 第八 【実戦事例十五 五丈原の戦い】 行軍篇 第九 【実戦事例十六 諸葛亮の信】 地形篇 第十 【実戦事例十七 泣いて馬謖を斬る】 九地篇 第十一 【実戦事例十八 第一次北伐】 火攻篇 第十二 【実戦事例十九 赤壁の戦い2】 用間篇 第十三 【実戦事例二十 孟達を誘う】 原文 解題 曹操の生涯 年表 -
我と汝
「まことに、〈われ〉は、〈なんじ〉と出会うことによってはじめて、真の〈われ〉になるのである。わたしが〈われ〉となるにしたがって、わたしは相手を〈なんじ〉と呼びかけることができるようになるのである」。 「すべての真実なる生とは、まさに出会いである」。 オーストリア生まれのユダヤ人哲学者マルティン・ブーバー(1878-1965年)は、ウィーン大学で哲学や美術史を学んだのち、神秘主義的なユダヤ教の一派であるハシディズムに傾倒しつつ、ユダヤ人のパレスチナ復帰を目指すシオニズム運動に参加する。1916年にはドイツ語圏ユダヤ人の指導的機関誌となる『ユダヤ人』を創刊してその編集にあたり、またフランツ・ローゼンツヴァイク(1886-1929年)とともにヘブライ語聖書(旧約聖書)のドイツ語訳を行う。その後フランクフルト大学で教鞭をとるも、1938年にドイツを脱してイスラエルに移住。以後はヘブライ大学に勤め、エルサレムで人生を終えている。 第一次世界大戦に志願兵として参加し、塹壕のなかで着想を得て執筆されたローゼンツヴァイクの『救済の星』(1921年)の刊行後ほどなく、本書は敗戦の爪痕も未だ深いドイツで1923年に刊行された。 ブーバーの主著でもあるこの本は、「ひとは世界にたいして二つのことなった態度をとる。それにもとづいて世界は二つとなる」という一文で始まる。二つの世界のうち、一つは〈われ〉‐〈なんじ〉の世界であり、もう一つが〈われ〉‐〈それ〉の世界である。世界は、単に人間の経験の対象となるときには〈われ〉‐〈それ〉という根源語に属し、これに反して関係の世界は、もうひとつの根源語、〈われ〉‐〈なんじ〉によって作り出されるという。 「対話の思想家」と称されるブーバーは、さらに「はじめに関係あり」と語る。「私」ではなく「あなた」でもなく、〈われ〉と〈なんじ〉、そして〈われ〉と〈それ〉の出会いから始まる世界とは、どのようなものなのか。そしてそれは私たちの生に何をもたらし、どのように変えていくのか。ユダヤ思想のエッセンスに満ちた普遍的名著が、いま〈あなた〉に語りかける! (原本:『孤独と愛――我と汝の問題』創文社、一九五八年) 【目 次】 第一篇 根源語 第二篇 人間の世界 第三篇 永遠の〈なんじ〉 資料 あとがき〔一九六二年〕(佐藤貴史訳) 訳者解説 学術文庫版解説(佐藤貴史) -
日本の地名 付・日本地名小辞典
地名には歴史的・文化的に貴重な価値が含まれています。日本の地名はバリエーションも多く、その起源についてもさまざまなものがあります。 地名の成り立ちや命名の仕方について研究する地名学は、柳田國男も取り組んでいた。もともとは地理学との関係が深いが、歴史学、民俗学、言語学などのアプローチが必要でもある。 いくつか具体的にみてみましょう。 大和語(ツル=水流=津留など)・アイヌ語(ホロ=大=美幌など)・朝鮮語(フル=火・村=布留など)・マライ語(アゴ=真珠の首飾り=英虞など)などを起源とするケース、もともとの地名が方言によって違っているケース(タロウ=太郎・田老=巨大または小平地など)、時代の流行によっているケース(開墾が盛んだった時代は、「田代」「新開」「新田」など)がなどです。 また、地名は発生した後に、その伝播のしかたにも特徴があります。