講談社学術文庫作品一覧

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  • 興亡の世界史 大日本・満州帝国の遺産
    3.0
    東京帝大の学生時代は北一輝に心酔し、官界に進んでからは革新官僚として満州の経営に辣腕を振るった岸信介。敗戦後はA級戦犯容疑から総理の座に昇り詰め、高度成長を発進させて昭和の妖怪とも呼ばれる。かたや教師から立身のため満州国軍人となった青年は、戦後、韓国軍の中で頭角を現し、クーデタで政権を掌握。独裁者となって漢江の奇跡と呼ばれる高度成長を達成する。朴正煕と岸信介、二人の揺籃の地、満州国の遺産を問う。
  • 唯識の思想
    4.2
    科学・哲学・宗教の三面をあわせもつ普遍的な仏教思想、唯識。「すべては心の中の出来事にすぎない」とする、この大乗仏教の根本思想は、八種の識が世界を生み出し、心に生じる感情や思考は表層に現れると説く。不可思議にして深淵な心の構造を深層から観察・分析し、その秘密を解く唯識思想とは何か。この古くて新しい思想を解説する最良の唯識入門。
  • 明治日本印象記 オーストリア人の見た百年前の日本
    -
    優美な自然、興趣をそそる諸芸能、無類に清潔で礼儀正しい日本人……。明治中期に訪日し、異文化にとまどいつつも、北海道から長崎まで精力的に旅を続けた著者の印象の一端である。大都市は勿論、地方の文化にも触れ、市井の民とも親しく接して、日本に魅了された彼は生涯に7度日本を訪れることになる。美術史家である著者の鋭い感性が捉えた19世紀末の日本。挿画約100点収録。
  • 古本説話集(上)
    -
    鎌倉時代初期成立と見られる撰者未詳の無名説話集が昭和18年に発見され、斯界の耳目を驚かせた。そして、原本が散佚した「宇治大納言物語」の流れを汲むこの作品は、日本古典文学の貴重な財宝となった。貫之・躬恒・和泉式部・赤染衛門など、王朝歌人たちの逸話を多く集め、宮廷文化の典雅な世界が展開する。上巻は、和歌説話集で、世俗説話46話を収録。
  • 空の思想史 原始仏教から日本近代へ
    4.0
    一切は空である。神も世界も私すらも実在しない。インド仏教がその核心として生んだ「空の思想」は絶対の否定の果てに、一切の聖なる甦りを目指す。やがてこの全否定の思考は、チベット・中国・日本への仏教東漸の中で、「世界を生みだす無」「真理としての空」という肯定色を強めていく。アジアで花開いたラディカリズムの深い変容を追う二千年史。
  • 日本の中の朝鮮文化 相模・武蔵・上野・房総ほか
    -
    朝鮮半島からの渡来人を抜きに日本の古代は語れない。全国に分布する彼らの高い文化水準を伝える遺跡に注目した著者は、20年余にわたる踏査の旅へ出発した。次々と掘り起こされる、忘れられあるいは隠された真実。そこから考察された両国・両民族の歴史的関係は我々を呪縛する〈帰化人〉史観の訂正を迫る。壮大な紀行の第一歩となった本巻は、関東編を収録する。(講談社学術文庫) ※この電子書籍の底本である、講談社学術文庫の原本は、1983年4月に講談社より講談社文庫として刊行されました。『日本の中の朝鮮文化 相模・武蔵・上野・房総ほか』は、講談社学術文庫を底本とし電子化した電子書籍のほかに、講談社文庫を底本とし電子化した電子書籍『日本の中の朝鮮文化(1)』も配信中です。内容は同一のものとなります。あらかじめご了承ください。
  • 古代朝鮮
    3.5
    檀君神話、広開土王陵碑、任那日本府、白村江の戦いと唐との戦争――。中国・日本との軋轢と協調を背景に統一への歩を進めた古代の朝鮮。旧石器時代から統一新羅の滅亡までの朝鮮半島の政治・社会・文化とはどのようなものだったのか。『三国史記』『三国遺事』をはじめとする文献類の精査によって、その実像を鮮やかに復元した古代朝鮮史研究の傑作。(講談社学術文庫)
  • 〈出雲〉という思想 近代日本の抹殺された神々
    3.8
    明治国家における「国体」「近代天皇制」の確立は、〈伊勢〉=国家神道の勝利であった。その陰で闇に葬られたもう1つの神道・〈出雲〉。スサノヲやオホクニヌシを主宰神とするこの神学は、復古神道の流れに属しながら、なぜ抹殺されたのか。気鋭の学者が〈出雲〉という場所(トポス)をとおし、近代日本のもう1つの思想史を大胆に描く意欲作。(講談社学術文庫)
  • 妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心
    4.0
    日本人にとって、妖怪とはなにか。科学的思考を生活の基盤とし、暗闇すら消え去った世界においてなお、私たちはなぜ異界を想像せずにはいられないのだろうか。「妖怪」とは精神の要請なのか、それとも迷信にすぎないのか――。古代から現代にいたるまで妖怪という存在を生みだし続ける日本人の精神構造を探り、「向こう側」に託された、人間の闇の領域を問いなおす。妖怪研究の第一人者による、刺激的かつ最高の妖怪学入門。(講談社学術文庫)
  • 死産される日本語・日本人 「日本」の歴史―地政的配置
    -
    「日本語」や「日本人」は、それ自体としてあるものではないが、好き勝手に作られる想像の産物でもない。それらは国家統合の理念として近代に要請され、だからこそ「純粋」でなければならなかった。この要請は、失われた過去に「純粋」な存在を求め、そこからの連続によって現在を正当化する。だから、日本語も日本人も、生まれた時には、すでに死産されている。──幾多の議論を巻き起こした問題の書、新稿を加えた決定版で登場。(講談社学術文庫)
  • 日本仏教 思想のあゆみ
    3.0
    聖徳太子、南都六宗、最澄・空海、鎌倉新仏教……。歴史的に仏教の展開の最終段階に位置し、高度な思想を展開した日本仏教。唯識や華厳の世界観、最澄や空海の即身成仏の思想、法然、親鸞、一遍らの念仏、道元の坐禅観、日蓮の唱題──。各宗派祖師の思想の概略をわかりやすく明らかにしながら、日本人のものの見方及び考え方の特質を描き出す一冊。(講談社学術文庫)
  • 日本語とはどういう言語か
    4.3
    「はるかぜ」というと温かい、「シュンプウ」というと何かちょっと厳しい感じがするというようなニュアンスの違いを、われわれはごく日常的に感じて生きている。それは日本人が繊細であるというより、日本語の構造が繊細なのである。アルファベット文化圏の「言語学」では捨象されてきた、漢字文化圏の書字言語の諸現象。中でも構造的に最も文字依存度が高い日本語の特質をとらえた、石川日本語論決定版。(講談社学術文庫)
  • 近代ヨーロッパへの道
    4.0
    ルネサンス、宗教改革を経て、市民社会の形成へ。それは中世以来、引き継がれてきたものと、近代的な要素とが複雑に絡み合い、そこから新たなものが生まれ成長してゆく"複雑にして多面的な運動"だった。新大陸発見から産業革命前夜にかけて、近代社会の形成に向かうヨーロッパの姿を再現、絶対王政の栄華の陰で苦しむ庶民の姿までもいきいきと描く。(講談社学術文庫)
  • 花祭
