新古事記

新古事記

2,299円 (税込)

11pt

第二次大戦日米開戦後のアメリカ。オッペンハイマー、ノイマン、ボーア、フェルミ、若手のファインマン……。太平洋戦争の最中、世界と隔絶したニューメキシコの大地に錚々たる科学者たちが続々と集まってくる。
咸臨丸の船員だった日本人の血を受け継ぐ日系三世のアデラは両親にさえ物理学者の夫の仕事の内容を教えられず、住所を知らせることもできない。秘密裏に進む夫たちの原爆開発、施設内の犬と人間の出産ラッシュ。それと知らず家事と子育てに明け暮れる学者の妻たちの平穏な日々。

「新しい世界は神じゃなく、人の子がつくる」――”われは死なり 世界の破壊者となれり”
その小さな神たちが行き場を探して右往左往している。辺りは火火火火火火、赤いものがボウボウと襲いかかる。
世界は戦さの火だらけだ。火火火火火火が荒れ狂う。小さい神々は蟹のように火火火火火火に追われて逃げ惑う。
山の神も火火火火火火、川の神も火火火火火火に包まれ、樹木の神も立ったまま火火火火火火に焼け焦げていく。
焼け滅ぼされていく。

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  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    講談社
  • ページ数
    352ページ
  • 電子版発売日
    2023年08月09日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    1MB

閲覧環境

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新古事記 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    神々とか、人為とか、自然とか、科学とか、いろいろ考えさせられる。なぜ原爆は開発され、使用されたのか。そのアポリアを、開発の現場にいる核物理学者の奥さまや愛犬たちの日常から透かし見る。日系の血筋を意識する主人公アデラや先住民のアーイダから見る世界観も心惹かれる。

    0
    2024年10月08日

    Posted by ブクログ

    村上喜代子小説の中でも、好きなタイプ!
    読み始めてすぐに、そう感じる。
    読み終えて今、この静かな何かが心の中に広がっている。

    村上・新刊と言うことで何の情報も無いまま読んだので、
    てっきり日本を舞台にした、ファンタジーめいた小説家と思っていた。

    どっこい!

    太平洋戦争下のアメリカ。
    それも舞台

    0
    2023年09月27日

    Posted by ブクログ

    元ネタは、アメリカで原爆開発に携わった若い科学者の妻が書いた『ロスアラモスからヒロシマへ』という手記だそうです。その主人公を咸臨丸から抜け出した日本人の孫娘に置き換え、彼女が婚約者の理論物理学者と共に、ニューメキシコに向かう所から始まります。主人公の一人称小説。失礼ながら著者のお年を感じさせない、若

    0
    2023年09月20日

    H

    購入済み

    最初は、著者の名前に、書名に興味を持って購入。
    読み始めるとアメリカの原爆開発の研究所に集まった科学者達の一人を彼(夫)とする日系3世の女性を主人公とする小説。
    原爆開発を行いながら、科学者達とその夫人達の生活がリンクしない。「新」古事記とは、夫人達の出産ラッシュ(生の始まり)と、明確には出ないが原

    0
    2024年10月04日

    Posted by ブクログ

    古典かと思ったら予想外の話。

    NHK朝の連ドラ「虎に翼」で星航一が勤めていた「総力戦研究所」という場所とエピソードが何気なく手に取った「御手洗潔の追憶」内の「天使の名前」での御手洗の父とかぶり、

    「新古事記」で作られた原爆が、「天使の名前」で落とされた側の結末を読むという。

    3つの側面からこの

    0
    2024年08月14日

    Posted by ブクログ

    ロス・アラモスはアメリカの原爆開発の舞台となった地である。マンハッタン計画に基づき、高台のこの地に研究所が築かれた。それだけでなく、ここには科学者らの家族も住むこととなり、街が作られた。
    研究の性質からして、機密は守られなけらばならず、人の出入りも厳しく管理された。
    一風変わった、閉ざされたこの街で

    0
    2024年06月10日

    Posted by ブクログ

    特殊な空間の物語
    戦争中でも一見平和な日常
    時々不審な流れがあっても
    過ぎれば忘却...
    深く考えるのを避けて...
    なんとも不気味な感じ
    心にざらりとした感触を残す

    庭文庫にて購入

    0
    2024年05月23日

    Posted by ブクログ

    淡々と進む不思議な魅力の小説。原爆開発の機密都市での研究者の妻たちのドラマを描く。

    「ロスアラモスからヒロシマへ」という一科学者の妻の手記が原案の小説。ニューメキシコの荒涼とした土地に隔離された研究者とその家族だけが暮らす町での出来事が淡々と描かれる。

    題名に古事記を入れたところは、天地創造と圧

    0
    2024年01月18日

    Posted by ブクログ

    知っている史実と全然知らなかった史実から出来た奥深い物語でした。歴史小説とは違う語り方で物理、哲学、宗教、国の成り立ち、人種…そしてあの原子力爆弾が描かれている。良い時間が過ごせたと思う。

    0
    2023年11月30日

    Posted by ブクログ

    あるアメリカ人女性(フィリス・K・フィッシャー)の『ロスアラモスからヒロシマへ 米原爆開発科学者の妻の手記』を村田喜代子氏が小説にされた作品。

    読み始めから「文明の行く末」に嫌な気持ちの不安を感じながら進みます。
    語り手若い女性の語り口が明るい(作者の手腕)のがちょっと救いだが、日系であることを秘

    0
    2023年11月20日

新古事記 の詳細情報

  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    講談社
  • ページ数
    352ページ
  • 電子版発売日
    2023年08月09日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    1MB

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