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Posted by ブクログ
本書は小論8編が収録されたもので、まず「日本人とは何か」という短い小論(1958年)からはじまります。断片的な理解になりますが、著者が主張せんとしていることは、(多くの)日本人は超越的・普遍的な価値観ではなく、経験的・実践的な感覚に大きく依存することです。そして仏教、キリスト教、さらに古代ギリシャから西欧近代の思想・哲学など普遍的な思想は外来種として日本に来ますが、これらは日本人に根付いたとは考えられない(もちろん一部の例外はあるものの)、という主張です。しかし、本居宣長のような国学こそが日本だ、という主張も間違っていることになります。外来思想が混じってこその日本文化であるからです。
本書ではこの視点を様々な切り口から論じますが、特に興味深かったのは日本の「知識人」(特に戦時下の)を通じてこれを分析している点でした。日本の知識人と言いますと、基本的には西欧からの思想を取り込んでそれを日本国内で喧伝している人々ですが、加藤氏に言わせれば、大半の知識人は普遍的な外来思想を血肉として自分に宿してはおらず、それらの「思想」は戦争時には吹き飛んでしまう。そして自分が日々体験している現実が圧倒的に勝ってしまうのです。つまり日本人は自分たちの経験を通じて血肉とした思想がない、それこそが日本人であるということで、ではその先にどんな可能性があるのか、まで議論してもらえるとうれしかったのですが、そこまではあまり踏み込んでいませんでした。本書のどこかに「精神面での開国」が起こるだろうというような記述がありましたが具体的には?というところです。
Posted by ブクログ
戦前、戦中、戦後と生き、また国内外で教育を受け、生活をしてきた著者の考察であり参考にすべきことを多々見い出すことができる。
1976年出版なので幾つかの考察は時代にマッチしていない感もあるが、その中でも普遍的な事柄に気づきがある。
類まれなる歴史を持ちながらも文化国家としては一流になれない。日本人として何を欲するのか明白ではない、という著者の問題意識は今も変わらないのだろう。
以下引用~
・他国民と比較してみるときに、日本人の特徴は、花鳥風月に事をよせてはその感覚的世界、殊に造型的な面が、鋭敏で洗礼されたものであった。
・芸術は進歩ではなくて、変化、変化を可能にする持続である。
「断絶」という考え方は、思想・文学・芸術の創造的営みにとっては、全く致命的であり、生み出すに値するものを生みだすためには、どうしても文化の持続の観念が必要である。
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