講談社学術文庫作品一覧

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  • 御家騒動
    -
    「主従」とは闘争である。 時代小説や歴史ドラマなどでおなじみの、「家中のトラブルが幕府に露見して改易される」といった筋書きだか、実際にはそうした事例はほぼなかった。 有力大名家に勃発した鍋島騒動、黒田騒動、対馬の柳川一件、伊達騒動……いずれも改易とはなっていない。 子細にその経過をみてみると、幕府が騒動に積極的に介入したというよりは、むしろ大名・家中の側から幕府に積極的に訴訟し、自ら幕府の介入を招いているような節がある。 では、大名や家臣たちはどうしてこのような危ない橋を渡ろうとしたのだろうか? 本書は、御家騒動を引き起こす当事者たちの行動の原理がいかなるものであったのかを探り、「忠臣が身命をなげうって悪臣を排除し、騒動の禍根を未然に絶って御家の危機を救う」勧善懲悪ストーリーとは一味違うリアリティを、幕藩制という時代相のなかから具体的に解き明かす試みである。 "大名家のスキャンダル"を歴史学の眼で徹底検証する、スリリングな歴史研究! 【本書より】 元禄以降の十八世紀には、主従不和や家中騒動が「公儀」に対する罪過である、という固定観念ができあがっているが、それ以前に生じた騒動に対してはそうした「色めがね」(固定観念)をはずして見直してみるべきではないか。家中騒動が「公儀」に対する罪過ではなかったからこそ、大名や従臣たちは将軍・幕府に騒動の調停を強く求めることができたのではないか、という逆の視点から騒動をみていくことが必要なのである。 そのためには、当時に作成された一次的な史料に基づいて騒動全体を見直すという作業が必要となるのはいうまでもない。 【本書の内容】 第一章 近世武士の主従観念と「御家」 第二章 主君を廃立する従臣たち 第三章 従臣を排除する主君たち 第四章 主君を選り好みする従臣たち 第五章 御家騒動の伝統化 補章 「御家騒動」のなかの女性たち *本書の原本は、2005年に中公新書より刊行されました。
  • 輪廻の思想
    4.0
    幼いころに父を亡くした著者は、あるとき、幾晩か続けて大きな蜘蛛が風呂場の天井にいることに気づいた。母にそれをいうと「お父さんかもしれないから、いたずらしてはいけない」と言われてびっくりした、という。かつては、死んだ血縁の者が、場合によっては他の動物になっている、ということを多くの人が信じていたのである。 こうした「業報輪廻」の考えは、仏教思想の中心というよりも、ジャイナ教やヒンドゥー教など東洋の宗教全体の大きな前提になっているという。そして、キリスト教などの一神教がダーウィニズムの挑戦を受けて思想的な見直しを迫られているように、輪廻思想と仏教も、進化論やバイオテクノロジーなどとの対決を迫られている。アレキサンダーの東征や、匈奴の強大化などがもたらした紀元前後の数百年間の仏教の危機の時代を、「阿弥陀仏」という新たな信仰によって乗り切ったように、新たな神話を創生していく必要があるというのだ。 さらに、スーパーマンとしての観世音菩薩、イエスとブッダの説話の類似性、親鸞の仏陀観の変化など、仏教社会の倫理と道徳を支えてきた「輪廻の思想」をめぐる講演と随筆を集成。〔原本:1989年、人文書院刊〕 目次 1 輪廻の思想――インド・中国・日本 2 仏塔信仰と大乗仏教 菩薩の平和思想 ブッダとイエス 3 本願力ということ 親鸞の仏陀観 親鸞における信心の深化 4 マングース物語  人と猿と神 仏教における非神話化 不老長寿  脳死・堕胎・中有 王舎城の温泉 チベットの牧象図 言語同断 蚕と蜘蛛――追悼 抱石庵 久松真一先生 お盆の思い出 海外の三人の師 無相さんと私 武生の雪 木村無相『念佛詩抄』 山頭火と私
  • 老子
    4.0
    『老子』は、『論語』とならぶ中国の代表的な古典である。その思想は、人間はその背後に広がる自然世界の万物のなかの一つであるという自然思想の立場をつらぬくことにある。したがって老子は、人間の知識と欲望が作りあげた文化や文明にたいして懐疑をいだき、鋭く批判する。無知無欲であれ、無為であれ、そして自然に帰って本来の自己を発見せよ、という。中国思想研究の第一人者が説く老子の精髄。
  • 日本人の死生観
    3.3
    仏教学に民俗学の方法を接続し、日本人の宗教を深く掘り下げた五来重。本書は、厖大な著作を遺した宗教民俗学の巨人の「庶民宗教論」のエッセンスを知るのに最適な1冊である。 日本人の死生観とは、すぐに連想される「ハラキリ」や殉死など、武士道的なものだけではない。貴族や武士の死生観、いわば「菊と刀」ばかりでなく、「鍬」を持つ庶民の死生観は、一体どんなものだったのか。本書では、教祖・教理・教団から成る西洋起源の宗教や、文献研究と哲学的思弁にこだわる仏教学ではなく、仏教伝来以前からの霊魂観や世界観が息づく根源的な「庶民の死生観」を明らかにしていく。 著者によれば、庶民にとってあらゆる死者は一度は怨霊となる。それは鎮魂によって「恩寵をもたらす祖霊」に変えなくてはならない。そのための信仰習俗や儀礼の有様を探索し、日本列島を歩きに歩いた著者の視線は、各地に残る風葬や水葬の風習、恐山のイタコと円空仏、熊野の補陀落渡海、京都の御霊会、沖縄のイザイホウ、遠州大念仏、靖国神社などに注がれる。 巻末解説を、『聖地巡礼』『宗教と日本人』の著者・岡本亮輔氏(北海道大学准教授)が執筆。〔原本:角川書店、1994年刊〕
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    3.7
    1~12巻1,430~2,420円 (税込)
    講談社創業100周年企画として2004年~05年に出版された全集「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版が、いよいよ刊行開始。本全集は、2014年には中国で、2016年からは台湾で翻訳出版され、そのレベルの高さと視点の新しさから累計で150万部を超えるベストセラーになっている。 待望の文庫化、第1回配本は、第1巻と第2巻の同時配本。第1巻では、長年、中国での遺跡発掘を手掛けてきた著者が、「三皇五帝」や「盤古伝説」などで知られる中国の神話の表す史実を探り、「夏王朝」「殷王朝」の謎に迫る。 中国の古代文明といえば、かつては「黄河文明」を指したが、現在では、長江流域をはじめ、各地の多様な自然環境から展開した多元的な古代文明と理解されている。現在の中国のさまざまな地域社会や風土を考える際にも、こうした先史時代から続く地域文化の脈絡を無視できないのである。約1万年前の新石器時代、南北の文化地帯の周縁でアワ・キビ農耕や稲作農耕が生まれ、そこから牧畜型農耕社会と遊牧社会が分離し、さらにその周辺には狩猟採集民が存在した。こうした基本的生活様式が誕生した中から、いかにして初期国家が生まれたのか。最古の王朝とされる夏王朝と二里頭文化の関係とは――。 文庫化にあたり、原本刊行後の重要な遺跡と発掘成果を大幅に加筆。〔原本:2005年、講談社刊〕
  • 中世武士団
    5.0
    平安時代後期から戦国時代の終わりまで、中世をになった特徴的存在が武士団です。 「土」と結びついたイエ支配権の強力さと独立性、生活の実際と意識のあり方、10世紀初頭の武士団の実体と鎌倉武士団への発展の過程、「板碑」が語る武士団の歴史、安芸国の小早川氏に見る鎌倉的武士団から南北朝・室町的武士団への変貌の経過と武士団の支配下の荘園の様相、北陸の雄たる朝倉氏の城下町、越前一乗谷の考古学的発掘の成果をとり入れた戦国武士団の一面。そして中世から近世へと移りゆくなかで武士団が喪失した「自立性」への惜しみない哀悼。 本書は、日本中世史の泰斗が「中世武士団」という社会集団の実態と特色、そして中世社会の構造を、歴史書、文学作品、碑文、考古学資料を駆使し鮮やかに描き出し、高い評価を受け続けている作品です。30年以上前の著作ではありますが、学生や研究者にとっては今なお必読書であり、一般読者層にとっては最良の日本中世史入門といえる名著です。 〔原本/1974年、小学館「日本の歴史」12巻『中世武士団』〕 ※本書の原本は1974年、小学館より「日本の歴史」第十二巻『中世武士団』として刊行されました。講談社学術文庫収録にあたっては、同社より1990年に刊行された「文庫判 日本史の社会集団」第三巻『中世武士団』を底本とし、2005年に山川出版社から刊行された「石井進の世界」第二巻『中世武士団』を参照しました。 【目次より】 中世武士団の性格と特色――はじめに 曾我物語の世界 敵討とその周辺 「兵」の館をたずねて 「兵」から鎌倉武士団へ 板碑は語る 武士団とは何か 小早川の流れ(一)――鎌倉時代の歩み 小早川の流れ(二)――南北朝・室町時代の武士団 埋もれていた戦国の城下町――朝倉氏の一乗谷 失われたもの、発見されるもの――おわりに
  • ローマの哲人 セネカの言葉
    4.1
    パクス・ロマーナ期、ローマ帝国で弁護士、元老院議員、財務官、法務官、そして皇帝ネロの顧問官を歴任したセネカ(?~65年)は、思想家として人生、死、貧困、徳、欲望と快楽、真の自由という、誰の人生にも関わるテーマについて普遍的なメッセージを遺している。「どうしてこんな面白いものが今まで日本ではほとんど読まれなかったのだ」――特定の他者にあてた書簡の形で著した十数篇の文章を、『清貧の思想』『ハラスのいた日々』の作家・中野孝次が晩年自らの翻訳で読み解く。道徳的退廃に陥った21世紀の日本を憂え、人として生きる術を説くいきいきとした箴言として提示した、現代人のためのセネカ入門。(原本:2003年岩波書店刊)
  • 伊勢神宮と出雲大社 「日本」と「天皇」の誕生
    -
    こうして「日本」は形づくられた! なぜ、大和は出雲を必要としたのか? 朝日と夕日、太陽と蛇、陸と海、現世と他界― 天武・持統の大和王権を守る「両端の象徴的霊威」をになうものとして伊勢・出雲をとらえ直し、日本の起原に鋭く迫る試み。 「神とは何か」という民俗学による理論的分析の視点と、歴史学による記紀をはじめとする文献研究、考古学の発見を融合させた、新しい古代探究! 【本書の内容】 第一章 伊勢神宮の創祀 第二章 〈外部〉としての出雲 第三章 祭祀王と鎮魂祭 終 章 〈日本〉誕生への三段階 ※本書の原本は、2008年に講談社選書メチエより刊行されました。
  • 中世の罪と罰
    4.3
    「やーい、お前の母ちゃん、でべそ!」 誰もが耳にしたことがありながら、よく考えると意味不明なこの悪口。そこに秘められた意味とは? ありふれた言葉を入り口に、今は遠く忘れ去られた日本の姿が、豊かに立ち上がる。 「お前の母ちゃん…」のような悪口が御成敗式目にも載るれっきとした罪であり、盗みは死罪、犯罪人を出した家は焼却処分、さらに死体の損壊に対しては「死骸敵対」なる罪に問われれた中世社会。何が罪とされ、どのような罰に処せられたのか。なぜ、年貢を納めなければ罰されるのか。それは何の罪なのか。10篇のまごうかたなき珠玉の論考が、近くて遠い中世日本の謎めいた魅力を次々に描き出す。 稀代の歴史家たちが、ただ一度、一堂に会して究極の問いに挑んだ伝説的名著、待望の文庫化!(原本:東京大学出版会、1983年)解説(桜井英治・東京大学教授)より本書を通じてあらためて浮き彫りになるのは、中世社会が、現代人の常識や価値観では容易に解釈できない社会だということ、つまりそれは私たちにとって彼岸=異文化にほかならないということである。……日本中世史研究がまばゆい光彩を放っていたころの、その最高の部分をこの機会にぜひご堪能いただきたい。【主な内容】1 「お前の母さん……」 笠松宏至2 家を焼く 勝俣鎭夫3 「ミヽヲキリ、ハナヲソグ」 勝俣鎭夫4 死骸敵対 勝俣鎭夫5 都市鎌倉 石井 進6 盗 み 笠松宏至7 夜討ち 笠松宏至8 博 奕 網野善彦9 未進と身代 網野善彦10 身曳きと“いましめ” 石井 進討論〈中世の罪と罰〉 網野善彦・石井進・笠松宏至・勝俣鎭夫あとがき 笠松宏至あとがきのあとがき 笠松宏至文献一覧解 説 桜井英治
  • 国民主権と天皇制
    3.7