    3.0
    修験者たちによって天龍川水系に伝えられ、中世に始まるとされる民俗芸能「花祭」。湯を沸かし神々に献じ、すべてを祓い清める冬の神事に、人々は夜を徹して舞い続け、神と人と鬼とが一体となる。信仰・芸能・生活・自然に根ざした祈りを今に伝える奥三河地方の神事を昭和初頭、精緻に調査し、柳田や折口にも影響を与えた、日本民俗学の古典的名著。(講談社学術文庫)
  • マッハとニーチェ 世紀転換期思想史
    4.3
    現象学、ゲシュタルト心理学、アインシュタインの相対性理論、ウィーン学団の論理実証主義、ウィトゲンシュタインの後期思想、ケルゼンの実証法学など、すべてマッハの影響下に生まれた。ニーチェの最後期の思想「遠近法的展望」もマッハの「現象」の世界と重なる。まったく交流のなかった物理学者と古典文献学者は、同時期に同じような世界像を描き、それが、十九世紀から二十世紀への思想の中心となった。世紀転換期思想を解読。(講談社学術文庫)
  • 寺山修司全歌集
    4.3
    短歌、俳句、詩、エッセイ、評論、演劇……。芸術のジャンルを軽々と飛び越え、その鬼才ぶりを発揮した寺山修司。言葉の錬金術師は歌う。故郷を、愛を、青春を、父を、そして祖国を! 短歌の黄金律を、泥臭く、汗臭く、血腥い呪文へと変貌させる圧倒的な言語魔術に酔いしれる。(講談社学術文庫)
  • 世界史再入門 歴史のながれと日本の位置を見直す
    3.8
    西欧や中国など特定の地域に偏った歴史では、人類史の筋は見えてこない。日本の歴史も世界の動きに取り込み、普遍的な視点でとらえようと試みることで、教科書や全集ではつかむことのできなかった世界史の全体像が浮かび上がる。生産力発展の過程と生存・自由・平等を求める人々の努力で形作られた人類史を辿り、現代世界の課題を見つめ直す好著。(講談社学術文庫)
  • ヘレニズムの思想家
    -
    多島海イオニア地方に起こり、ソクラテス、プラトン、アリストテレスへと繋がる古典期のギリシア哲学。自由・真理の探求を旨とする思想は、アレクサンドロス大王以降のヘレニズム期にどのように展開したのか。エピクロス、ストア派のゼノン、クレアンテス、セネカ、懐疑派のピュロンなど、運命への関心、生き方の探求を主眼とした思想家たちを紹介。(講談社学術文庫)
  • 新井白石「読史余論」 現代語訳
    4.3
    「正徳の治」で名高い大儒学者による歴史研究の代表作。古代天皇制から、武家の発展を経て江戸幕府成立にいたる歴史を九変・五変に時代区分して論じ、徳川政権の正当性を主張する。天皇家や源頼朝、足利幕府への客観的で冷徹な評価、為政者の不徳と失政に対して天命が革まる「易姓革命」への警鐘など、実証的で先駆的な史論の現代語訳。(講談社学術文庫)
  • 幕末外交と開国
    4.2
    無能無策な幕府が、黒船の「軍事的圧力」に屈し、不平等条約を強いられたという「日本史の常識」を検証。軍事衝突は起こり得るのか、交渉は何語で行うのか――。ペリー来航から和親条約締結までの一年間を日米の資料から追跡して見えてきたのは、幕府の高い外交能力と、平和的交渉の輝かしい成果だった。日本の近代外交と日米関係の原点を見直す。(講談社学術文庫)
  • 天皇 天皇の生成および不親政の伝統
    5.0
    「天皇親政」と「国体」へのタブーが解けた戦後の学界で、いち早く天皇統治の解明に挑んだ法制史家による「天皇の歴史」。「不親政」と「刃に血ぬらざること」こそが天皇の伝統であり、それゆえに邪馬台国の時代から現在にいたるまで、「統合の象徴」として存続しえたという。その後の日本人の天皇観に大きな影響を与えた必読の論考。(講談社学術文庫)
  • 満州事変
    3.0
    1931年9月18日、奉天郊外の柳条湖で南満州鉄道の線路が爆破された。この事件を契機に、大陸での勢力拡大を目論む関東軍は満州(現・中国東北部)全土を占領する。膨大な史料の精緻な読みをとおして、第一次山東出兵、張作霖爆殺事件から、関東軍の暴走、満州国建国、国際連盟脱退まで、当時の状況を詳細に再現、近現代史の問題点を抉剔する。(講談社学術文庫)
  • 「日本人論」再考
    3.5
    明治以降、夥しい数の日本人論が刊行されてきた。『武士道』『菊と刀』『「甘え」の構造』などの本はなぜ書かれ、読まれ、そして好評を博すのか。そこには、私たちを繰り返し襲う「不安」がある。欧米文明に遭遇し、戸惑う近代日本人のアイデンティティの不安の在処を抉り出す。本書は、日本人論の総決算であり、150年間の近代日本の物語でもある。(講談社学術文庫)
  • 東京語の歴史
    3.0
    東訛りから江戸弁、そして東京語へ。その言葉は後に、人為的な「標準語」と、生活に根差した東京「方言」との間を揺れつづけなければならなかった。古代の東国方言のあり方、近世江戸弁が政治の中心地ゆえに日本各地ことばと融合し江戸語を形成するさま、そして標準語を整備される過程で生きた言葉の多くを犠牲にする東京語。その歴史を源内、西鶴はじめ豊富な資料で描き出す。(講談社学術文庫)
  • 道元「永平広録 真賛・自賛・偈頌」
    -
    禅者でありつつ類まれな詩作者でもあった道元は生涯に四〇〇首以上もの偈頌(漢詩)を残した。祖師の頂相(肖像画)に寄せた「真賛」、自身の頂相に寄せた「自賛」、在宋時代から帰国後、越前時代に詠まれた観月、寓居、山居など応時応節の「偈頌」、計一五〇首を収録した本書は、道元の「さとりの詩人」としての姿を描き出す。『永平広録』掉尾を飾る最終巻(巻十)の全訳註。道元が漢詩に詠んださとりの深奥を平易に解説する。(講談社学術文庫)
  • グノーシスの神話
    4.0
    1世紀の地中海世界に誕生し、「古代キリスト教最大の異端思想」ともいわれる「グノーシス主義」が生み出した神話の主要な断章を紹介する。1945年にエジプトで発見されて宗教界にセンセーションを起こしたグノーシス主義の基本文献「ナグ・ハマディ文書」のエッセンスとともに、その影響の強いマンダ教、マニ教の教典の主要部分を抜粋し編成。1999年および2011年に岩波書店より刊行された同名書籍の文庫化。(講談社学術文庫)
  • パラダイムと科学革命の歴史
    3.7
    科学史の第一人者による「学問の歴史」。科学革命で生まれた新たなパラダイムが学問的伝統を形成していく過程を解明する。古代以来の東西学統の比較から、学会誌などのメディアの発明、職業的科学者の誕生、現代のデジタル化まで、社会的現象としての科学と科学者集団を分析。『歴史としての学問』(1974年、中央公論社刊)を学術文庫化にあたって改題し、新たに「学問のデジタル化・グローバル化」を論じた補章を加筆。(講談社学術文庫)
  • ヨーロッパの出現
    -
    森と石、都市と農村が展いた後発のヨーロッパ文明は、どのようにして世界史の領導者になったのか。戦争・飢餓・疫病、ルネサンス・宗教改革・大航海を経てきたその歴史に建設と改新、破壊と停滞のリズムを読み取り、文明を一つのシステムとして通観する。西洋史の泰斗による格好のヨーロッパ入門!
