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片田舎での暮らしをきらう高校生の奈緒は、東京から越してきた亜矢子と親しくなる。しかし、それを境に村の空気は一変し、亜矢子の口数も少なくなってしまう。疑念を抱く奈緒は、密かに彼女の自宅に忍び込もうとするが……。解説・西上心太。
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Posted by ブクログ
読んでる最中「これ百合か?」 読み終わった「百合だった…」 老人たちの相互監視で固められた田舎に、よそ者は嫁でさえ拝んではいけない地蔵とそれへの強固な信仰。そんな旧態依然とした村に美しい一家がやってくる。村を疎む奈穂はその一家にいる同い年の女の子、亜矢子と仲良くなっていくけれど、しかしそれと同時に...続きを読む老人たちの行動がどこかおかしくなっていく。っていう因習村ホラー。 因習村と百合が好きで手を出したも、中盤くらいまでは百合じゃねーじゃんって思ってた。 わたしはただ女の子同士が仲良くしてるだけのものを百合って言いたくないのでな…けどラストで評価ガラッと変わる。 絶対こんな村住みたくないってくらいイヤな村で奈穂の選択もモヤモヤするものではあったけど、でも雰囲気とあの結末が好き…。 百合って言ったけど惚れた腫れたみたいな話ではなく愛憎的なかんじなやつで、すごい好みだった。奈穂と亜矢子はあのじっとりした村と同じくがんじがらめになって離れられかなりそうだよね。あ〜〜ッ良! それに竹藪やまとわりつく蒸し暑さの描写がよかったし、老人たちはいったいなにを隠しているのか?地蔵とは?って謎が気になって隙間時間にページを夢中でめくったくらいおもしろかったです。 けど村についてはとりあえずもう二度とよそから嫁もらうな。淘汰されろっては思いました。そんなに恨みが怖いくせになんで代々おんなじことやってんのかね…。土地を守ろうという気持ちはわかれど所詮は他人事なのでアホらしくも感じるわ。 んで結局逆さ吊りの女はいったいなんだったんだ。
うらんぼんの夜
最初は福島の山の中の集落に根付く因習、風習の何と閉鎖的で一体誰が最初にこの様な風習を始めてしまったのだろう?と疑問。それを疑う事なく護り続ける部落の人間達。私も田舎暮らしなので嫁に来た頃は信じられない習慣が多々あった。が、コロナによって簡素化されたり無くなったりした。高校生である主人公のあがきが痛い...続きを読むほどわかった。口では反抗的だが、かなり優しい。最後は怖かった。
#怖い #共感する
川瀬七緒『うらんぼんの夜』朝日文庫。 昨年末から書棚代わりのカラーボックスに長らく積んでいたのを忘れていた。 古くから続く因習に縛られた福島県の寒村を舞台にした怪しい雰囲気の小説。ホラーなのか、ミステリーなのか、はたまた青春小説なのか、判然としないままにストーリーは展開していく。読み進むうちにホ...続きを読むラーのテイストがやや強いかなと思ったのだが、最後に全てを覆すような結末が待ち受けてた。 福島県の寒村に暮らす女子高生の遠山奈穂は集落に古くから続く因習と束縛的な人間関係を苦痛を感じ、将来は村を出たいと強く願っていた。そんな中、奈穂は東京から村に移り住んで来た北方家の末娘である亜矢子と友達になる。亜矢子は精神的な病に苦しむ母親と兄と姉との4人暮らしで、何か秘密を抱えている様子だった。 他所者を徹底的に排除しようとする村の老人たち。そして、日増しに強くなる村の老人たちの亜矢子に対する風当り。それと並行して起きる奇怪な事件の数々。老人たちが大切に護って来た古い地蔵の周りの板や鈴が破壊されたり、徘徊老人が釜を持って廃墟に立て籠もったり、駐在が増水した川で溺死したりと様々な事件が起きる。 やがて奈穂は村の長老である大婆から村に伝わる古い地蔵の話を聞かされ、奇怪な事件の正体を知ることになる。しかし、さらなる驚愕の真実が奈穂を待ち受けていた。 田舎というのはなかなか厄介だ。特に昔から続く風習や面倒臭い人間関係が嫌になる。昨年の春に隣近所に家も商店も無いポツンと一軒家に移住した。そんな田舎でも町内会的な地域の班があるようで、半ば無理矢理10軒の班に入れられた。自分の家は他の家とは歩いて15分とかなり離れているのだ。後に班長から渡された班員名簿を見ると、自分以外の10軒全てが同じ苗字であることに驚いた。しかも余り馴染みの無い苗字で、親戚関係は無いのだと言うからさらに驚いた。 本体価格900円 ★★★★
主人公の女子高生、奈穂は田舎の農家育ちで、村の老人たちの古臭い思考や意味のわからないしきたりに辟易としながら農業の手伝いをする毎日をすごしている。 ある日村の空き家事業を利用して東京から一家が移住してくる。末娘の亜矢子と奈穂は同い年で高校も一緒になるとあって意気投合するが、村の老人たちは都会からの移...続きを読む住者にいい顔をしない。 田舎のしきたりを知らず苦労しながらも奈穂の助けを受けて村に馴染もうとする亜矢子と、亜矢子たち一家に嫌がらせととれる行為をはたらく村人たち、そしてそんな村の老人たちを心底恥じている奈穂。 よくある地方の移住トラブルのような話だが、村の地蔵信仰がほんのり不気味さを感じさせる。 終盤は怒涛の急展開。まさにどんでん返し。 奈穂の選択も少し予想はできてたけど、そうなるのか…! 村や農家に対する不満タラタラなわりに実際は農業に前向きに取り組んでいる様子だったし、老人たちの古い考えにうんざりとはしていたけど村そのものは心から嫌ってるわけではない感じだったけど、村を守るためのあの選択は皮肉だな…と。 亜矢子のその後も気になるところ…
因習に満ちた田舎町で、鬱屈した青春を送る女子高生の愚痴が大半を占めるお話だから、読んでいて楽しいと言うわけではない。それなのにページを繰る手が止められないのは、謎に満ちているから。得体の知れない地蔵信仰という、この手が好きな人にはたまらないネタに、自然の異常、老人たちのとる不可解な行動。そして主人公...続きを読むが肩入れする転校生の少女も秘密を抱えていて、信頼できない。五里霧中なほどに散りばめられた謎が一気に解かれていくクライマックスは快感。謎解き要素が強いホラーミステリが好きな人には嵌まると思う。ラストの不気味さにはうなじの毛が逆立つ。
女子高生の奈穂を通して知る田舎の集落の排他的な閉塞感に辟易、根強い男尊女卑に縛られる村の窮屈な日常が何も起こらないうちからもう既にホラーだった。他所からの嫁大事にした方が手っ取り早いんじゃなかろうか。 村社会の嫌な部分しか見えないが、奈穂の賢明な冷静さ、曾祖母や祖父母が時折見せる孫への厳しくも深い愛...続きを読む情に救われる。 意外な展開を見せる奈穂と転校生の亜矢子との友情に感じたのは本編を前にした前日譚の終わりの始まりのようなゾクワク感。怖さと破滅を感じさせながら、この先の二人の生き方を知りたくなる幕切れも意外な魅力。
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川瀬七緒
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