中公文庫作品一覧
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-「チチと亭主、この二人の男に出会って、私は料理そのものだけでなく、『食べる』ということから生まれてくるいろいろな楽しみを知りました。それがあったからこそ、料理と仲良くつき合えてきたのであって、じゃなきゃ今ごろは、私フトンにもぐり込んで、袋から取り出した菓子パンをかじりながら本でも読んでいるという暮らしをしていたに違いありません」(本文より) 檀一雄の『檀流クッキング』は、読むレシピ、男の手料理のバイブルとして、長く読み継がれてきた。若くして、檀一雄の長男と結婚し、義父から料理の面白さ、楽しさを学んだ著者による、『檀流クッキング』の舞台裏、そして檀流クッキングスクールの卒業レポート。
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5.0死んだほうがいい人って、こんなにいるんだよ。 15年を経て漆黒の闇から這い出る赤い悪魔……。 高校1年生の少女の行く先々で起こる不審死と殺人事件!! 新堂冬樹の真骨頂! 長編ハード・サスペンス 15歳の女子高生・本庄沙耶の父は自己中心で小狡く、母はまるで父の奴隷だ。その両親が突然家に侵入してきた男に刃物で惨殺された。さらに、一人になった沙耶が身を寄せた親戚――10年前に幼い弟を不注意で溺死させた祖父母、沙耶をレイプしようとした従兄、それを見て見ぬふりする叔父も次々と死亡する。ネット上では沙耶を励ますスレッドも立つが次第に「疫病神」「死神」と揶揄する声も囁かれる。不可解な死の連鎖の中心に身を置く沙耶。果たして彼女は〈悲劇の天使〉か〈美しき死神〉か? それとも……。わたしは、この体に流れる血を赦さない。
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4.0時には〈日常〉を脱して、魂の目くらむ昂揚を経験することも、人生を豊かにする大切な方法なのだ(本文より)。一九五七年の留学以降、第二の生活拠点となったパリ、創作への啓示を受けたアテネ、作品の舞台となったフィレンツェ、アルジェ……生涯を通じ旅を愛した作家の多幸感あふれるエッセイ集。 目次より I 地中海幻想の旅から 中部イタリアの旅 フィレンツェ散策 私の古典美術館 アッシリアの眼 ポンペイ幻想 廃墟の教えるもの 地中海幻想 力ルタゴの白い石 友をもつこと II フランスの旅から ヨーロッパの汽車旅 恋のかたみ モンマルトル住い 海辺の墓地から 早春のパリ 昔のパリいまのパリ 変ったパリ変らぬパリ フランスの知恵 パリの雀のことなど 回想のシャルトル 近い旅遠い旅 パリ――夢と現実 風塵の街から 回想のなかのゴシック III 北の旅 南の旅から ロシアの旅から一 ロシアの旅から二 森の中の思索から 北の海辺の旅 南イングランドから ハドリアヌスの城壁を訪ねて 大いなる聖樹の下 インド変容 旅立ちの前に 南の遙かな青い海 中国の旅から
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4.0第一章 わび茶の創造 特異なる文化 孤独な茶の湯 日本文化の特殊性 日本と朝鮮 千利休の位置 にじり口と廻しのみ にじり口の誕生 廻しのみ 第二章 中世からの離脱 茶会の構造 『喫茶往来』 切りすてられた後段 茶会の空間 市中の山居 露地のふるまい 籠る なぜ点前か 点前か手前か 亭主と客の空間 茶立人から亭主へ 第三章 茶人のふるまい あぐらから正坐へ 混みあう茶会 片膝とかしこまる あるきかたの源流 あるく文化 練りあるく 地に足がつく 茶人のすがた 客の心得 新シキガヨシ 茶名と十徳 仮りの名前 十徳とは何か 第四章 茶会の趣向 趣向の成立 ハプニング 淋間茶湯 『祭礼草紙』の問題 風呂のあがりや 風流・やつし・見立て 風流 やつしの美 利休の趣向 付合と見立て 季節感の登場 時候のあいさつ 茶会のなかの季節 ばせを忌に薄茶手向くる寒さ哉 第五章 わび茶の周辺 茶筅の歴史 茶筅のおいたち 王服茶筌由来記 茶筅の民俗性 茶屋の歴史 煎じ物売り 檜垣茶屋 利休亡魂 史料による茶の歴史
