講談社文庫作品一覧

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  • 「ファミリーラブストーリー」
    3.3
    なぜ離婚したくないのだろう? 世間体? 妻への愛情? 子供の教育上良くないから? 妻から離婚を切り出され、仕事漬けだった隆介は、はじめて考えた。お茶の間に届けるファミリードラマの脚本を書きながら、妻の気持ちを変えられないかと悩む日々。世間の離婚についての考え方を取材し、考え、隆介が出した思いもよらない結論とは――
  • 笛吹川 見届け人秋月伊織事件帖
    3.5
    老母の暮らす郷里に帰った、出入り医師の下男・新次郎が、小仏峠で追い剥ぎに遭い、だるま屋に戻って来た。雪隠から忽然と消えた、料理屋の主の神隠し騒ぎを見届けている伊織は、出所不明の景徳鎮が、二つの事件を繋ぐ鍵だと察知する。氾濫した笛吹川に別たれた、不遇の兄弟。哀しき邂逅を描く文庫書下ろし第七弾。
  • 皇太子誕生
    -
    美智子妃から雅子妃、紀子妃へ受け継がれてきた皇室最大のプロジェクト「皇子の誕生」。失敗は絶対に許されない妃の出産という慶事の裏には、皇室史上初めての病院分娩に挑む医師たちの壮絶な戦いがあった。宮内庁病院の医師が綴った詳細なメモからその全貌を明かす、大宅賞受賞作家による迫真のレポート。
  • Qrosの女
    3.7
    世間を騒がす謎のCM美女「Qrosの女」の素性を暴くべく奮闘する「週刊キンダイ」芸能記者の矢口慶太。CMで彼女と共演した人気俳優・藤井涼介の自宅を、先輩記者・栗山と一緒に張り込むとそこに当人が!? 藤井との熱愛スクープ・ゲット! それともリーク? ――ワケありのネタ元、ネット情報も錯綜し、衝撃の展開へ! 白熱する芸能取材をリアルに描いた鮮烈ミステリー!
  • 水底の棘 法医昆虫学捜査官
    4.1
    水死体からも「虫の声」は聞こえるのか!?第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾の荒川河口で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。絞殺後に川に捨てられたものと、解剖医と鑑識は推定。が、赤堀はまったく別の見解を打ち出した。岩楯警部補はじめ、捜査本部は被害者の所持品から、赤堀はウジと微物から、それぞれの捜査が開始された!
  • 西南シルクロードは密林に消える
    4.6
    中国四川省の成都を出発し、ビルマ北部を通って、最後にはインドへ――幻の西南シルクロードに挑む著者の前には、圧倒的なジャングルと反政府少数民族ゲリラの支配する世界屈指の秘境がたちふさがっていた。混迷と困難を極める旅なのに、これほど笑えるのはなぜか。究極のエンタメ・ノンフィクションついに登場。
  • 武家屋敷の殺人
    4.2
    孤児院育ちの美女から生家を探してほしいとの依頼を受けた弁護士・川路。唯一の手がかりは、20年前の殺人と蘇るミイラについて書かれた異様な日記のみ。友人・那珂の助けを借りてついに家を突き止めるが、そこは江戸時代から存続するいわく付きの武家屋敷だった。そして新たな殺人が……。謎とトリック2倍増しミステリ!
  • スター・ウォーズ フォースの覚醒
    値引きあり
    5.0
    大ヒット映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」待望のノベライズ! 映画にはないシーンも満載された本作で新伝説をより深く味わおう!銀河の平和を脅かす「ファースト・オーダー」に抵抗するレジスタンスは、ルーク・スカイウォーカーの居場所を記した地図を探すが、手に入れたのは廃品回収を営む孤独な女性レイと、脱走兵フィンだった。彼らの前にダース・ベイダーの崇拝者カイロ・レンが立ちはだかり!?
  • 零崎双識の人間試験
    4.0
    1~7巻693~902円 (税込)
    「零崎一賊」――それは"殺し名"の第三位に列せられる殺人鬼の一賊。その長兄にして切り込み隊長、"二十人目の地獄"にして奇怪な大鋏"自殺志願(マインドレンデル)"の使い手、零崎双識が赴いた行方不明の弟捜しの旅は、未曾有の闘争劇の幕開けだった! 息をもつかせぬ波乱の向こう側に双識を待つものは……!? 「人間シリーズ」第一弾!
  • お菓子放浪記
    3.7
    天涯孤独のシゲル少年の心を支えたのは、甘いお菓子への憧憬だった――戦争の敗色濃くなりゆく時代を背景に、過酷な運命を生きる少年の姿を描いた永遠のロングセラー。著者自身が体験した辛苦、絶望の中でも失わなかったささやかな希望を、人間愛の讃歌へと昇華させた感涙の物語。
  • はやぶさ新八御用旅(一) 東海道五十三次
    3.6
    身分を隠して江戸を発ち、国許へ向かった大名の姫君をお護りせよ。主君根岸肥前守の密命を受け、東海道を西進する隼新八郎。箱根では5人の追手が斬りかかり、宇津ノ谷(うつのや)峠では虚無僧(こむそう)姿の刺客が現れる。容易ならざる道行きには意外な結末が待っていた。大人気「はやぶさ新八」シリーズが新たな旅に出立す!