    惜しまれながら急逝した不世出の法哲学者・尾高朝雄(1899-1956年)、初の文庫版。本書の原本は、1947(昭和22)年10月に国立書院から出版されました。その5ヵ月前には日本国憲法が施行されています。大日本帝国憲法から日本国憲法への移行は、前者の改正手続きに基づいてなされました。そうして「天皇主権」から「国民主権」への大転換を遂げた新しい戦後日本には「象徴天皇」が残されました。国民主権と天皇制ははたして両立可能なのか? もしそこに矛盾があるのなら、戦前から戦後の移行はいかにして根拠づけられるのか? これらの疑問は、単に憲法学の問題であるだけでなく、戦後の繁栄を支えた日本の新しい形は正当な根拠をもつものか、というすべての日本国民に関わる問題でもあります。本書は、この問題を解きほぐしてくれるものです。改正手続きの具体的な経緯をたどり、その過程で起きた「国体」をめぐる論争に触れつつ、「主権」とは何なのか、という問いを追求します。誰にでも理解できるよう、ていねいにたどられていった考察の末、「国民主権」と「天皇制」を両立させる「ノモス主権」が提示されます。本書が発表されたあと、憲法学者・宮沢俊義(1899-1976年)が異論を唱え、二人のあいだに論争が繰り広げられました。本書は、宮沢の批判に対する応答として書かれた二篇を増補して1954(昭和29)年に青林書院から刊行された版を底本とし、その内容を追えるようにしました。「ノモス主権」の概念は、長らく忘れられてきました。しかし、ここには今こそ考えるべき問いがあります。学術文庫『立憲非立憲』に続き、唯一無二の憲法学者・石川健治氏による渾身の「解説」を収録した本書は、新しい時代の日本にとって必須の一冊となることでしょう。[本書の内容]序 言/はしがき/第一章 新憲法をめぐる国体論議/第二章 主権概念の批判/第三章 国民主権の原理/第四章 天皇統治の伝統/第五章 新憲法における国民主権と天皇制/第六章 ノモスの主権について/第七章 事実としての主権と当為としての主権/解説(石川健治)
  • 潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆
    4.0
    幕藩体制下に弾圧されたキリシタンは、明治政府によって解放された――。このように思われている「日本社会の近代化」は、歴史の真実なのだろうか。そもそも、「キリシタン」とは何なのか。非キリシタンであったにもかかわらず、領主の苛政に一揆を起こした民衆を「切支丹」として弾圧した事例や、問題化を避けるために、穏健なキリシタン百姓を黙認した事例などを取り上げ、歴史と宗教のかかわりに新しい視野を提供する。
  • 中世ヨーロッパの城の生活
    3.9
    牢固とまた堂々と風格を漂わせ、聳(そび)える城。西欧中世、要塞のような城が陸続と建造されていった。城作りはいついかなる理由で始まったのだろうか。城の内外ではどのような生活が営まれていたのだろうか。ウェールズ東南端の古城チェプストー城を例に挙げ、年代記、裁判記録、家計簿など豊富な資料を駆使し、中世の人々の生活実態と「中世」の全体像を描き出す。
  • 五輪書
    3.7
    一切の甘えを切り捨て、ひたすら剣の道に生きた絶対不敗の武芸者宮本武蔵。彼は「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」る何10年にも亙る烈しい朝鍛夕錬の稽古と自らの命懸けの体験を通して「万理一空」の兵法の極意を究め、その真髄を『五輪書』に遺した。本書は、二天一流の達人宮本武蔵の兵法の奥儀や人生観を知りたいと思う人々のために、『五輪書』の原文に現代語訳と解説、さらに「兵法35箇条」「独行道」を付した。
  • 暗号大全 原理とその世界
    -
    人間社会の構築やコミュニケーション行為における意思や情報の伝達と秘匿の必要性から発生し、時代や社会の変遷とともに発展、進化しつづけた暗号。そこには数千年におよぶ人類の叡智がこめられている--。世界や日本のさまざまな暗号の実際と理論、そして歴史的な変遷を、豊富な具体的な例を掲げ平易かつ簡潔に網羅した〈日本暗号学〉不朽の古典!
  • 時間の非実在性
    4.0
    マクタガートの「時間の非実在性」は、A系列(過去、現在、未来)・B系列(より前、より後)のふたつの概念を導入し、時間が実在しないことを証明した論文として名高い。これまで日本には全訳がなかったが、ついに、本書が本邦初訳となって登場した。本書は、それだけではない。訳者・永井均氏が、段落ごとに詳細な注解と論評を加えている。訳者独自の付論も掲載。全訳とともに、こちらも必読。まさに「時間の哲学」の決定版だ!
  • 敬語再入門
    4.0
    日本語の特徴の1つとされる高度な敬語の発達。現代の日本社会で豊かな言語活動と円滑な人間関係の構築に不可欠な、敬語を適切に使いこなすコツとは何か。学術文庫のロングセラー『敬語』の姉妹編である本書は、豊富な実例に則した100項目のQ&A方式で、疑問点をやさしく明解に解説する。敬語研究の第一人者による、現代人必読の実践的敬語入門。
  • 学歴貴族の栄光と挫折
    5.0
    白線入りの帽子にマントを身にまとう選良民=旧制高校生は、「寮雨」を降らせ、ドイツ語風のジャーゴンを使い、帝国大学を経て指導者・知識人となる。『三太郎の日記』と「教養主義」、マルクス主義との邂逅、太平洋戦争そして戦後民主主義へ……。近代日本を支えた「社会化装置」としての「旧制高等学校的なるもの」を精査する。――<解説・関川夏央>
  • 荘子 内篇
    -
    自由無碍の境地を語る「鵬鯤(ほうこん)」の物語、一切肯定を謳う「荘周夢に胡蝶となる」――。老子とともに道教の始祖とされる、中国が生んだ鬼才・荘子が遺し、後世に多大な影響を与えた、無為自然を基とし人為を拒絶する思想とはなにか。荘子自身の手によるとされる「内篇」を、老荘思想研究の泰斗が実存主義的に解釈、荘子の思想の精髄に迫った古典的名著。
  • ギリシャ神話集
    3.3
    紀元後2世紀頃、ローマの一般大衆へギリシャの神話世界を伝えるために編まれた、277話からなる神話集。壮大なギリシャ神話の全容を網羅的に扱うためか、神話の骨子や人物の事績等がきわめて簡潔に綴られていて、作者は事典的性格を意図したものと推測される。作者のみが伝える神話要素も含み、ギリシャ神話の研究者・愛好家必読の書。本邦初訳。
  • パスカル『パンセ』を楽しむ 名句案内40章
    4.0
    人間は「考えない葦」である!?──長大な『パンセ』から気になる一節を取り上げ、意外なエピソードをまじえながら読み解く楽しみ。それぞれ読み切りで書かれた40章から成る本書は、1日1章、40日で『パンセ』を完全制覇できる手軽なガイドブックです。ヨーロッパ最高の知性とともに生きる豊かな毎日を手に入れよう!
  • 唯識の思想
    4.1
    科学・哲学・宗教の三面をあわせもつ普遍的な仏教思想、唯識。「すべては心の中の出来事にすぎない」とする、この大乗仏教の根本思想は、八種の識が世界を生み出し、心に生じる感情や思考は表層に現れると説く。不可思議にして深淵な心の構造を深層から観察・分析し、その秘密を解く唯識思想とは何か。この古くて新しい思想を解説する最良の唯識入門。
  • 人口から読む日本の歴史
    3.7
    増加と停滞を繰り返す、4つの大きな波を示しつつ、1万年にわたり増え続けた日本の人口。そのダイナミズムを歴史人口学によって分析し、また人々の暮らしの変容と人生をいきいきと描き出す。近代以降の文明システムのあり方そのものが問われ、時代は大きな転換期にさしかかった。その大変動のなか少子高齢化社会を迎えるわれわれが進む道とは何か。(講談社学術文庫)
  • 対話のレッスン 日本人のためのコミュニケーション術
    4.1
    「日常会話」や「雑談」は得意でも「対話」は苦手なことが多い日本人。ふだん同じ価値観の仲間とばかり会っているので、異なるコンテクストの相手と議論をしなくて済んでしまう。文化の違う相手と交渉したり共同作業をする経験が、まだ日本人には少ないのだ。さらに携帯電話などの登場で、世代間のギャップが広がる。それではどのようなスキルが必要なのか。豊富な具体例をもとに、新しいコミュニケーションの在り方を真摯に探る。(講談社学術文庫)
  • 風姿花伝
    4.3
    世阿弥元清が、亡父観阿弥の教えをもとにまとめた『風姿花伝』。「幽玄」「物学(物真似)」「花」など、能楽の神髄を語り、美を理論化した日本文化史における不朽の能楽書を、精緻な校訂を施した原文、詳細な語釈と平易な現代語訳、解釈を深めるための余説で読み解く。息子の観世元雅に幽玄能の奥義を伝えるべく書きつづった『花鏡』の翻刻を併録する。(講談社学術文庫)
  • ルネサンスの神秘思想
    -
    千年の「暗黒時代」の後、ルネサンスが花開く。エジプト、ギリシア、古代ヨーロッパの数多の神々が召喚され、<古代神学>が大興隆。ヘルメス、ゾロアスター、ピュタゴラスらの教説の神秘主義的刻印とは? 哲学・思想・宗教的諸説混淆(シンクレティズム)の精神風景を、オカルトも交え描く。15世紀フィレンツェで咲き乱れた神秘思想へのコンパクトで本格的な入門書。(講談社学術文庫)
  • 山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰
    3.3
    蛇と猪。なぜ山の神はふたつの異なる神格を持つのか? 日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神であった。6~7世紀、中国から将来された易・五行による新たな神々が、原始蛇信仰の神々と混淆し、山の神は複雑な相貌をもつようになる。神島の「ゲーターサイ」、熊野・八木山の「笑い祭り」、御田神社の「烏喰神事」などの祭りや習俗を渉猟し、山の神にこめられた意味を読み解く。(講談社学術文庫)
  • ガリア戦記 Gaius Julius Caesar
    4.2
    前58年以降、数年にわたりカエサル率いるローマ軍が、ガリアからブリタニアにいたる広範な地域をローマの勢力下におこうとして遠征を試みた貴重な記録である。当時のガリアやゲルマニアの情勢を知る上で必読の書として知られ、また、カエサル自身の手によるラテン語で書かれた簡潔にして流暢な文体は、文学的にも高い評価を受けている。タキトゥスの『ゲルマニア』とならぶ古代研究の最重要史料。(講談社学術文庫)
  • 伊藤博文演説集
    -
    「我国旗の中央に点ぜる赤き丸形は……昇る朝日の尊き徽章(きしょう)となり……文明諸国の間に伍して前方に且(か)つ上方に動かんとす」と明治四年サンフランシスコで日本の進む途を謳い上げた「日の丸演説」。文明国たらんと憲法制定・議会開設に奔走、政党政治のあるべき姿を説き、台湾・韓国統治の意義を語って国制を彫琢した政治家・伊藤の代表的演説三九篇を収録。(講談社学術文庫)
  • 密教とマンダラ
    4.3
    「NHK市民大学」のテキストに加筆修正した、決定版入門書。真言宗・天台宗という日本の密教を、世界の仏教史中に位置づけ、歴史、教義の概略、大日如来をはじめとする数多くのほとけを体系的に紹介。諸経典をふまえて密教諸尊を視覚的に配置したマンダラについて、代表的な胎蔵マンダラと金剛界マンダラを中心に、種類、構造、思想、それぞれのほとけのマンダラにおける役割や、マンダラの多様な展開について、平易に解説する。(講談社学術文庫)
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む
    4.2
    日本観光文化研究所所長時代に行われた幕末・明治期の紀行文を読む講義のうち、昭和51年9月から52年3月まで全7回の『日本奥地紀行』の講義録。一英国人女性旅行家が目をとめた不思議な国「日本」の事象をきっかけに、その資料的価値、バードの視点の出色さを指摘するにとどまらず、著者自身の比類ない観察眼と聞き取り調査に裏打ちされた該博な見識が縦横無尽に紡ぎ出され、宮本民俗学の入門書ともなっている。(講談社学術文庫)
  • 江戸幕府崩壊 孝明天皇と「一会桑」
    4.4
    薩摩、長州を中心とする反幕府勢力が、武力で倒幕を果たしたという「常識」は本当か。第二次長州戦争は、なぜ幕府の敗北に終わったのか。王政復古というクーデタ方式が採られた理由とは。強烈な攘夷意思をもつ孝明天皇、京都の朝廷を支配した一橋慶喜、会津藩の松平容保、桑名藩の松平定敬。敗者の側から、江戸幕府体制がいかに、そしてなぜ崩壊したかを描き出す。(講談社学術文庫)
  • 明治医事往来
    -
    平均寿命三十年の時代、電灯がつき、陸蒸気が走り、煉瓦の家が立ち並ぶ繁栄の裏には汚濁、貧困、頽廃があった。栄養立国・衛生立国をめざす一方で、「女工哀史」らを蝕んだ結核や、娼婦を死に走らせた梅毒検査。そして、夏目漱石、岩倉具視、樋口一葉らを襲った病魔の数々――。死と病いを身近に抱えながら生きた有名無名の人々を綴る、明治への鎮魂曲。(講談社学術文庫)
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》
    3.9
    フランスのオノレ・ブランという技術者による「互換性部品」に始まる近代の標準革命。アメリカでその技術は、困難を乗り越え、「アメリカ式製造方式」として確立された。さらにテイラーによる作業の標準化は、アメリカを製造業大国にする。公的機関が標準を決めるデジューレから市場での占有によるデファクトの時代へ。「標準」をキーワードに、製造の現場のドラマと国家、企業、市場の関係、そして背後に潜む思想を探ります。(講談社学術文庫)