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【中公文庫創刊50周年のご挨拶】 中公文庫は、1973年6月、「中央公論社が満を持して発刊する新時代の本格的文庫」としてスタートしました。以来、7000点超の作品を世に送り、2023年、おかげさまで創刊50周年を迎えました。 これを記念して、弊社内で全社員アンケート「わたしの中公文庫No.1」を実施し、回答の中からおすすめの作品をここにご紹介いたします。この小冊子が中公文庫との新たな出会いの場になれば幸いです。
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-日中双方のふところの中で育ち、自ら現地を視察し事業展開する著者が、繁栄に向けて離陸した中国の知られざる素顔と、両国人の気質の差異を実務・文化の両面からわかりやすく解説する。アジアの時代をむかえた今、巨大な隣国とどうつきあうか……。
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-(一)神話から楚辞へ 中国文学の原点である『詩経』と『楚辞』の成立、発想、表現を、『記紀万葉』と対比し考察する。古代共同体的な生活が破壊され封建制が根付いたとき、人々はそれぞれの運命におそれを抱き、そこに古代歌謡が生まれた。斬新で美しい論の展開、すべてを網羅した知識、知的興奮が味わえる白川静の世界。 (二)史記から陶淵明へ 古い国家の羈絆から解き放たれ、自らの運命に生きはじめた孤独な生活者たち。彼ら「士人」は体制への埋没を拒否し、自然の情感に沿って天の道に合しようとした。「天道是なるか非なるか」と厳しく問うことによる文学精神の成立から、現実を避けて桃源郷を求める創作詩にまでいたる、文化の道筋を探る。 (全二巻)
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-二十世紀を代表する歴史家ホイジンガが、フランスとネーデルラントにおける十四、五世紀の人々の実証的調査から、中世から近代にかけての思考と感受性の構造を、絶望と歓喜、残虐と敬虔の対極的な激情としてとらえ、歴史の感動に身をおく楽しみを教える。中世人の意識と中世文化の全像を精細に描きあげた不朽の名著。 【目次】 第一版緒言 Ⅰ はげしい生活の基調 Ⅱ 美しい生活を求める願い Ⅲ 身分社会という考えかた Ⅳ 騎士の理念 Ⅴ 恋する英雄の夢 Ⅵ 騎士団と騎士誓約 Ⅶ 戦争と政治における騎士道理想の意義 Ⅷ 愛の様式化 Ⅸ 愛の作法 Ⅹ 牧歌ふうの生のイメージ ⅩⅠ 死のイメージ ⅩⅡ すべて聖なるものをイメージにあらわすこと 史料解題
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-二十世紀を代表する歴史家ホイジンガが、フランスとネーデルラントにおける十四、五世紀の人々の実証的調査から、中世から近代にかけての思考と感受性の構造を、絶望と歓喜、残虐と敬虔の対極的な激情としてとらえ、歴史の感動に身をおく楽しみを教える。中世人の意識と中世文化の全像を精細に描きあげた不朽の名著。 “この書物は、十四、五世紀を、ルネサンスの告知とはみず、中世の終末とみようとする試みである。中世文化は、このとき、その生涯の最後の時を生き、あたかも思うがままに伸びひろがり終えた木のごとく、たわわに実をみのらせた。古い思考の諸形態がはびこり、生きた思想の核にのしかぶさり、これをつつむ、ここに、ひとつのゆたかな文化が枯れしぼみ、死に硬直する――、これが、以下のページの主題である。この書物を書いていたとき、視線は、あたかも夕暮れの空の深みに吸いこまれているかのようであった。ただし、その空は血の色に赤く、どんよりと鉛色の雲が重苦しく、光はまがいでぎらぎらする。 いま、書いたものをよみかえしてみて、こう思う、もうすこし、この夕暮れの空に視線をとどまらせていたならば、にごった色もしだいに澄み、ついにはまったき澄明さにいたったのではなかったか、と。“(「第一版緒言」より)
