筑摩書房作品一覧

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  • 忘れの構造 新版
    -
    「カラダは私の宇宙のブラック・ホールかもしれない。ブラック・ホールは光より速い速度で万物をひきよせているから見えないのだそうだ。言葉以上の速さで思考が突入する地点、それがカラダであり、思考の言葉にとってそれはナイというほかない。」人間はなぜ忘れるのだろう? “忘れ現象”に独自の光を当てて、人間が人間であることの意味を深く見つめる哲学エッセイの名著。 解説 若松英輔
  • 地べたから考える ――世界はそこだけじゃないから
    4.1
    日常にひそむ社会の問題を、自らのことばで表現し続けるブレイディみかこのエッセイ・アンソロジー。若い人たちに向けて、地べたからの視線の強さと深さを味わう15篇を精選した。今、あなたの足元にはどんな問いが立っている?
  • 人生が変わるゲームのつくりかた ――いいルールってどんなもの?
    3.8
    ゲームづくりの核は「場を楽しくするルール」を生み出すこと。それができれば、君の人生はもっとおもしろくなる。『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』『あいうえバトル』など人気ゲームの開発者が、ゲームのつくりかたをイチから伝授。楽しさの仕組みを解明し、遊び、手と頭を動かして使いこなす、かつてないガイドブック!
  • イーサリアム創世記
    -
    暗号通貨はその短い歴史の中で急激な高騰と暴落を繰り返しながらも、やがて時価総額は2兆ドルを超えるに至った。ヴィタリック・ブテリンと彼の創造物――イーサリアムがなければ、暗号通貨の成長は不可能に近かっただろう。本書は、イーサリアムの誕生から、内部抗争、ハッキング事件、ICOバブルまで、暗号通貨革命の舞台裏を描いたノンフィクションである。イーサリアムの共同設立者として名を連ねた8名全員を含んだ数多くの関係者への200回を超えるインタビューのほか、SNS投稿やEメール、オンライン資料、チャットログに至るまで膨大な量の資料をもとに、生々しく描き出す。
  • 在日サッカー、国境を越える ――国籍ってなんだ?
    3.7
    アン・ヨンハは、プロのサッカー選手になる夢を持つまったく無名の19歳の在日朝鮮人。選手権大会は予選敗退だし、Jリーグではチームに一人の「在日枠」を目指すしかないし、日本代表には絶対なれないけど、走り続けた先には世界があった! 国境を越えて輝く魂の物語。
  • カラー新書 入門 日本美術史
    4.6
    日本美術史の流れには、大きな波がある。外来文化をひたすら取りいれ真似する時代と、それを熟成させる時代と。ほっそりした飛鳥仏も、ハッタリの天守閣に合う金箔べったりの屏風絵も、すべての名作は、そうした繰り返す時代の波の中から、登場してきた。楽しくて目からウロコの知識満載。役に立つコラムに、カラー図版多数。
  • 中国の思想
    -
    孔子・老荘ほかの諸子百家や先賢の思想を伝える漢籍は、日本では客観的知識という以上に、「尊い教えを学ぶための古典」として信奉されてきた。また、近代人文学の対象となってからは、専門化・細分化がすすみ、ときに西洋哲学の概念が安易に転用されることもあった。本書はそうした伝統や枠をこえて、各々が形成された時代背景を踏まえつつ、民族の社会・生活に根差した「総合的な知」として中国思想を描きなおす。上代から現代までの巨大な潮流を時系列で追い、この一冊で中国思想史を読みきることができる名著。
  • 皇帝たちの都ローマ ――都市に刻まれた権力者像
    3.5
    帝国の首都として繁栄を極めたローマ。世界に類を見ない壮麗な都市と建造物は皇帝たちの熾烈な権力闘争の場であり、その政治的意図を示す舞台でもあった。本書ではカエサル登場以前の紀元前2世紀から、コンスタンティノープル遷都にいたる330年まで約500年のローマの都市計画と建造物を一望し、そこに刻まれた各皇帝の政策や思想、歴史を読み解く。凱旋門、神殿、コロッセウム、浴場、広場や水路などを備えた都市はやがて変革期を迎え、皮肉にも都市に蓄積された歴史の重みによって終止符を打たれることになる。帝国の興亡を浮かび上がらせるスリリングなローマ都市史。
  • 都市社会学講義 ――シカゴ学派からモビリティーズ・スタディーズへ
    -
    都市社会学とはどんな学問か。絶えず変調しつづける現代世界において、なおも都市という場に注目する意味とは何だろうか。20世紀初頭の「衝撃都市」シカゴに花開いた古典的な都市社会学やその批判者であるニュー・アーバン・ソシオロジー、世界経済の緊密化とともに台頭する空間論や移動論的転回。そこで何が問われ、何が見落とされてきたか。長年、都市社会学やコミュニティ研究を主導し、モビリティーズ・スタディーズの導入に尽力してきた著者が都市/都市社会学の軌跡をたどり、その現状と可能性を問う。
  • 比較文明学の50人
    -
    古くから、日本の思想や宗教はつねに自己を他者と熱心に比較してきた。そうした知的伝統から、きわめて独創的な比較文明論が数多く産み出されてきた。本書では、本居宣長、岡倉天心、鈴木大拙、賀川豊彦らを経て、現代の梅棹忠夫、伊東俊太郎、石牟礼道子、緒方貞子に至る鋭敏な比較文明的感覚を持っていた日本の50人を選出。比較文明学会に所属する17人の研究者が、日本の比較文明学とはなにかを問いつつ、50人が繰り広げる豊かな知の世界を縦横無尽に論じる。
  • 新編 空を見る
    3.8
    空を眺めれば、一瞬一瞬、ダイナミックなショーが繰り広げられている。美しい薄明、朝焼け雲、地球影、夕焼け。日常ではなかなか現われない白虹やブロッケン現象、幻日、オーロラなど。そして毎日現われる様々な雲の名前。42の事象を、63枚のカラー写真とエッセイで伝える。気象の説明だけでなく、関連する詩歌など文学や、古今東西の歴史的事件も紹介。
  • ストリートの思想 増補新版
    4.0
    イデオロギーによる旧来の党派的「動員」とは異なる、自律性を帯びた資本/権力への抵抗運動はどのように現れたのか? パンクやニューウェイヴなど80年代のインディーズ文化を源流とし、90年代のサウンドデモや「素人の乱」を経て、3.11後の反原発・反政府・反グローバル資本主義デモへといたる地下水脈を読み解くオルタナティヴ思想史。2010~20年代の動きを増補して文庫化。
  • ヤンキーと地元 ――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち
    4.1
    生まれ故郷が嫌いだと吐き捨てるように言った、一人の若者。その出会いを原点に、沖縄の若者たちをめぐる調査は始まった。暴走族のパシリとなり、建設現場で一緒に働き、キャバクラに行く。建設業や性風俗業、ヤミ仕事で働く若者たちの話を聞き、ときに聞いてもらう。彼らとつき合う10年超の調査から、苛酷な社会の姿が見えてくる──。補論を付した、増補文庫版。