  • 妖怪学とは何か 井上円了精選
    -
    妖怪博士の妖怪退治!! 「コックリ」「天狗」「狐憑き」から、「妖怪屋敷」「西瓜(スイカ)の幽霊」「経を誦(よ)む古木」まで、全国の妖怪事象を蒐集しつつ、御一新の世になお蔓延る迷信を一網打尽にせんとした奇特な哲学者を突き動かしたものとは一体何だったのか? 「妖怪学講義録」「おばけの正体」など、妖怪学の創始者・井上円了の精華をオリジナルに厳選した、決定版アンソロジー。 [目次] 編者序文 妖怪談 妖怪学講義録 『妖怪学雑誌』論説 (真怪論/妖怪学と諸学との関係/忘憂術/論怪) おばけの正体 補遺 (妖怪学講義細目/妖怪学講義参考書目/井上円了調査地一覧) 注
  • 秀歌十二月
    -
    日本を代表する歌人が、珠玉の名歌を季節ごとに精選した究極のアンソロジー。初心者にもわかりやすくその魅力を解説する、極上の短歌体験! 柿本人麿、藤原定家、良寛、正岡子規、石川啄木など、八〇人以上に及ぶ古今の歌人から一五〇首以上の歌を選り出し、その魅力を解説し、初心者にもわかりやすく読んでいく。いつの世も変わらぬ人生の愉悦、悲哀、そして無常をも心ゆくまで堪能する、贅沢なひとときがここに。 【本書の扱う歌人(一部)】 天智天皇 額田王 持統天皇 山上憶長 大伴旅人 柿本人麿 大海人皇子 山部赤人 小野小町 在原業平 西行法師 藤原定家 和泉式部 式子内親王 源実朝 良寛 正岡子規 北原白秋 与謝野鉄幹 与謝野晶子 窪田空穂 伊藤左千夫 前田夕暮 斎藤茂吉 若山牧水 土岐善麿 土屋文明 石川啄木 島木赤彦 釈迢空 川田順 佐佐木信綱(ほか多数) 【目次】 一 月 二 月 三 月 四 月 五 月 六 月 七 月 八 月 九 月 十 月 十一月 十二月 あとがき
  • 世界の音 楽器の歴史と文化
    3.3
    「打楽器を持たない民族はいない」。古来、人は自身の体やモノを叩いて感情を伝え、動物の鳴き声や雨風などの自然音を真似、再現してきました。楽器発祥から2万年。信仰の祭礼、政治儀式、軍事の士気高揚・・・・・・あらゆる場面に浸透していった「音」と「音楽」。気候風土や時代背景に合わせ、世界各地の「音」は、どのように姿を変えてきたのか。西洋音楽と民族音楽、その対比が示す真意は? 「音」で考える、ユニークかつ雄大な文化人類学!(解説・森重行敏) 本書の原本は『世界楽器入門 好きな音 嫌いな音』(1989年1月 朝日選書)を改題したものです。 はじめに 第一章 ミンゾク楽器・ 第二章 楽器の起源 1 生活周辺から生まれた楽器  2 食器から楽器へ  3 道具から楽器へ  4 自然界の音の再現から楽器へ  5 生存に必要な音を出す道具から楽器へ  6 呪術・信仰の道具から楽器へ  7 学問・研究の道具から楽器へ  8 音像から楽器へ  第三章 楽器分類を通して見た諸民族の楽器観 1 中国  2 インド  3 ギリシャ  4 ローマ  5 ヨーロッパ  第四章 楽器の音 1 打つ、擦る、吹く、弾く  2 楽器の成り立ち  3 音の出し方  第五章 楽器の分布と歴史 第六章 風土と音 1 風土と楽器  2 音の響き  第七章 音・数・楽器 第八章 メディアとしての楽器 1 経営メディアとしての楽器  2 視覚メディアとしての楽器  3 思想メディアとしての楽器  第九章 手作りについて 第十章 好きな音嫌いな音 第十一章 東方の楽器・西方の楽器 石笛/横笛/笙/篳篥/尺八/和琴/箏/琵琶/三味線/胡弓/鼓 /先史時代の楽器/オーボエとバスーン/クラリネット/トラムペ ットとトロムボーン/ホルン/テューバ/リコーダーとフリュート /バグパイプ/オルガン/キタラとライア/ハープ/ヴァイオリン /リュートとギター/ツィターとハープシコード/クラヴィコード とラングライク/ダルシマーとピアノ/カリヨン/ティンパニとシ ムバル/アフリカの楽器/インドの楽器/インドシナ半島の楽器/ インドネシア・オセアニアの楽器/雑音の効果/種々の撥/弦 楽器に関する参考文献 あとがきにかえてーー楽器研究の方法論―― 解説「人類共通の財産ーー音楽とは何か?ーー」森重行敏(洗足学園音楽大学現代邦楽研究所所長) 楽器索引 人名索引
  • 人格の哲学
    -
    「人格(ペルソナ)」とは、単にかけがえのない個であるばかりでなく、他者との交わりにおいて存在し、自己を実現する主体である――。 古代以来の神学から現代の哲学までを渉猟。真の「人格」理解を通してあらゆる存在の価値の基礎づけと倫理の構築を目指す、著者畢生の書。 これを知らずして、「人間の尊厳」も「善」も語れない! [本書の内容] 序論 人格(ペルソナ)について語ることの難しさ 第一章 個人から人格へ――人格の哲学をめざして 第二章 「世俗化」と「人格」概念 第三章 行為と人格 第四章 存在としての人格 第五章 人格の形成 第六章 人格(ペルソナ)の神学的考察
  • ヨーロッパ中世の社会史
    4.5
    ヨーロッパはなぜ世界の覇権をとったのか? その基層をなす社会構造の特殊性は中世に準備されていた。中国やローマ帝国が目指した世界帝国を否定し、国民というまとまりの上に立つ国家という独自の道を、中世一千年をかけて形成したのである。そのとき、神・自然・同胞、三つに対する考え方の変化が起こった。政治史・経済史・法制史などに分化した理論をぶちこわし、人間の移動や、文字に残っていない民衆の「話し言葉の世界」をひっくるめて、現在に続く世界史の転換と相関を、語りかけるように読み解く。わたしたちは歴史から何を学べるか? 【原本】 『ヨーロッパ中世の社会史』(岩波書店、1985年) 【目次】 第一講 中世社会史への誘い 第二講 民族大移動期の世界史的意義(4~8世紀) 第三講 西ヨーロッパ的生産様式の形成と普及(8~11世紀) 第四講 西ヨーロッパ中世都市の特色(11~13世紀) 第五講 中世西ヨーロッパ社会に共通した特質(13~16世紀) 第六講 国家権力の質的変化について
  • オスマンvs.ヨーロッパ 〈トルコの脅威〉とは何だったのか
    3.7
    オスマン帝国を通して読むと、世界史が違うすがたを見せ始める―― ヨーロッパが「トルコの脅威」と力説するオスマン帝国は、決して「トルコ人の国家」だったわけではない。「イスラムの脅威」に対し十字軍が何度も組織されたが、オスマン帝国にはキリスト教徒もたくさんいた。宗教的寛容性と強力な中央集権体制をもち世界帝国を目指す先進国へのおそれ、その関わりこそが、「ヨーロッパ」をつくり、近代化を促したのだ。数百年にわたる多宗教・多言語・多文化の共生の地が、民族・宗教紛争の舞台になるまで。 【目次】 プロローグ 「トルコ行進曲」の起源 第一章 オスマン帝国の起源     1 ユーラシア草原を西へ――トルコ系遊牧民の西漸     2 トルコ族のイスラム化とアナトリアのトルコ化     3 モンゴルの征西とオスマン朝の誕生 第二章 ヨーロッパが震えた日々――オスマン帝国の発展     1 オスマン朝の興隆――ムラト一世とバャズィト一世の時代     2 世界帝国への道――メフメット二世とコンスタンティノープル征服     3 ヨーロッパにとっての東方 第三章 近代ヨーロッパの形成とオスマン帝国     1 普遍帝国オスマン――「壮麗者」スレイマン一世とウィーン包囲     2 オスマン対ハプスブルク     3 近代ヨーロッパの成立とオスマン帝国 第四章 逆転――ヨーロッパの拡張とオスマン帝国     1 最初の暗雲――スレイマン一世の死     2 変化の兆し――一六世紀後半のヨーロッパ     3 変容する帝国――スレイマン一世移行のオスマン帝国     4 退潮の時代――第二次ウィーン包囲失敗     5 枠組みの転換――オスマン優位の終焉 エピローグ 「トルコ軍楽」の変容
  • パリ歴史探偵
    3.0