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4.4にぎわう唐の都・長安で妖気と瘴気に満ちた血なまぐさい怪事が連発した。事件に引き寄せられたかのように現れた謎の青年は神刀を携え悪に挑むが――。
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4.8あなたの幸を希う以外に何物もない――。鹿児島県知覧の特攻隊基地から飛び立った穴沢利夫少尉。二十三歳で散った法学徒が婚約者・智恵子へ宛てた便りには愛する者への一途な思いと純粋な真情が綴られていた。戦後六十年以上を経て、婚約者が語り尽くした、あの時代の現実とある愛のかたちとは。全面改稿を施したロングセラーの新版。 【目次】 まえがき 第一章 出会い 図書館から戦場へ 第二章 覚 悟 マフラーになりたい 第三章 婚 約 たった一晩の子守唄 第四章 特 攻 あなたをたどる旅 生きる時代は選べない――新潮文庫版あとがき 新版あとがき
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4.5師の臨終に立ち会い号泣し、奇禍に倒れた友の事故の様子を丹念に取材し記し、幽霊でも良いから夢に出てこいと弟子へ呼びかける。夏目漱石、芥川龍之介、鈴木三重吉ら一門の文学者から、親友宮城道雄、教え子、飼い猫クルツまで。哀惜をこめてその死を嘆き、思い出を綴る追悼文集。〈解説〉森まゆみ (目次より) Ⅰ 漱石先生臨終記/湖南の扇/亀鳴くや/花袋追慕/花袋忌の雨/寺田寅彦博士/御冥福を祈る/鈴木三重吉氏の事/四谷左門町/酒徒太宰治に手向く/黒い緋鯉/草平さんの幽霊/青葉しげれる/薤露蒿里の歌/舞台の幽霊/追悼句集 Ⅱ 朝雨/「臨時停車」より/東海道刈谷駅/「つはぶきの花」/宮城会演奏プログラム口上一束/ピールカマンチヤン/「新残夢三昧」より Ⅲ 鷄蘇仏/破軍星/空中分解/アヂンコート/片山敏彦君 解説 森まゆみ
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-「若い医者と軍人の結合体にとって、詩と死はただの同音ではなかった」(谷川雁) 医師で詩人の著者は臨時召集を受け、軍医少尉として出征。北ビルマの最前線ミイトキーナでは、司令官・水上源蔵少将に対し死守が命じられるが、少将は残存将兵への転身命令を発したのち自決。部隊は全滅を免れるも、その後は「中国の雲南からビルマをよぎって、タイのチェンマイまでの泥まみれの敗退」となった……。 壮絶を極めた南方戦線から奇跡的に生還した著者は、その記憶を書き残す決意を固めるには四半世紀の時間を要したと述懐している。一九六九年夏に西日本新聞に連載した「月白の道」は、2000キロの敗走を綴った戦場の記録である。 第一篇には、「私たちはおたがいに心の虫歯をもっていたほうがよい。…でないと、忘却というあの便利な力をかりて、微温的なその日ぐらしのなかに、ともすれば安住してしまうのだ」とある。声高に叫ぶのではなく感情を抑えたさざ波のような断章が連なり、野呂邦暢や川崎洋らが賞賛する詩的な香りの漂う孤高の戦記文学となった。 都合三度刊行された『月白の道』の「序」「あとがき」に加え、二度目の刊行時に書き加えられた後日譚とも言うべき「南の細道」、文藝春秋に寄稿した「軍神を返上した水上少将」、および、私家版『定本 丸山豊全散文集』から戦争・戦友に関する一〇篇を収録した、戦争散文の集大成。 さらに、谷川雁の追悼文、野呂邦暢、川崎洋、森崎和江のエッセイ、映像制作者・木村栄文の「『月白の道』に寄せて」を収録。
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4.0『櫂』『陽暉楼』に『天璋院篤姫』。逆境を生き抜く女性を描き、一世を風靡した国民的作家・宮尾登美子。実父との軋轢、二人の母 への想い、壮絶な満洲の記憶に、借金に苦しんだ下積み時代。作品世界に惚れ込み、先輩作家としても慕い続けた著者が、その波瀾万 丈な生涯を新たな視点で辿る。〈解説〉綿矢りさ 【目次】 前書き 第一章 誕生会 第二章 ある噂 第三章 富田屋の跡 第四章 南国 第五章 同級生 第六章 学歴 第七章 『櫂』の世界 第八章 農家の嫁 第九章 二人の母 第十章 兄と妹 第十一章 満洲の少年 第十二章 『朱夏』の村 第十三章 テレビ出演 第十四章 借金二人三脚 第十五章 事 業 第十六章 家 出 第十七章 再婚 第十八章 太宰治賞受賞 第十九章 直木賞 第二十章 映画化 第二十一章 女流作家たち 第二十二章 きのね 第二十三章 最後の小説 第二十四章 帰郷 最終章 続・仁淀川 解説 「綴る女」を綴る女 綿矢りさ