  • リトル・バイ・リトル
    3.6
    ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第25回野間文芸新人賞受賞作。
  • もっと負ける技術 カレー沢薫の日常と退廃
    3.8
    「負ける技術」とは、いかに自らの人生にムーブメントを起こさないか。炎上合戦のリングには上がらず、アラを映す鏡は見ない。会社生活と創作を両立させ、"無職"というメイクドラマをなんとか逃れて過ごす日々。この程度なら真似できると、まさかの共感を呼んだ人生論"、懲りない実践編。<文庫オリジナル>
  • 風の靴
    3.0
    中学受験に失敗し、優秀な兄と比較されることにもうんざりしていた海生のもとに、祖父の急死の知らせが入る。ヨットの楽しさを教えてくれたおじいちゃんはもういない。サイアクの気分の夏休み、海生は親友の田明と家出を決意する。おじいちゃんの形見のディンギーに乗って。第57回産経児童出版文化賞大賞受賞作。
  • 建築探偵桜井京介の事件簿 未明の家
    3.5
    京介を訪ねた古風な美少女の依頼は“閉ざされたパティオ”を持つ別荘の鑑定と主である祖父の死の謎を解くことだった。少女の一族を巻き込む不可解な事故死、そして自殺未遂。事件はすべて別荘をめぐって起きた。ミステリアスな建築造形に秘められた真実を、京介が追う!
  • 峠越え
    3.6
    弱小の家に生まれ、幼少期を人質として過ごした家康は、織田と同盟を組むが、家臣同然の忍従を強いられる。信長の命で堺にいるとき、本能寺の変が起きた。三河へ戻るには、明智の追っ手から逃れ、敵が潜む伊賀を越えねばならぬ。杓子定規の石川数正、武田の家臣だった穴山梅雪ら、部下たちもくせ者揃い。己の凡庸さを知る家康は、四面楚歌の状況から脱出できるのか? 本能寺の大胆仮説もふくむ大仕掛け、注目の著者の歴史小説!
  • お父さんと伊藤さん
    3.8
    34歳のフリーター・彩はバツイチの54歳・伊藤さんと同棲している。ある日、彩のもとに兄から「お父さんを引き取ってくれないか」との依頼が。彩は申し出を拒むが、74歳の父は身の回りの荷物を持って、部屋にやってきてしまった。父は「この家に住む」と譲らない。その日から六畳と四畳半のボロアパートでぎこちない共同生活が始まった。誰にでも起こりうる家族問題を、笑いと緊張の絶妙なタッチで描く傑作。
  • 闇に香る嘘
    4.0
    村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。
  • 唐玄宗紀
    4.0
    則天武后以来の女禍の時代を終わらせ、唐全盛期をもたらした玄宗には影の如き名臣があった。唐6代皇帝、玄宗。彼が「将軍」と呼んだ宦官にして名臣に高力士(こうりきし)があった。二人は女禍の時代に幕を引き、開元の治と呼ばれる繁栄を実現する。しかしやがて、楊貴妃の出現、安禄山の大乱によって国は止め処なく乱れゆく。唐帝国最盛期をもたらした皇帝の一生とその影となり支えた忠臣を見事に描く歴史大河小説。
  • 新装版 高山右近
    3.5
    本能寺の変と明智討伐。禁教令を布く秀吉への高槻城開城。前田家に身を寄せた後、家康からの国外追放。戦国の世に<清廉にして智の人>として刻まれるキリシタン大名・高山右近。すべてを捨て、信仰を貫いたその生涯を渾身の筆致で描く。カトリック教会「福者」に列福した殉教者の揺るがざる魂とは。*「福者」 死後、徳と聖性を認められた信者に、カトリック教会より与えられる称号。
  • 佐助と幸村
    3.0
    忍びの者・佐助は、武門の誉れを振りかざす武家を軽侮するが、ただひたすら死に花を咲かさんとする幸村と出会い、その孤高の佇まいに惹かれてゆく。迎えた決戦の時。幸村は己の美学を貫き、佐助は死中に活を求めて乾坤一擲の策を講じた――。史実と伝奇を織り交ぜた真田戦記外伝。《『真説 猿飛佐助』改題》
  • レジェンド歴史時代小説 列藩騒動録(上)
    -
    江戸時代の初期から、各藩で発生したさまざまな「お家騒動」。原因となったのは、金銭をめぐる対立や父子の不和、家臣による派閥争いなど、現代に通じるものばかりだった。島津、伊達、黒田、加賀、秋田、越前といった各騒動の真相を、説得力あふれる筆致で描き出す。武士の本質に迫る、海音寺史伝文学の真骨頂。
  • 虚像の砦
    4.1
    中東で日本人が誘拐された。その情報をいち早く得た、民放PTBディレクター・風見は、他局に先んじて放送しようと動き出すが、予想外の抵抗を受ける。一方、バラエティ番組の敏腕プロデューサー・黒岩は、次第に視聴率に縛られ、自分を見失っていった。二人の苦悩と葛藤を通して、巨大メディアの内実を暴く。
  • 妖女のごとく
    3.9
    友人の結婚相手にと、大河内女医の身辺を探りはじめた辰野は、いつしか妖しい魅力の虜になり、底知れぬ蠱惑(こわく)の罠に陥っていく。やがて明かされる意外な真相が、さらに恐怖を呼び起こす……。都会感覚あふれる傑作サスペンスロマン。
  • 結婚
    3.9
    限りない期待と、多くの不安に心がゆれる結婚――それはたまたまめぐりあった1組の男女の単なる共同生活なのか、あるいは美しい愛情物語なのか。持続する愛とは?思わぬもろさを含む夫婦生活をつなぐものは?夫と妻の間に横たわる問題を、オムニバス風の手法で追求した表題作ほか8編を収録。
  • 赤ヘル1975
    4.2
    一九七五年――昭和五十年。広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
  • 毒身
    3.8
    「お互い不惑になっても独り身だったら共同生活しようって約束したよね」特殊な立地条件ゆえに中庭にはメキシコから移植したマンゴーが実り、ブーゲンビリアが咲き乱れる古アパートを独身者たちのコミュニティにしようと目論むシキシマ。ハンモックの微睡(まどろ)みは現実を溶かし、毒身のための楽園が誕生するか?