  • シュメル人
    4.0
    紀元前3500年、まだ日本が縄文時代だった頃に巨大神殿を建て、古拙文字を発明。ビールを飲み、都市文明を謳歌し、華やかな宴会を繰り広げたシュメル人たち。紀元前2004年のエラム侵入により忽然と消えてしまった彼らの日常には、現代の日本や西欧社会に通じる様々なしきたりと人間模様が隠されていた! 古典の名著『ギルガメシュ叙事詩』や発掘された奉納額、図像などの一等史料を丹念に解読。王の父子相伝や戦記、后妃の葬儀、交易記録などから最古の文明人の驚くべき栄華と崩壊を識る! 内容紹介 第1章 シュメルの父と息子――現代人にも共感できる、王と息子の話 第2章 ラガシュ王奮戦記――自国を守るため戦う王の弱気な横顔・・・ 第3章 后妃のお葬式――シュメル女性の結婚、育児事情 第4章 商人が往来する世界――シュメル人がほしかった銅、レバノン杉、瀝青と、貿易活動 第5章 星になったシュルギ王――決して楽ではなかった王の一代記 <目次> はじめに 1 シュメルの父と息子――ウルナンシェ王の「奉納額」 ウルナンシェ王の「奉納額」/都市国家ラガシュ市/ウルナンシェ王の王碑文/奉納額の絵解き/家族の肖像/教育は人類不変の悩み 2 ラガシュ王奮戦記 二方面の宿敵/「正史」の始まり/初代王、第三代王の戦い/「エアンナトゥム王の戦勝碑」/ラガシュ最後の輝き 3 后妃のお葬式――シュメルの女性たち 葬儀は語る/シュメルの女性群像/后妃の結婚生活/后妃として母として/仇(かたき)の妻に弔われた前后妃 4 商人が往来する世界――シュメル人の交易活動 古代人の商売繁盛/ 瑠璃(るり)に魅せられて/銅は海からやってくる/ギルガメシュと「杉の森」/石油より大事なもの 5 星になったシュルギ王 帝王の佇まい/ウル第三王朝の最盛期/王の公務/神になったシュルギ王/戦いに明け暮れた後半生 あとがき 主要参考文献 主要図版引用文献 コラム  「正統な後継者」/「油あふれる」ディルムン/シュメルのモナ・リザ/生きているシュメル語/文字と争いの起源/メルッハからの「砂金」/エブラ市の発見/中島敦と古代オリエント史/王の称号 学術文庫版あとがき 索引 本書は『五〇〇〇年前の日常 シュメル人たちの物語』(新潮選書 2007年刊)を改題したものです。
  • 古代エジプト文明 世界史の源流
    4.0
    ◆2025年「ラムセス大王展」開催!◆ ◇ラメセス二世がなぜ最強のファラオなのか・最高によくわかる!◇ ―すべての道はナイル河谷へ通ず― アフリカ最奥から到来した人々が築いた文明は、オリエントや古代ギリシアなど周辺世界に決定的影響をもたらしながら三千年の栄華を誇った。 古王国時代からローマ帝国時代まで強大なファラオたちを核にして展開した歴史は、まさしく西洋世界の源流となったのである。 古代エジプト研究をリードする著者が、古代エジプト文明を西洋世界の源流のひとつとして捉え、最新の研究成果をふんだんに盛り込みながら、教科書では描かれきれない新たな歴史像を描き出す! ◯異民族「ヒクソス」の実像&彼らとラメセス大王が戦った「最古の戦争」カデシュの戦いとは? ◯一神教の「起源」はモーセか、アクエンアテンか? ◯エジプト王国最後の象徴クレオパトラの実像は? ◯謎の民族「海の民」の正体とは? ◯「エジプトの神々」と「来世信仰」は世界にどのように広がったか? 【本書の内容】 プロローグ 序章 古代エジプト文明の誕生 第1章 ミノア文明と古代エジプト文明 第2章 異民族ヒクソスの時代 第3章 アクエンアテン王の宗教改革と多神教世界 第4章 アマルナ時代とアマルナ文書 第5章 ラメセス二世vs. ヒッタイト 第6章 ラメセス三世と「海の民」 第7章 アレクサンドロス大王とアレクサンドリア 第8章 女王クレオパトラ七世のエジプト 第9章 古代ローマ帝国と皇帝たちのエジプト文化 終章 古代エジプト文明は世界史の中へ 補章 「タニスの遺宝」が語るエジプト文化の変容 注 図版出典 参考文献 古代エジプト文明年表 索引 【本書より】 たとえ我々に馴染みのある教科書の中の記述はわずかであったとしても、世界史の中において、古代エジプトの果たした役割は、決して少なくはない。世界史の主人公がエジプトであった時期は確かに存在した。(中略)古代ギリシア世界も、強靱で巨大な古代ローマ世界も、あるいはビザンツ帝国もフランク王国でさえも、古代エジプトという強固な礎なくしては、世界史に名を残すことはなかったであろう。本書を読破した後、あなたは古代エジプトとはすでに失われてしまった過去の文明ではないことに気づくはずである。古代エジプト文明の血脈は、人々の記憶の中へと潜り込その後も世界史の中で脈々と流れ続けているのである。 *本書の原本は、2012年に講談社選書メチエより刊行されました。
  • 日本料理史
    -
    寿司も天ぷらも精進料理も、その起源は海外にあった! 古代から現代まで、和食の料理体系の全貌を描く! いまや世界中で愛される日本食は、どのように生まれ、現在の姿になったのか。本格的に米を採り入れた弥生時代、茶の湯と懐石料理の戦国時代、料理文化が花開いた江戸時代、西洋料理が入ってきた明治時代、そして国際化・多様化の進む現代へ――。食器、調理法、食事作法から国家・社会・経済との関わりまで、沖縄・北海道を含むあらゆる日本の食文化を網羅する通史。増補決定版! 【目次】 はじめに――和食という料理 序 章 食の意義と日本料理 第一章 日本料理の前史と文化――先史時代の食文化 第二章 古代国家と食事体系――日本料理の源流 第三章 中世料理文化の形成と展開――大饗、精進、本膳そして懐石 第四章 近世における料理文化の爛熟――自由な料理と庶民の楽しみ 第五章 明治の開化と西洋料理――西洋料理の受容と変容 第六章 大正・昭和の市民社会と和食――日本料理の変容と展開 終 章 料理からみた日本文化 補 章 平成・令和の食――メモ風に コラム1 スシ コラム2 テンプラ コラム3 スキヤキ おわりに 学術文庫版あとがき 参考文献 索  引
  • 風俗画入門
    5.0
    古代から近代まで、人々の暮らしや心情を映し出す風俗画は、壁画、絵巻、屏風、浮世絵、漫画、落書など、様々な形で残されてきた。中国の影響から独立、展開し、近世に花開くその歴史は、高松塚古墳壁画から鳥獣戯画、洛中洛外図屏風、見返り美人図、北斎漫画までをも包み込む。古代の落書の精神は平安時代の絵巻に昇華し、仏教的な厭世観(憂世)は刹那主義的な現世肯定の精神(浮世)に受け継がれている。 日本美術史の第一人者が語り尽くす、類いまれな戯画全史。カラー図版多数掲載! 【目次】 第一章 風俗画の東西 第二章 唐美人の移入 第三章 やまと絵の風俗画 第四章 鎌倉、室町時代 第五章 戦国から桃山へ 第六章 桃山風俗画の満開 第七章 初期風俗画の爛熟 第八章 風俗画としての浮世絵 あとがき 学術文庫版あとがき 参考文献
  • 中世ヨーロッパの色彩世界
    3.8
    明日、何を着ていこう――冠婚葬祭をのぞけば、服選びで色がもつ意味を気にする人はいないだろう。ところが中世ヨーロッパではそうはいかない。たとえば緑は恋を、青は誠実さを意味し、黄は忌避される色だった。中世の色は現代よりもはるかに饒舌で、絵画や文学で描かれた人々の衣服の色には、単なる色の美しさや好みを超えた、さまざまな意味が託されている。中世の人びとはどんな色に囲まれ、どんな気持ちで色を身につけていたのか、あるいは目の前の人物が纏う色から何を読みとっていたのか。 多彩な史料から複雑で精緻な色彩コードを読み解き、中世人の日々の感情生活を豊かに描き出す。あの絵画もこの伝説もいっそう深く理解できる、色が語る中世世界への招待!(カラー口絵付き。電子書籍版はオール・カラー図版) 待ちに待った初めての逢瀬。恋焦がれた女性が鮮やかな青に緑のオウムをちらしたドレス着て現れたら、相手の男性は有頂天になるだろう。なぜなら、そのドレスの意味するところは「誠実にあなたを愛します」。ところがある日、夢に現れた彼女が全身緑の衣をまとっていたら、悲嘆に暮れてしまうかもしれない。青が意味する誠実さに対し、緑は恋の色であると同時に変動の色でもある。彼女の心変わりが青を脱がせ、緑を着せたのだ――。 このように単なる色の好みや色づかいの美しさを越えて、中世の色は複雑な精神世界を織りなしている。「中世の色は饒舌であり、中世の人びとは意味もなく色をつけることはない」。たとえば黄色には負のイメージがつきまとい、縞柄は道化師や娼婦、気まぐれな運命女神のものである。権威と権力を示す赤、醜い色からやがて「悲しみの色」として大流行する黒……。 ブリューゲルやジョット、ヤン・ファン・エイクの絵画、数々の華麗な装飾写本の挿絵に、アーサー王物語をはじめとする騎士物語、貴族の家計簿や財産目録など多彩な史料から、当時の染色技術も視野にいれつつ、色彩に込められたメッセージを読み解き、色から見えてくる中世世界を描き出すのが本書である。 グリーンゲイブルスのアンはなぜ「赤毛」を嫌ったのか、ルーレットやバカラなどのカジノ台はなぜ緑のフェルトでおおわれているのか、囚人服は縞柄で、スーツにダークカラーが多いのはなぜなのか。現代社会に今なお息づく色彩に秘められた歴史に迫る!(原本:『色で読む中世ヨーロッパ』講談社選書メチエ、二〇〇六年) 【本書の内容】 序 章 色彩文明の中世 第1章 中世の色彩体系 第2章 権威と護符の赤 第3章 王から庶民までの青 第4章 自然感情と緑 第5章 忌み嫌われた黄 第6章 子どもと芸人のミ・パルティと縞 第7章 紋章とミ・パルティの政治性 第8章 色の価値の転換 終 章 中世人の心性
  • ブリヤ=サヴァラン「美味礼讃」を読む
    -
    18世紀フランスの政治家・法律家にして稀代の美食家であったサヴァランが著した『Physiologie du Gout(味覚の生理学)』は、「ガストロノミー」、食というものについての総合学の聖典として、世界中で現在まで読み継がれている。 とりわけ日本においては、『美味礼賛』という邦題と、「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう」という警句とともによく知られるが、では実際にどのような事が書かれているのか、なぜこの本が、サヴァランという人物が、かくも偉大なものとされているのかについては、詳しく知る者は多くはないだろう。 日本の料理文化を大きく展開させた辻静雄が、食はもとより歴史・地理・美術・文学についての広汎な知見を総動員し、サヴァランの思考を辿り、料理の精髄を縦横無尽に語り尽くす! 【本書より】 「私は豚肉を食べています。それで……」と言ったら、ブリヤ=サヴァランは人となりなど言ってくれるどころか、絶句して卒倒してしまうんじゃないでしょうか。 【本書の内容】 第一講 ブリヤ= サヴァランと『味覚の生理学』 I ブリヤ= サヴァランはどういう人だったか II 『味覚の生理学』初版その他 III 『味覚の生理学』の構成、その他 第二講 食べ物と新しい歴史学 I 『味覚の生理学』の背景も知っておきたい II ブリヤ= サヴァランの対極にいた人たち III パリの食糧、その他 第三講 「おいしさ」とその表現 I 「教授のアフォリスム」を読む II ブリヤ= サヴァランが好んだ料理 III 「おいしい」という言葉/味の表現 第四講 ワイン事情 I ブリヤ= サヴァランとワインのことなど II 一九世紀のワイン事情 第五講 ガストロノミーとガストロノームの系譜 I ガストロノミーとグルマンディーズ II ガストロノームの系譜 あとがき 参考文献 ※本書の原本は、1989年に岩波書店より『ブリア-サヴァラン「美味礼讃」を読む』として刊行されました。
  • 江戸東京の庶民信仰
    3.0
    民間信仰や呪術が息づくのは、山深い農村ばかりではない。むしろ大都市は、人々の願望が渦巻き、多彩な信仰を生み出している。小石川にまつられた貧乏神、浅草と新宿の「カンカン地蔵」、豪徳寺の招き猫伝説、「いもあらい」の地名と一口坂の関係、都内に11を数える「飛行機の神・仏」など、古文書などの記述資料はもちろん、古老などへの聞き取りを丹念に行った、1970年代から80年代の東京の口碑記録としても貴重な一書。
  • 言語と行為 いかにして言葉でものごとを行うか
    3.0
    「言語行為論」は、ここから始まった。寡作で知られる哲学者ジョン・ラングショー・オースティン(1911-60年)がハーヴァード大学で行った歴史的講義の記録。言葉は事実を記述するだけではない。言葉を語ることがそのまま行為をすることになるケースの存在に着目し、「確認的(コンスタティヴ)」と「遂行的(パフォーマティヴ)」の区別を提唱した本書によって、哲学は決定的な変化を受けた。初の文庫版での新訳!
