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欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を、小説の力で暴く。群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。10年後の2009年、奇跡的に目覚めたツィスクが見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。時間制限付きのWi-Fi。嘘を吐く国営放送。生活の困窮による、女性の愛人ビジネス。荒唐無稽な大統領令と「理不尽ゲーム」。ジャーナリストの不審死。5年ごとの大統領選では、現職が異常な高得票率で再選される……。緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。
...続きを読むPosted by ブクログ 2022年11月07日
独裁者に支配されるベラルーシで実際に起きていることが、昏睡状態の孫に語り掛けるばあちゃんや友人の話で割と淡々と描かれます。抵抗しては潰されることを繰り返すようで、閉塞感と絶望感を覚えました。一度狂った独裁者を産んでしまった国は、国民を丸ごと理不尽な渦に巻き込んでしまうことをロシアやベラルーシから感じ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月05日
「赤い十字」に続いて、フィリペンコのデビュー作である本書を読む。
ベラルーシの現実に暗澹たる気持ちになる。
ルカシェンコ大統領の強権による虐殺、統制管理の残虐さは、同じ地球に生きていて申し訳ないと思うほど。
ツィスクの昏睡は民主主義のメタファーだ。ツィスクの目覚めを信じて語り続け励まし続ける祖母の...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月29日
半年ほど前、ジャーナリストの金平さんが、ルカシェンコにインタビューをしにベラルーシへ行った時の映像を思い出した。街角で市民に問いかけると、何の問題もないと言っていた人も居たが、泣きなから訴えていた女性もいた。何を訴えていたのか具体的な内容は忘れたが、かなり怯えていたことが印象に残っている。この本にも...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月28日
理不尽ゲームとは、理不尽な出来事や物語を語り合うこと。
欧州最後の独裁国家ベラルーシで、群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスクか主人公。
老いた祖母のエリヴィーラだけがその回復を信じていたが、奇跡的に意識を取り戻したのが10年後の2009年。その時には既に祖母も亡くなっており、母はもう生き...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月02日
ベラルーシという国は元々は西欧とロシアの中立的な立ち位置を取っていたが、ルカシェンコ大統領が社会主義的な体制に大きく傾倒し、ロシアの弟国のようになる。たとえば国語においても、ベラルーシ語からロシア語を母語に代えていった。(ちなみにウクライナはロシア語からウクライナ語へと代えていった)
今回、これだけ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年11月23日
昏睡状態に陥った主人公が目覚めた10年後。
そこはより一層独裁に拍車がかかったベラルーシ。
主人公の長い眠りが、こんな社会になってしまった、こんな社会にさせてしまった世の中への諷刺と、覚醒した後の読者への状況説明の二つの役割を担っているのかもしれない。
2020年の選挙後の様子を見ても、ベラルー...続きを読む
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