浄土真宗の教祖である親鸞。
その直弟子の唯円が師である親鸞の思想がその死後に異なったものになることを歎じて書いた書と言われる『歎異抄』
親鸞(1173-1262)は12世紀から13世紀にかけて生きた人物であり、今から750年以上も前の人物だ。
驚きなのは、親鸞は弟子をとらない、としてこの本文中に
...続きを読むも書かれてあり、
また、大正時代のベストセラー本でもある『出家とその弟子』でも、このような形で描写されてあったが、その親鸞の教えである「浄土真宗」が今も尚脈々と受け継がれているということだ。
唯円のように全てをなげうって、丁稚のような形で遍路をともにするものはいたが基本的には弟子達にお寺で大規模に教えるというようなことはなかったのではないかと見受けられる。
そして、その教えを受け継いだのは親鸞の血族であり世襲によって引き継がれていくという点は興味深い。
この浄土真宗における核となる思想「他力本願」は、信仰心をもち「南無阿弥陀」を唱えるとことで、学問や厳しい修行をできない人でも、救われるというもの。
当時、学問的かつ厳しい修行を得てからでないと解脱はできず、普通の人にすれば仏陀へと至る道があまりに険しかった。
そうであれば意味がないではないか、一般の人々に対しても門出をひらいてこその、この世の中ということで、自分の力で頑張るから救われるというパラダイムから、他人の力で救われるという他力本願を「南無阿弥陀」で作り出した宗派。
その真髄を、
唯円が語り口調で説いているのがこの書だ。