  • イスラームからお金を考える
    4.2
    (1)イスラームには利子の禁止や喜捨の義務など信仰に基づいた経済の仕組みがある。今急速に発展しつつあり、世界の金融危機にも揺るがないイスラーム経済とは? (2)お金のもうけ方について独自の教えがあるイスラーム。利子の禁止や喜捨の義務など信仰に基づいた経済の仕組みとは? 急速に発展してきているイスラーム経済の知恵に学べば金融資本主義を乗り越えられる!? (3)お金もうけが天国へのパスポート。/イスラームの世界では、助け合い精神で経済が回っている。お金を持っている人が持っていない人へ与える喜捨や銀行が無利子で事業へ出資し、儲けが出たら分配するムダーラバという仕組みだ。どちらも自分の利益のためにお金を使うのではなく、信仰に基づいた行動なのだ。現在の金融資本主義社会が抱える問題と限界を克服する、古くて新しい考え方、それが「イスラーム経済」だ。
  • 教育にひそむジェンダー ――学校・家庭・メディアが「らしさ」を強いる
    4.5
    理想(多様性奨励)と現実(根強いバイアス)のギャップが大きすぎる! 学校・家庭・メディアで与えられる「らしさ」の何が問題か。赤ちゃんから幼児、小学生、中高生、大学生まで、育児や教育を通して子どもたちに与えられるジェンダーイメージについて、教育社会学の知見や著者自身の子育て経験を踏まえて検証・考察する。母性愛神話、マイクロアグレッション、性教育、別学か共学か、性的同意、女性の透明化・商品化…… 語りにくいが大事な問いに正面から挑む。
  • バブルの後始末 ――銀行破綻と預金保護
    3.0
    いまも続く「失われた30年」の直接的な原因とされるバブル経済の崩壊。当時、金融業界では何が起こり、関係者は何を見誤ったのだろうか。段階的に導入された一時国有化、新銀行設立、資本注入、不良債権の分離などの「破綻処理スキーム」は、何を目指したものだったのか。激動の現場で実務に当たった著者がその舞台裏を振り返り、金融不安と隣り合わせの現代に、その教訓と危機対応の考え方を伝える一冊。
  • よりみち部落問題
    3.6
    私は被差別部落に生まれた。自らの出自を考えずに自由に生きることこそが、部落問題の解決ではないか。そう考える著者がたどりついた地平は――。被差別部落のみならず、あらゆる差別を考える一冊。たまたま被差別部落に生まれたために、部落問題についてあれこれ思い悩んだ半世紀。記者として取材した差別、共同体の過去・現在・未来、今こそ語りあかす。
  • 組織論の名著30
    4.0
    私たち人間は、組織をつくることで繁栄を遂げてきた。20世紀に興隆する組織論は、企業組織のあり方の探究などわめて実務的な面をもちつつも、他方で集団を形成し協働するという人間本性に根ざした学際的な学問だ。本書では、バーナード『経営者の役割』やウェーバー『支配について』といった近代組織の基底をなす議論から、リーダーシップ論、組織文化論、組織学習論、意思決定理論、さらにはオライリー&タッシュマン『両利きの経営』といった近年の著作まで国内外の名著30冊を精選。組織に生きるすべての人に向けられた最良のガイド。
  • 神戸 ――戦災と震災
    4.5
    1868年の神戸港開港後、1889年の市制施行で「神戸市」が成立する。以降、神戸というまちは、1938年の阪神大水害、1945年の神戸大空襲、1995年の阪神・淡路大震災と、災害や戦争の影響を大きく受けながら発展していく。本書は、こうした危機からの復興を軸に、明治期から現代までの都市史を描く。貴重な図版を多数収録した、神戸都市史の決定版である。
  • 天文学者たちの江戸時代 増補新版
    5.0
    江戸時代、天文学者たちは星を見上げ、暦に命を懸けた。鎖国下の日本で外国の知識やことばと必死で格闘し、研究に身を捧げた人びとを描く情熱の天文学史。/・渋川春海による「日本独自の暦」を作る苦闘/・西洋天文学の導入を目指した徳川吉宗と麻田剛立/・地動説、彗星、星座は当時どう考えられていたか? /・伊能忠敬の全国測量異聞――幻となった間重富の測量計画/・オランダ語を独力で習得し、命がけで「ラランデ暦書」を翻訳/・最新情報を求めシーボルト事件で獄死した高橋景保 etc. /現役の科学館学芸員である著者が、江戸時代の天文学者たちの思索と、ドラマにあふれた人生をたどる。待望の増補文庫化! 解説 渡部潤一
  • 駄目も目である ――木山捷平小説集
    5.0
    木山捷平は詩人として活動をはじめ、太宰治や井伏鱒二と交流を持ちながら小説家としての才能を開花させる。飄逸でユーモアに溢れる世界は唯一無二。決してよく知られた作家ではないが、現在まで静かに愛され続けてきた。木山作品をこよなく愛する岡崎武志が、木山自身を投影した“正介”が登場し東京の街を闊歩する作品を中心に編んだオリジナル作品集。「軽石」「苦いお茶」「下駄の腰掛」ほか収録。
  • 編集を愛して ――アンソロジストの優雅な日々
    3.0
    500冊近い本を編集し、『ちくま文学の森』『中学生までに読んでおきたい日本文学』などの多くのアンソロジーを手掛けた著者が愛した「編集」という仕事が何であるかを綴ったエッセイ集。
  • 資本論 第一巻 上
    5.0
    剰余価値追求の終わりなき運動、資本主義。本書はそのメカニズムを精密に分析し、社会科学史に聳え立つ。『マルクス・コレクション』版を全面改訳。 貨幣の増殖を自己目的とする終わりなき運動、資本主義。なぜ等価交換に見える商品流通のなかから、富裕化する階級と貧困化する階級との絶対的対立が生じるのか。この矛盾に満ちた資本主義社会の運動法則全体を、マルクスは19世紀イギリスの産業社会を素材に解明しようとした。全4巻を構想しながら、生前に刊行されたのはこの第1巻だけだった。しかしそれは独立性の高い著作として、以後の知的・政治的世界に巨大な影響を与え続けた。上巻には、「第1篇 商品と貨幣」から「第4篇 相対的剰余価値の生産」の「第12章 分業とマニュファクチュア」までを収録。全2巻。
  • 親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの? ――人生という「リアルなゲーム」の攻略法
    4.0
    私たちの社会は、「合理的に考える」人がお金持ちになるようにできている。人生を攻略せよ! 橘玲が教える、これからの時代の人生戦略。/幸せな人生を生きるには“合理性”が武器になる! □2割の努力で8割の相手には勝てるようになる □「トレードオフ」を理解して社会の仕組みを知る □「複利」を活かしてお金を増やす □仕事は成功確率を考えて選ぶべし □時間には値段がついている □仲間を集めて強力なチームをつくれば大きく稼げる/子どもに世の中の仕組みをどう教えたらいいのか、迷っているあなたへ。読んだ子と読まない子で、将来は決定的に違ってくる。小学校高学年(10歳以上)から取り組める、8つのゲームにチャレンジしてステージを上げていこう!