    景色にまぎれた不自然な段差、小さな抜け道。かすかな違和感に導かれ、古地図を広げて一九世紀のガイドブックや文学作品を繙けば、モーパッサン、ランボー、ゾラが暮らした時代の空気がみるみる立ち上る! 当時の風習や世相までをも、ユーモラスな視点で活写。中世から一九世紀を自在に飛び回る旅へ、中世・ルネッサンス研究の泰斗が貴方を誘う。 (一部抜粋) 本書は、パリ街角のさりげない光景のなかに、この都市の記憶を、あるいはこういってよければ、パリという馥郁(ふくいく)たる香りの酒瓶の底に沈んだ澱のようなものをたどろうとした試みである。「神々は細部に宿れり」をモットーにして、半ば意識的に、モニュメントとはいいがたい些細な「モノ」をめぐるささやかなる探偵旅行を展開してみた。――「プロローグ」より 目次 プロローグ 1章 三つの壁、三つの時代・  1 中世に飛ぶ   2 古地図のなかのパリ   3 入市税関の時代   ●コラム『タブロー・ド・パリ』  2章 パサージュを渡り歩く 「昔の香りただようショワズール小路よ」/ヴァリエテ座の楽屋口  /パサージュ対ギャルリー/ジュフロワ小路からヴェルドー小路へ  /「ソルボンヌ小路」を発見!/セピア色のパサージュ  ●コラム『ナナ』  3章 昔のガイドブックから  1 『パリ= ディアマン』一八六七年版 ●コラム『居酒屋』  2 局留め便、ひとむかし前のメール ●コラム『肉体の悪魔』   3 写真館の時代   「小さな肖像」/ランボーを撮った写真家/「立体写真」ブーム 4章 まぼろしの公衆トイレを求めて 5章 記憶の場としてのマルヌ川  1 『居酒屋』の時空間   2 マルヌ川の岸辺で思うこと   3 思いがけず廃線歩き  6章 印象派の散歩道 学術文庫版付録「青春のカルチエ・ラタン」 あとがき 本書は2002年、講談社現代新書より刊行された『パリ歴史探偵術』を改題、一部、加筆修正したものです。
  • ローマの哲人 セネカの言葉
    4.0
    パクス・ロマーナ期、ローマ帝国で弁護士、元老院議員、財務官、法務官、そして皇帝ネロの顧問官を歴任したセネカ(?~65年)は、思想家として人生、死、貧困、徳、欲望と快楽、真の自由という、誰の人生にも関わるテーマについて普遍的なメッセージを遺している。「どうしてこんな面白いものが今まで日本ではほとんど読まれなかったのだ」――特定の他者にあてた書簡の形で著した十数篇の文章を、『清貧の思想』『ハラスのいた日々』の作家・中野孝次が晩年自らの翻訳で読み解く。道徳的退廃に陥った21世紀の日本を憂え、人として生きる術を説くいきいきとした箴言として提示した、現代人のためのセネカ入門。(原本:2003年岩波書店刊)
  • 南朝全史 大覚寺統から後南朝へ
    4.0
    謎多き南朝。その実像は、政治・文化的実体をともなった本格政権だった! 大動乱の時代として日本史に深く刻まれた南北朝時代。しかし南朝の実像は謎に包まれてきた。 室町幕府に対し劣勢に立ちながら、吉野山中に長きにわたり存続できたのはなぜか。 厖大な史料を博捜し、政治・文化的実体をもつ本格政権としての南朝に光を当て、 起源である鎌倉時代の大覚寺統から後南朝まで「もうひとつの朝廷」二百年を描き切る決定版。 【本書より】 本書は、こうした南朝研究の課題と研究手法上の特殊性をふまえて、南朝の前史から説き始め、ピークというべき建武の新政、その後身としての南朝をへて、北朝に吸収された後の抵抗運動としての後南朝の段階をふくめた、いわば南朝の全部をひっくるめた総合的な叙述をすることを目指している。そうすることによって、南朝をつらぬく原理というか、真っすぐ通った一本の柱のようなものの存在を明らかにすることができる。 【本書の内容】 第一章 鎌倉時代の大覚寺統  大覚寺統の成立  両統対立の開始  両統対立の展開  両統の相剋 第二章 建武の新政  綸旨万能の成果と限界  軍事指揮と恩賞宛行  王統からみた建武の新政 第三章 南朝の時代  南北朝の併立  後村上天皇の時代  長慶天皇の時代  後亀山天皇と南北朝の合体 第四章 南朝を読みとく  南朝史料としての『新葉和歌集』  南朝の組織と制度  南朝と地方との関係  大覚寺統傍流の末路 ※本書の原本は2005年に講談社選書メチエより刊行されました。
  • 伊勢神宮と出雲大社 「日本」と「天皇」の誕生
    -
    こうして「日本」は形づくられた! なぜ、大和は出雲を必要としたのか? 朝日と夕日、太陽と蛇、陸と海、現世と他界― 天武・持統の大和王権を守る「両端の象徴的霊威」をになうものとして伊勢・出雲をとらえ直し、日本の起原に鋭く迫る試み。 「神とは何か」という民俗学による理論的分析の視点と、歴史学による記紀をはじめとする文献研究、考古学の発見を融合させた、新しい古代探究! 【本書の内容】 第一章 伊勢神宮の創祀 第二章 〈外部〉としての出雲 第三章 祭祀王と鎮魂祭 終 章 〈日本〉誕生への三段階 ※本書の原本は、2008年に講談社選書メチエより刊行されました。
  • 箴言集
    3.0
    われわれの美徳とは、偽装された悪徳にほかならない――17世紀フランスの激動を生き抜いた公爵にしてモラリストが、人間の本性を見事に言い表した「箴言」。鋭敏な洞察と強靱な思考、そして豊かなユーモアによって紡ぎ出された一行が、神からの自立を果たした近代人の抱える「自己愛」という宿命を撃ち抜き、さらには現代のわたしたちの心に深く刺さる。原文が醸す空気までをも伝える新訳。【訳者まえがきより】彼の人間を見る目、そして自分自身を見る目は鋭く、個人的体験のいかんにかかわらず、神からの自立をとげ、人間中心主義を標榜する近代人の本質、本性を早くから見抜いていたと思われる。彼は、自分自身、そして自分の個人的運命さえも客観視できるだけの強靱な精神、心の余裕、ユーモアさえ備えており、だからこそ、彼の人間観察は現代にも通用する普遍性を獲得しているのである。【主な内容】書肆から読者へ 道徳的考察 削除された箴言 没後収録の箴言 さまざまな考察 ラ・ロシュフコー自画像
  • 神主と村の民俗誌
    4.5
    氏神から産土神、株神を祀る。集落や同族、一家で神々を招くたびに役割を果たす神主の仕事とは? 祈祷・祭りと村の暮らしを描く。
  • 四字熟語の教え
    -
    「その言葉の歴史の中には、人々の思いや経験や知恵がつまっています。辞書を調べれば言葉の意味は書いてありますが、そこにつまっているいろいろな歴史や人々の思いはなかなか書いてありません。そういう空白をこの本ではうずめようとしています」。480点を春夏秋冬の四章に収録。気楽に読める・わかる・使える! 生きた四字熟語に出会える名著。

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  • あいうえおの起源 身体からのコトバ発生論
    4.0
    目と芽、鼻と花、歯と葉、身と実。身体と事物とのあいだに語の共通性があるのはなぜなのか。また、幼児が最初期に発する p 音、 m 音 などが世界的に同じように見られるのはなぜか。古代語における二音節動詞の語尾「ふ」「ぶ」「む」などが持っていた原初的意味を分析する一方、語頭音となっている「あいうえお」などの五十音が身体の部位・生理に由来することを解明し、コトバの発生と世界分節の起源を探る。
  • 潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆
    4.0
    幕藩体制下に弾圧されたキリシタンは、明治政府によって解放された――。このように思われている「日本社会の近代化」は、歴史の真実なのだろうか。そもそも、「キリシタン」とは何なのか。非キリシタンであったにもかかわらず、領主の苛政に一揆を起こした民衆を「切支丹」として弾圧した事例や、問題化を避けるために、穏健なキリシタン百姓を黙認した事例などを取り上げ、歴史と宗教のかかわりに新しい視野を提供する。
  • 神話学入門
    5.0
    ヨーロッパで生まれた「神話学」は、どのように広がり、どう変節してきたのか。ミュラーがダーウィンの思想と出会い、考えたこととは? フレイザーが『金枝篇』で遺した影響とは? レヴィ=ストロースは何を神話の源泉としたのか? キャンベルのつくった「健全な神話」とは何か?「神話」の定義から現代における影響まで、学説史に沿って文献を渉猟し、豊富な引用で、西洋に横たわる思想の本質に迫る意欲作。
  • 中世ヨーロッパの城の生活
    3.9
    牢固とまた堂々と風格を漂わせ、聳(そび)える城。西欧中世、要塞のような城が陸続と建造されていった。城作りはいついかなる理由で始まったのだろうか。城の内外ではどのような生活が営まれていたのだろうか。ウェールズ東南端の古城チェプストー城を例に挙げ、年代記、裁判記録、家計簿など豊富な資料を駆使し、中世の人々の生活実態と「中世」の全体像を描き出す。
  • 島原の乱 キリシタン信仰と武装蜂起
    3.7
    関ヶ原合戦の記憶も遠のいた1637年、彼らは突如として蜂起した。幕府や各地大名を震撼させ、12万人の大軍をもってようやく鎮められた大規模な一揆は、なぜ、いかにして起こったのか? 「抵抗」や「殉教」の論理だけでは説明できない核心は何か。信者のみならぬ民衆、戦国あがりの牢人、再改宗者らが絡み合う実相を、宗教という視点から戦国時代を考察してきた第一人者が描く。島原の乱を知る必読の決定版!