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4.4二・二六事件で“至誠”に殉じた熱血の青年将校たち。遺された妻たちは事件後、どのような人生を歩んでいったのか。困難な取材をねばり強く重ね、文字通り足で歩いて検証した、もう一つの二・二六事件。衝撃と感動を呼ぶ、ノンフィクションの金字塔。 〈解説〉中田整一
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3.6大正十五年十二月十五日未明、天皇崩御。その朝、東京日日新聞は新元号は「光文」と報じた……。世紀の誤報事件の顛末。歴代天皇の柩を担いできた八瀬童子とは? 最晩年の森鴎外はなぜ「元号考」に執念を燃やしたのか? 天皇というシステムに独自の切り口と徹底取材で迫る。
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4.2「誰かのために戦う奴に勝てるわけがない」 蓋の国を動かすのは、盤戯「天盆」を制した者。人々は立身を目指し研鑽に励むが、長い間、平民から征陣者は出ていない。 そんな中、貧しい十三人きょうだいの末子・凡天が激戦を勝ち進み――少年が歴史に挑む時、国の運命もまた動き始める。 圧倒的疾走感で描き出す放熱ファンタジー!
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4.3不老不死の伝説が眠る郷・桃花源。その謎を解く鍵は、旅芸人の少女・宝春にあった。不死の力を求める者たちに狙われた宝春は、生き別れの母を探す貴公子・戴星、天命を与えられた秀才・希仁に救われる。三人の出会いは、国を揺るがす壮大な冒険の始まりだった。中華歴史ファンタジー、ここに開幕!(全四巻)
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-戦争はまだ終わっていない!? 十津川警部、特攻の真実に直面する。 東京と金沢を結ぶ北陸新幹線開通が翌春に迫り、終戦から69年経った8月15日、元海軍航空隊中尉の小暮義男が扼殺された。93歳であった。小暮は金沢の出身で、12年前に妻を亡くすと金沢から東京へ出て暮らしていたのだ。被害者の戦中・戦後を調べる十津川は、小暮が戦争末期に、「私もすぐ、君たちの後に続く」と言って特攻隊員を送り出していたこと、さらに、40年前に元陸軍中将の莫大な遺産を相続し、同時に「特攻とは何だったのか、調べてほしい」と託されていたことを突き止める。十津川は、特攻で亡くなった若者にも思いを馳せ、複雑な心境で殺人事件を追うのだが……。(「東京と金沢の間」改題)
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-1964年・東京オリンピック。日の丸という十字架を背負ったための曲折と波乱に満ちた選手人生の軌跡を追った衝撃のルポルタージュ。 日本が戦後からの復興ぶりを世界に示した1964年の東京オリンピック。戦後日本の一大イベントの大舞台に臨んだ選手たちは、国を背負い、人々の期待を担った輝ける星だった。彼らはその後の半世紀、いかなる行路を歩んできたのか。出場選手の軌跡を追うと東京オリンピックに参加した日本選手357人の中に4人の行方不明者がいた。日の丸という十字架を背負った選手たちは、オリンピック後の人生とどう格闘し、何を得たのだろうか。その後の選手たちを追った迫真のルポルタージュ。新たな最新取材の書下ろしを加えた一冊。解説/為末大 (『五輪の十字架』を加筆・改題)
