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「ユーカラを書き記すことは、私が生まれてきた使命なのだ」
絶滅の危機に瀕した口承文芸を詩情あふれる日本語に訳し、今も読み継がれる名著『アイヌ神謡集』。著者は19歳の女性だった。
民族の誇り。差別との戦い。ユーカラに賭ける情熱。短くも鮮烈な知里幸恵の生を描く、著者の新たな代表作!
「いつまでも寝込んでいるわけにもいきません。私には時間がないんです」
分厚く腫れた喉から流れ出した自分の言葉に、幸恵ははっとした。
私には時間がない。
そうなのか?
思わず胸に掌を当てた。満身創痍の身体の中心で、心臓は未来へ駆け出す足音のように勢いよくリズムを刻んでいた。
(本文より)
Posted by ブクログ 2024年03月20日
知里幸恵は、言語学者・金田一京介の依頼により
ユーカラの筆録・翻訳の手伝いをするため東京へ来た。
北海道にいる時はアイヌということだけで差別を受ける。
P123
〈常に和人の下で、貧しく愚かに希望なく生き続けることを望まれているのだ〉
東京見物も出来ないほど忙しく本の翻訳をする日々。
体も弱く、無...続きを読む
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