  • 日本人の起源 人類誕生から縄文・弥生へ
    4.3
    日本列島の旧石器時代はどこまでさかのぼれるのか? 縄文から弥生への移行の真相は? 遠くアフリカ大陸に誕生した人類が、どのようにしてここまでたどり着いたのか? 「わたしたちはどこから来たのか」をめぐる、明治から現在まで白熱し続ける大論争を、最新人類学の到達点から一望検証。いま、どこまでわかっているのか。残される謎は何か。日本人の最大にして不変の関心に、古人類学の第一人者が、深く、明快に解説します!
  • 中世都市 社会経済史的試論
    -
    ローマからゲルマン諸族へと地中海に展開した古代文明。イスラームの侵入による「停滞の中世」のなかで都市と商業はいかに生まれたか
  • 興亡の世界史 東南アジア 多文明世界の発見
    3.3
    インドと中国にはさまれて仏教とヒンドゥー教の影響を受けながら多彩な歴史を歩んできた東南アジア。なかでも一二世紀に最盛期を迎えたアンコール王朝は、巨大遺跡と仏教美術で多くの世界遺産を誇る。本書はアンコール研究に半生を捧げてマグサイサイ賞を受けた著者がアンコール王朝600年の盛衰と人々の日常生活を再現し、多彩な東南アジア諸王朝の興亡を明らかにする。東南アジア諸国の歴史と現状を理解するための必読書。
  • 興亡の世界史 人類文明の黎明と暮れ方
    3.5
    ヒトの誕生から古代地中海世界まで、長大な文明史の「見取り図」を示す。最初の都市文明・シュメール、従来の文明観に変更を迫る「古代アンデス文明」、著者自身が近年手掛けたローマ帝国の新たな遺跡など、文明・文化の「多様性」に着目。いくつもの危機を乗り越え、環境に適応し、地球上のあらゆる陸地に拡散して文明を築いた人類の未来は。廃墟と化した遺跡には、私たちの現在を知り、これからを考えるヒントが隠されている。
  • 十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め
    5.0
    中世は、決して暗黒期ではない。中世とルネサンスの間に、断絶はない――。ルネサンスは1400年代(クァトロチェント)のイタリアより前、12世紀にはすでにさまざまな形で現れていた。ギリシア・ローマ文化を破壊、封印した陰鬱な時代、と捉えられがちな「中世」の真実を、ラテン語復権、大学の誕生などの事蹟から明らかにしてゆく中世の歴史的位置づけを真っ向から問い直した問題作。
  • 興亡の世界史 スキタイと匈奴 遊牧の文明
    4.0
    定住農耕社会にとって、隣接する遊牧国家は常に脅威だった。ペルシア帝国をもってしても征服できなかった部族集団スキタイ。漢帝国と対等に闘った匈奴。こうした騎馬遊牧民はいつ頃誕生し、強大な力を握ったのか。「都市」のない遊牧社会を「野蛮」とみなすのは、定住農耕社会からの決めつけにすぎない。ソ連崩壊後のユーラシア草原地帯の発掘調査で次々と発見されている考古学資料を活かし、「もうひとつの文明」の実像に迫る。
  • 心の科学史 西洋心理学の背景と実験心理学の誕生
    -
    近代心理学の起源は、1879年ヴィルヘルム・ヴントによる心理学実験室開設の時点とされる。それは「心を対象とする科学」の宣言であった。その後19世紀末から20世紀を通して、心理学はその方法論や認識論に関するさまざまな「革命」を生み出しながら領域を拡大していく。19世紀後半の「始まり」を用意した思想的背景は何だったのか。また古代以来の西洋哲学史のなかで「心の問題」はどのように扱われてきたのか。
  • 興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後
    4.3
    13世紀初頭にチンギス・カンが興した「大モンゴル国」は、ユーラシア全域をゆるやかに統合して、東西の大交流をもたらした。この大帝国は、従来は「元朝」と呼ばれ、中国史やアジア史の枠でのみ語られがちだったが、近年は、この「モンゴル時代」を、世界史の重大な画期とみなす考え方が、「日本発信の世界史像」として、内外に広まりつつある。壮大な歴史観と筆力で多くのファンを持つ著者が、新たな世界史の地平を描き出す。
  • 科学社会学の理論
    -
    原発事故、オゾン層破壊、資源の枯渇……深刻なリスクと隣り合わせの現代社会の中で、科学技術とともに幸せな生を送るには? 「社会」という視点を欠落させてきた科学者や技術者とも、科学技術を「社会」の現象として考察してこなかった社会学者とも適切に距離を保ち、「科学社会学」という新たな知を立ち上げる。第一人者が福島原発事故に先立って公にした予想を踏まえ、豊富な具体例とともに明快に説く。
  • 医学の歴史
    3.7
    人類の歩みは絶えざる病との格闘であった。患者への温かい眼差しをもって治療に当たり、医療・医学の根源からの探究を志した病理学者が、人間の叡智を傾けた病気克服の道筋とそのドラマを追う。興味深い挿話、盛り沢山の引例、縦横に飛ぶ話柄。該博な知識と豊かな教養をもつ座談の名手が、洗練された名文で綴る人間味溢れる新鮮な医学史。(講談社学術文庫)
  • 地名の研究
    4.0
    日本は諸外国とくらべて地名が膨大であると説き、柳田は有名な「大きな地名」よりも、小字などの「小さな地名」に着目する。また、地名を新古の生活の必要によって命名する「利用地名」、自分の土地だと宣言するための「占有地名」、地名を分割して名付ける「分割地名」に分類。それぞれの特徴は何か。地名学の源流となった名著。(解説・中沢新一)(講談社学術文庫)
  • パラダイムと科学革命の歴史
    4.0
    科学史の第一人者による「学問の歴史」。科学革命で生まれた新たなパラダイムが学問的伝統を形成していく過程を解明する。古代以来の東西学統の比較から、学会誌などのメディアの発明、職業的科学者の誕生、現代のデジタル化まで、社会的現象としての科学と科学者集団を分析。『歴史としての学問』(1974年、中央公論社刊)を学術文庫化にあたって改題し、新たに「学問のデジタル化・グローバル化」を論じた補章を加筆。(講談社学術文庫)
  • 西洋哲学史
    3.8
    哲学の勉強に、なぜ西洋哲学史全般の知識が必要なのでしょうか。哲学も学問である以上、勉強の仕方というものがあり、少なくとも哲学で使う概念がどのようなものかを、哲学者たちに教わる必要があります。本書は、一冊で完結する西洋哲学通史として、重要な哲学者の、それも必要不可欠と思われる考えに絞り、古代・中世・近世・近代・現代の区分に従って問題の展開が論理的に理解できるよう書かれています。(著書「まえがき」より)
  • アテネ 最期の輝き
    3.5
    紀元前338年、ギリシャ敗戦! その後「民主政」はどうなった? 教科書に載らない歴史の真実を明かす、第一人者によるアテネ「亡国」のドラマ。  * 紀元前338年、アネテやテーベを中心とするギリシア連合軍は、フィリポス2世とアレクサンドロス率いるマケドニア軍に歴史的な大敗を喫した。アテネが誇る民主政はしかし、それを契機にかつてない平和と繁栄を謳歌する――。デモステネスら政治家たちの闘いの跡を追いつつ、アレクサンドロス躍進の陰で「黄昏」と呼ばれたアテネの実像を明らかにする、第一人者による画期の書!  * [目次] はじめに 序章 「黄昏のアテネ」に迫る  1 「黄昏のアテネ」とデモステネス  2 「政治家」と「政治グループ」 第1章 決戦へ  1 デモステネスの生きた時代  2 デモステネスの前半生  3 反マケドニアの政治家として  4 「宿敵」アイスキネスとの対立 第2章 敗戦――マケドニアの覇権  1 戦後処理  2 デモステネスの活躍  3 アレクサンドロスの時代の幕開け  4 マケドニアの傘の下で 第3章 対決――「冠の裁判」  1 裁判が始まるまで  2 「弁論家の戦い」 第4章 平穏――嵐の前の静けさ  1 デモステネスの隣人たち  2 アテネ民主政の姿  3 動乱の前ぶれ 第5章 擾乱――ハルパロス事件  1 ハルパロス事件とは  2 事件当時のアテネの情勢  3 ハルパロス裁判  4 裁判の背後の人間模様 第6章 終幕――デモステネスとアテネ民主政の最期  1 民主政アテネの最後の闘い  2 愛国者たちのそれぞれの最期 終章  1 デモステネスの遺したもの  2 「黄昏」の民主政 史料について 主要参考文献 関連年表 あとがき 学術文庫版へのあとがき
  • 新論
    5.0
    【幕末に「志士」たちを生み出した最重要思想書、その全貌を読む!】 ―臣ここを以て慷慨悲憤し、自から已む能はず、敢えて国家のよろしく恃むべきところのものを陳ぶ― 「序論」「国体」「形勢」「虜情」「守禦」「長計」からなる全篇の本文読み下し。平易な現代語訳・懇切な語釈を掲載。 さらに参考資料として、正志斎がのちに開国政策を提言した『時務策』を併載! 文政八年(1825)、幕府は異国船打払令を出し、日本近海に接近する外国船全てに対して砲撃を加え、排除することを決定した。会沢正志斎が『新論』を完成させたのは、まさにその直後のことである。 一読するとわかるように、その内容は西洋諸国と直面をせまられ始めた日本全体の、今後の政策を提言するものである。だが、水戸藩主を通じて幕府を動かそうという正志斎の期待は実現されることもなく、また異国船打払令も徹底されずに、沿岸には外国船が自由に航行することが常態化した。 しかし本書は、正志斎の関係者から友人へ、その友人から別の友人へと筆写が重ねられ、日本全国へと広まっていくこととなる。それは匿名の著作ではあったけれども、人々を引きつける何かがあったのは確かであろう。天下太平と呼ばれた時代にあって、その裏にあった言いしれぬ不安というべきものを明らかにした、という理由もあろう。結果的にこの書は、全国の志ある多くの人々を目覚めさせることとなった…… *本書は訳し下ろしです。
  • 日常性の哲学 知覚する私・理解する私
    -
    日常は哲学的な問いに満ちている――日常的観点からは当然のように思われることでも、哲学の歴史をひもとけば、これをめぐって多くの紛糾した議論がなされてきた。 何の変哲もない代わり映えしない風景。昨日も今日も変わらない出来事の繰り返し。それらを見て聞いて普段通りと感じる〈私〉の繰り返し。私たちの日常は、日々繰り返している物の知覚と出来事の理解から成り立っている。 本書は、このように私たちの日常の秩序を支える純然たる物としての物の知覚と、物の世界での出来事の理解を、哲学史にでてくる概念や専門用語を使わず、日常の言葉で哲学的に省察する。世界の見え方を刷新する画期的論考。 *『知覚する私・理解する私』(勁草書房、1993年)を改題・増補して文庫化。 [主な内容] はしがき 第一章 知覚における対象性成立の論理 第二章 知覚的質と本当に在るもの 第三章 因果的理解と行為 第四章 法則の概念と出来事の始まり 本文の哲学史的背景についての注解 注 あとがき 学術文庫版あとがき
  • 文章作法事典
    4.0
