石黒圭の作品一覧
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ユーザーレビュー
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語学的にはさほど重視されることのない「副詞」というものを体系的に整理、解説し、さらに、その使用の仕方に至るまで、微に入り細を穿って語ってくれる、これは名著! 副詞とはかくも豊かで深いものだったのか! 副詞のことがほんとうに好きになると共に、心から大切にしようという気になった。
Posted by ブクログ
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第二言語(いわゆる外国語)の習得は、母語である第一言語の習得のさいに構築した言語世界を転移させる形で起こります。
ですから、第一言語でしっかりした土台をつくっておかないと、せっかく、第二言語を学んでも高度な運用能力は身につきません。
その日本語の運用能力を高めること、本書で焦点を当てるのは、「読む」
...続きを読むという行為です。言語の学習には、「読む」「書く」「聞く」「話す」という四つの技能があるといわれています。
「読む」ということは、文章に多様な意味を見いだす行為であり、人間の創造力の基盤となる行為である。
■読むというプロセス
①画像取得活動 文字列を脳内に取り込む活動
②文字認識活動 画像として脳内に取り込まれた文字を、文字として認識する活動
③意味変換活動 文字列を意味に変換する活動
④内容構成活動 脳内の辞書と文法によって意味に変換した文字列を、すでに私たちの頭のなかにある知識やその場の状況と結びつけ、実感をともなうイメージに構成する活動
■5つの読む
①スキャニング(超速読)表現検索のための読み キーワードを探す
②スキミング(速読) 大意把握のための読み
③味読(平読)楽しみのための読み
④熟読(精読)概念取得のための読み
⑤記憶(超精読)内容再生のための読み
■速読
話題ストラテジー:文章を貫く話題が何かを早い段階で見抜き、その話題にかんする知識を利用していこうの理解を迅速かつ適切にする
内容スキーマー:話題によって活性化するスキーマー
形式スキーマー:言語形式に関わるスキーマー
・あるスキーマ―を「わかった」ら、分かった瞬間から、別のスキーマーを呼び出すことができなくなるので、わからなくなるというジレンマに陥る
・速く読みたいから、タイトルや冒頭の文を目に留めて何の話題がどのように展開されるかを簡単にても想像してみる
取捨選択ストラテジー:速くよむためには、手っ取り早い方法は、読む分量をへらすこと。重要そうなところだけを選んで読む
・漢字だけを拾っていけば、文章の内容がだいたいわかる
・段落の最初の文に言いたいことがかかれている。
・各文の冒頭にある、指示詞や接続詞を重視して、それを軸に文章を読んでいく
・文末の「~のだ」「~のである」に注目する
■味読
視覚化ストラテジー:文章を視覚化する、視覚化できない文章もある
視点のメカニズム
視座
注視点
視野
視点
1人称と3人称
予測ストラテジー:後続文脈の候補を縛ることで理解の侵攻を効率的かつ効果的にする
関係の予測 深める予測と進める予測
内容の予測
・文章理解とは、文章を介した書き手と読み手の対話
文脈ストラテジー:文脈とは文章を理解するさいに使われる書き手と読み手の共有知識
現場文脈、記憶文脈、言語文脈
結束性の把握、つながりを理解する
一貫性の把握、推論や連想によってつながり、まとまりを理解する
■精読
行間ストラテジー
・行間をよむとは、書かれていることをヒントにしてかかれてないことを読み手が推論すること
・文と文の間に意味のスキマがある場合、橋をかけるような推論を行うこと
・精緻化:書かれている情報だけでは十分な理解ができないとき、読み手の頭の中にもっている背景知識を用いて情報を加えることで足りない情報を補填したり、抽象的な内容を具体化したりする推論を行うこと
理由を考える精緻化と、例を上げる精緻化がある
解釈ストラテジー:読み手によって異なる内容に到達するのが解釈です。解釈は読み手一人一人の個性によって、文章に新しい価値を付与する創造的な行為です
比喩、寓話を使う 直喩と隠喩
自己の専門性、個人的経験、思想的背景を加えてみる
暗黙の前提を疑う