  • 世紀末の隣人
    3.4
    池袋の通り魔、音羽の幼女殺人、少女監禁、カレー事件、リストラ、田舎移住、ニュータウンの30年……。世紀末の1年の事件は、21世紀のいまも「現役」。遠くて近い隣人たちのドラマに寄り道しつつ迫ってみると、そこにはあなたとよく似た顔が――。直木賞作家による異色ルポルタージュ。(『隣人』改題)
  • われら猫の子
    3.2
    子どもをつくることを躊躇(ためら)う夫婦のわだかまりが解ける瞬間、処女のまま産み育てた息子が復讐しに来ると思い込む母親、あるはずのない異性器を持ちたいと切望する男女の交わり、死んだ父親に生きているふりをさせる少年少女たち……飛翔する想像力によって先入観を超え、固有の物語を紡ぎ出した傑作短篇集。
  • やつらを高く吊せ
    3.7
    24時間、命懸け! 秘密を知るためなら、おれは地獄にでも行く。後ろ暗いスキャンダルの匂いに激しく欲情する情報屋の「おれ」は、今日も強烈な快感を求めて愛車ポルシェをぶっ飛ばす。非情な金貸しに手綱を握られ、淫らな女子高生に翻弄されながらも、アンダーグラウンドを彷徨う「おれ」の覗き屋魂は、政財界の大物たちを虎視眈々と狙い続けるのだった。疾走する連作全6編。
  • 殺人出産
    4.0
    「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい──。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない……。
  • 帰路
    -
    初体験の感傷的な記憶、書いても書いても売れなかった時代に飲んだ酒の味、殺されるのを覚悟した学生運動の日日……売れっ子作家としてTVで顔も知られるようになって、問い続ける青春の意味。友情、恋愛、家族のいったい何が変わり、どこへ行こうとしているのか?走り続ける作家のハードボイルド連作。
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)
    4.4
    家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽くし、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ!
  • 行きどまり
    3.0
    建築現場で働く法学部の学生新井安彦は、いかさまポーカーで愛車のバイクを奪われた親友敬二のために、嵌(は)めた久野に会う。蛇のようにしつこい連中は、刃向かった敬二を監禁し、癒しがたい傷を負わせた。暴力の連鎖を断とうとした安彦はついに久野を殺してしまう。2人には全てを捨てて逃げるしかなかった。
  • 錆びた浮標
    -
    新劇出身の役者・永井光三、人気コラムを持つ演劇評論家・大木良二、酒場のマスター・井木荘一。これは1人の男が持つ3つの顔なのだ。別れた女が引き出す幻想と成長していく娘の現実に翻弄されながら、ひっかかりながら生きていく男。とりまく男女が巻きおこす些細だが重大な出来事を描く、連作傑作篇。
  • 真夏の葬列
    3.0
    彼女は赤い花が好きだった。守は美知の柩の上に赤いバラを手向けた。北池袋の小さなバーは、妹・佐知の店になった。美知を自殺にまで追い込んだのは、誰か?美知を愛していた冬生も、真相に行き着いた守も、半殺しの目に遭う。このまま尻尾を巻くのか、男として生きるのか!?青春ハードボイルドの傑作!
  • ニッポンの単身赴任
    3.5
    転勤族の息子だったシゲマツが、北海道から上海、南極まで、単身赴任の仲間20人をルポルタージュ。「単身赴任について考えることは、そのひとにとっての幸せのかたちを探ること」と言う著者が、彼らを訪ね歩いた結果、見えてきた「仕事」と「家族」と「自分」の新しい関係とは?
  • 逆光の女
    -
    ワイルドターキーの香る横浜の小さな酒場で重なり合った男と女の人生。慈しみ、惜しみなく奪い合う愛。そして訪れた別離。ひととき心から愛した雅子が殺された。マセラッティを駆り、凶暴なまでに真相を追い詰める風泰生。血肉を注ぐ情念。決して譲ることの出来ない男の美学。これぞハードボイルドの神髄!
  • オヤジの細道
    3.5
    ある日、ふと気がつくと中年(オヤジ)になっていたシゲマツが、その未体験ゾーンの驚きを語りつつ、同世代にエールを送った「夕刊フジ」の大好評エッセイ。オヤジの歓びと哀しみ、ココロの秘密や如何に?
