小説作品一覧

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  • 目で見ることばで話をさせて
    3.9
    わたしは物語を作るのが好き.11歳の少女メアリーは,島のだれとでも手話で話し,いきいきと暮らしています.一方馬車の事故で死んだ兄さんのことが頭を離れません.ある日傲慢な科学者に誘拐され,ことばと自由を奪われて…….手話やろう文化への扉を開く,マーサズ・ヴィンヤード島を舞台にした歴史フィクション.

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  • 書楼弔堂 待宵
    4.1
    舞台は明治30年代後半。鄙びた甘酒屋を営む弥蔵のところに馴染み客の利吉がやって来て、坂下の鰻屋に徳富蘇峰が居て本屋を探しているという。 なんでも、甘酒屋のある坂を上った先に、古今東西のあらゆる本が揃うと評判の書舗があるらしい。その名は “書楼弔堂(しょろうとむらいどう)”。 思想の変節を非難された徳富蘇峰、探偵小説を書く以前の岡本綺堂、学生時代の竹久夢二……。そこには、迷える者達が、己の一冊を求め“探書”に訪れる。 「扠(さて)、本日はどのようなご本をご所望でしょう――」 日露戦争の足音が聞こえる激動の時代に、本と人との繋がりを見つめなおす。 約6年ぶり、待望のシリーズ第3弾! 【目次】探書拾参 史乗 探書拾肆 統御 探書拾伍 滑稽 探書拾陸 幽冥 探書拾漆 予兆 探書拾捌 改良
  • 僕は美しいひとを食べた
    4.3
    人を喰うことは、常に神を喰うこと  私たちは神への深き愛ゆえに、神との融合を求めて聖餐を催し、その血肉に見立てたパンと葡萄酒を体内に取り込んで恍惚とする。だとすれば、兄弟たる人間へのフィリアゆえにその肉体を貪る行為も、貴き愛と呼べるだろう......  なぜ男は「美しいひと」を食べたのか。全篇にちりばめられた、古今東西の食人にまつわる膨大な逸話の引用から浮かび上がる、「真実の愛の行為」としての食人の姿とは。この、妖しい輝きを発する告白体の小説こそ、カニバリズム文学のイデアへの最接近を果たした奇書と呼んでも過言ではない。
  • 天下大乱
    4.6
    「生々しく蘇った関ヶ原の戦い。これぞ本物。堂々たる名作誕生だ!」(ブックジャーナリスト・内田剛氏)。ついに徳川家康率いる東軍と毛利輝元を総大将とする西軍が関ヶ原で対峙する……。最新史料を駆使し、家康&輝元2人の視点で描く戦国歴史巨編。
  • ある女
    4.0
    母が死んだ。 十二歳で学校を辞めて工場で働き、父と結婚した後は、共に店を切り盛りしていた母の人生。自分の子供に少しでも良い教育をと子どもの数は一人にし、教育にお金をかけてくれた母。そんな母の誇りは、一人娘が教員免許をとり、知識階級の仲間入りを果たしたことだった。やがて忍び寄る病魔の影。母はアルツハイマー病になっていた。母を引き取り介護に明け暮れるが、自分一人では母の面倒を見切れず、養老院に預けることに――。 フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した著者が、自らの母親の人生と、母が娘に託したものを綴る、自伝的小説。
  • 彼女は水曜日に死んだ
    4.1
    ギャングの少年による殺人を目撃した女性は、報復を恐れて通報できず、苦悩する……(「ベイビー・キラー」)。1899年のフランス。8人の子供を殺して監獄に入れられた囚人と看守の、奇妙な交流の行方は……(「ボルドーの狼」)。メアリーローズは水曜日に死んだ。売人の家で麻薬を打った直後に死んだという。キャンベルは愛する人が死んだことで、世界の一部も死んでしまったような気がした……(「本能的溺水反応」)。メキシコとの国境地帯で大規模な山火事が起こる。密入国する途中で火事に巻き込まれたらしい親戚を探すという父親に連れられ、少年は荒野に足を踏み入れるが……(「灰になるまで」)。目撃者、看守、前科者、薬物中毒者、密入国者の親戚──。さまざまな形で犯罪に関わりを持ってしまった人々の孤独と希望を、美しく切なく真摯に描く。英国推理作家協会(CWA)賞最優秀短編賞受賞作ほか全10編収録の傑作短編集!/【目次】悪いときばかりじゃない/ベイビー・キラー/ボルドーの狼/万馬券クラブ/夕闇が迫る頃/本能的溺水反応/聖書外典/すべてのあとに/甘いささやき/灰になるまで/謝辞/解説=杉江松恋
  • リバー
    4.2
    《「本の雑誌」が選ぶ2022年度ベスト10 第一位!》 同一犯か? 模倣犯か? 群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見! 十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。 かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。 娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。 若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。 十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか―― 人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!
  • ムーミン谷のしあわせレシピ
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「気持ちのいいものは、なんだっておなかにもいいのよ」(ムーミンママ) ムーミン谷のやさしさに包まれた、キャラクターたちにちなんだ楽しいメニューが満載。 名言と美しいさし絵入りで、85の北欧料理レシピをどうぞ! ●著者紹介 トーベ・ヤンソン 絵と引用文 画家・作家。1914年8月9日フィンランドの首都ヘルシンキに生まれる。父は彫刻家、母は画家という芸術一家に育ち、15歳のころには、挿絵画家としての仕事をはじめた。ストックホルムとパリで絵を学び、1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。国際アンデルセン大賞、フィンランド国家文学賞受賞。おもな作品に「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)のほか、『少女ソフィアの夏』『彫刻家の娘』などがある。2001年6月逝去。 末延弘子 訳 東海大学文学部北欧文学科卒業。フィンランド国立タンペレ大学フィンランド文学専攻修士課程修了。白百合女子大学非常勤講師。『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』など、フィンランド現代文学、児童書の訳書多数。2007年度フィンランド政府外国人翻訳家賞受賞。 ●主な内容 ムーミンママのロールキャベツ スナフキンのさすらい煮こみ ミムラのむすめのびっくりスープ ムーミンパパ流ヤンソンさんの誘惑 ちびのミイのさかさまこけももケーキ ムーミン谷の地下室のベリージャム など。
  • プリンシパル
    4.0
    1巻2,310円 (税込)
    1945年、東京。大物極道である父の死により、突如、その「代行」役となることを余儀なくされた綾女。大物議員が巡らす陥穽。GHQの暗躍。覇権を目論む極道者たちの瘴気……。綾女が辿る、鮮血に彩られた謀略と闘争の遍歴は、やがて、戦後日本の闇をも呑み込む、漆黒の終局へと突き進む! 脳天撃ち抜く怒濤の犯罪巨編、堂々開幕。
  • 旅する少年
    4.3
    1巻2,310円 (税込)
    1973年、12歳の少年は、熱に浮かされたように、日本全国への旅を始めた。デゴイチ(D51)やシゴナナ(C57)と呼ばれた、消えゆく蒸気機関車を追いかける旅の中で、少年は「忘れえぬ人びと」「忘れえぬ風景」と出会う。中学卒業までの4年間に繰り返した旅を通して、少年の「世界」は広がっていく。著者初めての回想記。
  • ひとりの双子
    3.5
    アメリカ南部。小さな村を飛び出し、都会をめざす16歳の双子。より多くを望んだ姉は挫折とともに実家に出戻り、妹は出自の秘密に怯えながら裕福に暮らす。もう交わらないはずの2人の運命だったが――。アメリカで125万部突破、オバマ前大統領が薦める一冊
  • タフィー
    4.2
    父さんの暴力から逃れ,家を飛びだしたアリソン.古い家の納屋に身を隠すが,家主のマーラという老女に見つかってしまう.認知症のマーラは,彼女を昔の友人・タフィーと間違えているようで――.孤独を抱えたふたりが出会い,思いがけない同居生活がはじまる.カーネギー賞作家が詩でつむぐ,友情と再生の物語.

