作品一覧

  • 国家について 法律について
    -
    1巻1,650円 (税込)
    本書に収録された二篇は、共和政ローマで活動した著作家にして政治家・弁論家マルクス・トゥッリウス・キケロー(前106-前43年)がプラトーンの『国家』と『法律』の衣鉢を継ぐ著作として構想・執筆した対話篇です。 前51年に刊行された『国家について』は、前129年に小スキーピオーを中心に行われた討論を再現する形で書かれています。前129年前後といえば、グラックス兄弟を中心とする改革派とこれに対抗する保守派によって国民が二分され、国家が混乱の極みにあった時期でした。それはキケローが目前にしていたポンペイウスとカエサルが激しく対立する状況に酷似し、国家の危機のただなかでローマ国民にみずからの国家の偉大さを自覚させ、その安定と確立のために奮起を促すことを目的としています。 この著作は、後代の国家思想はもちろん、テルトゥッリアーヌス、ラクタンティウス、アウグスティーヌスなど、キリスト教徒の著作家にも多大な影響を与えましたが、ルネサンス期には写本が発見されず、独立した著作として伝えられていた第6巻の「スキーピオーの夢」以外は失われたと考えられていました。ところが、1819年にヴァティカン図書館で写本が発見され、全体の約四分の一が復元されました。こうしてキケローの国家思想のほぼ全容を知ることができるようになったわけです。 『法律について』は、『国家について』執筆中に続篇として構想されたと考えられています。しかし、前51年の夏からキリキア総督として多忙な日々を過ごし、その任務を終えてローマに帰国してまもなく、前49年初頭にはカエサルとポンペイウスの対立から勃発した内乱に巻き込まれることになったため、未完に終わりました。全5巻以上の規模をもつものとして執筆されましたが、現存する写本に含まれるのは第3巻の途中までです。 本書では、過去から現在に至る法律が吟味され、それらは本当に法律の名に値するものなのかが検討されます。キケローが定めようとする法律は第一義的にはローマ国家の改革を目的とするものでしたが、それが自然本性に基づく法律であるかぎり、いかなる時代にも、いかなる場所でも普遍性を失わないものとして提示されています。 こうして、激動の時代に生きたキケローは、理想的な国家と、その礎をなす理想的な法律を今日のわれわれに伝えてくれています。国家への信頼が揺らぐ今、碩学が残した偉大な訳業を初の文庫版でお届けいたします。 [本書の内容] 国家について  第一巻  第二巻  第三巻  第四巻  第五巻  第六巻  スキーピオーの夢  個所不明の断片 法律について  第一巻  第二巻  第三巻  個所不明の断片 訳者解説 人名索引 解 題(山下太郎)
  • 老年について 友情について
    4.2
    1巻1,265円 (税込)
    マルクス・トゥッリウス・キケロー(前106-43年)は、共和政末期のローマに生きた哲学者・弁論家・政治家として知られる。本書は、その最も人気のある二つの対話篇を定評ある訳者による新訳で一冊にまとめた待望の文庫版。「無謀は華やぐ青年の、智慮は春秋を重ねる老年の特性」、「友情においては地位や身分での分け隔てがあってはならない」──「老い」と「友情」という大切な問題についての古代の知恵が、ここに甦る。
  • キケロ 友情について
    -
    『老年について』の姉妹篇として書かれた対話篇。古代ローマの政治家で賢者の誉れ高いラエリウスが、無二の親友小スキーピーの死後まもなく、二人の女婿を前にして、友情について語る。キケローにとってラエリウスは、単なる過去の賢人ではなく、修業時代に親しく噂話を聞くことのできた人物であった。友情論の古典。新訳。