  • 君の夢 僕の思考 You will dream while I think
    3.9
    「孤独という自由を、人は恐れ、その価値を評価しないよう、真の意志の存在を忘れるよう、人は努力する」(『恋恋蓮歩の演習』より)。磨き抜かれた思考と、作品に込められた想いが凝縮した、著者自身によるフォトエッセィ。折にふれて取り出し、噛みしめたい言葉たち。『議論の余地しかない』へ続く第1集。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • マザー・テレサ あふれる愛
    4.0
    「貧しい人にふれる時、わたしたちは、実際にキリストのお身体にふれているのです。」カルカッタのスラムの、貧しい人のなかのさらにもっとも貧しい人のためにつかえると誓願して36年――。ノーベル平和賞に輝く20世紀の聖女の素顔と活動を、密着取材による写真と文とで、あますところなく伝える。
  • 星をつくった男 阿久悠と、その時代
    3.6
    伝説的アイドル、ピンク・レディーを手掛け、『津軽海峡・冬景色』をはじめ、生涯に五千作におよぶ歌をのこした作詞家阿久悠。敗戦で価値観の大転換を経験した少年が、時代を食らい、歌謡界の巨人へと駆け上がった軌跡、最期までこだわり続けた「言葉」への執念――。丹念な取材を元に綴られた傑作ノンフィクション。
  • 吉川英治の世界
    -
    吉川英治の長男・吉川英明が、父の想い出、人柄、作品にまつわる家族の歴史を、遺愛の品や記念写真とともに、随想48篇に綴る。吉川英治の自筆年譜も、吉川英治記念館に保存されている当時の写真や文学資料とあわせて再編成。読みつがれる「吉川英治文学」への入門ガイドブック。
  • 島はぼくらと
    4.1
    この島の別れの言葉は「行ってきます」。きっと「おかえり」が待っているから。 瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。
  • 赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE
    3.8
    霧の早朝、私と鮭川は声を持たない聡明な赤目姫と三人でボートに乗っていた。目指す屋敷で、チベットで、ナイアガラで。私たちの意識は混線し、視点は時空を行き来し、やがて自分が誰なのかもわからなくなっていく--。これは幻想小説かSFか? 百年シリーズ最終作にして、森ファン熱狂の最高傑作!
  • 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数
    3.8
    1~2巻770~792円 (税込)
    大学の探偵助手学部に通う君橋と月々は、志望のゼミに落ち、悪ふざけで出した第3希望の猫柳ゼミ行きが決定してしまう。指導教官は、功績不明かつ頼りなさげな女探偵・猫柳十一弦(25歳)。ショックを受ける二人だったが、名門ゼミとの合同合宿が決まり、勇んで向かった孤島で、本物の殺人事件に遭遇する!
  • 半パン・デイズ
    3.9
    東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。慣れない方言、小学校のヤな奴、気になる女の子、たいせつな人との別れ、そして世の中……。「青春」の扉を開ける前の「みどりの日々」をいきいきと描く、ぼくたちみんなの自叙伝。
  • 妖説太閤記(上)
    4.5
    信長の妹・お市の方に魅入られた藤吉郎は、「天下もとるが、女もとる」とばかり、出世の野望に燃えた。半兵衛と官兵衛という参謀を得て、巧みな弁舌と憎めない面相で正体を隠しながら、冷徹な権謀術数でライバルを蹴落とす。「本能寺の変」すら、天下をとるために仕組んだ筋書きだった。風太郎版・異色歴史小説!
  • 悠悠おもちゃライフ
    3.4
    趣味には理解者が必要だが、理解者に振り回されてはいけない。なぜなら趣味は、あくまでも個人的で我儘なものだからだ。この本は、啓蒙本でも入門書でもない。飛行機模型や庭園鉄道をはじめ、多くの楽しみを知る著者が、韜晦(とうかい)も含めて記す優雅な趣味の日常と思考。
  • 刑事の約束
    4.1
    植物状態の娘を持つ刑事・夏目信人(なつめのぶひと)。夏目は5つの事件に対し、誰も気づけない手がかりから鮮やかに謎を解いていく。抜き差しならない状況に追い込まれた事件関係者たちの心を見つめる夏目が、最後にした"約束"とは。無類の題材、怒濤の展開、衝撃の結末。いまも近くで起きているかもしれない事件を取り上げ、圧巻の筆致で畳み掛ける、乱歩賞作家・薬丸岳の真骨頂! あなたは五度驚き、五度涙する!
  • かあちゃん
    4.6
    同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。いじめの傍観者だった日々の焦りと苦しみを、うまく伝えられない僕。精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。著者が初めて描く「母と子」の物語。
  • 終戦のローレライ 全4冊合本版
    5.0
    昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第24回吉川英治文学新人賞を受賞し、映画化もされた大作が合本に!
  • 宇宙海兵隊 ギガース 全6冊合本版
    -
    地球連合は独立を求める木星圏の反乱者たちとの抗争に苦戦していた。膠着状態を打破すべく最新兵器の投入が決定される。コードネーム「G」――「ギガース」、そのパイロットは情報部から来たリーナ・ショーン・ミズキだった。彼女と宇宙海兵隊の男たちの新たな戦いが始まる。今野敏、唯一のスペースオペラが合本に!