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  • サラバ 上・中・下巻 合本版
    4.3
    第152回直木賞受賞作、待望の電子化!『サラバ』上・中・下合本版!!  僕はこの世界に左足から登場した――。  圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。  そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。
  • ゲストリスト
    3.8
    アイルランド沖の孤島で、メディアの寵児の結婚式が行われる。だが式の最中に停電が発生し、そして死体が発見された! 外は嵐、本土の警察はすぐに来ることはできない……。複数の視点、入れ替えられた時系列で巧みに構成された現代版「嵐の孤島」ミステリ。
  • 寒慄【かんりつ】
    3.3
    アルプスの山中で開催されたスノーボード選手権で、女性選手サスキアが姿を消した。十年後、当時の関係者のミラは四人の元選手とこの地で再会する。喜びもつかの間、ホテルで見つけたカードが雰囲気を一変させた。“サスキアを殺した”――ホテルは孤立し、彼らは疑心暗鬼に陥っていく。密室状況のサスペンスを描く傑作
  • 空の王
    3.0
    1巻2,310円 (税込)
    昭和11年夏、満洲国・奉天の街。新聞社の飛行士・鷲尾順之介は、殺人事件に端を発した銃撃戦に遭遇し、謎めいた美貌の歌手・宋麗淋を偶然助けた。それは運命の出会いだった。一方、関東軍参謀本部の梶清剛大尉は、同志とともに「ある計画」を遂行していた。そして、彼らの運命の糸は複雑に絡み始める――。ライバル社の行方不明機を発見した順之介は、突如現れた梶から銃を突きつけられる。内蒙古で「荷物」を引き取り、空輸しろと命令されるのだが……。否応なく操縦桿を握り、空へ上がった彼を待つ運命とは? そして、次々と明らかになる、驚愕の真実とは!? 壮大なスケールで描く冒険エンタテイメント!!
  • 探偵になんて向いてない
    3.7
    1巻2,310円 (税込)
    離婚、失職の果てに路頭に迷った中年の権藤は、友人のカゲヤマに拾われ私立探偵を始めるよう命じられる。即席の素人探偵だというのに、余命わずかな美女・岩澤めぐみから「最期に会いたい人」を捜すよう頼まれてしまった権藤は、必死に調査を始めるが――。悲喜交々な人生を丸ごと抱きしめたくなる、ユーモアたっぷりの探偵物語。
  • 帰らざる故郷
    3.9
    1972年、アメリカ。ベトナム戦争中に海兵隊を不名誉除隊させられ刑務所にいた兄と、数年ぶりに再会した弟。しかし、町で起こるある惨殺事件が、彼らを引き離す――戦争が人々の心に残した傷跡、そして兄弟の絆を描くクライム・フィクション。解説/吉野仁
  • 花の子ども
    3.9
    母が遺した珍しいバラを持って、僕は出発する。めざすは、外国の庭園。でも旅はトラブル続き。機内で腹痛にもだえ、森でさ迷う。当の庭園は荒れ果て、意外な客が現れる。僕と一夜だけ関係をもった女性が、赤ん坊を預けにきたのだ。父親ってどうなればいいの?
  • 30年目の待ち合わせ
    3.3
    1989年パリ。20歳のアメリはヴァンサンに恋をする。だが待ち合わせの日、二人はすれ違ってしまう。再会は10年後、彼は結婚していた。彼女も家庭を築くが、人生を間違えたのではないかという思いが消えず、20歳の記憶は輝きを増す。そんな彼女の前に彼が現れ……
  • 理不尽ゲーム
    4.1
    欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を、小説の力で暴く。群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。10年後の2009年、奇跡的に目覚めたツィスクが見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。時間制限付きのWi-Fi。嘘を吐く国営放送。生活の困窮による、女性の愛人ビジネス。荒唐無稽な大統領令と「理不尽ゲーム」。ジャーナリストの不審死。5年ごとの大統領選では、現職が異常な高得票率で再選される……。緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。
  • 黒魚【クロウオ】都市
    3.0
    感染症〈ブレイクス〉が流行している北極圏の街クアナークでは、さまざまな事情を抱えた人々が暮らしていた。そこでなかば伝説として語り継がれるのは、シャチやホッキョクグマといった動物と意識を共有し一体になれる女の物語だった。キャンベル記念賞受賞作
  • リラとわたし ナポリの物語1
    4.5
    本好きで真面目なエレナと、天才的な頭脳を持つ反抗児リラ。十歳で出会ったふたりは、惹かれあい、反発しあいながらも、変わりゆく1950年代のナポリで成長していく。ジュンパ・ラヒリをはじめとする多数の有名作家・書評家を熱狂させた波瀾万丈な友情の物語!
  • 家族をさがす旅 息子がたどる父の青春
    -
    1巻2,310円 (税込)
    父が緊急入院した!駆けつけた病院で聞かされたのは、父の容体と、異母兄の存在だった。その日から、見知らぬ家族、岩波映画で映画を作っていたという父の青春を辿る旅が始まる……。看護をきっかけに初めて見えてきた父の人生とは、なんだったのか。現役証券マンによる渾身のノンフィクション。