  • スバらしきバス
    4.1
    東京や福岡の路線バス、コミュニティバス、高速バス、ツアーバス……詩人である著者は、ふらっとバスに乗り込むと、外の景色を眺め、本を読み、ぼんやりし、バス停の名前から物語を妄想し、乗客を観察する。終点まで行って、また同じ路線で折り返す。そんなバスの中の時間は、楽しく、心地よく、ちょっと寂しい。ユーモアと叙情を湛えた傑作バスエッセイが増補文庫化。解説 大竹昭子
  • 世界マヌケ反乱の手引書 増補版 ――ふざけた場所の作り方
    4.5
    金持ち優先社会で働きまくるのはもう飽きた! 面白い店や場所でとんでもない人々と繋がり、楽勝で生きよう! 第1章は基本の仲間の作り方。第2章は儲からない店の開き方。第3章では国内&海外のオルタナティブスペースのやり方を紹介。第4章では独自のパスポートや通貨を作り国境を超えて祭りを行う。文庫版は25頁分増補、スペースリストも増強! 解説 柄谷行人、ブレイディみかこ
  • 日本漢字全史
    3.0
    中国で生まれた漢字は日本語と邂逅し、日本文化に大きな影響を及ぼした。字形・字音・字義は日本独自に発達した面も少なくない。本書は日本における漢字の歴史を言語の側面のみならず、日本の文化や人々との係わりを通して描き出す。古代における漢字の受容、漢文・漢語の定着と万葉仮名の展開、中世の漢字・漢文の和化、和漢混淆文と字音の独自変化、江戸時代の漢学・漢字文化の隆盛、そして近代以降の漢字簡素化・字形整理――より深い日本の漢字文化理解のための必携の通史。
  • 概説 北欧神話
    3.0
    原初の巨人ユミル、神々の父オージン、運命をつかさどるノルンたち、人間の地ミズガルズ、世界樹ユッグドラシル……。ファンタジー等の創作物を通じてなじみ深い北欧神話だが、その全貌はどの程度理解されているだろうか。本書は北欧神話の全体像を、『エッダ』等の原典に忠実に、かつ見やすく提示する。読者はその世界観、巨人や妖精やヴァルキュリャといった諸族、神々とその道具にまつわるエピソード、そして世界の終末ラグナロクまで、基本的な知識をあまさず得られるだろう。北欧神話研究の画期的成果として長年読み継がれてきた、初心者から上級者まで必携の名著。
  • ルポ アフリカに進出する日本の新宗教 増補新版
    3.5
    コンゴ、ウガンダ、ガーナ、ブルキナファソ、コートジボワール……アフリカ各国で著者が出会ったのは、なんと日本の新宗教を信じる現地住民たちだった。統一教会、創価学会、真如苑、崇教真光、幸福の科学、ラエリアン・ムーブメント、天理教などを信じる彼らの生活や思い、現地での実像や人気の理由に迫る、唯一無二のルポ。その後の情報を追記し、新章を増補。解説 安田峰俊
  • 自分の時間へ
    4.0
    「自分の時間は、ほんとうは、他の人びとによってつくられているのだと思う」「後になっておおきな意味をもつことになることのおおくは、しばしば始めは、何でもない些細なことにすぎない」「得たものはつねに、失ったものに比例している」──。言葉と共に暮らし続けた詩人の記憶から静かに届けられる、自らの人生を生きていくための小さなヒントたち。傑作エッセイ集。解説 辻山良雄
  • 本の身の上ばなし
    5.0
    「有為転変は人の世の習いだが、書物にも数奇な運命がある。本の身の上は、本にかかわる人の物語でもある」(本書より)。高倉健のご先祖様が書いた本、脱走兵だった作家・里村欣三、井上ひさしの父親が書いた小説、批評家も騙された贋作目録、偽書にのめり込む者……。意外な人の意外な本、1冊の本の陰に隠されたドラマなど、書物と人間とをめぐる56話。イラスト南伸坊
  • 洲之内徹ベスト・エッセイ2
    -
    「「かすみ草」を見ていると、私はふしぎに、いま自分はひとりだという気がする。いい絵はみんなそうかもしれない」白洲正子がその審美眼に全幅の信頼を寄せた「目利き」洲之内徹。獄中「転向」によって思想の意味を見失い、その場その場を生き延びる習性を身につけた。放蕩と諦観の果てに、洲之内が見出した美への「誠意」とは──。戦前に書かれた最初期の批評を含む美術エッセイの名筆を集めたアンソロジー第2弾。
  • ヘルシンキ 生活の練習
    4.0
    フィンランドの子育てに、目からうろこ。「母親は人間でいられるし、人間であるべきです」二人の子どもと海を渡った社会学者による現地レポート。「考え方が変わる」と大反響。待望の文庫化!
  • 基軸通貨 ――ドルと円のゆくえを問いなおす
    3.5
    現在、米ドルは基軸通貨としてますます強くなっている。なぜドルは基軸通貨になったのか。そもそも基軸通貨とは何か。基軸通貨の定義や成立経緯と、米ドルを中心に構築された現代の世界経済体制を解説し、米ドルの覇権に挑戦してきた国際通貨の歴史を検証。さらに近年における新興国のドル離れ、脱ドル化について分析し、将来的に米ドルの基軸通貨としての位置づけが揺らぐ可能性についても検討。そして日本円が米ドルとの関係の中でどうなってゆくのか、そのゆくえを展望する。
  • 個性幻想 ――教育的価値の歴史社会学
    5.0
    なぜ「個性」は人々を惹きつける社会的テーマとなったのか。日本社会は「個性」にどんな理想=幻想を思い描いてきたのか。大正期に教育的価値として「個性」が浮上し最初のブームが起こったあと、1980年代に再ブームが到来。『窓ぎわのトットちゃん』のヒットもあり、臨時教育審議会で「個性化教育」路線が推進される。そして社会的価値として定着したこの言葉は、現在も「障害も個性」のような言説によって論争のタネであり続けている。日本の公教育の歩みに即しつつ、「個性」概念の来歴を振り返る。
  • ヘルシンキ 生活の練習はつづく
    4.5
    ガチ多様性。ふたりの子どもと北欧へ渡った社会学者による、現地レポート。「考え方が変わる」と大反響の『ヘルシンキ 生活の練習』の待望の続編! 【目次】はじめに/1 大人と働く/2 戦争と平和(前編)/3 戦争と平和(後編)/4 特殊なのは誰か/5 見えないルール/6 エリライシアが普通/7 みんなのための善いこと/おわりに
  • はじめての戦争と平和
    4.1
    話し合いができれば戦争は起きないはずだ。軍隊がなければ平和になる。……本当にそうでしょうか?「(…)人類はひとつだ、皆がちゃんと話し合えば分かり合えるはずで、そうすれば戦争など起きない、という考え方もあります。「話せば分かる」という発想ですね。これが広まれば世界が平和になりそうなものです。そう信じたい、願いたい気持ちもよく分かります。しかし、残念ながら現実にはなかなかそうなりません。」(まえがきより)そもそも安全保障とは、リスクをゼロにするような理想論ではなく、現実的なリスクを把握、管理し、対処することです。国際関係や防衛の問題のリアルな読みとき方を知ることは、戦争のない世界を目指すための土台となります。
