元プロスノーボーダー達5人が、かつて技を競い合った雪山で10年ぶりに再会する。
ただし、そこには歩行不可能になったオデットと行方不明のサスキアはいない。
いわゆる、あるある雪山クローズドサークルもので、誘いを掛けたはずの人物は俺じゃないと言い、気づけば10年前の真実を問うかのような不穏なゲームをけ
...続きを読むしかけられる展開に。
新鮮味と言えば、テリエ・ハーコンセンやらマクッツイストやらのボード経験者にはたまならないキラーワード。
確かにこんなスノーボード狂的世界観の小説は今までなかったので、その部分ではテンション上がったけれど、ただこれは一体どれだけの人に刺さるものなのか。
肝心の本筋は、永遠かと思うような継続する膠着状態と、主人公ミラの謎の負けん気(この状況でバックフリップに挑む!?)と移り気に終始振り回される。
現在と10年前を行きつ戻りつする構成を取るのであれば、劇的な事実の判明による変化がしばしば訪れるか、モザイクが晴れるかのような展開を期待するものだが、一向に関係者達の糸は絡まり合っていくばかり。
通底する緊迫感自体は悪くないと思うのだが、その源であるビックバン的色恋沙汰や主人公の主観に左右されまくる疑いの矛先に疲れを感じた。
うーん、どうしても感情移入できなかった。