  • 哲学の練習問題
    4.3
    私たちの身体と心には、まだ開発されていない能力が無数にある。しかし、それは「学習」では開発できない。発達をリセットして、能力を形成すること。それは「名詞」ではなく「動詞」の経験であり、そのためには実際にやってみるのが唯一の方法である。本書では、オートポイエーシスの第一人者として知られる著者が、一人でもできるエクササイズを数多く紹介している。これらを実行したその先には、未知の自由が待っている。
  • 日本の土偶
    3.0
    土偶はどこから来て、どのように変化したのか。本書では多様な土偶を年代・地域別に体系化し、形態・特徴・出土状況などを300点以上の図版で立体的に解説。さらに髪型から埋葬まで、縄文時代の文化と信仰を探り、海でつながれた周辺地域の調査から土偶の起源を追究する。土偶研究の黎明期を導いた研究者による伝説的名著、待望の文庫化!(序文 サイモン・ケイナー)
  • 五輪書
    3.7
    一切の甘えを切り捨て、ひたすら剣の道に生きた絶対不敗の武芸者宮本武蔵。彼は「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」る何10年にも亙る烈しい朝鍛夕錬の稽古と自らの命懸けの体験を通して「万理一空」の兵法の極意を究め、その真髄を『五輪書』に遺した。本書は、二天一流の達人宮本武蔵の兵法の奥儀や人生観を知りたいと思う人々のために、『五輪書』の原文に現代語訳と解説、さらに「兵法35箇条」「独行道」を付した。
  • 儒教 怨念と復讐の宗教
    5.0
    わずかな領地も持たず、生涯のほとんどを無位無官で流浪した一介の匹夫・孔子。みじめな人生を送った男の妄執が、復讐の宗教を生んだ。時に体制擁護のイデオロギーとして利用され、時に革命思想として弾圧されながら、その底に流れるルサンチマンの精神は2500年にわたって払拭されることはなかった。今、関心を集める「儒教」とは? 特異な宗教の正体を暴き、「聖人君子の道徳」という従来のイメージを覆す、新視角の儒教論。
  • 言語学者が語る漢字文明論
    4.0
    漢字は言葉ではない。記号である。漢字にはオトは必要ない。どの言語ででも漢字を「訓読み」できる。では、中国文明の周辺地域を含めた「漢字文化圏」とは自明のものなのか。歴史上の突厥・契丹・西夏・女真・モンゴル文字など、漢字からの自立運動は何を意味するのか。漢字を残す日本語は独自の言語であることの危機に瀕しているのか。言語学者が考察する文字と言語の関係。
  • 浮世絵の歴史 美人絵・役者絵の世界
    -
    独特の魅力を放つ「浮世絵」は、いかにして生まれ、江戸期の象徴的芸術とまでなったのか? 庶民出の町絵師によって、庶民の興味を引く「美人・役者・風景」を題材にし、庶民の購買力によって支えられた浮世絵。本書は浮世絵を日本の近世から現代の美術史として通観する試みである。浮世絵とは、そもそも何だったのか――これを読めば、浮世絵のすべてがわかる、入門編にして決定版。
  • 中国侠客列伝
    -
    「弱きを助け、強きを挫く」侠者たちの壮挙。替天行道、一諾千金……。信義を重んじ、自らの命を賭して果断に行動する侠者たち。血湧き肉躍る痛快事を次々と実現するアウトロー達の強さと優しさを読み解く。
  • 古事記とはなにか 天皇の世界の物語
    4.0
    アマテラスとは高天原にあって葦原中国まで貫く秩序の原理である。スサノヲは秩序を根源からゆり動かす巨大なエネルギーだ。オホクニヌシはスサノヲの力を得て国作りを完成する――明快な論理と一貫した作品論的態度による読解で析出される『古事記』の全体構造と世界像とは。天皇の世界たる「天下」を語る物語として、厳密な読みを示した画期的力作!
  • バロック音楽名曲鑑賞事典
    3.3
    生きる喜びが溢れる豊かな生のドラマ、バロック音楽。新しく誕生したオペラ、心の奥底まで響く宗教音楽、多彩に奏で歌う協奏曲、宮廷を輝かせる典雅な調べ。カッチーニ、モンテヴェルディ、シュッツやクープラン、ヴィヴァルディ、ヘンデル、バッハ等の作品から隠れた名曲、感動の演奏を厳選。西洋音楽史研究の第一人者が古楽の沃野から選んだ名曲100曲の魅力をあまさず語る。
  • 進化生物学入門 宇宙発生からヒト誕生への137億年
    4.0
    宇宙誕生は一三七億年前。地球発生は四六億年前。三八億年前の原始の海に、化学進化で生物の原料・アミノ酸ができ、最初の生命体(プロトビオント)が誕生した。真核生物、多細胞生物を経て、五億五〇〇〇万年前、カンブリアの大爆発。しかし、奇妙な生物の多数は絶滅。何が起こったのか? その後の進化とは? 多様な生物が生きる地球の壮大な生命のドラマを読み解く。
  • 生命の劇場
    4.0
    ダーウィニズムと機械論的自然観に支配されていた二十世紀初頭、人間中心的な世界観を退けて「その生物が周囲に与える意味の世界」すなわち「環世界」の概念を提唱し、その後の動物行動学や哲学、生命論に影響を及ぼした生物学者の最晩年の著作。対話形式で独自の世界観を展開し、自説への批判とそれへの反論をも明快に語る、今も新鮮な科学の古典。
  • 再発見 日本の哲学 平田篤胤 霊魂のゆくえ
    5.0
    日本倫理学会「和辻賞」受賞の力作。近世の庶民的な仏教思想を背景におきながら、死と霊魂について篤胤が展開した思想を、詳しく、繊細に読み解いた、画期的な著作、ついに文庫化!
  • 再発見 日本の哲学 佐藤一斎――克己の思想
    -
    佐藤一斎『言志四録』は、いまだに根強い人気を誇る箴言集です。かの西郷隆盛が信奉したことでも名高い。そこに書かれている思想とは、一体なんなのか?真の己を知り、志を立てる。近代日本の躍進を支えた秘密もそこからは読みとれます。今こそ、『言志四録』を!