  • やさしい日本語ってなんだろう
    4.1
    「やさしい日本語」を知っていますか。在住外国人の増加や多国籍化が進む社会において伝わりやすさを目指した簡単な日本語のこと。身近な言葉も別の立場から見ればむずかしい。コミュニケーションのあり方を考える。
  • 四字熟語で始める漢文入門
    4.3
    どうして読まない字や二度読む字があるのか? なぜひっくり返すのか? 独自の読み方に四苦八苦した人も多いはず。四字熟語を手がかりに、返り点や句形といった漢文を読むための基本的な知識を丁寧に解説、漢文の“なぜ”が分かるようになります。また、漢文はどれも大昔に書かれたものですが、現代に生きる私たちに引き付けて味わうことができるものがたくさんあります。本書では、なるべく多くの書物から題材を選んで紹介しています。その時代を知り、漢文の世界の面白さが伝わる一冊になっています。
  • 投資で変わる日本経済 ――「アマチュア資本主義」を活かす途
    3.5
    賃金が上がらない。ハンコがないと書類も回せない。停滞から30年も抜け出せない。日本は資本主義の落第生なのか?――新型コロナウイルス感染拡大によって、日本経済の脆弱さが浮き彫りになったが、それはバブル崩壊以降、問題を先送りし続けてきた当然の帰結だ。長期停滞の原因は日本の「アマチュアな資本主義」であるとし、データで検証。さらにデジタル化や人材育成への投資の必要性を説き、日本らしさを活かした非市場的な「豊かさ」への新たなアプローチを模索する。日本経済の閉塞感を打ち破るための一冊。
  • 萩本欽一 昭和をつくった男
    4.0
    コント55号のブレイク、欽ドン!、欽どこ、ぴったしカン・カン、スター誕生!、仮装大賞、24時間テレビなど高視聴率番組の連発、そしてイモ欽トリオやわらべ、茨城ゴールデンゴールズのプロデュース――。素人をテレビの主役にし、笑いの地位を上げ、バラエティの常識を次々打ち破った“視聴率100%男”欽ちゃんの革命。「ダメなときほど運はたまる」「勝つか、逃げるか」といったユニークな人生哲学のもと、誰もがテレビに夢中だった「あの時代」をつくったテレビスターの全軌跡。
  • 「権限によらないリーダーシップ」で組織が変わる
    5.0
    「リーダーシップを発揮するには、組織内でその根拠となる何らかの『権限』が必要だ」と考える人は多いだろう。本書で紹介するのは、そういった権限の有無や強弱によらず、参加する人すべてが発揮する新しいリーダーシップだ。このリーダーシップは具体的スキルとなる「目標設定・共有」「率先垂範」「相互支援」の最小3要素が過不足なく機能することで実現可能となる。個々人のキャリアアップに結びつく一方で、柔らかく強い組織づくりにもつながる「権限によらないリーダーシップ」が支持される理由と習得法、実践法を紹介する。
  • リサーチ・クエスチョンとは何か?
    4.0
    問いを立て、調査・分析して報告する。その営みにおいて最初の関門である「問いを立てる」ことはそう簡単なものではない。それは立てれば終わりというわけではないからである。研究を進めていくなかで、当初の問いとは異なる形に問いを磨き「育てる」必要がある。そうした過程を経て、研究としてのセレンディピティが生まれるのだ。これまで語られてこなかった新しいリサーチ・クエスチョンとの向きあい方がわかる。
  • 世界経済史講義
    4.0
    世界における経済の歴史は、どうなっているのか。経済はいつ誕生したのか、資本とは資本主義とは何か。利子、帝国、法人の誕生、バブルの発生、世界恐慌、戦争と経済成長など、さまざまな観点から見ていく。宗教と資本主義が密接に関係していることも明らかにする。グローバル資本主義は終焉を迎えつつあるが、今後は何が経済を動かしていくのか。経済学者の水野和夫が宗教学者の島田裕巳を聞き手に、わかりやすく説く。
  • メメントラブドール
    3.6
    1巻1,430円 (税込)
    私には幾つか顔がある。裏アカ男子、男の娘キャスト、院卒若手正社員――ペルソナたちがハレーションする新宿区在住20代♂の令和五年。第40回太宰治賞受賞。
  • 水木しげる厳選集 虚
    4.2
    「あの世もこの世も、過去も現在も未来も同時に存在するかのようにして、救われる」──怪優・佐野史郎の魂の遍歴は常に水木作品と共にあった。俳優としての指針ともなったゆるぎない世界観、幻想文学へ導いてくれた怪異譚の愉悦……「かたときも離れられない」と言わしめた傑作短編群から愛する「鬼太郎」シリーズの好編まで、ニヒリズムをユーモアに包んだ逸品を厳選。選者解説を付す。
  • 水木しげる厳選集 異
    4.0
    「わたしも水木しげるになりたい」──。作者とその生み出したキャラクターたちをこよなく愛する漫画家・ヤマザキマリが、広大無比な作品群からマイ・フェイバリットを厳選。代表作「河童の三平」「のんのんばあ」掌中の逸品から『ガロ』以降の諧謔と飄逸に富んだ傑作短編まで、選者ならではの視点で選び抜かれた、異境に遊ぶ奇譚集。水木ワールドとの出会いと愛を語る選者解説を付す。
  • 閔妃暗殺 ――朝鮮王朝末期の国母
    -
    1895年10月8日、朝鮮駐在特命全権公使・三浦梧楼指揮の下、日本の官僚と軍人が朝鮮王朝の王宮・景福宮に乱入し、王妃を殺害するという大事件が発生した。本書はその顛末を詳述したもの。韓国でも翻訳出版され、大きな反響を得た。日本で「閔妃暗殺」と呼ばれるこの事件は韓国では「乙未事変」と呼ばれ、日本人にとっての「忠臣蔵」のように誰もが知る歴史的出来事となっている。一方、日本では歴史教科書への記載も少なく、認識している人も多くはない。いったい誰がなぜこのような凶行を計画したのか? 未来のために、日韓関係に深い傷を残したこの大事件の全容を知る。
  • 孤独への道は愛で敷き詰められている
    3.9
    1巻1,650円 (税込)
    アラフォーの柳田譲の前に現れた三人の女との出会いと別れ。愛を求め、また与えようとして却って孤独へと突き進んでしまう魂の悲哀を描く太宰治賞受賞後第一作!
  • 台所に敗戦はなかった ――戦前・戦後をつなぐ日本食
    4.0
    うどんでプリン、海苔巻きバナナ、肉なし「そばすき焼き」にはんぺんサンドイッチ……。台所をあずかる女たちは、国破れても立ち止まってはいられなかった。明治から戦後二十年ほどまでの料理本約七百冊、婦人雑誌二千冊に登場するレシピを実際に作って食した著者が、その背後に潜む国家の政治性と“かあさん”たちが生み出すゆかいな創意工夫に迫る、実践的食文化史!