    「情報を鼓動とともに」「見知らぬ読者になりすます」「ばれるように嘘をつく」「望遠レンズで迫力を」「ギュッと締めて、フワッと放す」――。 わかって書いたら全然違う! よい文章を書くための基本作法から、効果を高める表現技術、そして読み手への配慮や書き手の心構えまで。日本語文体・表現の泰斗が、習熟度別3段階、59項目でまとめる、実用に役立つ、「名文」作成のための究極マニュアル。 【目次】 文庫版へのまえがき 一 〈書く〉 文章をはっきりと 1 [わかりやすい表現] 読まれなければ始まらない 2 [あいまいな表現] 誤解の芽を摘む 3 [文と文の接続] 関係は書き手がつくる …… 二 〈練る〉 表現をゆたかに 25 [情報待機] サスペンスをつくりだす 26 [漸層・漸降] 上りと下りは勢いが違う 27 [倒置表現] 計画的に取り乱す …… 三 〈磨く〉 文体をしなやかに 46 [書き出し] もう読まずにはいられない 47 [結び] ギュッと締めて、フワッと放す 48 [視点] カメラワークを意のままに …… あとがき
  • バロック音楽
    3.9
    モンテヴェルディからバッハまで 実り豊かな古楽の花園 名曲の数々、音楽の花園、実り豊かなバロックの世界。装飾的で即興性を重視、ドラマの原理が支配する宇宙。モンテヴェルディのオペラ、ヴィヴァルディのソナタ、クープランのクラヴサン曲、バッハのカンタータ。華やかな宮廷舞曲や多様な世俗器楽や厳かな宗教音楽。音楽ファンを虜(とりこ)にするバロック音楽とはどんなものか。その特徴と魅力をあまさず綴る古楽への本格的な案内書。 最近バロック音楽がひろく聞かれるようになりましたものの、まだ後期バロック音楽に偏している気味が強いようです。初期や中期バロックの作品、またフランスやイギリスの作品、さらに中世やルネサンス期の音楽も、もっともっと聞かれてよいはずです。ひろく、しかも実り豊かな古楽の花園に分け入り、未知の音楽の喜びを見いだされるために、この本が少しでもお役に立つことができれば、執筆者としてこれに過ぎる喜びはありません。――<本書「はじめに」より>
  • 中国思想史
    5.0
    昭和11年(1936)に『支那思想史』の書名で刊行され、戦後は『中国思想史』と改題してたびたび再刊されて今世紀まで読み継がれてきた概説書の、初の文庫化。孔子・老子に代表される古代思想はもちろん、その後の儒教・仏教・道教の相互交渉、朱子学・陽明学の成立、清代の考証学の確立まで、2000年以上におよぶ中国思想の幅広い歴史を、コンパクトに通観する。 著者によれば、維新以後この種の著作は数種出ているが、いずれも学者の伝記とその著書の解題を並べたものにすぎず、思想推移の跡をたどるに不便である、という。そこで本書では、思想変遷の過程を明らかにし、異質な思想が接触し変化する歴史を描くことに多く筆を割いている。 なかでも本書の大きな特徴は、四書五経の研究を深めた学問「経学」の変遷や、儒教や宋学への仏教の影響について大胆に説き明かしていることで、一人の研究者がこれほどの広い視野で中国の思想史を捉えた書物は、その後著されていない。 学術文庫のロングセラー、『孫子』『墨子』『諸子百家』等の著者、浅野裕一氏(東北大学名誉教授)が巻末解説を執筆。〔原本:岩波書店、1936年・1957年・2005年刊〕
  • 言語的思考へ 脱構築と現象学
    4.5
    20世紀的思考を乗り越え、21世紀哲学の開幕を告げた、画期の書。 デリダやウィトゲンシュタインによってかえって「謎」と化してしまった言語の本質を、現象学的方法によって取り戻す著者オリジナルの試み。 「原理」を提示し、認識の「普遍洞察性」(共通了解の普遍性)に近づいていくという哲学的思考のエッセンスは、こうして再興される!  * * * [目次] 1章 現代の反形而上学――『声と現象』のマニフェスト  (ヨーロッパ思想の自己克服/脱構築的マニフェスト/根源概念の禁止/エクリチュールと主体の死) 2章 デリダ的脱構築と懐疑論  (「純粋自我」の逆説/懐疑論の本質/差延と超越性) 3章 「現象学的」言語理論について  (形而上学の解体/言語ゲーム/「言語」の現象学/ハイデガーの言語意味論) 4章 エクリチュールと「作者の死」  (言語の信憑構造/言語の「意味」とは何か/エクリチュールの構造/文学テクストの本質) 5章 一般言語表象  (一般言語表象と言語の多義性/指示理論について) 6章 「意味」の現象学  (「意味」の存在論/「発語」の現象学/規則のパラドクス) 7章 「正義」のパラドクスと「否定神学」  (否定神学/正義のパラドクス/倫理の現象学) 終章 現代的「超越項」  (「語りえないもの」の複数性/現代的「超越項」について) あとがき 学術文庫版へのあとがき
  • 渋沢栄一「青淵論叢」 道徳経済合一説
    4.5
    〈『論語と算盤』よりも明快!〉 渋沢栄一「最後の肉声」を現代語訳。 読めば、2021年大河ドラマ『青天を衝け』が、ぐっと味わい深くなる! ■怒濤の人生を回顧し、現代人に希望を託す、畢生のメッセージ■ 時勢が緊迫する昭和のはじまりにあって、人生の黄昏を迎えていた「日本資本主義の父」は、 後世に何を言い遺こそうとしたか。 「家訓」にはじまり、倫理観、経済観、政治観、人生観など広汎なテーマについて32項目にわたって、 幕末維新の経験をふまえ、日本の明日を憂いながら語り尽くした談話集「青淵論叢」を、 渋沢という人物を知り尽くした鹿島茂が読みやすく現代語訳し、さらに懇切に解説。 「金というものは社会の力を表彰している役にたつ道具ですから、これを貴ぶのは正当なことですが、しかし、必要な場合にはよくこれを消費しなければなりません。消費はもちろんよいことなのです。よく集めてよく散じ、もって社会を活発にし、それによって経済界の進歩を促すのはまさに有為の人が心がけなければならないことなのです。真に経済のよくわかった人は、よく集めてよく散じるようでなければなりません。よく散じるとは正当に支出することです。金を善用することです」(本書「富者の要務」より) 「江戸の封建主義に代わって明治・大正の資本主義が登場しても、官は官のもの、民は民のものという疎外的分担体制はよりひどくなっている。  これは、自分にも責任があるのだから、なんとしても最終解決しなければならない。  では、どうすればいいのか?   これが、日本の資本主義をほとんどゼロから独力で作り上げた渋沢が古希にあたって再度、自分に問いかけた疑問だったのである」(本書「編訳者解説」より) 【本書の主な項目】 立身出世の秘訣/信用を得る人得ない人/叱言(こごと)の云い方/真の成功とは何か/予の人物鑑識法/大国民は斯う有り度い/外来思想と咀嚼消化の力/国家観念と世界主義/政治経済と道徳観念/道徳と経済の合一説/事業経営に必須の条件 ほか
  • 経済学の思考法 稀少性の経済から過剰性の経済へ
    4.3
    格差拡大、雇用不安、デフレ、グローバリズムの停滞……。「構造改革」以降、実感なき好景気と乱高下する日本経済。過剰な貨幣発行がもたらす問題、「複雑な“経済現象”」と「理論重視の“経済学”」の乖離など、現代資本主義が直面する困難を徹底的に検証。 アダム・スミスから金融理論、リーマンショックからアベノミクスまで、経済学の限界と誤謬を提示する。 内容抜粋 「経済学」がひとつの思想でありイデオロギーであるとすれば、今日の支配的な経済学の考え方とは異なった「経済」についての見方はできないか。「稀少な資源の配分をめぐる科学」というような経済学の典型的な思考方法ではない、別の思考様式はないのか、ということだ。―――学術文庫版「はじめに」より 目次 学術文庫版「はじめに」 第1章 失われた二〇年――構造改革はなぜ失敗したのか    学術文庫付論 第2章 グローバル資本主義の危機――リーマン・ショックからEU危機へ    学術文庫付論 第3章 変容する資本主義――リスクを管理できない金融経済 第4章 「経済学」の犯罪――グローバル危機をもたらした市場中心主義 第5章 アダム・スミスを再考する――市場主義の源流にあるもの 第6章 「国力」をめぐる経済学の争い――金融グローバリズムをめぐって 第7章 ケインズ経済学の真の意味――「貨幣」の経済学へ向けて 第8章 「貨幣」という過剰なるもの――「稀少性」の経済から「過剰性」の経済へ 第9章 「脱成長主義」へ向けて――現代文明の転換の試み あとがき――ひとつの回想 学術文庫版あとがき 2012年刊行、講談社現代新書『経済学の犯罪』を改題、 大幅加筆修正したものです
  • メルロ=ポンティ 可逆性
    5.0
    本書は、現象学を前人未踏の域に導いたフランスの哲学者モーリス・メルロ=ポンティ(1908-61年)の生涯と主要著作をていねいにたどる至高の概説書です。『モードの迷宮』(サントリー学芸賞)や『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)など、多くの支持を得てきた著者が、みずからの出発点にある哲学者と真摯に向き合い、全力で格闘した稀有なドキュメントがここにはあります。 フランス西部のロシュフォールで生まれたメルロ=ポンティは、高等師範学校でサルトルやボーヴォワールと知り合うい、そしてフッサールの現象学と出会いました。初めての著作が『行動の構造』(1942年)と題されたように、メルロ=ポンティは「生活世界」に注目した後期フッサールを引き継ぐとともに、その中心に身体をもつ人間を据えることで独自の道を歩み始めます。その最大の成果が主著『知覚の現象学』(1945年)です。 戦後はリヨン大学で教鞭を執ったあと、1949年にはソルボンヌの教授、そして1952年には異例の若さでコレージュ・ド・フランスの教授となったメルロ=ポンティは、サルトルとの共同編集で『レ・タン・モデルヌ(現代)』誌を発刊し、『ヒューマニズムとテロル』(1947年)などでマルクス主義に関する考察を続けることで現実と向き合いました。さらにサルトルの実存主義、ソシュールの言語学を取り入れたメルロ=ポンティは、1960年代にはさらなる高みに到達し、『シーニュ』(1960年)を発表しましたが、翌年、惜しまれながら急逝します。残された遺稿は『見えるものと見えないもの』(1964年)や『世界の散文』(1969年)として公刊されました。 これら燦然と輝く著作の数々を激動する時代の中で繰り広げられた生涯に位置づけつつ精緻に考察していく本書は、まさに著者の「主著」と呼ぶべきものです。このたび学術文庫版として新たな装いをまとうことで、永遠の生命を得ることでしょう。 [本書の内容] まえがき プロローグ 現象学の地平へ 第一章 構 造――〈行動〉の研究 第二章 運 動――〈身体〉の現象学 第三章 スティル――〈変換〉の現象学 第四章 偏 差――〈隔たり〉の現象学 第五章 可逆性――〈肉〉の存在論 エピローグ 現象学の臨界点 主要著作ダイジェスト キーワード解説 読書案内 あとがき 学術文庫版あとがき メルロ=ポンティ略年譜
  • 地図の歴史 世界篇・日本篇
    3.8
    文字よりも古い歴史をもつといわれる地図には、その時代の人々の世界観が描かれる。それは豊かな想像力と確かな科学や測量が融合した、時代の観念の具象化だった。世界と日本それぞれに、人類はどのような観念を地図に描き、そして現実の世界とつなげようとしてきたのか。斯界の泰斗が、興味深い数多くのエピソードに160点超の豊富な図版を交えてつづる地図の歴史。長く読み継がれてきた歴史地理学の入門書、待望の文庫化!