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  • 今昔物語集 天竺篇 全現代語訳
    -
    成立は12世紀、平安末期と言われる。本朝(日本)、天竺(インド)、震旦(中国)、すなわち当時認識していた全世界に伝わる仏教譚を集めた類聚説話集。本巻の舞台は天竺。釈尊の生涯や伝説、修行、各種霊験、因果応報……綿々と伝わる教えを壮大なスケールで、ときにユーモラスに展開する。講談社学術文庫刊『今昔物語集』(一)~(五)より現代語訳を抽出し、一冊に再編集。
  • カート・ヴォネガット トラウマの詩学
    -
    1巻2,310円 (税込)
    カート・ヴォネガットは、20世紀後半のアメリカで、多くの読者に愛され、日本でも翻訳が多く出版され、読まれている作家である。 本書では、第2次世界大戦のドレスデン無差別爆撃を体験したヴォネガットのトラウマとの戦いの歴史をたどりながら、包括的に批評する。 長編小説を出版された順に論じ、ヴォネガットのトラウマとの関わりかたの変化を、多くの先行研究をもとに紐解く。 巻末には、豊富な文献リストを簡明な説明を付して掲載。
  • 狂人遺書
    -
    1巻2,310円 (税込)
    安吾の「本当の凄さ」は歴史小説にある― 群雄割拠の戦国時代、道三、信長から秀吉、家康に至る<安吾版戦国武将列伝>!
  • カルカッタの殺人
    3.8
    一九一九年、英国領インド。政府高官の謎めいた殺人事件を赴任したばかりの英国人警部ウィンダムと優秀なインド人部長刑事バネルジーが追う。英国諜報部と現地実業家、そして暴動の影が……英国推理作家協会賞ヒストリカル・ダガー受賞の傑作歴史ミステリ登場
  • 私のイサベル
    4.3
    20年前に失った娘を忘れられないステラ。父を亡くして深い孤独を抱える女子大生のイサベル。愛ゆえの行動が娘を怒らせてばかりのイサベルの母シャスティン。偶然と悪意が絡み合い、ふたりの母親とひとりの娘がついに出会うとき、恐ろしい真実が明らかになる。
  • ウラミズモ奴隷選挙
    3.0
    1巻2,310円 (税込)
    男尊国にっほんで側室奴隷の子として生まれ、女尊国ウラミズモに移民した市川房代は、男性保護牧場歴史資料館の責任者となり、館内で「保護」する性犯罪者たちの生死を委ねられていた。請願、要求も房代に集中する激務の中、警視総監、法務大臣を輩出する白梅高等学院の少女たちに銃で脅され、にっほんの少女遊廓からの訴えをきき、死者のメールに耐え…。そんなある日、齢数千年の石の女神が訪れ…。自由か、死か―女性たちの存亡を賭けた闘いが、いま幕を開ける!
  • インヴィジブル
    4.0
    一九六七年ニューヨーク。文学を志す大学生は、禁断の愛と突然の暴力に翻弄され、思わぬ道のりを辿る。フランスへ、再びアメリカへ、そしてカリブ海の小島へ。章ごとに異なる声で語られる物語は、彼の人生の新たな側面を掘り起こしながら、見えざる部分の存在を読む者に突きつける。事実と記憶と物語をめぐる長篇小説。
  • 【合本版】プリズンホテル 夏・秋・冬・春
    -
    極道小説で売れっ子になった木戸孝之介の身内で、ヤクザの大親分の仲蔵が、温泉リゾートホテルのオーナーになった。招待された孝之介は驚いた。なんとそのホテルは任侠団体専用だったのだ。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ。さまざまな人たちがこのホテルで交差する。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家などなど、奇妙な人々が繰り広げる、涙と笑いの物語。
  • 影の子
    3.7
    1975年2月、東ベルリンの〈壁〉に接した墓地で、少女の死体が発見される。現場に呼び出された刑事警察の女性班長ミュラー中尉は衝撃を受ける。少女の顔面は破壊され、歯もすべて失われていたのだ。しかも現場にはいち早く国家保安省(シュタージ)のイェーガー中佐が来ており、やがて異例のことながら事件の捜査がミュラーたちに命じられる。やはり背後には何かがあるのか? 彼女の捜査は、知らず知らずのうちに国家の闇に迫っていく……冷戦時代、鉄のカーテンの向こう側の事件を描いた傑作。
  • エヴァンズ家の娘
    3.5
    ジャクリーンは親族から相続した湖畔の家に移り住む。この家では数十年前にある事件が起こったようだが……。過去と現在、交互に描かれる二つの物語は一族の秘密へと繋がっていく。ストランド・マガジン批評家賞最優秀新人賞受賞/MWA賞最優秀新人賞候補作
  • 特捜部Q―自撮りする女たち―
    4.0
    特捜部Qに閉鎖の危機が訪れる! 検挙率の上がらないQには周囲から厳しい目が注がれていた。そんな中、王立公園で老女が殺害される事件が発生。さらには若い女性ばかりを襲うひき逃げ事件が――。次々と起こる事件に関連は? 一方、ローセは苦悩の淵に……。
  • アイリーンはもういない
    3.5
    私の名はアイリーンといった。あるクリスマスイブの夜まで……。少年用の矯正施設の事務員として単調な日々を過ごす私。だが、魅惑的な女性レベッカに出会い、私の人生は劇的に変わる。鋭い観察眼と容赦ない筆致で黒い感情を掻き立てる、ブッカー賞最終候補作
  • 壊れた世界で“グッドライフ”を探して
    3.8
    シンプルな生き方は簡単じゃない。シンプルですらない。格差を生み出し続ける資本主義と、搾取や地球環境への負荷を生み出す行き過ぎた消費社会から積極的に抜け出し、ローカルやコミュニティの価値を重視する、倫理的で自由な生き方は本当に可能なのか!? 『スエロは洞窟で暮らすことにした』の著者最新作。
  • 終わりなき道
    3.5
    刑事のエリザベスは、少女監禁犯を拷問の上、射殺したとして、激しい批判にさらされていた。州警察が調査に乗り出すが、彼女には真実を明かせない理由が……。同じ頃、エリザベスの元同僚の警官が刑務所から釈放される。ある女性を殺した罪を認め服役していたのだ。だが、エリザベスは尊敬する彼の潔白を信じていた。男はうその証言をしたのか? ――様々な秘密を抱えた女と男の道はやがてひとつに繋がり、信じがたい邪悪の存在を暴く! アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)二冠作家が圧倒的筆力で放つ傑作巨篇。
  • 季語別片山由美子句集
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ◆季語別句集シリーズ 「雨の歌」「水精」「天弓」の既刊句集、および「天弓」以後平成9年までの作品を季語によって分類して収録。作品理解の上で更に役立ち、実作者にとっては季語を通して俳句を学べる格好の一書。
  • エヴェレスト 神々の山嶺 電子特別合本版
    -
    1巻2,310円 (税込)
    登攀史上最大の謎の鍵を握る古いコダックを手に入れた深町誠は、カメラに誘われるように孤高の登山家・羽生丈二に出会う。山岳小説の金字塔に、関連本を加えた豪華合本版。特典として著者の撮り下ろし写真を収録! ※本電子書籍は、角川文庫「神々の山嶺 上」、「神々の山嶺 下」、「ヒマラヤ漂流 『神々の山嶺』へ」、角川書店単行本「作家の履歴書 21人の人気作家が語るプロになるための方法」より夢枕 獏の章を抜粋し収録したものに、電子版特典として未収録写真を加えた電子オリジナル合本版です。
  • 特捜部Q―吊された少女―
    3.9
    引退間際の警官からかかってきた一本の電話は、カールたちQのメンバーを十数年前に起きた異常な交通事故の捜査へと導くのだが……。デンマークの人気警察小説、第六弾!
  • 妻への家路
    -
    自分勝手に生きた男と寄り添う妻。文化大革命で逮捕された男が特赦で妻のもとに帰ると、妻は男の記憶だけ失くしていた。妻は夫を目の前に、ひたすら夫を待ち続ける……。2011年中国ランキング1位の感動巨編!
  • サンドリーヌ裁判
    3.7
    大学教授の夫が大学教授の妻を殺害? 殺されたとされる史学教授のサンドリーヌ、彼女はその誠実さで誰からも慕われていた。一方、夫の英米文学教授のサミュエルは、自信の知識をひけらかし周囲をいつもみくだしていた。彼は無実を訴え、証拠も状況証拠にすぎなかった。しかし町の人々の何気ない証言が、彼を不利な状況へと追い込んでゆく。やがて、公判で明らかになるサンドリーヌの「遺書」。書かれていたのはあまりに不可解な文章で……妻と夫の間に横たわる深く不可解な溝を、ミステリアスに描き出したサスペンス。
  • アンダルシアの友
    5.0
    シングルマザーのソフィーは、物静かで魅力的な男ヘクトールとの運命的な出会いを契機に、突如国際的なマフィア抗争の渦中に放り込まれる――スウェーデン発のハイスピード・クライム・スリラー
  • 大工職人噺
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 関東大震災後の東京で、少年は大工の徒弟となる。少年の大工への夢と迷いと誇り。一徒弟の人間としての成長記。