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版
    4.2
    アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。
  • 時間と死 ――不在と無のあいだで
    -
    過去・現在・未来という時間の様相は、言語によって作られた概念である。世界はそのつど湧き出しては消えていく“いま”の連鎖なのであり、客観的世界も客観的時間も仮象にすぎない。ならば、「私」が死ぬとは、少なくとも、私が客観的世界から消滅することではなくなる。若き日から「自分がいずれ死ぬとしたら人生には何の意味もない」という呪縛に捉われてきた著者が、本書でついに「死」という問題そのものに対峙する。そして「私の死」の裏側にはりつく過酷な意味から脱却し、「私」は単に人間として死んで終わりであるような存在ではないという地点に達する。著者の哲学的思考の到達点。
  • アルジャイ石窟 ――モンゴル帝国期 草原の道の仏教寺院
    5.0
    1巻1,925円 (税込)
    13世紀のモンゴル帝国時代に大きく栄えた、内モンゴル草原の知られざる石窟寺院、アルジャイ石窟。その歴史と文化を歴史人類学的視点と文献学的視点の両面から解説する初めての本。モンゴルとチベット仏教の関係から説き起こし、アルジャイ石窟をめぐる政治的・宗教的勢力の興亡を描きつつ、石窟寺院の考古学的特徴と石窟内部の貴重な壁画や文字・写本などの文化財を紹介。チベット仏教の世界化へのモンゴル人の関わりと、草原の道、遊牧民の世界での仏教信仰の実態を解明する。
  • 天皇たちの寺社戦略 ――法隆寺・薬師寺・伊勢神宮にみる三極構造
    -
    古代の天皇たちが建立した社寺建築は天皇の血筋を可視化し、即位の正統性を強くアピールしていた。社寺建築の配置タイプは天皇たちの血筋に明確に対応していたのだ。聖徳太子創建の法隆寺若草伽藍は塔と金堂がタテ一列だったが、天智天皇はこれを真っ向から否定し、塔と金堂がヨコに並ぶ法隆寺西院伽藍を建立。一方、天武天皇は三極構造の薬師寺を建立し、その妻持統天皇は三極構造を伊勢神宮の社殿配置に導入した。〈タテ→ヨコ→三極〉の変遷に秘められた天皇たちの戦略を探る。
  • 代替伴侶
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    人口が爆発的に増え、「代替伴侶法」が施行された近未来。伴侶を失い精神的に打撃を被った人間に対し、最大10年間という期限つきで、かつての伴侶と同じ記憶や内面を持った「代替伴侶」が貸与されることとなった。それは「あり得た夫婦のかたち」を提示すると同時に、愛の持つ本質的な痛みを炙り出すことともなったのだった――。
  • フィールドワークってなんだろう
    4.0
    どんな場所、どんな相手、どんな関係であっても、他者と向き合ううえで大事なこと。自分の半径五メートルから飛び出し、はじめて目にするに世界に飛び込んでみよう。考え方がひっくり返り、社会の見え方が変わるはず。じっくりしっかり話を聞くコツもわかります。 【目次】第1章 ユニークな研究――キャラを立てるには/第2章 一つの例から全体を問いなおす―ブラックスワンを探せ!/第3章 図と地の反転――幽霊と死者に聞く/第4章 なぜ少数を扱うのか――俯瞰する観察眼/第5章 自分のよって立つ足場を壊す――時間と空間を歪ます/第6章 探究する感覚を磨く――自分への再教育/第7章 弱い人の声に耳をすます――世界の開き方/第8章 心地よい社会からの脱出――二重の世界を生きる
  • 小説にできること
    4.3
    第一章 小説にはなんでもできる(技術篇)/第二章 小説にはなんでもできる(内容篇)/第三章 小説は道徳にとらわれない/第四章 小説は人間の多様性を描きわける/第五章 小説はダメな人間を輝かせることができる/第六章 小説は空想を描ける/第七章 小説は時代を描くことができる/第八章 小説は理想を託すことができる/第九章 小説は美を追求することができる/第十章 小説は人を励ますことができる
  • ごみ収集の知られざる世界
    4.2
    あなたが今捨てたそのごみはどう集められ、どう処理され、最終的にどこへいくか知っていますか? 自宅、会社、外出先それぞれで、実はごみの扱いも異なってくる。地域によっても特色があり、様々な工夫がなされているが、それには従事する人の頭と力が必要となる。もちろん環境や持続可能性を考えるなら、掘り下げる余地はまだまだある。自ら北へ南へ赴いて体験することで見えてきた、奥深い世界を紹介する。
  • バブルと資本主義が日本をつぶす ――人口減と貧困の資本論
    5.0
    令和バブルともいうべき株や都市部不動産の高騰、急速に進行する地方経済の衰退。近代英国の労働者のような低賃金に貧富の差が拡大している。老後への不安に付け込み、税優遇などの誘惑によって引きずり込まれた危険なマネーゲームの乱高下はチキンゲームの様相を呈してきた。バブルは壊れて消えるのが必定。マルクスは、資本主義には貧困が必要なことを喝破したが、日本はいま未曾有の労働力不足、人口減少社会に直面している。――日本の末期的状況を、マルクスやエンゲルスの枠組みで読み解く。
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ
    3.8
    『アナ雪』でひとり氷の城を作ったエルサは本当に孤独だったのか? 運命の恋人、姉妹の愛、孤独から救うのは個人のつながりだけなのか? 映画、マンガ、英文学の名著、とある女王の史実までを読み解き、良い孤独のある社会、孤独を許容する社会を想像する。新時代を目指すカルチャー批評。 【目次】第一章 ロンリネスとソリチュード――または、エルサの孤独/第二章 孤独はいつから避けるべきものになったのか――ひとりぼっちのロビンソン/第三章 「ソウルメイト」の発見――依存と孤独とジェイン・エア/補論 「友達100人」は孤独を癒やしてくれるのか?/第四章 死別と孤独――ヴィクトリア女王から『葬送のフリーレン』へ/第五章 田舎のソリチュードから都会のロンリネスへ――森の生活と、ある探偵の孤独/第六章 自分ひとりの部屋と向かいのおばあさんの部屋――ヴァージニア・ウルフの場合/第七章 誰でも孤独でいられる社会へ――排除型社会と孤独
  • 金利を考える
    3.9
    住宅ローンや消費者金融、銀行預金に個人向け国債。私たちの身の回りには「金利」があふれている。「低金利だから円安になる」「金利を上げると不景気になる」といったニュースも、毎日のように聞こえてくる。これらの「金利」はお互いにどんな関係があって、それぞれの金利はなぜ/どうやって決まるのか。金利が動くと私たちの生活に何が起きるのか。金融政策の第一人者が、身近な事例をもとに根本から解き明かす。お金と社会を見る目が変わる、実践的経済学の書。
  • 5語で通じるすごい英語表現 ――94パターンで話がとぎれない
    5.0
    日本人の英語は丁寧だが、時代に追いついていない表現もある。ビジネスや旅先で、SNSでもう少し生きた英語、かっこいい英語を使いたい人はぜひ手に取ってほしい。決して難しいわけではなく、ほとんど「5語以内」のシンプルなやさしい表現で相手に通じて、「わかってるね」と思われる。あなたの英語をブラッシュアップして、会話力を爆上がりさせよう!
