あらすじ
アルプスの山中で開催されたスノーボード選手権で、女性選手サスキアが姿を消した。十年後、当時の関係者のミラは四人の元選手とこの地で再会する。喜びもつかの間、ホテルで見つけたカードが雰囲気を一変させた。“サスキアを殺した”――ホテルは孤立し、彼らは疑心暗鬼に陥っていく。密室状況のサスペンスを描く傑作
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Posted by ブクログ
元スノーボード選手だった著者ならではの作品。
シーズンオフのスキー場の山頂のホステルに、10年振りに集められた元スノーボード選手の5人組。誰の招待か謎のまま、雪山に閉じ込められた状況の中で、じわじわと恐怖が進行する。5人の中のひとり、主人公ミラの語りのもと、事件の契機となった10年前の出来事と、現在が交互に語られ、謎が深まりを見せてくる。限られた登場人物の中、犯人は誰か、目的は何か、憶測が裏切られながらも、結末へと迫る展開は心地よい。数少ない登場人物の人となりや心理戦を通じて、犯人に焦点を絞り込めるか、読者への挑戦を受け止めることができるだろうか。
Posted by ブクログ
元プロスノーボーダー達5人が、かつて技を競い合った雪山で10年ぶりに再会する。
ただし、そこには歩行不可能になったオデットと行方不明のサスキアはいない。
いわゆる、あるある雪山クローズドサークルもので、誘いを掛けたはずの人物は俺じゃないと言い、気づけば10年前の真実を問うかのような不穏なゲームをけしかけられる展開に。
新鮮味と言えば、テリエ・ハーコンセンやらマクッツイストやらのボード経験者にはたまならないキラーワード。
確かにこんなスノーボード狂的世界観の小説は今までなかったので、その部分ではテンション上がったけれど、ただこれは一体どれだけの人に刺さるものなのか。
肝心の本筋は、永遠かと思うような継続する膠着状態と、主人公ミラの謎の負けん気(この状況でバックフリップに挑む!?)と移り気に終始振り回される。
現在と10年前を行きつ戻りつする構成を取るのであれば、劇的な事実の判明による変化がしばしば訪れるか、モザイクが晴れるかのような展開を期待するものだが、一向に関係者達の糸は絡まり合っていくばかり。
通底する緊迫感自体は悪くないと思うのだが、その源であるビックバン的色恋沙汰や主人公の主観に左右されまくる疑いの矛先に疲れを感じた。
うーん、どうしても感情移入できなかった。