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  • イエロー・バード
    3.5
    その春、戦争は自分らを殺そうとした。イラク、アル‐タファル。21歳の三年兵バートルは、18歳の初年兵マーフィーを無事に故郷に連れ帰ると約束していた。しかし、凄惨を極める戦闘を次々と経験していくうちに、二人は予期せぬ運命をたどることになる。イラクで戦うとはどういうことだったのか。元兵士が戦争に直面した若者たちの感情を、痛切に、瑞々しく描いたデビュー作。 兵士の鮮烈な成長譚でもあり、イラクの戦場で生き残ろうとする二人の青年の友情の物語でもあり、無垢の喪失と記憶の意味を語る哲学的な寓話でもある。並外れた作品だ。――ミチコ・カクタニ(《ニューヨーク・タイムズ》紙) 必読の書だ。イラク戦争をリアルに描いているからというだけではない。その不名誉と理解しがたい暴力から、弱々しくはあるが確かに生きている人間性の証を紡ぎだしているからだ。――《ガーディアン》紙
  • 兵士たちの肉体
    -
    アフガニスタンに派兵されたイタリアの若者たちの孤独、性、葛藤を瑞々しい筆致で描きながら、現代の矛盾に鋭く迫る二十一世紀の戦争小説。世界的ベストセラー『素数たちの孤独』著者の最新長篇。 灼熱の大地の真ん中、アフガニスタンの紛争地域に派兵されたイタリア軍の若き兵士たち。危険ではあるが、たった数カ月の任務のはずだった。故郷から逃げだしてきた者、ひとりぼっちの母親を残してきた者、妊娠した女を残してきた者、オンライン上の仮想恋人に依存する者……それぞれの事情を抱え、孤独を噛みしめ、性をもてあます彼らの中には、愛情と憎しみが芽生えつつあった。そして、ようやく任地に慣れてきた頃、その後の人生を大きく変えることになる、忘れえぬ出来事が起こった――。 砂漠への強行軍にのぞんだ若者たちは、何を見たのか? 世界的ベストセラー『素数たちの孤独』の著者が紡ぐ、21世紀の新しい戦争文学。
  • 石森史郎シナリオ集「再会-パゴダに虹の燃える日」
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 脚本界の大御所、石森史郎のシナリオ生活50年メモリアル自選シナリオ集。「晩鐘」「旅の重さ」「同棲時代」「青春デンデケデケデケ」「再会-パゴダに虹の燃える日-」などの作品を収録。森田健作との対談も収める。

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  • アラビアンナイト別巻
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 ここに収める2話は,本文庫に全18巻として収載された定本にはない,別のアラビア語原典から訳出したもの。「開け,ゴマ!」と,タンバリンを打って踊る美少女の物語は,世界中で親しまれている。

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  • 大本神諭天の巻
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 幕末に丹波の福知山に生まれ,大工の夫に先立たれて生活の辛酸をなめつくした出口ナオは,明治25年,突然神がかりとなり,神政による理想の平和世界の実現を説く。本書はその大本教義の真髄を伝える。本巻は,明治25年から大正7年までの「筆先」。解説を付す。

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  • 京都守護職始末 1
    -
    1~2巻2,310~2,530円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 歴史は偽造されてよいか? 薩長の「力」によって明治維新は成立したが,それは孝明天皇の心意にそうものではなかった。その誠実さゆえに裏切られた旧会津藩士がつぶさに語る動乱の幕末史。第1巻は,文久2年(1862)から翌3年まで。巻末に解説を付す。

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  • 東洋金鴻
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    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 元外国奉行で隠居の身の川路聖謨は,中風の身を養いつつ,英国へ留学した孫の太郎にあてて日記を書き送る。幕末動乱の只中,世情不安,物価高騰の風聞につけ,半身不随を嘆き,幕府に殉ずる決心をする。

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  • 松本順自伝・長与専斎自伝
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    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 幕末・明治期の2人の医師の自伝。松本は長崎でポンペに学び,幕府の西洋医学教頭と将軍侍医を兼ね,明治期には初代軍医総監となった。長与は松本についてポンペに学び,日本の医事衛生を創始した。

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  • むかしばなし
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 江戸時代女流随筆の傑作。真葛は,『赤蝦夷風説考』の著者工藤兵助の娘で,父の友人の蘭学者たちや,娘時代をすごした天明期前後の江戸の風物を細やかに描きだす。旅行記「磯づたい」も付載。

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  • 洛陽伽藍記
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 6世紀,ありし日の北魏の都,洛陽。荘厳な伽藍を誇った寺院のかずかずを舞台とし,政治,経済から社会,民俗,学芸まで,当時の文化万般にわたる大パノラマが展開される。

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  • 中国革命の階級対立 1
    -
    1~2巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 みずから革命の渦中に身を投じたユニークな研究者鈴江言一の労作。1930年の中国の諸階級を科学的に分析し,それらが果たす歴史的役割を追究する。初版の伏字は,原資料によって復活させた。第1巻は,第1章・軍閥および官僚,第2章・地主,土豪,劣紳ならびに農民,第3章・ブルジョアジー,帝国主義。

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  • 維摩経
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 聖徳太子の『維摩経義疏』以来,日本大乗仏教の発展にもっとも大きく寄与したこの経典は,在家の信者維摩を中心とした仏と菩薩と人間の壮大なドラマである。空・禅・念仏の入門書。