抽象的なことばが使われている場合、具体的な言葉を当てはめてみる
記憶ストラテジー
読みやすい文章はすっと頭から消えていきます。記憶するために、自動化された理解活動を、非自動化、複線化し、能動的なものにすること。
理解の速度を落として、脳内に情報を留めやすくすること
反復読み 構造を組み替えながら試行錯誤しながら読む
音読 音が理解を深める効果がある、音読すれば、わからないところが、どこだかがわかる
換言と要約 わからないと、言い換えができない。わからないと要約ができない アウトラインを覚えていれば、その内容を再現できる
目次
序章 なぜ「読む」技術を鍛えるのか
第1部 読みの理論
第1章 「読む」ということ
第2章 「読む」技術の多様性
第2部 速読―速く効率的に読む技術
第3章 話題ストラテジー 知識で理解を加速する力
第4章 取捨選択ストラテジー 要点を的確に見ぬく力
第3部 味読―文章世界に自然に入りこむ技術
第5章 視覚化ストラテジー 映像を鮮明に思い描く力
第6章 予測ストラテジー 次の展開にドキドキする力
第7章 文脈ストラテジー 表現を滑らかに紡いで読む力
第4部 精読―深く多面的に読む技術
第8章 行間ストラテジー 隠れた意味を読み解く力
第9章 解釈ストラテジー 文に新たな価値を付与する力
第10章 記憶ストラテジー 情報を脳内に定着させる力
主要参考文献
おわりに
ISBN:9784334035563
出版社:光文社
判型:新書
ページ数:264ページ
定価:780円(本体)
発売日:2010年03月20日第1刷
Posted by ブクログ
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文系院生、研究者が知っておくべき知識が網羅的に書かれており、非常に良い。
研究の際のおすすめ法、論文調査法、
科研費、補助金区分など。
Posted by ブクログ
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文章を予想しながら読むことによって、文章をより理解できるようになる、というのが本書のメッセージです。正味200頁たらずの本ですが、行ったり来たりで、読むのに苦労しました。
文章のあとに続く展開の幅を限定するのが予測、予測があることで、後続文脈の候補が絞られ、無駄な処理をしなくて済むようになり、文章
...続きを読む理解の経済効率が格段にあがる。
つぎはこんな展開になるのではないかという想定に基づき、つぎの文に入ることで、流れに乗って読めるようになる
言語の予測研究は、70年代に、アメリカで、人工知能研究の1つとして始められた学術分野です。
ですが、本書を読むにあたって、文法的でなく、不完全な文章を予測して、理解ができる、AIがここしばらく、できそうにもないと感じました。
気になっているのは次の点です。
・私の考える読書とは、書かれた文章の内容を把握するなかで起きる筆者との対話です。
・優れた筆者は、読者がテキストと対話ができるような仕掛けを文章のなかに巧妙に埋め込んできます。
・優れた文章には、予測という手段を使って対話に引き込む強い力があります。
・文章を映像として理解しているのか、概念として理解しているのか。前者を経験世界といい、後者を論理世界と称す。
・文章を音で理解するのか、それとも、文字で理解するのか。音として理解する場合は、外来語でなくても、カナで表現すれば、理解が易しくなる。文字で理解するとは、音がはっきりしなくても、漢字の字面を手がかりに連想できるもの。
・言語は一本の線であり、頭から順に読むようにできている。頭から順に読む過程で、徐々に意味が見えてくるという性格が言語にはあり、その線的な性質が予測を生む。
・文字理解には、ボトムアップとトップダウンの2種類がある
ボトムアップとは、1つ1つの要素の意味や機能を考え、それを順々に組み合わせて理解をしていく方法
トップダウンとは、その文章に何が書かれているか、先行文脈などから、あらかじめ見当をつけ、それを利用して個々の文の内容を理解していく方法
・トップダウンは、話題がわかるとスムースに進みます。精読している時間がなく、速読で文章の内容をとらえる必要があるときや、よんでいる言語が外国語で、語彙力や文法力が乏しいときに力を発揮する。
・予測が起きるのは、おもに、文脈の展開が変わる節目です。