もともとの地名が伝わっていくときに、扇状に伝わるということがあります(親不知付近では混在している「しとる」「してる」が、南では扇状にその範囲が広がる)。また、「空洞」と呼ばれる「地名のない部分」が発生したりします(たとえば中国・四国地方では、山の呼び名に「岳」を使用しないことが多い)。 地名を研究することで、隠された歴史の痕跡を読み取ることが可能なのです。 「文化化石」としての地名を研究する学問として、「地名学」を提唱した著者が、その集大成として刊行されたのが、本書です。 また、本書巻末には約1000項目の「日本地名小辞典」が付いております。 身近な地名の謎に迫るためにも好著ですし、歴史学・民俗学の補助としても役に立つ一冊です。 【原本】 『日本の地名 付・日本地名小辞典』(角川新書 1964年刊) 【目次】 はじめに 第一章 地名学とはどんな学問か 第二章 どうして研究したらよいか 第三章 むずしい地名の意味をどうして解くか 1 富士山のフジの意味 2 「名古屋」の意味 3 「船越」の意味 第四章 地名にはどんなタイプがあるか 1 語根型 2 民族型 3 時代型 第五章 地名はどんな形で分布するか 1 波紋形の分布 2 相似関係の分布 3 現状に境界線が集まる現象 4 「空洞」といわれる「地名のない部分」の現象 5 伝播する地名 6 双子地名 第六章 地名の発生年代は決められるか 第七章 地名の正しい書き方 第八章 郷土の地名の調べ方 第九章 地名研究の参考書 おわりに 付録 日本地名小辞典 -
ルネサンスの文学 遍歴とパノラマ
遍歴の精神と鋭い自意識 多彩で豊穣な作品群 大航海時代、文学の世界でも、中世という枠を乗り越え、多くの人々が未知への探究心を抱き新しい旅へと出た。果敢な挑戦心、リアルな人間認識、横溢する創造力。個性が溢れ、新時代の息吹が躍動する多彩な作品群。『ドン・キホーテ』『阿呆船』『ガルガンチュア物語』や『ユートピア』『君主論』『エセー』等の作品を通して、ルネサンスという時代の特徴とその精神を解析する。 ルネサンスの文学は枠の緩んだ、あるいははずれたところから始まる。中世の文学が神への絶対の信仰と地上の君主への忠誠という厳しい枠のなかに置かれていたのにたいして、人間の欲望の解放とともに動き出す。チェリーニの『自伝』のなかの言葉「私は自由にうまれついていたのだから自由に生きるつもりである」こそが、ルネサンスの文学を流れる精神となる。――<本書「まえがき」より> -
日本の禍機
世界に孤立して国運を誤るなかれ──日露戦争後の祖国日本の動きを憂え、遠くアメリカからエール大学教授・朝河貫一が訴えかける。歴史学者としての明解な分析に立って、祖国への熱い思いが格調高く述べられ、読む者の心に迫る。彼の忠告も空しく、軍国主義への道をつき進んだ日本は、戦争、敗戦へと不幸な歴史を辿った。日米の迫間(はざま)で、日本への批判と進言を続けた朝河。彼の予見の確かさと祖国愛には、今もなお学ぶべきものが多い。 目次 ●前篇 日本に関する世情の変遷 日本に対する世評の変化 満州における日本に対する世の疑惑の由来 反動説──感情的反対者──利害的反対者 東洋における世界の要求 一八九九年以前 一八九九年以後 日露戦争以後 ●後篇 日本国運の危機 ・第1章 戦後の日本国民多数の態度に危険の分子あることを論ず 国権説は機に後れたり 国勢は劇変して国民の態度はこれに副わず 国民の危険なる態度、国運の危機 ・第2章 日本と米国との関係に危険の分子少なからざることを論ず 米国人の日本に関する感情の変遷 日本人の米国に関する思想の浅薄 日、清、米の重大なる関係 米国と新外交、清国の信頼 米国人民の東洋に関する輿論 米国為政者の東洋に関する思想 ローズヴェルト氏、タフト氏 結論 日本国民の愛国心 -