  • 水戸黄門「漫遊」考
    4.5
    序 章 「水戸黄門」への旅立ち第1章 中国の名裁判官――物語と現実第2章 朝鮮の『春香伝』と暗行御史第3章 北条時頼から水戸黄門まで第4章 英雄伝説と神話第5章 巡遊する王第6章 芸能とスパイ第7章 「黄門漫遊記」の誕生――歌舞伎と講談第8章 明治天皇と水戸黄門第9章 「黄門漫遊記」の発展――映画とテレビ終 章 水戸黄門の仲間たち
  • 中世・ルネサンスの音楽
    4.0
    音楽の源泉、バロック以前の音楽の好解説書 心洗われる素朴な響きのグレゴリオ聖歌、吟遊詩人のうたい上げる愛のメロディ……美しい旋律で人の心の奥底を揺り動かす中世・ルネサンス音楽の世界へようこそ。
  • 十二世紀ルネサンス
    4.5
    中世の真っ只中、閉ざされた一文化圏であったヨーロッパが、突如として「離陸」を開始する12世紀。東方からシチリアへ、イベリア半島へ、ギリシア・アラビアの学術がもたらされる。ユークリッド、プトレマイオス、アル=フワーリズミーなどが次々とラテン訳され、飛躍的に充実する西欧の知的基盤。先進的アラビアとの遭遇が生んだ一大転換期を読む。
  • 江戸近郊道しるべ 現代語訳
    4.2
    文化・文政・天保の頃、徳川家御三卿のひとつ清水家に仕えた武士が、多忙な勤務の合間に楽しんだ日帰り散策紀行。大都市・江戸も一歩郊外に出れば、豊かな自然に囲まれていた。起伏に富む地形、田畑と湿地、深い森に佇む社寺旧跡と素朴な人々。ささやかな名所・絶景を求めて歩く喜びに満ちた、時空を超える江戸東京お散歩ガイド。(解説・田中優子)
  • パスカル『パンセ』を楽しむ 名句案内40章
    -
    人間は「考えない葦」である!?──長大な『パンセ』から気になる一節を取り上げ、意外なエピソードをまじえながら読み解く楽しみ。それぞれ読み切りで書かれた40章から成る本書は、1日1章、40日で『パンセ』を完全制覇できる手軽なガイドブックです。ヨーロッパ最高の知性とともに生きる豊かな毎日を手に入れよう!
  • 再発見 日本の哲学 折口信夫――いきどほる心
    -
    日本人にとって神とは、どのような存在だったのか。日本の古代、日本の根源に、独自の感性で踏み込んでいった折口信夫の思想を鮮やかに照らし出す、俊秀の力作。
  • エスの系譜 沈黙の西洋思想史
    4.0
    「なぜか分からないがそうしてしまった」、「まるで自分ではない何かにやらされているようだった」……。こうした話は作家や芸術家の創作についてよく聞かれるが、日常の中にも同様の経験があるのは誰もが知っていることだろう。みずからの行動の原動力だったことは明らかなのに、それが何なのかは明言できないもの。その得体の知れない力を示すために着目されたのが、ドイツ語の代名詞「es(エス)」だった。
  • 民権闘争七十年 咢堂回想録
    -
    連続25回当選、人呼んで「憲政の神様」。生涯を議会政治、政党政治の確立に捧げた男が敗戦に直面して抱いた苦い思い。「日本に欧米なみな立憲政治を確立することを念願として私は七十余年努力したが、微力のためかついに及ばず、そのために愚かな戦争を始めて無条件降服という未曾有の屈辱を蒙る……私は一生を無駄に過してしまったと思うことがしばしばある」。戦後70年をすぎ、立憲主義が問われるいま、本書の意義は重い。
  • 交易する人間(ホモ・コムニカンス) 贈与と交換の人間学
    3.0
    本書の主題は、具体的事例に則して言えば、贈与と交換の社会哲学である。より正確に言えば、本書は、贈与と交換を峻別する。そうすることで、近代に出現した市場経済、そして特殊近代的な資本主義経済の歴史的位置づけ、ひいてはそれらがかかえる歴史的限定性を明らかにできるからである。…… 要するに、本書は、人類が歴史的に経験してきた種々の相互行為を観察することを通して、社会存在としての人間の根源に迫る試みである。
  • 神紋総覧
    -
    家に家紋があるように、神社にも紋章がある。出雲大社は亀甲紋、諏訪神社は梶の葉紋、八幡神社は巴紋……。祭神のシルシのみならず、神社の社紋、社家の家紋からの派生である場合も、一社が複数の神紋をもち、使い分ける場合もある。どんな意匠があるのか。なぜそのモチーフなのか。四千社以上の調査で解きあかす「神紋」の種類と分布、意味と歴史。
  • 霊山と日本人
    4.0
    主要霊山ごと、あるいは個別宗教ごとにしか語られてこなかった日本の山岳信仰。本書はそれを世界、とくに東アジアの山岳信仰のなかに位置づけ、包括的に捉えたはじめての本である。霊山の特徴、信仰、儀礼などを、人々の生活と関連づけて考えることで、山の霊性とは何かを明らかにする。私たちはなぜ山に手を合わせるのか。神仏や天狗はなぜ山に住まうのか。いま、あらためて、自然や「聖なるもの」を問いなおす。
  • 華族誕生 名誉と体面の明治
    -
    明治二年に誕生し、現行憲法の発効と同時に消滅した華族制度。そこでは誰が華族となり、「公侯伯子男」の爵位はどのように決められたのか。また、爵位をめぐってどんな人間模様が描き出されたのか――。豊富なエピソードをまじえて華族制度の誕生を解説し、歴史上の意義を問う。実体が忘れられて久しい、名誉と体面の保持に拘泥した特権階級に光を当てた、華族研究の必読書。
  • 対馬藩江戸家老 近世日朝外交をささえた人びと
    5.0
    将軍吉宗の代替わりに際し、来日する朝鮮通信使。江戸時代、朝鮮との外交交渉・貿易業務の窓口だった対馬藩は、朝鮮御役を拝命する。莫大な出費、形式を重んじる使節、無理解な老中たち。日朝双方の本音と建て前の間にあって、ときに詭弁を弄し、ときに脅し、ときに屈辱に耐えつつ近世の日朝「交隣」をささえた小藩の苦悩と奮闘。
  • 江戸幕末滞在記 若き海軍士官の見た日本
    3.5
    王政復古直前に来日したデンマーク人が、フランス公使ロッシュの近辺で見聞した貴重な体験を綴る。将軍慶喜との謁見の模様やその舞台裏、横浜の大火、テロに対する緊迫した町の様子、また、日本人のきれい好きから悪習や弱点までも指摘。旺盛な好奇心、清新な感性、鋭い観察眼と洞察力。若き海軍士官が幕末日本の姿を鋭く鮮やかに描く。(講談社学術文庫)
  • 再発見 日本の哲学 埴谷雄高 夢みるカント
    -
    「自同律の不快」って、いったい何だ!? 難解であることで有名な小説『死霊』の哲学を、しなやかな文章で、明解に解きほぐす快著が、待望の文庫化。話題を集めた「再発見 日本の哲学」の一冊であり、埴谷雄高の世界があざやかに分かる一冊。(講談社学術文庫)
  • 四國遍禮道指南 全訳注
    -
    1687年刊『四國遍禮道指南』は、四國遍路の起源を示す重要な史料であると同時に、江戸以降ロングセラーとなった実用的なガイドブックです。江戸期に大師信仰を中心に、当時すでに確立されていた西国三十三観音巡礼などの影響下、四国巡礼が確立された。原本の読み下し、現代語訳、注、現代の地図に原本の道順を反映させた地図も掲載。実際に遍路する方々のガイドともなる。時間を超えた巡礼の旅に出るための一冊です。(講談社学術文庫)
  • 数学の考え方
    3.8
    数学には人類の長いあいだの経験が集積されている。細かい計算や技巧の歴史としてではなく、ものの見方、考え方の歴史としてその道程を振り返るとき、目のまえには見たことのない数学の「風景」が広がるだろう。数学の歴史は私たちの思想の歴史にほかならない。数を数えることから現代数学までを鮮やかにつなぐ、数学入門の金字塔。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 牧野富太郎自叙伝
    4.0
    わが国の植物分類学を独力で切り拓いた巨人・牧野富太郎。幼少より植物に親しみ、小学校中退後の人生を独学による植物研究に捧げた彼は、権威による研究妨害や貧困に屈することなく、95年の生涯の晩年まで現役であり続けた。彼が採集した標本は実に60万点、命名した植物は2500余。「植物学の父」が独特の牧野節で綴る波瀾万丈の「わが生涯」。(講談社学術文庫)