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  • 東西遊記 1
    -
    1~2巻2,310~2,640円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 医者で文人だった橘南谿が,天明2年(1782)から6年にかけて,日本国内を旅した記録。諸国の人情・地理・風俗・奇譚を伝える書としてつとに名高い。刊行された正・続●に,写本にのみ載る章を補遺。第1巻は,東遊記,東遊記後編,および補遺を収める。巻末に解説を付す。

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  • 東都歳事記 1
    -
    1~3巻2,310~2,530円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 江戸末期の絵入り年中行事記。『江戸名所図会』を完成した神田雉子町の名主斎藤月岑が,雪舟系の絵師長谷川雪旦との名コンビで描く江戸年中行事文献の傑作。挿絵すべてを収め,詳細な注を付す。第1巻は,正月から三月まで。

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  • 歎異抄・執持抄・口伝鈔・改邪鈔
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 親鸞のふかい哲学的思索と純粋な阿弥陀信仰は,その後,かえって異端を生じようとした。生前の親鸞の信仰をとおして正統を守ろうとする人びとによって説かれた,親鸞の真意を伝える苦悩の書。

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  • 菅茶山と頼山陽
    -
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 江戸後期の備後の儒者で,『黄葉夕陽村舎詩』で知られる菅茶山。一時期,彼が主宰する廉塾の塾頭をつとめ,のち京都で活躍して『山陽詩鈔』をのこした頼山陽。ふたりの詩人の生活と詩文を,平明洒脱な散文で語りつくした評論。

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  • 昨日は今日の物語
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 わが国笑話集の祖といわれる本書は,『醒睡笑』とともに江戸初期に成り,その戦国時代的な肉体観と艶笑性のゆえに,長く通人に愛好されてきた。詳しい訳注で類話をあげながら世に問う笑話の原点。

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  • 大津事件日誌
    -
    1巻2,310円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 明治憲法施行の翌年,来日中のロシア皇太子刺傷事件が突発した。この時,法をまげて極刑を加えよと強要する政府の圧力に敢然と抵抗,司法権を守った大審院長児島惟謙の反骨の記録。