古代ローマの饗宴
キャベツ礼賛者カトー、最高の饗宴を催した解放奴隷トリマルキオ、「真似のできない暮し」をしたクレオパトラ、葡萄酒を愛した詩人ホラティウス、消化不良のキケロ……。養殖の海魚、肥えたヤマネ、乳育のカタツムリなど贅を極めた晩餐から、農夫の質実剛健な食卓まで、二千年前、大繁栄を謳歌した帝国の食文化とは。当時の食材やレシピも多数併録。 永遠なる美食の大帝国で、人々は何をどう食べ、飲んでいたのか? 監察官カトー、武将アントニウス、詩人ホラティウス、『料理書』のアピキウス、解放奴隷、農夫……。当時のレシピも併録 キャベツ礼賛者カトー、最高の饗宴を催した解放奴隷トリマルキオ、「真似のできない暮し」をしたクレオパトラ、葡萄酒を愛した詩人ホラティウス、消化不良のキケロ……。養殖の海魚、肥えたヤマネ、乳育のカタツムリなど贅を極めた晩餐から、農夫の質実剛健な食卓まで、二千年前、大繁栄を謳歌した帝国の食文化とは。当時の食材やレシピも多数併録。 私はなにを語るのでしょう? むろんそれは古代ローマの社会生活や習慣であり、ローマ人の時間の過ごし方や、楽しみ方といったものです。友達と会うこと、愛する人と睦まじく食事をすること、好物の料理を味わうこと。結局のところ、今日私たちがやっていることとそんなに違いはありません。宴会でなにがどのようにふるまわれたかも調査ずみです。また巻末では、いくつか古代ローマのレシピを紹介します。皆様方のお国には、おいしい魚と肉、ハチミツ、それに、ローマ人が好んで用いた品々がたくさんある。だから再現はきっと可能なはずです。――<「学術文庫版によせて」より抜粋> ※本書は1991年、平凡社より刊行された『古代ローマの饗宴』を元に改変をほどこしました。 -
漢方医学 「同病異治」の哲学
江戸時代に吉益東洞(一七〇二-一七七三)が礎をつくり、華岡青洲(一七六〇-一八三五)が西洋医学と融合させ、独自の進化を遂げた日本漢方医学。同じ病でも人次第で治療が変わる「同病異治」の哲学とは何か? 高齢化社会で多病を抱える患者への対応、200種を超える生薬を組み合わせ、がん治療の補助療法としての期待も高まる今、病との付き合い方を変える、東洋思想医学の可能性を考察する。漢方では関節リウマチであっても一人一人、また昨日と今日ではその性質が違うと考える。こうした極めて東洋的な考え方は、これからの医療を考える上で重要であろう。西洋の文化が直線的で四角定規であるのに対し東洋の文化は曲線であり、円である。わが国が担うべきは、単に薬という物質的なものだけでなく、文化的・精神的な考え方もひっくるめた、真の東西医学の融合ではないだろうか――「まえがき」より(本書は2013年、講談社選書メチエより『漢方医学』の題名で刊行されました。) -
トクヴィル 平等と不平等の理論家
ポピュリズム、ポストトゥルース、グローバリズムに直面する今こそ読む――"アメリカのデモクラシー"その根源への探究デモクラシーこそは歴史の未来である――誕生間もないアメリカ社会に トクヴィルが見いだしたものは何か。歴史的名著『アメリカのデモクラシー』では何が論じられたのか。「平等化」をキーワードにその思想の今日性を浮き彫りにする、鮮烈な思考。あらゆる権威が後退し混沌の縁に生きる私たちは、いまこそトクヴィルに出会い直さなければならない!いま日本の思想界をリードする著者が、第29回(2007年) サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受賞し、現在に至る地位を築いた好著の文庫化。文庫化にあたり、現在の政治・思想状況をふまえた「補章」を増補。トクヴィルの「今日的意義」は増すばかりである。ある意味で、「トクヴィル的」とでも呼ぶべき状況がますます強まっている―(「補章」より)【本書の主な内容】第一章 青年トクヴィル、アメリカに旅立つ第二章 平等と不平等の理論第三章 トクヴィルの見たアメリカ第四章 「デモクラシー」の自己変革能結び トクヴィルの今日的意義補章 二十一世紀においてトクヴィルを読むために -
