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バロック後期の作曲家で聖職者でもあったヴィヴァルディは、晩年、生活苦から借金を重ね、仕事を求めて向かったウィーンの地で不遇な最期を遂げた。遺された膨大な自筆楽譜の数々。兄の魂そのものである、それらの手稿譜を守ろうとする弟、手稿譜に純粋な関心を寄せる愛書家の貴族、名家の窮乏につけ込んで買い叩こうとする欲に目がくらんだ司祭、遺産相続でもめる遺族たち、寄贈されても価値のわからない修道士たち、そしてユダヤ人の音楽学者から、ムッソリーニ、詩人エズラ・パウンドまで、様々な人間の愛憎、欲望、無知が複雑に絡み合ったために、楽譜がたどった数奇な運命を、音楽家でヴィヴァルディ研究の第一人者の鬼才サルデッリが見事に描いた傑作。本書は2015年、優れた小説に与えられるジョヴァンニ・コミッソ文学賞を受賞。
...続きを読むPosted by ブクログ 2018年06月08日
時系列を排したシークエンスの転換がみごとで、極上の歴史ミステリー映画のシナリオを想わせる。
舞台がイタリアであるだけに、斜陽の大貴族、イエズス会、サレジオ会、ファシスト党の面々が臆面もなく曝け出す無知と強欲さがコミカルな隠し味となり、ヴィヴァルディの手稿譜散逸から発見までのプロセスを活き活きとし...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月08日
ヴィヴァルディが亡くなった。残された手稿譜は時の流れに埋もれてしまう。その重要性を知らないものの手にあったり、大切に保管されていたり大事な人の記念の銘を冠されたり。その楽譜が世に出た時、関わった人のみが知る履歴は埋もれてしまったのだろう。不完全ながらも大まかな来歴が見えた時、苦労を重ねた関係者は天国...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月27日
ヴィヴァルディは借金を踏み倒していなくなり、残された手書きの楽譜は弟や妹たちに残された。それを巡って18世紀とムッソリーニが支配する20世紀のイタリアで起こった物語。事実に基づくフィクション。。
なかなか面白かった。価値の解らない人に寄贈されほっぽらかされていたり、欠落に気づいて探し回る人がいたり。...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年08月07日
これは、ビバルディの手稿譜が現代(第2時世界大戦)に於いて再発見されるに至る迄の歴史についてのほぼ・ノンフィクションである。ビバルディ自身は登場しない。
自分は、ビバルディの手稿譜に隠されている謎とか、手稿譜の読み解き方な事を期待して読み出してしまったため、後半になるまで、違和感というか、シックリ...続きを読む
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