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Posted by ブクログ
天下大乱 伊東潤
大将が一つの城の攻め方や女たちの救出まで口を挟んでいては、大局に立って物事を判断する者が居なくなる。
戦略と戦術・作戦
物事には階層レイヤーがある
毛利元康 奮闘したが天下取りのリーダーではない
豊臣秀頼までのつなぎ
徳川家康は天下を取る決意・胆力がある
軍事力の優位性は西軍にあっても、実際の実力はリーダー次第 リーダー不明では発揮できない
淀殿の弊害 女が国政・軍事に口を挟む 視野は狭い
結局、豊臣家を滅ぼした
秀頼8歳が年長なら? タイミングは待てなかったか
この後、大阪冬の陣1614・夏の陣
結局、家康の策謀に嵌まる豊臣家
ただし当時「天下の構想」を持っていたのは家康のみ
Posted by ブクログ
「御予約受付中」(=近日発売)という様相で発見し、発注して入手した。そして早速に紐解いて愉しんだ。好かった!
本作は「関ヶ原合戦」を背景にした時代モノの小説である。
「関ヶ原合戦」ということになると、物凄く知られている戦いである他方、色々と小説家の想像の翼が羽ばたく余地も多々在るかもしれない出来事であると思う。旧いモノから近年のモノまで、合戦そのもの、合戦の前後のこと等を色々と取り込み、様々な人物を中心視点人物とする小説等の作品が在ったと思う。が、本作はそれらの何れとも「似ているようでいて、全然似ていない」という面白さが在る。
本作は2人の主要視点人物が設定されている。そして2人の視点による物語の一部が交互に綴られ、そして事態が少しずつ展開している。
2人の主要視点人物というのは、徳川家康と毛利輝元である。東西の各陣営が形成されて争ったとされる「関ヶ原合戦」だが、徳川家康は東の、毛利輝元は西の“総大将”である。東西各々の「最高指揮官」の目線で語られる戦いの物語ということになる。
物語は、豊臣秀吉の病床に呼び寄せられた徳川家康というような場面から起こる。そういう場面の後には、太閤薨去の報に触れている毛利輝元という場面が続く。本作は、こういう様子で「東西交互」という感じに展開している訳だ。
太閤薨去の後、色々な出来事が在って、徳川家康が「五大老と五奉行による統治」というような体制を蚕食し、加賀の前田家を屈服させ、会津の上杉家を討伐しようかという動きが続く中、「次はこちら?」と思案する毛利輝元が在る。そして「反徳川家康陣営形成の構想と挙兵」という話しに身を投じる、または巻き込まれる。更に様々な思惑で動く、色々な人達が在る。
本作は東西各々の「最高指揮官」の目線で、進行中の出来事や回想も含めた作中の時代や、様々な思惑で動く、色々な人達の様子が分厚く語られている。
「関ヶ原合戦」に纏わる物語は多々在るのだが、本作のように「毛利輝元」に大きな光を当てた小説等は、過去例が思い浮かばない。或いはそこが「新しい!」かもしれない。
本作の徳川家康は、長く苦楽を共にした、または台頭した少し若い世代の家臣達に支えられ、相談しながら次々に断を下すと同時に、当時として最大の知行地を有する最有力大名として求心力を持つ人物と描かれていると思う。
この徳川家康に対する毛利輝元である。過ぎる程に偉大な祖父の後継者であるが、中国地方の領国は「諸勢力の連合体」という様相で、その“神輿”というような存在感で、一族、一門という近しい人達の間でも何かと軋轢が在る中で色々と考えている。そして毛利輝元が代表ということになる西の陣営は、様々な思惑が行き違い勝ちになる。そういう様子が或いは劇的だ。
少し「ネタばれ」に近くなってしまうかもしれないが、本作では「毛利輝元の目線で語られる豊臣秀頼」という劇中人物が少し面白い存在になっている。また、両陣営が夥しい軍勢を動員した他方で「1日の決戦」というような様相にもなった合戦だが、その「何故?」に答えるような内容も本作には含まれていると思う。
古くから多く取上げられている題材である「関ヶ原合戦」だが、「それでも新しい」という本作であると思う。本作は“変化球”のようなモノを駆使するのでもなく、力の籠った“直球”で真正面から挑むような空気感が在る。
非常に愉しかったので、広く御薦めしたい。
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