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  • 詩人のラブレター
    -
    1巻2,304円 (税込)
    ◆ふらんす堂ホームページ連載コラム、待望の書籍化! ―伝えたい言葉― ボードレールやランボー、マラルメ… 詩人たちからあなたへの素敵なラブレター ◆収録作品より そこ深い 池の鏡に 映る影、 その黒い柳に 風は泣き…… さあいまは、夢みる時。 (詩集『よい歌』 第六歌 渋沢孝輔訳 ポール・ヴェルレーヌ「(白い月)」より) ◆著者あとがきより 書いていくうちに大学で勉強したフランス語の詩人だけでなく、子供時代に知り、ずっと記憶に残っているフランス以外の歌やフレーズも抑えがたく浮かび上がってきました。「おおスザンナ」や「ソルヴェイグの歌」、「四つ葉のクローバー」など作者の名も知らないまま記憶の中に住み着いているのでした。正統派のフランス詩でも、ヴィヨンやネルヴァルなど、なぜ入れないのかと文句を言いに顕れた朝方の夢もありました。残念ですがまた別の機会まで待ってもらいましょう。
  • 東京駅の建築家 辰野金吾伝
    4.7
    1巻2,299円 (税込)
    東京駅を作った人!―― 唐津藩の下級武士・辰野金吾は上京し、英国に留学。日本銀行や東京駅を手がけて、近代日本の魂をも作った! 見事な人間讃歌、書下ろし特別作品。 ● わが国近代建築のなかで、東京駅はおそらく最も多く小説に取り上げられてきたものであろう。とくに私の記憶に残っているのが、江戸川乱歩『怪人二十面相』である。 怪盗が帝都に跳梁する状況下、待ちに待った名探偵明智小五郎が帰朝し、颯爽と東京駅に降り立つ。この名探偵を外務省の役人に変装した二十面相がプラットホームで出迎え、二人はステーションホテルの一室で対決する。 「この駅はあたかも光線を放射する太陽のようなものだ。あらゆるものの中心となって、ここから光を四方八方に放ってほしい」と、開業の祝賀式で時の首相大隈重信が述べた言葉は、まさに以後の東京駅と近代日本の行く末を言い当てることになった。――(あとがき)
  • 鵼の碑
    4.1
    1巻2,299円 (税込)
    【ノベルス版】 百鬼夜行シリーズ17年ぶりの新作長編がついに! 殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。 消えた三つの他殺体を追う刑事。 妖光に翻弄される学僧。 失踪者を追い求める探偵。 死者の声を聞くために訪れた女。 そして見え隠れする公安の影。 発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、 縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。 シリーズ最新作。
  • 新古事記
    4.1
    1巻2,299円 (税込)
    第二次大戦日米開戦後のアメリカ。オッペンハイマー、ノイマン、ボーア、フェルミ、若手のファインマン……。太平洋戦争の最中、世界と隔絶したニューメキシコの大地に錚々たる科学者たちが続々と集まってくる。 咸臨丸の船員だった日本人の血を受け継ぐ日系三世のアデラは両親にさえ物理学者の夫の仕事の内容を教えられず、住所を知らせることもできない。秘密裏に進む夫たちの原爆開発、施設内の犬と人間の出産ラッシュ。それと知らず家事と子育てに明け暮れる学者の妻たちの平穏な日々。 「新しい世界は神じゃなく、人の子がつくる」――”われは死なり 世界の破壊者となれり” その小さな神たちが行き場を探して右往左往している。辺りは火火火火火火、赤いものがボウボウと襲いかかる。 世界は戦さの火だらけだ。火火火火火火が荒れ狂う。小さい神々は蟹のように火火火火火火に追われて逃げ惑う。 山の神も火火火火火火、川の神も火火火火火火に包まれ、樹木の神も立ったまま火火火火火火に焼け焦げていく。 焼け滅ぼされていく。
  • 三つの物語/十一月
    -
    フローベール存命中に発表された最後の作品であり、『ボヴァリー夫人』とともに同時代の読者・批評家から例外的な大好評を博した「三つの物語」。18歳のフローベールがピレネー、コルシカ旅行の途中で知り合った女性との灼熱の恋をもとに描き、『感情教育』の母胎となったと言われる自伝的作品「十一月」。今も輝きを放つ二篇に、フローベール研究の第一人者が半世紀前に執筆した秀逸な解説を付す、傑作小説集。
  • 漱石山房の人々
    3.5
    私が漱石山房に出入したのは明治四十年から大正五年先生が亡くなられた時まで、十年間である。その間に私はただの一度も先生に叱られることがなかった。それは私が入門した時の事情から、先生がとくに私の神経をいたわって下さったということもあろうが、とにかく私は一度も先生から叱られたことがなかった。それで私は先生を恐いと思ったことがなかった。神経衰弱でいじけており、この偉い先生の前で畏まってはいたが、恐いと思ったことは一度もなかった。こんな優しい人が世にあろうかと先生の在世中も思いつづけたし、死後の現在でもあんな優しい人には二度と遭えないと信じている。(「世にも優しい人」) 漱石晩年の弟子の眼に映じた師とその家族の姿、先輩たちのふるまい……。文豪の風貌を知るうえの最良の一冊。
  • 半島
    5.0
    勤めていた大学に辞表を出し、寂れた島に仮初の棲み処を求めた迫村。月を愛でながら己の影と対話し、南方から流れついた女と愛し合い、地下へ降りて思いがけぬ光景を目にし、現実とも虚構ともつかぬ時間が過ぎていく。この自由も、再生も、幻なのか? 耽美と迷宮的悦楽に満ちた傑作長篇。読売文学賞受賞作。
  • 奥の細道
    3.0
    1巻2,299円 (税込)
    清新な現代語訳「奥の細道」と刮目の「軽み」論――俳聖一代の名紀行を読み究めた、滋味深々にして平明達意の訳文と清新懇篤な解説・鑑賞の第一部、芭蕉芸術の到達点としての「軽み」の境地を考究しつくした第二部。優れた啓蒙性と深い文学性を併せ持つ名著。
  • しあわせな死の桜
    3.5
    1巻2,299円 (税込)
    『このミステリーがすごい! 2017年版』国内編第1位『涙香迷宮』の竹本健治が贈る、軽やかにして深遠なミステリの精華12篇。非日常への裂け目はすぐそばにある。優美な文章で綴られる、奇想と幻想が入り交じり、妖しい夢のような綺譚がずらり。待望の「トリック芸者」シリーズ最新短編「いなか・の・じけん篇」を書き下ろし収録! まさに最高水準の短編集。ミステリ評論家・千街晶之氏による懇切な解説も必読。
  • 戦後的思考
    5.0
    1995年、戦後50年目に発表された「敗戦後論」は、単行本刊行後、百を越える批判を左右両翼から浴びた。本書はその反響の醒めぬなか、それらを正面から受け止め、「批判者たちの『息の根』をとめるつもり」で書き始められた。「戦後的思考」とは何か。戦前と戦後はなぜ「つながらない」のか? 今こそ我々に必要な、生きた思想と格闘する画期的論考を、増補改訂を施し、21世紀に再度問う。*解説は収録されていません。
  • 原民喜戦後全小説
    -
    広島への原爆投下の惨劇を克明に描いた傑作「夏の花」三部作、亡妻への痛切な思いが滲む「美しき死の岸に」ほか、壮絶な体験と苦悩を刻んだ小説群。戦後70年を経て尚鮮烈な光を放つ戦争文学の金字塔を、文芸文庫スタンダードとして新装版刊行。
  • 東と西 横光利一の旅愁
    4.0
    1巻2,299円 (税込)
    横光利一は昭和11年、半年にわたってヨーロッパを旅した。その経験をもとに、自らを投影した登場人物を配し、小説『旅愁』を書きはじめる。優柔不断な男と大胆な女が、ヨーロッパを舞台にすれ違う様は、西洋文明になじみ得ぬ横光の精神の現れであった。戦争の世になっても、横光は戦前の欧州に滞在した人々の社交を描き続けた。『旅愁』『欧州日記』を検証しつつ、横光の精神の軌跡を辿る。
  • ゴフスタイン つつましく美しい絵本の世界
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 クリエーターたちに愛されている絵本作家の魅力を、インタビューや写真、幼少期の記録や絵画等の未発表作品で伝える貴重な一冊。
  • バスティーユの悪魔
    -
    恋愛、陰謀、憎悪、邪念。バスティーユ監獄での出会いが騎士と毒薬使いの運命を変えていく……。十七世紀のパリで繰り広げられる歴史浪漫譚。エミール・ガボリオの“幻の長編”を完訳!
  • サーカス・クイーンの死
    -
    空中ブランコの演者が衆人環視の前で墜落死。自殺か、事故か、それとも殺人か? サーカス団に相次ぐ惨事の謎を追うサッチャー・コルト主任警部の活躍!