  • 社会保障のどこが問題か ――「勤労の義務」という呪縛
    4.0
    病気やケガをしたとき、出産や育児、そして介護が必要になったときの生活を保障する社会保険。働けなくなったときや老後の生活を支える年金制度。毎月の給料から天引きされているものの、いざというとき自分がどの給付を受けられるのかわかりにくく、申請するのもどこか後ろめたい。日本の社会保障はなぜこんなにも使いづらいのか。複雑に分立した制度の歴史から、この国の根底に渦巻く「働かざる者食うべからず」の精神を問い、誰もが等しく保障される社会のしくみを考える。
  • 持続可能な交通まちづくり ――欧州の実践に学ぶ
    4.7
    欧州では、大都市も地方都市も、街の空間を再編し、多様な移動の選択肢を提示することで豊かな生活を実現しつつある。これはEUが提示した「持続可能な都市モビリティ計画(SUMP)」に基づく交通まちづくりの成果といえる。欧州の事例をそのまま日本には適用できなくとも、良いところを学ぶことで活力を取り戻せるはずだ。欧州における最新の取り組みと背後にある考え方、日本の交通政策の歴史的経緯を踏まえつつ、これからの日本に求められる具体的な戦略を提言する。
  • 桃色じかけのフィルム ──失われた映画を探せ
    4.0
    日本映画界が観客動員数激減に直面していた昭和30年代後半から、弱小プロダクション製作の成人指定映画が量産される。所謂「ピンク映画」である。世のヒンシュクを買いながらも、熱気溢れる現場からは山本晋也、若松孝二、高橋伴明、和泉聖治など名監督も生まれている。しかし、その作品の多くが失われてしまった。今や忘れ去られた映画人や作品を追う傑作ルポ。
  • 中世政治思想講義 ――ヨーロッパ文化の原型
    -
    社会とは神が人間に与えた秩序であり、その安定と維持こそが中世キリスト教世界における政治であった。ローマ教皇と神聖ローマ皇帝という二つの中心が社会的機能と責任を担う。だが、時に激しく対立し、グレゴリウス改革や叙任権闘争を極点として、統治の本質が根底から問われる事態へと発展する。聖書解釈に基づく両者の理論対決は、政治思想の錬磨を促さずにはおかない。普遍的で超越的なものを志向する意志と密接不可分な「合理性」がここに芽生え、やがてそれがヨーロッパ人の思惟構造を形づくっていくのである。中世の核心を伝えるだけでなく、近代の性格をも照らし出す類まれな講義。
  • 資本主義の中で生きるということ
    4.2
    貨幣とは何か、資本主義とは何かを鋭く問い続け、従来の経済学の枠組みを超える新しい理論を構築してきた第一人者による、知的魅力あふれるエッセイの集大成。
  • なんだか今日もダメみたい
    4.0
    映画、舞台、音楽、テレビを横断する〈表現者・竹中直人〉を紐解く全編書き下ろし自伝的エッセイ集。家族や学生時代のエピソードから俳優や音楽家との交流まで。
  • デザインの仕事
    4.6
    「好きなこと」を仕事にするとはどういうことだろう。それは、仕事という激しい作用と反作用のなかで、「好きなこと」を鍛えていくということだ。イラスト、デザイン、広告から装丁までと、様々な形で活躍する著者の仕事の哲学。新しいことをしたい、何かを作りだしたいと思っているすべての人に贈る。名インタビュアー木村俊介による聞き書き。
  • 記憶の切繪図 ──七十五年の回想
    3.0
    300年以上の超難問であった「フェルマーの最終定理」が1995年A.ワイルズによって解決された。その際多大な貢献をしたのが「志村予想」であった。志村多様体論や高次虚数乗法論で知られる世界的数学者・志村五郎の自伝的随想。幼少期、学生時代、プリンストンでの研究生活、さまざまな時代の追想を交え75年の人生におけるエピソードを時に辛辣に、時に滋味深く綴る。特にアンドレ・ヴェイユ、カール・ジーゲル等、数学者との交流と評価、「志村予想」への自身唯一の言及は興味深い。
  • 江戸服飾史談
    -
    ざっと三百年間の移り変わりを述べることに致します―。大火や幾度もの改革、風呂屋や歌舞伎の流行といった時代背景・風俗とともに語る江戸服飾史入門。明治期、学者・大槻如電が三越呉服店の依頼をうけて講談調で記した原稿に、注釈や図版を多数加え、現代人向けに編集した。金ピカの裃を着て真面目な顔でいる武士たち、ひいきの役者の紋を銀簪に彫る女たち、度重なる倹約令を経てなお新たな流行を作り出す江戸の人々の姿が活写される。当時の語りの面白さを残したユニークな書であり、着物、履物、流行りの模様、髪型、帯の締め方までを詳細に示す貴重な資料である。
  • 論文の書きかた
    3.5
    論文を書くとき、気をつけなければならないことはなにか。論文は、どんな基準で評価されるのか。本書は論文の書きかたについて、社会学を中心に、研究プロセスにおける作法にそって解説する。著者自身の体験を手がかりとしながら、問題設定や社会調査、資料批判、図表の論理、注の役割、研究倫理など、論文作成において外せないポイントを掘り下げていく。論とはなにか、文とはなにか、そして書くとはなにか。「論文を書く」という現象それ自体の社会学的な考察であるとともに、新たな認識を自分で生み出すためのレッスンでもある。
  • T/S
    -
    1巻1,980円 (税込)
    演劇で世界は変えられるか? 未来は変えられるか? そもそも世界が演劇なのか? 未来は夢なのか? そしてぼく/わたしは何者なのか―。『cocoon』『∧∧∧かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―』『BOAT』『equal』…「マームとジプシー」を率いる演劇界の若きトップランナーが自身の演劇論と半生を率直に、かつプレイフルに綴る未曾有の自伝的フィクション!!
  • 新版 「読み」の整理学
    3.9
    取扱説明書や役所の書類など、読んでも頭に入ってこないという経験はないだろうか? 自分が未経験のことを読むのは難しい。一方、知っている事柄を読んで理解することは簡単にできる。ここには2種類の読み方―未知を読むベータ読み、既知を読むアルファ読み―がある。知のバイブル『思考の整理学』の著者が伝授する“読み方”の極意。読書や本にまつわる文章を増補し“新版”として登場。
  • 社会学への招待
    4.0
    社会学は、社会を研究対象とする学問だ。だが、そこで言われる「社会」とは、私たちの「日常」とイコールではない。それどころか、ときに日常は、より本質的な社会問題や社会構造を隠蔽し、見えにくくしてしまう。逆に言えば、社会の根本問題は一見「当たり前」に思える物事にこそひそんでいるのであり、それをあえて疑い、執拗に探究することが重要となる。社会学とは、そうした探究を通じて社会の成り立ちを明らかにし、その構成単位である人間主体のありようをも解明しようとする試みにほかならない―。世界中で長年使われてきた、アメリカ社会学の泰斗による大定番の入門書!