  • 興亡の世界史 大清帝国と中華の混迷
    4.0
    北東アジアの雄・ヌルハチ率いる満洲人の国家は、長城を越えて漢人を圧倒し、未曾有の大版図を実現した。康熙帝・雍正帝・乾隆帝による最盛期から、アヘン戦争・日清戦争をへて、ラストエンペラー・溥儀、西太后、李鴻章、孫文らが登場する清末まで、栄光と苦闘の270年を描き出す。「中華の文明」ではなくチベット仏教に支えられた、輝ける大帝国が抱え込んだ苦悩とは。「近代東アジア」と「中華民族」はいかに創り出されたか。
  • 紫禁城の栄光 明・清全史
    4.0
    偉容を誇る中華皇帝の王城=紫禁城は、モンゴル人が建設し、満洲人が遺したものである。遊牧帝国と農耕帝国の合体が生み出した巨大な多民族国家・中国。漢人たちが漢文化を育んだ2大河の流域「シナ」は、満洲・モンゴル・チベット・新疆の周辺をどのように統一したのか?14世紀後半の元の北帰と明の興起から、清の落日が始まる19世紀初頭まで、アジア激動の450年を描く。
  • 興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話
    4.5
    ギリシア北方の山岳地帯で山羊の放牧を営んでいたマケドニア人が王国を建設したのが前7世紀半ば。前4世紀にギリシアを征服したフィリッポス2世の後を継いだアレクサンドロス大王は、前334年に東方遠征に出発し、ペルシア帝国を征服。たった10年で地中海からインダス川にいたる大帝国を築き上げた秘密と、ローマ帝国の皇帝崇拝など後の歴史に大王が与えた影響力を解明する。
  • 中国通史 問題史としてみる
    4.0
    歴史をみるうえで、なぜその事実が選択されたのか、何が大切で、どういう点が問題になるのか等に意を注ぎ、中国文明の誕生から現代までの歴史を綿密に辿る。江南の河姆渡(かぼと)遺跡や四川の三星堆(さんせいたい)遺跡など近年の新しい発掘と研究の著しい成果を踏まえ、民衆の歴史や思想・文化にも注意を払い、総合的観点から中国史の全体像を描き出した意欲作。(講談社学術文庫)
  • 狂気と王権
    3.0
    元女官長の不敬事件、虎ノ門事件、田中正造直訴事件、あるいは明治憲法制定史、昭和天皇「独白録」の弁明など、近代天皇制をめぐる事件に「精神鑑定のポリティクス」という補助線を引くと、いったい何が見えてくるか。「反・皇室分子=狂人」というレッテル貼り。そして、「狂気の捏造」が君主に向けられる恐れはなかったのか? 独自の視点で読み解くスリリングな近代日本史。(講談社学術文庫)
  • 「日本人論」再考
    3.7
    明治以降、夥しい数の日本人論が刊行されてきた。『武士道』『菊と刀』『「甘え」の構造』などの本はなぜ書かれ、読まれ、そして好評を博すのか。そこには、私たちを繰り返し襲う「不安」がある。欧米文明に遭遇し、戸惑う近代日本人のアイデンティティの不安の在処を抉り出す。本書は、日本人論の総決算であり、150年間の近代日本の物語でもある。(講談社学術文庫)
  • 『孫子』の読書史 「解答のない兵法」の魅力
    -
    華々しい戦史も、将軍たちの勇壮な逸話も、ましてや必勝の極意もない小さな兵法書は、なぜ2400年にわたる世界史的ベストセラーになりえたのか? 曹操、蒋介石、毛沢東、山鹿素行、吉田松陰、旧陸海軍、公安警察、労働組合、電通、そしてイギリス軍やアメリカ軍へと読み継がれてきた歴史を辿りつつ、形篇や勢篇、行軍篇など実際のテキストを吟味し、その「魅力」の源泉に迫る! 【目次】 はじめに 中国王朝名一覧 ■第一部 書物の旅路ーー不敗への欲望 第一章 戦いの言語化ーー『孫子』の原型 第二章 成立と伝承 第三章 日本の『孫子』ーー江戸時代末期まで 第四章 帝国と冷戦のもとで ■第二部 作品世界を読むーー辞は珠玉の如し 第一章 帝王のためにーー『群書治要』巻三三より 第二章 形と勢ーー永禄三年の読み 第三章 不確定であれーー銀雀山漢墓出土竹簡「奇正」 第四章 集団と自然条件ーー西夏語訳『孫子』より おわりに 参考文献 学術文庫版へのあとがき 【本書の主なトピック】 □『孫子』古典化の秘密は非万能・抽象・非戦志向にあり □日清・日露戦争の勝利で進んだ『孫子』の聖典化 □米軍を『孫子』研究に向かわせた毛沢東率いる人民解放軍の脅威 □電通PRセンター初代社長が仕掛けた企業経営者向け『孫子』キャンペーン □帝王・皇族は『孫子』から何を学んだのかーー『群書治要』 □なぜ勝ち負けが生ずるのかーー形篇・勢篇 □無限に変化し、不確定であれーー銀雀山漢墓出土竹簡「奇正」 □”China Rising”で『孫子』は21世紀世界の必読書へ
  • 拷問と処刑の西洋史
    4.7
    啓蒙主義と人権思想を生んだヨーロッパの「光」の歴史の裏には、数多の人間を血祭りに上げてきた、陰惨たる「闇」の系譜があった! 火刑、斬首、車裂き……親指詰め、ハシゴ吊るし、「スペインのブーツ」……王殺しや異端審問、魔女裁判を通して発明された拷問と処刑のシステムを、社会の秩序回復と体制強化のための非人間的な権力装置として読む、異色にして出色の文化史。 【目次】 序 章 ヨーロッパ史の光と影 第一章 王殺しの記憶 第二章 異端審問と「死の祭典」 第三章 魔女裁判の歴史 第四章 拷問という権力装置 第五章 裁判と処刑の実態 終 章 ヨーロッパ史の闇の系譜 あとがき 処刑関係略史 参考文献 学術文庫版へのあとがき 【本書の主なトピック】 ●15分で失神……究極の拷問具「ボック」とは? ●斬首、絞首、火刑、生き埋め、車裂き……最も重い刑罰は何? ●水審……沈んだら「無罪」、浮いたら「魔女」確定 ●映画やメルヘンにも登場、「鉄の処女」伝説の虚実 ●マリー・アントワネットの母作成、「拷問図説マニュアル」 ●太陽王ルイ14世の治世を脅かした「パリの黒ミサ事件」 ●舌を抜いたらおいくら? 拷問と処刑のお値段
  • ベルクソン哲学の遺言
    5.0
    フランスの哲学者アンリ・ベルクソン(1859-1941年)は、1937年2月8日に記した遺言状で「私は、公衆に読んでもらいたいものすべてを刊行したと宣言する」と断言し、生前に刊行した7冊の著書以外の死後出版を厳に禁じた。 ベルクソンが自身の著書として指定したのは、4冊の主著『意識の直接与件に関する試論』(1889年)、『物質と記憶』(1896年)、『創造的進化』(1907年)、『道徳と宗教の二源泉』(1932年)、2冊の論文集『精神のエネルギー』(1919年)と『思想と動くもの』(1934年)、そして『笑い』(1900年)である。現実には死後、遺稿集や書簡集のほか講義録まで出版された。それらが研究上、重要な資料をなすことは言うまでもない。だが、その一方で哲学者の遺志が無残なまでに裏切られたことも否定しようのない事実である。 本書は、どこまでも遺言状に忠実であろうとする。ベルクソンが自身の著書として指定した著作だけを愚直に、真摯に読んでいくこと。その当たり前の営みによってのみ浮かび上がるものがあることを、本書の読者は知ることができる。すでに定評を得た本書に新たな書き下ろしを加えた「完全版」を、ここに満を持してお届けする。 [本書の内容] 第I章 遺言状 1 生涯を貫くシンフォニー/2 単純なひとつの行為/3 自伝的遺書/4 哲学に欠けている「正確さ」 第II章 ほんとうの障碍物に出会う 1 「持続」は障碍物だということ/2 「持続」を語る困難/3 持続という問題への入口/4 予見不能であるとは 第III章 砂糖が溶ける時間 1 映画フィルムは回転する/2 砂糖水ができるまで/3 誤った回顧から解放されること 第IV章 直観が〈正確〉であること 1 思考を誂える/2 「直観」という努力/3 直観の対象/4 「直観」を定義する困難 第V章 〈記憶〉についての考え方 1 持続において思考する例/2 「記憶」と「過去」との関係/3 それ自体で在る過去/4 脳と記憶 第VI章 〈器官〉についての考え方 1 哲学はいかに〈努力する〉のか/2 持続において思考する例/3 器官としての「眼」/4 進化の原因としての持続 第VII章 持続が目指すところ 1 飛躍の結果としての人類/2 直観と本能/3 潜在的本能による仮構機能/4 持続において思考する例 第VIII章 哲学の目的 1 神秘主義と機械主義/2 〈停止〉を〈運動〉それ自体に送り返すこと/3 持続において思考する例/4 手仕事の効用、感覚の教え/5 〈深さ〉において思考する喜び 補 章 哲学の未来のために 1 科学の半身たるべき哲学/2 「共感」という事実/3 この地上に生きている哲学
  • 近代日本の陽明学
    -
    ◇暴走する独善的正義 その思想的起源を暴く!◇ 善意に基づく使命感。時としてテロリズムへと人を導いてしまう心性は、陽明学と水戸学が交錯しながらこの国の精神に組み込まれたものであった。 大塩平八郎にはじまり、井上哲次郎、三宅雪嶺、新渡戸稲造、そして山川菊栄と三島由紀夫へと至る系譜をたどりながら、日本の近代特有の屈折を読み解かんとする、新鮮にして驚くべき視点による思想史探究。 スマッシュヒットとなった選書メチエ版に、近代日本における朱子学・陽明学というより俯瞰的な視野による「増補」を加え待望の再刊なる! 【本書の内容】 学術文庫版序文 プロローグ―靖国「参観」の記 エピソードI 大塩中斎―やむにやまれぬ反乱者  1 「乱」と呼ばれて  2 陽明学ゆえの蜂起?  3 知己頼山陽 エピソードII 国体論の誕生―水戸から長州へ  1 藤田三代の功罪  2 『大日本史』の編集方針  3 自己陶酔する吉田松陰 エピソードIII 御一新のあと―敗者たちの陽明学  1 陽明学を宮中に入れた男  2 陽明学を普遍化させた男  3 陽明学をキリスト教にした男 エピソードIV 帝国を支えるもの―カント・武士道・陽明学  1 明治のカント漬け  2 武士道の顕彰  3 陽明学の復権  4 白い陽明学、赤い陽明学 エピソードV 日本精神―観念の暴走  1 ある国家社会主義者のこと  2 西洋思想で説く東洋の革命  3 碩学か幇間か エピソードVI 闘う女、散る男―水戸の残照  1 水戸の血と死への美学  2 「青山菊栄」の戦後  3 「その日」まで   4 その日   5 アポロンが演じたディオニュソス   6 それから  エピローグ  増補  I 近代における朱子学・陽明学  II 亘理章三郎と西田幾多郎の陽明学発掘作業  III 中江兆民の自由論  IV 渋沢栄一の自由論 主要参考文献  あとがき  主要登場人物略伝  本書関連年表  索引 *本書の原本は、2006年に講談社選書メチエより刊行されました。
  • 孫子
    4.5