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4.3空襲に明け暮れる太平洋戦争末期の日々を、文学の眼と現実の眼をないまぜつつ的確に綴った日録。記録にして記録にあらず、百鬼園先生の詩精神が随処に横溢する稀有の東京空襲体験記。
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4.0ちょっと変わっているけれど、なんだか懐かしい……東京の近郊でも旅人気分に浸れる不思議な味わいの宿に泊まり、近所をそぞろ歩いてつづったエッセイ集。
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-仏印進駐をめぐる混乱は、前段階の陸軍のドイツ迎合やそれに同調する海軍部員の横紙破りへの対立として顕在化していた。本書中盤以降では、フランスとの平和的進駐の合意を現地陸軍が無視して無理矢理に戦闘行為に入ろうとするのを、海軍が陸軍上陸部隊船団から護衛艦を撤退させるという非常手段まで執って阻止する顛末が描かれる。その後も確執は激化し、ついに遣支艦隊に「協力不可能、離脱セヨ」との命令が下されるが……。 一参謀の視点に徹して仏印進駐の〝失敗の本質〟が浮かび上がる迫真の記録。 半藤一利による著者インタビューを付す。 〈目次より〉 序 阿川弘之 第一章 北部仏印への野望 第二遣支艦隊参謀に 佐藤参謀副長と大激論 三国同盟論再燃 第二章 昆明作戦を口実に 掃海艇派遣の下命 海軍中央の情況・態度 陸軍統帥部による倒閣 仏印相手の猿芝居 支那方面艦隊司令部に出頭 「C事件」で上京 第三章 封ぜられた「策謀」 ハノイで佐藤と会談 「武力不行使」の中央電報 封鎖作戦だけでも手一杯 第四章 「謀略」の再台頭 富永少将のハノイ入り 東条陸相の黒い影 進駐の大命下る 神部員の越権、僭越 連合艦隊から増派 第五章 「交渉成立セリ」にも拘らず 国境線でついに戦火 あくまで平和進駐で 陸軍現地の陰謀を中央に警報 西村兵団上陸延期 暗転する事態 第六章 「協力不可能、離脱セヨ」 期せずして全海軍が一致 二人がかりの弁慶役 「大命」を無視した波集団 「信ヲ中外ニ失フ」 第七章 事件の反省不徹底に終わる 三国同盟にショック 陸海中央合同研究会 妥協した海軍統帥部 あとがき インタビュー:日本海軍和平への道程 〈聞き手〉半藤一利 〈解説〉大木毅
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3.7博陵郡王の屋敷で怪異が頻発する。桃の木のたたりと断じて呪法をほどこそうとする道士の騙りを見破り、眠りから醒めなくなった娘を救うのは、式神を操る青年・光周明。はたして彼の正体は?(表題作)他に、孤独な少年帝に忠誠をつくす虎、竜王の甕が見せる夢幻、墨に命を賭けた名匠の皮肉な運命を描いた、心ゆさぶる幻想的な珠玉の四篇を収録。中国傑作短篇小説集。
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3.6羽田法律事務所で調査員として働く風町サエは、殺人罪で服役経験のあるシングルマザー。ある日、芸能界のフィクサーと呼ばれる小田崎が、羽田法律事務所を訪れた。小田崎は、アイドル候補生を店頭に立たせる安売りピザ店で大儲けをした男。店頭に立つアイドル候補生は、ファン投票の結果でメジャーグループに昇格できる仕組みで、自分が応援する候補生をメジャーにするため、ファンはピザを注文し投票券を獲得するのだ。このピザ店でアルバイトをしていたひとりの少女が自殺をし、両親が1億2千万円の賠償金を要求しているという。賠償金額を減額させたいという小田崎の依頼に調査を始めるサエだったが、次第にある人の過去にも迫ることになり――。 『笑う少年』を改題。
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4.0江戸時代の思想の理解なくして近代日本の理解はない。伊藤仁斎、荻生徂徠、本居宣長……鎖国と封建制という厳しい条件下で発展を遂げた思想の諸相を明快に解説、その潜在的な近代性を明らかにする。江戸思想史の全体像をつかむうえで最上の入門書。新たに巻末エッセイ「自分と出会う」を付す。〈解説〉小島康敬 【目次より】 序 徳川時代の再検討 第一章 朱子学とその受容 第二章 陽明学とその受容 第三章 古学思想の形成とその展開 第四章 武士の道徳 第五章 町人と商業肯定の思想 第六章 十八世紀の開明思想 第七章 経世家の思想と民衆の思想 第八章 国学運動の人々 第九章 幕末志士の悲願 終 章 幕末から明治へ