禅語の茶掛を読む辞典
禅の世界観・人間観を短い言葉に表した「禅語」。それを一行の書で表現し、掛軸として茶席をつくりあげる「茶掛」。言葉と書、それぞれに深淵なる表現を味わうための手引が一冊に。禅語の意味とともに、つづけ字の読み方、表現の仕組み、見どころ等について、わかりやすくコンパクトに解説する。「茶禅一味」=茶と禅はひとつ。計り知れぬ世界への絶好の入口。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
現代思想の遭難者たち
シリーズ『現代思想の冒険者たち』(全31巻)の月報に連載された好評4コマに、大幅に増補して刊行、ベストセラーとなった傑作が、ついに文庫化。マルクス、ニーチェから、フーコー、デリダ、エーコ、ハンナ・アレントまで、34人の思想家を笑い飛ばす! 思想のエッセンスを直観的に汲み取り、笑いに変えてしまう「いしいワールド」のエネルギーに、哲学者たちも毀誉褒貶。これは現代思想の「脱構築」か?哲学に対する冒涜か?※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
日本の神々
イザナギ、イザナミ、アマテラス、そしてスサノヲ。一地方の霊格として独自の性格や尊崇を有していた神々は、どのようにして日本神話を代表する神格を獲得していったのか。歴史学と民族学・比較神話学という二つの潮流をふまえ、素朴な「原像」が宮廷神話へと発展していった過程を追い、信仰や祭祀の形成との関係を通して古代国家成立の実像に迫った日本神話学、不朽の一冊。 -
日本文化の形成
日本列島を徹底踏査した民俗学の巨人が、『古事記』『日本書紀』『万葉集』『風土記』などの古代文献を読み返し、それらと格闘の末、生まれた日本文化論。稲作を伝えた人びと、倭人の源流、畑作の起源と発展、海洋民と床住居など、東アジア全体を視野に入れた興味深い持論を展開する。長年にわたって各地の民俗を調査した著者ならではの着想を含む遺稿。(講談社学術文庫) -
日本の中の朝鮮文化 相模・武蔵・上野・房総ほか
朝鮮半島からの渡来人を抜きに日本の古代は語れない。全国に分布する彼らの高い文化水準を伝える遺跡に注目した著者は、20年余にわたる踏査の旅へ出発した。次々と掘り起こされる、忘れられあるいは隠された真実。そこから考察された両国・両民族の歴史的関係は我々を呪縛する〈帰化人〉史観の訂正を迫る。壮大な紀行の第一歩となった本巻は、関東編を収録する。(講談社学術文庫) ※この電子書籍の底本である、講談社学術文庫の原本は、1983年4月に講談社より講談社文庫として刊行されました。『日本の中の朝鮮文化 相模・武蔵・上野・房総ほか』は、講談社学術文庫を底本とし電子化した電子書籍のほかに、講談社文庫を底本とし電子化した電子書籍『日本の中の朝鮮文化(1)』も配信中です。内容は同一のものとなります。あらかじめご了承ください。 -
花祭
修験者たちによって天龍川水系に伝えられ、中世に始まるとされる民俗芸能「花祭」。湯を沸かし神々に献じ、すべてを祓い清める冬の神事に、人々は夜を徹して舞い続け、神と人と鬼とが一体となる。信仰・芸能・生活・自然に根ざした祈りを今に伝える奥三河地方の神事を昭和初頭、精緻に調査し、柳田や折口にも影響を与えた、日本民俗学の古典的名著。(講談社学術文庫) -