  • ケガレ
    3.0
    民間信仰において、ケガレを祓う儀礼は頻繁に多様な形で行われていた。人間の不幸は、ケガレ=不浄に原因があると考えられ、生活の隅々にまでその指標が浸透していたのである。死=黒不浄、出産・月経=赤不浄、罪や病、境界・峠という空間等、様々な民俗事例にあらわれたケガレ観念の諸相を丹念に追い、信仰行為の背後にあるものを明らかにする。(講談社学術文庫)
  • 地名の研究
    4.0
    日本は諸外国とくらべて地名が膨大であると説き、柳田は有名な「大きな地名」よりも、小字などの「小さな地名」に着目する。また、地名を新古の生活の必要によって命名する「利用地名」、自分の土地だと宣言するための「占有地名」、地名を分割して名付ける「分割地名」に分類。それぞれの特徴は何か。地名学の源流となった名著。(解説・中沢新一)(講談社学術文庫)
  • ジャーナリストの生理学
    -
    19世紀のパリで新聞などを舞台に活躍していたジャーナリストと批評家を取り上げ、作家一流の「生理学」の手法で徹底的に批判する。「もしジャーナリズムが存在していないなら、まちがってもこれを発明してはならない」と一刀両断にする結論を見れば、今も昔も新聞は何も変わっていないことは疑いない。新聞の存在意義が問われる今日こそ、ジャーナリストはもちろん、すべての人が手にするべき一冊。(講談社学術文庫)
  • 日本精神分析
    4.0
    「日本精神分析」というエッセイは、日本の文化に関する考察である。私はいつも、日本人の経験を、自民族中心主義に陥ることなく、普遍的に意味をもつようなかたちで提示したいと思っていた。しかし、ある意味で、本書のエッセイはすべて、そのような姿勢で書かれている、といえる。ゆえに、本のタイトルを「日本精神分析」としたのである。――〈「学術文庫版へのあとがき」より〉 (講談社学術文庫)
  • ベーダ英国民教会史
    -
    古代ローマ時代から8世紀初めまで、アングル人、サクソン人、ジュート人、そしてさまざまな侵略者たちは、いかにしてイングランド人として統合されていったか。初代カンタベリ大司教アウグスティヌスを始めとする伝道者たちの行跡、殉教者の苦難、さらに世俗権力の興亡を活写し、「イギリス史の源泉」と称される尊者ベーダ畢生の歴史書。アルフレッド大王版で読む待望の新訳。(講談社学術文庫)
  • 高杉晋作の手紙
    -
    幕末の長州藩を縦横に走り回った高杉晋作は、時代を大きく旋回させて惜し気もなく舞台から去って行った。享年二十九――。一方で晋作は、厖大な手紙や日記、詩歌草稿を残している。手紙の相手は父母をはじめ、吉田松陰、久坂玄瑞、桂小五郎(木戸孝允)、山県狂介(有朋)ら、多岐にわたる。その行間からは幕末を生きた人間の生の息吹が伝わってくる。(講談社学術文庫)
  • 東京の自然史
    4.5
    地殻変動(巨大地震で、地表面は数メートル移動)、氷期と間氷期の海水面変化(一〇〇メートル以上)、火山灰の堆積(数メートル以上)、河川による砂礫の堆積……。一〇〇万年超の東京の形成過程と江戸以来の開発による地形変化を解明。過密集住の東京を脅かす様々な災害。散歩ガイド・災害マップとして、必携の地形学による東京史。(講談社学術文庫)
  • 相対性理論の一世紀
    4.0
    「ニュートンよ許したまえ……」。二世紀以上にわたり絶対的権威として君臨してきたニュートン力学の常識を根底から覆したアインシュタイン。そのきっかけは、少年時代の「光を、光の速さで追いかけたらどうなるだろう」という疑問だった。「力の統一」「宇宙のしくみ」など現代物理学の起源となった研究はいかに生まれたか。最先端の物理学にまで影響を及ぼす相対性理論の本質を、わかりやすく解説する。(講談社学術文庫)
  • 地形からみた歴史 古代景観を復原する
    3.7
    「地震」「水害」「火山」「雷」「大風」……。『記紀』に描かれた数多の自然現象とその災害の実態とは? 「浦」「江」「潟」「岸」「潮」「浜」……。『万葉集』に謳われた風光明媚な景を現在と比較すると? 「古墳」「池」「溝」「津」「水門」、人為は景観をどう変えたのか? 空中写真、地形図、遺構・遺跡、史料を突き合わせ、失われた古代日本を大胆に復原する。(講談社学術文庫)
  • デカルト形而上学の成立
    -
    「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作! (講談社学術文庫)
  • ことばへの道 言語意識の存在論
    4.0
    ことばを通して現実があらわれ、人間があらわれ、共同社会があらわれ、宗教があらわれ、芸術があらわれるという展望がなかったら、ことばを論ずる魅力はおそらく半減することだろう。――著者は「あとがき」でそう断じる。人として存在すること、社会のなかに在ることと、否応なくむすびついた「ことば」とはなにか。繊細でしなやかな哲学的洞察。(講談社学術文庫)
  • 近代文化史入門 超英文学講義
    4.4
    今まで何の関係もないと思われていた2つのものが、1つであることを知ることこそ、魔術・マニエリスムの真諦である。そして、これこそが究極の「快」である。光学、辞典、哲学、テーブル、博物学、造園術、見世物、文字、貨幣、絵画、王立協会……。英国近代史を俯瞰し、歴史の裏に隠された知の水脈を、まるで名探偵ホームズのように解明する「脱領域の文化学」の試みである。(講談社学術文庫)
  • 証言その時々
    -
    「私はひとりになった。静かに涙が溢れて来た……祖国は敗けてしまったのだ。偉大であった明治の先人達の仕事を三代目が台無しにしてしまったのである」――収容所で敗戦の報に接した著者が見た戦争、そして戦後日本の姿とは。数々の戦争文学を残した作家が綴る、帰還兵への思い、六〇年安保、チェルノブイリ原発事故への眼差しなど戦争をめぐる証言。(講談社学術文庫)
  • 忠臣蔵 もう一つの歴史感覚
    -
    日本人の心の中に「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。しかし、このイメージは、実は歴史上の実像とは隔たりがある。それでは、「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、本当はだれなのか。そして、この壮大なフィクションは、なぜこれほど日本人に愛され続け、『仮名手本忠臣蔵』はどのようにして歌舞伎最大の古典となったのか。明晰な構成と文体で鮮やかに描き出す、第一人者による意欲作。(講談社学術文庫)
  • 落語の言語学
    4.0
    扇子に手ぬぐいというわずかな小道具のほかは、ただ演者の「一枚の舌」によって、庶民はもちろん将軍や大名を高座に呼び出すこともできれば、遊郭や冥界に遊ぶこともできる不思議な話芸、落語。この落語の面白さを支えているものは何か、少年時代からの落語ファンでもある言語学者が、「ことば」の面から分析した、異色の落語論。志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実例を引用しながら、特異な芸能の特徴・構造・魅力を解読。(講談社学術文庫)
  • 幕末遣欧使節団
    -
    攘夷の嵐が吹き荒れる幕末。先に欧米に約した開市開港の実施延期を要請するため、幕府はヨーロッパに使節団を派遣した。文久二年、総勢三十八名のサムライたちは、西洋事情調査の命をも受けて、仏・英・蘭・露など六ヵ国を歴訪。一年にも及ぶ苦難と感動に満ちたこの旅を、彼らの日記や覚書、現地の新聞・雑誌の記事等をもとに、立体的に復元する。(講談社学術文庫)
  • 関ヶ原合戦 家康の戦略と幕藩体制
    4.1
    秀吉没後、混沌とする天下掌握への道筋。豊臣政権内部で胚胎した諸問題はやがて家康と三成の2大勢力形成へと収斂してゆく。東西に分かれた両軍が衝突する慶長5年9月15日。戦いはどのように展開したのか。関ヶ原に未だ到着しない徳川主力の秀忠軍、小早川秀秋の反忠行動、外様大名の奮戦、島津隊の不思議な戦いなど、天下分け目の合戦を詳述。(講談社学術文庫)