  • 万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの〈叫び〉
    4.1
    「万能鑑定士Q」シリーズ完結!タイムリミットは120時間、ムンク「叫び」の謎を解け!出発点となったリサイクルショップ<チープグッズ>に戻った凜田莉子。ムンクの絵画「叫び」の盗難事件を機に、過去最難関の謎へと導かれる。事件を追ううち、探偵になった小笠原悠斗との心のすれちがいにも、真意が見え始め……。人の死なないミステリ、「万能鑑定士Q」シリーズ遂にここに完結。
  • 少女不十分
    4.1
    悪いがこの本に粗筋なんてない。これは小説ではないからだ。だから起承転結やサプライズ、気の利いた落ちを求められても、きっとその期待には応えられない。これは昔の話であり、過去の話であり、終わった話だ。記憶もあやふやな10年前の話であり、どんな未来にも繋がっていない。いずれにしても娯楽としてはお勧めできないわけだが、ただしそれでも、ひとつだけ言えることがある。僕はこの本を書くのに、10年かかった。
  • 泪壺
    4.0
    「わたしを壺にして、側においといて」。癌に冒されて逝った最愛の妻を骨灰磁器(ボーンチャイナ)として遺した男。一周忌を過ぎ、男の前に現れた女性は、その壺に戸惑いを隠せない。表題作のほか、会社の上司との愛と別れを描く『マリッジリング』、手の移植手術から過去の女を振りかえる『握る手』など愛と性を抉(えぐ)る珠玉の短篇集。
  • 失楽園(上)
    3.7
    1~2巻628円 (税込)
    凛子と久木はお互いに家庭を持つ身でありながら、真剣に深く愛し合ってゆく。己れの心に従い、育んだ"絶対愛"を純粋に貫こうとする2人。その行きつく先にあるものは……。人間が「楽園」から追放された理由である"性愛=エロス"を徹底的に求め合う男女を描き、人間とは何かを問うた、渡辺文学の最高傑作!
  • 長崎ロシア遊女館
    -
    学問のためという一念で、妻の肉体を人体実験に供する町医者。未知の分野であった人体解剖の彩色図を、憑かれたように描く絵師。娼館設置をめぐり、ロシア人に遊女たちの性病検査を迫られ苦慮する長崎奉行所の役人。幕末から明治にかける近代日本黎明期の医学秘話五篇を収録。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。
  • 氷紋
    -
    S大学医学部助教授・諸岡敬之の妻、有己子には夫の同期・久坂利輔との間に秘密があった。なぜか彼に惹かれ、入籍直前に関係を持ったのである。あれから七年。久坂と邂逅したがために、有己子の秘めた愛に再び火がついた――。許されざる愛に落ちる妻の姿を研ぎ澄まされた筆致で描く、渡辺淳一文学初期の傑作長編ロマン。
  • 重耳 全3冊合本版
    4.0
    流浪の末、晋を再建し、後に中国・春秋随一の名君と謳われた、重耳(ちょうじ)の生涯を描いた歴史小説。芸術選奨文部大臣賞受賞作が、全3冊セットで登場!
  • 箱根の坂 全3冊合本版
    4.8
    応仁ノ乱で荒れる京都、室町幕府の官吏、伊勢氏一門の末席に、伊勢新九郎、後の北条早雲がいた。家伝の鞍作りに明け暮れる、毒にも薬にもならぬ人間で生涯をことなく送るのが望み、と考えていた。だが、妹分の美しい娘、千萱の出現が、彼の今までの生き方を激変させる契機となり覇者への道を歩み出した……。 北条早雲の生涯を描いた傑作長編。全3冊セットで登場!
  • ルドルフとイッパイアッテナ
    4.7
    ひょんなことから東京にやってきてしまった小さな黒ねこルドルフの成長を描く不朽の名作児童文学。1987年の刊行以来、累計100万部のロングセラーとなり、子どもたちに愛されてきました。2016年8月には、超大型フル3DCGアニメーション映画としして公開も決定。その深い人生哲学とユーモアは、大人が読んでも十分に楽しめます。「なつかしい!」という人も、再読してみると、新しい発見があるかもしれません。
  • ルドルフともだちひとりだち
    5.0
    小さな黒ねこルドルフの成長を描く不朽の名作児童文学シリーズの第2巻。30年近くにわたって、累計100万部のロングセラーとなり、子どもたちに愛されてきました。2016年8月には、超大型フル3DCGアニメーション映画としして公開も決定。その深い人生哲学とユーモアは、大人が読んでも十分に楽しめるものです。「なつかしい!」という人も、再読してみると新しい発見があるかもしれません。
  • わたしは椿姫
    -
    赤い椿、白い椿の香りを秘めて、パリの社交界にときめく謎の美女。男たちを翻弄する日本的愛の技巧の裏面をさぐった、画学生の運命は? 世界各地に羽を伸ばす日本の女性。華麗に、したたかに、人生を謳歌し、異国に生きる彼女ら7人を描く"当世国際女気質"。