・第一に、文脈理解は、文章を媒体にした読み手と書き手の疑似対話であり、問いの予測と、答えの予測がある。
・第二に、加えて、文の内容を深めるもの、「深める予測」と、進めるもの、「進める予測」とがある。
<深める予測>今読んでいる文に情報として「何か足りない」という欠落感があって、その欠落感を「いつ」「どこで」「誰が」「何が」「何を」「どう」「なぜ」といった疑問詞をつかって補填しようとする予測です。
<進める予測>読み手が物語の場面に没頭し、登場人物に感情移入しているときによく起きる
・第三に、予測の実現です。予測には当たるものと、外れるものがある。それを順接の予測、逆説の予測という。実現しなかった予測は、行間に存在を示唆し、読みを深め、余韻を感じとるきっかけを与えてくれる。
伏線を張る、緊張を作りだす。
笑いにせよ、安堵にせよ、予測がはずれたところで、オチをあざやかに決める。決めたら、くどくどと説明しないで、パッと切り上げる。バッサリと落とすことで文章の切れ味が増す。
・予測とは何か、予測とは、今読んでいる文を通して感じられる理解のもやもやを、そのあとに続く文脈で理解しようと期待する読み手の意識のことである。
・予測とは推論の一種です。
・日常会話で言葉どおりのやりとりをすると、人間関係がぎくしゃくします。言葉の足りない部分を推論で補っているので、コミュニケーションは成立するのです。
予測もまた、言葉の足りない部分を論理的に導き出し、読むというコミュニケーションを円滑にする推論の一種ですので、文法論ではなく、語用論で扱うべき問題です。
・よい書き手は、よい読み手です。文章を書くのが上手な人は、読み手の立場に立って推敲する術にたけている。
・構成の予測:それは文章の枠をはじめに示し、その枠の詳細をあとから、埋める技術です。
・文章というのは、一本の線ですが、後続する文章の構成を予告する文や、先行する文章をまとめる文、「第一に」「次に」「第三に」「最後に」のような指標によって文章が立体的に理解できりょうになっている。このような表現はメタ言語表現とよばれ、文章を構造化する重要な働きを担っています。
・文章を理解するとは、予測によって意味の箱のようなものを頭に作り、その箱が埋まったら片付け、また別の意味の箱をつくるという作業をくり返して文章を理解すること。
・文章にタメを作る。予測には、タメを作り、次にくる内容に注目させる表現効果がある。
・行間を読ませる。ないものを読み手が補って推論することが「行間を読む」ことの内実です。予測をとおして行間の存在に気がつく。行間の存在に気づき、その行間を埋める工夫をし始めた瞬間から、書き手との対話が始まる。
・文章世界に引き込む。文章理解とは問題解決過程、すなわち「謎」を解く過程だからです。
結論
・優れた文章は、重層性のある問いが有機的に関連してできています。そして、その問いを解き明かそうと予測を重ねるうちに、その文章世界に引き込まれ、読みが広がっていく。
目次
はじめに
文庫版はしがき
第1章 文章理解とは
第2章 予測とは
第3章 問いの予測とは
第4章 答えの予測とは
第5章 予測の表現効果とは
この本に登場した文章例
おわりに
文庫版あとがき
ISBN:9784044003302
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:208ページ
定価:720円(本体)
発行年月日:2017年09月
発売日:2017年09月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CJBR
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:2GJ
Posted by ブクログ
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自分の関心のある部分だけ読んだけど、読んでよかった。研究をすること、研究を仕事にすることについて基本的な問いとその答えが書いてある。内容が誠実だと思ったし、大事なことがまとまって書かれている。
頭が整理されたし、自分が何をしたいのか考えるきっかけになった。
Posted by ブクログ
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