    試し読み

    フォロー
  • 老年について
    -
    古代ローマ第一の学者にして政治家・弁論家キケロー(前106―前43)が人としての生き方を語り、老年を謳い上げた対話篇。84歳になる古代ローマの政治家・文人大カトーが文武に秀でた二人の若者を屋敷に迎えて、自らの到達した境地から老いと死と生について語る、という構想のもとに進められる。悲観的に、ではなく積極的に老いを語った永遠の古典の新訳。

    試し読み

    フォロー

ユーザーレビュー

  • 老年について 友情について

    Posted by ブクログ

    好きな本Top10のひとつ。
    キケロが細平たい木の板で脛を思いっきり叩きにきます。痛いってば。嫌じゃないけど。

    訳の分からない本や新聞、ネットニュースを読む時間と手間はこの本を繰り返し読む事にこそ費やすべき。そんな本のひとつ。

    【日常生活で使えるサーカズム】
    もし誰かが「若い時はこんなんじゃなかった。今では(筋肉が衰えて)死んだも同然だ」と嘆いたなら、「可哀想なクロトナのミローだね」と言う。(心の声 愚か者め。死んだも同然はお前の筋肉などではなくお前自身だ。お前が有名なのはお前のおかげでなく、若い頃の筋肉と体力のおかげだ。)美貌や知力でも使えそう。

    屁理屈、生まれつきの性格によるなど、反

    1
    2023年07月24日
  • 老年について 友情について

    Posted by ブクログ

    p18「善く生きたという自負心と数多くの善行の思い出は無上の喜びとなるものだ」
    p27「無謀は華やぐ青年の、知慮は春秋を重ねる老年の特性」
    p36「力を適切に用い、各人がもてるかぎりの力で努力しさえすればいいのだ」「君たちの、その善きものを、それがある間は使えば良いし、ない時は求めてはいけない」「人生の走路は定まっており、自然の道は一本道で折返しがない。生涯のそれぞれの時期に、その時期にかなったものが与えられている」「それぞれに、その時期に収穫しなければならない自然の恵みとも言うべきものがあるのだ」
    p40「常に孜々として携わって生きる者には、老年がいつ来たか分からない。そのような人生は、それ

    0
    2022年06月04日
  • 老年について 友情について

    Posted by ブクログ

    セネカと同じく、一部の屍(老人)に鞭を打つようなフレーズにビビる本です

    キケローが友人に向けた、書簡
    「年取ることって悪くない」
    「友達っていいものだね」 という2つのテーマで語る空想対話本です。

    ギリシャ哲学と聞くとハードルが万里の長城クラスのようですが、対話篇になるとその高さはだいぶ下がります。
    ただ話の流れを掴むのであれば(注釈まで読み込まないのであれば)ソクラテスの弁明や、生の短さについて、のように楽しみながら読むことができるでしょう。

    40代で読んで良かった。そう言い切れる一冊です。
    特にすきなフレーズはここ

    「老化による愚痴?物忘れ、不健康?それのほとんどはその人の不摂生と

    0
    2022年03月14日
  • 老年について 友情について

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    哲学者・政治家・詩人であったキケローの対話篇。「老年について」では老いることは徳のある人間にとっては悪いことではない、という話をし、「友情について」では徳に基づいた真の友情の素晴らしさ、友情の成り立ち、友情と政治の現実などを語る。
    前者では老いに関連して死についてもけっこう触れていて、プラトンを思わせる霊魂不滅論、肉体からの霊魂の解放論を展開し、もしくは死すれば魂は消滅し何の感覚もなくなるのであればそれでも恐れることはなにもない、という二段構えの死への備えを論じていて面白い。
    後者の友情は自分への愛から生まれたとか、友情は善き人々だけのものであるという話はあまりピンとこなかった。解説を読んで、

    0
    2024年11月07日
  • 老年について 友情について

    Posted by ブクログ

    訳もナチュラルな日本語で読みやすい。巻末の訳者解説も丁寧でわかりやすい。むしろ訳者解説を先に読んでから、本編を読むとさらに理解が増す。

    0
    2022年02月26日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!