Posted by ブクログ
2019年09月22日
法医昆虫学捜査官シリーズ第3弾。
荒川河口付近の中州で男性の遺体が発見された。遺体は虫や動物による損傷が激しく、死亡推定日時のみならず身元の特定も困難を極め、有力な手掛かりがないなか捜査は難航する。
解剖医は絞殺後川に遺棄されたと推定するが、法医昆虫学者・赤堀涼子は、蠅の孵化が大幅に遅れていること...続きを読む、胃内部の大量の微生物から全く別の見解を打ち立てる。さらに、頭部の傷に付着したカマキリの足と毛虫の棘状の微物から割り出した驚くべき真相とは。
今回岩楯警部補とバディを組むのは、第1作にも登場したプロファイラーを目指す意識高い系メモ魔の鰐川刑事。赤堀を崇拝するワニさんこと鰐川のメモ帳も2000冊に達し、今回は岩楯への愛さえ臭ってくるところもおかしい。ワニさん、今後の登場も期待できそう。
自称「虫の伝道師」赤堀が小さな違和感から大きな事実を掘り起こす過程も、地道でありながら虫に対する大きな信頼と尊敬が溢れていて清々しく、「筋の通った理由がない限り、この子たち(屍肉食種のハエ)は行動を起こさない。絶対にね。」というとおり、クロバエやオビキンバエにすら信念を感じるようになった私って病気?
3作目ともなると蛆には耐性ができたところ、今回は海洋生物ウミケムシなるものが登場。どれどれとググった私はバカでした。ぎゃ~っ!見るんじゃなかった(*´Д`)
とはいえ、今回もミステリとしては一級品。
「いかにして生を勝ち取るか、自然界はそれがすべて」という言葉なんか見ると、人間はなんて余計なことに煩わされ、命すら落としているんだろうなぁ・・・と考えてしまう何気に深い作品なのでした。