大河ドラマ『青天を衝け』に触発されて手に取った本。
有名な岩波版ではなく、最近発行された講談社学術文庫版。岩波版を読んだことがないが、本書は訳者解説がまず素晴らしい。内容の詳述は避けるが、もし講談社版を読むのであれば、まずは訳者解説から読むことをお勧めする。それにより、サトウの著述からくみ取れる内
...続きを読む容がより深みを持ったものとなると思われる(私はクセでどの本でもまず「まえがき」と「あとがき」を先に読むのだが、それが今回は功を奏した)。
この本は、もちろん歴史的な価値もあるのだが、単純に「160年前の我々の祖先がどう考えていたのか」ということを理解するために有効であるし、また、若き外交官の青春譚(尤も、同時代に書かれたものではなく、後年の回想ではあるが)としても読みごたえがある。
日本の政府による日本のキリスト教徒への処遇に対する考えを除けば、サトウ氏は特定のイデオロギーから日本を切り取ることはあまり見受けられず、その意味でも心穏やかに読書を楽しむことが出来た。