  • 盗聴
    -
    グレッグ・エヴァンズ警部補は、マネーロンダリングの大物を追い盗聴室で情報を集めていた。ある会話から別の犯罪を匂わすやりとりを掴み捜査に乗り出す!元FBIの作家が経験を基に描く〈盗聴〉をモチーフにした、リアリティー溢れるアメリカン・ミステリー!
  • 血染めの鍵
    -
    新聞記者ホランドの前に立ちはだかる堅牢強固な密室殺人の謎。英国仕込みの探偵小説を多数発表した松本泰(論創社より『松本泰探偵小説選』1〜3巻が発売)、大正時代に『秘密探偵雑誌』へ翻訳連載されたエドガー・ウォーレスの本格ミステリが新訳でよみがえる!
  • 最後の弟子が語る折口信夫
    -
    1巻2,288円 (税込)
    昭和28年の死まで、折口信夫の生活と仕事を傍らで支えた「最後の弟子」が、95歳を前に、遺すべき思い出、精神的なつながりや稀有な体験を、精魂こめて綴った畢生の作。
  • リングシリーズ【4冊 合本版】 『リング』~『バースデイ』
    5.0
    同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した4人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き、調査を始めた。そしていま、浅川は1本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た1週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオデッキにテープを送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かに再生が始まった――映画「リング」の原作であり、ブームの先駆けとなったカルト小説シリーズが合本となって登場。予測できない展開、組み上げられた理論。ホラーの枠を越えたエンターテインメントの傑作。※本書は「リング」「らせん」「ループ」「バースデイ」の4冊を合わせた合本版です。
  • 玄玄碁経集1
    続巻入荷
    -
    1~2巻2,277円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 中国の囲碁の古典。序之部には囲碁十訣をはじめ碁に関する事跡や用語を,変之部には当時の定石や実戦譜を収める。なかでも珍瓏之部,すなわち詰碁篇は本書の白眉。呉清源の精緻な解説を付す。第1巻は,序之部,勢之部(珍瓏之部)の前半。
  • ツイート・ウォーズ~キュートでチーズな二人の関係~
    -
    1巻2,277円 (税込)
    米Amazon 2020年Best YA選出作品! チグハグなふたりが惹かれあっていく、という王道のラブストーリーに、とっておきの隠し味がいくつも加わって、出会ったことのない胸のときめきと爽快感! ――南沢奈央さん(女優) 顔を合わせれば皮肉を飛ばし合う、優等生のペッパーとクラスのお調子者のジャック。 そんな正反対の二人は、家業の飲食店のTwitterを運営しているという互いに知らない共通点を持っていた。 ある日、ペッパーの母親が経営するハンバーガーチェーンが起こした“レシピ盗難事件”をきっかけに、 二人はやがて全米を揺るがす、激しいリプライ戦争を繰り広げることに! その一方、二人は学校で流行りの匿名チャットアプリで親密な関係になっていた……。 お互いの正体を知ったとき、二人の関係はどうなるのか?
  • 三階 あの日テルアビブのアパートで起きたこと
    -
    舞台はテルアビブ郊外にある瀟洒な三階建てのアパート。一階の若夫婦は、同階の高齢夫婦に子守りを頼み、良いご近所付き合いをしているつもりでいた。しかし認知症を発症した老人と彼らの九歳の娘に不幸な出来事が襲いかかり、傷ついた夫は一線を超えてしまう――。二階では、不在がちな夫を頼りにできない、若い母親が二人の子どもの育児に追われている。疲労から幻聴や幻覚に悩まされる彼女の前に、義理の弟が現れ、彼女と子どもたちに新しい風を吹き込む。しかし彼は詐欺事件の容疑者として警察に追われていた――。三階には元地方判事の女性が住んでいる。一年前に夫と死別し、若者の市民運動に身を投じるようになった彼女には、人には言えない、断絶してしまった息子との苦い思いがあった――。交わることのなかった一階から三階までの住民が、ある出来事をきっかけに、互いに作用しながら現代イスラエルの大きな変化の波に飲み込まれていく。イスラエルのベストセラー作家が描く、サスペンスフルで、最後には登場人物を解放の光で満たす、感動の物語。
  • 対になる人
    4.7
    はじめて彼女を殺したのは母親だった。小学2年生の彼女を絶望的にまで殺し尽くしたのは教諭である鈴木による性的虐待だった。鈴木先生は6人の彼女を生みだすきっかけとなった。17歳のときに彼女を犯し、完全に殺したのは水原君と10人の仲間たちだった。そのとき新たに2人、あるいはさらに多数の彼女が生まれた――。冬の札幌で、小説家・菱沼が出会ったのは、心に50の人格を宿す女だった。DV被害にあう女に手を差し伸べた男は、信じられないほど壮絶な彼女の過去を知ることに……。柴田錬三郎賞を受賞した作家が満身創痍で放つ、迫真の長編サイコスリラー。
  • プルーストと過ごす夏
    4.5
    20世紀文学の最高峰と言われる、プルースト『失われた時を求めて』。この大作に挑戦するには、まばゆい日差しのもと、ゆったりとした時間が流れる夏休みが最適だ――。本書は、現代フランスを代表するプルースト研究者、作家などが、それぞれの視点から『失われた時を求めて』の魅力をわかりやすく語った、プルースト入門の決定版である。ローラ・エル・マキ編、アントワーヌ・コンパニョン、ジュリア・クリステヴァ他。
  • 【合本版】老舗酒蔵のまかないさん
    -
    人に慕われる青年・響の酒蔵は、三百年続いた老舗。だが数々の難題が。目下、重要な収入源である梅酒の仕込みが人手不足だ。 そこに現れたのが、世慣れない乙女・三葉だった。響の役に立とうと、一途に勤める彼女は周囲に認められ、まかないも担うことに。 ふわふわ玉子焼き、採れたてトマトの胡麻酢和え、五目いなり。三葉の絶品料理と前向きな言葉の”おまじない”は、響や杜氏の背中を押す。信頼を培っていく二人だが、三葉には不可思議な点がーー? そんな中、響と三葉が挑んだ花火大会での販売が転機になり…!? ※本作品は『老舗酒蔵のまかないさん』シリーズ全3巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
  • ブラック・ハンター
    3.5
    ドイツの富豪の跡継ぎが惨殺された。捜査にあたるのは過去の事件で心身に傷を負い、復帰したばかりのニエマンス警部。彼は新たな相棒とともにドイツに飛び、真相を追うが……。『クリムゾン・リバー』のニエマンス警部再登場! フランスの鬼才によるミステリ
  • 戦都の陰陽師【全3冊 合本版】
    2.0
    時は戦国。不穏な戦雲におののく京の都に、無数に張られた結界を破って六百年ぶりに恐るべき天魔が侵入、魔界への口を開こうと画策していた。大陰陽師・安倍晴明の末裔である土御門家の姫・光子は、唯一天魔を討つことができる出雲の霊剣・速秋津比売の剣を取りに行くことを決意。藤林党の若き惣領・疾風ひきいる伊賀の忍び七人を護衛とし、出雲への危険な旅に出発する。はたして光子は都を救えるのか!? 時代小説注目の気鋭が描く、誰も見たことのない陰陽師物語。第1弾に加え、第2弾「騒乱ノ奈良編」、第3弾「迷宮城編」を合わせたシリーズ合本版!
  • 醒睡笑 全訳注
    4.0
    誓願寺法主の安楽庵策伝が江戸初期に編纂し、板倉重宗京都所司代に献呈した笑話集。うつけ・文字知顔・堕落僧・上戸・うそつきなど、多様な庶民の登場人物がつくる、豊かな笑いの世界。のちの落語、近世笑話集や小咄集に大きな影響を与えた。慶安元年版・全8巻42章311話の翻刻文に、現代語訳、語注、鑑賞、解説を付した、はじめての書。(講談社学術文庫)
  • 時計泥棒と悪人たち
    3.5
    1巻2,244円 (税込)
    実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を売ってしまった事実を知った伊口。 泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏へ所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー? (第1章 加右衛門氏の置時計) 激動の大正時代を泥棒たちが大暴れ! 『絞首商會』『サーカスから来た執達吏』にも繋がる連作短編集。 『方舟』で「週刊文春ミステリーベスト10」「MRC2022」をダブル受賞し話題沸騰の夕木春央、待望の新作!