  • 最後にして最初の人類
    3.3
    20億年後の“最後の人類”が現在の人類に語る未来の歴史。数度の世界戦争、疫病の蔓延と地球規模の環境激変、火星人類の侵略など度重なる災禍によって退行した人類は、やがて再び進化の階梯を登り始める。超人類の創造と諸文明の興亡、果てしなき流れの果てに人類が辿り着いた場所とは…。20億年に及ぶ壮大な人類進化の年代記を驚異の想像力と神話的ヴィジョンで描いた伝説的名作。改訳文庫化。
  • 価値の社会学
    4.0
    本書は、価値に関する一般理論と、その理論を手がかりにした日本社会の分析から構成される。西洋近代に「価値」を認め発展してきた日本社会。一方は価値の首尾一貫性に、他方は外部の価値にコミットしつつ効率的に採用する態度によって特徴づけられる。ここにある差異の考察を通し、戦前以降、日本社会が経験した価値体系の変動はどのようなものとしてあらわれてくるのか―。著者が展望する新たな規範は、日本文化と西洋文化という二項対立の乗り越えまでを射程に入れる。日本が生んだ画期的な批判的社会理論であり、戦後日本社会論の白眉。
  • 日本半導体物語 ――パイオニアの証言
    3.0
    1955年にトランジスタラジオをソニーが商用化して以降、日本の半導体産業は次第に地力をつけ、80年代末には世界トップの市場シェアを獲得した。だがその後、日米半導体摩擦の影響を受け弱体化が始まり、摩擦が収まった後も日本半導体の市場シェアの低落傾向は続いて今日に至っている。この栄枯盛衰のドラマの裏側には技術者たちの奮戦があった。日本の「ミスター半導体」と呼ばれ、生涯を半導体とともに歩んできたレジェンド技術者が語る、業界の内側から見た日本の半導体開発70年史。
  • 「信教の自由」の思想史 ――明治維新から旧統一教会問題まで
    3.3
    欧米のように血みどろの戦争と迫害の中から生み出されたのではなく、いわば上から降ってきた「信教の自由」を、日本人はいかに受け止め、その法規定の解釈・運用や改正をめぐり議論してきたのか。宗教者・知識人らの論争から、その底流にある「信教の自由」をめぐる思想の変転を跡づける。さらに、オウム真理教事件を契機とする宗教法人法改正にあたって論議となった創価学会と政治との関係、安倍晋三元首相銃撃事件後の旧統一教会の被害者救済などの政策動向などを踏まえて、今後の「信教の自由」のあるべき姿について提言する。
  • 人類5000年史I ──紀元前の世界
    4.1
    1~6巻825~990円 (税込)
    文明の誕生から現代まで、5000年の人類の歩みをまとめる著者のライフワークの第一巻。文字の誕生と最初の文明(BC3000‐BC2001)から、チャリオットによる軍事革命と紀元前1200年のカタストロフ(BC2000‐BC1001)、世界帝国の時代(BC1000‐BC501)、知の爆発の時代(BC500‐BC1)まで、紀元前およそ3000年の歴史をダイナミックに展開する。
  • 最新のスポーツ科学で強くなる!
    3.8
    テクノロジーの進化に伴い、スポーツ科学の研究の発展は目覚ましく、毎年新しい発見が次々と報告されています。そこで得られた成果は、トップレベルのスポーツ選手の競技力向上に貢献するのはもちろんですが、部活動に取り組む中高生や大学生にも有益なものです。スポーツ科学では、トレーニング、リカバリー・コンディショニング、栄養補給の三本柱で考えます。どれだけ合理的なすばらしいトレーニングを行っていても、栄養や休養に注意を払っていなければ大きな効果を期待できません。競技をやる以上、勝つことも大事ですが、それ以上に怪我を防ぎ、ココロもカラダも元気な状態で強くなるにはどうすれば良いか?が重要です。不適切なトレーニングを取り除き、過度の練習や厳しい食事制限を見直し、怪我やコンディション不良によってスタートラインに立てないということがないように。最新のスポーツ科学の知見を得て、トレーニングや休息、栄養について、客観的なデータに基づいて自身でチェックし、日々の行動に反映させる「自己管理のできるアスリート」になるための1冊。
  • 理系的 英語習得術 ――インプットとアウトプットの全技法
    4.7
    科学者として英語を日常的に使いこなす著者が、半世紀にわたる英語学習の経験から「結果を出せる」ノウハウだけを厳選してアドバイス。システマティックで合理的な英語の勉強法、すなわち誰にでもできる「習得術」を理系的視点から大公開。英語情報のインプット、アウトプット、未来の活用の三項目を見据えて学習を進めていく。読めば、頭をポジティブに稼働させ、「英語が得意になった」感触を得ることができる実践の書。
  • 翻訳をジェンダーする
    4.0
    翻訳小説の女性達は原文以上に「女らしい」言葉で訳されていることがあります。翻訳と社会とわたし達の密接な関係を読みとき、性差別をなくすための翻訳、社会に抗する翻訳の可能性を探る一冊。
  • 東大ファッション論集中講義
    3.8
    ファッションとは何か? 衣服とは? 12のテーマを通じて文化や芸術としてのファッションを学び、歴史と未来に問う。東大生の反響を呼んだ一度きりの特別講義がその熱を凝縮した一冊となってよみがえる。
  • マンガ認知症【施設介護編】
    4.3
    大好きな祖母が認知症になってしまい、母と二人で介護に取り組むマンガ家、ニコ。在宅介護が限界を迎えて施設に入居してもらったものの、祖母の認知症の症状がみるみる悪化していきました。ふたりはしょっちゅう呼び出され、かかる費用は月40万円……!? じつは、認知症の人には「向かない施設」があるんです。「施設介護の始めどきって?」「この行動は本人からのSOS?」「職員さんとどう話せばいいの!?」「施設で最期を迎えるのはかわいそう……」介護事業を立ち上げて30年のコジマさんと認知症の心理学の専門家・サトー先生が、認知症の施設介護の不安を解きほぐします。
  • 歴史学はこう考える
    3.7
    史料の山に埋もれ、ひたすら解読している? 過去の出来事の是非を論争する? このようなイメージがある歴史学では実際に何が営まれているのか。明らかにしたいものは様々でも、歴史学には共通のプロセスがある。史料とはなにか。それをどう読んでいるのか。そこからオリジナルな議論をいかに組み立てるのか。歴史について語る前に、最低限知っておきたい考え方を解説する。
  • エスノグラフィ入門
    4.4
    生活を書く、それがエスノグラフィの特徴です。そして、もっとも良質なエスノグラフィの成果は、苦しみとともに生きる人びとが直面している世界を表し出すところに宿るものです。もともと人類学で発展したこの手法は、シカゴ学派を拠点に、社会学の分野でも広がっていきました。本書では、5つのキーワードに沿って、そのおもしろさを解説していきます。予備知識はいりません。ぜひ、その魅力を体感してください。
  • 女の氏名誕生 ――人名へのこだわりはいかにして生まれたのか
    4.1