全線開通版 線路のない時刻表
まもなく完成というところまできて、国鉄末期に建設が中止された、幻のローカル新線。開通を待ち望んでいた著者が、計画上の沿線をたどり、風景を見、路盤に立ち、関係者へのインタビューを行ったルポタージュに、架空の時刻表を添えた「線路のない時刻表」。取り上げた各線の工事再開は困難に思われたが、その後、第三セクター方式により7線すべてが開業。本書は開業までの経緯と新線の乗車記を加えて刊行された「全線開通版」。(講談社学術文庫) -
近世日本国民史 安政の大獄 後篇
島津齊彬逝きて以来、天下の大名、起って敢然井伊と抗衡せんとする者一人だになく、安政六年井伊の位置は天下無敵を驕り、その探偵政治による志士狩りは燎原の火となりて広がるも、諸藩みな拱手して形態を観望、自藩より犠牲者を出すに至る。即ち、藩では西郷隆盛を遠島に、長では吉田松陰を江戸に護送、越は藩の長城たる橋本左内を幕史の犠牲に供す。かくて草莽崛起を説く松陰の処刑をもって惨刑酷法を極めたるは粛清は終焉を告ぐ。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
近世日本国民史 安政の大獄 中篇
安政五年九月中頃、老中間部詮勝入洛参内に及び、攘夷鎖国の方針に対し、「只今争端を開き候ては容易ならざるの御一大事」との諸大名の建議を逆手に執り、条約調印の止むを得ざる事情を「御氷解」し、「鎖国の良法」引戻しを俟つとの事実上の勅許を得るや、俄然、井伊直弼武断強行策を命ず。間部らは飢狼の群羊に闖入するが如く、正義派に対し讒講誣曲の言説を逞しうし公卿衆を威嚇、辞官、落飾を迫り、維新史空前の大獄へ突入した。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
近世日本国民史 松平定信時代
時艱にして偉人を憶う。田沼時代の悪政改革の気運が、松平定信を推薦し、老中主座に就かしめ、彼を刺戟し、旧来の陋習を一新せしめた。が、彼は眇乎たる時代の一偶像にあらず。ひとたび相位に坐るや、かかる時勢を促進し、壊廃せんとする幕政を緊粛し、世にいう「寛政改革」を断行。次いで異学禁制を発し国内の思想統一を図る一方、尊号問題において、朝幕勢力の権衡を賭け、崩壊寸前の幕威を維持し、徳川政権中興の業を達成した。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
おみやげと鉄道 「名物」が語る日本近代史
◇各地に無数に存在する「おみやげ」は、外国にも近代以前にも存在しない、独特の文化だった!◇ 日本各地の駅には、饅頭や羊羹などや弁当などの食品が、その土地の名物として売られている。 私たちにとって当たり前のこの光景は、実は他の国ではほとんど見られない(ロンドンのターミナルで「ビッグベン当」などの類は見あたらない)。 この類い稀なる「おみやげ」という存在は、鉄道を筆頭とする「近代の装置」が、日本の歴史、文化と相互作用して生まれたものだった! 「きびだんご」が岡山名物になったのは、日清戦争と鉄道敷設の歴史的事情が背景にあった。 静岡駅の安倍川餅は餅ではなく「求肥」なのも、赤福が伊勢名物として有名になったのも、なぜか北海道にバナナ饅頭があるのも、鉄道という「近代の装置」抜きにしては語れない。 交通網の発展と各地の歴史が結びついて「名物」を生み出してきたさまを、膨大な史料を徹底的に読み込んで、鮮やかに描き出す、唯一無二の研究の集大成! 鉄道を独特の角度から捉えながら日本近代史の探求を続けてきた著者の代表作。 