宇丹貴代実の一覧
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ユーザーレビュー
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アウシュビッツにおけるユダヤ人のドレス裁縫士という女性に焦点を当てたはじめてのドキュメントであると思われる。お針子と訳が当ててあるが、原題はdressmakersである。
日常からアウシュビッツの送られドレスを裁縫して解放までの日々を記載している。ところどころに様々な人物の発言が書かれている。
Posted by ブクログ
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ナチス幹部の家族のための服を仕立てるため、裁縫の技能を生かして生き延びた女性たちがいた。
究極の環境での友情ときずなに心揺さぶられる。
Posted by ブクログ
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アウシュビッツ収容所所長ルドルフ・ヘスの妻ヘートヴィヒ・ヘスの個人的欲望を満たす為のファッションサロン活動、主にスロバキアから強制移送された若いユダヤ人女性たちの裁縫師という技能が彼女達の命を救った。
ヘートヴィヒの職権濫用がなかったら彼女達の命運はどうなったか分からない。ルドルフに対して不利な証言
...続きを読むを避ける心理はわかる様な気がする。
女性らしい著者の視点から明らかにされ丹念な取材で世に出て、それほど時間かからず邦訳され、それが読めて幸運と思う。
Posted by ブクログ
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ホロコーストものは、読み慣れているのだが、
これは、きつかった。
それでも、最後まで、きちんと読み通したかったのは、
ノンフィクションの力。
女性達の生きる強さに感嘆し、その後が気になったからだ。
女性達とは、アウシュヴィッツのお針子。
彼女たちは、収容所以前に洋裁の実力を蓄え、
中にはサロンを開
...続きを読むき、高級顧客を相手にしてきた人も居る。
それが収容所で役立つわけだ。
ざっくりと、二部、ないし三部構成といえようか。
まずは、アウシュビッツ以前、
ユダヤ人は戦前、ドイツでのファッション業界をリードしていた。
しかし、ナチスはユダヤ人を、ファッション界から追放し、奪い取った会社をドイツ人のものとする。
(その評判は下がったとしても)
ここで、まず、気分が悪くなるのは、
ユダヤ人社会から奪い取った品々を、ドイツ人、
一般市民までもが、素知らぬ顔で恩恵を享受したと言うこと。
見て見ぬ振り、自分さえ良ければ・・・
この感覚、わたしは、どうだ?と考えると、
たまらない。
暴力シーンや残虐性は、過去ずっと読み続けてきたので、ある程度免疫はついている。だが、この一般人の振る舞いは、どうだ?
そして、「同じ立場にたったとき、オマエはどうだ」!?と問うから辛い。
続いて、収容所へ。
こちらも大きく分けて、ファッションサロン前と、サロンでの日々に分けられる。
まずは、収容所のおぞましいまでの暴力。
やがて生き残ったお針子が、収容所長ヘスの夫人のために、衣装を作り始める。
物質不足の時代、それでも、ここにはふんだんに材料があった。ユダヤ人から奪った衣類が「カナダ」と呼ばれる倉庫にぎっりしつまっており、さながらデパートの如くだったそうだ。
ヘスの自宅は、わすれもしない。
毒ガス室および・火葬場から、目と鼻の先だった。
かつてアウシュヴィッツ(ポーランドではオシフェンチウム)博物館を訪ねたとき、その距離に驚かされた。
案の定、ヘス夫人が「楽園」と呼んで、愛した庭や菜園には灰が降ったという。そのため野菜をよく洗うよう、料理番(とうぜん収容者)は常に言われていたという。
その灰が何を焼いたものなのか、わかっていて食事ができてしまう、このおぞましさ!
いやいや・・・
これが全てではない。
女性達の、つまりお針子の団結力をまずは、一番に挙げるべきだった。
お針子として選ばれることは、アウシュヴィッツでは生きることにつながる。
仕事は室内で行われ、他の収容所内の仕事に比べれば、心身共に比べものにならないほど、負担が少ない。
さらに、作業中は、おしゃべりだってできたのだ。
そうして創り上げるのは、美しい衣類!
カポ(ユダヤ人ボス)のマルタの力だ。
彼女は優れたファッションサロンの主で、
仲間の誰かのつてで、新たなお針子を助ける・・・
そうして、助けられたお針子は、互いに、守り合う。
病人がいたら、その仕事も必死でカバーするのだ。
なんせ、シラミが一匹でも居たら、命はなくなる・・・と警告されている。
お針子だって、死と直面していたのだ。
それだけに緊張を強いられるのは、同じこと。
やがて、アウシュビッツは解放され、
生き残ったお針子達も、それぞれの選択で進む。
逃げる者、再び、別の収容所へと行進するもの・・・
運良く故郷へ着いても、ユダヤ人である自分たちの財産は、町の人間に奪われていたという。
当時、ユダヤ人が財産を奪い返しに来る、と恐れられていたという話もある。
戦後も、戦前と同じ・・・ここでも、再び暗澹とした。
さて、この本は、全くのノンフィクションだという。
著者は、ある程度情報が集まった段階で、
お針子をテーマにしたヤングアダルト小説を書いた。
それを読んだ人たちからの情報は、やがて膨大な資料となり、このノンフィクション作品へとつながった。
アメリカに住むミセス・コフートとのやりとりは、すばらしい。
生き残る強さがあふれ出ている。
死ぬことは、いつでもできる。
だからあきらめずに生きる。
それは時代を超えた力になる。
Posted by ブクログ
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クリストファー・ナイトという人間の人生。
年は20歳だった。
家族も、仕事も、新車も後にしてナイトは世捨て人になった。
ひと張りのテントと、バックパックだけを持って。
それから27年間、生活に必要なものは不法侵入と窃盗によって入手しながら、ナイトは生き抜いた。
この生き方に対しての肯定否定に意
...続きを読む味はない。
なぜ孤独の道を彼は選んだのだろう?
本書が書かれた時点では、その答えに本人も到達していないようだ。
過去には多くの人が隠者となる道を選んだ。
それは宗教上の儀式であったり、実験であったり、厭世的なものもあった。
数ヶ月のうちに精神を病み、自殺した者。
偶然自分に隠者としての適正がある事に気付き、自由を手にした者。
孤独からくる恐怖、反面静謐で深い黙想から得られる喜び。
ナイトはその両方を感じていたようだ。
おそらくナイトは隠者というカテゴリに分類される人間ではなく、
カテゴリそのもの、つまり天性の隠者だったのではないだろうか。
孤独という道を選んだ事に確かな理由など存在しなかったのかもしれない。
結果的に現在、彼は雑多な情報が蔓延し、喧騒の多い現代社会に再び留置されることになった。
色々な考えがあると思うけれど、僕は、彼の生活が彼にとって平安で、穏やかなものであるように願っている。
Posted by ブクログ
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