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Posted by ブクログ
宗教社会学の立場から、これまで人々がどのように死者を供養してきたかを振り返りつつ、死者と生者のこれからを展望する内容。亡くなった子どもたちが向かうとされる賽の河原の初出は室町時代であり、江戸時代に地蔵信仰とともに広まっていく。日本のあちこちの河原で石が積まれ、なかでも青森県五所川原市金木町の河原の大祭は、お酒を飲んで盆踊りではしゃいだり逢引が横行したりするような賑わいとなる。しかし時の流れとともに、二〇〇〇年代頃からそうした大はしゃぎの一夜の性格は消失し、死者の供養を目的とした祭へと姿を変えていく。また、一九八〇年代から一九九〇年代までは、亡くなった子どもたちも成長していくという考え方から花嫁人形が奉納されたりしていたが、死者は生きていた時のままの姿で長く記憶し続けるべきである、という考え方に我々はシフトしつつある。死者に対してはお祭り騒ぎの要素は排して厳かに静かに悼むべきだ、いつまでも当時の姿を心に留めおくべきだ、という現代の感覚は、死者を忘却したり、生きている我々が日々を楽しんだり、ということがさも悪いことであるかのように、我々自身を縛ってしまう。本書の最後では、河鍋暁斎が描いた「地獄極楽めぐり図」(1869〜72年)が紹介される。亡くなった子どもたちが大はしゃぎしながら遊んでおり、その様子をお地蔵様が見守り、仏も天から眺めている。亡くなった子どもたちと、生き残った我々との関係は、これからも変化していくだろう。できれば、生者も死者も解放されていくような供養の仕方へと変わっていってほしい。
Posted by ブクログ
●賽の河原や口寄せをキーワードに日本人の死者との向き合い方・供養について考える本。
●日本の供養の文化について学ぶ。
●「親より先に死んだ子は、賽の河原で石を積む」。誰もが一度は耳にしたことのあるこの悲劇的な物語を入り口に、本書は日本人がいかにして「死者」と向き合い、その居場所を作り上げてきたのかを紐解いていく。わかりやすく面白いと感じたのは、イタコの「口寄せ」をプロレスに例えた表現。プロレスが、レスラーの技とそれを理解して受け止める客の双方がいて初めて「リアル」として成立するように、口寄せもまた、イタコの定型的な語りと、それを故人の面影に乗せて読み解く依頼者の双方がいて初めて、死者との対話という現実が生まれる。そこにあるのは、単なる真偽の問題ではなく、死者を真に「死者」として納得するための儀式なのだろう。「あの世」という考えが希薄になり、死者の居場所が「個人の記憶」へと移ろいつつある現代において、それでも私たちが「なんとなく」仏壇に手を合わせる理由は何なのか。本書は、その根底にある「廻向(えこう)」という、生者が死者のために何かできるという優しい接続点を考えさせてくれる。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 口寄せとは何か
第2章 供養と賽の河原
第3章 津軽の地蔵と川倉賽の河原の祭り
第4章 あの世で成長する子ども
第5章 生活の中の死者
第6章 供養の現在
<内容>
「賽の河原」というより、副題の「供養の宗教学」がメインの話だね。現在の社会や世界と比較して、日本の供養は、ちょっと異端らしい。自分も含めて仏教とではないが、仏壇で位牌と写真の前で毎日拝んでいるし、水やごはん、花を供えている。春秋は墓に行くし、×回忌の時は僧侶を呼ぶ。でも「南無阿弥陀仏」を唱えるわけではないし(一応ウチは浄土真宗)、寺院に行っても神社に行っても拝むけど、本当にそこで何かを頼るわけでもない。この本は、最後まで読むと、今のそうした各自の宗教観に対して、考えさせてくれる本だと思う。
Posted by ブクログ
津軽地方の「イタコ」と各地の“賽の河原”へのフィールドワークを基に、供養(という儀式あるいは慣習)を通じて日本人ならではの死生観、宗教観まで考察。日常当然のように仏前や墓前で手を合わす行為の意味を改めて考える1冊。
現代の多様化した弔い方、供養の在り方による「彼岸の欠如」つまり“あの世”が無くなり“この世”だけになったという分析、供養の役割も死者を“死者”として彼我を分けるものから、生者側の記憶を重視するものになっているという考察は―個人的な意見は別として―興味深いものがあるが、供養の方式、そして考え方もずいぶん多様化したものだなという感想。生きている人間が行うのだから、そのニーズや都合が最優先されるのも当たり前と言えば当たり前なんだが。
位牌も祀らず納骨せずに手元に置いて(墓じまいが増えている現況だから致し方なしな面もあるか)個人の記憶を留めようとする人が増えているという現況は、正直決していいとは思えない。
※あくまでも個人的見解です
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