    「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」などの名言で知られる『孫子』。春秋時代の孫武(そんぶ)が著わし、二千年以上も読み継がれた名高い古典は世界最古の兵法書として、また人間界の鋭い洞察の書として親しまれ、今日もなお組織の統率法や人間心理の綾を読みとるうえで必携とされている。本書は、従来の宋時代のテキストより千年以上も古い前漢武帝時代の竹簡文に基づく精密な唯一の解説である。
  • はだかの起原 不適者は生きのびる
    4.5
    裸は適応的な進化だったはずはない――。では、ヒト科ではただ一種だけの例外的な形質、生存のためには圧倒的に不利な裸化は、なぜ、そしていつ起こったのか。一方で、ハダカデバネズミ、ハダカオヒキコウモリなど、ごく少数の裸小型哺乳動物は、それぞれが独特の生態を持つ。では、人類が生きのびるための術とは? 自然淘汰説や人類海中起原説などの説を検討し、遺伝学・生物学などを参照しつつ、現代人類の特質の起原を探る。
  • 興亡の世界史 近代ヨーロッパの覇権
    4.3
    15世紀の大航海時代にアジア、新大陸に進出、激しい貿易戦争を繰り返しながらグローバル化を進め、幾多の戦乱と革命を経て国民国家を誕生させたヨーロッパ。産業革命と帝国主義により19世紀の世界に覇権を確立したが、二度の世界大戦で破局を迎える。その反省から生まれた欧州統合への長い道のりの栄光と挫折をも考察する。
  • 群衆心理
    3.9
    民主主義が進展し、「群衆」が歴史をうごかす時代となった19世紀末、フランスの社会心理学者ギュスターヴ・ル・ボンは、心理学の視点に立って群衆の心理を解明しようと試みた。フランス革命やナポレオンの出現などの史実に基づいて「群衆心理」の特徴とその功罪を鋭く分析し、付和雷同など未熟な精神に伴う群集の非合理的な行動に警告を発した。今日の社会心理学の研究発展への道を開いた古典的名著である。
  • 梁塵秘抄口伝集 全訳注
    5.0
    平安末期に大流行した「今様」を集大成し、歌詞集十巻・口伝集十巻、現存すれば五千余首を数え『万葉集』にも匹敵したとされる大歌謡集「梁塵秘抄」。このうち、後白河院が生涯を通しての今様習練、今様の歴史、傀儡女たちとの交流、編纂の意図等を綴った『梁塵秘抄口伝集』こそが主流であった。全訳、懇切な注釈に加え、今様の基礎知識も詳しく解説。
  • 中世のなかに生まれた近世
    -
    後北条、武田、今川、上杉など東国の大名が発給した文書は、はんこを捺した「印判状型」。一方、毛利や大友、島津ら西国の大名は「非印判状型」。前者は官僚制的で強力な支配、後者は人格的でゆるやかな支配だった。戦国大名たちの膨大な文書をあざやかに分析し、そのうえで信長、秀吉、家康という天下人の支配の本質にせまる、刺激的な歴史学、登場!
  • 地図から読む歴史
    4.0
    過去の景観の残片は、さまざまな形で地図に姿を留めている。地名や地形、道路、寺社などの位置関係と実地の検分から、そこに生きた人々の「地表経営」とその意図を解明する<歴史地理学>の楽しみ。聖武天皇の都・恭仁京の全貌、信長の城地選定基準、江戸建設と富士山の関係など、通常の歴史学ではアプローチできない日本史の側面に新たな光をあてる。
  • 中世の非人と遊女
    3.8
    非人や芸能民、商工民など多くの職能民が神人(じにん)、寄人(よりうど)等の称号を与えられ、天皇や神仏の直属民として特権を保証された中世。彼らの多くは関所料を免除されて遍歴し、生業を営んだ。各地を遊行し活動した遊女、白拍子の生命力あふれる実態も明らかにし、南北朝の動乱を境に非人や遊女がなぜ賤視されるに至ったかを解明する。網野史学「職人論」の代表作。
  • 日米開戦への道 避戦への九つの選択肢 上 The Road to Pearl Harbor
    -
    勝算乏しき戦争になぜ突入していったのか? 泥沼化する日中戦争のなか、三国同盟締結、南部仏印進駐へと政策展開する日本。石油禁輸の制裁を受けながらも日本側が提出した中立化拒否の回答は、悲劇へのポイント・オブ・ノーリターンであった。独ソ戦勃発、ハル・ノート受領後の交渉など、局面を変えるチャンスはなぜ生かされなかったのか。アメリカとの対決回避の選択肢が次々と消えていく過程を厖大な資料から明らかにした労作。
  • カント
    4.0
    すべての哲学はカントに流れ入り、カントから再び流れ出す。人間理性の限界を精査し、またその全射程を見定めようとしたカント。認識の構造を解明した『純粋理性批判』、道徳の世界を確立した『実践理性批判』、批判哲学完成の書『判断力批判』から、最晩年の問題作『オプス・ポストムム』まで。哲学史2千年を根源から改革した独創的作品群を、その生涯とともに見渡す待望の書。
  • 夢中問答集
    3.0
    天龍寺を開山し、造園の妙を各地に施した、悟達明眼の夢窓国師は、北条家、足利家、後醍醐天皇からも深く帰依され、世に7朝の帝師と仰がれた。在俗の政治家、足利尊氏の弟直義(ただよし)の、信心の基本、大乗の慈悲、坐禅と学問などの問いに答えて、欲心を捨てることの大切さと仏道の要諦を指し示す。無礙自在の禅者の声が、時空を超えて響きわたる。(講談社学術文庫)
  • 数学の考え方
    3.8
    数学には人類の長いあいだの経験が集積されている。細かい計算や技巧の歴史としてではなく、ものの見方、考え方の歴史としてその道程を振り返るとき、目のまえには見たことのない数学の「風景」が広がるだろう。数学の歴史は私たちの思想の歴史にほかならない。数を数えることから現代数学までを鮮やかにつなぐ、数学入門の金字塔。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 満洲 マンチュリアの起源・植民・覇権
    -
    ヌルハチの決起に始まり北京に都を置いた清朝にとって、満洲は聖なる「封禁の地」だった。しかし漢族の入植で満漢の一体化は進み、辛亥革命の後は日中米英露が覇権を争う。狩猟採集を生業とした女真族の故地は、いかにして「中国の一部」となり、「極東の火薬庫」と化したのか。「満珠」建国から「満洲国」崩壊へと至る、世界史の中のマンチュリア通史。(講談社学術文庫)
  • 沈黙するソシュール
    -
    ジュネーヴ大学就任講演、形態論、「書物」の草稿、ホイットニー追悼などソシュールの重要なテクストを訳出し、それに対する繊細かつ本質的なノートを付す。その往還自体がひとつのテクストとなって、本書でわれわれは、いつしかソシュールの思想の生の姿に立ち会うこととなる。あえて俗流解釈を排し、言語=ラングそのものを問い続けた記念碑的力作。(講談社学術文庫)
  • 日中戦争への道 満蒙華北問題と衝突への分岐点
    -
    1931(昭和6)年に起こった満州事変。それはそのまま日中戦争への引き金となったのか。ひき続く満州国建国から停戦協定、蘆溝橋事件、「国民政府を対手とせず」声明まで、日本と中国の関係は必然的に軍事衝突を結果するしかなかったのか。満蒙・華北問題の解決に向けた外交的展開、軍部の動き、思想面での主張を吟味、戦争への道を具(つぶさ)に検証する。(講談社学術文庫)
  • 伊藤博文と明治国家形成 「宮中」の制度化と立憲制の導入
    4.5
    【サントリー学芸賞受賞作 1992年度 思想・歴史部門】 内閣制度を創設し、明治憲法の制定に尽力したことで日本近代史にその名を刻む伊藤博文。しかし立憲制の導入のために伊藤がまずなすべきことは、天皇の権限を明らかにし、「宮中」を制度化することだった。大隈重信・井上毅ら政敵との抗争や、度重なる政治的危機を乗り越えて明治天皇の信頼を得た伊藤の、「真の業績」を論じたサントリー学芸賞受賞作。(講談社学術文庫)
  • 太平洋戦争と新聞
    4.3
    満蒙の特殊権益をめぐる中国との対立から戦争の泥沼へとのめり込んでゆく日本。満州事変、日中戦争、太平洋戦争と続く動乱の時期、新聞は政府・軍部に対しどんな論陣を張り、いかに報道したのか。新聞紙法を始めとする法令、厳しい検閲に自由を奪われるとともに、戦争遂行へと自らの主張を転換する新聞。批判から迎合的煽動的論調への道筋を検証する。(講談社学術文庫)
  • インド思想史
    3.5
    インド最古の聖典『リグ・ヴェーダ』にはじまり、世界的にも類がないほど深遠な思想を生みだしてきたインド。ウパニシャッド、ジャイナ教、仏教、マハーバーラタ、正統バラモンの六派哲学、ヒンドゥー教から、近代のガンジーやタゴールに至るまで、3000年以上にわたる複雑で多様な思想の全領域をコンパクトに大観する。 アーリヤ人の侵入や農村社会の成立、王朝の興亡など、それぞれの時代の社会変動の影響も踏まえつつ、各思想大系の特質を明らかにすることで、〈解脱〉をもとめてやまない人類の思索の歴史が描き出される。 世界的なインド哲学、仏教学者であり、比較思想の開拓者でもあった著者による、半世紀以上にわたって読み継がれてきた不朽の概説書。原本:『インド思想史 第2版』岩波書店、1968年) 第一章 アーリヤ人の侵入とリグ・ヴェーダの宗教 第二章 農村社会の確立とバラモン教 第三章 都市の興隆と自由な思索の出現 第四章 国家統一と諸宗教の変動 第五章 統一国家崩壊後における諸宗教の変遷 第六章 クシャーナ帝国時代における新思想  第一節 時代の趨勢  第二節 仏 教   第三節 ジャイナ教   第四節 南インド文化の開花 第七章 集権的国家における諸哲学学派の確立  第一節 正統バラモン系統  第二節 仏 教   第三節 ジャイナ教  第八章 諸王朝分立時代における諸学派の継続的発展  第一節 バラモン教およびヒンドゥー教   第二節 仏 教  第九章 回教徒の侵入と思想の変化  第一節 中世的宗教の発展   第二節 近代的思惟の発展  第十章 外国資本主義制圧下における思想運動 第十一章 〔附論〕科学思想
  • 読書国民の誕生 近代日本の活字メディアと読書文化
    4.0
    日本人はなぜ、いつ、「読者」になったのか? そして何を、どのように、読んできたのか? 出版資本と鉄道による中央活字メディアの全国流通、旅行読者の全国移動、新聞縦覧所と図書館という読書装置の全国普及――官・民による、これら三つの全国的要素の融合から、明治期に活字メディアを日常的に読む習慣を身につけた国民、すなわち「読書国民」が誕生してくる過程を、出版文化研究の第一人者が活写。私たちの読書生活の起源がここにある! [目次] はじめに ■第一部 流通する活字メディア 第一章 全国読書圏の誕生 第二章 「中央帝都の新知識」を地方読者へ――新聞社・出版社による地方読者支援活動の展開 ■第二部 移動する読者 第三章 車中読者の誕生 第四章 「旅中無聊」の産業化 ■第三部 普及する読書装置 第五章 読書装置の政治学――新聞縦覧所と図書館 第六章 図書館利用者公衆の誕生 あとがき 学術文庫版へのあとがき [主なトピック] ○暴力沙汰まで! 「東京vs.大阪」新聞市場争奪戦争 ○過疎地域を開拓せよ! 新聞社・出版社による地方読者支援活動 ○駅は戦場! 漫画雑誌の隆盛はここから始まった ○お部屋訪問! 温泉地の貸本屋 ○「情報にお金を払う」習慣を生んだ新聞縦覧所 ○自由民権運動は下からの「読書国民」の創出 ○読書の価値を再発見した日清戦後の一等国意識 ○まるで監獄……帝国図書館の規律空間 ○樋口一葉も友人と……女性が一人で行けない図書館