【本書の内容】 序章 おみやげの起源とおみやげ文化 日本の特異なおみやげ文化/日本独特の「名物駅弁」/「おみやげ」と“スーベニア”/「名物」と「みやげ」 など 第1章 鉄道と近代おみやげの登場 清河八郎の「おみやげ配送」/日清戦争と鉄道輸送/五色豆と政岡豆/「異人くさい」鳩サブレーが名物となるまで など 第2章 近代伊勢参宮と赤福 明治天皇に届けられた赤福/赤福を凌駕していた生姜糖/近鉄電車と構内販売 など 第3章 博覧会と名物 博覧会・共進会・商品陳列所/江の島貝細工の盛衰/鉄道院の名物評価/全国菓子大博覧会/大垣の柿羊羹 など 第4章 帝国日本の拡大と名物の展開 「軍都」に生まれる「軍人土産」/創出の物語―もみじ饅頭と伊藤博文伝説/新領土台湾とおみやげ など 第5章 温泉観光とおみやげ 温泉饅頭の誕生/道後煎餅と温泉煎餅/熱海の干物―由緒づけなき名物/有馬温泉から別府への技術移入 など 第6章 現代社会の変容とおみやげ 変化の中で生き残ったおぎのやの釜飯/ひよ子創業伝説/長く不在だった東京みやげの代表 など 終章 近代の国民経験とおみやげ 注 あとがき 名物索引 *本書の原本は2013年に講談社より刊行されました -
英雄伝
本書の著者コルネリウス・ネポス(前100頃-前25年頃)について、その詳細はほとんど知られていない。北イタリアのティキヌム(現在のパヴィア)周辺に生まれたと考えられ、ローマが内乱状態に突入する中で、キケロ(前106-前43年)と手紙のやり取りをし、アッティクス(前110-前32年)と深交を結んだほか、詩人カトゥッルス(前84頃-前54年頃)はみずからの詩集『カルミナ』をネポスに献呈している。生涯の大部分をローマで過ごしたが、政治には参加せず、もっぱら文筆業に勤しんだことが推測できるにすぎない。 他の著作家たちによる言及から、ネポスがものした著作には、世界史の概略を語った『年代記(Chronica)』、古来伝わる著名人の言行や逸話を集めた『範例集(Exempla)』のほか、『カト伝』、『キケロ伝』などがあったことが知られるが、これらはすべて失われ、今日残っているのは、さまざまな分野で活躍した偉人たちの生涯を集成した『著名な人物について(De uiris illustribus)』(前35/34年)と呼ばれる著作の一部のみである。それが『英雄伝』の名で親しまれている本書にほかならない。 本書におけるネポスの記述は、取り上げられる英雄たちをもっぱら賞賛する点に加え、彼らの性格を照らし出すエピソードを紹介しつつ、そこから倫理的教訓を導き出す点に特徴がある。これは歴史書というより伝記文学の系譜に属するものであり、対象を賞賛する姿勢と矛盾しない形で、あるいはその賞賛をより引き立たせる効果を狙って主人公の短所や悲運に言及することで、いつの世にも変わらぬ人間精神の愚鈍さ、例えば名誉心や権力欲といったものの実相に読者の目を向けさせる効果をもつ。英雄たちがたどった波瀾万丈な人生をたどる楽しみにとどまらず、古典としての教えに満ちた作品を初の文庫版でお届けするものである。 [本書の内容] 序 文 一 ミルティアデス 二 テミストクレス 三 アリステイデス 四 パウサニアス 五 キモン 六 リュサンドロス 七 アルキビアデス 八 トラシュブロス 九 コノン 一〇 ディオン 一一 イピクラテス 一二 カブリアス 一三 ティモテオス 一四 ダタメス 一五 エパメイノンダス 一六 ペロピダス 一七 アゲシラオス 一八 エウメネス 一九 ポキオン 二〇 ティモレオン 二一 諸王について 二二 ハミルカル 二三 ハンニバル 二四 カ ト 二五 アッティクス 断 片 訳者解説 固有名索引
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