  • 青の回帰(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    トルコの広大な高原地帯の僻村で、駐在商社員三田村五郎は、日本の大女優石河永子を知り、激しく惹かれていく。永子は、この国に浸って動かない夫、高名な画家権藤浩太郎に会いに来たのであった。丁度、先妻との娘小野笙子も又父に会いに来ていて、運命は不思議な糸で、人々を複雑に結んでいく……。
  • ものは言いよう
    -
    言葉は心を映す鏡。不倫と不貞の違いはどこにあるのか。時代を経て移りゆく、あるいは変わらぬ男と女の関係を読み、衣食足りて礼節を知らぬ世の中のことごとを憂える。世界各地への旅に出て想うこと、幅広い交遊の中に感じること、なにげない日常の会話や所作、すべてに心ある言葉を紡ぐ。ベストセラー作家の6年間の身辺記。
  • 五人女捕物くらべ(上)
    3.0
    朝の神田川に、女が1人釣り糸を垂れていた。「おおい、姐さん、御注進」。猪牙舟(ちょきぶね)が真一文字に近づいて来る。太公望のおせんと綽名(あだな)される売れっ妓は、老岡っ引小平次の手先として、恐るべき連続女殺しに取り組んでいく……。次々と、五人の女岡っ引が小平次と共に難事件に挑む、連作江戸推理作品集。
  • 結婚の四季
    4.0
    白無垢の花嫁衣裳、ハワイのハネムーン、夢のような蜜月が過ぎてしまったあとに残るものはなに? 家風の違い、嫁と姑、果ては夫の浮気……和子は様々な事件に傷つきながらもひたむきな愛情で立ち向かっていく。新婚1年の和子の愛と惑いの日々を、独特の温もりある筆致で描き爽やかな感動を呼ぶ傑作長編。
  • 老いること暮らすこと
    3.0
    90を越えている母の在宅介護、体力に不安を感じながらの孫のお守り。老いとは七面倒なものだと思いながら、少しずつ甘受する。年を重ねて心に浮かぶのは、よくもここまで生き延びて来たものだという感謝である。主婦業をこなしながらもの書き仕事を続け、活躍し続けるベストセラー作家の興味深い日常。
  • 極楽とんぼの飛んだ道
    -
    直木賞から40年。結婚し、2人の娘の母となる。姑と父親を見送り、孫にも恵まれた。そして今、初めて明かされる創作の秘密。数々の出会い、もの書き人生の楽屋話から生活の綾まで、思わず微笑むエピソードや、心に届く感動がいっぱい。細やかな筆致で綴られた初めての半生記。平岩文学の原点を辿る1冊。
  • 青の背信
    -
    杭州を旅行中の美術記者宗誠一郎は、美貌の実業家黄夫人と知り合い、奇跡の名碗(めいわん)、木ノ葉天目を見せられる。美しい火の芸術に心を奪われ、帰国後その日本人陶工を探すが、一切は謎のまま次々と関係者の死が続く。夢の女と天才陶工の影を追う誠一郎が見た真実は? 激しい情熱と壮大な企(たくら)み、青の3部作完結。
  • 新装版 おんなみち(上)
    3.5
    1~3巻785~847円 (税込)
    明治22年、秋。東海道線で1人東京に出た世津は、静岡随一の格式と規模を誇る茶商・清華堂の箱入り娘であった。親の決めた許嫁を捨て、出入りの茶園の末息子・信吉とかけおちし、約束の宿で落ち合うはずだったが……。運命に翻弄され、求め合いながらもすれ違う2人の生きる道を哀切に描く長編ロマン。
  • 周作塾
    3.9
    金持ちになれる、女にモテる、人生を豊かにする、ツキを呼ぶ――「読んでもタメにならない」とシャレながら、楽しい人生をおくるための機智溢れるヒントを満載して綴る長編エッセイ。諧謔とユーモアをたっぷり詰めこみ、時代の風俗、生きるとは何かについてユニークなメッセージを熱く語る。
  • 自分を好きになる方法
    3.4
    16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。
  • 寂聴相談室 人生道しるベ
    -
    個人的な悲しみは、普遍的な悲しみです――不倫、家庭内暴力、借金、いじめ、新興宗教、自殺、病苦、愛する者との別れ……生きる意味を見失い、絶望視、戸惑う現代人。十年にわたって寄せられた悩みに寂聴尼が真摯に温かく、ときに厳しく直言する。真実の人生を生きる指針を示す、100通の身の上相談。
  • 半径5メートルの野望 完全版
    3.8
    なりたい自分と思い通りの生活を手に入れるには? 世界一周、就職、起業、そして小説家……、夢を常に叶え続ける著者・はあちゅうの答えは「自分の半径5メートルを探して見つけた小さい野望を少しずつでいいから育てるべし!」。迷えるあなたの人生をきっと変える極辛人生指南、文庫完全版で登場!
  • 北リアス線の天使
    3.0
    生涯最後の作品を描くため、老画家・篠崎源一郎は、看護婦の田代由美子と、三陸海岸の名勝・浄土ヶ浜へ逃避行を企てる。その周辺を調べていた私立探偵が東京のホテルで毒殺され、十津川警部も三陸へ。篠崎の妻、絵のモデルとなった謎の美少女、そして女画商。女たちの欲望が渦巻く、旅情ミステリーの傑作!
