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20世紀に世界は二度の全面戦争を経験した。主権国家が並び立つ国際秩序を確立した〈西洋〉が、外部を征服し「世界化」したそのとき、世界中を巻き込む大戦争が起こったのだ。総力戦と化した戦争は核兵器を生み、戦争は人類破滅を招きかねない「不可能」なものとなった。にも拘わらず、世界大戦終結から80年、世界はふたたび全面戦争への傾斜の上に立っている。冷戦終結が世界の平和をもたらすはずではなかったのか? なぜこうなったのかを西洋精神史を参照項に検証する。
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Posted by ブクログ
『戦争論』『不死のワンダーランド』の著者による新たな戦争論。2025年刊行の著作だが、著者はウクライナ戦争、ガザのジェノサイドが進行する世界の軍事的緊張を、「西洋文明」による世界化というプログラムの限界と、それでもなお地球支配を継続し、ヘゲモニーを維持し続けようとする「西洋」の断末魔(?)あがき(...続きを読む?)と捉え、「西洋の没落」以後の新たな「世界」の構築に備え、参与せよと説く。 前半部分は20世紀戦争史のおさらいという内容で新味は感じなかったが、「ポスト冷戦」期、湾岸戦争以後の戦争の変質を内在的にあとづけていった以降の論述は刺激的だった。難しいと思うのは、ウクライナ戦争における西側=アメリカ/ヨーロッパの責任を前景化する語りがどうしてもプーチンのロシアに対する評価を甘くしているように見え、また、米国の対中封じ込め政策の問題を指摘する語りが現在の中国の権威主義的な体制に対する批判的なまなざしを弱めているように見えてしまうこと。もちろん中立的で客観的な語りはありえない。だが、一方を問題化することがもう一方を不問に付すことになってしまうようなことにならない議論の立て方は可能なのだろうか。複雑なファクターの「複雑さ」を等閑視せずに議論することができるのか、もし可能だとして、そのためにはどんな戦略を立てる必要があるのか。「現在進行形の戦争」を語ることの難しさを改めて思い知らされた。
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西谷修
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