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3.0昨年の春、中古のルノーを買って乗り始めてから、間もなく一年になるが、其の間に私は、交通違反でつかまった事が三回ある。その三回とも、奇妙な事に、友人の安岡章太郎が関係しており、これは私には、ただの偶然とはとても思えない。――阿川弘之 私が仕事にかかるふりをしていると、襖がすこしずつ開いて、その隙間から嘲けるような笑いをうかべて、彼はじっと窺っているのである。私もそっと彼の部屋をのぞくと、安岡は布団の上に寝そべって天井を眺めながら鼻毛をぬいているのであった。――遠藤周作 浪人三年、落第一年、秋風がふくと終わらない夏休みの宿題を想い出してゾッとする。出がけには必ず忘れものをし、約束の時間を一時間まちがえてウロウロ。泥棒に入られれば何も盗まれるものがなく警察に困惑され、文学賞の授賞式では緊張してシドロモドロになる。どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい――青春時代をユーモラスにつづる自伝的回想、作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作によるエッセイを新たに収録。〈解説・中島京子〉
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-毀すこと、それがばさら――。六波羅探題を攻め滅ぼした足利高氏(のち尊氏)と、政を自らつかさどらんとする後醍醐帝との暗闘が風雲急を告げる中、「ばさら大名」佐々木道誉には、毀したいものがあった。数々の狼藉を働きつつ、時代を、そして尊氏の心中を読む道誉。帝が二人立つ混迷の世で、将軍尊氏はなぜ、佐々木道誉を欲したのか。対する道誉は、人間尊氏に何を見ていたのか――。 【目次】 第一章 激流 第二章 京より遠く 第三章 いかなる旗のもとに 第四章 征夷大将軍 第五章 猿の皮 第六章 花一揆 第七章 橋勧進 第八章 騒擾やまず 第九章 無窮 第十章 尊氏は死なず 解説 大矢博子
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-清朝の王女として生まれ、日本で教育を受け、祖国再興を画して上海にわたる。ジャンヌ・ダルクに憧れた少女時代や初恋の思い出を交えながら男装に至った経緯を語る。活動中にテロに遭遇、様々な危機を乗り越えながら使命に目覚めていく。巻末に熱河作戦従軍直後「婦人公論」に発表した手記を収録。伝説の「男装の麗人」による半生記を初文庫化。
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4.3『どくとるマンボウ航海記』前夜。慶應病院神経科に勤める若きマンボウ氏は、愛すべき患者たちとふれあい、変人ぞろいの同僚と安酒をあおりつつ、人間の本質に思いをはせる――。ユーモラスな筆致のうちに、作家・北杜夫の鋭い観察眼と深い内省が窺えるエッセイ。新たに武田泰淳との対談「文学と狂気」を増補。〈解説〉なだいなだ 目次 第1章 大遅刻と教授からしておかしいこと 第2章 医局員のほとんどが変っていること 第3章 フレッシュマンの生活とイカモノ食いのこと 第4章 朝寝坊の万年おじさんのこと 第5章 宇宙精神医学研究室のこと 第6章 精神科医一刀斎のこと 第7章 医局長の子分役のこと 第8章 留学を思いたつこと 第9章 山梨県の病院へ売りとばされたこと 第10章 助人ついに来たる 第11章 愉しい日々と悲惨な夜 第12章 東京へ帰ったことと航海のこと あとがき 解説 なだ いなだ 対談 文学と狂気 武田泰淳・北杜夫
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