  • 踊る人形
    3.3
    身体を自在に着脱できる人形男がどこまでも追ってくる! 目的は、自分の生みの親である博士にもう一体動く人形(ゴーレム)を作らせること。これに対し少年探偵隊は、唯一の弱点である頭部内の「命を生む紙」を入手しようとする。しかし、ようやく目にしたのは聞いたのとはまったく違う文字だった! 周到な論理によって構築された極限状況ミステリ。
  • 一〇〇〇ヘクトパスカル
    3.0
    大学生の城山義元は、空を見ていた。やりたいこともなく、ただ友人とつるんで毎日を過ごす。そこに現れたのは"天気オタク"の女の子だった。空が、友人が、猫が、歌が、写真が、彼女と過ごした時間が、義元の上に降り積もる。特別なことは起きない。それはだめなことなのか? 就職活動が始まる。何を話せばいいのか? 漠然と、好きなことをやりたいと思う。それは甘い考えなのか? この小説が、答えだ――。
  • エクソシストとの対話
    3.7
    オカルト的な興味本位の対象として認識されてきた"エクソシスト"。だが、現在イタリアでは、ヴァチカン公認のエクソシストが人々の精神的な闇を癒す存在として、にわかに見直されている。実際に悪魔祓いの儀式にも参列し、数々の"現代のエクソシスト"たる神父を取材。その真実の姿に迫ったノンフィクション!
  • 超高速! 参勤交代
    4.1
    ときは享保20年(1735)初夏、改革の嵐吹き荒ぶ8代将軍吉宗の時代。わずか1万5000石の磐城湯長谷藩に隠し金山の嫌疑がかかり、幕府老中から「5日以内に参勤せねば、藩を取り潰す」と難題をふっかけられた。若殿様以下7名は東国一の忍びの力を借りつつ、陸前浜街道、水戸街道、さらには山野を踏み越え江戸城本丸へ急ぐ。軽量化のため竹光しか持たない一行を阻む公儀御庭番と百人番所の精鋭。湯長谷藩の運命や如何!?
  • 寂しい丘で狩りをする
    3.0
    映画のフィルム・エディターの野添敦子は、かつてレイプされて告訴した押本史夫の逆恨みに脅え、女性探偵の桑村みどりに出所間近の押本の尾行を依頼する。みどりもまた交際していた久我の暴力に苦しめられていた。予想どおり出所するや否や敦子の行方を執念深く調べ始めた押本の足音が刻一刻と迫る……。
  • レジェンド歴史時代小説 庖丁ざむらい 十時半睡事件帖
    4.0
    黒田藩の要職を歴任して、いまは隠居の身の十時半睡(とときはんすい)だが、藩の生き字引として尊敬を集め、藩士がらみのさまざまなトラブルの相談がしばしば持ち込まれる。刀剣マニア同士の悲喜劇、ノミの夫婦にまつわる騒動など、泰平の武士の人間的な側面に対して、半睡が経験にもとづくさばけた"十時さばき"をしてみせる。現代でも大いなる共感を呼ぶ時代小説の傑作。
  • 真田を云て、毛利を云わず(上) 大坂将星伝
    3.4
    豊臣秀吉最古参の家臣を父に持つ毛利勝永は若くして、九州豊前一万石の大名となる。天下統一を成した秀吉は高邁な理想の下、朝鮮に出兵するが……。石田三成の薫陶を受け、豊臣政権の次代を担う器と目された勝永の眼前に、徳川家康が立ちはだかる。戦国の世、志を貫いた男を爽快に描く歴史小説。(『大坂将星伝』改題)
  • あやめ横丁の人々
    4.5
    婿入りの祝言(じゅうげん)の席上、妻に思い人のあることを知った大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。逆上して間夫(まぶ)を斬り捨て、妻女を自害に至らしめた彼は、婚家のつけ狙うところとなり本所「あやめ横丁」に匿(かくま)われる。だが堀に囲まれたこの町ときたら、場所も住人もみな何やら訳ありで……。練達の筆がさえる長編時代小説。(講談社文庫)
  • 誉れの赤
    4.4
    「真田赤備えのルーツはここにあり!いま1番おすすめしたい時代小説です」(歴ドル・小日向えり)/戦場で最も目立つ朱色の具足。武田信玄配下の戦国最強部隊「赤備え」。赤備え山縣隊の一員であった甲斐地侍の勘五郎と幼馴染みの藤太は、長篠の戦いの大敗により、徳川へ主家替えを余儀なくされる。新しい主は赤鬼と呼ばれる井伊直政。戦国の終焉と最後の「赤の遺伝子」を受け継ぐ二人の武士の生き様とは。
  • 謀略航路
    4.0
    激化するシリア内戦に対して派遣された多国籍和解仲介団。だが、彼らの乗った旅客機は謀略により強制着陸させられ、乗員乗客全員が拘束されてしまう。戦火が迫る中、人質救出に送り込まれた元航空自衛隊員たちは、空前絶後の作戦を決行する――。航空軍事サスペンスの旗手が描く、ありうべき世界の危機。
  • パリ20区物語
    4.3
    ノートルダム寺院、ルーヴル美術館のある歴史と文化の香りたかいセーヌ右岸、サンジェルマン・デ・プレのある左岸、パリの街は1区から20区までさまざまな貌(かお)を見せてくれる。暮らしてみてはじめて知るパリの生活──とっておきのパリを、美しい写真とともに送るエッセイ集。今日からあなたもパリの住人に!!