  • 「記憶屋」シリーズ【全4冊合本版】
    -
    夕暮れ時、公園の緑色のベンチに座っていると現われ、忘れたい記憶を消してくれるという怪人、「記憶屋」。 記憶を消せることは、果たして救いなのだろうか。 そして、都市伝説の怪人「記憶屋」の正体とは――? 第22回日本ホラー小説大賞〈読者賞〉受賞作で映画化もされた1作目から始まる、シリーズ全4巻。 「記憶屋」に会いたいと願った人々の切ない思いが胸に迫る。 二度読み必至の青春ノスタルジックホラー! ※本電子書籍は『記憶屋』『記憶屋II』『記憶屋III』『記憶屋0』の合本版です。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
  • 考古探偵一法師全【全4冊 合本版】
    -
    怜悧な頭脳とカミソリのような態度。一法師全は私設研究所に所属する文化財専門のトラブル・シューター。そして“考古探偵”の異名を持つ男だ。遺跡の発掘現場で見つかった、呪い殺されたと噂される死体の真相、かつて発掘現場で関係者が相次いで亡くなった事件……。不可思議な謎を、一法師全が鮮やかに解き明かす!※本電子書籍は「葬神記 考古探偵一法師全の慧眼」「鬼神曲 考古探偵一法師全の不在」「偽神譜 考古探偵一法師全の追跡」「火神録 考古探偵一法師全の記憶」4冊の合本版です。
  • すべての愛しい幽霊たち
    3.5
    心臓移植手術を受けながら、生物学者はどんな夢を見たのか(「デニス・ノーブルの心臓」)。ダイアナ妃に憧れた少女が語る、プリンセスの結婚から死去までの日々とは(「ダイアナを夢見て:十二フレーム」)。“聖戦”に参加するためリクルーターの電話を待つイスラム教徒の青年たちは、観光地で何を思うのか(「ラディカル・フィッシュを褒めたたえて」)。芸術家の老女が、家のあちこちにいる幽霊たちへ向ける想いとは(「すべての愛しい幽霊たち」)。幅広い分野の著名人たち、そして世間に名前の知られていない市井の人々。彼らの人生がさりげない語り口で描かれ、浮かび上がる鮮烈なイメージが、わたしたちの心を奪う。ブッカー賞候補作家が贈る、切なさと愛おしさに満ちた12編。カナダ総督文学賞最終候補作。/【収録作】「雪解け」/「ソロで、アカペラで」/「デニス・ノーブルの心臓」/「シルヴィアはあの世でピンクの服を着る」/「大切なものがある」/「オシレイト・ワイルドリー」/「ダイアナを夢見て:十二フレーム」/「ラディカル・フィッシュを褒めたたえて」/「チェーホフを思いながら」/「市民による逮捕の方法」/「わたしたちはメソジスト教徒だ」/「すべての愛しい幽霊たち」
  • 失われた手稿譜 ヴィヴァルディをめぐる物語
    3.7
    バロック後期の作曲家で聖職者でもあったヴィヴァルディは、晩年、生活苦から借金を重ね、仕事を求めて向かったウィーンの地で不遇な最期を遂げた。遺された膨大な自筆楽譜の数々。兄の魂そのものである、それらの手稿譜を守ろうとする弟、手稿譜に純粋な関心を寄せる愛書家の貴族、名家の窮乏につけ込んで買い叩こうとする欲に目がくらんだ司祭、遺産相続でもめる遺族たち、寄贈されても価値のわからない修道士たち、そしてユダヤ人の音楽学者から、ムッソリーニ、詩人エズラ・パウンドまで、様々な人間の愛憎、欲望、無知が複雑に絡み合ったために、楽譜がたどった数奇な運命を、音楽家でヴィヴァルディ研究の第一人者の鬼才サルデッリが見事に描いた傑作。本書は2015年、優れた小説に与えられるジョヴァンニ・コミッソ文学賞を受賞。
  • 静寂 ある殺人者の記録
    3.5
    蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、草むらを這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って生まれた。あらゆる音は耳に突き刺さる騒音になり、赤ん坊のカールを苦しめる。息子の特異さに気づいた両親は、彼を地下室で育てることにした。やがて9歳になった彼に、決定的な変化が訪れる。母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、自分の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質な存在になってしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く研ぎ澄まされた傑作!
  • 背信の都(上)
    4.5
    これぞエルロイ、これぞ警察小説――新たなる傑作の誕生。  戦時下でもジャップ殺しの捜査を継続することで警察の公正さをアピールする。それがLA市上層部の結論だった。だが真犯人を捕らえる必要はない。都合のいい変態かジャップを捕らえて真犯人をデッチ上げろ。その意を受けて、ダドリー・スミスが動き出す。一方、LA市警本部長候補である刑事ウィリアム・パーカーは、汚職警官ダドリー・スミスに狙いを定めていた。警察官は清廉でなければならない――アルコール依存症に苦しみながらもパーカーはヒデオ・アシダに接近、ダドリー失脚の機会をうかがう。  アシダ、ダドリー、パーカー。それぞれの正義のために共闘し、裏切り合う男たち。その思惑に巻き込まれた女ケイ・レイク。反米ジャップと共産主義者への弾圧がはじまったLAで、戦争のパニックに乗じて儲けようとする男たちが悪辣な策謀を紡ぎ出す――  警察内部の暗闘。国家同士の戦争。愛国と反米。ヘイトの嵐の中で、男たちは真実にたどりつくことができるのか? ミステリ史上最強の警察小説、ここに降臨!
  • 謀略監獄
    -
    犯罪のサポートと情報の売買。それがカーラの仕事だった。だが今回持ち込まれた依頼は危険きわまりない――〈プログラム〉への潜入の手配である。頻発する刑務所の暴動に手を焼いたイギリス政府が導入した矯正施設、〈プログラム〉。ゴーストタウンとなった住宅街を接収、二重の壁で囲み、そこで受刑者たちによる「自治」が行われている。依頼人は元狙撃兵の殺し屋ジョハンセン。カーラの手配でジョハンセンは施設に潜入するが……。  依頼の背景を調べはじめたカーラは、次々に不可解で不穏な事実にぶちあたる。かつて彼女とジョハンセンが関わったギャングの抗争。元MI5の老スパイの死。謎の失踪を遂げた女性医師。警察、MI5、犯罪者たち……この一件の裏側で何か秘められた謀略が動いている。そして〈プログラム〉の中では、ジョハンセンに怨みを抱く大物ギャングが待ち受けていた……。  ジョン・ル・カレばりの陰謀の迷宮。スタイリッシュなクライム・ノワールの語り口。最高にクールな女性ヒーローと巧妙なプロットでイギリス出版界を揺るがせた新人のデビュー作。
  • インテル 世界で最も重要な会社の産業史
    3.8
    「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」つまり「コンピュータの処理能力は指数関数的に向上していく」、1965年、インテルの創業者であるゴードン・ムーア博士が発表した論文に書かれていた半導体の能力に関する洞察は、「ムーアの法則」として、今日にいたるまで、情報産業にかかわるものが、逃れらない法則となった。 その法則を生み出した「世界で最も重要な会社「インテル」の産業史である。 ムーアの法則」の誕生のみならず、本書を読む読者が切実に感じるのは、今自分が努めている会社、業界のすべてに通ずる共通のテーマが、鮮烈なエピソードをもって書かれている点だ。 すなわち、「技術力か営業力か宣伝力か」という問題。 あるいは「才能か努力か」 あるいは、「継承か革新か」 あるいは「模倣か創造か」 本書の中には、コンピュータの心臓部であるマイクロプロセッサ(CPU)を世界で初めインテルとともに開発した日本の電卓メーカーが、最後の最後で社長の判断から契約をキャンセル、結果的には、CPUの知的財産権を逃すという「史上最悪の経営判断」をしてしまう話や、あるいは、モトローラに劣るチップをインテルが営業力でもってシェアを逆転する様など、私たちの今日のビジネスの日々の判断に通じる血わき肉おどるエピソードが満載されている。 著者はアメリカの新聞で初めてシリコンバレー担当をおいたサンノゼマーキュリーニュースで最初のシリコン・バレー担当となった記者。1970年代から今日まで、その有為転変を追い続けてきた

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