  • 女神誕生 処女母神の神話学
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    太古の「大女神」、「大母神」から、処女であり母でもある「処女母神」へ――。普遍的な女神の変質は何を意味するのか。そして処女母神アマテラス、アテナ、マリアは、なぜ至高女神の地位を得たのか。時代も地域も異なる神話の共通点から、人類社会の原像を見出し、神話の新たな可能性を探る比較宗教学の試み! スサノオとの宇気比によって生じた男神の母となったアマテラス、脚にかけられた精液を羊毛で拭き取り、それを捨てた大地から生まれた子の母となったアテナ、そして「主の言葉によって」母となったマリア。処女懐胎神話はほかにもギリシア神話のダナエや釈迦の母マーヤー、『マハーバーラタ』のクンティなど枚挙にいとまがない。しかし、それらの母の多くが、子の誕生時に亡くなるか、あるいはその後の場面から姿を消してしまうのに対し、至高女神として君臨するアマテラスをはじめ、アテナもマリアも、それぞれの宗教のなかで主導的立場を占めつづける。 時間的にも空間的にも異なる信仰にあって、なぜ、彼女たちは「処女にして母」という超越性とともに、それぞれの宗教のなかで燦然と輝く存在となったのか。 また、「処女母神」は、農耕や牧畜が始まった社会で生まれた新たな女神であり、それ以前には旧石器時代の石像に象徴される、自然の富の授与者としての「大女神」や「大母神」が広く存在していた。そんな「大女神」の系譜をひく処女女神アルテミスは、いかにして現代の優美な「ダイアナ」に変容していったのだろうか。  比較神話学の手法によって、男性が生み出した神話の向こうに遠く浮かび上がる女性の姿を繊細にとらえ、単純な二項対立を超えた社会における男女の在り方を多彩な視点から描き出す、唯一無二の試み。 (原本:『女神の神話学――処女母神の誕生』平凡社(平凡社選書)、1999年) 序章 女神とは何か 第1部 「大母神」と「処女母神」 第一章 大母神から職能女神へ――旧石器時代の洞窟女神から考える 第二章 女性の神話学 第三章 処女母神の神(話)学 第2部 日本の女神と女性 第四章 女性のなかでただ一人――アマテラス神学生成の比較神話学的考察 第五章 なぜ「妹の力」だったのか 第3部 ギリシアの女神と女性 第六章 女神とポリス――アテナとアテナイ 第七章 アルテミスからダイアナへ――西洋における山野の女神像の変遷 第八章 女による暴力と女への暴力――ギリシア悲劇の暴力性と女性像 第九章 女たちを笑う男たち――ギリシア喜劇の女性像 注 文献一覧 初出一覧 あとがき 学術文庫版あとがき
  • 世界鉄道文化史
    4.0
    鉄道とは、人類のドラマである! その胸躍る軌跡のすべて 鉄道誕生から約二〇〇年――そこには、爛熟する豪華列車もあれば、等級制が生み出す人間模様もある。廃線問題が起こる一方で、座席や照明は進化し、激化するスピード競争はついにリニア開発までいたりついた。他に類を見ない独特な文化を生み運んできた鉄道の全軌跡を、第一人者が新聞や文学、写真や絵画を渉猟して描き切る、壮大にして無二の世界史! 「二等車は一等車の上流と三等車の大衆を分かつ、ちょっと曖昧な漠とした中間ゾーンであるだけに乗客心理は微妙であった。誰でも二等車に乗ると、あるいは乗れる身分になると、ほっと安心する。それでいい気になって、不遜な態度で乗務員に接する、知らぬ男女の二等客が思わぬ不倫関係で突如途中下車してゆく……」(「第六章 等級制と社会」より) [本書の内容] 第一章 のびゆく鉄道 第二章 コンパートメントと大部屋式 第三章 無謀なスピード競争は終わったが、スピードはわが命 第四章 鉄道旅行の時代 第五章 鉄道快適化物語 第六章 等級制の人間模様 第七章 日本にもあった「一帯一路」 第八章 鉄道はデザインの宝庫 第九章 超高速時代と反芻 第一〇章 豪華列車からクルーズ列車へ 第一一章 芸術が描いた鉄道 第一二章 リニア新時代と鉄道の公益性
  • 小三治の落語
    4.0
    2021年10月、落語家・柳家小三治が亡くなった。 古今亭志ん朝、立川談志と並ぶ、日本が誇る話芸の名人は、生涯、寄席を活動の場とし、TVやCMなどでの露出はなかったものの、落語ファンからの圧倒的かつ、熱狂的な支持を集めていた。 それほどまでに人を虜にした、人間国宝「小三治の落語」とはいったい、何だったのか。 小三治の芸論、哲学、技術は? 彼は過去から何を受けとり、何を後に遺したのか。 50年来の落語ファンにして、30年に亘り小三治の高座を追い続けた著者による『なぜ「小三治」の落語は面白いのか?』(2014年に単行本、16年に+α文庫化)を改題、増補改訂。 底本に収録した「小三治の高座」は、追悼番組までの映像・音源発売をすべて拾い上げた91席を、丹念に採取・検証。 また、新章「近代落語史における小三治の存在」も書き下ろし収録。 「柳家小三治」という落語家人生を総括しながら、現代落語史を解読する! 目次 はじめに 第1章 小三治から見た近代落語史 第2章 「小三治落語」の演目 第3章 小三治インタビュー     落語協会会長就任について      小三治「茶話会」会見 あとがき 参考文献および参考映像 演目索引 *本書は、『なぜ「小三治」の落語は面白いのか?』(2014年単行刊刊、2016年 講談社+α文庫刊)を改題、新章を加えて加筆修正された、増補改訂版です。
  • 平安王朝
    3.0
    ■桓武天皇による平安遷都から摂関政治前夜まで、■ ■明と暗が交錯する歴史を名手が生き生きと描く!■ 貴族たちの豊かな古典文化に彩られた九~十世紀、しかしその繁栄の底流では律令体制の解体が静かに進行し、中央は全国統治の力を失いつつあった。 平安遷都から摂関政治前夜まで、古代国家の崩壊と封建社会の誕生のあいだの長い転換期を政治・社会・文化から多面的に捉え、 表舞台で脚光を浴びる者のみならず、闘争に敗れ表舞台から去っていった人々の姿にも目を配りながら、光と影が交錯する歴史像を描く、無二の論考。 ■ゆるやかに時は移り、世は変わる。―本書より■ 「社会の根本的な変化は、奥底の流れとしてきわめてひそかに、しかもおだやかに進んでいた。したがって、地方や被支配層の発展あるいは国家体制の転換をはっきりと具体的に示す史料は極端に少ない。このもどかしいまでに悠長で不透明な移り変わりこそ、この時代の特徴である」【「まえがき」より】 解説=佐藤全敏(東京女子大学教授) *本書の原本は、一九六九年刊「日本歴史全集」第四巻を元に改訂された「日本の歴史文庫」第四巻として、1975年に刊行されました。 ■本書の内容■ 第一章 律令体制崩壊の端緒 1 平安時代の前奏曲 2 桓武朝の権力と政治姿勢 3 律令体制の矛盾 4 長岡京の暗い影 6 桓武朝の蝦夷征討 第二章 宮廷と詩文と密教と 1 平城朝の悪戦苦闘 2 「平安的なもの」の発展 3 花開く唐風の詩文 4 巨人、最澄と空海 5 渡海僧と仏教の貴族化 第三章 良房・基経の時代 1 承知の変と良房の権力把握 2 反抗者と疎外者 3 基経の天皇廃立 4 律令政治の衰退 5 地方勢力の胎動 第四章 寛平・延喜の治 1 「寛平の治」とその挫折 2 菅原道真の運命 3 延喜の荘園整理令 4 「古今和歌集」なる 5 延喜の太平とその暗転 第五章 承平・天慶の乱と「天暦の治」 1 武者の起こり 2 平氏一族のあらそい 3 東西二つの謀反 4 将門・純友の末路 5 藤原氏と後宮 6 「天暦の治」の内幕 7 退廃の栄え 8 藤原氏の時代へ
  • ええじゃないか 民衆運動の系譜
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    江戸や大坂など大都市の市中で、あるいは木曽街道の宿場町や四国の農村で、「エエジャイカ、エエジャナイカ」と歌い踊る人々。このお祭り騒ぎは、幕末の日本を観察したイギリスの外交官、アーネスト・サトウの回顧録に記され、島崎藤村の『夜明け前』にも描写される。 徳川時代の末期、慶応3年(1867)夏頃から翌年にかけて、日本の多くの地域で引き起こされたこの熱狂は、いったい何だったのか。日本史上でもあまり類例のない、この不思議な現象の全貌を、各地の史料を掘り起こして明らかにした労作。 さらに、中世の神社史、特に伊勢神宮史に業績のある著者は、この「ええじゃないか」という事象を、古代の常世神や志多羅神信仰から、「永長の大田楽」、近世の伊勢踊りへと至る民衆運動の系譜の中に位置づけ、また、近世の伊勢信仰と「おかげ参り」の大流行、そして幕末の「世直し」との関連のなかで考察する。〔原本:『ええじゃないか――民衆運動の系譜』新人物往来社、1973年刊〕
  • パラダイムとは何か  クーンの科学史革命
    3.7
    トーマス・クーンという名前を知らない人でも、また科学史や科学哲学などの分野に縁のない人でも、「パラダイム」という言葉なら聞いたことがあるに違いありません。 いまや日常語として「物の見方」「考え方の枠組み」の意味で使われているこの言葉は、もともと1962年刊『科学革命の構造』というクーンの著書の中で語られたもので、「一定の期間、研究者の共同体にモデルとなる問題や解法を提供する一般的に認められた科学的業績」を意味していました。 この概念は、それまでの「科学革命は17世紀に起きた1回きりの大事件」という科学史の常識を覆す衝撃的なもので、「<科学>を殺した」といわれたほど、大きな影響を及ぼしました。 パラダイム・シフトは歴史上何回も起こり、それは社会・文化の歴史と密接な関係があるとするクーンの見方は、フーコーが人文科学的知の布置の変化を考古学的方法によって解き明かしたと同じスタンスで、「知」の連続的進歩という通念を痛撃しています。 本書は二十世紀終盤の最大のキーワードとも言うべき「パラダイム」の考え方を面白く、わかりやすく説くものです。 ●主な内容 第1章 <科学>殺人事件 第2章 科学のアイデンティティ 第3章 偶像破壊者クーンの登場 第4章 『科学革命の構造』の構造 第5章 パラダイム論争 第6章 パラダイム論争の行方 【原本】 『現代思想の冒険者たち クーン パラダイム』1998年 講談社

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