  • マルクス・アウレリウス「自省録」
    4.0
    2世紀後半ローマ皇帝となったマルクス・アウレリウスはまたストア派の哲学者でもあった。万有は神的理性(ロゴス)に統率されるという合理的存在論に与する精神構造を持つ一方で、文章全体に漂う硬質の無常観はどこから来るのか。自身の心に向かって思念し、心内の軋み・分裂・矛盾をごまかすことなく真摯に生きた哲人皇帝の魂の声。碩学による待望の新訳。(講談社学術文庫)
  • 読む哲学事典
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    ◇◆◇「愛とは何か」を解るために、「暴力とは何か」を考える。◇◆◇ ◇◆◇さまざまな概念を対にして展開する、縦横無尽な思考の一大パノラマ!◇◆◇ 本質と時間/愛と暴力/ここと私/正義と詩人…… ある概念と別の概念を対にしてみると、思いもよらない連関が生まれ、ありふれた言葉から豊かな哲学の問題が立ち上がってくる! 現代哲学の重要論点のみならず、文学、芸術、宗教、科学、政治を自由闊達に横断。一人ですべての項目を書き切った事典にして、どこから読んでも愉しめる上質の哲学エッセイ。 【本書より】 哲学事典を引く人が、「存在」とか「記憶」とかの意味をまったく知らない、などということは考えにくい。求められているのは日常では一見自明な言葉に哲学者が見出す亀裂であり、それを通して見えてくる思いがけない意味連関ではなかろうか? 概念間の連関が重要なのだ。ゆえに、哲学事典は一貫した視点で、一人が全項目を書くべきなのだ。 これは、すべてを網羅するという事ではない。多くの知識を蓄える事が問題ではない。問題は、越境的な精神の自由を確保する事なのである。本書では、諸概念の連関を強調するため、事項を単独で説明するのではなく、一対の概念に対して説明をした。読者は、関連する事項説明をたどることによって、梁と梁が大きなドームをなすイスラム建築のように、あるいはたがいに連関して図形を構成する夜の星空のように広がる、概念の天蓋が見渡せよう。 【本書の内容】 愛と暴力 アキレスと亀 一者の実在性/真理と悲劇 イロニーとユーモア 運と偶然 可能性と反実在論 共同感覚と感覚質 言語と意味/ Sinn(意)とBedeutung(指示)/実在論と反実在論 検証主義とプラグマティズム ここと私/意識と想像的なもの/想像的な私と象徴的な私 自然とユートピア/美と判断力 自由と問題 正義と詩人 全体論と解釈/現象学と志向性/心的な用語(mental term)と命題的態度 疎外論と物象化論 存在と存在論/数と算術/性質と類似性/実体と普遍論争 知識と信念 超範疇と超越論的 美のイデアと芸術 文化相対主義と普遍的正義論 弁証法と(再)定義/観念論とヘーゲルの弁証法―意図と欲望 保守主義と左翼 法と革命 本質と時間/時間様相―過去現在未来/期待と希望 メタ言語と主体性 ヨブの苦しみと罪の名 歴史と伝統/ヘーゲルの歴史観/反時代的 索引 *本書の原本は、2006年に講談社現代新書より刊行されました。(増補あり)
  • 老子
    4.2
    『老子』は、『論語』とならぶ中国の代表的な古典である。その思想は、人間はその背後に広がる自然世界の万物のなかの一つであるという自然思想の立場をつらぬくことにある。したがって老子は、人間の知識と欲望が作りあげた文化や文明にたいして懐疑をいだき、鋭く批判する。無知無欲であれ、無為であれ、そして自然に帰って本来の自己を発見せよ、という。中国思想研究の第一人者が説く老子の精髄。
  • 明代二大茶書 張源『茶録』・許次ショ『茶疏』 全訳注
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    唐代に、陸羽によって著された世界最古の茶書『茶経』に次いで、明代に書かれた最重要茶書二書の全訳注版です。 日本の煎茶道や最近盛んになりつつある中国茶の源流ともいえるのが、明代に行われていた「喫茶」です。 明代には、茶の文化が隆盛をしており、数多の茶書が著されましたが、それ以前の茶書の剽窃や焼き直しがほとんどでした。 そういった中にあって、本書で取り上げる『茶疏』と『茶録』は、独自の探究によって書貴重な貴重な茶書です。 製茶法、貯蔵法、茶器の選択、飲み方、客人の迎え方、などなどを具体的に描きます。 茶を、おいしく、楽しく、清らかに飲むやり方を追究します。 中国のみならず、日本にも伝わり、江戸時代には上田秋成『清風瑣言』をはじめ、多くの書物にも引用され、おおきな影響を与えています。 全訳注として、 【訓読】【現代語訳】【原文】【注釈】 を加えました。 喫茶愛好家必携の一冊です。 理解を助ける図版も収録しています。 本書は、訳し下ろしです。 【目次】 まえがき 1 張源『茶録』 張源『茶録』について 凡例 茶録引 顧大典 採茶 造茶 弁茶 蔵茶 火候 湯弁 湯有老嫩 泡法 投茶 飲茶 香 色 味 点染失真 茶変不可用 品泉 井水不宜茶 貯水 茶具 茶盞 拭盞布 分茶盒 跋茶録 沈周 2 許次しょ『茶疏』 許自しょ『茶疏』について 許自しょ伝 凡例 題許然明茶疏序 桃紹憲 茶疏小引 許世奇 凡例 産茶 今古製法 採摘 炒茶 収蔵 置頓 取用 包せき 日曜頓置 択水 貯水 煮水器 火候 烹点 秤量 湯候 甌注 とう滌 論客 茶所 洗茶 童子 飲時 宜輟 不宜用 不宜近 良友 出遊 権宜 虎林水 宜節 辯訛 攷本
  • 中国の神話 神々の誕生
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    「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する! 最古の地誌であり、儒学の厳しい検閲の網を逃れて現代にまで生き残った、さまざまな怪物が登場する『山海経』。そこには一本足で、声は雷のごとく、黄帝が生け捕りにして皮をはいで鼓をつくり、その骨をばちに打ち鳴らすと五百里四方にとどろいたという山の怪物が登場する。また別の個所では楽園の番人を殺して不死の木の実を盗んだ罪によって、足にかせをはめられ、両手と髪を縛ってある山の木に逆さ吊りにされた怪物も現れる。このいずれもが「き」という音で呼ばれる、本書の主人公である。 司馬遷が『史記』で歴史のはじめにおいた黄帝と、その強敵である蚩尤はともに風雨、とりわけ風を呪術的に自在に操る力を持っていた。風の神は同時にふいごを使う鍛冶神にも通じ、そして「き」もまた、鍛冶と深いかかわりがあったという。 多くは猿面で一つ目、一本足で表象されるこの山神を出発点に、柳田國男や折口信夫の民俗学的手法や日本神話、時にはバビロニアのマルドゥク伝説からもヒントを得ながら、古代のはるか遠い祖先神をめぐるひとつの物語として中国の神話を大胆に復元し、さらにその後、儒教化によって神話が歴史へ、呪術が宗教へと変容するまでを描く。神話世界を冒険するかのようなスリリングな魅力に満ちた一冊。 (原本:『中国の神話――神々の誕生』筑摩書房、1971年) 第一章 異形の神像 第二章 瞽師の伝承――中国の語部 第三章 風の神の発見 第四章 鍛冶師と山の神 第五章 文化的英雄の誕生――三皇五帝 第六章 神話の世界の消失 第七章 乱――エピローグ あとがき 解説 蜂屋邦夫
  • 漢詩の名句・名吟
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    漢詩は、平安時代から現代まで、多くの日本人の心をとらえてきた。その歴史・地理的な背景や、日本の漢詩受容を押さえて、丁寧に作品を読み解き、漢詩の豊かな抒情の世界に遊ぶ。奔放自在な「詩仙」李白、謹厳実直な「詩聖」杜甫、閑寂の自然詩人・王維など、珠玉の名作を読む醍醐味を味わいつつ、自由闊達に読むことをも可能にする最良の入門書。 [本書の内容] 序章 漢詩をどう読むか I 李白と酒 II 月の光 III 登楼・重陽 IV 杜甫の律詩 V 蘇州詩話 VI 閑寂・江南の春 VII 旅愁・シルクロード VIII 唐詩と日本人

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