    江戸時代の女性名は現代とどう違ったのか?「お」の付く女性名はどこに消えたのか? 近代女性名の「子」とは何か? 何が今日の「夫婦別姓」論争を生み出したのか? アイデンティティとして名前に執着する現代の常識は、どのように生まれたのか?――男性名とは別物だった江戸時代の女性名が、明治期に男女共通の「氏名」となって現代の諸問題を抱えるまで、近代国民国家の形成、文字の読み書きや捺印、戦後改革など様々な事象を通して、日本人名文化の歴史的変遷を明らかにする。
  • 犯罪日誌
    -
    昭和中期の週刊誌創刊ブームの中、トップ屋(巻頭記事を担当するフリージャーナリスト)として活躍した著者は、1962年に話題となった経済小説『黒の試走車』以来、多種多様なジャンルの小説やルポルタージュを発表し人気作家となる。本書は、1960年代後半から文芸誌に発表されたサスペンス、犯罪ものを日下三蔵の編集で贈るオリジナル作品集。愛とエロスと欲望の中で繰り広げられる“復讐”の物語。
  • ポパー〔第2版〕
    5.0
    ウィーン出身の哲学者カール・ポパー(1902‐1994)。その思想は「批判的合理主義」として知られ、主として科学哲学や政治哲学の領域でこれまでに大きな影響を与えてきた。だが、この「知の巨人」の反証主義などの思想はたびたび誤解され、批判にもさらされてきた。本書は、ポパーを最も深く、かつ正確に理解する著者がそうした誤解を正し、ポパーの明晰さそのままに知の体系を解説するものである。『開かれた社会とその敵』の新訳も担当した著者による、いちばん信頼できる伝記として、また専門的見地に基づいたポパー哲学全体を俯瞰できる最良の入門書としても広く読まれてきた定番書、待望の改訂版。
  • 神戸、書いてどうなるのか
    3.7
    神戸。海と山に挟まれたその街には、食堂、酒場、喫茶店、レコード店、書店、映画館、商店街、銭湯など人々に愛される場所があり、その街についての素晴らしい本や歌があり、著者の大切な思い出がある。108のエッセイで語る、ひとつの街の暮らしと記憶。「私が愛した神戸の多くのものは姿を消したけれど、神戸が面白くなくなったとは言わない」。写真・イラストマップも収録。
  • 初夏ものがたり
    3.9
    初期のファンタジー小説集『オットーと魔術師』収録の表題作品が、酒井駒子の挿絵とともによみがえる。今は亡き人が大切な人の許を訪れる、その仲立ちをするのは謎の日本人ビジネスマン、タキ氏。まばゆさと湿り気、黒塗りのリムジン、どこかでひりひりと鳴り続ける電話の音…みずみずしい初夏の空気を存分に織り込み、夏の入口にふさわしい、鮮やかな印象を残す4話。
  • 洲之内徹ベスト・エッセイ1
    -
    「買えなければ盗んでも自分のものにしたくなるような絵なら、まちがいなくいい絵である」。かつて小林秀雄が「今一番の批評」と称賛し、美術エッセイ「気まぐれ美術館」で人気を博した洲之内徹。陰惨な戦争体験を引きずり、癒すことができない飢えを抱えながら、屈託のある達観の文を書いた。振り返られることが少なくなった異才の随想を、稀代の美術評論家・椹木野衣が選りすぐったコレクション。
  • 暗渠マニアック! 増補版
    3.3
    かつてあった川、暗渠の存在を知るとまち歩きが一気に楽しくなる。著者は、歴史を掘り下げ情緒豊かに描き上げる吉村生と、調査データを元に俯瞰的に暗渠に迫る髙山英男、二者が織りなす暗渠偏愛本。東京(杉並、巣鴨、荒川等)をはじめ近郊三県、札幌から那覇、台北まで。文庫化にあたり、下北沢、横浜、豊橋(暗渠上ビル)、堺(古墳)の暗渠40頁分を書し下ろした。
  • 戦場のカント ――加害の自覚と永遠平和
    -
    哲学者カントが訴えた〈永遠平和〉の眼目は、敵意が終わることにある。しかし、それは人間に可能なのか――。「撫順戦犯管理所」。中国で非道を為した日本兵たちがいた場所である。ここで中国人と日本人の間で起きた事態は、カントの理念の現実性を鮮烈なまでに突きつける。撫順を経た人々に加え、本書はアウシュヴィッツ収容所の帰還者やパレスチナ紛争の被害者の声にも耳を澄ませ、人が人を赦すことの意味を問う。人間の根底に光をあてた哲学的考察。
  • 坂本龍馬の映画史
    -
    映像作品での坂本龍馬の描かれ方は大きく変わってきた。サイレント映画では阪東妻三郎や月形龍之介、榎本健一といったスターが龍馬を演じた。戦後しばらくは主役級が龍馬を演じることはなく、それを転換したのが司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』。土佐弁を喋る庶民的合理主義者として龍馬は映像化され一躍人気者となる。1970年代以降は革命家のイメージやテレビドラマでのヒーロー、パロディー作品など多様に龍馬は演じられていく。龍馬イメージの変遷に歴史観と時代の価値観の反映を見る。
  • 江戸の都市計画
    -
    東京の“原形”はどのようなものであったのだろうか。本書はまず、日本列島という「く」の字形の島国におかれた東京の地理的位置と、大型河川=利根川水系の谷間にひろがった関東平野という自然環境上の原風景に着眼する。そこからいかに、運河都市・江戸へと発達していくのか。鎌倉時代以前から東京湾地域に活動したひとびと、江戸城と江戸の町の建設プロセス、その途上で消えた「江戸前島」など、水辺を中心に据えて読み解いていく。東京史・江戸史の大家が史料と博識とを存分に注ぎ、川と海の役割を追う一冊。地図多数。
  • 増補 聖典クルアーンの思想 ――イスラームの世界観
    4.0
    クルアーンにはモーセやイエスといったユダヤ教・キリスト教の重要人物たちも預言者として登場する。いったい彼らとイスラームとはどういう関係なのか? なぜ同じ預言者同士でありながらムハンマドに下されたクルアーンが最も正しい聖典とされるのか? 本書ではまずシーア派とスンナ派の違いなどの基礎知識を紹介しながらムハンマドの生涯を概観し、イスラームの成立過程をたどる。その上で天から下されては更新されていく「啓示」の基本構造を説明し「ジハード」などの聖句の意味をクルアーンを読みながら解説する。イスラームの考え方や行動の意味が根本からわかる格好の入門書。
  • 沖縄戦記 鉄の暴風
    4.2
    第二次世界大戦における最激戦地の一つ沖縄。軍民合わせ20万人もの尊い命が犠牲となった。本書のタイトルの「鉄の暴風」とは、1945年3月26日から3カ月間にわたり途絶えることなく続いた艦砲射撃や空爆のすさまじさを表現した言葉だ。1950年の初版刊行以降、沖縄戦を象徴する言葉として定着した。地形が変わるまで打ち込まれた砲爆弾、壕に逃げ込んだ住民を炙り出す執拗な火炎放射、そして民間人にまで及んだ自死の強制。本書は行動を軍とともにした記者たちが自らも体験したその壮絶な戦場の実態を、生存者をたずね克明に記録したもの。現代史第一級の史料を初文庫化。
  • おともだち 〈新装版〉
    4.3
    1巻1,650円 (税込)
    「日本のおともだち」「アメリカのおともだち」の2部構成で全5作品を収録。どこかなつかしく、そして新しい少女の世界を鮮やかに描く作品集。新装版で登場。

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