ラフカディオ・ハーンの足跡をたどる旅を、曾孫の凡さんがする。
凡さんは民俗学者だそうだ。
そしてその名前は祖父と親交があったボナー・フェラーズに因っているらしい。
少年時代を過ごしたアイルランド(父の故国)、若いころを過ごしたカリブ海のマルティニーク島。
それだけではなく、母ローザの故郷、ギリシャ
...続きを読むのキシラ島、亡くなったコルフ島まで出かけている。
テレビ番組の企画だったものもあるようだけど。
ハーンにちなむ旅をしながら、その人生が浮かび上がってくる評伝のようなものを期待していたので、ちょっと戸惑ったけれど、これはこれでおしゃれな紀行文として楽しめる。
本が進んでいくと、今度は日本国内のお話になる。
ハーンの妻、説の生い立ち。
彼女が伝えた松江の古い怪異譚も紹介される。
世田谷など移り住んだ場所での、家にまつわる怪異なども面白い。
特に庭に在って住む者に害をなす石物の因縁譚は。
ハーンの言葉(どこか見つからなくなってしまったので、原文通りの表現ではないが)で、愛と想像力が人生において最も重要だ、というのがあるらしい。
すてきな言葉だなあ、と思う。
やっぱり、ハーンの評伝や著書をしっかり頭に入れておかないと、ちょっと読むのがつらいかも。