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Posted by ブクログ
クリストファー・ナイトという人間の人生。
年は20歳だった。
家族も、仕事も、新車も後にしてナイトは世捨て人になった。
ひと張りのテントと、バックパックだけを持って。
それから27年間、生活に必要なものは不法侵入と窃盗によって入手しながら、ナイトは生き抜いた。
この生き方に対しての肯定否定に意味はない。
なぜ孤独の道を彼は選んだのだろう?
本書が書かれた時点では、その答えに本人も到達していないようだ。
過去には多くの人が隠者となる道を選んだ。
それは宗教上の儀式であったり、実験であったり、厭世的なものもあった。
数ヶ月のうちに精神を病み、自殺した者。
偶然自分に隠者としての適正がある事に気付き、自由を手にした者。
孤独からくる恐怖、反面静謐で深い黙想から得られる喜び。
ナイトはその両方を感じていたようだ。
おそらくナイトは隠者というカテゴリに分類される人間ではなく、
カテゴリそのもの、つまり天性の隠者だったのではないだろうか。
孤独という道を選んだ事に確かな理由など存在しなかったのかもしれない。
結果的に現在、彼は雑多な情報が蔓延し、喧騒の多い現代社会に再び留置されることになった。
色々な考えがあると思うけれど、僕は、彼の生活が彼にとって平安で、穏やかなものであるように願っている。
Posted by ブクログ
【さよなら,世界】ある日ふと思い立ち,そこから27年の長きにわたって森の中で孤独に暮らしたクリストファー・ナイト。ある事件をきっかけとして逮捕された彼が語る,孤独を求めた理由と生活の様子とは......。著者は,自身も孤独を好む傾向にあると語るジャーナリストのマイケル・フィンケル。訳者は,英米文学の翻訳を多く手がける宇丹貴代実。原題は,『The Stranger in the Woods: The Extraordinary Story of the Last True Hermit』。
想像を超えた物語でありながら,同時に誰しもに考えを促す物語であったように思います。人間社会の「煩わしさ」について思い至ったことがある方であれば,ナイト氏の考え方や姿勢に共感を覚える面もあるのではないでしょうか。
〜さて,いよいよ,わたしが問いかける番が来たようだ。原野で大いなる洞察は得られましたか,とナイトに尋ねてみた。…(中略)…「じゅうぶん睡眠をとること」と彼は答えた。〜
この話自体が読者の思いも寄らぬ方向に進んでいく点も☆5つ
Posted by ブクログ
アメリカ合衆国メイン州の森で27年間、誰とも会わず一人で暮らした男のお話し。
彼が暮らしていた森の周辺は別荘地で、食料品や生活用品を調達するため不法侵入を繰り返していた。付近の住民からは森の隠者と呼ばれ半ば都市伝説化していたのだが、ついに地元の猟区管理官に捕らえられてしまう。
冬は氷点下30℃近くにもなる野外で、27年間も一人で生活するなんて常軌を逸しているように見えるが、社会生活や人間関係のわずらわしさから逃れて、十分幸せな暮らしだったのだと思う。作品中の印象的な一節を記しておきたい。
「あらゆる願望の成就ではなく、願望の排除によって人は自由となる」
「人は悟れば悟るほど、悟るべき事が何もないのを悟る」
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