  • 風の歌を聴け
    3.9
    「あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風に生きている」1970年8月、帰省した海辺の街。大学生の〈僕〉は、行きつけのバーで地元の友人〈鼠〉と語り明かし、女の子と知り合い、そして夏の終わりを迎える。過ぎ去りつつある青春の残照を鋭敏にとらえ群像新人賞を受賞した、村上春樹のデビュー作にして「初期三部作」第一作。
  • 1973年のピンボール
    3.9
    「電灯のスイッチを切って扉を後ろ手に閉めるまでの長い時間、僕は後ろを振り向かなかった。一度も振り向かなかった」東京で友人と小さな翻訳事務所を経営する〈僕〉と、大学をやめ故郷の街で長い時間を過ごす〈鼠〉。二人は痛みを抱えながらも、それぞれの儀式で青春に別れを告げる。『風の歌を聴け』から3年後、ひとつの季節の終焉と始まりの予感。「初期三部作」第二作。
  • 「昭和」とは何だったのか
    5.0
    「昭和」という変革の多かった時代。戦争体験者4000人の話を聞いて、昭和前期を検証した昭和史の第一人者に見えてきた真実とは! 昭和史から学ばずに政策を強行する昨今の政治情勢は危険だ。客観的に事実を述べてきた著者の、大本営発表を想起する報道問題から女帝論の歴史的意味までの渾身の問題提起!
  • 昭和史 七つの謎
    3.6
    1~2巻649~715円 (税込)
    史実を知れば知るほど、調べれば調べるほど歴史の闇は深まる。真珠湾奇襲やソ連の侵攻、そして東京裁判の背後にはいったい何が蠢いていたのか? 卓抜な史眼の著者が資料の山にわけ入り、数多くの関係者の貴重な証言を基に昭和史に肉薄。文庫化にあたり新たに原武史氏との対談「昭和天皇の『謎』」も収めた。
  • そして彼が死んだ
    -
    小川の自動車修理工場に大破したポルシェを持ち込んだのは、お喋りでどこか憎めない男、矢部だった。新車同然に直してやった。その腕が見込まれた。闇ルートに事故車を流すブローカーたちが執拗に絡んできた。脅迫じみた仕事を拒む小川。相棒となった矢部が巻き込まれた。逃げ場はない。小川も死地に赴く。
  • 夜が傷つけた
    3.0
    依頼人は若すぎた。義姉の行方を心配する和夫は中3だった。消えたのは、洋子。弁護士の谷道雄がかつて愛した女。兄を殺された和夫は謎の大人たちに殴りつけられた。抜け殻同然だった谷が動き出す。久しぶりの全開に暴れ馬(アルファ・ロメオ)のエンジンも吠える。男の生きた痕跡は躰(からだ)に刻みついた傷だ。北方ハードボイルドの快作!
  • 羊をめぐる冒険
    4.5
    「羊のことよ」と彼女は言った。「たくさんの羊と一頭の羊」「羊?」「そして冒険が始まるの」 故郷の街から姿を消した〈鼠〉から〈僕〉宛に、ある日突然手紙が届く。同封されていた一枚の写真が、冒険の始まりだった。『1973年のピンボール』から5年後、20代の最後に〈僕〉と〈鼠〉がたどり着いた場所は――。野間文芸新人賞受賞の「初期三部作」第三作。
  • 虚空を風が吹く
    -
    江戸、芝居町の雀はおもしろ尽に囁きあった。「妾のたたりだぜ。きっと」……おたふく半四郎、目千両と人気の女形(おやま)四世岩井半四郎の怪死に始まる、大和屋を次々襲う、おぞましくも奇怪な事件……。舞台の花の陰にうごめく女と男の愛憎をミステリアスに捉えた標題作ほか、「かえる役者」「祇園ぎつね」「団十郎の死」「手前味噌」。歌舞伎界の裏を縦横無尽に描いた役者小説集。
  • 秋蘭という女
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    学問の家の神童若江薫子(わかえにおこ)は、紅白粉(べにおしろい)には見向きもしない学者に育ち、攘夷派の浪士たちと悲憤慷慨、新政府に建白書攻勢をかける。時代に逆行する情熱家は危険人物として幽閉され、晩年は失意のうちに放浪したが、その醜貌の下には、女ほんらいの、暖い心が隠されていた。幕末の女志士を描く傑作他8編を収録。
  • 埠頭の風
    -
    幕末から明治の激変期を、熱く描く短編集。日本を追われたシーボルトが、許されて再び長崎港の岸壁を踏んだとき、娘お稲の胸中には……。文明開化の日本人と、訪れてきた異邦人との愛憎を描く傑作短編他。
  • 悲劇の風雲児
    4.0
    木曽の山谷が育てた天性の武人、義仲の31年の生涯。源家の御曹司として平家打倒の兵を挙げ京へ乱入、敗れた平氏は都を捨てる。義仲の権勢の日が始まったが、武力は憚(はば)かられても野人ぶりはからかわれ、後白河法皇の政略に斃れる。無垢な武将の鮮烈な人間性を描く表題作等、史上の英雄8人を描く傑作短編集。
  • 滝沢馬琴(上)
    5.0
    滝沢馬琴の苛酷な生を描く吉川英治文学賞受賞作。「南総里見八犬伝」「椿説弓張月」等で名声を得た馬琴は、保守的で狷介な性格のため人と衝突することも多く、苦しい家計と病弱な家族の煩労も、一身に負っていた。

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